アフリカの密林の奥深く。
年老いた戦士が家族の未来のために戦っています。
彼の名はマクンバ。
体重が200kgもあるニシローランドゴリラです。
(アンジェリーク)マクンバは群れを守る時は時々とても攻撃的になります。
両手を広げつかみかかるような勢いで向かってくるのでもう駄目だと何度も思いました。
そんなマクンバが心を許した一人の女性がいます。
彼女はマクンバの信頼を得るために10年もの歳月をかけました。
ここで一番大切な事は生き延びる事です。
これは一頭のゴリラとその秘められた世界に足を踏み入れた一人の勇敢な女性の物語です。
アフリカ大陸の中央部に150万にも及ぶ広大な密林が広がっています。
うっそうとした森は地球上で最も奥深く秘められた場所の一つです。
ここに神秘のベールに包まれた生き物が生息しています。
イギリス人生物学者のアンジェリーク・トッドは10年以上にわたって密林で暮らしこの不思議な動物を研究してきました。
ニシローランドゴリラを絶滅の危機から救うため彼らの生態を解明しようというのです。
アンジェリークは至近距離で群れを観察します。
しかしゴリラの信頼を得るのは簡単な事ではありませんでした。
アンジェリークは群れを率いるオスのゴリラマクンバに何度も試され脅されてきました。
ある時群れに近づき過ぎてしまったんです。
メスの叫び声を聞きつけたマクンバがドシドシとすごい勢いで近づいてくる音が聞こえました。
両腕を前方に振り回しながら向かってくるのでもうビックリしてしまって。
とにかくぶたれないように必死に体を反らしました。
ふだんはのんびりと落ち着いているのでつい忘れてしまいがちですが攻撃的な一面を見せられた瞬間「ゴリラは危険な動物なんだ」と思い知らされます。
7年たってアンジェリークはようやく群れの片隅で静かに観察する事が許されました。
何年も彼らを観察してきました。
本当に美しい動物です。
こうして近くで観察する時はできるだけこちらの存在を消すようにしています。
自分もゴリラになったつもりになるんです。
ゴリラの視点に立って周りを見るように心掛けています。
アンジェリークは次第に群れの一頭一頭を見分けられるようになりました。
群れを率いているのは最年長のマクンバです。
体重が200kg近くもある大きな体と銀色の背中が特徴です。
成熟したオスは銀色の背中を持つ事から「シルバーバック」と呼ばれます。
ローランドゴリラの群れにはシルバーバックは1頭しかいません。
マクンバの使命は群れを守る事です。
ふだんはとても穏やかですが必要とあればとても攻撃的になります。
アンジェリークの研究によってマクンバは世界で最も知られた野生のニシローランドゴリラとなりました。
マクンバほど長く観察されたニシローランドゴリラはいません。
マクンバと彼の家族は絶滅危惧種を保護する研究対象としても欠かせない存在となりました。
群れは全部で12頭。
マクンバは子供8頭とメス3頭に囲まれて暮らしています。
メスたちには明確な順位があり常に競い合っています。
トップに君臨するのはボンベ。
メスの中では最も強く激しい気性の持ち主です。
二番手はマルイ。
マクンバの一番のお気に入りです。
そして一番の格下がモパンビ。
温厚な性格で短気なライバルたちとの争いを避けながら暮らしています。
オスのゴリラにとってメスが群れにとどまる事は成功の証しです。
どのオスにつくかはメスたちが決めるからです。
オスは栗色のたてがみとくっきりとした銀色の背中でメスたちを惹きつけます。
更に彼女たちの心をつかむには群れをしっかりと守る力強さと強いリーダーシップを発揮しなくてはなりません。
そうでないと他のシルバーバックにメスを奪われてしまうかもしれないからです。
しかしメス同士が火花を散らす中でその務めをこなすのは簡単ではありません。
群れのメス同士は仲が悪いんです。
オスの関心を引き守ってもらおうと競い合っているからです。
食事でも争います。
温厚なモパンビが若葉が生い茂る絶好の食事場所を見つけました。
しかしこれが問題を引き起こします。
最下位のメスが一番良い場所を陣取るなど許される事ではありません。
最上位のボンベがモパンビのもとへと向かいます。
けんか腰のボンベにおびえるモパンビ。
争いに気付いたマクンバがメスたちのもとへと急ぎます。
そしてボンベがモパンビに飛びかかった瞬間マクンバが割って入りました。
マクンバの一声でメスたちは引き下がりすぐに食事に戻ります。
乾季の間は果実が乏しいためゴリラたちは木の葉を主食にしています。
たんぱく質が豊富な若葉は特に貴重で今回もメスたちの争いのもととなりました。
メスたちが木の上で食事をする間マクンバは子供たちの世話をします。
マクンバの父親としての優しい一面が見られるひとときです。
マクンバはとてもよい父親です。
子供たち全員に目を配っています。
時には叱る事もありますが基本的には落ち着いていて穏やかな父親です。
