NHK短歌 題「野菜」 2014.07.06

ご機嫌いかがでしょう?「NHK短歌」司会の濱中博久です。
第一週の選者小島ゆかりさんです。
今日もどうぞよろしくお願い致します。
今日の冒頭の一首はすてきな歌ですね。
ありがとうございます。
今日は後ほどの選者の話で恋の歌をご紹介しますので私にもほんの少しですがこんな歌あるよというそういう事です。
本当にすてきですね。
さあそれでは今日の「NHK短歌」にお迎えしたゲストをご紹介致します。
絵本作家のいせひでこさんをお迎え致しました。
ようこそお越し下さいました。
ありがとうございます。
いせさんは作品「マキちゃんの絵日記」により野間児童文芸新人賞「ルリユールおじさん」により講談社出版文化賞絵本賞など数々の賞を受賞されています。
そして最近の作品がこちらでございます。
「チェロの木」と題されておりますがこれは長い歳月4年かかったと伺っておりますが…。
どの本もそのぐらいかかるんですけれどこの10年余り木をモチーフとしてずっといろんな絵本を書いてきたんですね。
チェロも木から出来ている。
私も13歳からチェロを弾いている。
そういう事を結び付けてちょっと時間をかけて作りました。
この中の絵を是非見たいわけですが原画がございますのでちょっと拝見致しましょう。
こちらです。
この大きなチェロこれはご自身の楽器ですか?私の楽器をモデルにして模様がまっすぐじゃなくて年輪がひねくれているというかすごくきれいな曲線を描いているのでバードフライとかマキアートとか言うんですけど鳥が飛んでいるイメージと模様を重ねて描いた絵です。
もう一枚こちらは深い森ですね。
主人公の少年が雪の森の中で沈黙を聞くというシーンですけれどこれはあとでちょっとお話させて下さい。
皆さんにお見せしたいです。
原画を是非画面じゃなくてね。
すごく深い色でね。
いせさんこの番組にお招きして短歌とのご縁はいかがでしょう?俳句の雑誌に表紙を何年か続けて描かせて頂いてたんで俳句はわりと読む機会が多かったんですけれど短歌はちょっと違う意味で私が絵本を作っているうえで短歌的だなと思う事はある。
歌う事はないんですけれど。
宮坂静生さんの「岳」という俳句雑誌があるんですがその表紙の絵をずっといせさんがお描きになっててそのご縁で私も知り合わせて頂き今日の日が実現したと。
今「短歌的なイメージが…」というお言葉も出ましたが短歌とは何ですかという事をゲストにいつもお願いしてるんですがどんな言葉になりましょうか?先ほど書きました。
お読み下さい。
これはこれはまたいせさんらしいすてきな話が伺えそうですね。
楽しみですね。
後ほどお話をお聞かせ下さい。
どうぞよろしくお願い致します。
さあそれでは今週の入選歌テーマが「野菜」または自由でした。
どんな歌が選ばれましたか入選九首です。
一首目。
新牛蒡が大変おいしそうですよね。
「ねっとりまとふ」という言葉がいいんですが「ねっとりまとふ新牛蒡」までがリズムもねっとりしてますよね。
そして「洗へばましろ春の風立つ」ってここからリズムも急に爽やかに転換するんです。
ですから内容とリズムがお互いに効果を及ぼし合って一首の世界を作っているいい歌だと思いました。
牛蒡もおいしそうな感じが致しますよね。
では二首目です。
いせさんどう思われました?これリズムがいいですね。
エンドウ豆の豆が次から次へと出てくるというイメージですよね。
明るくて楽しい句だと思いました。
とってもいい例えですよね。
リズムに対してね。
「貰い買い貰い」という短詩型の中で動詞をこんなに使うのは難しいんですがそれをうまく生かしているという感じですね。
読点の使い方も上手ですね。
旬のエンドウ新鮮なものは本当に豊かな感じがして…。
食べたいです。
豊かな感じのする一首でございました。
それでは三首目です。
こういうあんちゃんからつい買ってしまいそうな感じがします。
とても親しみがあって「地野菜」「あんちゃん」「露店」「サービスエリア」こういう言葉の一つ一つがよく響き合ってるんですよね。
最もいいのはもちろん「声うらがへる」という所ですがこの言葉と「鬻ぐ」というややこしい字商うでもなく売るでもないこの鬻ぐという言葉の味わいがうまく「うらがへる」と合っているなと思いますね。
