地球ドラマチック シリーズ骨から探る“生きもの図鑑”第1回▽骨は魔法の素材 2014.07.21

私たちの体を守り支え動かす骨。
骨をよく見ると興味深い事実が浮かび上がってきます。
脊椎動物はさまざまな姿をしていますがある共通点があります。
それは骨がある事です。
進化生物学者のベン・ギャロッドは骨の専門家です。
驚いたな。
こんなにたくさんの骨を一度に見られるなんて。
幼い頃から骨に魅了されてきたギャロッドは世界中の博物館や大学の依頼を受けて骨をつなぎ合わせ骨格標本を作っています。
骨は脊椎動物のさまざまな行動と深く結び付いています。
ギャロッドと一緒に骨と動物の生態との関係を探りましょう。
脊椎動物は同じ「骨のある生き物」なのになぜこれほどさまざまな姿をしているのでしょうか。
なぜこれほど繁栄できたのでしょうか。
骨の秘密を探る旅に出ましょう。
今回は丈夫で柔軟順応性にも優れた魔法の素材骨の不思議に迫ります。
骨のある生き物脊椎動物。
地球上に6万種以上います。
骨を詳しく見ればその動物の生態が分かります。
どのように体を動かし何を食べどのように生き抜いているのか。
骨の一つ一つが教えてくれるのです。
わ〜…ずっとここに来てみたかったんです。
フランスパリの国立自然史博物館には世界中から集められた骨格標本が並んでいます。
ここにはありとあらゆる形をした骨格が並んでいます。
どれも見事です。
でも僕が一番驚いたのは大きさの違いです。
動物によって骨格の大きさがまるで違うんです。
最近パプアニューギニアで世界最小の脊椎動物が発見されました。
体長およそ7mmのカエルです。
小さいながらも骨格がしっかりと体を支えています。
この骨格を形づくっているのが魔法の素材「骨」です。
骨格は世界最大の動物の体も支えています。
シロナガスクジラの体重は世界最小のカエルの2億倍です。
巨大な動物の体を支えるだけの強度があり軽さも兼ね備える骨。
骨とは一体何なのでしょうか。
骨は硬い。
誰もが知っている事です。
でも骨の特徴はそれだけではありません。
骨はタイプの異なる2つの成分が組み合わさって出来たとても独特な物質なんです。
一つは有機化合物のコラーゲン。
骨に柔軟性と耐久性をもたらします。
もう一つは無機化合物のリン酸カルシウム。
骨に強度と形を与えています。
この2つの成分があって初めて骨は成り立ちます。
コラーゲンとリン酸カルシウム片方の成分だけだとどうなるか実験をしてみましょう。
頭の骨をオーブンに入れて数日間焼きました。
コラーゲンは全て取り除かれリン酸カルシウムだけの状態になっています。
骨がカルシウムだけで出来ていたらこうなります。
これじゃあ使いものになりませんよね。
骨に柔軟性を与えるコラーゲンを失うとこんなふうになるんです。
硬さはある程度維持されていますが骨としては役に立ちません。
一方こちらは特殊な液体に1か月以上漬けた頭の骨です。
リン酸カルシウムは取り除かれほぼコラーゲンだけの状態になっています。
今度は硬さが失われぶよぶよしています。
こんなふうに…簡単にねじ曲げたり潰したりする事ができます。
なんと歯まで柔らかくなっています。
ほら。
もし骨がコラーゲンだけで出来ていたとしたら立っていられないでしょうね。
グニャグニャの骨では体を支えられないですから。
これじゃあね。
見てのとおりコラーゲンとリン酸カルシウムのどちらか片方だけでは骨は役に立ちません。
この2つがあるからこそ柔軟性と耐久性そして頑丈さが備わるんです。
大きな体を支えるには頑丈な骨が必要です。
骨はどれほどの力に耐える事ができるのでしょうか。
骨の強度を調べるためギャロッドはリッチー・ギル教授の元を訪れました。
ギル教授は生体工学の専門家です。
まずは骨とコンクリートの強度を比べます。
コンクリートに少しずつ負荷を与えていきます。
楽しみだ。
始めますよ。
割れると分かっていてもドキッとしますね。