父親が見守る中子供たちは無邪気にじゃれ合います。
子供のゴリラは取っ組み合いをしながら体を鍛え力をつけていくのです。
中でも末っ子で2歳のテンボはアンジェリークにとって特別な存在です。
テンボは出産の様子が観察された初めての野生のニシローランドゴリラです。
テンボは遊んでもらおうと皆にちょっかいを出します。
好奇心が旺盛で一番やんちゃです。
面白い子です。
テンボが父親のマクンバのようになるにはまだまだたくさんの経験を積み強くならなければなりません。
密林で生き抜くためにアンジェリークもまた強くなる必要がありました。
これまでにあらゆる危険を体験しています。
マラリアにはもう数えきれないくらい…25回はかかってますね。
コブラに後ろから3回も攻撃されたんです。
ゾウに襲われた事も3〜4回あります。
あれは危険でした。
デング熱にかかった時はかなりの高熱が出ました。
マクンバの務めは密林の危険から家族を守り群れを安全に移動させる事。
新鮮な木の葉を求めて1日に1km以上も移動する事があります。
子供たちの中で5歳のモソコだけが取り残されます。
食べる事に夢中でペースが遅くなってしまったのです。
モソコは成長期を迎えています。
オスのゴリラみんなが通る道です。
モソコはとりわけ食べる事が大好きです。
おなかが真ん丸でノソノソとよろめきながら歩くので一目で分かります。
3歳のボカタは母親の背中にくっついています。
おんぶしてもらえるのはまだ幼い今のうちだけです。
背中から下ろされるとお得意の芸を披露します。
ボカタは二足歩行が得意なんです。
遊びのようなものです。
子供は遊びを通して自分にできる事を学んでいきます。
子供たちの父親のマクンバは少なくとも30歳を過ぎていると見られています。
年を取ったマクンバにとってメスたちを狙う若くて体力のあるシルバーバックは脅威です。
人間でいえばリタイア間近の年齢です。
あとどれくらい群れを率いる事ができるか分かりません。
ライバルのオスたちとの戦いはケガだけでなく時には死を招く危険もあります。
マクンバが負けて群れがバラバラになってしまえば研究も滞ります。
何年もの歳月をかけてようやくマクンバの群れに近づく事ができたアンジェリークにとっては耐え難い事です。
私にとってこの一家は特別です。
だからここにいるんです。
マクンバは学術的にもまた人々の認識や保護活動にも大きく貢献しています。
ニシローランドゴリラがどんなゴリラか世界に知らせてくれたんです。
掛けがえのない存在です。
いなくなるなんて考えたくもありません。
マクンバには心強い補佐役がいます。
長男のクンガです。
クンガは現在12歳。
3年以内にオスのホルモンによる変化が現れるでしょう。
体の大きさはメスの2倍になり背中が曲がって銀色の毛が生え大人のオスシルバーバックへと変貌するのです。
クンガは周囲をうろつくシルバーバックを撃退しマクンバを支えています。
そんな忠実なクンガですが群れの中での地位は低くいつも群れの片隅でひとりで過ごします。
自分の家族を持つならば独り立ちをしなくてはなりません。
マクンバが頼りになる補佐役を失う日はそう遠くないかもしれません。
くつろぐ群れのもとに危険が忍び寄ります。
マクンバの娘マイは7歳になり成熟期を迎えています。
そろそろパートナーを探す時期です。
ここ数週間群れに近づくシルバーバックの数が急激に増えています。
(ドラミング)胸をたたく「ドラミング」の音はマクンバへの挑戦状です。
自分の強さを示すと同時にメスたちに品定めの機会を与えます。
娘のマイだけでなく他のメスたちも誘い出されてしまう危険性があります。
(雄たけび)
(ドラミング)ライバルは去り娘のマイも一緒に消えてしまいました。
群れを離れ新しい道へと踏み出したのです。
マクンバは群れを狙うオスが一瞬の隙をついて入り込んでくる事を思い知らされました。
とはいえ3頭のメスたちは群れにとどまりマクンバもケガを負う事はありませんでした。
アンジェリークはかつて一頭のシルバーバックがライバルに敗れる姿を目撃しています。
オスは戦いの末に死んでしまいました。
頭には相手の手形が残っていました。
ゴリラは相手の頭を狙うんです。
だから命懸けなんです。
命の危険にさらされているのはマクンバだけではありません。
もしマクンバが負ければ群れはバラバラになりメスたちは新しいパートナーを探します。
これが子供たちに致命的な結果をもたらす可能性があります。
メスが再び発情期に入るよう新しい父親が子供を殺す事があるからです。
幼いテンボの運命はマクンバにかかっています。
マクンバ一家の運命は森の中にあるコミュニティーにとっても重要な意味を持ちます。
アンジェリークのプロジェクトは「世界自然保護基金」の支援を受けており世界中から研究者や学生エコツーリストが集まってきます。
国際的な研究プロジェクトを管理し持続させる事は大変な任務です。
