(吉岡武)村雨さん少しだけでもいいので時間をください。
(村雨晃司)ダメだ!何度も言わせるんじゃねえ。
出てけ!・
(物音)・
(物音)
(喜多川裕也)何突っ立ってんだ吉岡!さっさと開けろっつってんだろ。
俺は金庫の番号なんて知りません。
はあ!?昔の仲間とは縁を切ったんじゃなかったのか?開けろ。
金だ。
わかったよ…。
ああっ!イタッ!うっ!ああっ…。
金…金…!うわっ!吉岡!俺じゃねえ…。
(喜多川)俺のせいじゃねえぞ!吉岡…。
村雨さん…俺断ったんです。
金盗むように言われて…。
でも嫌だって…。
もう無理に喋るな。
今助け呼ぶからな。
本当なんです!俺真面目に彫刻やりたくて…。
し…信じてもらえますか…?うん…うん。
おい…おい!吉岡!
(安西正治)吉岡君を刺した喜多川裕也はまだ逃亡してるそうだ。
保護司の私から見て吉岡君は真面目に更生の道を歩んでいたのになぁ。
こんな事になって残念だよ。
全部俺の責任です。
君が責任を感じる事はない。
吉岡はあの日何度も俺に相談しようとしてたんです。
けど俺は彫刻の事しか頭になくて…。
悪いのは罪を犯す人間だ。
少年院を出て行くところがなくて困っていた吉岡君を君は引き受けてくれたじゃないか。
俺は今日限りで彫りの仕事は辞める。
これからは健司の指示で動いてくれ。
以上だ。
兄さん!やっぱりその腕…。
ああ。
もう彫刻は出来ない。
可能性は低いかもしれないけどリハビリすればなんとか…。
俺はこの腕一本で25年以上やってきたんだ。
半端な仕事は出来ない。
588…。
ゼ…ゼロ…ゼロゼロ…。
あっゼロ。
(ため息)お義兄さん一服しましょうか。
ねっ!私お茶淹れますから。
ああ…いいよ。
ちょっと出てくるわ。
安西先生!ああ…。
どうだ?事務の仕事の方は。
(ため息)俺には向いてないみたいです。
なあ村雨…。
保護司をやってみないか?保護司…ですか?ああ。
私ももう年だ。
今年で保護司の仕事はやめにしようと思ってる。
それでな私の後任に君を推薦しようと思って。
俺を?彫刻に没頭していた頃に比べたら時間はあるだろ?フッ…柄じゃないですよ。
保護司ってのは安西先生みたいな学校の先生とか人を導く人がやる仕事じゃないですか。
俺自身これからどうしたらいいかわかんないのに…。
お前だって今まで職人の頭として下の者の面倒をよく見てきたじゃないか。
でも結局俺は吉岡を死なせてしまいました。
これは?吉岡君の遺品だよ。
初めてお前に褒められた彫り物だからって大事に取っといたそうだ。
(安西)知らなかったのか?お前は吉岡君の憧れだったんだ。
えっ?よく言ってたぞ。
将来は村雨さんみたいに手に職を持って真っ当な人間になりたいんですって。
吉岡が?なあ村雨。
もしお前自身が自分を許せないと思うならば保護司になって吉岡君みたいな人たちを助けてみないか?お前にとって新しい出発になるかもしれんぞ。
(ノック)おはようございます。
(書類が落ちる音)おはようございます。
(時計のアラーム音)アイタッ!
(小山内恵美)イッタ〜…!あなた誰ですか!?えっあの…村雨です。
今日から保護司としてお世話になる…。
村雨…?安西先生の教え子で社寺彫刻家の?その村雨です。
はあ…。
(金森進吾)おうおはよう。
おはようございます。
なんだお前また泊まったのか?はい…。
おい頭頭…。
え?え?ほらいつもの。
すいません。
はあ〜。
保護観察官の小山内です。
えー…所長の金森です。
ああ…。
保護司とは非常勤の国家公務員で犯罪や非行に走り保護観察処分を受けた人の立ち直りを支える大切な存在です。
はい。
まあ給料は支払われませんが補導費などの実費弁償金は支給されます。
これが今私が1人で抱えてる保護観察対象者です。
えっこんなに!?ええ。
保護観察官ひとりではとても全員を監督指導を行う事は出来ません。
ですから現場を保護司の方にお願いしてるわけです。
対象者と面談し生活状況を把握し保護観察中に決められた順守事項を守るように指導するのがそれが保護司の具体的な仕事です。
はあ…。
神谷透29歳。
これまで私が直接指導に当たっていた青年です。
神谷君には2度の逮捕歴があります。
初めは高校2年生の時。
街で絡んできた他校の生徒を病院送りにして傷害罪で少年院送致処分を受けました。
2度目は25歳の時。
当時アルバイトをしていたコンビニに覚醒剤中毒の男が強盗に入り…。
・
(女性の悲鳴)あっ…!うわっ!強盗は死亡。
神谷君の行為は過剰防衛と判断され傷害致死で懲役4年の実刑判決を受け2年8か月の刑期が経過した時点で仮釈放が認められ残り1年2か月は保護観察処分となりました。
傷害致死…。
(阿部社長)わずか1年足らずで契約社員から正社員へと登用されたのは我が社の新記録だ。
神谷君は順調に更生しています。
以前はカッとなると暴力が止められなかったんですが最近は見違えたように落ち着いてしっかりしてきました。
保護観察終了まであと1か月。
村雨さんにお願いしたいのは残り2回の面談です。
神谷に家族は…?父親は神谷君が生まれる前に事故で他界。
母ひとり子ひとりで随分苦労したみたいで…。
母親を7年前に病気で亡くしてからは今はもう神谷君に身寄りはいません。
ですが神谷君には婚約者がいるんですよ。
(立川晴香)透さん。
(神谷透)おう。
どっちの色がいいかな?保護観察期間明けを待って式を挙げるそうです。
実は神谷君はまだ婚約者とそのご家族に自分の過去の事を打ち明けてないそうなんです。
ああ…なるほど。
(小池孝史)人は見かけによらないっていうけど本当だね。
(神谷)え?昔入ってたんでしょ?刑務所。
(小池)安心してよ。
(小池)まだ僕以外は誰も知らないから。
ホワット?「神谷透」「本籍京都府京都市北区」…。
た…たば…たばねちかほん…たば…どこだ?これ。
お義兄さん本気でやるつもりかしらね?保護司。
あれだけ打ち込んでた彫刻が出来なくなったからね…。
なんかやりたいんじゃないかな。
吉岡君の事もあるし。
そうだけど…。
せっかく時間が出来たんだから娘の光ちゃんと過ごす時間増やせばいいのに。
ねえ?
