ご機嫌いかがですか?「NHK短歌」司会の濱中博久です。
第三週の選者永田和宏さんです。
今日もどうぞよろしくお願い致します。
さてさて昼からお酒を召し上がるんですね。
関西では蕎麦でビールを飲んだり蕎麦で酒を飲んだりする事ないんですよね。
関東江戸に蕎麦で酒を飲むっていうのがあるみたいでせっかく東京に来たんだからやってみたという。
いいかげんだったでしょ?昼からね。
いいですね。
特に片隅がいいですよね。
お好きな感じが…。
今日はそういう空間がお好きなゲストをお迎えしております。
ご紹介致しましょう。
川柳作家のやすみりえさんです。
ようこそお越し下さいました。
よろしくお願いします。
やすみさんといえば恋をテーマにした川柳が幅広い世代から支持を集めていらっしゃいます。
また川柳のワークショップを開催するなど子供たちに言葉の魅力を伝える活動も一生懸命行っていらっしゃいます。
永田さんとはお知り合いなんだそうですけどもどういう仲でございましょうか?先生とはですね以前ある公募の短歌とか川柳のコンテストの審査の場所でご一緒させてもらった事がありますね。
そういう場であまりゆっくりお話できなかったので今日とっても楽しみにやって来ました。
お話できなかったので是非今日はと思って。
やすみさんは最近こういう句集をお出しになって「召しませ、川柳」と言いますがなかなか面白いですよ。
いくつも好きな句があるんですが例えばこんな句がありますね。
これね恋をしてるふたりでねどっちも不完全だ。
あなたも不完全だし私も不完全。
どっちが不完全が大きいかというんで三日月につるしちゃった。
片一方の不完全の方が強くて三日月がゆがんじゃったというそんな感じで僕は受け取ったんですけど…。
とっても具体的に情景をイメージして頂いてとてもうれしいですね。
不完全だらけの私が詠んだのでそんな一句ですね。
私なんかつり下げられたら不完全が重すぎてドーンと私なんか落ちちゃいます。
「ああ濱中落ちたわ」ってそんな感じがしますけどね。
お迎えしたゲストにはいつも短歌のイメージを短い言葉にして頂いておりますがどんな言葉になりましょう?私はこちらです。
どうやらこれはいい親戚だと思っていらっしゃるわけですね。
川柳・短歌ですからねさあどんなお話かまた後ほどどうぞよろしくお願い致します。
さあそれでは今週の入選歌です。
題が「飲む」または自由でした。
どんな歌が選ばれましたか永田和宏選入選九首です。
一首目。
早速やすみさん伺いましょう。
「予習復習」というところがいいですよね。
でも週に2回の前後に合わせていくとほとんど飲んでますね。
家にいないんでしょうかね?やすみさんそっくり。
あら!これに補習が加わったりしてね。
つまり飲んでばっかりって事ですね。
外へ出るのが2回ぐらいで家で予習復習してるんですよね。
それをほほ笑ましく…。
そうそう。
奥さんは許して面白いなと思ってるんだと思うんですけどね。
休肝日作らないとね。
そろそろお考え下さいませ。
濱中さんどうですか?休肝日ばっかりですよ。
健康第一です。
では二首目です。
これは悲しい歌でもう臨終に近いお父さんだと思うんだけど見舞いに行って水飲みで飲ませようとしたけどもう水を飲む力もなかった。
そして口の中から喉へ行かずに頬に伝ってきたというね。
これが非常に客観的に淡々と詠まれているけれども悲しい歌ですね。
いい歌だと思いますね。
続いて三首目です。
やすみさんいかがですか?こちらも介護の場面を想像できますよね。
そして子供に聞くような感じでお母さんに聞いているんだけれども数を数えて足りないのは飲むのを忘れたからという事ももちろんあるでしょうけど飲んだ事さえも忘れてしまっているというその母の状況が感じられるわけですよね。
それとこの歌いいのは「ハイと言う」というところとても律儀にハイと答えている。
ちょっと痴呆も進んでいるお母さんなんだと思うんだけど自分の義理のお母さんですよね。
お嫁さんに対してハイと律儀に答えてるところがとても悲しい歌ですね。
では四首目に移ります。
ああこれはよく分かる歌ですね。
いつもこんなんして謝ってるんでしょうねこの旦那はね。
すまんすまんコーヒーいれるからさ機嫌直してよって言ってるんだけど点があったり丸があったりして話し言葉そのままでね。
この歌は上の句だけでも成り立つみたいな歌ですね。
そうですよね。
悪かったうまいコーヒーいれるから。
それで全部分かるんですね。
