スペシャルドラマ キャビンアテンダント刑事〜ニューヨーク殺人事件〜 2014.07.07

(朋子)死んでるの。
(結)美穂さん。

(遠藤)もう3カ月だぞ。

(遠藤)どうなの?
(美穂)企画部に協力してもらってニューヨークの100本以上のワインから10本まで絞ったんですよ。
後はその中からお客さまにお出しする一本を最後に斉藤が選ぶだけだよ。
でもやはりワインに詳しい人が選んだ方が。
まあ確かに今まではそうやって選んできたんだけどさ。
今回はもっと幅広い方に好まれるワインを選びたいんだ。
でも…。
それには斉藤がふさわしいと思ったから推薦したんだけどな。
斉藤もそろそろフライトだけじゃなくこういう企画業務にも携わってもらわないとな。
はい。
次のニューヨーク便だな。
次のニューヨークへのフライトで実際現地のワイナリーへ行ってそこで決めてきてよ。
滞在期間延長しとくからさ。
どのくらいですか?・
(飛行音)2日。
えっ?2日。
2日!たった2日ですか?えっ?できない?いえ。
まあできますけど。
できます。
だよね。
じゃあよろしく。

(はるか)えっ?ニューヨーク初めて?
(結)そうなんです。
3日あるんで映画のロケ地を思う存分回ろうと思って。
(佳美)それは難しいんじゃない?えっ?どうしてですか?
(はるか)基本的に国際線の中日は帰国便のための休養に当てなきゃいけないのよ。
嘘。
(杉野)私が新人のころは結構いろんなとこに行く時間あったんだけどねぇ。
それっていわゆるバブルのころの話ですよね?あのね。
そんな昔の話じゃ…。
1ドル360円の時代か。
教科書で習ったな。
(杉野)ったく。
ゆとり世代が。
ちょっと。
杉野さんに失礼でしょ?
(佳美)そうよ。
バブルって。
近からず遠からずっていうか。
はあ…。
うん?
(亜佳里)美穂さんが?
(歩)ワイン選び?
(ケイ)でも美穂さんお酒は…。
そうよ。
お酒は…。
ええ。
お酒弱いわよ。
(亜佳里)あっ。
もしかしてそれってニューヨーク便限定のワイン企画ですか?企画部の男の子から聞きました。
言っときますけど付き合ってませんよ。
聞いてないけど。
(亜佳里)あっ。
そうだ。
ブルックリンにグルメ・ギルドっていうお店があるんですけど。
そこは地元のワインを取り揃えてて試飲もできるらしいですよ。
本当?行ってみる。
ありがとう。
もし時間あったらその店でチョコレート買ってきてくれません?これがまたおいしいんですよ。
分かった。
でも結構重要な仕事だから失敗できませんね。
大丈夫ですか?大丈夫。
一つだけ条件を出したの。
(歩・ケイ)条件?・
(朋子)美穂。
ああ。
(朋子)何で私急にニューヨーク便が入ったのかしら?そうなんですか?
(朋子)あなたの仕業でしょ?バレてました?当たり前じゃないのもう。
私今そんな場合じゃないんだから。
何かあったんですか?あったわよ!そんなに怒らなくても。
怒ってない!私お酒弱いの知ってますよね?それでも遠藤さんがあなたを選んだってことはそこに何か理由があるってことでしょ?私になんか選べませんよ。
選べるか選べないかなんてやってみないと分かんないじゃないの。
そうですけど。
だって引き受けたんでしょ?そこなんです。
何が?断ろうとしたときにふと思い出したんです。
何を?そういえば朋子さん。
ソムリエの資格持ってたなって。
私のこと助けると思ってお願いします。
分かったわよ。
ありがとうございます。
ただしあんまり期待しないこと。
じゃあね。
(めぐみ)美穂さん。
あっ。
メグ。
(めぐみ)朋子さん。
先月3年付き合ってた彼に振られたみたいですよ。
えっ?嘘!?
(めぐみ)結婚するはずだったのに朋子さんが仕事辞める辞めないかでもめたみたい。
だからあんなにいらいらしてたのね。
落ち込んでるんでしょうね。
まああんまり触れない方がいいですよ。
あっ。
私今から福岡なんで。
あっ。
じゃああしたのニューヨーク便で。
(一同)おはようございます。
おはようございます。
(女性)脚をクロスして腕を組み上体をひねりましょう。
(女性)1・2・3。
おはよう。
おはようございます。
うん?あっ。
初めまして。
渡部結です。
初めて?はい。
速水朋子です。
よろしくお願いします。
あっ。
こちらこそ。
大丈夫ですか?うん?何が?いや。
何か彼氏に振られたみたいな顔してますけど。
うっ。
痛っ。
ワイン選びこの子も一緒に行くんで仲良くしてくださいね。
嘘でしょ?あの子も一緒なの?ヘヘッ。
最悪。
(杉野)成田発ニューヨーク行きJAL006便。
ブリーフィング始めます。
(一同)はい。
(杉野)チーフパーサーの杉野です。
(一同)おはようございます。
(杉野)初めての方もいると思いますけどチームワークよくお客さまに最高のサービスを提供しましょう。
(一同)はい。
(杉野)では皆さん健康状態はいかがですか?最高です。

