ふるさと再生 日本の昔ばなし 2014.07.06

昔むかしあるところに八五郎という働き者の奉公人がおりました。
お前がお屋敷を逃げ出すからひと晩中山の中を歩くことになっちまったんだぞ。
ハハッ馬の耳に念仏か。
うわっ!おいおい待て!待ってくれ。
なんだのどが渇いたのか。
こんなところに沼が。
あっ!何だ?ん?これは!あっ!何だこりゃ!逃げ出した馬を探しに出た奉公人の八五郎は山で見た光る沼のことを長者さまに話しました。
金色に光る沼だと!?そのとき長者さまが思いついたのは近くの山のどこかに眠るお宝の言い伝えでした。
長者さまは屋敷中の奉公人を沼に連れていきお宝を探させることにしました。
ゴホッゴホッやれやれこの歳になって沼の泥をさらうとは思わなかった。
すまねえなじっちゃん。
おらが余計なことを言ったばかりに。
こら!ムダ口たたいてると夜まで帰さんぞ。
なに!?ヤツらが沼を。
お宝の噂は隣村の長にも伝わりすぐに小作人を引き連れて沼へやってきました。
やれやれどっちかが先に見つけるまで根比べじゃな。
それから八五郎たちは来る日も来る日も沼をさらいましたがお宝は一向に見つかりませんでした。
イタタタ…。
どうした?こう毎日じゃ体が冷えて古傷が痛んでいけねえ。
おらがじっちゃんのぶんまでさらうから見つからないように上がって休んでくれ。
すまねえ。
ええいまだ見つからんのか。
ん?め…飯抜きじゃと?フン!お前が怠けていたのはお見通しじゃ。
働かざる者食うべからずじゃ。
(お腹が鳴る音)じっちゃん食べてくれ。
お前さんだって腹が減っとるじゃろ。
なにじっちゃんにはおらが子供の頃から世話になってるじゃないか。
そうかすまねえな。
こんなうまい飯久しぶりじゃ。
ハハッ。
その日は夜明け前から激しい雨が降っていました。
まったくいつまで続ける気なんだ。
ゲホッゲホッこの雨はいかんぞ。
じっちゃん!ゲホッゲホッ。
大丈夫か?すまん。
それより早く皆に伝えるんじゃ。
このまま降れば鉄砲水が来るぞ。
なに!?八五郎手を休めるな!向こうに先越されたらどうする?あったぞお宝だ!でかした早く持ってこい!こら言うことを聞かんか!わしのもんじゃ!そうはさせぬ!お宝がそんなに大事か!?目覚ませ!じきに鉄砲水がくるぞ!沼から出るんだ!うわぁ!鉄砲水だ!
(雷鳴)八五郎八五郎しっかりするんだ。
じっちゃんみんなは?みんな欲に目がくらんで流されちまった。
助かったのはわしらだけじゃ。
沼が光っとる!じっちゃんあそこだ!鉄砲水がお宝を見つけてくれるとは。
命あっての物種だ。
お宝なんて何の意味もないさ。
それから2人はお宝を残された村人と分け合いました。
そしてつつましく暮らしたということです。
昔むかし辰子という美しい娘が母親と一緒に暮らしていました。
辰子は日ごとに美しさが増すようだね。
そうかしら。
お母様はいつもきれいだわ。
お前の美しさには花もかないやしないよ。
いいや夜空の星だって。
しかし辰子はまだ美しいということがわからないあどけない娘でした。
歳を重ねれば増えるシワ。
母親もそれは隠しようのないものでした。
美しいことは幸せなことなんだよ。
みんなが褒めそやし何より自分の心が幸せで満たされるのさ。
美しいことは幸せなこと。
ああお前はいつまでも美しいままでいておくれ。
お母様。
年頃を迎えると辰子の美しさは輝くばかりになりました。
花にも勝る美しさだのう。
桜も辰子姫の引き立て役じゃ。
気品に溢れた辰子を村人たちは自分たちの手の届かないものとして辰子姫と呼んだのです。
辰子はしだいに自分の美しさに気づいていき自分の姿に見とれるようになりました。
冬になって母親が風邪をこじらせ寝込んでしまいました。
お母様ゆっくり休んでください。
《白髪もシワもこんなに増えて…。
私もいつか歳をとってお母様のようになるのだろうか》その思いは日ごとに強まっていきました。
ようやく母親が起きられるようになったのを待ちかねるように辰子は山腹にある神社に向かいました。
どうか歳をとりませんように。
美しいままでいられますように。
どうか願いを叶えてください。
お願いしますお願いします。
母親は夜に出かける娘を心配してそっとあとをつけましたが追いつくことはできませんでした。
願い祈る辰子には母親の心配も届かず寒ささえ感じなかったのです。
長かった冬が春の気配に移ろうとする100日目の夜。
お前の願いは聞いた。
じゃが村に住めなくなってもよいか?かまいません。
村人と会えなくなっても…。
かまいません美しいままでいられるのなら。
それでは明日この山を北へ向かうがよい。
泉を見つけその水を飲めば願いは叶う。
翌日芽吹いたばかりの山菜を摘みに村の娘が山へやってきました。
あれは辰子姫。
辰子辰子!けれども辰子の耳には届きません。
頭の中は泉を見つけることでいっぱいでした。
どれほど歩いたかわからなくなった頃やっと辰子は泉を見つけました。
これで美しいままでいられる。
(雷の音)急にのどが焼けるように渇きました。
辰子はひたすら水を飲み続けました。
辰子!辰子…。
あっ!辰子が龍になったなんて…。
母親は村の娘から辰子の話を聞きました。
辰子!辰子が美しい姿でいられるのはただ1人のときだけ。
人の世では暮らせない龍になることで願いは叶えられたのです。
た辰子!お母様。
これで人に見られなければいつまでも美しいままでいられます。
母親は自分が辰子を龍になるまで追い詰めたのを悔やみました。