そこがちょっと下の句の方に重複感があってちょっと惜しいと思いますけどでもよく分かる歌ですね。
お詫びをちゃんと入れられるっていうのは羨ましいですね。
これができないからもう私の人生は苦悩が多いです。
次の時にこの歌を使うんですよ。
これを使う。
ああなるほどね。
言ってみるわけですね。
分かりました。
勉強になりました。
次の歌です。
笑っちゃいますね。
面白い歌ですよね。
まあいい飲み友達だったんだけど結婚して7年もたつと奥さんの方は高いびきでトドと暮らしてるみたいだと。
ちょっと比喩がすごいな。
そこまで言うかってここの家の今夜が楽しみですね。
では続いて六首目です。
これもねサラリーマンならよく分かる歌ですね。
上司の言葉っていつも苦いし毒々しいし消化に悪いししょうがないから後で酒で消毒するかって言ってるわけです。
これいかにも川柳的ですよね。
この会社での出来事を詠むっていうのは非常に川柳で好まれる切り口ですよね。
消毒ですか…。
ばい菌なんだね上司の言葉はね。
酒飲むのは必要なんですよね。
飲んべえの言い訳みたいになりましたが次の歌です。
ああいいですね。
やすみさんに聞かざるをえませんね。
本当にすてきな作品ですよね。
何ていうのかな読んだこちら側も優しくてふんわりした気持ちになる事ができますよね。
そして両手で包んでいるその飲み物への慈しみというかそういうところもあっいい時間過ごされてるんだなって感じました。
いかにもやすみさんみたいに和服で飲んでる感じしますよね。
和服の女性が大切そうに湯呑みを両手で包んで飲む。
「両手で包む」というところがとても懇ろでいい歌になったと思いますね。
「さくら湯」という言葉も響きが柔らかですね。
それでは次が八首目です。
何かこれもよく分かる歌でこの歌面白いのはね「煮え湯」って大体「煮え湯を飲まされる」って受け身で使うものなんだけど工藤さんはね飲んでやるという感じでね煮え湯でも何でも匙なんか使わず直で飲んでやるぞと言って啖呵を切ってるというそういうある種の気風の良さがこの歌の心情でしょうね。
「匙なんぞ使わず直に」というのもうまい表現ですね。
煮え湯はなるべく飲まない方がありがたいですけどね。
体に悪そうですよね。
続いて九首目最後です。
これもいい感じの歌ですね。
雰囲気がいいですね。
飲み屋が奥にあってその所に小さな道がある。
その横に釣鐘草が咲いてて昼下がりのけだるい風に揺られて眠そうに咲いている。
その風は飲み屋の奥まで風が通っている。
飲み屋の前で止まるんじゃなくて飲み屋が開けっ放しなんですよね。
その奥でお酒を飲んでいるというそんな歌ですね。
最初の冒頭の私の片隅のビールみたいなあんな雰囲気かな。
やすみさんもこういう状況お好きでしょう?これはもうこの暖簾くぐるしかないですよね。
やすみさん飲むの好きですもんね。
好きですね。
いいお題ですね。
どんな風景を?吹いてきた風が潮風?潮の香りがしそうな気がします。
島の路地入っていくようなそんな情景が浮かびますね。
ああいいですね。
そういう感じもしますよね。
やすみさんと永田さん入ると出てこなくなりそうですね。
はしごになっちゃう。
昼から夜までね。
はいそんな歌でございました。
以上入選九首でした。
それでは特選の発表です。
まず三席からです。
三席は山田洋子さんを選びました。
続いて二席です。
二席は江尻恵子さんです。
ではいよいよ一席の発表です。
一席は村松建彦さんを選びました。
状況は先ほど申し上げたとおりですけどね。
息子の悲しみというのがこの中に出てるんですよね。
息子ってね父親には何にもしてやれない。
最期だというのにしてやれる事と言ったら水差しで水を飲ませるくらいだと。
最期にやってやれる事も父親はもう受け付けなくなっている。
そこがとても悲しい歌だけど特に父と息子の関係というのはこの中によく出ている。
それがいい歌になったところだと思いますよね。
以上今週の特選でした。
今回ご紹介しました入選歌とその他の佳作の作品こちら「NHK短歌」のテキストにも掲載されます。
是非ご覧下さい。
それでは「うた人のことば」です。
家内も亡くなったからこういうところを詠むと故人を思い出すわけですけどね。
これはね牡丹を切ってきて見せたんですよね。
そして切った時に「この花ちょっとつぼんだわよ」って言うんです。
ああそういう事あるかななんて自分が切ったなら気が付かないだろうけどと思って感心したんですよね。