これも新鮮なお野菜が並んでいるんでしょう。
声が裏返ってますよ。
「買ってけ買ってけ」ってね。
やっていらした?いいえ売ってません。
それでは四首目です。
いせさんどう読まれました?あなどりの言葉に使われているという事でまあかわいそうだなっていう気持ちからこういう無礼千万が出てきたんだとは思うんですけれど初めも終わり方もそれで一貫しちゃうよりも私だったらそういう野菜が実はもう色とりどりできれいで輝いてるっていう食卓の上で輝くみたいな終わり方にしたいなと勝手に思いました。
絵描きさんだからねやっぱりね。
おっしゃるのはいいアイデアですね。
上の句をちょっと変えないといけませんけども今のアイデアもすばらしいなと思いますね。
題詠でこういう切り口があるそんな良さがありますね。
芋はいもねえちゃんとかいもにいちゃんとか茄子や大根はどうでしょうか?大根アナウンサーでしょ。
大根役者じゃ…。
私の事?大根アナウンサー。
あと大根足という私の足もあります。
見た事ありませんけど。
早く次へ行きましょう。
五首目です。
上の句から下の句への展開に大変意外性があっていいなと思いますね。
小松菜がもしお浸しなんかですと弱いんですね。
下の句が生かし切れないですけど油炒めなんていうのはテラテラとエネルギッシュな感じがするのでこれが何がなしよくね下の句と合うんですね。
ほんとにヘルシーな毎日を送っていらっしゃるようです。
それでは次です。
何でも好きな方も健やかでよろしいんですけれども一つくらい苦手があるとちょっと人間的とかちょっと子供っぽさがあってそこが魅力だななんてよく分かりますね。
ただこの歌「あなたはかぼちゃ」という最後の言い方があなたはかぼちゃが苦手なんですけども「あなたはかぼちゃ」って巧まぬユーモアを醸し出している。
そんなところもこの歌が好きです。
余韻が楽しいですね。
では七首目です。
「睡魔のごとき」という比喩が何と言ってもよろしいですね。
「綿毛」というのは多分タンポポの綿毛とか植物の綿かなと思いますがもしかしたら時期が時期ですから春に生まれた子猫とか小さな獣の毛なんかも混じっているかもしれない。
そんな事を思いました。
それでは次八首目です。
いせさんいかがですか?これすごく絵本的というかこの句をきっかけに物語が始まるのかこの句を終わりにして物語を作るのかちょっとこれを読んだ時にどっちがいいかなって考えました。
多分このレタスは生まれた畑じゃない所に落ちてしまったわけですよね。
それがまた自分の意思なのか偶然なのかそういう事も考えました。
色としても夜の色だしレタスも緑だし月が出てるし色彩もすごく良くて絵本の原石みたいです。
これは絶対いせさんお好きだろうなと思いました。
物語の始まりのようなレタスの運命いかにという結句がいいですね。
まるで音楽のような効果が出ていると思います。
それではおしまいの歌にまいりましょう。
九首目。
これもいせさん伺いましょう。
これ78歳の方が詠んでますよね。
そうすると孫ぐらいの年齢の方が就活に行かれるのを玄関で見送って玄関を自信なげに押して細い光の中にアスパラガスのように細い少年が出て行く。
逆光で余計細く見える。
あるいは面接の会場で老人が見ていて自信なげに開けるという感じ。
でもそれがただ弱々しいというんじゃなくてすごく愛情のあるまなざしによって何ていうんですかね…神聖な感じ。
アスパラガスの青々さも出てきて何かすごく好きです。
新鮮で神聖で。
ほんとにいいご鑑賞ですよね。
最後の「あすぱらがす」が平仮名で書いてある。
これが一つ大きいですね。
ここも片仮名だと軽い感じになりますが平仮名で少し情感がにじんでいると思います。
以上入選九首でした。
では続いて特選三首を発表致しましょう。
三席からです。
三席は藤倉清光さんの作品です。
二席です。
二席は曽川文昭さんの作品です。
ではいよいよ一席の発表です。
一席は山下裕衣さんの作品です。
リズムの連続感ですよね。
「春は美味しき」なんて終わってしまうと続かない。
「美味しく続く」というからどんどんリズムが続いていくというなかなか楽しい作品でした。