(村雨光)好きにさせとけばいいんじゃない?
(光)ねぇ緊張してない?…してないよ。
年取った新入社員みたい。
何!?いってきます!お…と…。
(ため息)あの野郎…。
決まってるじゃねえか。
ねえ。
早く行けっつうの。
お客さん来たよ。
え?あっ!いらっしゃい。
京都人材派遣サービス営業部神谷透君。
いやぁ…しかし驚いたな。
まるで別人ですか?ああ。
情けないし恥ずかしいです。
昔の自分は。
こんなに変わったのはなんかきっかけでもあるのか?やっぱり晴香の存在ですかね。
ああ結婚するんだってな。
はい。
あっお茶どうぞ。
すいません。
いただきます。
けど婚約者の晴香さんとご家族に過去の事を打ち明けてないんだって?
(神谷)それは…。
秘密にしててさもしあとでバレたらどうするんだよ?俺はもう問題を起こしません。
だから大丈夫です。
うーん…でもやっぱ隠し事はよくないぞ。
村雨さんは隠し事は何もないんですか?ああない。
…と思うけど。
家族の事はなんでも知ってますか?えっ?いやなんでも…。
嘘をつかないと守れないものもあるんです。
ああ…そういうもんですかね…。
この会社から出てってくれないか?君にはもっとふさわしい場所があるだろ。
会社は辞められません。
お願いします。
気に食わないところがあるなら直しますから。
このとおりお願いします!悔しかったら反撃しなよ。
けど仮釈放中って大変だね。
問題起こしたらすぐ刑務所に戻されるんだって?頼む…やめてくれ…。
そうやって地面に手ついて這いつくばってるのが君にはお似合いだ。
(小池)なんだよ?その目は。
(警備員)あっ…!
(パトカーのサイレン)
(岡部篤志)ご苦労さまです。
現場は屋上です。
(原光太郎)階段で行きますか。
(駒田総一郎)原さんにはかなわないなぁ。
(原)小池孝史。
このビルの中にオフィスを構える京都人材派遣サービスの社員です。
財布等金目のものは盗られてません。
怨恨の可能性もあるな。
(光)いただきます。
(しのぶ)はーい。
(健司)光ちゃんの制服姿ももうすぐ見納めか。
(しのぶ)うん。
3月には卒業だもんね。
卒業式何着て行こうかな〜。
2人とも気が早いよ。
まだまだ女子高生だよ。
おい光。
ん?お前進路どうなってるんだ?口開いたと思ったらいきなりそれ?進学もしないし就職もしないよ。
あ?どういう事だよ?どういう事も何もそういう事。
なんも聞いてねえぞ。
あのさぁいちいち説明しなきゃいけない?私を育ててくれたのは叔父さんと叔母さんの2人だけだよ。
お母さんが死んだ時も何もしなかったくせに今さら私に興味示さないで。
おい光!「男性が死亡しているのが発見されました」「身元を確認したところ京都人材派遣サービスに勤める小池孝史さん34歳である事がわかりました」「京都府警は現場の状況などから殺人事件と断定し現在捜査しています」
(携帯電話)はい村雨です。
小山内です。
殺人事件のニュース見ましたか?ああ今ちょうど。
京都人材派遣サービスって神谷が働いてる会社ですよね?しまらっきょ?げっ…なんであいつがここにいるんだよ…。
ああやっぱりしまらっきょだ。
おお村雨か。
お前こんなとこで何やってるんだよ?俺は神谷透の保護司だ。
保護…保護司!?お前が?俺が。
だって工房の仕事はどうした?暇なのか?
(舌打ち)うるせえ。
放っとけ!相変わらず生意気な奴だな。
俺は年上だぞ!それがどうした?俺は年下だぞ!ああ言えばこう言う…。
変わらないなお前は本当に。
神谷お前がやったのか?違う。
俺じゃない。
あれじゃまるで容疑者扱いじゃねえかよ。
誤解するな。
あくまでも事情聴取だ。
今のところはな。
傷害に傷害致死か。
立派なもんだなぁ神谷透。
ケンカでもしてカッとなって殺しちゃった?