あっという間でしたがどのくらいの負荷を与えたんですか?1.2キロニュートンおよそ120kgです。
120kgか。
この小さなコンクリート片は120kgの負荷を与える事でようやく割れました。
次は先ほどのコンクリート片とほぼ同じ太さの骨に負荷を与えていきます。
シカの大腿骨ももの部分の骨です。
どれぐらいの負荷まで耐える事ができるでしょうか。
それではいきますよ。
ええ。
負荷を与えます。
1.3…2キロニュートン4キロニュートン。
おっ動いたぞ。
(骨にひびが入る音)割れました。
すごい。
骨の方がコンクリートよりも割れにくいんですね。
骨にひびが入る小さな音が聞こえたでしょう。
骨は段階を追って壊れていくんです。
細かい骨折が複数回起きて少しずつひびが入りやがて限界が来て大きくバキッと折れます。
折れた時の負荷は4.5キロニュートンつまり450kgほどでした。
一方コンクリートの場合は1.2キロニュートン120kgでした。
つまり骨を割るにはコンクリートの3倍以上の負荷が必要だという事ですね。
骨の方が割れにくいのには理由があります。
コンクリートが無機質だけで出来ているのに対し骨には有機質のコラーゲンが含まれています。
これが骨に柔軟性をもたらし強度を増しているのです。
しかし骨は本来横向きの力を受けるようには出来ていません。
骨はほとんどの場合上から下の方向に力を受けます。
そこで今度は上からの負荷に対して骨がどれくらい耐えられるかを調べます。
では始めましょう。
負荷を与えます。
1.31.6…2キロニュートン。
更にかけます。
5キロニュートン。
先ほどは4.5キロニュートンが限界でしたがまだ折れる気配はありません。
現在9キロニュートン10キロニュートン11…12キロニュートン。
まだ上がっています。
14キロニュートン。
既に横向きの場合の3倍以上の負荷に耐えています。
すごい力ですよね。
あれ?そろそろですね。
ほら。
ハハハハハ…!びっくりした。
こっちに何か飛んでくるかと思いましたよ。
17キロニュートンです。
17キロニュートン!?信じられないような値ですね。
衝撃的です。
17キロニュートンという事はキログラムに換算するとどれくらいですか?1.7tです。
つまり1.5t以上の負荷がかからないとシカの大腿骨は折れないという事ですね。
シカの体重なんて大型犬と変わらないのに。
驚くほど頑丈な骨なんですね。
この骨は比較的小さいものです。
人間の大腿骨の直径はこの3倍程度ありますからもっとすごい負荷に耐えられるわけです。
体重よりもはるかに大きな負荷に耐えられる骨。
その理由は短距離走者を見れば分かります。
駆け出す瞬間足には体重の13倍以上の負荷がかかります。
左右それぞれの足に1tもの負荷がかかる計算です。
これは自然界でも同じです。
狩りでは追う者も追われる者も猛スピードで急に方向転換をします。
その際前足と後ろ足には大きな負荷がかかります。
そのため体重の軽い動物であっても骨が丈夫である必要があるのです。
体が大きな動物の場合骨が頑丈である事は更に重要です。
では骨を大きく丈夫にするにはどうすればいいのでしょうか。
それにはある当たり前の事が起こらなくてはなりません。
成長です。
皆さん骨は白いと思っていませんか?確かにこの標本のように死んでから時間がたった骨は白いです。
でも生きている動物の骨は全く様子が違います。
生きている動物の骨はピンク色をしています。
骨の内部にたくさんの血管が詰まっているからです。
手術で骨を削っても心配は要りません。
骨には再生能力があるからです。
骨の細胞は絶えず新陳代謝を繰り返しています。
人間の大人の場合大体10年で体中の全ての骨の細胞が入れ代わります。
子供は更に早いペースで入れ代わります。
100歳まで生きたとしたら全身の骨がおよそ10回入れ代わる事になります。
成長し再生し続ける骨の特徴を活用している動物がいます。
