東京都の離島去年台風で大きな被害を受けました。
島を元気にしたい!お母さんが挑んだのはお弁当作りでした。
今週の『日本!食紀行』は手作りのお弁当でみんなを笑顔にしようと奮闘するお母さんに学びます。
東京の竹芝港から船で1時間45分。
伊豆大島が見えてきました。
三原山の噴火で出来た周囲52キロほどの火山島です。
この島に暮らす人々は独自の食文化を育んできました。
その一つ「くさや」はムロアジやトビウオなどの魚をくさや液と呼ばれる魚醤に漬けて天日に干した保存食。
海が荒れれば閉ざされてしまう島だからこそ生まれた知恵です。
そんな伊豆大島の恵みをふんだんに取り入れたお弁当が今人気となっています。
おはようございます。
おはようございます。
おはようございます。
大島生まれ大島育ちのお母さんが毎日島中の商店に配達している手作りのお弁当です。
「お千代さん」と呼ばれ親しまれている名物お母さんです。
お千代さんが作るお弁当の中でも人気なのは四季折々の混ぜご飯。
(店員)おいしいですよね。
おいしいんです。
とっても味がよくて。
お昼に買っちゃいます。
ありがとうございます。
(スタッフ)温かい?うん。
お千代さんは19年前島の北部泉津地区にある自宅の敷地にお弁当屋さんを作りました。
建物はかつて大島にたくさんあったかやぶき屋根。
この屋根にちなんで店の名は「かやぶき」にしました。
お弁当の人気を支えているのは混ぜご飯。
大島でとれる海の幸山の幸を存分に味わってほしいと季節ごとに旬の食材を使います。
そして隠し味は…。
「CountryRoadstakemehome」楽しい気分で作れば食べる人も元気に出来る。
歌いながら調理するのがお千代さん流です。
こちらは長女の千恵さん。
親子でたっぷり愛情を込めたお弁当。
おかずは卵焼きにから揚げです。
もう本当にこれしか出来ないからやっぱりだから歌も出ちゃったり。
いつも明るく。
みんなを元気にしてくれる。
お弁当でみんなを元気にしたい。
その思いはあの日以来より強くなりました。
去年10月16日。
伊豆大島を襲った台風26号の豪雨が山を崩し大量の土砂が町を飲み込みました。
36人が亡くなり今も3人が行方不明。
246もの家屋が被災しました。
お千代さんが暮らす泉津地区の山も崩れ今もその爪痕が残っています。
崩れ落ちた土砂はふもとにあるお千代さんの自宅を襲いました。
お弁当を作っていた厨房も被害を受けたのです。
(千代子さん)朝起きたらねもうねここのところがひと山落ちてこの中にバーンって入っちゃったこの家の中に。
(千代子さん)埋まっちゃったの。
土砂が床上まで流れ込み店は休業を余儀なくされました。
しかし…。
こういう時こそおいしいお弁当が島民の力になるはず。
被災からわずか2か月後の12月お店を再開したのです。
そして毎日温かいお弁当を作り続けたのです。
(笑い声)「お弁当で元気が出た」。
お千代さんのもとにそんな声が次々と寄せられました。
その声に励まされお千代さん自身も力を奮い立たせます。
2月冷たい冬の海に向かいました。
(千代子さん)ヒャッホー!嬉しくなった。
お千代さんちょっとこの靴じゃ駄目だからさ草履はく。
気温は7度。
それでも草履で磯を歩きます。
(千代子さん)これ滑んないから。
お千代ファッションで。
君たち出てくるんだ!ヒャッホー!あった!何か見つけたようです。
(千代子さん)とれた!宝物だね。
おいしいです。
磯の香りで。
あっはんばもあった!はんばのり。
ほら。
地元ではんばのりと呼ばれる海藻です。
これも宝物。
すごいね。
でも夢中になりすぎると…。
いやっ…いっちゃいました。
波が…。
30分でこれだけの収穫がありました。
せせり貝はアワビのような歯応えがあります。
はんばのりは磯の香りを食卓に運ぶ味覚。
