さらにこれを凌駕しているからである」。
東京の世田谷美術館で「華麗なるジャポニスム」と題した展覧会が開かれています。
アメリカのボストン美術館から印象派や日本美術のコレクションが来日。
学芸員の遠藤望さんに案内してもらいます。
今回の代表作と言ってもいいものが一点ございますので是非近づいてご覧下さい。
これは…。
何だか分かりますか?何ですか?インクスタンドなんですね。
えっ?およそ百年前にフランスで作られたもの。
真ん中がペン立て。
両側にインク壷などが並び筆記用具を全て収める事ができます。
近づいてみて気付きましたけどその文様が…。
全て日本風なんです。
格子の模様や…あっ富士山ですか?そうです。
富士山の隣に釣り人が釣り竿をこうやってるの見えますか?あれは実は北斎の浮世絵にそっくりな図がありまして。
ギリギリまで近づいちゃおう。
ペン立ての横のところに木がありますけれども蝶々がいるの分かります?はい。
かわいらしい。
上の方に蝶々がいますね。
あれは実は今回の展示品の中でもそっくりな蝶々がいるんですよ。
そもそもじゃあやっぱりこれも日本のある作品のモチーフ…?じゃあちょっとそれを見てみましょうか。
こちらの方にいらして下さい。
よく覚えておいて…。
どうでしょうか?あっ!色合いも形も…。
そっくり。
あっ七宝の鐔…刀の…。
これは日本のものなんですね。
こういうものを見てフランス人…まあヨーロッパの人たちはグッときてしまってああいうインクスタンドを頑張って作るわけです。
ここまで影響を与えて…。
ここまで日本が好きだったというか。
19世紀後半から西洋の芸術に大きな影響を与えたジャポニスムの世界を探訪します。
あ〜それぞれの作品がきちんと…。
日本のものと西洋のものを比べるという形で展示ができるのはボストンならではですね。
あっこの作品も見たかった作品の一つです。
ゴッホですね。
ゴッホが世話になった郵便配達夫の妻を描いた作品です。
自ら浮世絵を収集するなどゴッホは日本美術に深く傾倒。
この絵の至る所に影響が見て取れます。
実はとても浮世絵に似た作品があります。
それをちょっと見てみますか?この…。
この絵をよくご記憶になってこちらを見て下さい。
これは国貞という人と広重が合作をした作品ですけれどもまずやっぱり菊の花ですよね。
さっきのゴッホのルーラン夫人の背後にも菊の花が壁紙というよりも花がそのまま咲いてるみたいに描かれてますけどこれはまさに夏菊。
これは多分夏菊ですから打ち上げ花火をイメージしているんじゃないかと思います。
でこの人物の表現ですよね。
当時の西洋人にとってはこの不思議な髪型それから不思議な面だちといいますか役者さんを描いているので白塗りだったりするんですがこれがゴッホにとっては随分…ある意味すごい不思議に魅力的に映ったんだと思います。
すごい強烈な色彩でゴッホは多分浮世絵から一番多く学んだのは浮世絵の原色を対比させた影が全くない力強い感じだと思います。
髪を引っ詰めにしてますでしょ。
あれはこの研究者によると…。
あの結っている髪を意識してる。
はい。
意識して引っ詰めにしたというふうに言われてるぐらいなんですね。
その共通点はまさかの共通点ですね。
いろいろ今回はそういう面白さがあります。
広重とピサロの2つの作品が…。
うわ〜。
雪がすごくやさしく輝いているさまが本当にきれいな作品ですね。
明るいですよね〜。
キラキラとしてて。
じんわりと輝いてます。
ピサロがお好きですか?はい大好きです。
これも実際に見たかった作品の一つですね。
雪景色というのは印象派にとってはとても重要なテーマだったんですね。
雪景色を描いた作品は印象主義の作品としては多いです。
ピサロもフランスの田舎の雪景色を描いたんですけれども実はそこにまた浮世絵から学んだものがあったんですね。
影ができない雪景色というのがピサロとか印象主義の雪景色にとってとても勉強になるものだったんですね。
影ができない?はい。
白一色でキラキラと輝いて雪に光が反射しているという光景ですね。
それはもう印象主義にとってはとても描きたいものであった。
だけれどもそこで雪の上に混色していくとどんどん暗くなってしまう。
だけれども浮世絵の世界ではそれが起きていないという事で浮世絵における雪景色というのは印象主義にとってはとても参考になる価値のあるものでした。
パリで広重の作品を見たあと息子に手紙を書きまして……というふうに書くんですね。