お母様何を悲しんでいるのですか?お母様の願いが叶ったのですよ。
辰子お前は美しい。
美しいままだよ。
美しい辰子とともにいたいと母親は願ったのです。
人の世を捨て永遠の美しさを求めた親子を湖は静かに包み込んでいました。
昔むかしある城に黒姫という世にも稀な美しい姫がいた。
ある春の日殿様が娘の黒姫と花見を楽しんでいたときのこと1匹の白ヘビが現れて黒姫の姿をじっと見つめた。
黒姫ヘビも仲間に入りたいようじゃ。
一献あげなさい。
はい。
ハハハ!ヘビも黒姫から杯をもらえて嬉しかろう!その晩のこと眠っている黒姫にどこからか呼びかける声がした。
姫!黒姫!あなた様は?昼間杯をいただいた者です。
ではあの白ヘビ?はい。
黒姫どうか私の妻になってください。
こんなところにおいでになってはなりませぬ!父のところにお越しになってお話しくださいませ。
わかりました。
そういって若者は風のように去っていった。
それから数日後のこと殿様のもとへ立派な身なりの若者が黒姫を妻にしたいとやってきた。
そなたか!我が黒姫を妻にしたいと申すのは!はい私はこの山奥にある大沼池の主黒竜と申します。
なに!?池の主じゃと!先日の花見の際黒姫から杯をいただき忘れられなくなりました。
どうか黒姫を我が妻に!ならんならん!竜の化身に大事な姫をやるわけにはいかん!しかし若者は次の日も…。
何度来てもムダじゃ!殿!黒姫を我が妻に!ええい!帰れ帰れ!しかし殿様が警護の武士を増やしても若者はどこからともなく風のようにやってくるのだった。
あっ!なぜあなた様は毎日通ってこられるのですか?あなたをさらうのはたやすいこと。
しかし私はお父上の許しを得てあなたを妻に迎えたいのです。
それからも若者は毎日毎日殿様のもとへ通い続けた。
そしてとうとう100日が経った。
殿こんなにまでお願いしても黒姫をいただくことはできないのでしょうか?それでは明日また城に来るがよい。
わしが馬に乗って城のまわりを21回まわる。
空を飛ばずについてこられたならば姫をやろう。
それならば…。
若者は喜び勇んで帰っていった。
そして翌日殿様が馬を走らせるあとを若者は必死に追いかけた。
しかし殿様は名だたる馬の名手。
若者は次第に苦しくなってきた。
若者は必死に殿様のあとを追った。
とうとう正体を現したか。
やれ!ははっ!あっなんてひどいことを。
しかし傷つきながらも黒竜は怯まずあとを追い続けついに約束どおり21回城のまわりをまわった。
さあ約束どおり姫を妻にすることをお許しください。
何を申すか。
お前のような化け物に我が娘がやれるか!帰れ!帰らねば斬り殺すぞ!礼を尽くしてきた答えがこれか?ならば我が怒りとくと思い知るがよい!黒竜が天にのぼると空は墨を流したように真っ暗となり激しい嵐となった。
嵐は夜になるとますます激しさを増した。
ああこのまま嵐が続けば罪もない村人に害が及んでしまう。
父上様どうして竜との約束を破ったのですか?あの竜は私をさらうこともできたものを礼を尽くして100日も通いました。
それを約束を破ったうえ傷つけて帰すとは。
わしのかわいい姫を化け物にやることなぞできるわけがなかろう。
このまま嵐が続けばやがて洪水になってしまいます。
どうか私を竜のもとへやってくださいませ。
何をたわけたことを!化け物の言うことなど聞かなくてもよい!ま…待て姫!どこへ行く?意を決した黒姫は天の黒竜に呼びかけた。
黒竜よ嵐をしずめておくれ。
私をあなたのもとへ連れていって。
姫!黒姫!わしが悪かった!行かないでくれ!あのまま嵐が続けば洪水になってしまうところでした。
私の父があなたを裏切ったとはいえ村人たちに何の罪がありましょう。
許してください。
人間に裏切られたと知ったとき私は怒りを抑えられませんでした。
しかしあなたの優しい心に触れて私の心も生まれ変わることができそうです。
この日から黒姫と黒竜はこの山に住むことになった。
その山は黒姫山といわれ頂上の池には2人が幸せに暮しているという。
2014/07/06(日) 09:00〜09:30
テレビ大阪1
ふるさと再生 日本の昔ばなし[字][デ]

「宝の沼」
「辰子姫」
「黒姫と竜」
の3本です。お楽しみに!!

詳細情報
番組内容
私たちの現在ある生活・文化は、昔から代々人々が築き上げてきたものの進化の上にあります。日本・ふるさと再生へ私たちが一歩を踏みだそうというこの時にこそ、日本を築いた原点に一度立ち返ってみることは、日本再生への新たなヒントになるのではないでしょうか。
この番組は、日本各地に伝わる民話、祭事の由来や、神話・伝説など、庶民の文化を底辺で支えてきたお話を楽しく伝えます。
語り手
 柄本明
 松金よね子
テーマ曲
『一人のキミが生まれたとさ』
 作詞・作曲:大倉智之(INSPi)
 編曲:吉田圭介(INSPi)、貞国公洋
 歌:中川翔子
 コーラス:INSPi(Sony Music Records)
監督・演出
【企画】沼田かずみ
【監修】中田実紀雄
【監督】湯浅康生
制作
【アニメーション制作】トマソン
ホームページ

http://ani.tv/mukashibanashi

ジャンル :
アニメ/特撮 – 国内アニメ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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