妖しく光る青いリング。
これは一体何?正体は…大きさはというとこんなに小さいんです。
でも自分より大きな相手もなんのその。
スゴ腕のハンターです。
このタコの仲間は恐ろしい威力を持つある武器を隠し持っています。
時にその危険は人間に及ぶことも。
武器とは一体何なのか?そして青いリングの役割とは?今日は謎だらけのタコに迫ります。
(テーマ音楽)12月。
南半球のオーストラリアには夏が訪れます。
今回の舞台東部から南部にかけての海にも海水浴を楽しもうとたくさんの人が集まってきます。
しかしビーチにはこんな看板が。
タコの絵と「危険」の文字。
何やら不穏な気配です。
海の生き物を研究しているジュリアン・フィン博士。
3年前からこの危険なタコの調査を続けています。
早速フィンさんと一緒に探索開始!光が十分にさし込む浅い海の底を探します。
オーストラリアの海は個性豊かなタコやイカの宝庫。
海底を歩くタコを発見。
巧みな足さばきならぬ腕さばきです。
こうして敵から逃げるんだそうです。
こちらは砂潜りの名人。
海水を吹きつけ軟らかくした砂地に潜り込みます。
ほ〜らお見事!全長が1メートルにもなる巨大なイカ。
コウイカです。
何やら模様が動いていますね。
まるでネオンサイン。
体の色素を自在に操り動く模様を作り出しています。
フィンさんが何か見つけたようです。
でも主人公の割に見た目はさえませんねぇ。
ところが近づくと体の表面から青い光が浮かび上がりました。
光は脈を打つように強くなったり弱くなったりします。
キラキラと輝く青いリング。
その光は美しくもありまた妖しくもあります。
体の大きさはどれくらいなんでしょうか?フィンさんと比べるとこんなに小さいんですね。
大きさは10センチほど。
とても危険なタコには見えません。
同じ仲間は日本にもいてヒョウモンダコと呼ばれます。
やはり危険なタコとして知られています。
行く手にカニがいました。
カニはタコの大好物です。
そろりそろりと忍び寄ります。
飛びつきました!自分より大きな相手にも果敢に攻撃を仕掛けます。
今回は残念ながら逃げられたよう。
次の獲物を探します。
別のカニを見つけました。
勢いよく近づいて捕まえました!カニはハサミを広げて必死の抵抗。
一方タコはカニに覆いかぶさりその体をひっくり返そうとしています。
実はこの動きにブルーリングオクトパスの狩りの秘密が隠されています。
抵抗していたカニは動かなくなりました。
体に毒を入れられたんです。
このタコは強力な毒を持っていました。
タコの口は腕の付け根にある中心部分にあります。
そして毒は唾液に含まれています。
このタコはカニの軟らかいおなかにかみついて毒を入れるためひっくり返そうとしていたんです。
大きなカニやエビもわずかな毒が入るだけでしびれて動けなくなってしまいます。
強力な武器を持った恐ろしいハンターなんです。
このタコが持つ猛毒は人間にとっても危険です。
海で遊んでいる時などこのタコにうっかり触れてかみつかれる事故が起こっています。
人の命をも脅かす猛毒とはどのようなものなんでしょうか。
毒にはテトロドトキシンが含まれています。
猛毒で知られるフグの毒と同じです。
その強さは…ブルーリングオクトパスは海にいる細菌が作ったごく微量の毒を食べ物を通じ長い時間をかけて蓄えていくと考えられています。
猛毒が威力を発揮するのは狩りの時だけではありません。
「ふう。
うん?何かいるぞ」。
着地したタコの目の前にいたのはタコの天敵カレイでした。
これは別の種類のタコがカレイに襲われる場面。
カレイは大きな口でひとのみ。
鋭い歯で食いちぎります。
まさに絶体絶命!ところがカレイはなかなか襲おうとしません。
何かためらっている感じです。
タコの様子が変わってきました。
体がどんどん黄色くなり青いリングも輝きを増しています。
その様子を食い入るように見つめるカレイ。
追うのをやめました。
カレイは危険を察知したんです。
黄色い体に浮かび上がる青のリング。
それは「食べたら大変なことになるぞ」と相手に知らせる警告だったんです。
毒があることで天敵に攻撃すらさせないブルーリングオクトパスの鉄壁の守り。
しかし毒を得た代わりに失ったものもあります。
多くのタコが身を隠す煙幕として利用する墨。
ブルーリングオクトパスは墨を吐かなくなりました。
墨をためる器官が小さくなってしまったんです。
敵から逃れるために使う砂潜りの技も他のタコより上手にできません。
ブルーリングオクトパスは毒という武器に特化することで生き延びてきた特別なタコなんです。
最近毒を使った究極とも言える狩りの技が明らかになってきました。
急ぎ足でタコから逃れようとするカニ。
ところが…あれ?捕まってしまいました。
でもこのカニちょっと変ですよ。
よく見るとカニは捕まる前から動きが止まっています。
そして抵抗するそぶりすら見せようとしません。
先ほどの狩りとは様子が違います。
カニに一体何が起こったのか?フィンさんは謎を解く手がかりとなるある経験をしました。