(芦屋)斉藤さん。
一緒のフライトになるの久しぶりですね。
そうですね。
あのう。
ニューヨークでの予定とかって…。
予定?あります。
あっ。
そうですよね。
ええ。
何か?えっ。
あっ。
いや。
あっ。
遅れちゃう。
それじゃあ。
(杉野)皆さまにご案内いたします。
この飛行機は間もなく離陸いたします。
シートベルトをもう一度お確かめください。
(英語)
(英語)
(英語)
(英語)お客さまのワイヤレスネットワーク接続画面でこちらをご選択ください。
はい。
ブラウザを開くと自動的にWi−Fi申し込みサイトが表示されます。
そちらからお申し込みいただきますと機内でも普段と同じようにインターネットが楽しめます。
ねえ。
ホントにあの子も連れてくの?ええ。
彼女の一般的な意見も聞きたいんです。
(上田)ニューヨーク便のワイン企画斉藤が担当らしいけど大丈夫かな。
ええ。
(上田)あれ?やっぱり心配?やっぱり?
(上田)いや。
お前がさ斉藤のこと好きだとか好きじゃないとかさ。
(芦屋)ちょっ。
誰がそんなこと。
(上田)まあまあ。
とにかくいいことだよ。
(芦屋)何がですか?
(上田)ほら。
俺たちに大事なのはさ昔も今も…。
恋。
恋ですよ。
何?いきなり。
ハドソン・バレーっていろんな恋愛の映画が撮影されてる場所みたいなんです。
ああ。
もうテンション上がり過ぎて倒れちゃいそう。
(めぐみ)あっ。
美穂さん大変です。
お客さまが意識を。
めぐみさん。
ドクターコール。
(めぐみ)はい。
(杉野)美穂さん。
お客さまをお願い。
コックピットに連絡してきます。
はい。
(めぐみ)皆さま。
おくつろぎのところ失礼いたします。
ただ今機内に急病のお客さまがいらっしゃいます。
ご協力いただけるお医者さま看護師の方は乗務員にお知らせください。
(広田)すいません。
エクスキューズミー。
ソーリー。
(広田)医師の広田です。
お願いします。
(広田)AED準備して。
(めぐみ)はい。
心電図を調べています。
体に触らないでください。
心室細動。
離れて。
電気ショックを行いました。
(男性)ああ…。
(めぐみ)戻った。
もう大丈夫ですよ。
(男性)ありがとうございます。
ありがとうございました。
ああ。
いえ。
お絞りをどうぞ。
あっ。
ありがとうございます。
もしよろしければワインをお持ちしますが。
ああ。
大丈夫です。
そうですか。
ニューヨークでの滞在は長いんですか?いや。
すぐボストンに行かなければならないんです。
(めぐみ)偶然。
あっ。
私も今日の夜ボストンに行くんですけど。
(広田)ああ。
そうなんだ。
僕は今日移動して学会なんです。
お忙しいんですね。
ちなみにどちらの病院に勤務されてるんですか?藤澤さん。
はい。
あちら。
あっ。
はい。
お帰りも弊社便でしたらワインをご用意いたしますが。
いや。
あした仕事を済ませたらボストンからのアメリカン航空で日本に帰る予定なんです。
ああ。
そうなんですか。
また運よくあなたに出会えたらそのときにでも。
分かりました。
ごゆっくり。
(芦屋)ラジャー。
(上田)芦屋。
乗客には気を付けろ。
でももう容体は。
(上田)助けた医者の方だよ。
(上田)斉藤だってくらっときちゃうぞ。
「ああ。
運命感じちゃった」なんてよ。
ハハハ。
ああー。
運命感じちゃった。
あのお医者さんに友達申請する約束しちゃったの。
(めぐみ)ちょっと聞いてる?もうメグったら。
あのう。
着いたらここ行きたいんですけど。
『SexandtheCity』のロケ地巡り。
えっ?
(めぐみ)あっ。
確かワイナリー巡りはあしたですよね?私その近くで買い物したいんでみんなで行きません?でもそんな時間…。
ねえ?いいわね。
やった!えっ?やった。
やった。
ここと…。
もう全部行きましょうね。
(めぐみ)行きたい行きたい。
うわ。
すごい。
見てくださいよこの景色。
ちょっと収めないとこれは。
収めないと。
夢のよう。
あっ!
(めぐみ)あっ。
ちょっとちょっと。
危ないってもう。
ここで写真撮ってくださいよ。
(めぐみ)OK。
じゃあ。
ちょっと。
何で?2人とも。
一緒に入るんですよ。
(めぐみ)いい感じ。
チーズ。
あっ。
あった。
『SexandtheCity』のキャリーのおうち。
甘っ。
甘いよこれ。
嘘だ。
ヤミー。
おいしいじゃないですか。
ホントのキャリーの家はこの2軒先なんだけどね。
えっ?何て言いました?すごい。
あっ。
ここだ。
『SexandtheCity』でミランダとスティーブが抱き合ってたとこです。
あっ。
ここだ。
来た!えっ?『ナイトミュージアム2』でマンモスが。
めぐみさん。
マンモスやってもらっていいですか?
(めぐみ)パオー。
何か違うなちょっと。
ちょっと。
ちょっと。
ねえねえねえねえ。
やらせて…。
ねえ。
やめて。
まあ2じゃなくて1なんだけどね。
がーっ。
(めぐみ)めっちゃいい。
おおー。
結構よくないですか?今の。
結。
そろそろ行かない?何言ってるんですか。
まだまだこれからですよ。
痛っ。
ちょっともう。
そんなこと言うなら美穂さんに付き合ってあげませんよワイン選び。
(めぐみ)えっ。
じゃあもうこれいいのね?えっ?えっ?まだ。
まだまだ。
私が今度撮りますから。
ちょっと。
渡部さん。
ちょっと言ってくるね。
ここから来てください。
渡部さん。
いきますよ。
ねえ。
もういいんじゃないの?渡部さん。
(めぐみ)分かった分かった。
ううーっ。
ちょっとやる気が感じられません全然。
渡部さん。
聞こえる?ねえ?監督ごっこいいから。