これは東京で勤めていて自分のうちへ帰るために電車に乗ったら東京から小岩の手前で川がありますね。
江戸川ですか。
そこのところで海の方へ水が注いでいくのが見えて海へ帰っていくんだなと思ったんですよね。
あれもこれも全部歌っちゃって自分の手帳なんかいつもいっぱいでしたからねその中の一つで発表する10倍以上は作ってますよね。
では続いて「入選への道」のコーナーです。
たくさん頂くご投稿作品の中から今日は一首取り上げて永田さんに手を入れて頂きましょう。
さあどんな歌でしょうか?いい感じの短歌なんですがね読んで分かるようにやや言葉が多すぎる。
五七五七七にうまく乗ってないんですよね。
ちょっと散文調ですかね。
この雰囲気を生かしながら言葉だけ整理したいと思います。
こんなふうにします。
「麓の宿の」は不要だろうと思いますし結句の「飽かず眺むる」も無くてもよく分かる。
もう単純に「眺めおり宿の二階に酒を飲みつつ」としました。
この添削で一つだけ気になるのは初句二句に句またがりがある。
「もう登れ」で五句ですね「ない甲斐駒を」ここで五七なんですがちょっと読みにくいのが難なんですがそこはもうあえてそのままにして「もう登れない甲斐駒を眺めおり宿の二階に酒を飲みつつ」としてみました。
結句の方で調べはしっかりしてますからね。
皆さんもどうぞ参考になさって下さい。
では投稿のご案内を致します。
さて選者のお話「時の断面あの日、あの時、あの一首」今日は「結婚式の親たち」というお話です。
結婚式というのは当人にとっても親にとっても人生の中で最大のイベントなんですが今はそれを大きく華やかにという結婚式がとても多いんですけれどもこれは戦後しばらくの結婚式で家族だけで慎ましい結婚式を家でやるわけですね。
そんな大きなテーブルもないので机を二つ合わせて白い布をかけてテーブルをまず作る。
そこに並べるのはみんな妻の手料理だという。
ここはいかにも手作りの結婚式で本当に祝いたい者だけが集まってる結婚式というのはとてもいいと思いましたね。
この歌の前には奥さんが表を掃いて旦那さんが机を作るとかそれから並べてみたらうなぎが1匹足りなかったというのもあって。
お料理がお一人分足りなかった。
それがいかにもいいんですよね。
足りない事もいい思い出になるわけですからね。
そういう懐かしい結婚式の風景だと思いました。
やすみさんこの歌の情景はどんなふうにお感じになりますか。
やっぱり温かみがあっていい家族の風景ですよね。
古川柳にこういった切り口で詠んだものがありましてこんな句なんですけど…。
「うれしい日母はたすきでかしこまり」たすき掛けですね。
そうなんですよね。
張り切ってるお母さん浮かびますよね。
何でも手作り忙しい日もより忙しくなっちゃうんですけれどもみんなをお迎えするためにお母さんがとにかく頑張って動いているという様子ですよね。
しかもたすき取る暇もなくかしこまってるというねそこがとてもいいな。
やはり特別な日の雰囲気が詠まれてますよね。
「うれしい日母はたすきでかしこまり」なるほど。
頭に残る句ですね。
選者のお話「結婚式の親たち」でございました。
さあやすみさんにもいろいろ伺ってまいりますがまずは最初にお作り頂いたキーワード「短歌とは何ですか」という事ですがどんな言葉でしたっけ?さてこれです。
この心は?日頃さまざまな短歌の作品を読む時ってほんとにね楽しくてリラックスできるひとときなんですよね。
川柳詠んでいる時はどうかっていいますとどうしても人様の作品読ませて頂くと選者目線になってしまったりとか落ち着かない事も多いんですよね。
選者目線ってよく分かりますね。
しょうがないですね。
共感して頂いてうれしいですけれど。
川柳は実家ですのでじゃあ短歌はというととっても楽しい居心地のいい親戚のおうちというふうにさせてもらったという事ですね。
短歌を鑑賞されるのは楽しみなんですね。
すごく楽しいです。
そしてまた言葉選びとか目の付けどころって川柳を実際に作る時に役に立つところも多いので本当に充実したいい時間を短歌で過ごさせてもらってます。
短歌も川柳もわりと人事を詠む事が多いのでそういう意味では僕なんかも俳句はわりとかしこまって訪問するおうち。
川柳は気楽に戸をたたくというそんな感じですね。
是非是非。
それではその居心地のいいおうちから一首紹介してほしいんですがどんな歌がお好きでしょう?この歌とてもインパクトの強い一首だと思うんですがアラフォーになって非常に私心にしみるんですよね。