お店に戻ると早速調理です。
(千代子さん)はんばに付いた石づきっていうところの固いところを取って…。
食べた時にジャリッていう感じが残っちゃうんで。
おいしくするための手間を惜しまない。
お千代さんのモットーです。
仕込みを始めるのは毎朝4時。
「Iwasdancin’withmydarlin’」「TotheTennesseeWaltz」最近のお気に入りは英語のスタンダードナンバー。
優しい気持ちになれるといいます。
(千代子さん)はいいきます。
醤油ご飯です。
砂糖と醤油で味付けしたはんばのりで作る混ぜご飯。
お千代さんも子供の頃から食べてきた大島の味です。
(千代子さん)結構入れる。
磯の香りが熱々のご飯の湯気とともに立ち上るはんばのりのご飯。
早速味見です。
(千代子さん)ばっちりおいしい。
たくさんくっついてますよ。
アハハハハ!朝4時から仕込み始めて6時間。
ようやく60個のお弁当が完成しました。
おかずはアジや明日葉のおひたしなど大島の味覚。
お千代さん特製の幕の内弁当です。
お弁当は完成しましたが厨房では料理が続いていました。
磯でとってきたせせり貝と明日葉でチャーハンを作ります。
去年の災害以来お千代さんはお弁当以外にもこうして料理を作っています。
これ普通の生活だと思う。
去年の台風で被災した方々に差し入れとして配っているんです。
(千代子さん)こんにちは。
おじちゃん久しぶり。
被災するまでお隣に住んでいた奥山さん。
自宅が土砂で崩され今も親戚のもとに身を寄せています。
(千代子さん)体調悪い?薬がある。
そうだよね被災に遭ってんだから。
お千代さん流元気の宅配です。
(千代子さん)また来るから。
おじちゃん。
ヘヘヘヘ…。
はい。
続いて向かったのは最大の被災地区。
抜けちゃって。
島の西側に位置する元町地区。
ここに暮らしていた多くの友人を失ったお千代さん。
あの日以来足を踏み入れることが出来ずにいました。
かつて50世帯ほどが暮らしていた土砂で全て流されてしまいました。
なぜどうして…。
問いかけても答えは見つかりません。
言葉がないね。
本当にどうしよう。
涙出ちゃう。
もう駄目だ。
お千代さんは神達地区で被災した友人を訪ねました。
家を失い今はこの仮住まいで暮らしている浅野さんご夫婦。
ウタおばあちゃんは土石流の犠牲になりました。
おばあちゃん久しぶり。
ばあちゃんほら千代子が来てくれたよ。
せせり貝が大好きでした。
(浅野雅子さん)ばあちゃん千代子が持ってきてくれたよ。
せせりご飯。
じゃあここへ。
(千代子さん)ここでいい?ウタおばあちゃんにせせりのチャーハンをお供えします。
好きだったもんねえ。
本当…。
うん…。
ウタさんの息子洋一郎さんは子供の頃からお千代さんの兄貴分。
うまい。
(千代子さん)うまい?こちらは妻のご夫婦がウタさんと暮らしていた家はあの日一瞬にして流されてしまったのです。
すべて100パーセントない。
それでも洋一郎さんは…。
千代子はさしょぼーんとしちゃってるからよ。
ほいで…。
千代子は家があるだけいいじゃないかっつってさ。
何やってんだ頑張れ!っつってやったらシャキーンとしてさ。
いや〜シャキッ…!本当だと思ったよ。
洋一郎さんの言葉に元気をもらったお千代さん。
今度は自分の番だとお弁当で笑顔を配ります。
お千代さんは58年前この家で生まれました。
幼い頃から活発で明るく台所で母親の手伝いをよくする子でした。
二十歳で保育士となり結婚。
その後好きな料理の道に進みたいと39歳でお弁当屋さんを始めました。
住み慣れた家の庭にはいつでも食べられる食材があります。
これ明日葉。
どこんちにもあるの。
伊豆諸島特有のセリ科の野菜明日葉。
さわやかな苦みと香りがあり島の食卓に欠かせない食材です。
伊豆大島産のものは茎が赤いのが特徴です。
