(伊村武史)では重役。
お気をつけて。
(本宮恒夫)ああすぐに戻るよ。
(伊村)いってらっしゃいませ。
(貝塚良江)うわー…!ねえ智ちゃん来て来て!すごいわよ!どうしたの?
(水原智彦)いや…。
なに汗なんかかいちゃって。
…あわかった。
智ちゃん私を突き落とそうとしてたんでしょ?なに言ってんだよ…!?俺高い所苦手なんだよ!!ウフフッ…!冗談に決まってるでしょ!逆玉の話…嫉妬してると思ってんの?心配しないで。
邪魔したりなんかしないから。
私は今のまんまでいいの。
だって私…智ちゃんのことだーい好きだもん。
どうぞいい奥さんもらってうーんと出世して。
でも私…この子だけは産むわよ。
(銃声)クッソォ…!
(良江)またはずれ?うるせーな!お前メシの支度でもしてろよ!はいはい…じゃ水汲んでくるわ。
おかず用にゾウかライオンでもしとめておいて。
・
(女性たちの声)わかんないよ。
自分で読んで。
・
(銃声)何の音だろ?今何か音したよね。
うん…でもここは狩猟地域だからハンターとか入ってるみたいよ。
えー危ないね!…あら!ねえねえ!今意外な人に会っちゃった!…どうしたの智ちゃん?
(水原)帰るんだよ!えーせっかくご飯炊くつもりで…。
いいからっ!!早く荷物まとめろっ!!
(水原)貸せっ!!
(良江)待って!どうしたの!?佐々木先生の山荘へちょっと…。
佐々木先生とはあの代議士の?
(伊村)はい。
すみません社のほうに一報入れたいんですけど…。
けっこうですよ。
(相川会長)ああ伊村君か。
私だ。
…なに!?トランクがなくなった!?はい。
私110番よりも先にまずトランクを…。
くまなく辺りを捜したんですが…。
どこか離れたとこに落ちてるんじゃないのか!?もっとよく捜してみなさい!1億だぞ!?1億の現金だぞ!?
(伊村)「でも現場周辺を調べた警察の捜査でも見つかってません」「警察には本宮重役は手ぶらで佐々木先生の山荘へ向かったと答えておいたんですが…。
こうなると会長…今のうちにトランクのことは言っておいたほうがよろしいのでは…?」いや…それはならん!佐々木先生にご迷惑がかかる!手ぶらの線で押し通すんだ!金は…金はあきらめる。
トランクは最初からなかったことにするんだ。
いいな?
(有吉達志)何かアクシデントかね?なに先生…ちょっとした事故ですよ。
(パトカーのサイレン)滑りますから気をつけてください。
(棟居弘一良)第一発見者は?被害者の部下の方が様子を見に来て発見しました。
その人は今?下で聴取してます。
本宮恒夫とは2度目の対面だった
おい。
ありがとう。
私が桐子の父・本宮恒夫と初めて会ったのはひと月前のことだった…
(本宮桐子)〔こういうふうに父と会うの10年ぶりなんです〕〔…どうして?〕〔意見の衝突。
音大に行かせて私をピアニストにしたかった父と高3の夏突然焼き物の世界にとりつかれちゃった私と〕〔それで家出…ねっ?〕〔よさないかそんな話〕〔棟居さんがご迷惑だよ〕〔いえそんなことは…〕〔お父さん。
棟居さんは山登りもなさるのよ〕〔山登りがお好きですか!いやーそりゃあいい!〕〔じゃあ今度3人で渓流釣りに行きませんか?〕〔渓流釣りですか〕〔実にいいですよ渓流釣りは!〕〔なんと言いますかね…人と自然との対話といいますか自然の中に人が…〕
(笑い)〔…ほら始まった!棟居さん黙って聞いてたら大変よ〜〕〔死んだ母なんて父の釣り自慢が始まるといつも台所に逃げ出してたぐらいなんだから〕〔そうだったなぁ…いつまでも帰ってこないんで見に行くと床の上にちょこんと座って居眠りしてた〕〔そうそうそういう人だった〕〔そうだったなハハハ…!〕〔…ごめんなさい。
こんな内輪のこと〕〔あいや…親子っていいもんだなあと思って〕〔10年間のブランクがあってもこうやっていっぺんに溝が埋まってしまうもんなんですね〕〔あ…いやいや…〕〔棟居さんは小さいころにご両親と別れて…〕〔いえ!〕〔…捨てられたんですよ。