クジラは初めから巨大なわけではありません。
ナガスクジラの胎児は体長30cm体重およそ1kgです。
それが生まれる頃にはおよそ2,000kgになります。
母親のおなかにいる1年の間に胎児の骨もどんどん成長していくのです。
大人のナガスクジラは500mの深さまで潜る事ができます。
水圧は海面近くの50倍にもなります。
そのためクジラの骨は水圧に耐えられるように出来ています。
動物の骨はどのようにして体を支えているのでしょう。
ゾウは足に秘密があります。
ゾウは長くまっすぐな柱のような足で重い体を支えています。
特徴的なのは大腿骨の位置です。
ほとんどの哺乳類は骨盤の横に張り出すように大腿骨がつながっています。
ところがゾウは骨盤の真下に大腿骨がつながっています。
大腿骨が真下から骨盤を支えているんです。
更に僕が気に入っているのはかかとの部分。
脂肪の多い大きな肉球が収まるようにかかとの骨と地面との間に隙間が空いています。
この構造は衝撃を吸収する役割を果たし重い体重による足への負担を軽くします。
ゾウはいわば爪先立ちで歩いているんです。
大きな体を支えるためゾウは大腿骨と骨盤の位置関係そして足の構造を変化させたわけです。
ゾウの骨格は巨大な体を支えるのには適しています。
一方で長時間速く動く事はできません。
ゾウの走る姿は駆け足というよりも早歩きに近いものです。
なぜでしょうか。
動物が全速力で走る時1歩ごとに体重の10倍以上の力が骨と関節にかかります。
体重5tのゾウの骨格はそうした動きには適していないのです。
しかし中には体重と動く速さを両立させている動物がいます。
巨大な体を持ちながら素早く走る事のできる動物。
サイです。
サイの体重は3tから4t。
でも最高時速50kmで走る事ができます。
ゾウの2倍のスピードです。
ゾウの骨が体重を支えるためだけに変化したのに対してサイの骨は体を支えるだけでなく速く走るようにも変化したのです。
体重とスピードによる大きな負荷に耐えるためサイの骨はとても頑丈に出来ています。
体の大きなゾウよりもサイの骨ははるかに強いのです。
最大の違いが大腿骨ももの部分の骨です。
大腿骨は動物の体の中で最も頑丈な骨です。
サイと先ほどのゾウの大腿骨を比べてみましょう。
どうもありがとう。
こちらがゾウの大腿骨です。
サイの大腿骨と比べると大きさも形も随分違いますよね。
ゾウの大腿骨は長くすらりとしていてきゃしゃです。
言ってみれば少しかよわい印象です。
一方こちら。
たまりませんよね。
とても個性的です。
短くずんぐりとしてたくましくがっしりとした骨です。
更にここの横の部分が大きく張り出しています。
たくさんの筋肉がついている証拠です。
骨からこの動物がとてもがっしりして筋肉隆々だという事が分かります。
確かにゾウの大腿骨の方が長いし巨大です。
でもサイの大腿骨の方が3倍も頑丈なんです。
サイの大腿骨の強度を測ったところ驚くべき結果が出ました。
サイの大腿骨は109tの負荷まで耐える事ができました。
先ほどの実験で使ったシカの大腿骨の50倍以上です。
体重とスピード。
サイの骨はそのどちらにも適応できるよう進化を遂げたのです。
私たちの体を守り支え動かす骨。
骨の適応力のおかげで脊椎動物はさまざまな大きさや形に進化する事ができました。
そして骨は子孫を残すための活動とも深く関わっています。
求愛行動ライバルとの戦いそして交尾に至るまで。
脊椎動物はこうした活動のために骨を徹底的に適応させてきました。
自らの遺伝子が残る確率をできるだけ高めるためです。
最初のステップはどうやって相手を惹きつけるかです。
鮮やかな色大きな羽印象的なダンスの他に「骨」も異性を惹きつける役割を果たします。
特に頭の骨「頭骨」は多くの脊椎動物にとって重要です。
オスのゴリラの頭骨です。
頭頂部が盛り上がっています。