おばあちゃん明日葉〜。
(あや子さん)はい。
ありがとう。
お千代さんの母あや子さん。
顔がそっくりだとよく言われるそうです。
そうよ。
顔が似てます。
似てるね。
親子だね。
アハハハ…。
料理の腕もあや子さん譲りです。
おばあちゃん見てこれ。
どう?うんもう出てくれば…。
(あや子さん)大丈夫じゃないかな?もうちょっと入れておけば。
あや子さんは23歳の時この家に嫁いできました。
以来子供を育てながら大島の味を受け継いできました。
魚のあら汁に明日葉をたっぷり入れるのも伊豆大島流です。
抜きつつあるよね?うん。
フフ…。
うん。
(2人の笑い声)「べっこう」とは郷土料理べっこう寿司のこと。
青とうがらしとみりん酒醤油でタレを作り旬の白身魚を漬け込みます。
タレが一番ね難しいよねやっぱりね。
この日はイサキを使います。
漬けにするのは温暖な伊豆大島で生の魚を食べる先人の知恵です。
30分ほど漬け込むと身がべっこう色に輝き始めます。
この姿からべっこう寿司と呼ばれるようになりました。
また大島ではわさびが栽培出来ず青とうがらしを使うようになったといわれています。
あや子おばあちゃんの味が食卓に並びました。
(千恵さん・海遊士くん)いっせーのーせ!
(一同)いただきます!今夜は同じ敷地内に暮らす娘さんの家族も一緒。
四世代にぎやかに食卓を囲みます。
(千恵さん)おいしい?よくかんで。
ん…!おいしい。
(千代子さん)庭でとれたの?
(あや子さん)そう庭でとれたの。
うん…!うん…すごいやわらかい。
(千代子さん)ああ〜やわらかいって。
ね!
(千代子さん)自然だよね。
こうして大島の味が受け継がれていきます。
早咲きのオオシマザクラが咲く3月。
お千代さんは忙しくなります。
毎年恒例の祭りの準備が始まるのです。
7年前お千代さんをリーダーに地域のお母さん8人で結成した町おこしの会「泉津笑う会」。
毎年4月に手作りの祭り桜株まつりを主催しています。
しかし台風の被害を受け去年12月今回は中止にすべきという意見が出ていました。
(男性)39人の人が死んでるわけだから。
かずこちゃん…。
ウタばあちゃんも死んでるし。
千代子らも被害を受けてるし。
まだお祭りどころではないという重苦しい空気。
この日答えは見つかりませんでした。
そして年を越し今年の3月。
遅くなりました〜。
お千代さんのもとにお祭りのメンバーが集まってきました。
悩んだ末全員一致で開催を決めたのです。
今回はちょっと本当に…悩みました。
やったほうがいいよっていうふうに声かけてもらったんで。
(千代子さん)いつも頑張ってきたじゃんって。
何があってもこの会を続けてきたじゃんって。
この日は祭りの日に屋台で売る団子などを作ります。
(千代子さん)私の手はもうおふくろの手なのよ。
(高橋さん)そうよ。
(千代子さん)「おふくろさんよ」はい〜。
「おふくろさん」手元を見ろ。
(一同の笑い声)今年もお祭りが出来る…。
思わず笑みがこぼれます。
(酒井さん)お姉さん下までね。
(千代子さん)うん下までね。
(千代子さん)「お姉さんの」
(酒井さん・千代子さん)「つまびく三味線に」「今晩は今晩は」
(一同の笑い声)こちらは庭に実っていた甘夏の皮で作った明日葉のおやきなど伊豆大島の味が祭りを彩ります。
そして4月13日お祭りの日。
(千代子さん)それでは第7回目の桜株まつりを開催いたします!よろしくお願いしまーす!よろしくお願いしまーす!泉津桜株まつりは今年で7回目。
(販売員)明日葉なんですけど…。
(女性)じゃ1個ずつちょうだい。
(販売員)1個ずつでいいですか?回を重ねる度にお千代さんたちに賛同し販売などを手伝ってくれるボランティアも増えてきました。
お千代さんの呼びかけにみんなかけつけてくれました。
イエーイ!