昔話です〕〔すみません…こんなときに変なこと言って…〕〔いえ…〕〔…お酒ないわね〕〔ああ〕〔鉄道会社の重役さんと伺いましたがどちらの?〕〔あっと…これは申し遅れました〕〔役員と言いましても名ばかりでしてね〕〔部長職兼任の平の平です〕〔北日本鉄道…北鉄ですか〕〔何かと話題の多い会社で肩身の狭い思いをしてるんですが…〕〔さあさあどうぞどうぞ〕〔7年前のあの事故は大変でしたねえ〕〔…大丈夫です〕〔北海道新北鉄線…土砂崩れで100人近い犠牲者が出たんでしたっけ?〕
(テーブルをたたく音)〔棟居くんっ!!…もし私に言いたいことがあるのなら正面からはっきり言ってくれないか!?〕〔はい…?〕〔お父さん…棟居さんはなにも…〕〔責任は感じている…!ケジメはつける!〕〔しかしこんな…こんな席で言うことはないでしょう!〕〔お父さん…!〕〔…帰る!〕〔…お父さん!?〕〔待ってよ!ねぇお父さん!〕〔お父さん…当時はどんなポストにいたの?〕〔えっ…?〕〔あの事故には当時から疑惑があった〕〔天災ではなく人災ではなかったか…〕〔手抜き調査が生んだ悲劇じゃなかったのか…〕〔でもそれは…〕〔事故現場は前々から土砂崩れの危険が指摘されてる地点だった〕〔新聞は北鉄がそれを無視したために大惨事につながったと書いた〕〔いいえ!あの記事は事実誤認だったと新聞はあとで謝罪訂正記事を出しています!〕〔しかし…〕〔離れてはいたけれど父の会社のことなので私新聞は丹念に読みました!〕〔国会の特別調査委員会でも帝都工大の地盤工学の権威有吉教授の調査が事前になされていたことがわかってその報告書が証拠として提出されています〕〔あの事故は現代科学では予測不可能だった〕〔だから会社側には何の責任もなかったとはっきり結論が出たはずです!〕〔棟居さん…今日の父は失礼だったと思います〕〔不愉快な思いをさせて申し訳なかったと思います〕〔父に代わっておわびします。
…でもこんな日に7年前の事故を話題にしなくてはいけなかったんですか?〕〔いや…〕〔今日私は10年ぶりに父と会ったんです〕〔あなたを紹介して父も機嫌よく釣りの話までしてくれて…〕〔ああよかった…これで仲直りできる〕〔あなたも気に入ってくれたって…〕〔それがこんなことになって…私…すごくみじめな気持ちです〕〔…すまなかった〕〔父はせっかくの楽しい席であんな話はしたくなかっただけだと思う…〕〔父は昔から潔癖で正義感の強い人だからあの事故のことは会社の一員として責任を受けとめていてそれであんなに…〕〔しかし…それにしては反応が過剰じゃなかったか〕〔なんだか少し変だった…〕〔…もうやめて!私は父を信じています!〕〔棟居さん…あなた刑事という仕事を忘れるときはないの?〕
あの夜のことは今もって納得がいかない
結局桐子ともあれきりになった…
(銃声)ライフルで胸を1発…ほとんど即死でしょう。
おそらくハンターの誤射による事故だと思います。
このシーズンにはときどきこういうことがあるんですよ。
名乗り出たハンターは?それはまだありませんが…。
心臓から入った弾が肩甲骨の下から抜けている…。
・
(柾枝刑事)警部補ちょっと!靴跡からしますと…こういう姿勢で撃ったことになりますね。
おいちょっと!誰か撃たれた場所に立ってくれないか?・はーい!だとすると妙ですね…ここからはガイシャの姿が丸見えだ。
動物と見間違えて撃ったというのは無理がありますね。
それにこっちは隠れて撃ってる。
失礼ですが…本件を殺しとお考えで?いけませんか?靴跡が今日のものでなかったら今の推理は成立しませんよ。
この靴跡が今日のものでないという根拠は?ライフルならば薬莢が落ちてるはずですがそれがない。
撃った当人が持ち去ったとしたら?・柾枝さん!おう。
下で奇妙な痕跡を見つけました。
(柾枝)おうわかった。
あこれです。
何か重いものが当たった跡みたいですね。
しかし何も落ちてませんでしたよ。
そもそもガイシャはなんで林の中を歩いてたんですか?ええ…この先に元大臣の佐々木吉丸の山荘がありまして被害者の部下の話ですとそこへ挨拶へ行くところだったそうです。
佐々木銭丸か…あんまりいい噂を聞かない人物だな。
もしかしたらそこに手みやげを…。
失礼ですが警部補…飛躍がし過ぎやしませんか?部下の人は被害者は何も持ってなかったと言ってますが。
同じ会社の人間でしょ。
僕ならそんな話鵜呑みにしませんけど。
遺体の位置から少し離れてますなあ。
着弾のショックで放り出したとしたら?
