タケさーん!俺も結婚したーい!
(拍手)
(ツクツクボウシの鳴き声)
(大森武弘)あっそうだ。
ビデオさ…ハードディスクにいろいろためてたやつ整理しなきゃと思ってて…。
どうでもいいもんいろいろ撮って…。
でもさ…なんか消せないよね。
フフフ…。
あれ?これいつ撮ったっけ?
(操作音)
(大森恭子)「お〜!ホホホ…」「ねえタケちゃん!」「うん?」「今夜何食べる?」「俺肉がいいな」「肉昨日も食べたじゃん!」「今夜も食べたいんだもん」「えー!」カロリー取りすぎ。
メタボになるよ!ああもうやばいわ。
いいよ。
好きなもん食えたらメタボで!じゃあ何?タケちゃん私より先に死ぬって事?え?そんな事言ってないよ。
だってそうじゃん。
好きなもん食べて死んでもいいって。
そういうんじゃなくてさ…。
っていうかさこれさ未来に残す記念のビデオでしょ?こういう会話でいいわけ?大事な事でしょ?こういうバカな会話をしている2人でした。
バカじゃないでしょ。
大事な事でしょ!もうこれだから学校の先生っていうのはさ…。
でもさ当分こうやって2人で旅行とか出来なくなるね。
そうだね。
今度は家族3人で来ような。
フフ…。
「親子でキャッチボールするんだもんな〜」「まだ男の子だって決まってないから!」「絶対男の子だよ」「なんで?」「最初は男の子…」「なんでなんで?」「顔つきでわかる」「誰の?」「恭子の」「何それ…」
(応援団の演奏)
(歓声)
(佐藤)よし!
(斉藤)投手球走ってましたね。
(栗山英樹)まあやっとねピッチャーとして前進み始めたなっていうね感じしてくるよね。
そうですか。
やはり中6日の起用が当たりましたね。
いやいやまあそれはねあいつの事を信じてるんでね。
(佐藤)その辺りの見極めはさすがですねえ。
いやいやいやもう本当に…。
監督!監督!相手ピッチャーのカーブに各バッターかなり手こずってましたけどもあのカーブのキレっていうのはどこから来るんですかね?
(斉藤)そんな事相手側に聞けよ!すみません!じゃあ6回の攻撃あれノーアウトで…。
監督!大谷選手は今後ピッチャー中心の起用になっていく感じですかね?あいつがローテーションで回んないと優勝出来ないんでね。
(佐藤)そうですよね〜。
(栗山)まずはローテーションをしっかりするっていうのがねポイントになってくるんでね。
はい。
阿井ヘッドコーチいきます。
今日も西武投手陣のカーブには手こずってたけど追い込まれるまではカーブには手を出さず…。
(山倉)今回の企画は相手ピッチャーの攻略法がテーマなんだからそこ突っ込んで聞かないでどうするんだ!いやでもですね…。
スポーツに来てまだ日が浅いなんていうのは言い訳にならないぞ。
お前が前にいたバラエティーと違って鮮度が命なんだ。
お前が現場に行きたいっていうから連れてきてやったんじゃねえか。
人を押しのけてでも前に出るぐらいじゃなきゃ駄目だ!すみません。
ああもう時間がない。
すぐ準備するぞ!
(スタッフ)はいCM入りました!工藤さんすみません。
ちょっと押してましてV明けのスタジオ尺が1分3秒となってますんで。
(工藤公康)今日ショートバージョンで…。
お願いします。
あとライオンズのピッチャー今日三振いくつでしたっけ?6つ…でしたっけ?多分そうだったと思いますね。
そうですか?ちょっと確認してもらっていいですか?ああはい…すみません!7つでした。
ごめんなさい。
あっ7つ。
7つ目をカーブでいいんだよね?カーブです。
カーブですはい。
お願いします。
(古舘伊知郎)お願いします。
よろしくお願いします。
古舘さん今日工藤さんカーブについてお話しされますので…。
はいはい聞いてます。
はい。
あっボール忘れちゃった。
(携帯電話の振動音)お…えっ?俺。
何?ご飯食べた?「今本番中だよ。
なんか用事?」別に。
妻がいない間に浮気とかしてないかなとか。
「そんな暇あるわけないでしょ!」冗談でしょ。
いや帰ってきたらさお父さんがさ相変わらずパンツ一丁でうろうろうろうろしててさ。
ああ私ってこの環境で育ったんだなってしみじみ思った。
「恭子はパンツ一丁でうろうろしないじゃん!」するわけないでしょ!でお母さんがさ…。
ああごめん!ちょっと今時間ないからさ。
そっかじゃあ明日話すね。
うん。
えっ!?「えっ!?って何?」「明日来るんだよ?こっちにタケちゃん」えっマジ?何言ってんの!
(真鍋泰江)お父さん!ちょっと風邪引いちゃうからちゃんと起きて早く…。
出産する病院の先生にあいさつするのに旦那もいるでしょ普通。
「そういうもん?」そういうもんでしょう。
わかった…。
なんとか都合つけるわ。
あっ!じゃあ先生になんかお土産…。
そんなのはちゃんと用意してる。
あっじゃあさお父さんに人形焼買ってきてあげてよ。
ああわかった。
じゃあね。
「あ!あと…」うん?「検査してもらったの」検査?なんの?「なんかここんところ胸のところにしこりがあって…」え…しこり?どの辺?この辺…。
えっなんなの?大丈夫なの?お母さんが言うにはさ妊娠中はよくあるんだって。
お母さんもそうだったって。
「そうなんだ」
(真鍋光吉)おい!タケちゃんか?ああ〜もう!仕事で忙しいんだって。
あ…。
じゃあね。
「いいの?お義父さん」長くなるから。
じゃあね。
お先に失礼します。
お疲れさまです。
(山倉)困ったな2日も抜けんのか。
すみません。
しょうがねえな。
なんとかみんなでフォローするよ。
なあ?本当申し訳ありません!すみません。
いいよ。
それより奥さんどうなってる?あっ順調です。
そうか。
親父になるんだからますます頑張んなくっちゃな。
はい。
フフフ…。
よいしょ。
(泰江)ああ〜!武弘さん!お義母さんどうも。
(光吉)おお〜!来たか!タケちゃん!ああどうも。
わあ〜…。
おお〜!よう来たよう来た!タケちゃんと一緒に飲もうと思ってこれ金之羽買ってきちゃった。
朝からそればっかり!お疲れ。
おお。
あっこれつまらないものですが…。
あらありがとう。
気使わなくてもいいのに。
結婚式の時もお父さん飲みすぎて私本当恥ずかしかったんだから。
(光吉)ハハハハ…。
(真鍋聡子)本当よ。
酔っ払ってこの写真持ち上げて「うちの娘が結婚しました!」って大きな声で…恥ずかしかったよ。
ハハハハ…いいじゃねえか嬉しかったんだからよお。
(聡子)おまけに写真持って帰ってきちゃうしさ。
はーいこれも食べて。
もうお腹いっぱいです。
すみませんもう…。
何言ってんだよ。
若いんだからもっと食べて食べて!はい!これも飲んで。
はい。
あんまり飲ませないでよ。
明日二日酔いのヘロヘロで病院の先生にあいさつする事になるんだからね。
嬉しいの!俺はね息子が出来て嬉しいの。
今までほら女3人に男はずっと俺1人だっただろう?この不利な状況をちょっとは改善出来るんじゃないかと期待しとるわけよ。
ハハハハ…。
僕に出来る事でしたら。
問題はそれか。
タケちゃん。
はい。
漁師になんない?変なスカウトするのやめてよ!漁師ですか…。
んー…。
漁師はいいぞ。
男の仕事!「板子一枚下は地獄」っつってな。
ハハハ…。
命を張ってやる仕事なんだよ。
ちょっといつの時代よ。
魚食べるのは好きなんですけどとるのはちょっと…遠慮させて頂きます。
(光吉)ハハハ…。
タケちゃんヘタレだから無理だね。
いいのか?女房にヘタレなんて言われて。
はい。
まあ事実なんで。
ハハハ…。
いやあ好きだなあ俺。
そういうの好き!要はなんでもいいんでしょ?
