Crossroad <大友啓史> 2014.07.19

関東地方に梅雨入りが発表された6月5日。
冷たい雨に濡れることもいとわず大勢の人々がじっと佇んでいます。
何かを待っているようです。
そこへ続々と今をときめく人気俳優たちが姿を現しました。
雨の六本木にたちまち肌寒さを吹き飛ばす熱気が立ちこめます。
今までありがとう。
そしてさようなら。
日本映画史上最大級のスケール。
制作費30億円撮影期間6か月。
この夏から2作連続で公開される新作映画「るろうに剣心」。
今日はその完成発表が行われるのです。
そんな華やかなレッドカーペットの様子を笑顔で見守る男性が1人。
この作品の監督…。
え〜すごい難しいな。
今俳優たちが最も一緒に仕事をしたい映画監督。
そう言われる男。
しかし彼は自らのことをこんなふうに称します。
僕ね基本的に…。
そう3年前まではNHKの職員。
そして現在日本映画界に新風を吹き込む大友監督。
彼の作品が強く人を惹きつける理由とは?その秘密を探りました。
よ〜い…はい!人の行く道は一本道とはかぎらない。
突然岐路が現れ進路を選ぶことで旅路は続く。
この人はどんな道を歩むのだろう?
(スタッフ)2年ぶりに帰っていらっしゃいました緋村剣心役佐藤健さんです。
(歓声)
(スタッフ)はい神谷薫役武井咲さんです。
よろしくお願いします。
(歓声)指示を出しながらきびきびと動き回る大友さん。
この日6か月にも及ぶ撮影がスタートしました。
原作は累計5,800万部を超える人気コミック。
明治初期伝説の人斬り緋村剣心と新時代に混乱を企てる強敵たちとの戦いの物語。
これが噂の人斬り抜刀斎か。
映画化第一作は興行収入30億円を超え世界64か国で上映されるという大ヒットを記録。
今作はその続編です。
捕らえろ〜!わっ。
はいはいねセリフがある。
「もうもういいでござるよ」って言うところの彼の表情とかを見てほんとにいいんだなもうとほんとにこの人刀置いたんだ斬る気ないんだ我々をっていう…。
ちゃんと…一人ひとりが感じてから行く。
撮影しているのは刀を置いた剣心を警官隊が捕らえる場面。
いや〜!捕らえろ!お〜!捕らえろ!
(スタッフ)よ〜いアクション。
(カチンコの音)大友さんは警官隊の一人ひとりにも心情や背景を踏まえた演技を求めます。
捕まえろ!お〜!いいかな警官たち伝説の人斬りだよ!緊張感持っていってよ!演出は常にこうした細部にまで及びます。
役者たちからも大きな熱量が引き出されています。
この場面では高さ5mの屋根の上を主演の佐藤健さんが全力疾走。
ストップストップ。
(スタッフ)カット。
大丈夫?命綱なしの演技を佐藤さん自ら何度も繰り返します。
(スタッフ)オッケー。
(スタッフ)健君がもう1回やりたいって。
(スタッフ)来た来た来た。
ストップ。
納得してない?いやほんとにいいよ。
よかったよね。
うん。
アクション!役者の熱量を伝えようとカメラマンも命がけ。
ワイヤーに吊るされ宙を舞います。
こうして撮影された映像がこちら。
わずか3秒…でもすごい。
ドキュメンタリーや「のど自慢」のディレクターを経てドラマ制作部へ。
映像演出や脚本術を学びます。
そういうところが武市さんの偉いところぜよ。
『龍馬伝』では躍動感溢れるカメラワークで大河ドラマのイメージを打ち破り話題を呼びました。
こんな人も出演してましたね。
しかしその頃大友さんの胸にはこんな思いが。
なんかねそして2011年NHKを退局。
フリーの映画監督としてスタートを切ります。
しかしテレビ界で確立した大友スタイルは映画の世界でも変わることはありません。
大友さんは役者がその役になりきったときにどう動き何を言うのかが大切だと考えています。
あらかじめ決められた芝居やカット割りではないその場で役者が見せる動きや表情をカメラマンに指示を出しながら逃さずとらえる撮影方法。
大友さんの作品に息づくリアリティーの秘密はここにありました。
12月。
撮影はいよいよ佳境に入っていました。
この日挑むのは長い撮影期間中最大ともいえる山場。
採石場という巨大な空間に2,000本もの丸太を組んで作った壮大なセット。
ここで江口洋介さん演じる警察官斎藤一と藤原竜也さん演じる明治政府に復讐の炎を燃やす志々雄真実が出会います。