(神谷)違います!俺は誓ったんです。
もう誰にも暴力は振るわないって。
そういう台詞はな一生暴力と縁切って初めて胸張って言えるんだよ。
神谷…。
仕事戻らないと。
(携帯電話)もしもし神谷です。
えっ?どうした?どうして解雇なんですか?う〜ん…。
初めから嫌だったんですよ。
それを観察官の小山内さんからどうしてもと頼まれて引き受けただけで。
殺人事件…?最近神谷さんの様子におかしなところとかなかったですか?いえ…。
透さんが疑われてるんですか?どうしてですか?刑務所に入ってたって本当なの?私は私の全てを透に見せてきたつもり。
でも私は透の事何も知らなかった。
帰って。
おかべ君!小山内!?待ってたよ。
うわっ出たよ。
ありがとう。
ああ…。
はい。
飲んで。
おっ?これはこれは…。
元キャリア組刑事の保護観察官殿じゃないですか。
私の部下に一体なんのご用でしょう?旧交を温めてただけですから。
それじゃあ。
おい!お前も元同期だからって部外者に捜査情報をベラベラ喋ってんじゃないだろうな。
そんな事するわけないじゃないっすかぁ。
ルールは守れよルールは。
なあ!はい。
亡くなった被害者の小池孝史は死亡直前に警察に通報しているそうなんです。
(電話)京都府警捜査一課。
(小池)「犯罪者を告発したいんですが…」その通報があったのがゆうべ午後8時50分。
警備員が遺体を発見したのが午後9時5分。
犯行時刻はその15分間って事ですか?ええ。
でもここからがポイント。
ゆうべあのビルの前は物流工場の夜勤に派遣されるスタッフ20名の集合場所になっていたそうなんです。
おはようございます。
(間宮哲夫)おはようございます。
犯行時刻である15分間ビルの正面玄関には派遣スタッフが集まっていて誰一人ビルから出て来た人間を目撃していなかった。
さらにその時刻常駐している警備員が裏口を通った人間はいなかったと証言。
遺体を発見したもう1人の警備員はビルの中に誰も残っていない事を確かめている。
だったら誰にも被害者が殺せないじゃないですか。
ええ。
だから警察も頭を痛めてるみたいで。
(ため息)冗談じゃないっすよ。
疑われただけで神谷は仕事まで失ったんですよ。
保護観察対象者が不利益を被る事は珍しい事じゃないんです。
だから神谷君も前科を隠したんでしょう。
(ため息)神谷君何か話しましたか?あいつはやってないと言ってます。
だといいけど…。
小山内さんは信じてないんですか?神谷を。
村雨さんはどう思いますか?まだわかりません。
保護観察中に再犯をしてしまう人がいる事も事実です。
神谷君カッとなって自分を止められなかったのかも。
もう一度神谷と会って話をしてきます。
(犬の吠える声)おい…神谷!何やってんだやめろ!どけよ!おい!落ち着け!物に当たったってしょうがねえだろ。
俺は殺してない!だったら堂々としてろ!無理だよ…。
何があったんだ?話してみろ。
晴香に俺の過去の事知られたんだよ!晴香だけなんだよ…。
こんな俺の事必要だって言ってくれたの。
だから俺は変われた。
晴香がいなかったら…俺は昔の俺と何も変わらない。
いきなりお前の過去を知ったら誰だって最初は戸惑うさ。
きちんと話せば晴香ちゃんだってわかってくれる。
俺と一緒に行こう。
(チャイム)
(立川忠)やあ。
あなたは?神谷の保護司の村雨と申します。
すいませんでした!俺は自分をよく見せようと嘘をついてました。
けど今回の事件とは何も関係ありません。
もう一度だけチャンスをください。
お願いします!いい加減にしなさい!あの…お父さん。
晴香隠れていないで出てきなさい。
目の前の問題から逃げるなといつも言ってるだろう。
晴香…。
どうして正直に話してくれなかったの?嫌われたくなかった。
ごめん。
式は中止だな。
いい…。
信じてるから。
(神谷)晴香…。
あの…あとは2人に。
どうぞ。
あ…はい。
これでいい?うん。
ありがとうございました。
(立川)いや感謝される事など何も…。
いえ。
でもすごいですね。
同じ娘を持つ父親として尊敬します。
俺にはとても真似出来ません。
私も若い頃は色々馬鹿やったもんです。
短い付き合いですが神谷君の事はわかってるつもりです。
それに大切なのは2人の気持ちですから。
(津山秋人)水くさいな透君。
言ってくれればよかったのに。
津山さんは晴香の幼なじみなんだ。
家が近所で。
晴香ちゃんが短大を卒業してから店を手伝ってもらってるんです。
へえ〜。
あっここは津山さんの店なんですか?脱サラして始めまして。
はぁ〜若いのに大したもんだ。
正直苦労の方が多いですけど。
村雨さんどうぞ。
あっありがとう。
いつもお世話になってます。
いやぁ俺なんてねもう…何もしてないから。
これからも透さんの事をよろしくお願いします。
はい。
おいどこで晴香ちゃんみたいないい子と出会ったんだよ?あっ俺もその話聞いてみたいな。
大した話じゃないよ。
え?偶然なんですよ。
(鈴)・
(子供の泣き声)・
(神谷)大丈夫だよ。
ちょっと何してるの!迷子?
(晴香の声)ええ。
お母さんとはぐれたみたいで…。
私透さんの事をてっきり誘拐犯か何かだと勘違いしちゃって。
はづき!
(神谷)あっお母さん来たよ。
お母さんに会えてよかった…。
(母親)よかった…。
(母親)よかった…。
(母親)はづき…無事でよかった。
優しいんですね。
別に…。
何か?どっかで会った事ある?えっどこで?いやどっかで…。
ハハッ!そんな事こいつが言ったの?本当に?ええ。
前に会った事はないか?って。
くっさい口説き文句だなぁ。
聞いてるこっちが恥ずかしいわ。
その時は本当にそんな気がしたんだよ。
縁があったんだね2人は。
コラーッ!
(神谷)イテテテテ…。
ちょっと何すんの。
もう晴香ちゃんを泣かせるような事するなよ。
わかってる。
なんかごめん。
こんな事まで手伝ってもらって。
全くだ。
こっちはただ働きなんだぞ。
おっ!随分懐かしいおもちゃ持ってんじゃねえか。
おっ「とおる」…。
俺も小さい頃よく遊んだなぁ。
よっ!親父に教えてもらってさ。
おうおうおう…ハハッ。