(一同笑い)ちょっと悪いな。
俺横になる。
え〜っ!?えっ!もう〜!
(泰江)あ〜あ幸せそうに。
フフフ…。
こりゃ朝までコースだよ。
そうなの?あっ…気持ち悪い。
食いすぎた!だから言ったのに!けどさ意外とうちの家族になじんでるよねタケちゃん。
俺の実家なんかよりずっといいよ。
ほらうちの親父堅苦しいだろ?真面目で立派なお父さんじゃない。
面白くもなんともない男ですよ。
こっちのお義父さんのほうがよっぽどいいですよ。
いいか?ハハハ…いい。
あっそういえばさ検査ってなんだったの?電話で話したでしょう。
この辺にしこりがさ…。
ああ…痛いの?うん。
結構。
よくあるのよ。
私の時もそうだった。
ああ…。
(吉岡)ああどうも。
これよかったら…。
いやいやいや…。
いやどうぞ。
いやいや本当に。
怒られちゃうんで怒られちゃう。
もうわざわざあいさつなんかいいのに。
お世話になります。
まあ実家の近くで出産するのが安心だよね。
旦那さんはしょっちゅう来るのが大変だけど。
よろしくお願いします。
はい。
よろしくお願いします。
(吉岡)はい。
そうだ。
このあと検査の結果聞く事になってるんですけど…。
ああそう。
近藤さん大森さんの検査ご案内して。
松尾さん熱中症の子どうなった?今点滴をしていて意識ははっきりしています。
失礼します。
(田代)どうぞ。
失礼します。
あっどうぞはい。
お義母さん。
お願いします。
(田代)あ…。
えっと…。
奥様の検査ですがエコーとMRIあと針生検といってしこりに針を刺して一部採取して調べる検査をやりました。
(田代)でその結果なんですが…。
これは乳がんです。
え?
(田代)患部はすでに10センチぐらい。
左の乳房全体を占める大きさになっています。
あと…肝臓のほうにも転移が認められます。
これは遠隔転移といって乳房から離れた臓器に転移している状態で…。
ステージ4…という事になります。
え…?え…乳がん…。
え…?どう…。
先生それあの…。
ステージ4っていうのは…その…。
末期っていう事ですか?
(田代)一般的には数字が大きいほど悪い状態という事になります。
ああ!大丈夫!?恭子。
(看護師)大丈夫ですか?すみません。
ごめんなさい。
(看護師)こっちへ。
せーの!お義母さん…。
足上げますね。
恭子大丈夫?タケちゃん。
ん?私…死ぬの?なな…何言ってんだよ。
そんな事…そんな事ないって!そんな…ねえ?先生。
あの…先生!
(田代)お住まいは東京ですね。
あ…。
じゃあ…聖路加国際病院を紹介しましょう。
設備もこちらより充実していますので。
ちょ…。
あ…え…ちょっと落ち着こう落ち着こう。
え?
(田代)奥様…妊娠されてますね。
はい。
ひとつ申し上げておきますと今後子供を産むのか諦めるのかが大きな問題になるでしょう。
え…?
(田代)担当医師とよく相談して決めてください。
あの!先生!はい。
あの…。
末期という事はその…。
余命っていうんですか?それは…。
(田代)一概には言えませんがデータ的に言えば…1年から2年…というところでしょうか。
(高橋)田代君。
がんの告知初めてだったの?はい。
そう…。
おっおっ!ウッフッフッ!ホイホイ!あ〜ハハハハ…。
おーい!戻ったよ!泰江!泰江!ほらサバ!とれたてのサバ!これ刺し身にしてくれ。
いやあ急に降られちまってよ。
あ?どうした?ケンカでもしたか?ハハハ…。
タケちゃんも大変だねえ。
こんなとこまで仕事持ってきて。
乳がん…。
乳がんって何?え?あ?え…。
(ため息)結局飲むんだから。
タケちゃん飲むか?いえ。
なんでこんな事に…。
結婚してお腹に子供が出来てこれからって時に…。
なんでだよ。
あれ?恭子は?え?どこ行ったんだろ?ああ…俺捜してくる。
俺行きますから。
恭子!恭子!恭子!恭子ー!恭子見なかったですか?恭子ちゃん?見ないよ。
どうしたんだ?恭子…。
恭子ー!あっ!恭子見なかったですか?きょ…恭子!え…?恭子ー!恭子ー!恭子!恭子!
(荒い息遣い)どうしたの?「どうしたの?」じゃないよ!はあはあはあ…。
急にいなくなるからさ。
自殺でもすると思った?この子がいるのにそんな事するわけないじゃん。
そうだな。
はあはあ…。
子供の頃の事とかさ思い出してて…。
よくここら辺で遊んだなとか。
ほら!あそこに灯台あるでしょ?あそこ登って怒られたなあ。
今は立ち入り禁止なんだよ。
そう…。
昔は立ち入り禁止とかなくてさどこへでも入っていけたなあ。
っていうか本当は入っちゃいけなかったのかもしれないけど…。
怖いよ。
大丈夫。
なんでこんな事になっちゃったんだろう…。
なっちゃった事は…あれだ。
しょうがないよ。
前向きに頑張っていくしかないっていうか…。
うん…そうだよね。
ひとつ提案があるんだ。
ん?これからはお互いに隠し事はしない。
あと1人で黙ってどっかに行かない。
ごめん…。
一緒に帰ろう。
「大森さん大森さん3番にお入りください」
(川島久美)よろしくお願いします。
川島です。
担当の山下先生の診察は夕方になりますのでその前に問診を受けて頂きます。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
あのそんなに緊張なさらないでください。
あっ…。
奥様妊娠されてるんですね。
はい。
男の子ですか?女の子?男です。
この間エコーの時に教えてもらって。
ああそうですか。
キャッチボールするのが夢だそうです。
楽しみですね。
それじゃあちょっとしこりを診てみましょうか。
ここです。
どうだった?どうだったって…。
これからこいつと闘っていくんだなって感じ?ふーん…。
どうした?赤ちゃん大丈夫かな?がんの影響で子宮になんか悪い事起こってないかな。
そんな…。
いや…心配したってしょうがないだろ。
とにかく診てもらおう。
な?