(銃声)…というと警部補のお考えでは?ホトケさんは佐々木山荘にヤミ献金を運ぶところだった。
そこを…。
お言葉ですがこの痕跡も今日のだっていう証拠はありませんよ。
「クラブ扇銀座」…まあこれもいつのものかわかりませんけど。
(うめ)桐子さん。
ありがとう…。
家を出て焼き物の世界に入って初めて気に入った壷ができたとき父に送ったの。
父はあんなものたたき割ったって言ってたけどこうしてちゃんと取って置いてくれていた。
うめさんの話では父は毎日この壷を大事そうに磨いててくれたんですって…。
キレイでしょ。
全部父が作ったのよ。
子どものころどうしてもあの毛針が欲しくなって父にせがんで一番キレイなのをもらっちゃったの。
ブローチみたいにしてここに付けて学校に行ったわ。
クラスのみんながうらやましがった…。
キレイだね…すごいお父さんだねって…。
その毛針…今でも大切にとってあるのよ。
桐子…俺は7年前のあの事故の記録を調べてみたんだ。
お父さんは技術調査課長であの地質調査の実質的な責任者だった。
…まだそんなことを!?誤射なんかじゃないんだよ!俺にはお父さんの死が事故死とは思えないんだよ!7年前の事故が関係してる気がして仕方ないんだ!じゃあ父は誰かに殺されたと思ってるの?あなたは父を知らないからそんなことを言うのよ…!私はよくわかってるわ!父はね正直すぎるぐらいにバカ正直で律儀で曲がったことが大嫌いで恨みを買うような人じゃないの!…あの事故なんかなんの責任もないのよ!もし自分の責任で98人もの人が死んだってことを知ったら…生きてることさえもできない…!父はねそういう人なのよっ!本宮さん…あんたを撃った犯人を俺は必ず捕まえる。
どうして…?どうしてそんなことを言うのよっ!?よりによってこんなときに!あなたは…刑事でないときはないの…?帰って!!…帰ってよ。
(泣き声)桐子のお父さん…!?おい…なんかコゲくせーぞ。
アチィーッ!!智ちゃん…。
なに?知ってる人のお父さんが撃たれて死んだの!しかも私たちが行っていたあの山で!誰が撃ったのかしら…?智ちゃん何か見てない?私ね…。
どうした?ううん…なんでもない。
ちょっと気になることが…。
関係ないとは思うけど…。
お待たせしました。
本宮重役付きの部下で伊村と申します。
棟居と申します。
…どうぞ。
早速ですが2〜3お尋ねしたいことがあります。
はいどうぞ。
あなたは昨日西多摩署の調べに対して本宮さんは手ぶらで佐々木山荘へ向かったと言われたそうですが…。
ええそれが?本当に何も持っていなかったんでしょうか?ええ。
山の斜面からこのトランクが見つかりました。
カギが壊されて中にはなにも入ってませんでした。
指紋は全部ふき取られてましたが中にいくつかの消し忘れがありました。
すべて本宮さんの指紋です。
すみません…場所を変えてもよろしいでしょうか?申し訳ありませんでした。
昨日は会社に言われて嘘を言いました。
しかしこうなったからにはもう会社がどう言おうと本当のことを話します。
お願いします。
本宮重役は…1億円のヤミ献金を運ぶ途中でした。
もしかして…その金で何かをもみ消してもらおうとしたんですか?…とおっしゃいますと?いや…もしかしたら7年前のあの大事故と何か関連があるんじゃないかと思いまして。
…なぜそんなふうに思われるのですか?生前本宮さんはあの事故のことをかなり気にしておられたと。
しかしあの献金は7年前の事故とは全く関係ありません。
今北海道に計画中の新鉄道線の認可を1日も早く取り付けるためのものでした。
その金を運ぶのを知っていたのはどなたとどなたですか?社のトップシークレットです。
相川会長と本宮重役と私…。
社内ではこの3人しか知りません。
社外では佐々木吉丸先生と青木秘書の2人だ…。
そういえば…有吉教授にも知られてしまいました。
有吉教授って…あの有吉達志教授?はい。
教授はうちの技術顧問なのでときどき地質調査の打ち合わせに来られるんですが…。
(伊村)昨日もばったり出会ってしまって…。
〔有吉教授おはようございます〕〔おはよう〕〔本宮君…これは西多摩じゃないだろうね?〕〔いえ品川です。
開発部のほうで急に現金が入り用になったので〕〔それならいいが…。
君らが西多摩の佐々木代議士にヤミ献金をしようとしてるという噂を聞いたものだからね〕〔私はそういうスキャンダルが嫌いだ〕〔もしも会社が不正な裏工作を働くようなら私は今後一切君らの地質調査から手を引くよ〕〔もちろん承知しております〕〔わかっていればいい。
…ああ会長は上だね?〕〔はい。
先ほどから上でお待ち申しております〕〔そうか。
じゃあ失敬〕
(伊村)〔ご苦労さまです〕〔やっこさん学長選が近いんでピリピリしてるんですよ〕〔どうにも好きになれませんね〕〔フッ…行こうか〕〔はい〕本宮さんは7年前の事故とは正確にはどうかかわってたんでしょうか?本宮重役は当時技術調査部の担当課長で在来線の沿線地質調査の実質的な責任者でした。
7年前のあの事故が不可抗力なもので会社に当事者責任はないと判定されたのは本宮さんが帝都工大の有吉教授に依頼していた完璧な事前調査…いわゆる「有吉報告書」があったからこそだったんです。
だったら本宮さんはなぜそんなに責任を感じてたんだろう…?さあ…そこまでは私にも。
ただ…。
ただ?昨日のことでちょっと気になったことが…。
〔通行止めか…〕〔これでは今日は無理ですね…会長に相談してみます〕〔なに崖崩れ?…ちょっと待て。
教授が代わると言ってる〕〔…マズイですよ!有吉教授がまだいます〕〔強引に電話を代わったらしくて…〕〔…代わろう〕〔本宮でございますが…〕
(有吉)〔「本宮君やっぱりそっちへ行っていたんだな」〕〔「君は嘘をついたのか?さっきも言ったが私は不正が大嫌いだ」〕〔「その金を持ってすぐこっちへ戻りたまえ!」〕〔「本宮君聞いてるのか?」〕
(電話を切る音)〔重役…!〕〔もしもし佐々木先生の山荘でございましょうか?〕
(青木秘書)〔あー本宮さん。
どうもご苦労さまです〕〔ええ先ほどから先生もこちらで…〕〔えっ崖崩れ?で歩いて?…大丈夫ですか?〕〔…はいそれではお待ち申しております〕