昔の事なんてどうでもいいよ。
どうした?あっごめん…。
ただ警察に疑われながら結婚式とか無事挙げられるのかなって不安になって。
ああ〜。
そうだなぁ…。
せめて式までに容疑晴らしてえよな。
あのビルの中にこう隠れられるような場所ってないですかね?ありませんよ。
誰か残っていれば必ず私と鉢合わせしていたはずです。
(間宮)誰も出て来ませんでしたよ。
ただ警察の人にも話したんですけど…。
フードをかぶった人間がこの辺ですか?ここ?はい。
初めは派遣スタッフの人かと思ったんですけど点呼取ったら全員そろってたんで違ったんですよね。
人を待ってるみたいにずっと立ってましたよ。
フードの色とかわかりますか?わからないですね。
背格好とかなんか覚えてる…。
すいません。
点呼取りまーす!・しまらっきょ!こっちこっち!ああ〜!魂胆はわかってるぞ村雨。
なんだよ?魂胆って。
飯でもおごって捜査情報を引き出そうって腹だろ。
疑り深くなっちゃってもうやだねぇ。
刑事やってれば誰だってそうなる。
せっかく少年野球クラブの同窓会やろうと思ったのにさぁ…3人で。
3人?よっ!あ…安西先生!ようよう!どうもご無沙汰しております。
どうぞどうぞ。
頑張ってるようだな。
いやぁ先生こそお変わりなく。
なんで先生がここに…。
ん?そうか…。
先生なんですね?村雨を保護司の道に引っ張り込んだのは。
ああ…まあな。
でも村雨保護司には向いてないんじゃないですか?そうかな?俺はやはり村雨に頼んでよかったと思ってるぞ。
なんたってこいつは世話焼きだからな。
世話焼きっていうよりこいつはただのお節介なんですよ。
「しまらっきょしまらっきょ」ってからかわれてた先輩をさかばってあげたじゃないの。
わざわざ嫌な事を思い出させるんじゃないよ。
昔から不思議に思ってたんだが駒田なんで「しまらっきょ」って呼ばれたんだ?それは村雨に聞いてくださいよ。
ん?俺?お前がそう呼び始めたのが広まったんじゃないかよ。
そうだっけ?そうだよ!少年野球クラブの合宿の朝に朝起きたら寝癖で髪がこんなんなっててそれでそれお前見て「うわぁしまらっきょみたいだ」ってはやし立ててそれがずっと広まって…。
なんで自分で俺が説明しなきゃ…。
しまらっきょの好きな生麩田楽…。
あげる。
おっ悪いな。
うん!これいい味つけだな。
うん。
ふざけるな!この歳になってまで餌付けが通用するとでも思ってるのか!途中で返すの?じゃあ貰っちゃおう。
ちょっと待て待て…!ダメだ…。
何?何?それはそれこれはこれでやっぱりちょっと貰っとこう。
お前たち見てると昔に戻ったみたいだな。
ねえ先輩。
ん?フードの人間については調べてるの?当たり前だろ。
正面玄関に集合してた派遣スタッフは?事件発覚後すぐに調べてるよ。
他になんか情報ない?いい加減にしろ。
素人が捜査に口出しをするな。
それはルール違反だ。
先生じゃあ…。
私はちょっとこれで失礼します。
これでちょっとすいません…。
ハハハ…変わらんな駒田の生真面目さは。
保護司は吉岡を刺した喜多川のような人間の社会復帰も助けるんですよね?不服か?お前の気持ちはよくわかる。
取り返せない事は確かにあるな。
それでもな心から反省してやり直したい。
そういう気持ちがあれば遅すぎるって事はないんだ。
神谷君の保護観察はどうなんだ?俺は神谷を吉岡に重ねてる気がします。
あいつを救う事が吉岡への償いに繋がる気がして…。
卑怯な考え方でしょうか?いや吉岡君もそう望んでるよきっとな。
明日は最終面談か?ええ。
(携帯電話)あっちょっとすいません。
(携帯電話)小山内さんです。
おお…。
はい村雨です。
「今すぐ観察所まで来てください」
(電話の切れる音)なんか怒ってるみたいです。
(せき払い)うわっ!警察からクレームがあったんですよ。
保護司に捜査の真似事なんかさせるなって。
しまらっきょの野郎もう…。
どういうつもりなんですか?いやぁ俺はただね神谷の無実を証明したいだけですよ。
で何かわかったんですか?あっ事件のあった日ビルの前でフードをかぶった不審な人物が目撃されてました。
フードをかぶった人物?はい。
うわっ!謎の人物の登場ね。
一体いつこんなの作ったんですか?昨日夜通し作ってたんだよ。
元刑事の血が騒ぐみたいで。
小山内さんって実は…暇なんですか?失礼な事言わないでください!彼女はね何事にも一生懸命だから。
でも犯人はどうやって誰にも目撃されずにビルから脱出したかですよね。
ああ…秘密の抜け道でもあるんじゃないんですかね?ああ…。
いや違う違う。
一緒に事件を推理するために村雨さんを呼んだわけじゃないのに。
とにかくね今後とも勝手な行動は慎むように。
(2人)はい。
神谷!村雨さん…。
おう。
(竜崎憲)なんだ?お前。
竜崎さん。
昔世話になった人でさっき偶然会って。
ああ…。
どうも。
保護司の村雨さん。
ああ〜保護司先生ね。
神谷とはどういった関係なんですか?はぁ?同じ釜の飯食った友達ですよ。
どうっすか?先生も一緒に一杯。
いや俺は…。
そうっすか。
残念だなぁ…。
仕方ねえ今日は2人で飲み歩くか。
おい行くぞ。
大丈夫か?はい大丈夫です。
明日の朝10時最終面談遅れるなよ。
(竜崎の悲鳴)
(原)遺体の身元は竜崎憲37歳。
強盗と恐喝の前科がありました。
およそ半年前に刑務所を出所したばかりです。
自宅のベランダから落下したのか…。
あぁ?原さんちょっとこれ見てくれ。
竜崎のではありませんね。
ああ。
あとこれは事件と関係あるかわからんですが奇妙な偶然が…。
なんだ?竜崎は京都刑務所で神谷透と同房でした。
神谷と?
(岡部)駒田さん原さんちょっと来てください。
なんだ?ファイルを調べてたらこんなものが。
なんだこりゃ…えっ?
(ため息)遅えなあいつ…。
(携帯電話)あれ?はい村雨です。
えっ?か…神谷が警察に?小池竜崎。
お前に関係ある人間が次々と殺された。
偶然にしちゃ出来すぎじゃないか。
これを見ろ神谷。
竜崎のパソコンに保存されていたものだ。
神谷お前竜崎と刑務所でもめてたらしいな。
(刑務官)コラッやめ!やめんかコラッ!