(沢村幸枝)あっ…。
ここが頭ですよ。
問題ないようですよ。
順調です。
なんか安心した。
うん。
私の体ってさここにがんがあってここに赤ちゃんがいるんだよね。
体の中にいいもんと悪もんがいるんだな。
なんなんだろうね。
なんなんだろうな。
うーん…。
(山下伸彦)どうもお待たせしました。
(2人)よろしくお願いします。
(山下)はい。
えっと…。
(キーボードを打つ音)えっと…ステージ4。
左乳房にディンプリングあり…。
胎児が18週…。
痛みとかは?張った感じがあります。
妊娠中ですね。
つわりとかは…?結構あります。
においとかですぐ吐き気がして…。
においで吐き気。
その吐き気がつわりから来るものか骨転移によるものか…。
血液検査の結果は…。
カルシウムの値が高いか…。
あの…先生先生。
はい。
手術とか…そういう事になるんでしょうか?いえ…この状態では手術は意味ないんです。
じゃあ放射線とか…?ネットで調べました?はあ…。
ネットには不正確な情報もありますから患者さんがあまりネットを見るのはおすすめ出来ません。
わかりました。
で放射線の話に戻りますと乳がんというのは転移しやすい性質があるんです。
今がん細胞が全身に散らばっている状態なので乳房のがんだけを手術で取り除いたり放射線で除去しても意味がないんです。
じゃあどういう治療を…?今後は化学療法といって薬を中心とした治療で進行を遅らせるという事になります。
もうひとつ大切な事があります。
お腹の中に赤ちゃんがいるかどうかで当然治療方法は変わってきます。
さっき言った化学療法の一環として抗がん剤を打ちたいわけなんですけど薬によっては赤ちゃんに悪影響も考えられます。
ですから…。
赤ちゃんを生かすのかそれとも…。
中絶するという事ですか?
(山下)はい。
治療方針を確定する上でもどちらかを選択して頂きたいんです。
産みます。
産みたいです。
(山下)今慌てて結論を出す事はありません。
今日が18週と5日ですから…。
(山下)遅くとも21週の前半までにという事で。
中絶すればしないよりがんはよくなるんですか?いえそうとも言えません。
え…。
それって…。
中絶すれば奥さんの体だけを考えて治療が出来るという事です。
妊娠の継続をすればご本人と赤ちゃん両方を診ながらでないと治療は出来ない。
そういう違いです。
やっぱり…子供無理かな。
どうして?どうしてって…先生言ってたろ。
絶対駄目とは言ってなかった。
無理に産んでも障害があったり…。
障害のある子は駄目なの?私障害児のクラス受け持った事あるけどみんなかわいいよ。
まあそりゃあ…。
でも育てるのは大変だろ?私が死んだあと障害を持った子を抱えて苦労するのが嫌なんだ。
死ぬとか言うなよ。
だってあの先生が言ってた。
「進行を遅らせる」って。
それって延命治療って事でしょう?延命って事は…。
俺は…お腹の子よりは恭子のほうが大切だよ。
言ってる事わかんない…。
(携帯電話の振動音)誰?親父から。
今度の事報告してくる。
(携帯電話の振動音)
(大森真澄)なんでこんな事に…。
(真澄)かわいそうに…。
(大森志郎)なってしまったものは仕方がない。
治療に専念するしかないな。
うん。
ひとつずつ…大事な事を決めていこう。
治療にかかる金の事だが…。
入院とかする事になったら相当かかるんでしょう?うん…。
まあ放送作家なんざ大した稼ぎはないんだろう?多少の貯金はあるけどでも足りるかどうか…。
わかった。
じゃあそれはうちも援助してやる。
ありがとうございます。
まあそれはそれとしてもっと重要な事がある。
お腹の子供はどうするんだ?おろすしかないだろう。
いやしかないっていうか…。
お医者様はなんておっしゃってるの?おろせとは言わないよ。
でもどっちにするかで治療が違うみたいな…。
(志郎)がんとな命のやり取りしなきゃいけないんだ。
そんな時に子供なんか産めるわけはないだろう。
一概にそういう事でもないみたいだけど。
(志郎)それじゃあ大丈夫だっていうのか?いや…そうとも言ってないんだけど…。
(志郎の舌打ち)
(志郎)どっちなんだ?はっきりしろよ。
うん…。
自分たちで決めろってさ。
(ため息)医者というのはないざという時責任取りたくないからいつもそういう言い方するんだ。
常識で考えてみろ。
お腹の子供は諦めて本人自身の治療に専念するのがいいに決まってるだろう。
でも恭子の気持ち考えたら…。
恭子さんなんて?産みたいって。
そりゃあそうよね。
はあー…だから…。
気持ちとか夢とか願いとか思いとかそんなものはどうでもいいんだ。
恭子さんはお前だけじゃなくて向こうのご両親にとっても学校で待ってる生徒たちにとっても大事な存在なんだ。
同じ命と言ってもまだ産まれてもいない子供と比べられるもんじゃないだろう。
そりゃあ…。
(真澄)まあ理屈から言えばお父さんの言うとおりでしょうね。
(志郎)まあ確かにな恭子さん自身が子供をおろす決心なんて出来るわけがないよ。
当たり前だ。
だったら…お前が決めてやらなきゃしょうがないだろう。
それが男というものの役目なんだから。
うん…。
(志郎)もう…煮え切らない奴だなはっきりしろよ!
(志郎)わかった。
じゃあまず子供の事をちゃんとしろ。
入院費の援助の話はそれが出来てからという事にする。
それとこれとは違うでしょう?それぐらい言ってやらないとこいつはちゃんとしないんだよ。
いつだってそうじゃないか。
大学行くかどうかだってグズグズグズグズ…言い訳ばっかりして!古い話をするなよ。
恭子さんのお母さんに電話しとく。
ああ。
お父さんも心配してるのよ。
ああいう言い方しか出来ない人だから。
わかってる。
いろいろありがとうね。
じゃあ。
じゃあね。
大森です。
よろしくお願いします。
田中雅美です。
お願いします。
明日から企画コーナーを担当します。
これ一応目を通しておいてもらってよろしいでしょうか?