(2人)いただきまーす!うーん…!おいしい。
まいう〜。
(女性)はい〜。
おっとっとっと…。
そして祭りのクライマックスはお千代さんたちの出番です。
歌って踊ってお客さんに楽しんでもらうパフォーマンス!千代子ちゃ〜ん!頑張って〜!開催するか悩んだ祭りでしたがふたを開ければ例年よりたくさんの人が集まってくれました。
みんな芸達者でなんでも…集まってすぐ出来ますね。
楽しみにしてますみんな。
すると突然会場に男衆が現れました。
皆さんは台風被害が最も大きかった元町の踊りの会のメンバー。
実は参加の予定はありませんでした。
(拍手)身内ですとか親族だとか犠牲になった者はおりますけども。
あと家だとかそっくり流されたり…。
それでゲリラで…元気だぞ!みんなありがとう!俺たちは元気だぞ!みたいな。
フフ…はい。
ありがとうございました。
お千代さんたちも遠慮して声をかけられずにいた元町の男衆が自主的に来てくれたのです。
嬉しいサプライズでした。
本当によかった。
元町と泉津がこの間…ねえあの…台風の被害に遭ってるところなので。
本当によく来てくれたなあって。
本当に…もう感激してます。
精いっぱい祭りを盛り上げたお千代さんたち。
島の人たちからもたくさん元気をもらいました。
祭りが終われば島に夏がやってきます。
初夏の伊豆大島。
この季節になるといてもたってもいられず大好きな海に出かけるお千代さん。
子供の頃からこの海が遊び場でした。
早速何かを見つけたようです。
(千代子さん)おいしい!アハハ!みそ汁の具などにするメッカリ。
これはまだ小さいので海にかえします。
ふるさと伊豆大島の海は恵みの海。
お千代さんは心からこの島を愛しています。
(千代子さん)宝物がいっぱい。
陸に上がれば。
うん。
自然は時に猛威をふるいます。
一方で大きな恵みももたらしてくれます。
海の幸山の幸が人の心を癒やし元気の源になっているのです。
笑顔で作った料理は人を笑顔にする。
大島に咲いたお千代さんの笑顔が今日も島の人たちに届いています。
次回の『日本!食紀行』は高知県東洋町。
伝統の巨大こけらずしに学びます。
2014/07/06(日) 06:00〜06:30
ABCテレビ1
日本!食紀行[字]
伊豆大島の名物母ちゃん、感動物語!絶品まぜご飯や地元の美味しいおかずで大人気の手作り弁当とは!?
島名物の「べっこう寿司」や「明日葉料理」もご紹介します!
詳細情報
◇番組内容
自然に恵まれた東京都の離島、伊豆大島。去年、台風による土砂災害で大きな被害を受けました。今なお、災害の爪痕が残るこの島に「美味しいもので、島を元気にしたい」と頑張る名物母ちゃんがいます。お弁当屋さんを営む彼女は、大島ならではの食材で弁当を作り、島中に届けます。自らも被災しながらも、周囲を元気に、笑顔にする彼女の日々の暮らし。復興を願って走り回る、お母ちゃんの奮闘記をお届けします。
◇番組内容2
母ちゃん手作り弁当は「心がこもってあったかい」「食べると元気になる」と大人気!…中でも、「はんばのり」を使った、特製の混ぜご飯は、天下一品!…日本全国各地の「食」を通して、地域の歴史や文化、人々の英知や営みを学び、温かいコミュニティーなどを四季折々の美しい風景とともに描き出す教育ドキュメンタリー番組です。
◇ナレーション
松尾由美子(テレビ朝日アナウンサー)
◇音楽
エンディングテーマ曲
Bom Dia ! / 柏木広樹
◇制作
企画:民間放送教育協会
制作著作:
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.minkyo.or.jp/
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – ドキュメンタリー全般
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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日本語
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