(竜崎)てめえこの野郎!離してくれよ!それでお前の事ねたんでいた小池にお前の過去を密告した。
お前の過去を知った小池はその事でお前を脅し始めた。
違うか?確かに俺は小池に脅されてました。
それであの晩小池を呼び出して殺してしまった。
違います!俺は小池に呼び出されたんです。
なんだよ?その目は。
(小池)ようやく本性を現したな。
(神谷の声)確かに一瞬つかみかかりました。
けどそれだけです。
どうして嘘をついていた?それは…。
少しでも自分への容疑そらすためだろうが!俺は犯人じゃありません。
先輩!神谷は…?もう帰した。
引きとめておけるだけの証拠がまだそろってないんでね。
いい加減に目を覚ませ村雨。
お前は神谷に利用されてるだけだ。
あいつはそんな人間じゃねえよ。
本当にそう言い切れるのか?神谷は嘘をついている。
小池孝史に過去をバラされたくなかったら仕事を辞めろと脅されていたんだ。
…えっ?お前は神谷の事を知ってるつもりになってただけだ。
それでよく保護司を名乗れるな。
まあ…お前の好きにすればいい。
だがな村雨。
後味のいい事件なんてものはないぞ。
脅されてた事どうして黙ってたんだ?俺が小池から脅されてたって知ったら村雨さんだって俺が殺したって思うだろ。
そんな事わかんねえだろ。
わかるよ!前科持ちの人間が言う事なんて誰も信じない。
だからって…いつまでも隠してごまかし続けるのか?村雨さんに俺の気持ちはわからない。
どんなに頑張ったって過去は変えられない。
俺みたいな奴生まれてきた事自体間違いなんだよ。
そんな事言うな。
じゃあ教えてくれよ!どうやったらこんな惨めな人生やり直せるっつうんだよ!こんなんで…!どうやって晴香を幸せに出来んだよ…。
村雨さんだって本当は思ってんだろ?人生はやり直しがきかないって。
ご苦労さまでした。
村雨さんには来月から別の対象者をお願いします。
これで…終わりですか?神谷君の案件は忘れて次の案件に集中してください。
案件…。
この仕事は気持ちの切り替えが大切なんです。
保護観察対象者は神谷君だけではないんですから。
ですけど…。
村雨さん。
あとは警察の仕事です。
残念ですけど仕方ありません。
私たちに出来るのはここまでです。
結局俺は神谷に何もしてやれませんでした。
俺なりに頑張ってきました。
吉岡の分まで。
けど神谷は最後まで心を開いてくれませんでした。
昔私が担当した対象者の中に手癖の悪い男がおってな。
「もうやりません」って口では誓うんだが懲りずに何度も何度も窃盗を繰り返す困った奴だった。
信じては裏切られその繰り返しだ。
彼の更生に手を貸すという努力は無駄かもしれないと思った事もある。
だがなある時保護観察事件記録の中で彼は幼い時に両親に捨てられた事がわかったんだ。
ひょっとして彼は極度の人間不信かもしれない。
そう思ったらな見捨てるわけにもいかなかった。
(安西の声)保護観察が終わってからも私は度々その男の前に顔を出した。
するとある頃からパッタリと彼は足を洗ったんだ。
(安西)その理由を尋ねるとな彼はこう言った。
ようやくあんたを信じてみようという気になったって。
村雨。
初めてその男に私が会ってから15年…。
15年も経っていたんだぞ。
先生はどうして15年も諦めずにいられたんですか?こっちが手を差し伸べるのを諦めない限り相手も必ずいつか手を握り返してくれる。
そう信じたからさ。
小山内さん保護観察記録見せてください。
村雨さん…。
何やってるんですか?しかもそれ神谷君の…。
何度言えばわかるんですか?神谷君の保護観察期間は終わったんですよ?俺の中では終わってません!何が知りたいんですか?わかりません。
けどもう一度初めから神谷と向き合ってみようと思って。
すいません。
ん?「子供の頃の話に強く拒否反応を示す」あっ。
家庭環境が複雑だったり家族との関係に何か抱えてたりするとそういう反応が出たりする事もあります。
そういえば…。
昔の事なんてどうでもいいよ。
神谷が子供の頃住んでたのは…。
えーっと…。
金杉ハイツ…金杉ハイツ…。
すいませんここ片付けお願いします!なんなの?もう!
(波多野勇蔵)ああ…神谷美代子さんと透君。
よーく覚えていますよ。
何せ印象的な親子だったから。
あ…ちょっと待ってくださいね。
はい。
村雨さん。
晴香ちゃんにここだって聞いてな。
もう二度と会う事ないと思ってた。
保護観察期間が過ぎたら会いに来ちゃいけねえか?別にそんなわけじゃないけど…。
ありがとう。
お母さんに結婚の報告してたのか?謝ってたんだ。
生きてた時は何一つ親孝行してやれなくてごめんって。
神谷1つ聞いてもいいか?何?23年前何があったんだ?…え?不動産屋の波多野さんから聞いた。
(ノック)いらっしゃい。
お前とお母さんまるで2人でどっかから逃げてきたみたいに見えたって。
それにこんな話も聞いた。
お前が傷害で少年院に入る事になった時お母さんずっと私が悪いんだって自分を責め続けていたらしい。
余計なお節介なのはわかってる。
でも…。
どうしてもきちんとお前の事を理解したいんだ。
(神谷)最後までおふくろには迷惑かけっぱなしだった。
謝らなきゃいけないのは俺の方なのに死ぬ間際おふくろが俺に言ったんだ。
つらい目に遭わせてごめんねって。
ずっと負い目があったんだと思う。
負い目?俺がまだ小さかった頃おふくろには恋人がいてその男はおふくろが見ていないところでずっと俺に手を上げてたんだ。
(神谷)あっ!
(神谷の声)なんで暴力を振るわれてるのかわからなかった。
毎日が地獄だったよ。
お母さんに相談しなかったのか?そうされる自分が悪いんだと思っておふくろにも言えなくてずっと隠してた。
1年くらいしておふくろがようやく気づいてくれた。
けど気づいたら今度は俺が人に暴力を振るうような人間になってた。
今でも思い出すのか?まあね。
顔も名前も思い出せないけど1つだけ鮮明に覚えている事があるんだ。
独楽?
(神谷の声)うん。
回し方を教えてもらって2人で回して。
おふくろとは違う温かさがあってすごく嬉しくてさ。
そうか。
お前の部屋にあったあの独楽か。
けどどうせ殴るんだったら優しくなんてしてくれなくてよかったのに。
その人の事が憎いか?もちろん。
そいつのせいで俺とおふくろの人生は狂ったんだから。
けど俺が刑務所に入るようになったのは子供の頃の虐待が原因だとは思っていない。
俺が弱かっただけ。
よく話してくれたな。
初めて人に喋ったよ。
村雨さんお子さん1人?ああこの間会ったあいつ。
ああ…!うらやましいなあ!いい親父さんがいて。
いや…。
ケヤキ2本運んどいて。
わかりました。
健司。
あっおかえり。
光に伝えてくれねえかな。
ん?色々言ったけど好きな道を選べって。
自分で言えば?直接話すとケンカになるからさ。
だとさ。
お〜っしゃあ…!