(田中)はいわかりました。
お願いします。
(田中)お願いします。
おい大丈夫か?朝番組を担当するとなると相当忙しいぞ。
いやまあ俺だって…。
どうしちゃったんだ?急にやる気出して。
お前らしくないな。
あっそうか。
子供も産まれる事だし父親としての自覚が出て来たってとこだな。
まあそういうとこです。
よーし。
やってみろ。
よし…。
(山下)急な事ですみません。
いえ…。
あの…入院って?治療方針が確定するまでは入院して頂いたほうがいいんじゃないかという事になりまして。
いわゆる検査入院です。
急に痛みが出た時も病院にいたほうが安心でしょう。
お願いします。
今日はマンモトームをやります。
マンモトームというのは…。
(山下の声)乳房内のがん組織を取り出してどういう性質のものか確実に診断するための検査です。
これが今後どういう抗がん剤を投与するか決める重要なデータになります。
あっねえねえお台場の観覧車が見えるよ。
え?ほら!あっ本当だ。
観覧車か…行ったよね。
あー!俺あそこで財布落としたっけ。
いい事思い出しなさいよ。
この個室豪華ね。
この病院個室しかないんですよ。
え?お金大丈夫なの?大丈夫なんだっけ?ああ大丈夫ですから。
お気遣いなく。
本当?困ったら言ってね。
はい。
そうだ。
タケちゃんもここに寝泊まりすれば?え?それどういう話の流れ?だって高いお金出すんだからさ泊まらないと損でしょ。
意味わからないよ。
え?まあでもそうしようかな。
俺もそっちのほうが安心だし。
優しいんだ。
ねえ。
(山下)失礼します。
あっ…。
お世話になっております。
母と妹です。
どうも。
マンモトームの結果が出ました。
はい。
恭子さんのがんは分子標的薬が効くタイプのようです。
従ってパーセプチンという薬を使いたいところです。
パーセプチン…?これまでの抗がん剤とは違った仕組みでがんを抑える新しいタイプの薬剤です。
これまで転移を起こしている患者さんにはなかなか効果的な治療法がありませんでした。
パーセプチンはその点で画期的な薬剤なんです。
タキトールなどの抗がん剤にパーセプチンを加える事で抗がん剤の効果をさらに高める事が出来るんです。
じゃあそれで。
問題はこの薬が妊婦に対しては使えないという事なんです。
え?
(川島)パーセプチンはお腹の赤ちゃんに対して副作用を及ぼす可能性があるんです。
ですから妊娠を続ける場合はタキトールだけを投与して経過を見ていく事になると思います。
あの…副作用っていうのは?羊水がどんどん減っていくんですよ。
羊水は赤ちゃんがお腹の中で生命を維持するのに絶対必要なものなんです。
ですからそれが減るというのはあまりよくない事なんです。
じゃあえっとその…パーセプチンですか?それを妊娠中に使った事はないんですか?国内ではまだ例がありません。
赤ちゃんさえ諦めればそのパーセプチンは使えるんですね?
(山下)そうです。
(泣き声)先日申し上げたように28日までに結論を出してください。
(泣き声)まだ産めないと決まったわけじゃないからさ。
(泣き声)
(聡子)お姉ちゃんずっと夢だったもんね母親になるのが。
(泰江)目標を立ててそのために頑張ってちゃんとものにしていく子なのよね。
学校の先生になったのもそうだったし。
毎年お正月にはちゃんとその年の目標立てたりしてさ。
私そんなのした事なかったのに。
学校の先生になった。
次は自分が母親になる。
お正月に目標立ててたんだろうねきっと…。
その夢がかないそうになっているのに…。
そりゃ私…あの子にはちょっとでも長く生きてもらいたい。
でもね…。
(泣き声)すみませんお邪魔して。
(小泉)いえどうぞどうぞ。
大森先生お元気ですか?いやそれが…。
新学期には戻れるでしょう?すみません。
無理です。
は?先生そんなに体調悪いんですか?乳がんなんです。
え…。
じゃあすぐに休職の手続きをしておきましょう。
お願いします。
ここが大森先生が受け持ってるクラスの教室です。
なんかうちと一緒です。
なんでもきちんと片付いてて。
そうですか。
なんかいい表情で滑ってますね。
(田中)はい。
とてもリラックスしてますね。
ねえ。
でも昨年一年間公式戦に出てないっていうのもありますからここは復帰にかける意気込みとか聞きましょうか。
はい。
あっそれと母親になった事での心境の変化にも触れちゃってもいいですかね?いやいいんじゃないですか。
それすごくいいですね。
はい。
(安藤美姫)「オリンピックをいつも目標にしてないというのもありますし私自身は記録に残る選手よりも記憶に残る選手になりたい…」
(田中)「出産を経験されて心境の変化っていうのはあったんでしょうか?」
(安藤)「スケートに影響があるかと言ったらそこまではないんですけれども」「でも家に帰ると彼女が待っていてすごく笑顔でにこってしてくれたりすると私がこう…彼女に何を残せるかって考えた時に諦めない精神だったりとか人と人との繋がりの大切さ」「自分も支えてもらえてリンクの上に立てるし」「娘が私が伝えた事を自分の子供にも伝えてもらえる」「それが私が死んだあとも私が生きていた証拠だし…」
(男の子)ジュースジュースジュース!
(田村敏子)フフフ…。
ここいい?あ…はい。
(せき払い)あんたも乳がん?はい…。
ステージいくつ?4です。
あー…。
私もなのよ。
どういう薬使ってるの?まだ治療方針とか決まってなくて先生はパーセプチンを使いたいようなんですけど…。
うん。
私妊娠してるもので…。
へえー。
ああ赤ちゃんいるんだ。
へえー。
そうかそう…んーそうなると確かにパーセプチンはうーん…そうね…。
あっ!これあの…よかったら飲まない?あっ…。
まあまあまあまあ。
ありがとうございます。
すみません。
どうなの?赤ちゃんは。
順調です。
あっ!ん?えっ何?何?何?あーっ!これ!これ嬉しいね。
へえーかわいい。
フフフ…。
えっ男?女?男です。
へえー男か。
うわあ〜うわあ〜!あっこれね二枚目だよ。
(2人の笑い声)うん本当本当。
えっ担当は山下先生?はい。
ふーん。
あの先生ねとっつきは悪いけどでも優秀だから大丈夫よ。
うん任せておけば大丈夫。
そうですか。
うん。
あっいやでも優秀かな?だって私半年って言われたけど1年経ったけどまだピンピンしてるからね。
ハ…ハハハ…そうなんですか。
そうなのよ。
ハハハ!まあ人間ね「一寸先は闇」っていうかいやこれは悪い意味か。
じゃあ…。
「果報は寝て待て」ん?まあお互い頑張りましょう。
はい。
(石山)この患者の場合はパーセプチンが効く事がわかってるんですよね?
(山下)HER2が3+です。
(平尾)しかし妊娠中か…。
(石山)この患者にはパーセプチンを使うのが理想的でしょう。
それが出来ず次善の方法をとって状態が悪化した場合どうするんですか?
(中西)実際肝臓は肝不全の一歩手前の状態ですね。
肝不全になれば母体も赤ちゃんも危険にさらす事になりますよ。
二兎を追って一兎も得られない事にならないといいんですが…。
患者さんご本人はどう話してるんですか?この状況は話しています。
早めに結論を出すようにと。
その言い方はちょっと緩いんじゃないですかね?本人が中絶をためらうのは当然でしょう。
そこを医師がちゃんとプッシュしてあげる必要があるんじゃないでしょうか?はあ…。
あの…。
(PHS)はい。
わかりました。
大森さんが苦しんでるそうです。
えっ!?