「矢状稜」といってここから大量の筋肉が顔の側面を通って下顎までついています。
ゴリラは繊維質の多い草木を食べています。
だからかんでかんでかみまくらなくてはなりません。
かむためだけに骨格が適応したのだとすればオスメスどちらの矢状稜も同じくらい盛り上がっているはずです。
ところが同じものを食べているにもかかわらずメスの矢状稜はオスと比べてかなり小ぶりです。
矢状稜がこんなふうに明らかに盛り上がっているのは群れのボスである体の大きなオスだけなんです。
大人のオスの頭頂部は矢状稜の上に脂肪の層が形成され外側から見るとコブのように盛り上がっています。
これはクジャクの羽のように相手を惹きつけるために発達しました。
オスは頭頂部のコブで自分が強く健康である事をアピールするのです。
メスはコブが大きく盛り上がっているオスに惹きつけられる傾向があります。
自然界ではメスはより強くより健康なオスを選ぼうとするからです。
そんなメスを惹きつけるためにゴリラのオスの頭の骨は進化したのです。
こちらは食物連鎖の頂点に位置するライオンの頭の骨です。
大きな歯が犬歯です。
この歯で獲物をしとめます。
ライオンにとって犬歯は狩りに欠かせません。
こちらの頭骨は犬歯のサイズがライオンの2倍です。
でもこの動物が獲物にするのは昆虫。
あとは果物を食べています。
世界最大のオナガザルの仲間マンドリルの頭の骨です。
大きな犬歯には大切な役割がありますが狩りとは関係ありません。
長い犬歯はマンドリルのオスだけに見られる特徴です。
メスの犬歯は僅か1cmほど。
一方オスの犬歯は5cm以上になる事もあります。
マンドリルのオスの犬歯はメスを惹きつけるために進化しました。
健康で強い子孫を残せる証拠です。
メスにとってもオスにとっても歯の大きさは重要です。
歯の長さが3cmを超えるまでオスはメスに見向きもされません。
食べ物をかむための歯をマンドリルは求愛行動を助けるために変化させたのです。
メスを惹きつけるために歯を変化させた動物は他にもいます。
いつ見ても圧倒されるのがこちらです。
まるで宇宙人か何かのようですが地球に生息する動物の頭の骨です。
これもオスのものです。
何といってもカーブしているこの2本の牙が特徴的です。
この牙は犬歯なんですが人間やゴリラの犬歯のように下に向かって生えていません。
上に向かって伸びています。
犬歯は伸びるにつれてカーブしていきます。
かなり年を取ったオスの中には犬歯が伸び続けた結果頭の骨を貫通して脳に突き刺さった状態のものも見つかっています。
この動物は東南アジアに生息するブタの仲間バビルサです。
巨大な牙があるのはオスだけで牙は1歳頃に上顎の皮膚を突き破って現れ生涯伸び続けます。
バビルサにとってこの牙はゴリラのコブやマンドリルの犬歯と同じく健康である事をアピールするためのものだと考えられています。
より長くよりカールした牙を持つオスほどメスを惹きつけるのです。
求愛行動において重要な役割を果たす骨。
しかしそもそも繁殖の相手がなかなか見つからない事もあります。
パートナー探しにも骨が役立つ事を示す新たな研究結果があります。
らせん状にまっすぐ伸びた角は自然界では他にありません。
この動物の学名はモノドン・モノセロス。
「1本の歯1本の角」という意味です。
北極海に生息するクジラの仲間イッカクです。
イッカクの角は歯が変形したものです。
角が何のためにあるかについては昔からさまざまな説があります。
氷を割る道具。
戦うための武器。
エサを取るための道具だと考える人もいました。
一見理にかなっているように思えます。
魚を見つけ角で突き刺す…。
でも突き刺した魚を取り外す事ができません。
現在角は何らかの感覚器官であると考えられています。
イッカクのオスとメスはふだんは氷に覆われた広大な海で別々に暮らしています。
最新の研究からオスは繁殖期になると角を使ってメスを探し出している事が明らかになってきました。