(電話を切る音)〔重役…歩いて行ったら1時間半はかかりますよ〕〔いやこの上に近道がある。
それを行けば30分で着く〕〔しかし…〕〔これは私の独断でやる〕〔嫌な役目だが…これが今の私の職務だ〕〔重役…〕〔伊村君…これが終わったら私は辞表を書くよ〕〔ひと月ほど前に家を出ていった娘と10年ぶりに会ってね…〕〔そのときに娘の亭主になる男から7年前の事故のことについて非難されたんだ…〕〔98人もの人間を死なせてしまったんだろうってね…〕〔正直こたえたよ…〕〔じゃ君ここで待っててくれ〕そうですか…本宮さんそんなふうに…。
いい方でした…。
うちの社で尊敬できる唯一の上司でした。
こんなことになってしまって…本当に残念です。
あなたは…今回の事件どう思われますか?…わかりません。
重役は人に恨みを買うような人ではありませんでしたから。
伊村さん…私もいくつか腑に落ちないことがあります。
しかし企業内の調査というのは例え警察でも外部の者にはなかなか難しい。
お手伝いしていただけるとありがたいのですが…。
わかりました!本宮重役のためにも何かお力になりたいと思います。
何でもおっしゃってください。
(明石刑事)その伊村って男信用できるのか?伊村はガイシャが撃たれた時間たまたまハイキングに来てた女子大生に頼まれ8ミリビデオに一緒に映ったと言ってます。
西多摩署がその女子大生からビデオを借りてきました。
(女子大生)「すいませーん!今何時ですか?」「…11時20分です」そして11時23分…本宮さんが撃たれた瞬間です。
(銃声)なるほど文明の利器か…完璧なアリバイだ。
(吉本刑事)電話の話も本当ですね。
伊村が車からかけた自動車電話の明細です。
11時9分3秒から北日本鉄道本社の会長室直通電話と2分13秒間話してます。
こっちも裏が取れたってわけだ。
…ということですね。
だがな棟居まだ殺しと断定されたわけじゃない。
西多摩署ではあくまでも事故と殺しの両面捜査だ。
先走るなよ。
…ええ。
ありがとう。
もしもし本宮ですが。
貝塚?…良江さん!?高校のときテニスで一緒だった?懐かしい〜!…でもどうしたの?ごめんなさい…お父さまがあんなことになって大変なときだってことはわかってるの。
…でもそのお父さまのことでどうしてもお話したいことがあって…。
父のことって…なに?実は私…あの日あそこにいたの。
あそこって…あの山にあなたが?どうして…?父のことって…なに?実は私…あの日あそこにいたの。
あそこって…あの山にあなたが?…どうして。
男の人と一緒に鉄砲を撃ちに行ってたの。
それでね…もしかしたらこんなこと警察に言うべきことなのかもしれないんだけどまずあなたと相談してからと思って…。
早いほうがいいと思うの。
…ええもちろん近くまで行くわ。
ええ…じゃあ30分後に駅の前で。
書類倉庫をひっくり返してるうちに廃棄処分と指示されている箱が1つ出てきまして…。
その中からこれが…。
7年前のあの大事故の現場の事前地質調査に基づく報告書で地盤工学の鬼と言われた城南大学後藤八十郎教授が行ったものです。
しかしこういう数字を見ても我々には何のことやら…。
この意見書ではあの大事故をほとんど正確に予測してる。
「早く手を打たないと何百人もの人命にかかわる大惨事を引き起こしかねない」…はっきり書いてあるじゃないか!表紙を見てください。
決裁印の欄に当時の担当課長本宮恒夫の認め印はありますが部長専務…当時は社長だった相川会長の判はありません。
そしてこちらが例の有名な「有吉報告書」です。
同じ地点を帝都工大の有吉教授が3か月後に行ったものです。
データはほとんど同じでも結論はまったく逆じゃないか!この有吉意見書では「構造上土留めの擁壁は万全でありこれを危険値とする天変地異は考えにくい」として別の事故のデータと比較して裏付けている。
有吉報告書には担当の本宮課長をはじめ担当部長専務相川社長の判があります。
…どういうことですか?どうもクソもない!こっちの「工事必要なし」という有吉報告書だけが採用されて大工事を必要とする不利なデータは握りつぶされたということだ!あの事件のあと世間もマスコミもこの有吉報告書の存在だけしか知らず会社側の責任はなしと判断された!
(伊村)おっしゃるとおりです…。
もしもこのとき…後藤報告書のデータが採用されてたら…?…少なくともあの大事故は避けられたと思います。
本宮さんがこの後藤報告書を握りつぶしたということですか?考えたくありませんけど…!…実はこの直後に後藤教授はくも膜下出血で急死してます。
可能性としてはあり得ない話ではないと…。
あくまでも…この判子から見る限りの話です。
棟居さんが…?桐子さんにお話したいことがあるとおっしゃってますが。
会いたくないの…いないって言ってください。
でも桐子さんそれじゃ旦那さまのあれは…?ごめんなさい…あれもうめさんから渡してください。
お亡くなりになる少し前に旦那さまが丹精込めてお作りになったものです。
私に…ですか?はい。
今度会ったときに棟居さんにお渡しするんだって。
失礼。
本宮さんは怒っていらしたんじゃ…?怒るどころか…棟居さんのことを大変お気に入られたご様子で…。
「あの男はいい。
この毛針は今までで最高の出来にするんだ」とおっしゃって…。
〔まあご精が出ますこと〕〔こりゃ特別だからね〕〔どうだい…キレイだろう?〕ありがとう…ありがとうございました。
・
(電話の音)はいもしもし?…私です。
ああ…。
「さっきはごめんなさい。
気持ちの整理がつかなくて…」いや…いいんだ。
私ちょっと気になることがあるんだけど聞いてもらえますか?「うん…なに?」貝塚良江さんという高校時代のテニス仲間がいるんだけど彼女が突然電話をしてきて父の死に関することで話があるから会いたいって言われたの。
「それで?」約束の駅前で1時間待ったけど彼女来なかったんです。
変だと思って自宅へ電話を入れてみたけど誰も出ないし…。
夜まで待って前に聞いてたお勤め先の銀座のお店にも電話をしたんだけどまだ来てないって…。
銀座のお店って?「ええ…彼女銀座にある『扇』ってクラブに出てるんです」扇…!?