(めぐみ)どうですか?あした行くワイナリー決めました?まだなの。
ねえ渡部さん。
何してんの?
(めぐみ)見せて見せて。
ニューヨークにはさっき行ったとこ以外にもこんなにいろんな恋物語が繰り広げられてるわけですよ。
へえー。
あっ。
朋子さんには関係なかったですね恋物語。
ごめんなさい。
ねえ美穂。
私やっぱりどうしてもこの子と一緒に行かなきゃ駄目?来てください。
お願いします。
ハァー。
でどうすればいいの?まだ時間があるので亜佳里が言ってたお薦めのお店でワインを味見してもらいたいんです。
何て店?ブルックリンのグルメ・ギルドです。
行きましょう。
私タクシーつかまえてくるわ。
えっ?すいません朋子さん。
やっぱり私も行きたいな。
ワイナリー巡り。
何かあったら連絡するから協力してくれる?
(めぐみ)いいですよ。
あっ。
ボストン便。
そろそろ出なくて大丈夫ですか?
(めぐみ)えっ?あっ。
もうこんな時間。
急いで。
(めぐみ)それじゃ。
おおーっ。
通ってる。
通ってる。
おおーっ。
うわぁ。
ここがブルックリンか。
やっぱり絵になるなぁ。
はい。
にっこり。
にっこり。
はい。
カット!ああ。
もうテンション上がる!そう?普通の街じゃない?何言っちゃってんですか。
この辺はいろんな映画の舞台になってるんですよ。
はいはい。
108だから。
ここだ。
うわぁ。
来たかったのよここ。
グルメ・ギルド。
テンション上がる。
普通の店じゃないですか。
結。
あっ。
美穂さん。
私この辺の街並み撮ってきていいですか?はいはい。
映画監督さん。
お好きにどうぞ。
うわぁ。
おいしそう。
ああー。
どうですか?この中から幾つか選んであしたハドソン・バレーに行って実際にワイナリーを見に行きたいと思うんです。
うーん。
これもいいし。
こっちもなかなか。
他のも探してきますね。
うん。
ちょっと休憩。
(リサ)エクスキューズミー。
アイムソーソーリー。
(リサ)ザッツオールライト。
であとどのワイン試せばいいの?
(リサ)バイ。
(リサ)日本語で大丈夫ですよ。
あら。
(リサ)親が日本と取引してた関係もあって小さいころ日本語学校に通わされてたんで。
ふーん。
そうなんですか。
あなたのワイナリーはハドソン・バレーにあるんですよね?はい。
よく調べてらっしゃるんですね。
私たち日本の航空会社の客室乗務員なんです。
機内でお客さまにお出しするワインを探していて。
ハドソン・バレーで。
ああ。
ぜひ伺わせてください。
うちは生産量が少なくて造った分は売れてしまうので。
そうなんですか。
あっ。
でもハドソン・バレーだったらもっと有名なところがあるわよ。
あっ。
地図いい?あっはい。
例えば…。
こことか。
うーん。
ああ。
意外と近かったね。
ああ。
奇麗。
ねえ。
何かさ川っていうか湖って感じじゃない?じゃあ行きますよ。
えっ?ちょっと。
結。
ほら。
早く。
ほら。
行くよ。
あれ?はい。
あっちあっちあっち。
あれ?さあどこから攻める?昨日のワイナリーの人が薦めてくれたのはこのブラザーフット・ワイナリーとストウトリッジ・ヴィンヤードってところです。
見つかるといいねぇ。
絶対に見つけなきゃならないんです。
見つかるかなぁ?ちょっと人ごとみたいに。
やめてくださいよ。
はい!結。
どうしたの?あのう。
途中で寄ってもらいたいところがあるんですけど。
どこ?ここ。
『恋におちて』の舞台になったドブスフェリーの駅です。
ドブスフェリーなら。
はい。
ほら。
ここでしょ?はい。
で今いるところがここ。
うん。
はい。
通り過ぎた。
嘘!?残念でした。
えっ?嘘!結。
今日はワイン探しに集中して。
さっ。
行くわよ。
次はタクシーだから。
はーい。
美穂さん。
全然タクシーいないですね。
いないね。
どこなんだろう?ああー。
もう限界。
足が限界。
ちょっと。
道の真ん中ですよ。
朋子さん。
頑張りましょう。
早く早く。
そんな靴履いてて疲れないわけ?あと少しだから。
あと少しってどんぐらい?タクシー全然…。
あっ。
黄色い。
黄色いタクシー来た。
止まって。
お願い。
お願い。
待って。
ストップストップストップ。

(スタッフ)ハイ。
リサ。
(リサ)ヘイ。
おおっ。
すごい。
着きましたね。
サンキュー。
サンキュー。
バイ。
ずいぶん味のある雰囲気ですね。
ブラザーフット。
思い出した。
ねえここよ。
ほら。
アメリカ最古のワイナリー。
おおっ。
ほうほう。
期待できそうですね。
行きましょう。
うん。
うわ。
1900年代前半のたるなんですって。
ふーん。
へえー。
さすがだね。
(くしゃみ)何か寒くないですか?ここ一年中ワインのために16℃に保たれてるらしいからね。
だからか。
どうですか?強めの酸味とタンニンの切れがいい。
味わい深いフルボディータイプでパンチ効いてるね。
ああ。
美穂さん。
美穂さん美穂さん。
美穂さん。
次私もいきますね。
ああー。
すごい。
やっぱりアメリカは違うな。
何ていうかこう香りのビッグウエーブがすごい。
がーって。
ビッグウエーブ?うん。
がーって。
がーって?・
(大竹)ハロー。
(大竹)どうよ?ことしのブドウの出来は?最高よ。
今までだってこれからだって。
(大竹)ベンマールのワインはうちの会社で…。
(リサ)ヘイヘイヘイ。
(大竹)OK。
ベンマールのワインはうちの会社でほとんどの量を買い取らせてもらってますが日本でもかなり好評ですからね。
将来的には大量生産に移行して…。
(リサ)あのね。
何度も言いますけど私はこのワイナリーを手放すつもりはありません。
(大竹)あのさ資金繰りも限界だろ?そんな目で見ないでよ。
お宅の大切なワイナリーは俺たちK.M.プロダクツがちゃんと面倒見ますから。
誰も頼んでないけど。
まあ近いうちまた来るわ。
今度は決定権を持った上司を連れてね。

(女性)OK。
アイラブユー。
バイ。
あっそうだ。
忘れないうちに友達申請しとこう。
(電子音)
(一同)サンキュー。
グッバイ。
渡部さん。
テイスティングの経験は?今日初めてです。
えっ?大丈夫なの?ああ…。
大丈夫です。
おっ。
うーん。
ヤミーヤミー。
美穂さん。
ハァー。
決められなかったらどうしよう。
あのですね美穂さん。
ケ・セラ・セラって言葉知ってます?ケ・セラ・セラ?そう。
人生って結局なるようになる。
だからそんな深刻に受け止めないで流れに身を任せればいいよってなことです。
ケ・セラ・セラか。
酔ってるといいこと言うじゃない。
それ褒めてます?当たり前でしょ。
エヘヘ。
フフフ。