(携帯電話)神谷どうした?頼むよ。
はい。
村雨さん!ヘヘッ…。
はい就職祝い。
ええ?いや面接受けるって言っただけなのに。
気が早いな。
ダメだったのか?見習いだけど一応正社員。
ちゃんとみんなに俺の過去の事聞いてもらってそれでもいいって。
脅かすなよお前!ほい。
ありがとう。
早く晴香ちゃんに知らせてやれ。
ああ…。
そうだ!村雨さんも一緒に来てよ。
これ開けようよ!ええ〜っ?おいおいおいおいおいおい。
(2人の笑い声)
(植木鉢が割れる音)
(晴香)あっ!晴香!?晴香!大丈夫か?どうした?実はこれが初めてではないんです。
えっ?いつからこんな悪質な嫌がらせが?半年ぐらい前です。
ちょうど透さんとの結婚が決まったあたりから…。
初めは無言電話でした。
それから私や私たちの結婚を中傷するようなファクスが届くようになって…。
(晴香)最近は誰かに監視されてるような気がして…。
私一度見たんです。
フードをかぶった人間?色は覚えてる?暗くて色までは…。
黒っぽかった気がしますけど。
どうしてそんな大事な事今まで黙ってたんだよ?ごめん。
心配かけたくなかったから…。
気をつけてな。
閉めるぞ。
ああ〜っ!ああ…!ああ…クソッ!神谷の婚約者が悪質な嫌がらせを受けている?ああ。
しかも犯人は例のフードの男かもしれない。
これは?そのフードだよ。
そいつが病院で神谷たちを探ってたんだ。
追っかけたけどもう一歩のとこでヘビみたいにこいつを脱皮して逃げやがった。
ふーん相変わらず運動神経だけはいいな。
先輩まだ神谷を疑ってるのか?捜査情報は喋れない。
ルールだからな。
お前こそまだ神谷のお守りを続けてるのか?保護観察期間はもう終わったんだろ。
俺は絶対に神谷の無実を証明する!その前に神谷が逮捕されなきゃいいけどな。
これは一応受け取っておくよ。
小山内さん!どうしたんですか?1人で事件について調べる気でしょ?えっ?えっと…。
私も協力します。
・おはようございます。
・おはようございます。
どうしてここへ?現場百遍捜査の鉄則ですよ。
フードをかぶった男が目撃されたのは確かこのあたりですよね?ああなんかねこの辺でなんかこんな感じでいたみたいですね。
そして小池孝史が殺害された時刻ビルの表にはこのように人がいた。
誰にも被害者は殺せないって話でしたよね。
・
(間宮)点呼取ります!白川さん。
もう一度話聞いてみましょう。
あっはい。
高岸さん。
はい。
はい。
加藤さん。
加藤さん…加藤さんですか?いやいや…村雨です。
先日お話を伺った。
ああ…!どうも。
加藤さん休み…と。
これだ!ん?犯人は小池孝史を殺害してビルの屋上から逃げた。
するとビルの前に派遣スタッフが集まっていた。
警備員の巡回と重なり犯人は焦った。
その時犯人はとっさに休んでいる派遣スタッフになりすます事を思いついた。
あたかも最初からそこにいたようなフリをしたわけですね。
点呼の時なら玄関に注意を払う人はいない。
これですよ村雨さん。
あの夜の派遣スタッフの情報を手に入れましょう。
なんと言われようと無理です。
一緒に働いてた部下じゃないですか!あいつが頑張ってたのをずっと見てくれてたんじゃないんですか?行きましょう村雨さん。
ちょっと待ってください。
事件当日物流工場に派遣されたスタッフの中に給料を取りに来なかった者がいます。
この者には私の方から連絡を取っておきます。
神谷に腐らずに頑張るように伝えてください。
ありがとうございました!じゃああなたはあの日京光ビルの前には行っていないんですね?
(野口正巳)ええ。
あの…ほなもうええですか?ちょっと腹具合がおかしくて…。
あっあっ…ご足労おかけしました。
ありがとうございました。
すいません。
間違いない。
犯人は野口正巳になりすましたのよ。
先輩!おいちょっと…!何勝手に入ってきてんだよ。
駒田さん。
なんの用だ!?小池孝史殺害当日ビルの前に集まっていた派遣スタッフを全員調べ直してください。
ええ?野口正巳という人間が本当は仕事に行ってなかったんです。
何!?小池を殺した犯人は派遣スタッフに紛れ込んであのビルから逃走した。
だから目撃情報が出なかったんだよ。
ありえない!事件発覚後すぐに全員から事情を聞いている。
怪しい人間はいませんでしたよ。
原さん。
(原)はい。
物流工場の防犯カメラの映像を手配してください。
それから派遣スタッフ全員をもう一度洗い直せ!
(岡部)…はい!実はこっちにも動きがあった。
村雨。
えっ!?お前がこの間持ってきてくれたフードなあの持ち主が十中八九竜崎殺しの犯人だ。
(竜崎の悲鳴)あと気になる事がもう1つだけある。
竜崎はこれまで何件もの脅迫事件にかかわっているが脅しに手紙を使うなんて回りくどいやり方は一度もした事がない。
竜崎の背後に誰かいるって事ですか?うん…竜崎を使って小池に神谷を脅すように仕向けた奴がな。
でも神谷君への脅しと晴香ちゃんへの嫌がらせ何か関連があるのかしら?じゃあ…。
うん。
もうすぐお前の無実が証明されるはずだ。
これで迷いを吹っ切って式が挙げられるだろ?村雨さん。
ん?ありがとうございます!なんだよ改まって。
村雨さんがいなかったら俺はとっくに諦めてた。
何言ってんだ。
あっ悪いけど俺お義父さんに報告してきます。
ああ…そうそれがいいよ。
晴香ちゃん神谷君と一緒に帰っていいよ。
じゃあそうさせてもらいます。
ああそうだ。
それがいいそれがいい。
すいません津山さん。
すいません。
村雨さん。
はい。
晴香に嫌がらせしていた犯人見つかりそうなんですか?ああそれなんですよね〜。
警察が動いてるんですけど手がかりは犯人が残していったフードだけですからね。
まあ紺色のフードなんてどこにでもありますからね。
ああ…そうっすね。
晴香ないぞ!もう2人とも明日が式だって事忘れないでよ。
ああいいよ。
俺取ってくるから。
(晴香)本当?ありがとう。
悪いね。
(ファクスの受信音)ファクスなんだったの?大丈夫…だよね?私たち結婚しても。
ああ当たり前だろ?心配いらないよ。
先輩。
ちょっと調べてもらいたい事があるんだけど…。
(鐘)
(鐘)神谷君を信じてついていきなさい。
ほらっ。
・
(パトカーのサイレン)
(パトカーのサイレン)おい!先輩!おう。
家宅捜索の結果ボタンに残されていた指紋から竜崎殺しの犯人が割れた。
・
(女性の悲鳴)
(立川)うわあ!お父さん!来い!えっ!?嫌…。
(津山)来るな!頼む。
津山秋人!竜崎殺害容疑で逮捕する。
無駄な抵抗はよせ。
村雨さんやっぱりあの時気がついたんでしょ?ああ。
まあ紺色のフードなんてどこにでもありますからね。
フードの色まで知ってるのは俺と警察と犯人だけだ!口は災いの元ですね。
もう諦めろ!いや…まだ早い。
馬鹿な真似はやめろ!