「印象主義者」だと。
そしてその広重の雪景色を見て自分が雪景色で描いてきたものはやっぱり間違っていなかったという事を息子に書き送る。
確信したんですね。
森徹山の描いた「蝶々」。
さまざまな日本の絵柄がヨーロッパに伝わりました。
イギリス製のティーセットです。
ジャポニスムは暮らしの中にも浸透していきました。
日本の型紙。
幾何学模様と草花の組み合わせは家具や陶磁器など幅広い分野に使われていきます。
アメリカで作られたデスクセット。
型紙はアール・ヌーボーなどヨーロッパの芸術運動に刺激を与えただけでなくアメリカでも独自の進化を遂げました。
そして今回の主役修復後世界初公開となるモネの「ラ・ジャポネーズ」。
お出迎えをして下さってるかのような。
うわ〜。
この会場にぴったりの。
いや〜これほど大きな作品だとは思いませんでした。
等身大それよりもっと大きいかのような。
ジャポニスムというか日本趣味を描いたものの象徴的な作品。
ゴザを敷き詰めた床に鮮やかな打ち掛けを着て立つパリジェンヌ。
その手には扇子。
壁には一面にうちわが飾られています。
実際にモネの自宅の壁にもうちわが飾られていました。
モネは愛する妻カミーユの肖像に日本への憧れをちりばめたのです。
当時これが描かれたのが1876年ですけれどまさにジャポニスムの流行日本趣味の流行というのがパリを席巻していて78年にパリに博覧会が開かれますけどそれがジャポニスムというか日本趣味の流行のピークであったと言われる。
だからその2年前に描いたまさに右肩上がりの日本趣味を描いた作品なんですね。
これはまた近くで少しずつ見ていくといろんな日本が発見できる作品でもありますよね。
打ち掛けの見事な赤っていう感じでしょうかね。
紅葉も一枚一枚描かれて。
その金糸の刺繍の艶やかさそれから生きてるかのような武者ですよね。
その衣装のブルーと金の対比もすばらしいですよね。
アメリカ・ワシントン州にある世界有数の美の殿堂…去年2月から1年近くをかけ「ラ・ジャポネーズ」の本格的な修復を行ってきました。
古いニスやワックスを取り除き絵の具が剥がれそうな部分を補修。
作品本来の姿に戻したのです。
修復前に行ったX線調査で新たな発見がありました。
その画像です。
絵と比較するとうちわが描き直された事が分かります。
例えば芸者の絵柄のうちわは当初左端に描かれていたのが右端に修正されています。
日本女性がパリジェンヌを見つめるそんな位置に移されたのです。
日本の女性と対抗してるわけですね。
そうですね。
日本の女性の方がびっくりしてるっていう。
「そこまでやるの?」って。
パリの画家がどう受け取ったかというその時代の空気を見るには本当にすばらしい作品だと思いますね。
モネはその後も日本文化の影響を受けた作品を描き続けます。
後半生自宅の庭に睡蓮の池を造り移りゆく自然の姿を見つめました。
作品同士を同じ空間でご覧頂く事で本当にすばらしい浮世絵師たちの工夫っていうのが西洋の人にいかに影響を与えたかという事もよくお分かり頂けると思いますしそれから今の私たちにとっても浮世絵の魅力をもう一度見直すそれは西洋人の目を通してまた浮世絵を見るという事かもしれないですがそういう事でまた日本の江戸の人たちのすばらしいクリエーティブなところを再発見するすごくいい機会になると思います。
2014/07/20(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽特別編“ボストン美術館−華麗なるジャポニスム展”[字]
今回は、世田谷美術館で開かれている「華麗なるジャポニスム展」を特集。修復後、世界初公開となるモネの大作「ラ・ジャポネーズ」を中心に、展覧会の魅力をたっぷり紹介。
詳細情報
番組内容
今回は、東京の世田谷美術館で開かれている「ボストン美術館−華麗なるジャポニスム展」を特集。ゴッホやマティス、ムンクなど、名だたる画家たちが、日本美術に影響を受けて生み出した傑作の数々が来日。中でも、モネの大作「ラ・ジャポネーズ」は、修復後、世界初公開。修復の過程で明らかになった新たな研究成果と共に、その魅力をたっぷりとお伝えする。
出演者
【司会】伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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