(中野)ケ・セラ・セラ。
「なるようになる」確かにそうかもしれませんな。
(中野)やあ。
初めまして。
私中野と申します。
皆さんは日本から?はい。
そうです。
ああそう。
うん。
(中野)へえー。
機内で提供するワインをお探しにね。
はい。
なるほど。
でいったいどんなワインを探してらっしゃるんですか?えーと。
お客さまの誰もがおいしいと言っていただけるような。
誰もが?はてさて。
それはまさに奇跡の一本ですな。
ですよね?ですよね?ハハハ。
難しいかな。
あのね美穂。
誰もがおいしく感じるワインなんてこの世に存在しないの。
あなたが選んだワインを自信を持って決めればいいのよ。
でも…。
(中野)そうだ。
もし時間がよろしければ私もちょっと寄ってみたいワイナリーがこのすぐ近くにあるんですがね。
いかがですか?ご一緒に。
ねっ?ああ…。
ちょっと私たちは。
ねえ?いいですね。
ねえ?えっ?うわ。
すっごい。
(中野)さあさあ。
このアングル最高。
(中野)こちらなんです。
奇麗ですね。
ねっねっ?そうだね。
ほら行くよ。
はい。
中野さん。
うん?ああ。
どうも。
はい。
あれ?ねえ。
あの人って…。
あっ。
あのときの。
(リサ)自己紹介してなかったですよね。
リサ・アンダーソンです。
オーナーさん?そうだったんですか。
わぁ。
気持ちいい。
(中野)あれがハドソンリバーですよ。
ああ。
あれが。
(中野)ええ。
へえー。
(リサ)皆さん。
あっ。
(リサ)この辺りのものは有機農法で育成したブドウを一つ一つ手摘みして自然醸造させたワインなんです。
とってもおいしいと思いますよ。
うちのワイナリーはホントに小さいので機内に提供できるほど在庫がないんですけど。
テイスティングだけでも。
ええ。
喜んで。
あっ。
これすてき。
(リサ)それはCYNTHIAの2012年のものです。
ふーん。
朋子さん。
試してみてくださいよ。
うん。
(リサ)どうぞ。
ありがとう。
おいしい。
もう。
そんな簡単な感想じゃ美穂さんメモすることなくなっちゃいますよ。
私に任せてください。
いただきます。
おいしい。
でしょう?おいしいです。
そんなにおいしいんですか?美穂。
これ絶対飲んだ方がいい。
いや…。
(リサ)どうしたんですか?私お酒弱いんです。
無理にとは言いませんけど自信を持ってお薦めできるワインです。
でも…。
このおいしさは美穂にも絶対伝わるはず。
うんうん。
分かりました。
うん?これなら飲めます。
でしょう?っていうかおいしいです。
(リサ)ありがとうございます。
もうみんな「おいしい」しか言わないんだから。
(中野)お邪魔します。
そう。
記念に私も一言。
あっ。
それで撮っていただけるんですか?あっ。
これですか?いいですよ。
(中野)それじゃあ。
もちろんです。
(中野)恐れ入ります。
バックがこっちがいいですね。
いきますよ。
(中野)いいですね?はい。
どうぞ。
なるほど。
造り手のワインに懸ける思い。
そして母なるこのワイナリーへの思いがにじみ出ている。
そんな味です。
さらに言わして…。
はい。
カット。
(中野)あら。
もうですか?いや。
今の最高でした。
(中野)うまく伝わりましたかな?何言ってんですか。
映画ってのはですね見る人の心に一番深く伝わるもんなんですよ。
ねえ。
これ映画じゃないでしょ。
これでも私にとっては一番大事な作品です。
(リサ)お気に召しましたか?
(中野)懐かしい。
えっ?
(中野)あっ。
いやいや。
別に。
他に何かお持ちしましょうか?
(中野)そうですね。
では2010年のOrangeBlanc。
それから2007年のRocklandFranc。
この2つ試させていただけますか?分かりました。
(リサ)ありがとうございました。
ありがとうございました。
お世話になりました。
(中野)ああどうも。
本当においしいワインでした。
おっ。
ってことは?決めたんですか?まあね。
(朋子・結)おお!
(中野)ああ。
でもそれはよかった…。
大丈夫ですか?ええ。
だ…大丈夫です。
ちょっと失敬。
あっ。
失礼しました。
私あのう。
ちょっと心臓がね。
ごめんなさい。
ああ。
ちなみに皆さんはこれから鉄道でマンハッタンへお戻りですか?ええ。
まあこんな場所と言っては何だがせっかく3人のすてきなCAさんにお目にかかれたんだ。
今夜私がワインをごちそうしましょう。
でも…。
いやいや。
あのう。
ホテルに頼んでありましてね。
地元のおいしいワインを取り揃えておくように。
そうですよ。
試してごらんになったらいかがですか?えっえっえっえっ?そりゃ。
ねえ?行きましょうよ。
そうね。
うんうん。
よし。
決まった。
さあどうぞ。
遠慮なく。
やったー。
わーいわーい。
ちょっと忘れないうちにメモするから行ってて。
うん。
分かった。
飲もう飲もう。
えーと。
渡さない。
さすがアメリカ。
これをスイートルームっていうんですよね?ちょっと。
はしゃがないで。
わぁ。
すごい広い。
中野さんって何のお仕事されてるんでしょうね?ああ。