(神谷)晴香!
(立川のうめき声)大丈夫ですか?お願いします。
あっはい。
(晴香)嫌…!おとなしくしろ!
(津山)来るな!やめろ!津山。
そんな事してどうする?どうせ捕まるくらいなら晴香を…ここで晴香と一緒に死ぬさ。
…どうして?「どうして」?教えてあげようか晴香。
君が…あんな男を選んだからだ。
(津山の声)俺はあの日見たんだ。
(津山の声)あんな笑顔…見た事なかった。
小さい頃からずっと見守ってきた俺がだぞ!あの笑顔は本当は俺に向けられるべきものなんだ。
(津山の声)それから話は進んで1年後には結婚。
そんなの納得出来るか!
(津山)晴香は俺のもんだ。
それを横からあいつがかっさらってった。
晴香ちゃんに嫌がらせしてたのはお前だな!それぐらい当然だろ?俺は2人から屈辱的な仕打ちを受けたんだ。
お前の目的は神谷の仮釈放を取り消しにして刑務所に戻す事だった。
そうだな?そうさ。
小池と竜崎を使ってね。
(津山の声)神谷の弱みを探ってるうちに竜崎を見かけたんだ。
何かあるとすぐにピンときたよ。
(竜崎)誰のせいで俺のムショ暮らし延びたと思ってんだよコラ。
俺のせいじゃない。
ああ?
(殴る音)うっ…うう…。
今日はこれぐらいで勘弁してやるよ。
(津山)あ…あの…。
なんだお前!すいません。
ちょ…ちょっと飲みませんか?
(津山の声)竜崎はベラベラ喋ってくれたよ。
神谷の過去についても刑務所時代の因縁についても。
お前は竜崎を使って小池孝史に過去を教えた。
(津山)小池は神谷を潰したくてうずうずしてたからね。
なぜ竜崎を殺した?仲間じゃなかったのか?あいつが…強欲なだけの馬鹿だったからさ。
もう十分だろう?お前そう言うなよ。
あんたの代わりに無言電話やファクスなんか嫌がらせ全部引き受けてるだろうが。
あ…その分の金は払ってる。
(竜崎)俺たちやってる事は脅迫だぜ?これがバレりゃあよ…あんたの真っ白な経歴に傷がつくんだぞ。
(竜崎)おいっ!!なんならよ神谷と組んでお前陥れてやろうか?
(竜崎)金が入るならどっちでも変わりねえから。
(津山)うっ…ああっ!
(竜崎)てめえ…!
(竜崎の悲鳴)死んで当然なんだよ!あんな奴は。
あんたが小池も殺したのか?なんで俺が小池を殺さなきゃならないんだ?俺はあの日刑務所に逆戻りになるお前を見物するつもりだったんだ。
(津山の声)なのにお前は何食わぬ顔でビルから出てきた。
(津山の声)小池が臆病風にでも吹かれたんじゃないかと思って出てくるのを待っていた。
するとそこにいるはずのない人間がビルから出てきた。
俺は小池を殺した犯人をこの目で目撃したんだ。
驚いたよ。
あまりに意外な人だったから。
神谷!誰がなんのために小池を殺したんだと思う?コラーッ!
(神谷)晴香!村雨!
(津山)あ…ぐっあ…。
(ナイフが落ちる音)馬鹿野郎!ああ…!
(原)岡部!
(岡部)はい!村雨さん…。
晴香。
神谷君。
あっお父さん。
忠さん。
先ほど落とされましたね。
お願いします。
あっはい。
大丈夫ですか?
(立川)うん…。
俺はこれと同じ絵柄の独楽を神谷のアパートで見たんです。
ちょうど一回り小さくてこれが親なら子供のような大きさの独楽でした。
この独楽を見た時全てが繋がりました。
小池殺しは憎しみによる犯行じゃない愛情による犯行だと。
小池を殺したのは…あなただったんですね。
(立川)やめろー!
(立川)透…ん?透。
お前のお父さんは誰だ?えっ!?言ってみろ!つらいでしょうけどやっぱ…隠し事はよくないっすよ。
(立川)君のお母さんはかつて私が勤めていたスーパーでパートの仕事をしていた。
お母さんは君を私は晴香を。
2人とも幼い子供を抱えた者同士親しくなるのにそう時間はかからなかった。
透君ありがとう。
うん。
(神谷美代子)ああご飯くっつけて。
(立川の声)初めは幸せだった。
12の3!おおー上手になったな。
よし父さんも…よいしょ!ハハ…!
(立川の声)それがある日全てが狂ってしまった。
(立川の声)私は君の父親になろうと焦りすぎていた。
どうしてお父さんの言う事が聞けないんだ!おじさん本当のお父さんじゃない!痛くなかったか?
(立川)やめなさい。
そんな目で見るのは…。
なんだその目は!やめろー!
(立川の声)罪の意識が私の暴力を日ごとエスカレートさせた。
そんな生活が1年近く続いたある日…。
お父さんだぞ!