注目されているのは角の表面にある小さな穴です。
1mm四方に2,500個もあり水圧や温度塩分濃度の僅かな変化も感じ取る事ができると考えられています。
オスは水中の僅かな変化からメスの群れを探し当てているというのです。
子孫を残すために骨がいかに重要な役割を果たしているかはまだ解明され始めたばかりなのです。
交尾の相手を確保する事は子孫を残すために欠かせません。
時にはメスをめぐって戦う事も必要です。
交尾の相手を勝ち取るために骨は武器としても変化していきました。
角や大きな体は戦いに欠かせません。
小さな体でも熾烈な戦いを繰り広げる動物がいます。
恐竜みたいですがカメレオンの仲間です。
オスは骨で出来た3つの角を使って一騎打ちをします。
ジャクソンカメレオンはアフリカ東部の森林に生息しています。
角は基本的には牛の角と同じ構造をしています。
角の骨は強度を増すためにケラチンという硬いタンパク質で覆われています。
ジャクソンカメレオンはとても攻撃的で荒っぽい戦いを繰り広げます。
確実にメスと交尾できるよう角で相手を押し出し木から落とします。
頭の骨を使った戦いといえばもう一つ忘れてはならない動物がいます。
オオツノヒツジです。
北アメリカ大陸西部を走るロッキー山脈では交尾の時期になるとオオツノヒツジのオスが集まり戦いが始まります。
より強い者や年長の者が勝利を収め交尾の機会を得ます。
オオツノヒツジの角の重さは14kgにもなります。
角以外の残りの骨全てを合わせたよりも重いのです。
この戦いを可能にしているのは巨大な角だけではありません。
2頭がぶつかった時の衝撃はおよそ3.5キロニュートン。
時速140kmのボールを打つ時とほぼ同じです。
3.5キロニュートンという驚くほどの衝撃を受けるオオツノヒツジの頭骨。
強さの秘密は野球のボールと同様に縫い目にあります。
頭の骨は一つの骨ではありません。
多くのプレート状の骨が縫い目で連結されて出来ています。
ほとんどの動物の場合この縫い目は成長と共に骨で埋まっていきます。
しかしオオツノヒツジの場合は違います。
オオツノヒツジの頭の骨もプレート状の骨が連結して出来ています。
しかし縫い目は他の動物のように埋まりません。
角がぶつかり合うと衝撃は頭の骨全体に伝わりますが縫い目がバネのように働き衝撃を吸収します。
大きな衝撃を受けてもオオツノヒツジが耐えられるのはこの特殊な頭の骨によるところが大きいと考えられています。
牧場で飼われているヒツジが同じ衝撃を受けたらどうなるのでしょうか。
10kgのおもりを3.5mの高さから落とすと2頭のオオツノヒツジが頭をぶつけ合った時の衝撃と大体同じになります。
おもりの真下に牧場のヒツジの頭骨を置きます。
生きたヒツジではないので正確な比較ではありませんが同じ衝撃を与えた時にどうなるのかイメージをつかみます。
ヒツジの頭骨は粉々に砕けてしまいました。
オオツノヒツジが受ける3.5キロニュートンもの衝撃は吸収できなかったという事です。
オオツノヒツジの頭の骨がいかに特殊かが分かります。
衝撃を繰り返し受けてもびくともしません。
骨は子孫を残す確率を上げるためにさまざまな変化を遂げてきました。
受精の可能性を高めるために変化した骨もあります。
サム・タービー博士は脊椎動物の進化を研究しています。
これは何でしょう?これなら分かります。
セイウチの陰茎骨。
ペニスの骨です。
そうそのとおり。
地球上で一番長い陰茎骨です。
ちなみに人間にはありませんよね。
ええ人間は少数派です。
哺乳類の86%には何らかの陰茎骨がありますから。
陰茎骨は脊椎動物の骨の中で最も多様性に富んだ骨です。
そのためさまざまなサイズや形が存在します。
セイウチの陰茎骨がこん棒として使われていたのは本当ですか?本当です。
大昔人々はセイウチを捕まえ陰茎骨を切ったり削ったりして斧の柄やこん棒にしていました。