(風見)ゆっくりと呼吸してみてくださいね。
しっかりしろ。
(山下)どうしました?急に苦しみ出して…。
胸が圧迫されて苦しいようです。
サチュレーションを持って来てください。
(風見)はい。
サチュレーション!
(川島)ゆっくり…。
(山下)胸の音を聞きますね。
(川島)聞きますからね。
ゆっくり呼吸してください。
ゆっくり…。
(荒い息遣い)
(川島)SPO2100です。
落ち着くお薬を注射しましょうね。
(山下)精神安定剤。
(風見)はい。
(川島)静かにゆっくり呼吸しましょう。
(荒い息遣い)「
(祝福する声)」「お二人はどんな家庭を作りたいですか?」「子供何人ぐらい欲しい?」「いっぱい!」「いっぱい!」「男の子?女の子?」「そりゃもう両方欲しいです」「俺男がいいな」タケちゃん?あっ…ごめん。
起こしちゃった?ううん。
数値的には問題ないって。
精神的なあれじゃないかって言ってた。
あっそう…。
ごめんね。
いや…。
あっ…これ慌てて閉めたからちょっと壊れちゃったここ。
何やってるの。
ヘヘヘ…。
あっ壊れた。
だけどすぐ直った。
直るんだよこれ。
ヘヘヘ…。
フフフ…。
なあ…。
ん…?子供…諦めよう。
もう無理だよ。
俺が恭子も子供も両方守ってあげられたらいいけどさそんな事出来ないし…。
やっぱさあ…まだ産まれてない子供よりは君のほうが大事だ。
ごめん。
俺もうあんな苦しんでる恭子見たくないよ。
ごめん…。
ごめん…。
何言ってんの。
タケちゃんのせいじゃないじゃん。
俺もう…先生に言ってくる。
待って。
明日にしよう。
え…?先生に言うの明日にしよう。
恭子…。
ごめんね。
あなたの事産んであげられないみたい。
ごめんね。
ごめん…。
ごめん…ごめんね…。
ごめんね…。
ごめんな。
ごめん。
ごめん。
ごめんな。
ごめん…。
ごめん…。
ごめん。
さてと…。
じゃあ話してくる。
うん…。
おはようございます。
あの…。
失礼します。
あっ…。
あれから2人で考えたんですけど…。
それで…。
子供の事は…。
(竹内)先生!大森恭子さんがナースコールです。
えっ!?恭子…!ごめんなさい。
具合は悪くないんです。
お話があるそうです。
やっぱり私産みたい。
恭子…それはさんざん話したろう?今ね初めてこの子が動いたの。
え…。
この子がね産まれたいって言ってるの。
あ…動いた。
産まれたいって言ってるでしょ?やっぱり私この子を産みたいです。
ひと目でいいからこの子に会いたいです。
少しの間でいいからこの子の母親でいたいんです。
私が…生きた証が欲しいんです。
やっぱり無理なんでしょうか?恭子…。
(山下)いけます。
え?
(山下)赤ちゃんを産めるかもしれないんです。
どういう事ですか?昨日は…。
ゆうべあれからテキサスのMDアンダーソンがんセンターの医師と話したんです。
世界でもトップクラスのがん専門病院です。
サンキューベリーマッチ。
(ジェームス)「ユーアーウエルカム」プリーズテルミー。
5割ですか?この病院の医師が協力し合ってその確率を少しでも上げる事を目指します。
あとはご本人とご家族のお気持ち次第です。
タケちゃん…。
お願いします。
お願いします!
(電子音声)「20滴予定量250ミリリットルの設定で…」
(山下)日本で初めての妊婦に対するパーセプチンの投与です。
これから17週間長い闘いになります。
お願いします。
寒気や吐き気はありませんか?今は大丈夫です。
(花火の音)何?今日東京湾花火大会でしょう。
え?あ…。
見える?えっどうかな?ん?え?見えた見えた見えた!見たい!私も見たい。
こっちこっち。
よいしょ…。
どこ?ほらあの間のとこ。
ほらほら。
ほらほら。
あっ…きれい!
(花火の音)日本初か…。
うまくいくかどうか私たちも責任重大って感じ?うん。
頑張っていこうな2人で。
3人で。
あ…ハハハ…。
(志郎)どういう事だ?いやだから子供産む事にする。
なんだそれは…。
この間ちゃんと約束したばかりだろう!そうなんだけど…。
そりゃあ恭子さんの気持ち考えたらねえ。
だから気持ちとか思いとかそういう問題じゃないんだ。
現実を冷静に見てどう判断すべきかという話だろう。
私は反対だ。
もう決めたし。
日本で初めてなんだろう?その…なんとかって薬は。
パーセプチン。
初めてなのにうまくいく保証はあるのか?挑戦だけどみんなでサポートするからって。
なんだ…。
それじゃまるで体のいい実験台みたいなものじゃないか。
そんな言い方ないんじゃないかな。
今まで何回試みて何回成功してるんだ?5割って言ってた。
5割…。
まるっきり賭けじゃないか!医者はななんでも自分の手柄になるから新しい事はどんどんやってみたがるんだ。
しかし失敗したってごめんで終わりだろ!山下先生はそんな人じゃないよ!医者だって人間だバカ野郎!知らないくせに勝手な事言うなよ!だったら…入院費の援助はもういらないな。
え…?お父さんそこまでしなくても…。
子供は諦めて本人の治療に専念するから援助をしてやるという約束だったはずだ。
それを反故にするんだしょうがないだろう。
わかりました。
(志郎)おい!そっか…奥さんが。
はい…。
最近のお前変だと思ってたんだよ。
ただ子供が産まれるから頑張ってるっていうように見えなかったもんな。
なんかこうテンパッてるっていうか。
テンパッてました。
恭子の看病も仕事もどっちも頑張ろうって。
でもあのこれからちょっと恭子のほうが大変なんで…。
仕事してる場合じゃないよな。
はあ…。
けど今までなんで黙ってたんだ?いや…ご心配かけるのもあれかなと思って。
バカ!そういう心配はかけてもいいんだよ。
仲間だろ。
はあ…。
辞めるか?はあ…。
仕方ねえな…。
わかった。
ありがとうございます。
ああ金のほうは大丈夫なのか?入院費とか。
あっまあ大丈夫です。
全然大丈夫には聞こえないな。
いや…まあ本当大丈夫なんで。
そうか。
本当に困ったら言ってこい。
はい。
子供が無事に産まれて落ち着いたら戻ってこいや。
席用意しておくから。
ありがとうございます。
(すすり泣き)バカ。
(山下)やはりパーセプチンは大森恭子さんの乳がんには効果的ですね。
左乳房のしこりは明らかに減少傾向にあります。
胎児の状態はどうです?はい。
胎児の状態は良好で今のところ羊水の減少もありません。
ではもうしばらくこのままでいきましょう。
はい。
こんにちは。
こんにちは…。
あっ恭子!山下先生が状態がいいなら一度退院して様子を見ようかって言ってくれた。
帰っていいの?ああ。
パーセプチンは週1回通院して点滴を受ければって。
やったー!本当?やったー!ああ。
片そう。
どうする?えっ片していいの?うん帰ろう帰ろう。
片す!片す!きたー!もうすぐ出ちゃう!ねえタケちゃん何食べよう?何食べよう?何食べたい?何食べたい?俺はカレー。
カレー?あれ?あっ…ああ!ああ〜!ああ〜!えっ退院するの?はい。