以上今週の特選でした。
今日ご紹介しました入選歌とその他の佳作の作品はこちら「NHK短歌」テキストに掲載されます。
是非ご覧下さい。
それでは「うた人のことば」です。
自分はあの〜普通の電車に乗ってるわけですけれども傍らを貨物車が通りすぎるんですね。
そして車掌さんは忙しいらしく何か書き物をしてるんですね。
そういう仕事をしてるのを見る事はあまりないから新鮮な感じで受け取ったんですね。
機関車がまだ今まで動いててそしてちょっと音を立ててるんですね。
それを表現したら黒い錯綜であると思ったんですね。
点検する人がいてその人が部分を見て歩くんですけれど熱を持ってるかどうか触れて歩く事によって故障がある場合を発見しようとしているわけですね。
なかなか大変だなと思ってそれに感動してるわけですけどね。
続いては「入選への道」です。
ご投稿歌の中から少し手を入れるととても良くなるという歌を一首小島さんお願いしましょう。
今日はこの作品です。
大変ね発想が楽しくてねクエスチョンマーク使い方難しいんですがこの歌は生きてると思います。
「誰がいい?」で切れて「やんわりひらく」でまた少し切れますので下の句は順番を逆にしましょう。
こんなふうになりました。
「誰がいい?」。
いや〜そう聞かれても…。
しかしこれ春キャベツの柔らかさも出てて本当にいい感じですよね。
是非皆さんも参考になさって下さい。
投稿のご案内を致しましょう。
この題は?この字は「開く」とも読めますから「開く」あるいは「開く」という読み方でも結構です。
さあそれでは選者のお話です。
「うたを読む楽しみ」今日は「恋ひ恋ひて」です。
「恋ひ恋ひて」ですから恋しくて恋しくてようやく会った。
その時ぐらいは優しい言葉をいっぱい私に下さいね。
二人の仲を長く続けたいと思うならば。
そういう歌ですね。
千数百年も前の歌とは思われないぐらいに新鮮でそしてちょっと女性のかわいらしさなんていうのも出ているんじゃないかなと思います。
大伴坂上郎女という人は大伴旅人の妹さんお母さんの違う妹さんです。
大伴家持の叔母に当たる方なんですね。
少年家持はこのすてきな叔母様に恋の歌の手ほどきを受けたと言われています。
歌だけではなく大伴家そしてその後の女流短歌史にも大きな影響を与えただろうと言われている郎女ですね。
とってもこの「恋ひ恋ひて」という新鮮なフレーズこれは彼女が大好きらしくて他の歌にも使っていますしちょっと人気というかですねその後の勅撰集にも受け継がれてはやっていたんです。
「恋ひ恋ひて」とみんなが言い始めた?そうなんです。
是非濱中さんも「恋ひ恋ひて」で。
そんな状況ないし…はいすみません。
選者のお話でございました。
それではゲストにお迎えしているいせひでこさんにいろいろ伺ってまいりましょう。
まずは先ほど「短歌とは何ですか」という短いお言葉にして頂きました。
もう一度お見せ頂きます。
「短歌は絵本の原石」とお書きでございます。
どういう意味合いでしょうか?たくさん旅をしてスケッチをするんですけれどモチーフに出会った時ってどうしてそれに惹かれるのか分からないぐらい衝撃があるんですね。
惹かれて描き始める。
その時って俳句のような感じがするんですけれど写生している。
ここから何かがって用意された余白に私が入り込むんだみたいなそんな感じがあるんですね。
出会いの衝撃とかもありますよね。
でも衝撃を受けるって事はものすごくそれは無意識下にあったっていう事ですからそれが引っ張り出されるって事ですから…。
だけど短歌はそこに舞台だとかまず感情ですよね感情とか舞台とか時の流れだとか物語性を肉づけしていきますよね。
それが絵本の作業とすごく似ているんですね。
ですからさっきのキャベツの歌みたいにワンシーンがラストでも始まりでもいいんですけど出されるとあっあそこに絵本の原石があったなってそれを私がどういうふうにストーリーを作ろうかなっていう。
あれが全てのストーリーではないんですね。
あそこから何かが生まれるっていう。
短歌がそういうような…全てとは申しませんしジャンル分けは難しいんですけど。
今おっしゃったように私たち作る時に短い詩型の中でどういうふうに時間を表現するかという事は難しいんですよね。