ブルーリングオクトパスを研究のため容器に移そうとした時のことです。
タコが入った容器の水に触れただけで毒によると思われる症状が現れたのです。
最近の研究ではこのタコが毒を海に流し獲物を動けなくさせることがあると分かってきました。
このカニはブルーリングオクトパスが放った毒に触れて動けなくなったと考えられるんです。
いやはやこんな技を持っているなんてすごいタコですなぁ。
そうでしょう?毒を飛ばすタコ。
ドクトバスオクトバス…なんちゃって。
あ…でもちょっと待った!何ですか?さっき相手をひっくり返しておなかから毒を入れる狩りがあったでしょ?ええ。
あんな面倒なことをしなくてもいつも海の中に毒をまいて狩りをすればいいんじゃないですかね?それがそうもいかないんですよ。
うん?どうして?理由は潮の流れです。
潮が獲物のいる方向に流れていないと毒は届きませんからね。
ああそうか。
潮の流れというのは海の中で目まぐるしく変わるのでいつでもどこでも使えるわけではないんです。
なるほどそういうことですか。
でも私心配ですなぁ。
毒があれば狩りでも天敵対策でもまさに無敵じゃないですか。
はい。
とするとここの海は毒ダコだらけになっちゃうんじゃないですかね。
ヒゲじいご心配なく。
このタコにも天敵はいるんですよ。
は?天敵!な何だろう?実は最近こんな写真が撮られました。
これはイカが何かをくわえているんですが…。
あ青いリング。
まさか食べられちゃったんですかね?そうなんです。
猛毒のタコを食べるとは一体何者なんですか?気になりますよね。
続きは第2章で。
へ?ギョギョ〜!ギョギョギョ!さかなクンです。
いつも何かとライバル扱いされるタコとイカ。
でもどっちもスギョイ!そこで今日は…ジャジャン!レッツギョ〜!まずは…イカの中ではこちら。
ものすギョく有名なダイオウイカ。
今年はよく捕獲されてニュースになっていますね。
大きさはなんと最大20メートル近くという記録もあります。
そして一方はこちら。
タコの仲間のミズダコ。
大きいですね〜。
最大3メートルほどにもなります。
こちらも大迫力。
タコも頑張ったけど大きさ対決はイカの勝ち!続いて…イカ代表はこちら。
背中をよ〜くギョらん下さい。
ほらニョキニョキと何か生えてきましたね。
何のまねをするのかな?答えは海藻。
腕まで折り曲げて芸が細かいでギョざいますね。
こうして天敵から身を隠したり獲物を待ち伏せたりするんですね。
対するタコ代表は…あっと!泳ぎだしました。
この形に見覚えはギョざいませんか?なんとカレイの仲間のものまねをしているんですね。
しま模様までそっくり!こちらはまた別のものまね。
2本の腕をク〜ネクネ。
何だと思いますか?そう!ウミヘビだったんですね。
このタコちゃん全部で10種類以上のものまねができてどれも1級品。
というわけでものまね対決はタコの勝ち!さあさいギョは…透明な瓶の中に大好物のカニが入っているのですが蓋がしてあります。
タコは取れるのかな?あ!瓶に腕を伸ばしました。
どうするのでしょうか?おっと!蓋を開けに行っています。
蓋にかぶさって…おっと!開けました!こうしてカニを食べてしまいます。
実はイカの場合は同じ実験をしても開けられないのですね。
腕の器用さ対決はタコの勝ち!タコとイカはもともとは同じギョ先祖様から進化したと言われています。
つまりタコとイカは親戚なのですね。
その後イカの多くは水中を泳ぎタコは海の底をはって暮らす場所があまり重ならないように進化していったと言われています。
だからどっちのほうが優れているというわけではないんですね。
この後タコとイカのもっとすごい映像が出てきます。
もうギョギョギョ!楽しみ〜!オーストラリアの海に生きるブルーリングオクトパス。
人の命すら奪う強力な毒を武器に「向かう所敵無し」と思われてきました。
しかし最近驚きの光景が撮影されました。
青く光るブルーリングオクトパスがイカにくわえられています。
一体どういうことでしょうか?イカの仲間の多くは夜行性です。
毒ダコを襲うイカの正体を突き止めるため夜の海に潜ります。
ヤリイカの仲間がいました。
獲物の小魚を捕まえているようです。
イカの狩りは「触腕」と呼ばれる2本の腕を使います。
先端には吸盤があり獲物を捕らえます。
瞬発力を生かした名ハンターです。
一方こちらは巨大なコウイカ。
豪快な狩りです。
今度は腕をユラユラ。
獲物がこの動きに目を奪われ戸惑っている隙を狙う頭脳的な作戦です。
実はあのブルーリングオクトパスが襲われた写真に写っていたのもコウイカの仲間でした。
コウイカには猛毒も通用しないんでしょうか?海底を移動中のブルーリングオクトパスを見つけました。
寝床を探しているようです。
岩の隙間に身を潜めようとするタコ。
その様子をじっと見つめているものがいました。
コウイカです。
見られていることに気付いたのかタコは急いで逃げ始めます。
でも砂に身を隠すのも墨を吐くのも苦手。
どうなるんでしょうか?次の瞬間。