現場にはいつにも増して緊張感がみなぎっていました。
高さ20mのやぐらが崩れ落ちるという大スペクタクルシーン。
失敗は決して許されません。
そうなったあとにダーっと倒れたこれが燃えます。
下敷きになった何人か燃える。
テストなしの一発勝負。
あと安全ね安全第一。
いよいよ本番です。
本番!用意…。
せえの!うお〜。
いいね。
かっこいいよ。
いいねいいね。
やった〜やった〜。
かっこいい。
いいね超かっこいい。
大友さん会心の笑顔。
その映像がこちら。
いや〜すごかった。
いや〜すごかったね。
いいのが撮れましたよ。
完璧ですよ。
スタッフもそうだと思うんですけど何かこうクランクアップまで残るシーンはあとわずか。
しかし大友さんの仕事は劇場公開までまだまだ熱く続いていきます。
今年2月小雪舞う岩手県盛岡に大友さんの姿がありました。
大友さんはここ盛岡で生まれ育ちました。
街の中心部には映画館通りという通りがあります。
400mほどの間に7つの映画館が建ち並ぶ全国的にも珍しい通りです。
この日地元の仲間たちとの集いに参加した大友さん。
高校卒業以降故郷とは疎遠になっていましたが最近になって再び交流を深めるようになったといいます。
それはあの出来事がきっかけでした。
うんまあねしばらく…。
2011年の4月をもってNHKを辞めることを決めた大友さん。
東日本大震災が起きたのは独立をまさに目前に控えた3月のことでした。
NHKから独立する道を選んだ大友さん。
しかし退職が間近に迫ったそのとき東日本大震災が起こりました。
こうだって…。
それで…。
そんなとき出会ったのが避難所や仮設住宅で映画を観る子どもたちの写真。
そこには笑顔が輝いていました。
そのニュースが…なんかネットで見てえ〜とやっぱこうして生まれた1本が前作「るろうに剣心」。
大ヒットを記録し大友さんの独立デビューを見事に飾りました。
この日大友さんが向かったのはあの写真と深い関わりのある場所でした。
高さおよそ38mという津波に襲われた沿岸部の町です。
そこに奇跡的に被害を免れた一軒の映画館があります。
あの写真そして大友さんとはどんなつながりがあるのでしょうか。
ほらシネマリーン。
アハハハいい感じでしょ。
ショッピングセンターの中の小さな映画館。
ご無沙汰してました。
出迎えてくれたのは大友さんとは1年半ぶりの再会です。
岩手県沿岸部唯一の映画館みやこシネマリーン。
開館以来17年間地元で愛され続けてきました。
震災後避難所や仮設住宅での無料上映会を続けるこの映画館。
大友さんが目にした写真はその活動のなかで撮られたものだったのです。
2012年大友さんはこの映画館がデジタル化の波に押され存続の危機に直面していることを知ります。
そこで募金活動を提案し映画館と一緒に呼びかけたところなんと日本全国から1,600万円もの募金が寄せられたのです。
櫛桁支配人早速大友さんをある場所へと案内します。
階段の先には…。
こっちはドレミっていうアメリカの。
こちらはサーバーでこっちがプロジェクター。
(スタッフ)初めて見たんですか?
(大友)僕今日初めて来ましたよ。
(大友)ほんとに導入されたんだねよかったね。
(笑い声)映画ファンの支援でみやこシネマリーンはこれからも人々に喜びを届け続けられることになりました。
やっぱこういうのはいいよね。
映画館が消えるそれは作り手にとっても危機。
この明かりを絶やしたくないと大友さんは強く感じています。
ポスターの試作品が出来上がってきました。
何パターンものデザインを見比べる大友さん。
僕はこのちょっと夕日っぽいほうがドラマ感が出て間口も広いんじゃないかなというふうには思っております。
(大友)これかっこいいよね。
ちょっと炎入れてもいいし…どっか味付けで。
通常この作業は専門チームのみで行われることが多いのですが大友さんはここにも関わります。
ポスターはお客さんに熱量を伝える大切な手段だと考えるからです。
更には映画館のオーナーに向けた説明会にも登場。
今回の「るろうに剣心」の見どころを語ります。
監督がこの場に来て自身の言葉でプレゼンをするこれも非常に珍しいことだそうです。
若い人たちに楽しんでいただけるスピード感とかねそのへんもこってり意識してやってます。
よろしくお願いいたします。