それが大きな長年の多くの歌人の課題でもある。
空間は描く事はできますけど時間というのは難しいんですね。
子供の本ってあんまり過去を遡るような書き方をすると読み手が混乱するんですね。
そういう事も考えながら時間の配分ってすごく難しいんですけれど私がすごく意識をしているところは言葉と絵が重ならないように説明図にならないようにそうすると2倍の世界観が言葉と絵で2倍の膨らみを持つ。
例えば「チェロの木」の作品の中にもこのページは深い森の絵ですが言葉はございませんね。
ないですね。
そこは主人公の少年が今まで自然界の中で春夏秋冬何歳何歳って聞いてきた森の中で初めて雪の沈黙の音の中で自分の中の音に気が付くシーンなんですね。
絵は順番に描かれるんですか?いや描かないですね。
1ページ目から描いた事がなくてやっぱり「チェロの木」の私にとって一番のテーマは自分の中の気づき自分で発見する音それを描きたかったのでそれは決してうるさい中でじゃなくて教えられる事でもなくてほんとに一人になった状態で気付く。
沈黙の中で気付くっていうすごく早く出来た絵なんです。
先にもう出来上がった肝となるような絵だったわけですよね。
そうです。
今すごく私よく分かりました。
短詩型も同じですね。
言葉にしない事の中にこそ心の真実があるんですよね。
全く同じですね。
一方でこちらのページを拝見致しますとこちらはもちろん絵と共に言葉文章がございますね。
ありますけれど決してダブってないんですね。
5月の空なんですけれど絵の方では空から音符が降ってくるような感じ音が降りてくるような感じに描いています。
いせさんの作品は絵にも言葉にもそれぞれ呼吸があるんですよね。
それもぴったり同じ呼吸ではなくて絵には絵の呼吸文には文の散文詩のような呼吸があるんです。
それはやっぱり意識して?多分無意識だと思います。
自分の体内時計だとか体のリズムだと思うんですけれど原稿を作る時は声に出して作るんですね。
そうしないと読んで聞かせてあげてる時にものすごく不自然な感じになる。
そうかそうか絵本は読んで聞かせるものですよね。
だから何回も書き直すんですけれど自分が読みにくい文は絶対書かない。
音にされるって事はリズムがこうやっぱり言葉の…。
計算はしてないですよ。
でも読んでみると分かる。
じゃあ絵は絵のリズム。
散文は散文のリズム。
絵は形にも線にも色にも流れにも全部リズムがある。
それもやっぱり無意識というか意識はあまりしなくても大事な事なんですよね。
多分そういう事でしょうね。
いせさんの作品は絵本とはいえやっぱり私たち大人が十分に楽しめる上質な叙情作品という感じがしますね。
今回の女性ディレクターなんてもう感動してました。
ありがとうございます。
原画を持って帰らないように注意しないといけないですね。
でも短歌という短い詩型の中に絵本のストーリーをパッと想起させるようなものを発見される事もあるわけですよね。
発見しましたね。
今日は来て頂いて本当にうれしかったです。
ありがとうございます。
絵本作家のいせひでこさんをお迎え致しました。
楽しいお話をありがとうございました。
小島さん来月もどうぞよろしくお願い致します。
「NHK短歌」そろそろ時間となりました。
ではごきげんよう。
2014/07/06(日) 06:00〜06:25
NHKEテレ1大阪
NHK短歌 題「野菜」[字]

選者は小島ゆかりさん。ゲストは絵本作家のいせひでこさん。昨年刊行した絵本「チェロの木」は、イタリアの工房に取材したもの。物語を編む作業は短歌作りに似ているという

詳細情報
番組内容
選者は小島ゆかりさん。ゲストは絵本作家のいせひでこさん。昨年刊行した絵本「チェロの木」は、イタリアの工房に取材したもの。物語を編む作業は短歌作りに似ているという。題「野菜」 【司会】濱中博久アナウンサー
出演者
【出演】いせひでこ,小島ゆかり,【司会】濱中博久

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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