(ノック)あっ。
中野さんだ。
私出ますね。
うん。
はーい。
はい。
(従業員)ハイ。
ルームサービス。
おっ?あっ。
おお。
サンキュー。
(従業員)プリーズエンジョイユアナイト。
あっ。
これリサさんからお土産のワインらしいです。
リサさんから?はい。
(中野)どうもどうも。
お待たせしました。
ごめんなさい。
(中野)この辺りはいかがですか?
(一同)へえー。
わぁ。
ありがとうございます。
もうどれもおいしいワインですよ。
あっ。
中野さん。
これベンマール・ワイナリーからですって。
ベンマールから?あっ。
どうぞあのう。
お好きなものから勝手に飲んでてください。
(一同)ありがとうございます。
わぁ。
どうしようかな。
うわぁ。
どうします?白?赤?触んないでね。
触んないでね。
はい。
ハーイ。
(エンジン音)
(エンジン音)
(エンジンを切る音)
(一同)乾杯。
あっ。
おいしい。
おいしいよ美穂。
これ。
ああ。
いやぁ。
しかし今日最後に行ったワイナリーでいいワインが見つかってちょっとは肩の荷が下りたんじゃない?ええ。
でも機内に載せるには数が少ないみたいなんで。
それは何とかなりますよ。
うん。
でもまあ少しはほっとしました。
いやぁ。
いいワインに巡り合えてホントによかったですね。
何ですか。
私も自分のことのようにうれしくなってきました。
ハハハ。
いや。
それにしてもホントにいいホテルですよね。
彼氏と来たかったですね。
それわざと言ってる?でも何で別れちゃったんですか?結。
あのね。
あっちもこっちももう忙し過ぎたの。
もう話し合う時間なんて全然なかったし。
まあたとえ時間があったとしても…。
その勇気が出なかったんですよね?面と向かってちゃんと話をしてそれで断られてしまったらどうしようか。
それでなかなか勇気が出なかったんですよね?中野さんも誰かに振られちゃったんですか?振られた?ああ。
振られた。
そうね。
うーん。
まあそう言われればそうかもしれませんな。
話して楽になってください。
いや。
私の話などそれは…。
いやいや。
ぜひお願いします。
そうですか。
はい。
私は昔この辺りにワインの買い付けでよくやって参りました。
実はそこであるワインに一瞬のうちに魅了されてしまいました。
そのワインの造り手は女性の方でしてね。
もちろんそこの経営者なんですが。
ワインの魅力もさることながら正直言いまして私はその女性にすっかり魅了されてしまいました。
残念なことにこちらの願いも思いもかなわずその女性との関係は終わってしまいました。
もしかして今でもその人のこと?ええ。
忘れられません。
だったら気持ちちゃんと伝えないと。
そうですね。
でもその勇気がなかったんです。
どうしても手に入れたい。
しかし本気で手に入れようとしたら全てを失ってしまいそうで。
あっ。
何だかすっかりしんみりした話に終始してしまいましたね。
よろしかったらどうぞ。
さあどうぞ。
ああ。
じゃあいただきます。
いただきます。
うん。
ああ。
全部飲んじゃった。
楽しいですね今日は。
結。
ねえ。
起きて。
結。
あっ。
あっ。
あっ。
美穂さん。
ねえ。
朋子さんは?・
(ドアの開く音)よく見て。
中野さん?死んでるの。
えっ?イエス。
貿易業?えっ?心臓発作?
(捜査官)イエス。
えっ?すぐ戻るからホテルで待ってて。
朋子さん。
朋子さん大丈夫ですかね?そうね。
取りあえず私の部屋で連絡待ちましょう。
はい。
・美穂さん。
ハァー。
OK。
何かあったんですか?警察からで中野さんの部屋に置いてあったワインに何かが混入されてたって。
えっ!?えっ?そ…それで?私たちにも事情を聴きたいって。
出頭しろって!?ええ。
それって。
完全に疑われてますよ!私たちが?このまま出頭したら裁判で有罪になって最悪の場合。
ああっ。
何もしてないのに?美穂さん。
こっちの法律は日本とは全然違うんですよ。
無実の罪で何年も刑務所に入れられちゃう映画だってたくさんあるじゃないですか!?それは映画でしょ?まさか私たちが。
そのまさか!えっ?冤罪の悲劇はだいたいそのまさかから始まるんですよ。
じゃあどうすればいいの?こういう場合はとにかく少しでも証拠をつかむことです。
それが後で効いてきますから。
うん。
証拠?何かないですかね?ああ。
うーん。
何か。
警察が持っていたのベンマールのワインだった。
あっ。
それってフロントから届いたやつ?ええ。
それだ。
行きましょう。
美穂さん。
どこへ?ベンマールですよ。
どうして?だからこのままのこのこ出頭してったら大変なことになるんですよ。
きちんと事実を説明すれば大丈夫よ。
朋子さんは警察にいるんだし。
朋子さんが一人でかわいそうよ。
その朋子さんを救うためにも。
必要なんです証拠が。
ホントに?時間がありません。
行きますよ。
美穂さん。
行きますよ。
あっ。
かばん。
おおー。
ちょっと。
いいですからそんなの。
(亜佳里)美穂さん。
どうしたんですか?今すぐ調べてもらいたいことがあるの。
あった。
あったあったあったあった。
(亜佳里)何ですか?中野貿易の会長中野茂利さんがニューヨークのワイナリーと何か関係があったかどうか。
中野貿易は今大変なことになってると思うけど。
ヘイ。
ミスターミスターミスターミスター。
(亜佳里)今何時だと思ってるんですか?ゴーストレート。
OK…。
静かにしてよ。
お願い。
分かりましたよ。
中野貿易の会長ですね?あした朝一で調べてみます。
みんなにも協力してもらって。
あっ。
美穂さん。
チョコレート忘れないでくださいね。
(運転手)OK…。
ええ。
もちろん。
サンキュー。

(ドアの開く音)あっ。
こんにちは。
お尋ねしたいことがありまして。
(リサ)何でしょうか?昨日私たちと一緒に来た紳士のことご存じですか?あなたたちはあの人のこと知らないの?あっ。
いえ。
昨日知り合ったばっかりなんで。
そう。
あの人はねうちのワイナリーを乗っ取ろうとしてるの。
(大竹)《近いうちまた来るわ》《今度は決定権を持った上司を連れてね》中野さんが!?
(中野)《どうしても手に入れたい》そうだったんですか。
それで?CYNTHIAというワインはこちらで生産されているものですよね?そうよ。
そのワインが昨日キャッスルホテルっていうホテルにあったんです。
私が届けたから。
昨日ホテルのお客さんから注文が入ったんで。
美穂さん。
それが何か?実はそのワインで中野さんが亡くなった可能性があるんです。
あっ。
ハァー。
まさか。
ワインに何かが入っていたらしいんです。
結。
あなたたち私が何かしたって言いたいの?ああ。
いいえ。
手間暇かけて大切に育てたワインに私がそんなことするわけないでしょ。
同僚が警察に勾留されているんです。
少しでも証拠をつかみたいんです。
お願いします。
ハァー。
分かったわ。
うちのワインに何かが入れられてるなんてあり得ない。
あったとしてもホテルで誰かが細工したとしか考えられない。
ホテルにあったのは2010年のCYNTHIAでした。
2010年?ええ。
私が届けたのは2012年よ。
でも部屋にあったのは…。
確かに2010年でした。
(リサ)12年のCYNTHIAは最高の出来だったの。
だから昨日は12年のものをホテルに届けたわ。
こちらのワイナリーはどこに卸していますか?生産量が少ないので1店舗だけ。
どこですか?ブルックリンのグルメ・ギルドよ。
あなたたちに会った店。
グルメ・ギルド。
美穂さん。
何かつながってますね。
取りあえず行ってみましょう。
何か分かるかも。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
まずはここ。
イエス。
ハァー。
どうすれば?《あっ。
美穂さん。
私この辺の街並み撮ってきていいですか?》《はいはい。
映画監督さん。
お好きにどうぞ》監督!はい?あっ。
あれはウィリアムズバーグ銀行っていうらしいですね。
おっきいですね。
はい。
どーん。
結ちゃんでーす。
自撮りって難しいな。
こっちか?こうだ。
もう先輩たちは食い気ばっかり。
何やってんですか?もう。
私は行きたいとこがいっぱいあります。
いた!うわー。
楽しみだな。
ここ。
止めて。
はい。
お医者さん?ですよね?確か学会のためにボストンに行って日本に帰ったはずじゃ?何でグルメ・ギルドに?・
(ドアの開く音)そうだ。