ほんとに大事に作った作品ですよろしくお願いいたします。
(拍手)大友監督でした。
映画の仕上げで多忙な日々。
でも今夜はちょっと息抜き。
集まったのはこれまで一緒に仕事をしてきた俳優たち。
監督と役者との間に気のおけない関係が生まれるのも共に作り上げていく意識の強い大友作品だからこそのこと。
早速大森南朋さんから遠慮のない監督評が。
(青木)なんとなくわかりますけどね。
なんか波長も完璧に一緒じゃないですか。
一緒だね。
こんなヒヨッコじゃないですもん。
どうします?次。
ねっ。
アハハハハ!
(青木)南朋さん自分からいきましたね。
ねぇ。
危機一髪。
『ハゲタカ』だって危機一髪でしょ?セリフとかも丁寧に丁寧に…。
まぁ言うとね…。
低いほうを低いほうをフッと出せるようなセリフをちょっと出したりとかいうのを全部やってて。
それがおもしろくて。
こうした何気ない時間にアイデアが生まれることもあるそうです。
5月映画「るろうに剣心」の仕上げ作業はまだ続いています。
そんな制服脱いでどうだこっちに来ねえか?行われていたのは俺は誰の指図も受けん。
爆破音っていうのボンがあるじゃないですか。
あそこ言うとサプライズじゃない。
お客的には。
逆にあっちを静かに静かに…いろんなとこ攻めた分あそこもう少しお客ビックリさせるにはどうすればいい?音の一つひとつにも大友さんはベストを追い求めます。
完成発表まであと2週間。
ギリギリまで作業は続きます。
そして6月5日雨の六本木ヒルズ。
ついに迎えた完成披露の試写会。
これから出演者たちと一緒にお客さんの前に出て舞台挨拶です。
しつこいね。
(スタッフ)最後なんで。
何なに?なんですか?
(スタッフ)ドキュメンタリーです。
僕の憧れの監督です。
青木崇高さん武井咲さん。
藤原竜也さん神木隆之介さん。
伊勢谷友介さん大友啓史監督です。
座席数600の劇場はもちろん満員。
これから初めてお客さんに作品を観てもらいます。
ほんとに贅沢な体験をさせてもらってるなと思ったんですけど映画を観たときに確信に変わり。
食い入るようにスクリーンを見つめる観客たち。
(拍手)最後に大きな拍手が起きました。
ほんとに最高でした。
何度も何度も観に来ますので。
よろしく。
ありがとうございます。
ガンガン言います。
僕は僕で日本映画をどうしようとかそういう考えはほとんどなくて。
やっぱり僕が今までやってきた仕事の延長でやっぱりもっと上をいきたいとかもっと臨界点を突破したいとかもっとギリギリのところ見たいとかねそう考えてやってるんです。
もっとやれるもっとやる。
大友さんが映画に込める熱を応援します。
2014/07/19(土) 22:30〜23:00
テレビ大阪1
Crossroad <大友啓史>[字]

大ヒット映画『るろうに剣心』シリーズの監督、大友啓史に密着。いま“俳優達が最も一緒に仕事をしたい映画監督”大友の作品が強く人を惹きつける理由とは?

詳細情報
出演者
【ナビゲーター】
原田泰造

番組内容
大ヒット映画『るろうに剣心』シリーズの監督、大友啓史。斬新な手法と、NHK出身という型破りな経歴で日本映画界に新風を吹き込むヒットメーカーだ。今、“俳優たちが最も一緒に仕事をしたい映画監督”。彼の作品が強く人を惹きつける理由とは?
番組概要
様々な分野で活躍する、毎回一人(一組)の“挑戦し続ける人”を紹介。彼らが新たなる挑戦に取り組む今の姿を追う。挑戦のきっかけになったもの、大切な人との出会い、成功、挫折、それを乗り越える発想のヒントは何からつかんだのか?そして、彼らのゴールとは?新たにどこへ向かおうとしているのか…。そんなCrossroad(人生の重大な岐路)に着目し、チャレンジし続ける人を応援する“応援ドキュメンタリー”。
ホームページ

http://www.tv-tokyo.co.jp/official/crossroad/

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
映画 – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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