福島市の郊外にある競技場。
(スタートの合図の音)今月上旬陸上の日本一を決める日本選手権が開かれました。
多くの選手の中でひときわ注目を浴びるアスリートがいました。
(場内アナウンス)「女子400m競走千葉麻美さん東邦銀行」。
福島で生まれ育った千葉麻美さん。
旧姓は丹野。
女子400mの日本記録保持者です。
子どもを生み母として再び日本一に挑みました。
彼女が走り続ける理由は3年前の原発事故。
千葉さんは当時妊娠4か月でした。
もう一度陸上選手として福島の力になりたい。
出産前から復帰を見据え練習を続けてきました。
10年にわたり福島で千葉さんを指導してきた陸上部の監督。
千葉さんの復活が地元の力になると信じてきました。
千葉〜!あの日から福島への思いを胸に走ってきたアスリート。
ふるさとで日本一に挑む日々を見つめました。
28万人が暮らす福島市。
復興を目指す地元の熱心な要望を受け今年陸上の日本選手権が開かれる事になりました。
おっしゃ〜!
(拍手と歓声)先月行われた選手たちの激励会。
千葉麻美さんは福島を拠点とする銀行の陸上部に所属しています。
(一同)フレーフレー陸上!フレーフレー陸上!この陸上部は震災の3週間後地元を元気づけるために作られました。
所属する8人は皆福島で生まれたり学生時代を福島で過ごしたりした地元ゆかりの選手です。
9年前。
福島大学の2年生だった千葉さんです。
(実況)今日本記録を大きく大きく…。
最も苦しくなる後半でむしろ伸びる。
その驚異的な走りは日本中を驚かせました。
(実況)今入りました!51秒台が出たか!見事な日本新記録!すばらしい記録が出ました!その後も勝ち続け日本選手権は5回優勝。
圧倒的な強さを誇りました。
3回の世界選手権そして北京オリンピックで日本代表として活躍しました。
2010年には大学の先輩と結婚し1年後に妊娠。
その幸せの中であの日がやって来ます。
東京電力福島第一原子力発電所の事故。
妊娠4か月だった千葉さんは福島を離れ山形に避難します。
しかし1か月後千葉さんは福島に戻っていました。
陸上部の仲間と共に避難所などを訪ね子どもたちを励ます活動を始めたのです。
「みんなこっちですよ」って。
「あっち行きますよ」って。
原発事故の4か月後。
妊娠中の千葉さんは福島大学のグラウンドを走っていました。
復帰を見据えて出産の1週間前まで医師に相談しながら練習を続けました。
福島で子どもを生み福島の選手としてもう一度勝ちたい。
それが福島のために自分ができる事だと千葉さんは考えていました。
みっちゃんおいで。
長女美月ちゃんが生まれると千葉さんは本格的な練習を再開。
2年間かけて徐々に体力を戻し福島での日本選手権を目標に練習を重ねてきました。
そして迎えた今シーズン。
体の仕上がりに手応えがあった千葉さんは実際のレースでどれだけのタイムで走れるか確かめようと考えていました。
(スタートの合図の音)7レーンの千葉さん。
スタートから以前のようなスピードに乗った走りを見せます。
しかし…。
以前は得意だった後半思うように伸びません。
タイムは…自分が持つ日本記録より3秒以上遅い平凡なタイムでした。
千葉さんを10年にわたり指導する福島大学陸上部の川本和久監督です。
千葉さんのフォームに生じた狂いを見抜いていました。
昔のように地面を効率よく蹴る事ができず無駄に力を使っているというのです。
フォームが崩れた原因は出産によって骨盤の形が変わってしまった事にありました。
川本さんから重心を少し前に出せば地面を蹴りやすくなると言われた千葉さん。
感覚を探りながら練習を繰り返しました。
日本選手権まで3週間。
練習の成果を確かめる最後のチャンスです。
(声援)しかしこの日も後半に失速。
タイムも伸びませんでした。
練習ではできてもレースになると思うように走れない。
長いブランクで勝負に向かう心の整理ができなくなっていました。
(スタートの合図の音)先月千葉さんが練習するグラウンドに子どもたちの姿がありました。
福島で震災後に始まったオリンピック選手を育てようというプロジェクトです。
当初からコーチを務めてきた川本さん。
福島の子どもたちに夢を持つ事の大切さを伝えたいと考えていました。
子どもたちと同じように福島で夢を追い続けてきた千葉さん。
福島の選手としてもう一度勝つ姿を見せたいという思いが千葉さんを突き動かしていました。
353637383940!福島での日本選手権。
3日間にわたる大会は梅雨空にもかかわらず大勢の観客が訪れました。
川本さんは断続的に降り続く雨が気になっていました。
雨で体が冷えると千葉さんのようなベテラン選手は体が動きにくくなる事が多くあります。
(場内アナウンス)「女子400m競走は決勝です。
第4レーン千葉麻美さん東邦銀行」。
(拍手)気温は19度。
雨はやみませんでした。
(スタートの合図の音)千葉さんはかつて得意だった後半に勝負を懸けると決めていました。
200m過ぎ順位を上げていきます。
ラスト100m。
最後まで粘ります。
結果は3位。
日本選手権の表彰台は4年ぶりでした。
(拍手)千葉さんは次のレースに向けて練習を再開していました。
3年前のあの日傷ついたふるさとの力になりたいと心に決めた千葉さん。
これからも大好きな福島で走り続けます。
先月群馬県の…2014/07/06(日) 08:00〜08:25
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島「私は走り続ける〜福島から挑む日本一〜」[字]
今月、福島で開かれた陸上の日本選手権に、復活をかけ出場した女性がいた。女子400mの日本記録を持つ千葉麻美選手。原発事故後、福島で出産。地元の思いを背負い走った
詳細情報
番組内容
今月、福島で開かれた陸上の日本選手権。この大会に復活をかけて挑んだのが、女子400mの日本記録を持つ千葉麻美選手(28)だ。福島で生まれ育った千葉選手。原発事故が起きたのは妊娠がわかった直後だった。それでも福島で出産、すぐ競技に復帰。日本では短距離で出産後に復帰した例はほとんどないが、「福島でもやれることを示したい」という思いが千葉選手を支えてきた。福島から日本一を目指した千葉選手の挑戦を追う。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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