(棟居)お休み?
(ママ)アヤちゃんにしては珍しいわ。
無断欠勤なんて初めてじゃないかしら?…彼女の住所わかりますか?ええちょっと待ってね。
(玄関のチャイム)
(玄関のチャイム)貝塚さん?
クラブ扇のホステスアヤこと貝塚良江は殺されていた
(パトカーのサイレン)死後12〜13時間ですか。
そんなところでしょう。
出支度をしているところに誰かが訪ねてきた。
応対しコーヒーをいれようとして刺されている。
となると顔見知りの犯行ってことですか?つまり本宮桐子に事件のことで会いたいと電話を入れた直後だ。
しかしこの本は何だよ。
「妊娠・出産・育児」…。
(明石)これみよがしにワザとぶちまけたって感じだな。
わかりましたよ。
ガイシャは意外と男出入りが少なくてこっちが今の彼氏こっちが前の彼氏。
良江がこの店に勤めはじめてからの5年間の男関係はこの2人だけだったそうです。
ねえママ?ええ。
身元は?こっちが青年実業家…。
すみません。
(掃除機の音が止む)こっちが青年実業家で亀山鬼一というんですがこっちの男…一体誰だと思います?誰だ?とんでもない線でつながりました。
水原智彦というんですが有吉報告で有名な帝都工大の有吉達志教授の助手でしかも北日本鉄道の相川会長の末娘の婚約者だったんです。
水原をお捜しだそうですが彼に何か?本人と直接話がしたいんですが。
水原はあいにく今日は休んでおりますがご用件は例のホステス殺しですか?なぜそう思われるんですか?私もあの店の客のひとりでして水原と彼女の関係は店の女の子たちにも評判でしたから。
だが水原には事情があってあの女とは何か月も前に別れてます。
・
(吉本)貝塚良江の部屋には明らかに男と半同棲生活をしていたという形跡があります。
男の指紋も出ています。
それが水原のものかどうかわからんでしょう。
店で彼女と噂のあった男なら他にもいますよ。
この男のことですか?ええそうです。
さすがによくお調べですな。
亀山といって実業家らしいですよ。
青年実業家の正体がこれだよ。
1年も前につぶれたってさ。
亀山の住まいの方は?ああひと月も前に越してた。
夜逃げ同然だったそうで転居先は不明です。
ところが照会してみたら奴には詐欺の前科があった。
「亀山鬼一」というのは偽名で本名は「上山留二」前科四犯だ。
(歌声)
(亀山)よし!
(鼻歌)よいしょ!よし…!
(ノックの音)はい。
失礼します。
棟居君…有吉教授はわざわざ水原さんを出頭させてくださった。
昨日はお捜しのようでしたから。
今朝になって彼が警察に張り込まれてるって泣きついてきたもんだからやましいところがないなら行こうって連れてきたんです。
ご足労ありがとうございます。
では水原さんこちらに…。
(有吉)おっとそれは困りますな。
密室でやられたんじゃ私がつき添ってきた意味がない。
有吉教授は質問は目の前でしてくれとおっしゃってる。
水原さんあなた…「アヤ」こと貝塚良江が殺された日彼女の部屋に行ってますね?現場には血のついた指紋もあった。
あなたのマンションのドアから採取した指紋と照合したところ一致しましたよ。
水原君本当なのか?
(水原)僕が行ったときは…もう死んでいたんです。
〔良江!〕〔良江?〕〔良江…!〕本当です。
疑われるのはわかっていたので怖くて家には帰りませんでした。
・
(ノックの音)解剖の結果貝塚良江さんは妊娠3か月でした。
水原さん父親はあなたでしょ?そうだったのか。
申し訳ありません。
ところがあなたには北日本鉄道の相川会長の令嬢との縁談が転がり込んできた。
俗に言う「逆玉」というやつです。
あなたにとって貝塚良江さんという存在は邪魔になった…。
違います。
そんなことありません!良江とはきちんと話をしてちゃんと別れるつもりでした。
あなたは…彼女と西多摩へ行きましたね?良江さんがそう言い残しています。
そしてその日あの山で北日本鉄道の重役本宮恒夫さんが撃たれて死んだのをご存じですね?撃ったのはあんたか…。
刑事さんそのことなら私もさっき訊きましたが水原は翌朝新聞で見るまでは何も知らなかったと言ってます。
そうですかね。
これに見覚えは?いえ…。
あの日本宮さんはこのトランクに1億円の現金を詰めてあの道を行った…。
そして撃たれた。
(銃声)だがトランクは現場から消えてました。
近くにこいつが落ちてた。
「扇」という店名入りのライターです。
このライターから指紋が出ました。
水原さん…あんたの指紋だ。
知りません…!誰かがトランクを盗み金を抜き取って空にして捨てた。
本当に見覚えないのか!?知らない!あんたはあの日本宮さんが1億円を運ぶことを知っていた。
その金は誰かに本宮さん殺しを依頼された報酬だったんじゃないのか!?違う本当に知らない!良江は殺しの現場を見ていた。
今度は口封じに良江を殺したんじゃないのか!?やめたまえ!やめろ棟居!ご覧になりましたか。
これは明らかに任意の枠を越えている。