ええ〜よかったね〜。
あっ旦那さん?はい。
どうも。
へえなんか優しそうな人だね。
いいなあ!うちなんかもう私の事なんかほったらかしだよ。
ハハハハ…。
あっ!あのさちょっと…。
ごめん。
今度こっち来る時にもうなんでもいいからちょっとコレコレ買ってきてもらえないかな?駄目ですよ病人なんですからお酒なんて。
いいのよ〜!お酒飲もうが飲むまいがどうせ寿命変わるわけじゃないんだから。
やりたい事やっておくほうが得なのよ。
それはちょっと…。
何?何?ノー…!ノーノーノー!今内緒の話してるから入ってきたらいけません。
いけません。
ああ…。
あっち行っててタケちゃんは。
すみません。
これは?これこれ。
嫌だ。
かわいくないこれ。
かわいくない…。
あっじゃあこっちだ。
お肉見たい。
うん。
どれがいい?俺はね…から揚げとかいいんじゃない。
なんで?大きそう。
さすがに無理でしょう。
いけるんじゃない?本当?絶対食べられる?うん。
これなら。
約束出来る?それちょっと無理かもしれない。
じゃあ駄目。
ここでこの肉入れていいの?そんなに離れなくて大丈夫だよ。
入れて入れて。
うわあ。
大丈夫?助手。
はい。
ああああああ!大丈夫。
退院おめでとうございます。
ありがとうございます。
乾杯。
乾杯。
美味しそうなんじゃないですか?ねえいただきます。
私メタボになるからサラダから。
うん!美味しい。
自分で作ったもんね。
うん。
フフフ…。
肉がさ元々このぐらい大きかったでしょ。
そんな大きくないよ。
まだ固まってる。
硬い?うん。
食べる?絶対あげない。
なんで…ハハハ。
何やってるんだろ?あっかわいい。
いる?あっちょっと…。
おお出た出た!フゥーって。
なんかビデオ回すの久しぶりだな。
楽しんでね。
あれ?シャボン玉好きな人?
(子供たち)はーい!はーい!バイバーイ!
(武弘・恭子)バイバーイ!ハハハ…。
かわいい。
タケちゃんさ…。
うん?病気になる前ってこんなふうに2人でゆっくり過ごす事ってあんまりなかったよね?そうだな。
なんか楽しい!はあ〜。
本当は結婚生活ってこういうもの?病気になるのも悪くないねえ。
っていうかさそういうふうに思ったほうがいいよね?そうだな。
お茶もらっていい?うん。
何?これ。
ああそれ…。
これやってみようと思って。
食事療法…。
うん。
まあどれぐらい効果があるかどうかはわからないけどさ。
ありがとう。
っていうかさタケちゃん料理なんか出来るの?これ。
全然だね。
ハハハ。
でもなんとかなるっしょ。
ええっ!味気なさそうなメニューばっかだな。
豆腐とか青汁とかお年寄りが食べるようなものばっかり。
しょうがないだろう。
体のためなんだからさ。
じゃあさタケちゃん付き合ってくれる?俺が?うん。
じゃ何隣で美味しそうなもの食べて私はこれを食べろっていうの?わかりましたよ。
やったー。
タケちゃんってさ体の98パーセントが優しさで出来てるよね。
あと2パーセントはなんなんだよ?ハハハハ。
っていうかさ強さとかないのかよ?なくていい。
なくていいか。
ないのが魅力。
喜んでいいのかな…。
いいの!いいの。
アハハハ。
おお。
おお〜!
(泰江)これ買ってきたの。
もう〜気が早いんだから!いいじゃないか。
どうせ必要になるんだからよ。
お腹の赤ちゃんは?今530グラム。
順調だって。
うわあそれじゃあなんとかいう新しい薬が効いたの?そうなのよ。
ああよかったねえ思いきって。
どうぞ。
ああ。
よかったな思いきって。
せっかく授かった子をよそう簡単に諦められるかってんだ。
なあ?私たちにとっても初孫だしね。
フフフ。
ねえねえねえこれ作ってきたの。
食べるでしょう?すみません。
僕たち食事療法やってるんで。
ハハハハ。
何?それ。
あっこれなんです。
これ。
豆腐ハンバーグとタケちゃん特製野菜ジュースです。
何そのメニュー。
ええ〜?はい。
こんなもの効きゃあしねえよ!まあそうなんですけど。
よいしょ…。
何…これタケちゃんも一緒に食べるの?ええ。
自分だけ美味しいもの食べるわけにいかないんで。
(泰江)へえ〜。
偉いなあタケちゃん。
俺出来ねえな?うん。
優しいのね。
いや…まあ何しろ98パーセントですから。
はあ?何?98パーセントって。
えっいや…。
別にいいです。
大丈夫です。
すみません。
どうかした?あ…。
抜けちゃった…。
ああ…。
薬のせいだろ。
治療のためだもんね。
あっお父さんたちには言わないで。
変に心配するから。
うん。
かつらとかいるのかな…。
はい。
ありがとう。
あっ先生。
あっこんにちは。
(山下)お話があります。
(幸枝)実は…羊水が減少しています。
えっ?
(幸枝)これまで恭子さんの子宮の羊水は4センチから5センチの正常な範囲にあったんですけど今日の検査で2.7センチまで減っていました。
(山下)やっぱりこれはパーセプチンの副作用です。
いや…本人は随分体調がよくなってるって言ってるんですけど。
本人の体調がよくなるのと反比例して赤ちゃんのほうに影響が出るかもしれません。
(幸枝)赤ちゃんの肺の成長に羊水は必要なものです。
このままの状態が続くと最悪は…赤ちゃんの命に関わります。
え…じゃあどうすればいいんですかね…。
あの…パーセプチンの回数を減らすとか出来ないんですか?パーセプチンは回数を減らすと効果が得られないんですよ。
パーセプチンを中止すれば羊水は元に戻るんですよね?そうだと思います。
じゃいったん中止して元に戻ったら…羊水が元に戻ったら再開するとか。
いったん中止して再開した時に今出ているような効果が戻るとは限りません。
このままじゃ赤ん坊が…!タケちゃん黙っててよ!私は…私はどうしたらいいんですか?すぐに入院してください。
厳重に経過を見て方針を決めましょう。
ご本人は水を出来るだけたくさん飲むようにしてください。
はい…。
(むせる音)
(田村裕二)こんにちは。
あっ…。
そのまま…。
前にこいつに声かけられたんですか?はい。
病院に行ったら友達何人出来るかななんて言ってたんですよ。
(田村)こいつおっぱい切るのがどうしても嫌だって言い張りましてね。
まあ切ったからって治るってもんでもないらしいんですが。
自慢のおっぱい切ったらあんた浮気するんでしょとかそんな事言われて。
今さらそういう問題じゃないだろうって…。
結局切ったんですよ。
悪い事したかなあ…。
浮気はしてませんよ。
お酒もね飲みたい飲みたいってずーっと言ってましてね。
駄目に決まってるだろって…。
けど飲ませてやってもよかったんですかねえ…。
おっぱい切って好きなお酒も飲めずに…。
すまんな…。
あんまり無理するなよ。
飲まなきゃ。
そんなに無理して飲むもんじゃないだろ。
もっと飲まなきゃ。
羊水増やさなきゃ。
うっ…。
もうやめろ。
なあ?やめろ。
離して。
やめろ。
離して!やめろ!