(英語)あっ。
ちょっ。
逃げましょ。
えっ?逃げましょ。
早く。
ちょっとしゃがんでしゃがんで。
嫌だー。
(英語)えっ?ホントにこっちでいいの?はい。
こっちで大丈夫です。
こっちですよ。
あっあっ。
美穂さん。
美穂さん。
美穂さん。
駄目。
もしもし?もしもし?メグ?あっ。
はい?美穂さん。
おはよう。
あのお医者さんのことなんだけど。
(めぐみ)あっ。
広田さん?彼が今何してるか分かる?
(めぐみ)連絡してますけど返事が来ないんですよねぇ。
彼のSNSとか見られる?
(めぐみ)えっ?まさか美穂さん好きになっちゃったんですか?いいから。
ねえ?見られるの?美穂さん。
こっち。
こっちこっち。
(めぐみ)あっはい。
昨日上がってるのはボストンから日本に帰りますって記事ですね。
って。
えっ?あれ?何?
(めぐみ)あっ。
っていうかこれって私が昨日乗ってた便です。
もしかしてコードシェア?じゃあ昨日会ってるの?えっ?いえ。
乗ってませんでしたよ。
見落としたとか?美穂さん。
私だってCAの端くれですよ?お客さまの顔しっかり見てサービスするよう心掛けてますから。
しかも運命の人だもんね。
見落とすはずないか。
(めぐみ)そうですよ。
じゃあ悪いんだけど。
彼が何の便に乗ったか調べてくれる?
(めぐみ)ええ。
いいですよ。
美穂さん。
美穂さん。
こっちです。
ああー!
(めぐみ)美穂さん!?あっ。
ああ。
いやー。
怖かったですね。
いや。
でも美穂さんがあんな足速いなんて思いませんでしたよ。
あっあっあっ。
あっ。
駄目だ。
美穂さん逃げましょ。
えっ?行きましょう。
ニューヨークって警察官多いですね。
うーん。
たぶんあんまり日本と変わらないんだろうけど。
私たちが意識し過ぎちゃってるせいね。
逃亡者ですからね。
やめてよ。
あっ。
えっ?警察!?あっ。
違う。
もしもし?メグ?美穂さん。
広田さん日本に戻ってます。
いつ?
(めぐみ)分かりません。
ボストン便には乗ってなかったのに。
(めぐみ)しかも驚いたことにうちのニューヨーク便で引き返してますね。
ニューヨークに引き返した?
(めぐみ)はい。
どういうこと?
(はるか)それって美穂さん?
(めぐみ)うん。
(はるか)あっ。
代わって。
美穂さん。
はるかです。
中野貿易の重役に亜佳里の知り合いがいたんで話を聞くことができました。
それで何か分かった?美穂さんの言うとおり中野茂利さんはニューヨークのワイナリーと深い関係がありました。
どこの?えっと。
ベンマール・ワイナリーというところです。
やっぱり。
それで中野さんはそのワイナリーを買い取ろうとしたのよね?いえ。
むしろ逆です。
買収しようとしたんじゃなくて?
(亜佳里)中野さんはベンマール・ワイナリーに資金援助しようとしていたみたいですよ。
会社としてではなく個人の資産で。
えっ?
(歩)あっ。
ちょっと代わって。
それから中野さんの体のことなんですけど。
中野さん心臓が悪くていつ万が一のことがあってもおかしくない状況だったみたいです。
そう。
あっ。
そうそう。
今日のニューヨーク便で息子さんがそっちに向かったらしいですよ。
遺体の確認をしに。
息子さんがいるの?ええ。
お医者さんで病院を経営してるらしいんですけど。
その病院今経営が傾いちゃってるみたいなんです。
医者?
(歩)そうなんですよ。
これが結構な二枚目でネットで調べたら写真があったんで思わず携帯で撮っちゃいましたよ。
(歩)あれ?どういうこと?
(めぐみ)あっ。
美穂さん。
運命の人です。
広田さんが中野さんの息子さん?美穂さん。
広田さん昨日中野さんが亡くなったころ飛行機の中から投稿してますね。
えっ?広田さんは飛行機に乗ってたからホテルでワインに細工をする時間はなかったということになります。
あれ?どうしたんですか?まだですかね?遺体の確認に時間がかかってるみたい。
あっ。
あのう。
昨日グルメ・ギルドに忘れたカメラ今取りに行ってきていいですか?えっ?今回の旅の思い出がぎっしり詰まった大切なカメラなんですよ。
すぐ戻りますから。
うん。
いってきます。
(はるか)《中野茂利さんはニューヨークのワイナリーと深い関係がありました》《ベンマール・ワイナリーというところです》
(歩)《今日のニューヨーク便で息子さんがそっちに向かったらしいですよ》
(めぐみ)《美穂さん。
運命の人です》・
(サイレン)おとといのニューヨーク便で。
ああ。
このたびは…。
少しよろしいですか?よかった!OK!OK!あっ。
もしもし。
広田さんが中野さんの息子さんだったなんて。
(広田)父が色々連れ回してしまったみたいで申し訳ありませんでした。
広田さんというお名前は?ああ。
僕は母の連れ子で広田という名前は亡くなった母の姓です。
じゃあ中野さんとは?父は貿易の仕事が忙しくてニューヨークに来てばっかりで。
あまり会うことがありませんでした。
リサさん。
リサさん。
開けてください。
あっすいません。
失礼します。
(リサ)えっ?ちょっと。
あっ。
リサさん。
これ借りますね。
いいですけど。
あのう。
何を?ああ。
とにかくこれを見てください。
いちごあげます。
はい。
あれ?あああ。
ああ!?これじゃない。
これじゃないこれじゃない。
すいません。
すいません。
広田さんはニューヨークに着いた翌日日本に戻られたんですよね?
(広田)ええ。
アメリカン航空の機体でした?ええ。
アメリカン航空ですから。
本当に?はい。
アメリカン航空8475便は機体も乗務員も日本航空のもののはずなんです。
なぜならコードシェア便だから。
コードシェア?提携している航空会社がまったく同じ便に別の便名を付ける場合があるんです。
ボストン発成田行きアメリカン航空8475便はアメリカン航空という名前が付いていますがJAL7便でもあって機体は日本航空のもののはずなんです。
ああ。
外からは見てなかったな。
失礼。
ちなみにビジネスクラスですか?ええ。
そうですか。
ビジネスクラスにはニューヨーク行きでアテンドさせていただいたうちのCAがいたはずなんですが。
あっそうだ。
僕はボストンの空港で写真を撮ってそれを飛行機の中からSNSで投稿しました。
それはニューヨーク発成田便ではできますがボストン発成田便ではできないんです。
なぜ?ボストン便に使用されている機材にはまだWi−Fiは搭載されていないからです。
インターネットの設備がないため投稿はできないはずなんです。
ニューヨークに到着した日の翌日昼の便でニューヨーク発成田便に乗ってうちとのコードシェア便アメリカン航空8475便が上空を飛んでいる時間帯にSNSに記事を投稿したんじゃないですか?アリバイをつくるために。
証拠は?これはベンマール・ワイナリーのワインです。
見覚えはありますか?さあ。
お父さまが大好きだったワインですよ。
ご存じのはずです。
だって広田さん…。
ボストンに行ったと見せ掛けてわざわざこれを買うためにニューヨークのグルメ・ギルドに行ったんですもんね。
グルメ・ギルドでこのワインを買って細工をして何かを混入させて…。
リサさんに電話をかけて届けさせたワインとすり替えた。
お待たせしました。
(中野のせきばらい)
(中野)リサさん。
実は君のお母さんシンシアのことについて話をしておきたいんだ。
お母さんは君が5歳のときに残念ながら亡くなられた。
しかしこれは全て私の責任なんだ。
私と交わしたワイン取引上の厳しい契約条件を果たすためにまさにお母さんは寝食を惜しみ昼夜の別なく働き過ぎてしまったせいなんだ。
(中野)その後君は立派に成長し今やベンマール・ワイナリーの経営者として後を継ぎ懸命に働いていることを知って私はもう居ても立ってもいられなかった。
(中野)なぜなら…。
シンシアとこの私との間に君は生まれた子だからだ。
(キーを押す音)私のお父さん?いまさら私とシンシアのことを君に話をしたとしても果たして君がそれを理解し許してくれるものかどうか大いに迷った。
いやいやいやいや。
その勇気がなかった。
(リサ)《自己紹介してなかったですよね》《リサ・アンダーソンです》
(中野)でもリサ。
どうか安心してほしい。
私は君に私の財産を贈与することに決めた。
どうかそれを元手にお母さんが愛したこのワイナリーを守り続けてほしい。
立ち直ってもらいたいんだ。
そしていつの日にか今度は正々堂々と父親として一人の人間として君の経営するワイナリーを訪ねたいと思う。
それからもう一つ大事な話を聞いてもらいたい。
リサ。
実は君には誠二という兄さんがいる。
ここからは推測ですが病院の経営に行き詰まったあなたは援助を求めるために中野さんを訪ねた。
でも中野さんはそのお願いを聞き入れなかった。
それどころかニューヨークのワイナリーに多額の寄付をすると言いだした。
あなたが困っているのに見ず知らずの人間に父親の資産が渡ってしまう。
あなたはそのことがどうしても納得できなかった。
僕のこと本当に息子だと思ってたのかな?僕とは少し距離を置いて壁をつくってるような。
(広田)もうよろしいですか?中野さんは本当に思いやりのある方でした。
ちょっと不器用なところがあったから気持ちをうまく伝えられなかったかもしれないけど。
きっとあなたのことも心から気に掛けていたはずです。
あなたに何が分かるんですか?分かります。
どうして?キャビンアテンダントですから。
えっ?お客さまが何を思って何を必要としているか?接した瞬間に感じ取ることができなければこの仕事は務まりません。
ですから中野さんとご一緒させていただいて中野さんの人柄や思いはじゅうぶんに理解したつもりです。
だからあなたのことも。
父が長くないことは分かってました。
でもそれまで待てなかった。
それであなたは…。
(中野)ベンマール・ワインは年を重ねるごとに熟成され芳醇な香りを放つ。
一方の私はどうだ?
(中野)Oldsoldierneverdie,justfadeaway.「老兵は死なずただ消え去るのみ」ねえ?リサ。
後は頼んだよ。
どうか元気でな。
(中野)元気で。
(中野)おおー。
寝てしまったか。
無邪気なもんだ。
あなたが殺したんですね?これからどうされますか?警察に行きます。
ご一緒します。
ありがとう。
では。
あなたは本当にキャビンアテンダントですか?ええ。
ただのキャビンアテンダントです。