水原君失礼しよう。
桐子…。
すみませんどうしてもお話したいことが…。
私…怖い…!…え?父の死は事故なんかじゃなくてあなたの言ったとおり…もしかしたら殺されたんじゃないかと思えてきて…!父の日記です。
何かわかるんじゃないかと思って読んだら怖くなって…!その日の簡単な出来事や目についた季節の花についてなど父らしい感想が書かれています。
ところが3か月前から気になる文章が書かれているんです。
「10月5日古い書類を整理するうち廃棄したはずのあれが出てきた」「悪夢」…。
「7年来の罪悪感…やはりこの責任は取らなければ…」「10月8日例の件早く償いを…」「98人の命」…。
「生まれて初めて神に祈った。
私自身の問題」「責任責任」…。
月がかわると少し調子が変わってきます。
「11月8日気のせいだろうか。
ときどき身の危険を感じる」「10日今日は車にひかれそうになった。
私はノイローゼなのだろうか」「12月13日」…初めてお会いした日だ。
「10年ぶりに桐子と会う。
初対面棟居弘一良好感」「非難されて言葉なし。
禊」「12月14日」…。
やっぱりあの事故は…お父さんに責任があったのね…!いや…違う。
お父さんは無関係だ。
ありがとう…棟居さん…。
私…もうどうしたらいいのかわからない…。
お父さんが何をしようとしておられたのかそれを探ること。
それが犯人につながることだと思う。
これが貝塚良江の勤めていたクラブ扇の常連客です。
この中で金について知っていたのはまず北鉄の相川。
伊村。
代議士の佐々木にその秘書の青木そして帝都工大の有吉です。
では次にアリバイについて。
はい。
本宮恒夫が撃たれた時刻のアリバイがはっきりしているものがあります。
まず伊村。
彼は車のところで女子大生と8ミリ撮影をしていた。
それから相川と有吉。
この2人は北鉄の会長室で事件の直前電話で話していた記録があります。
電話の明細です。
それから佐々木と秘書…この2人は山荘で写真週刊誌の取材を受けていました。
以上です。
つまり金のことを知っていた者は全員アリバイがあるというわけか。
はい。
では銃に関してです。
はい。
銃のライセンスを持った者は4人です。
相川水原佐々木亀山。
相川と水原は同じ狩猟クラブで佐々木はその会のリーダーです。
亀山はどこにも所属していません。
その中でアリバイのないのは水原と亀山ですか。
はい。
射撃の腕前は?
(吉本)相川と佐々木は中の上。
亀山については不明ですが水原の腕は水準以下のようです。
以上です。
ホステス殺しとのつながりは?貝塚良江殺しは西多摩での殺しが何らかの形で知られたための犯行だと私は見ています。
棟居推測はいい。
確証のあることだけを言え。
貝塚良江は以前亀山と恋人関係にありました。
去年あたりから水原に乗りかえたようですが亀山はかなり良江を恨んでいたといいます。
他の者については良江との関係はただの客とホステスです。
良江殺しの犯行時間のアリバイについては現在までのところ明確にシロと言える者は誰もおりません。
おう棟居事件だ。
水原が自殺しました!このドライバーきちんととっといて。
ちくしょう…。
銃は水原自身のライフルだった。
水原は過って本宮恒夫を射殺し金を見つけて出来心で盗んだが貝塚良江に事実を知られ殺害した。
そして捜査の手が身辺に伸びたのを知り逃れられないと悟って自殺した。
違う…違うんだよな…。
そんなはずはない。
話ができすぎてますよ。
おいどうした?何をそんなにいらだってる?本宮恒夫が事故死では気に入らんか?ごちそうさま。
棟居…おい棟居!・
(足音)やっぱりここだったか。
どうにも納得できないんで調べ直しに来たんです。
西多摩署が言うとおり弾がガイシャの体を貫通して地面に潜り込んだとすればまず回収は不可能です。
でもごくまれに貫通の際微妙に角度を変えることがあるそうです。
その弾がどこかの木に当たっていればと思って。
もう一度調べさせよう。
もっと右だ。
やっぱり地面なのかな…。
無理かな…。
・警部補!ありました!出ました!弾丸のこの部分にかすかな細胞と血液が付着していました。
微量なので血液型の判定は不能でしたがDNA鑑定の結果本宮恒夫のものと一致。
別人での出現頻度は百万分の一の確率です。
やったな。
ライフルマークは?これです。
これが水原のライフルから試射した弾のライフルマークです。
こっちが現場で採取した弾です。
合わないな。
おい違うぞ!思ったとおりだ。
本宮さんを撃ったのは水原じゃない。
ということは棟居…どういうことだ!?
(銃声)
(銃声)1発ではありません。
2つの銃声がだぶってますね。
分離してみましょう。
2つの銃声は時間にすると…0.7秒のズレがあります。
誰かが水原の発砲に合わせて引き金を引いたんだ。
確か亀山って野郎も銃を持ってると言ってたな。
ジャンケンホイ!あっち向いてホイ!アケミちゃんにあげちゃおうかな〜!亀山鬼一さんだね?