だからもしかすると陰茎骨で殴られて死んだ動物もいたかもしれませんね。
他にもいくつか陰茎骨を持ってきたんです。
どの動物のものか当ててみて下さい。
一つは分かります。
これは去年僕がスコットランドで見つけたハイイロアザラシの陰茎骨です。
セイウチと比べると全く大きさが違いますね。
確かにハイイロアザラシは体の大きさも幅もセイウチよりは小さいですがこれほどの差はありませんよね。
しかも近縁種なのに。
セイウチは北極海にハイイロアザラシは温暖な場所に生息していますよね。
温暖な環境には多くの動物が集まりますが北極海ではオスとメスが会う機会さえ貴重です。
そこで長い陰茎骨を持つ事で受精の確率を上げるわけです。
セイウチなど北極海に生息する種は大抵長い陰茎骨を持っています。
他はどう?う〜ん…。
どちらも長いけど…。
この2つは持ち主が形態学的にとてもよく似ています。
という事で近縁種です。
う〜んクマかな。
サイズから察するに…。
なるほど。
クマには陰茎骨がありますね。
ええ。
じゃあヒグマとホッキョクグマ。
正解。
これはホッキョクグマと同じくらいの大きさのヒグマの仲間の陰茎骨です。
でも陰茎骨の大きさは違いますね。
これも環境の違いと関係があるのでしょう。
つまり北極圏ではより長い陰茎骨が必要だという事です。
何だろう。
ヒントをあげましょうか。
是非。
この骨は「テキサスの爪ようじ」と呼ばれています。
アメリカのテキサスに生息する動物でこの大きさの陰茎骨を持つ者…。
アライグマ?正解です。
本当に?う〜ん満点ですよ。
変わった形ですね。
不思議ですよね。
同じ陰茎骨でもサイズと形がこんなにも違うなんて。
陰茎骨は動物を分類する時の目安としても使われています。
場合によっては陰茎骨の形だけで種を区別する事ができるんです。
すごいなあ。
たった一つの骨からこんなにたくさんの事が導き出せるなんて。
何の動物かも行動も生息場所まで分かっちゃうんですよ。
だから骨は面白いんですよね。
脊椎動物の骨は生き残るために環境やそれぞれの動物の生態に応じて変化してきました。
子孫を残すための変化もその一つです。
しかし骨の基本的な構造は変わりません。
骨によって脊椎動物は地球上のあらゆる環境で生きていく事ができるのです。
骨にはそれぞれの種が生きていく上での驚くべき秘密が隠されているのです。
骨をよく観察すれば動物の生態を読み取る事ができます。
地球上にはさまざまな生物が存在しています。
中でも脊椎動物は驚くほどの繁栄を見せてきました。
それを支えているのが骨なんです。
2014/07/21(月) 00:00〜00:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック シリーズ骨から探る“生きもの図鑑”第1回▽骨は魔法の素材[二][字][再]

時速110キロで走るチーター。大きな獲物を丸のみするヘビ。動物の驚くべき能力を支えているのは骨だ。3回シリーズで骨の秘密を徹底分析。骨から動物の生態に迫る!

詳細情報
番組内容
第1回は素材としての骨の秘密に迫る。骨はカルシウムとコラーゲンからなることで柔軟性と強度を保っている。シカの大たい骨はコンクリートの3倍以上の強度がある。最も強度があるのはサイの大たい骨だという。求愛行動でも骨は重要な役割を果たす。頭蓋骨の形や犬歯の長さなどで相手を魅了する。クジラの仲間イッカクの牙にもメスを探す秘密があるという。様々な実験を通して“魔法の素材”骨を解明する。(2014年イギリス)
出演者
【語り】渡辺徹

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

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日本語
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