(ドアの開く音)美穂。
朋子さん。
怖かった。
よかった。
心配かけたわね。
ううん。
ホントによかった。
ごめん。
あっ。
それより中野さんの死因なんだけど。
えっ?えっ!?中野さん自然死だったんですか?うん。
警察にいるときに思い出したの。
《では次は私が。
はい》
(中野)《いやいやいや》《私は結構です》《えっ?》《いや。
今医者から酒を控えるように言われてるんですよ》《ああ。
ああそっか》《だからワイナリーでもテイスティングしかされなかったんですね》《ええ》中野さんはあの夜ワインを飲んでなかったって。
《私も自分の思いちゃんと伝えればよかったな》
(中野)《でもそれはしかたがないでしょう》《そういう運命だったんですから》《中野さんの方は?どうだったんですか?》《結局最後まで思いは伝えられなかった。
今日だって》《うん?今日?》《ああ。
いやいや》《思いを伝えるということは相手が好きな人であろうと家族であろうといつでも難しいもんだ》《でも伝えた方がいいですよ》《まあそうは言ってもねうまく伝えられる自信がない》《そうだ。
映画ですよ》《映画ってのはですね見る人の心に一番深く伝わるもんなんですよ》《中野さんの今の気持ち撮影しておきましょうよ》《ほら。
直接言うのは恥ずかしいし勇気がいるけどでもビデオだったら大丈夫ですよね?》《まっ。
まあそれはそうかもしれないね》それであのメッセージを。
まあ撮りながら寝ちゃったんだけどね。
それにしてもあの日に亡くなるなんて。
いつ何が起こってもおかしくない状態だったらしいしもしかしたら最後に思いを伝えることができて満足したのかもしれない。
それで自首した広田さんはどうなるんですか?何かの罪には問われるみたい。
そうですか。
鑑識の結果ワインから検出されたのはトフィゾラムって薬だったらしい。
どんな薬なんです?普通は鎮静剤として使用されるみたいなんだけど心臓を患った人間が服用すると死に至る場合もある。
ただ…。
ただ?その場合は眠るように亡くなるとか。
こっちでは安楽死の際に使われることもあるみたい。
そんなところで優しさ見せたってね。
(リサ)あのう。
さっき日本から連絡があって中野さんの遺言状が見つかったらしいです。
何て書いてあったんですか?「きょうだい2人広田さんと私で遺産を均等に分けるように」って。
やっぱり広田さんにも遺産を残すつもりだったんですね。
(中野)《リサ。
実は君には誠二という兄さんがいる》《私は仕事にかまけて誠二と正面から向き合ってくることができずに今日までやってきた》《すまないと思ってる。
後悔しているよ》《しかし誠二が医者になったときは本当にうれしかった》《これからは兄さんと2人手を取り合って力強く新しい人生を切り開いてくれ》
(リサ)もっと早く会えればよかった。
兄さんに。
リサさん。
これからどうされるんですか?ベンマール・ワイナリーを守り続けます。
母と。
そして…。
父が愛したワイナリーですから。
リサさん。
Everythinghappensforareason.えっ?「全てのことには理由がある」何かあったとき私はいつもこの言葉を思い出すようにしてるんです。
「全てのことには理由がある」ええ。
サンキューソーマッチ。
ハロー。
(大竹)ああ。
大竹ですが。
そろそろ契約書にサインの方を。
サインはできません。
(大竹)いつまでもそんなことを。
資金ならできたのでご心配なく。
状況分かってんのかな?そういう態度を取るなら今うちと結んでいる年間100ダースの買い取り契約を解除せざるを得ませんよ。
(リサ)どうぞ。
ご自由に。
(大竹)はっ?
(リサ)ちょうど私もそのことお伝えしようと思ってたんです。
100ダース他に卸すことになったんで。
どういうことだ?
(リサ)上司の方にくれぐれもよろしくお伝えください。
(通話の切れる音)
(不通音)・
(スタッフ)リサ。
(リサ)カモン。
いい天気だね。
さあ今日は私に付き合ってもらいますよ。
さあ行きましょ。
行きましょ。
ちょっと。
走んないの。
結。
さあ5番街ですよ。
Eの57ストリートといえば?分かりますよね?分かりますよね?ジャーン。
朋子さん。
撮っててもらえます?えっ?お願いします。
早く早く早く。
いいですか?いいですか?いきますよ。
用意。
アクション。
あっ!?あっ!?ちょっと!ちょっとちょっとちょっと。
何やって…?えー。
美穂とティファニー。
大きい!サンキュー。
わあ!ほら。
サンキュー。
バーイ。
あのですね。
あっちあっち。
どこだっけ?たこ焼きの。
たこ焼き。
たこ焼きなんてあったっけ?えっと。
たこ焼きのにおいがしたんですよ。
あれ?どこだっけ?においがしたんですよ。
これもおいしそう。
いやぁ。
それにしても大変でしたね。
まあね。
思ったんですけど私たちCAが集まれば今回みたいに事件とか解決できちゃうんじゃないですか?そんなわけないでしょう。
ほら。
いつまでもしゃべってないで。
準備できたの?
(結・美穂)はい。