(泣き声)神様…許して…。
お願いします…。
許してください…。
(泣き声)ほら。
なあ母親だろ?しっかりしろ。
俺もしっかりするから。
なあ?
(泣き声)もう少しだ。
頑張ろう。
な?山下先生。
大森恭子さんの今日の羊水検査の結果です。
また減ったんですか?ええ。
残念ですが…。
仕方ありません。
パーセプチンを中止しましょう。
えっでも…。
お子さんを産む事を第一に考えたいとおっしゃいましたね。
はい。
だとしたら羊水がこれ以上減るのは絶対に食い止めなければいけません。
でもパーセプチンを中止したら恭子の体…それ…がんが進行するんじゃないんですか?がん治療の効果は少し落ちるかもしれません。
(山下)苦しい状況ですが今はそれしか…。
それでいいです。
お願いします。
お願いします…。
(山下)何見てたんですか?いや…。
やっぱり見ちゃいますよねネット。
あいや…。
僕はね以前は自分が向き合うのは患者ではなく患者の病気だって思ってました。
やっと最近ですよ。
向き合うべきは患者さんだってわかってきたのは。
十分向き合って頂いてると思います。
よかった。
僕は恭子と向き合えてるかちょっと自信ないです。
恭子が何を望んでるのか何が正しい事なのか。
今でも子供は諦めたほうがいいんじゃないかって時々思ったりして。
向き合うってそういう事でしょ。
一緒に悩んだり苦しんだり…。
正しい事を言う事じゃない。
そうでしょうかね。
(竹内)大森さん!ご両親がいらしてますよ。
えっどっちの?うわあ両方来てる…。
よおタケちゃん!あなたのお母さんと電話で話しているうちにね今日一緒にお見舞いに来ようって話になったのよ。
連絡くれればいいのに…。
恭子は?あっ検査だって。
ああそう。
これ買ってきた。
またですか?もういいって言ってるのにね。
いいじゃないか。
すぐ必要になるんだから。
まだ本当に必要になるかどうか…。
えっ…?さっき聞いたよ。
羊水が減って今までの治療を断念したんだそうだな。
うん…。
はあ…思ったとおりだ。
あの…それってどういう事ですか?医者なんか信用するからこんな事になる。
もう何も知らないくせにそういう事言うなよ!自分が弱いから状況に流されるんだろ。
その結果がこれだろう!お父さん今そんな事言っても…。
(光吉)あの…ちょっといいですか?
(志郎)はい。
今弱いっつったのは誰の話?そりゃもちろんこいつの事です。
タケちゃん強いよ。
(志郎)はい?すごく強いよ。
病気の恭子を抱えて毎日毎日看病して恭子を励まして…いろんな事を考えて一緒に決めて…ここまでよく頑張ってる。
本当ありがたいよ。
恭子はいい旦那捕まえた。
(光吉)そりゃまあ最初はちょっと頼りない旦那かなと思ったけど十分だよ。
十分すぎるよ。
ありがとうな。
しかし…このままでは本人も子供も共倒れです。
つべこべ言うんじゃないよ。
こいつらが決めた事だ。
横からゴチャゴチャ言うんじゃない。
俺たちはただ見守ってやりゃあそれでいいんだ。
それはちょっといい加減じゃないでしょうか。
なんだと…?何がいい加減なんだよ!命が懸かってるんだあんたの娘と子供の…!あの…!両方ありがとうございます。
俺たちの事心配してくれて本当にありがとうございます。
あっ!
(志郎)ああ…。
もうお帰りですか?うん。
ちょっと用があってね。
この子が産まれたら会いに来てください。
無事に産まれるといいわね。
はい。
産まれるよ。
必ず産まれる。
はい。
よろしくお願いします。
羊水が7センチまで戻ってます。
がんの進行のほうはどうですか?
(山下)それが肝臓への転移が増えていますし皮膚にも転移が…。
それに腫瘍マーカーも増加しています。
随分進行してますね。
どうしますか?予定より早めに帝王切開しましょう。
いよいよだなあ。
気持ちいい。
うん。
こんにちは。
こんにちは。
光合成だな。
ハハハ。
もうそろそろだね。
わかるの?わかる。
もう出たがってる…。
頑張ろうな。
おやすみ。
じゃ行きましょう。
はい。
お願いします。
あっ!名前どうしようか?あとでいいだろう。
そうか。
じゃ赤ちゃんの顔を見て名前決めよう。
ああ。
じゃあ行ってきます!おう!頑張れ。
行ってこい!頑張れ。
恭子が産まれた時も聡子が産まれた時も俺両方海の上だったよな。
無線で連絡したんだっけ。
うん。
仲間が大漁旗あげてくれて嬉しかったなあ…。
(幸枝)よろしいですか?これより大森恭子さんの帝王切開術を始めます・よろしくお願いします。
(一同)よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
メス。
(看護師)はい。
(看護師)今何か必要なものはありますか?
(医師)今のところ大丈夫です。
(看護師)はい。
(看護師)今始まりましたからね。
(医師)大森さん痛かったら言ってくださいね。
(幸枝)電気メス。
(看護師)はい。
(看護師)大森さん気分悪かったらすぐ言ってくださいね。
はい。
(電気メスの音)
(幸枝)メッツェン。
(看護師)はい。
(看護師)気分悪くないですか?もうすぐ赤ちゃんに会えますからね。
もっと下に圧排してください。
(医師)はい。
(看護師)少し押されますよ。
もうちょっとで産まれますからね。
いきますよ。
いいですか?
(一同)はい。
(看護師)赤ちゃんも頑張ってますよ。
お母さんも頑張りましょうね。
(看護師)もうちょっとですよ。
(幸枝)お腹押してください。
(医師)はい。
(看護師)お腹押されますからね。
(産声)
(幸枝)もう少しですよ。
出血量今どのくらいですか?
(医師)今725です。
(幸枝)ガーゼのカウントは合ってますか?
(看護師)確認します。
(PHS)はい。
どうしました?
(ドアの開く音)少しお待ちください。
あはい。
あっ先生どうでした?無事に産まれました。
えっ本当ですか?やったー!おめでとうございます。
あっ先生!無事産まれたそうですね。
ありがとうございます!