コウイカは何のためらいもなくタコを捕らえました。
青いリングの警告も全く役に立ちません。
その後このコウイカに毒の症状は見られませんでした。
理由は分かっていませんがコウイカには猛毒が通用しないんです。
猛毒を持つとはいえブルーリングオクトパスも無敵ではありませんでした。
厳しい生存競争の中を生きているんです。
オーストラリアは夏真っ盛り。
海水の温度も20℃を超えるほどになります。
海の生きものたちの恋の季節がやって来ました。
こちらは…口の下の皮と尾びれを広げているのがオス。
目立つ姿でダンスをしメスにプロポーズしているんです。
おや?メスも一緒に踊り始めました。
恋が実ったようです。
ブルーリングオクトパスにとっても夏は恋の季節。
オスがいつになく長い距離を泳いでいます。
お相手のメスを探しているんです。
岩に登り始めました。
見晴らしのいい場所からメスを探すようです。
すると近くに別のブルーリングオクトパスが現れました。
「よし!かわいい子を見つけたぞ。
僕と結婚して〜」と猛アタック。
いやはや情熱的ですね。
めでたしめでたし。
これでカップル成立…と思いきやすぐに離れちゃいました。
そして腕をクネクネと回しタコ踊り。
慌てた時などに行う動作です。
実は抱きついた相手は同じオスだったんです。
気を取り直して再びメスを探します。
どうやらオスは相手がメスかどうか見た目だけでは分からないようなんです。
新たなお相手を発見。
とりあえずアタック!一緒に海底まで降りていきます。
でも離れちゃいましたね。
またオスだったようです。
再びタコ踊り!それでも自分の子孫を残すためオスは真剣です。
相手を見つけるととにかく抱きつきに行きます。
おや?今回はなかなか離れません。
メスだったようです。
ようやく努力が実りました。
腕を使い精子の入ったカプセルをメスの体に入れます。
やがて新しい命が宿ります。
ある日何やら足取りが重い1匹を見つけました。
あっ!卵です。
ブルーリングオクトパスはタコの中では珍しく卵を抱えて育てます。
猛毒を持つお母さんの腕の中ほど安全な場所はありませんものね。
お母さんダコは子どもがふ化するまでの半年間ほとんど食事をしません。
そして卵に酸素が行き渡るようこうして歩き回ります。
別のブルーリングオクトパスのお母さんです。
赤ちゃんの姿がはっきりしてきました。
あっふ化が始まりました!生まれたばかりの赤ちゃん。
大きさは1センチほどです。
よく見るとやがてリングになる青い色がもう現れています。
一方半年の間子どもたちを守り続けてきたお母さんは体力の限界です。
無事に旅立った我が子を見送るとわずか1年ほどの短い生涯を終えます。
ふ化から数週間後のことです。
ブルーリングオクトパスの子どもを見つけました。
大きさは2センチ。
まだ1円玉ぐらいのミニサイズです。
青いリングはだいぶ目立つようになりました。
でも毒はまだそれほど強くないかもしれません。
食べ物を通して少しずつ体にためられていくものだからです。
あっ!魚がやって来ました。
どう猛なトラギスの仲間です。
まずは岩陰に身を寄せます。
そして青いリングを見せつけて威嚇。
うまく追い払えるでしょうか?それをじっと見つめるトラギス。
諦めました。
青いリングのおかげで子どもは生き延びることができました。
これからおよそ半年かけて大人になっていきます。
やがてその体には猛毒が蓄えられていきます。
それは大海原を生き抜くための強力な武器となるんです。
多様な生き方をするタコやイカの仲間。
ブルーリングオクトパスはその中でもひときわ異彩を放っています。
青い光は広大な海の下で今日も静かに輝いているのです。
(信長)生きるも死ぬも一度限り。
存分に生きたぞ。
2014/07/20(日) 19:30〜20:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「オーストラリア 危険なタコ」[字]
オーストラリアの海にすむタコ、ブルーリングオクトパス。強力な“武器”を操り、狩りをしたり身を守ったり。その威力は人間の命すら脅かす。武器って何?謎のタコに迫る。
詳細情報
番組内容
オーストラリアの海に危険なタコがすむ。青く光る妖しいリング模様が特徴のブルーリングオクトパスだ。ある強力な“武器”を操り、自分より大きな獲物を捉えたり、天敵から身を守ったりしている。その武器の威力は、ときに人間の命さえ脅かす。武器とはいったい何なのか?番組では研究者とともに謎だらけのタコに密着。驚きの生態を解き明かす。さらに、無敵と思われていたタコに最近判明した、意外な強敵の正体とは?歌:平原綾香
出演者
【出演】東京海洋大学客員准教授…さかなクン,【語り】龍田直樹,近田雄一
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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