(一同)おかえりなさい。
おかえりなさい。
どうだった?ただいま。
(一同)おかえり。
大変でした?お疲れさまでした。
(杉野)はいはい。
バス待ってるわよ。
(めぐみ)朋子さん。
お疲れさまです。
疲れたなんてもんじゃないわよ。
それにしても朋子さん災難続きですね。
そうよ。
まさか警察で取り調べを受けるなんて。
うん?今何て言った?えっ?災難続き。
あっ。
今回の災難は分かるわよ。
でも続きってどういうこと?あっ。
あのう。
今度合コン行きません?あのね!行く。
行きましょう!OK!
(はるか)で美穂さん。
正直どうでした?何が?
(はるか)逃亡者になった気分は。
あのね結局こうして帰ってこれたからよかったものの真犯人が捕まってなかったら今ごろまだ逃げてたかもしれないのよ。
(はるか)やっぱりスリルありました?憧れちゃうんです逃亡とか。
逃げてる最中に恋に落ちちゃったらもう最高じゃないですか。
(歩)それで美穂さん。
ワイン決まりました?ええ。
(歩)どのワインにしたんですか?これよ。
(歩)2012年CYNTHIA?ええ。
どんなワインなんですか?いろんな思いが詰まったワインよ。
(歩)なるほど。
でもホントよかったですよね。
100ダースも卸してもらえることになって。
うん。
(亜佳里)あっそうだ。
美穂さん。
チョコレート買ってきてくれましたよね?あっ!?忘れてた!えーっ!?もう美穂さん!ごめん。
大丈夫大丈夫。
(亜佳里)大丈夫ってどういうことですか?あんなにグルメ・ギルドに行ったのに。
今度パリとかロンドンとかヘルシンキとかでおいしいもの買ってくるから。
(亜佳里)あそこのチョコレートは格別なんですよ美穂さん。
うーん。
ごめん。
すっかり忘れてて。
2014/07/07(月) 21:00〜22:48
関西テレビ1
スペシャルドラマ キャビンアテンダント刑事〜ニューヨーク殺人事件〜[字]

国際線CAがステイ先のニューヨークで事件に巻き込まれるトラベル・ミステリー。
CAにしか解けない事件の秘密とは?タイムリミットは3日間!

詳細情報
番組内容
 国際線キャビンアテンダントの斉藤美穂(深田恭子)は、会社からニューヨーク路線限定で乗客に提供するワインを探すという仕事を任される。あまり酒に強くない美穂は、同じ便に乗務するグルメでソムリエ資格を持つ先輩の速水朋子(吹石一恵)と新人の渡部結(瀧本美織)を巻き込み、ニューヨーク滞在中に郊外のハドソン・バレーという場所でワインを探すことになる。
番組内容2
 訪れたワイナリーで偶然、知り合った老紳士の中野茂利(宝田明)も加わり、ワイン選びは順調に進んでいるように見えたが、美穂たちは予想だにしなかった殺人事件に巻き込まれてしまう。
 日本語が通じず日本の法律も通用しないニューヨークで、事件の真相を探るべく、ボストン便に乗務した藤澤めぐみ(すみれ)や、仲間の木元亜佳里(水原希子)、真野はるか(佐々木希)たちに協力してもらい、殺人事件の真相を探っていく…。
出演者
深田恭子 
吹石一恵 
瀧本美織 
すみれ 
水原希子 
佐々木希 
西山繭子 
高橋メアリージュン 
松島花 
宇佐美菜穂 
ホラン千秋 
要潤 
宝田明 

ほか
スタッフ
【脚本】
宇田学 
金沢達也 

【プロデュース】
関口大輔 
古郡真也(FILM) 

【演出】
長瀬国博(FILM) 

【制作】
フジテレビ ドラマ制作センター 

【制作協力】
FILM 

【撮影協力】
日本航空

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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