(光吉)いやあありがとうございました。
(山下)いや本人の頑張りですよ。
(光吉)いやしかしよく無事でなあ。
(光吉)ああ〜。
ハハハ。
(幸枝)それで恭子さんのお腹を開いたところがんの卵巣への転移が見つかりました。
えっ?左側の卵巣に明らかに転移と思われる3センチほどの組織があります。
右側にも小さいのがあって恐らくそれも…。
今からそれを切除しようと思います。
よろしいでしょうか?
(山下)恭子さんは切除していいとおっしゃってるそうです。
えっ…?
(幸枝)卵巣を取れば2人目のお子さんは無理という事になります。
それでもいいと…。
わかりました。
では切除をお願いします。
(山下)これからは恭子さんの事だけを考えて治療する事が出来ます。
少しでも長く生きられるように。
お願いします。
恭子…!あ…。
はい。
ママだよ〜。
ほら。
わあ〜。
タケちゃんに似てる。
よく頑張ったな。
ここまで来た。
ちゃんと来たんだよ。
何?それ。
大漁旗。
ハハハハ…痛い…。
あっごめんごめん。
おめでとう!おめでとう。
(電話)はい。
あっ武弘?そう…。
おめでとう!よかったわね。
うん。
あなたと話したいって。
おっ…うん。
あっもしもし産まれたのか?うん。
無事に産まれた。
(志郎)「そうか。
よかったな」うん。
「お前も父親か」うん。
「子供は…かわいいぞ」俺にとってはお前が子供だ。
うん。
まあいろいろ言ったが俺はお前が一番…。
「わかってる」ありがとう。
あっ一つ頼みがあるんだけど…。
「なんだ?」子供の名前考えてくれないかな?それぐらい…自分たちで考えろよ。
お願いしますよ。
そういうの得意でしょ?しょうがない奴だな…。
遼介。
(光吉)おお〜。
(拍手)遼介。
遼介。
(一同)「あわてんぼうのサンタクロース」「クリスマスまえにやってきた」もももももも。
もももももも…。
(恭子・武弘)ももと…。
おおいいね。
ああ〜。
よし遼介君いくか。
よいしょ。
よいしょ。
ダーン!ダーン!ああ出来た!どう?ハハハ…なんだかわかんないか。
歩き方変じゃない…?大丈夫だよ。
よしおいで。
アハハハ。
(カメラマン)あっ赤ちゃんお母様に抱っこして頂いてもよろしいでしょうか。
いや僕が。
あっそうですか。
すみません。
はい。
きれいに撮ってください。
わかりました。
女優さんみたいに撮ってください。
了解しました。
お任せください。
はいじゃこっち見てスマイル。
はいいきますよ。
はい。
(カメラのシャッター音)はい続きます。
(カメラのシャッター音)もっとスマイルいっちゃいましょうか。
(カメラのシャッター音)あっいいですねいいですね。
ああいい笑顔だ!泣き相撲?
(光吉)うん。
うちの近くの神社で毎年やってるんだ。
あっなんかテレビで見た事ありますね。
そうそうそれ。
そこへこの子を連れていかないか?いいですね。
どう?うん…。
私も行きたい…。
えっ?いい…?わかった。
先生に相談してみる。
うん…。
いいねいいねいいね。
おお〜。
タケちゃん…。
うん?お願いがあるの…。
何?どう…?大丈夫。
ちゃんと見て…。
お母さんブスだったなんて思われたくない…。
ああオーケー。
大丈夫。
いいよ。
はあ…はあ…。
1回吸っておこうか。
うんごめん。
うん大丈夫大丈夫。
はいはい。
(荒い息遣い)ゆっくりでいい。
うん…。
いいよ。
「はい。
えーと…」「
(荒い息遣い)」「遼介…ママです」「いざとなるとなんてしゃべっていいかわかんないもんだね…」「どうしてあなたにビデオレターを残そうかと思ったかというと…ママは…」「
(荒い息遣い)」恭子大丈夫?
(荒い息遣い)いいよいいよ。
1回休もうか。
うん…。
ごめん。
うん休もう休もう。
(荒い息遣い)うん…うん…。
大丈夫?撮って…。
うん。
いいよ。
「遼介…」「あなたがこれを見る時ママはこの世にいません」あなたは今何歳かな?お友達は出来たかな?パパやおじいちゃんやおばあちゃんは優しくしてくれてますか?きっといろんな人に囲まれて幸せに暮らしているんでしょうね。
あなたが今そうして生きているのはたくさんの人のお陰だという事を忘れないでください。
ママもたくさんの人に助けてもらってここまで来れた。
今こうして大切な事をあなたに伝えられる事がとても嬉しいです。
少しでもあなたのママでいられてよかった。
あなたを産んで本当によかった。
あなたと…。
あなたと出会えてよかった。
あなたは…私が生きた証です。
よしよしもう…。
休もう休もう休もう。
頑張った。
よしよしよしよし…。
大丈夫?
(光吉)おい頑張れ!
(泰江)頑張れー!
(歓声と拍手)おお〜!
(光吉)おお…!
(歓声と拍手)
(泣き声)
(行司)遼介君の勝ち!勝った!ハハハ!いいぞ遼介!こんなんじゃ使い物にならないんだよ。
取材する時はさもっと突っ込んでいかないと。
わかる?
(林大介)はい。
なんかいい子っぽいんだよね。
(山倉)おい!幼稚園の迎えほら行かなくていいの?あっ本当だ。
すみません。
すみませんでした。
行ってきます。
ああ。
これをお前に見せるのはもうちょっと先かなあ。
「おめでとう!」「
(拍手)」「おめでとう!」Dialogue:0,2:11:30.29,2:11:32.31,Default,,0000,2014/07/05(土) 21:00〜23:16
ABCテレビ1
ドラマスペシャル「ママが生きた証」[字]
妊娠5カ月で乳がん宣告された。ママの命か新しい命か!?夫婦は究極の選択に迫られた。日本初の治療をしながらの出産。前向きにがんと付き合う実在した明るい家族の物語。
詳細情報
◇番組内容
スポーツライターの武弘(阿部サダヲ)は、妊娠5カ月の妻・恭子(貫地谷しほり)と医師から検査結果を告げられる。それはすでにかなり進行した乳がん。天使と悪魔が同居した体を抱えた恭子の下した決断は、『どうしても産みたい!』だった。しかし、投薬によるがん治療を行うと、胎児に悪影響を及ぼす可能性がある、と医師に告げられてしまう。子供を産むのか、諦めるのか…。究極の選択に迫られる夫婦とその家族たち…。
◇出演者
阿部サダヲ、貫地谷しほり、平泉成、市毛良枝、森本レオ、田島令子、斉藤由貴、真野恵里菜、古村比呂、山下真司、神保悟志、富田靖子、筒井道隆
◇原作
小松武幸「ママが生きた証」(講談社刊)
◇脚本
尾崎将也
◇音楽
江口貴勅
◇監督
秋山純(テレビ朝日)
◇スタッフ
【ゼネラルプロデューサー】黒田徹也(テレビ朝日)
【プロデューサー】藤本一彦(テレビ朝日)、布施等(MMJ)
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/mamaiki/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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