(亀山)えっ?亀山鬼一さんですね。
何だっていうんですか。
一体俺が何したっていうんだよ?この日お前はお前をふった貝塚良江の後をつけて山に入った。
彼女は新しい彼氏と一緒だった。
2時間後その山で男が撃たれて死んだ。
こういうことが考えられる。
あんたはふられた腹いせに良江を撃ち殺そうとしたが別人を撃ってしまった。
だから3日後にその目的を果たした。
違うな全然違うな。
俺は殺しなんかやってねえぞ!バカじゃねえかあんた!じゃ何をやったんだよ。
何を見たんだよ。
何も見てねえよ。
戻りました!ホテルのフロントに預けてあった貴重品と部屋にあったカバンと銃です。
お前らそんなものを持ち出す権利ねえぞ!アイテテ…!預け入れ金2000万。
2000万。
…2000万。
2000万…。
さあ話が見えるようにしゃべってもらおうか。
(亀山)確かに最初は殺す気だったかもしれないな…。
良江があの男と一緒に猟に行くと知ってカーッときたんだな。
もし俺が2人のどっちかを撃ち殺したとしても警察は誤射事件として片づけるだろうと思った。
けどチャンスを逃しちまってよ…。
あっちこっち捜し回ってやっと奴らを見つけたときにはどうも様子が変だった。
(良江)〔どうしたの!?〕
(水原)〔いいから!〕
(亀山)何かあったのかなと思ってそこへ行ってみると…。
中は金だってピーンときたんだなこれが…。
このライターを遺体のそばに置いたのもお前さんか。
奴らをあのままじゃ許せなくてね…。
ざまあみろって…。
せめてもの仕返しだと思ったんだよ俺は…。
ホントだってばホント!俺は誰も撃っちゃいねえよ誰も!ウソだと思ったらちゃんと調べてくれ!わめきなさんなよ。
言われなくてもちゃんと調べる。
これが本宮恒夫を殺した銃弾です。
これに亀山のライフルから試射した弾を合わせてみます。
よーしこれで万事解決だな。
(明石)合わないぞおい!どういうことです!?本宮を撃ったのは水原でも亀山でもない…!〔死んだ母なんて父の釣り自慢が始まるといつも台所に逃げ出してたくらいなんだから〕
(恒夫)〔そうだったそうだった…〕〔責任は感じてる。
ケジメはつける〕〔しかしこんな…こんな席で言うことはないでしょう!〕《誤射であるはずがない…》《本宮さん…あんた何をしようとしてたんだ…?》どうぞ。
この中にお父さんのメッセージがある。
ふ〜ん…しかしとなると犯人は誰だ?訳がわからんな。
俺の中ではほとんどつながってます。
あとひとつのデータさえそろえば…。
ありました!棟居さんのにらんだとおりでした!こいつが…犯人!?完全に仕組まれた殺しです。
全部つながりました。
事件はすべて解決しました。
おいおい君…まさかテレビじゃあるまいし犯人はこの中にいますなんてやるつもりじゃないだろうね。
すべてはこの…闇に葬られた後藤報告書から始まりました。
この報告書には本宮さんの判しかなく彼がひとりで握りつぶした…かのようにつくろわれています。
「つくろわれている」?ということは事実は違うということか?本宮さんはこの報告書を抹殺した人ではなく抹殺しようとしたけどそれができずに世間に公表しなければならないと悩んでいた人なんです。
本宮さんの日記です。
3か月前の10月5日…この日本宮さんは7年前の事故に関するひとつの書類を見つけた。
それは廃棄されたはずのものだった。
本宮さんはそれを公表しようと考えその決意をひとりの人物にもらしました。
そしてそれが公表されては困る立場にある者がこの殺人計画を立てたのです。
殺人計画…?そうです。
ちょうど崖崩れで道が通行不能になってるのを知りその日に用事をつくって本宮さんを山へ行かせハンターの誤射に見せかけて殺すという計画です。
では誰が犯人か…。
ここで絶対的必要条件というものがあります。
それは射撃の腕前です。
ハンターの誤射に見せかけるためには何発も撃つわけにはいきません。
たった1発で50メートル先の目標にし損じることなく命中させられる腕…。
この中で銃のライセンスをお持ちなのは相川さん…あなただけです。
しかし私はあいにくそんな腕前じゃない。
はい調べました。
あなたの腕は50メートル先の目標に10発中6発というところでしょうか。
これではこの役目は務まりません。
僕にしても有吉教授にしても銃なんて縁もゆかりもありません。
そのとおりです。
あなた方は銃のライセンスをお持ちではありません。
しかしそれは現在のことです。
過去にもしかして銃を持ったり撃ったりしたことがあるんじゃないか…。
調べたらありました。
これです。
27年前全国射撃大会エアライフルの部で100発100中第1位に輝いた学生…。
有吉さん…あなたです。
確かに私は昔そういう賞をとったことがある。
別に隠したつもりはない。
しかしもう30年も昔の話だ。
それ以来私は銃を手にしたことがないし第一私にはれっきとしたアリバイがあるんだ。
棟居君忘れたのかい?本宮君が山で撃たれた時間私はこの会長室で相川会長と会っていたんだよ。
考えてみれば簡単な電話のトリックでした。
伊村さん…これでこの会長室の直通電話にかけていただけますか。
あの日通行止めのところからしたように…。
・
(電話の音)もしもし相川だ。
もしもし伊村です。
崖崩れがあって立ち往生してるんですが…。
なに崖崩れ!?あちょっと待って今ここにいる有吉教授が代わると言ってる。
しかし伊村さん…あなたは今のような操作があったことを本宮さんには隠していた。
…もしもし有吉教授ですか?ちょっとお待ちください。