やすみさんが?はい。
例えば「産むならば」というようなこういう言葉にもどうしても40代の女性とかっていろいろと思い巡らす事も多いと思うんですけれどもこの歌ってそもそもジェンダーフリーを歌った作品として捉えるべきなんでしょうけれど私にとっては「さみどり」という言葉に関しても非常にフレッシュな感じを与えてくれてよし40代に入ったけどまたいろんな事を新たに挑戦してみたりとか新鮮な気持ちで頑張ろうという背中を押してくれるような今これを歌として捉えています。
阿木津さんはフェミニズム運動の歌壇の女性のリーダーとして活躍した人でこの歌も産むのなら子供だけじゃなくて世界を産むぐらいの大きなつもりでやれというようなメッセージが込められてるんだけどでも歌ってコンテクストだけで読むと痩せちゃうので今のやすみさんのような読み方というのはとても歌を豊かにする読み方だと思いますよね。
ところでやすみさんは子供たちに言葉の魅力を伝える川柳の教室にも力を入れていらっしゃるという事でしたね。
ワークショップとして実際に小学校に出向いていって出前先生やらせてもらったりしてるんですけど小学生でも指折り数えながら恋の句を詠んだりするんですよ。
小学生が?はい。
「彼が好き」とかね「君を思うと」なんていうフレーズが入っているんですよね。
負けられませんね。
いいですよね。
僕も短歌でもね若い時にとにかく恋の歌を作りなさい。
高校生なんか特にそう言うんですけどね。
若い時の恋の歌って1回しか作れないのでね。
やすみさんの先ほどご紹介した「召しませ、川柳」はこれ本当に恋の川柳が多い。
とても身にしみるというかとてもいいしどうかな?どういう意味かな?と思うのもあるんですけど例えばこんな句があるんです。
ねえいいですよね。
尻尾が生えていた…。
どうですか?濱中さんこれ思い当たるところあります?えっ私?「この恋に尻尾が生えていたなんて」恋っていうのは何ていうか意外な事が多いじゃないですか。
まさか尻尾が生えていたなんてというようなところでこんなはずではなかったという体験を思い出しますね私は。
尻尾を見てしまった?尻尾があったはずではなかったんだけどという。
そういう事多くありません?やすみさんいかがですか?いい尻尾ならねまた新たな発見があるといいんでしょうけど確かに今濱中さんおっしゃって下さった恋って姿を変えていきますからそんな中での何か思うところを詠んだような気が致します。
永田さんはどう読んだんですか?意外性があって面白いと思ってまあこんなはずじゃなかったという事でもないけどあそこに尻尾が見えてるって捕まえられない恋の中でどこかあっ尻尾見えてるよという感じの恋もある。
そんなふうに読んだんだけどこれね一つで読めないですよね。
いろんな角度から…はい。
それって川柳ではどうですか?僕はねそれは大事な事だと思う。
これしか読めないこういうふうにしか読んでほしくないっていうのはあんまり面白くない。
私も作品を読んで頂く時に自由に解釈して頂く方がうれしいです。
手放した瞬間にもうその人のものになったらいいなって。
絶対濱中さんのものになります。
つくづくやすみさんの恋愛体験の多さをしみじみと感じた今日一日でございました。
やすみりえさんでございました。
どうもありがとうございました。
また永田さん次回もどうぞよろしくお願い致します。
「NHK短歌」時間でございます。
ごきげんよう。
2014/07/20(日) 06:00〜06:25
NHKEテレ1大阪
NHK短歌 題「飲む」[字]
選者は永田和宏さん。ゲストは川柳作家のやすみりえさん。短歌を読んで味わうときは、とてもリラックスできるというやすみさん。31音の調べの美しさにひかれるという。
詳細情報
番組内容
選者は永田和宏さん。ゲストは川柳作家のやすみりえさん。短歌を読んで味わうときは、とてもリラックスできるというやすみさん。31音の調べの美しさ、力強さにひかれるという。題「飲む」【司会】濱中博久アナウンサー
出演者
【出演】やすみりえ,永田和宏,【司会】濱中博久
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 文学・文芸
趣味/教育 – 生涯教育・資格
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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