(美代子)透行くわよ。
さっさとしなさい!
(立川の声)ついに君のお母さんは異変に気がついた。
あなたは人間の皮をかぶった鬼よ!
(晴香)お兄ちゃん…。
(立川)うっ…ああっ。
(嗚咽)
(立川)この独楽を君との唯一よい思い出そして自分への戒めとして肌身離さず持ってきた。
真実を打ち明けるべきか隠し通すべきか。
いくら悩んでも答えは出なかった。
そしてようやくあの日全てを打ち明ける決心をして君の職場に向かったんだ。
(小池)ようやく本性を現したな。
ヘヘヘ…。
(笑い声)
(小池)みんなにバラしてやる。
警察にも通報する。
君はおしまいだ。
ハハハ…!
(立川)人の過去をあざ笑って恥ずかしくないのか?
(小池)なんですか?いきなり。
誰ですか?あなた。
懸命に困難を乗り越えようとしている人の足を引っ張って君は良心が痛まないのか?悪人に同情する余地なんてないでしょ。
お願いだ!やめてくれ。
頼む!頼みます。
(小池)うるさいな。
(警察官)「京都府警捜査一課」犯罪者を告発したいんですが。
やめろ…。
何すんだよ!?君は私と同じ…人間の皮をかぶった鬼だ!うっ!あっ…。
あ…あ…。
神谷を守るためだったんですね。
汚れた人間を遠ざけたい。
ただその一心でした。
小池さんを殺したあとあなたはビルの正面玄関に向かった。
しかしそこにはすでに派遣のスタッフが集合していた。
・
(足音)
(間宮)野呂さん。
はい。
(間宮)生沼さん。
はい。
(間宮)野口さん。
野口さん!野口正巳さんいらっしゃいませんか?はい。
(間宮)あっ野口さん。
しかしあなたはビルから出てくるところを津山に目撃されてしまった。
これが全てです。
思えば私こそ刑務所に入るべき人間なのに…この歳になるまでむざむざと生きてしまいました。
これでようやく帳尻が合います。
先輩!ちょっとだけ待ってやってくれ。
ダメだ。
悪いのは私だ。
君は何も悪くない。
(立川)許してくれとは言えないが…すまなかった。
晴香!すまなかった。
どうか幸せになってくれ。
お父さん…。
公務執行妨害で逮捕されたいのか?忠さんに時間をやってくれ。
そこどけ!村雨。
こんな終わり方じゃ誰も前に進めねえんだよ!神谷はずっと後ろばっかり見て生きてきたんだ。
いい加減前向いて歩かしてやりてえんだよ。
立て。
式始めるぞ。
(神谷)こんな状況で結婚なんて無理に決まってんだろ!泣き言言うな!お前がそんな弱気で誰がこれから晴香ちゃん支えていくんだよ!犯した罪は消えない。
過去はやり直せない。
お前が言ってたとおりだよ。
けど…けどな…人は変われるんだよ。
どんな過去を背負っていてもなりたい自分になれるんだって…。
それを教えてくれたのは神谷お前じゃねえか!許せるわけないじゃないですか!だったらどうしてお前はあの独楽を捨てずに持ってたんだ?立て。
立て。
いいか?なあいいか?こっち見ろ。
ん?今しかないんだぞ!今日この時しか!きれいだよ。
晴香を頼みます。
お義父さん。
(嗚咽)ありがとう。
ありがとう。
ルール守んなくていいんすか?今日は例外だ。
(立川)2人をよろしくお願いします。
はい。
先輩ありがとうな。
別にお前のためじゃないよ。
いいとこあるぜしまらっきょ。
やめろよ!その呼び方。
ハハハハ!笑うな。
…ったく。
ハハ!刑事よりむちゃする保護司なんて初めてです。
小山内さんこそ元刑事の血が騒いでたじゃないすか。
今度は手伝いませんから。
フッ。
(安西)顔つきが変わったな。
えっあ…そうですか?ついこの間まではお前は罪と後悔の意識に苛まれていたように見えたからな。
吉岡の事でどうしても自分が許せなかったものですから…。
うん。
しかしその苦しみがあったからこそ神谷君と同じ目線に立って向き合う事が出来たんだろう。
大変大変!たった今吉岡君を刺した喜多川裕也が両親に連れられて京都府警に出頭してきたそうです。
そうですか…。
犯罪はあらゆるものを破壊しつくしてしまう。
人々の幸せな日常を奪い絶望の中へ突き落とす。
だがな村雨どんなに足を踏み外した人間にも良心のかけらというものは残ってるはずだ。
そのかけらをつかんで引き出して更生の道を探ってやる。
それが保護司の仕事だと私はそう思う。
あとは頼んだぞ村雨。
安西先生の後継者か。
大変な使命を託されましたね。
じゃ明日からガンガン働いてもらおうっと。
・おう。
(のみを振るう音)光?
(健司)驚いた?
(しのぶ)光ちゃん高校出たら彫刻やりたいって。
反対されると思って言い出せなかったらしいけど兄さんが手をけがして夢を継ごうって決心したみたい。
違う。
違うんだよ。
おい!お前…。
荒落としなんだからお前細かくやらないでもっと大きく…。
ああもう!少し黙っててよ。
私には私のやり方があるんだから。
何?それが大先輩の…親に対する口の利き方か。
言われたくなかったら少しでも親らしい事したら?言ってくれるじゃねえかよ。
娘らしさのない娘がよ。
(2人)フン!あと任せたぞ。
よく来たな。
甘いもの好きか?ん?大福とようかんどっちがいい?どっちも好きです。
ハハ!どっちもか。
2014/07/06(日) 15:25〜17:25
ABCテレビ1
ホゴカン 熱血保護司・村雨晃司の事件簿[再][字]
23年後に動き出した殺人連鎖!赤く染まった花嫁衣裳!?闇に消えた男の謎…
詳細情報
◇番組内容
とある事件を機に生き甲斐を失った社寺彫刻家が、新米保護司として再スタート!保護観察中の青年を救うため殺人事件に体当たりで挑む、まったく新しいヒューマンサスペンス!!
◇出演者
寺脇康文、田畑智子、遠藤雄弥、星野真里、菅原大吉、菅田俊、加藤貴子、竜雷太、佐野史郎、里見浩太朗
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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