今本宮重役と代わります。
もしもし…桐子さん!?なぜあなたが…今どちらに?伊村さん…あなたはあの日こうやって父と代わったんですね。
どうして…。
電話会社の新システムです。
このシステムに加入していればどこからかかってきた電話でもいったん受けた相手と話した後フッキングしてダイヤルすれば任意の電話まで飛ばすことができます。
事件当日の会長室直通電話の明細です。
11時10分53秒から23秒間…つまり伊村さんからの電話がつながっている間完全にだぶってつながってる電話があります。
030…有吉教授あなたの携帯ナンバーだ。
つまりあなたは犯行の少なくとも13分前にはあの犯行現場にいることが可能だった。
すべては打ち合わせどおりでした。
アリバイ工作のためあなたはまずわざと人目につく形で会社に来た。
いったん会長室に入りすぐに着替えると会長のライフルを受け取り用意してあった車で西多摩へ向かう。
途中本宮さんの車を追い抜いて先回りすると山に入り狙撃ポイントで待ちかまえる。
そのころ本宮さんの車が崖崩れの場所に着いて電話をかける。
電話は今言ったトリックでさも有吉教授が会長室にいるように見せかけて転送されます。
〔何崖崩れ?あちょっと待ってくれ。
教授が代わると言ってる〕〔本宮君やっぱりそっちへ行っていたんだな〕そして10分後本宮さんが現れる。
このとき皮肉なことに水原が何も知らずに割り込んできました。
あなたは予想外のこの事態もとっさに利用した。
この水原の発砲に合わせて…。
(銃声)そして犯行の後偶然出会った貝塚良江を殺害しわざと出産や育児の本をばらまいて水原の犯行であるかのように偽装した。
さらに水原が過って本宮さんを撃ったと思っているのを利用し自殺に見せかけて殺した。
あとは金を盗んだ亀山が捕まるのを待つだけだった。
これがあなた方が仕組んだ事件のすべてです。
だがすべて状況証拠だ。
物的な証拠は何ひとつないじゃないか。
荒唐無稽だ!バカバカしい…!なあ君は一体この中の誰と誰を犯人に仕立てようというのだ?あなた方3人みんなです。
バカな…!どこにそんな動機がある!?ここにある!本宮さんが身の危険を感じて俺に託してくれたものだ。
これが日記にある10月5日に父が見つけ出した本物の後藤報告書です。
こっちは本宮さんの判だけを押した表紙に取り替えあんたらがでっち上げたものだ。
今度の殺人の動機はあんたらのこの確認の判だ。
この後藤報告書に従って大工事をしていれば98人の命は失われずにすんだ。
だが現場付近3キロの補修工事ともなればざっと1200億近くの金が飛ぶ。
あんたらはその金を惜しみ後藤教授が直後に急死したことをいいことにこれを闇に葬り沿線には何の危険もなしという有吉教授の報告書だけを採用した。
あんたらは加害者だ!金を惜しんで98人を殺したんだよ!もちろんその加害者の中には本宮さんも含まれている。
本宮さんは一度は会社決定に従いすべての証拠書類を破棄した。
だがな7年間悩み続けてたんだ。
そして始末したはずの後藤報告書を再び目にして公表する決意をし…伊村さんあんたに相談したんだ。
私は…それを会長に伝えただけなんです!あとのことは会長と有吉先生が勝手に…私は関係ないんです!何を血迷ったことを言ってるんだ。
でたらめもいいかげんにしろ。
大体なそんな報告書ひとつで鬼の首を取ったように言うがそんなものは何の証拠にもならない!私の報告書と後藤報告書とはただの見解の違いというだけだ。
それに私は他の事故との比較検討もしてる。
客観性に疑問の余地はない。
(笑い)君らもう少しましな証拠をそろえてからにすべきだったな。
え?棟居君。
私は失礼する。
あわてなさんな。
証拠はあるさ。
今やってるところだ。
やっている…!?
(ノックの音)出ました…!どうやらわかったらしいな。
令状を取って相川さん…あんたの家から押収したライフルだ。
あんたこれを有吉教授に貸してあの殺しをやらせた。
犯行に使われた銃弾とこの銃で試射をした銃弾とのライフルマークが一致した。
この銃からあんたの指紋も出た。
あの…本当に私は…殺すなんて全然知らなかったんです。
会長と有吉先生の指示に従っただけで…!知らなかった…!「重い軽い」はない。
あんたらは共謀して内部告発しようとした本宮さんを殺し汚名を着せた!みんな同罪だよ!あの憶病者が…!今ごろになって公表するなんて言わなければ…!くそっ!あなたに父の苦しみがわかるはずがない。
企業エゴのために98人もの尊い命が失われその不正に自分も加担した…。
そのために7年間も苦しみ続け自殺まで考え…その父をあなた方は…!弱いんだよ。
負け犬だったんだあんたの親父さんは。
あなた方は人間じゃない!私の父は…人間でした。
人間の質が違うというべきだなお嬢さん。
そのとおり…有吉さんあんたはただの人殺しだ。
3人は殺人の共同正犯として送検起訴された
ひとりぼっちになっちゃった…。
2014/07/07(月) 13:05〜14:56
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美しい喪主があばく音のトリック1−1=1の謎 父に捧げる犯人…棟居刑事の情熱[再][字]
詳細情報
◇出演者
佐藤浩市、水野真紀、小野寺昭、竜雷太 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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