しかしアンジェリークには頼りになるサポートチームがいます。
地元のバイアカの人たちです。
研究プロジェクトはジャングルを熟知する彼らに仕事を提供するだけでなく村の生活も支援しています。
昔から自然と共に生きてきた彼らにとってここは理想の職場と言えるでしょう。
研究設備は十分に整っている一方で生活の設備はとても簡素です。
アンジェリークにとって「快適な生活」は遠い昔の思い出です。
ここでの質素な暮らしはアンジェリークの人生を変えました。
ここでは本当の意味で「生きる」とは何かを実感できます。
ヨーロッパでは生きる事の本質を忘れてしまいがちです。
でもここでは生き抜く事が一番です。
生き抜く事ができればそれだけで幸せなんです。
シンプルでしょ。
マクンバが群れを動かしているのも生き抜くための本能です。
ゴリラは必要な水分のほとんどを食べ物からとります。
でも時には小川の水を飲む事もあります。
水を前にしてそれぞれの性格が表れます。
幼いテンボはパシャパシャと水しぶきをあげて遊んでいます。
一方で手がぬれないように浅瀬を二足歩行で渡るものもいます。
モソコは更にその上をいきます。
わざわざ遠回りをしてまで水を避ける徹底ぶりです。
全員が無事に川を渡るとマクンバは更に奥へと進んでいきました。
群れの行動を日々観察するのは大変です。
眠りから覚めたゴリラたちが動きだす前に群れに合流するには毎朝6時半から観察を開始しなくてはなりません。
この日は群れが既に動きだしていました。
こんな時は地元バイアカの人たちの腕の見せどころです。
彼らは森に残るかすかな痕跡を見つけ出し群れを追いかけます。
バイアカの人たちの助けなしにゴリラを追跡する事はできません。
なくてはならない存在です。
彼らは研ぎ澄まされた感覚を持ちどんな音も聞き逃さずどんなものも見落としません。
いつも驚かされます。
本当にすばらしい最高の仲間です。
マクンバの群れは密林の中の特別な場所に到着していました。
この辺りの木々にはゴリラたちにとって宝の山があります。
シロアリです。
たんぱく質脂質エネルギーが一度にとれます。
更に鉄分も多いため葉っぱを食べる事で体にたまった毒素を中和してくれます。
また腸を整える作用があると考えられています。
乾季の間シロアリの塚は硬くなります。
そのため子供たちは大人が塚を壊すのを待っておこぼれにあずかります。
マクンバの群れを観察した結果ニシローランドゴリラにはシロアリを食べるための方法がいくつかある事が分かりました。
まずは指でたたいて取り出す方法。
シンプルかつ効果的です。
こちらは手のひらにポンと打ちつける方法。
モソコはこの方法のエキスパートです。
一方マクンバは一番初歩的な舌でかき出す方法しか知らないようです。
生き抜くための技術の多くは親から次の世代へと受け継がれます。
どうやらマクンバの母親は彼にシロアリの食べ方を伝えなかったようです。
モパンビの娘ボカタが母親の動きをじっと見つめています。
こうして母親から生き抜くための技術を学んでいくのです。
2時間後アンジェリークたちはようやく群れの近くまでやって来ました。
シロアリの塚は壊されたばかり。
一家が近くにいる証拠です。
シロアリをたらふく食べ子供たちは元気いっぱいです。
アンジェリークにとっては幼いゴリラたちの行動を観察するチャンスです。
子供たちは大人をまねてさまざまなしぐさをします。
例えば手をたたくのは問題が起きた事をメスがオスに知らせる時の行動です。
でも子供たちにとっては遊びでしかありません。
そうして徐々に状況を学んで技術を身につけていくんです。
子供たちは遊びに夢中です。
マクンバにとってめったにないロマンスの機会です。
メスに呼びかけています。
(鳴き声)もし反応がなければ地面や木を思い切りたたくでしょう。
一頭のメスがマクンバの呼びかけに応えました。
3頭のメスのうち一番格下のモパンビです。
マクンバを独占できるチャンスを感じ取ったのかもしれません。
メスは子供が3歳にならないと発情期に入りません。
しかもオスを受け入れるのは月に1日か2日。
タイミングが大切です。
貴重な瞬間です。
長年群れを観察してきたアンジェリークでさえマクンバが交尾する姿は4回しか目にした事がありません。
うまくいけば群れに新たな命が誕生するかもしれません。
密林は子育てには危険な場所です。
うっそうとした森の中や開けた場所など至る所に危険は潜んでいます。
「バイ」と呼ばれる湿地には恐ろしい生き物が姿を現します。
ゾウです。
このバイにはアフリカ中央部で最も多くのゾウが集まります。
サバンナに生息するゾウに比べて森林のゾウは気性が荒くゴリラにとっても人間にとっても危険な存在です。
そのためマクンバはなるべくここを避けて暮らしています。
バイの土には塩とミネラルが多く含まれています。
ゾウたちは土を掘り起こし鼻から息を吹き出して水たまりの底に沈んだ栄養豊富な砂をかき回します。
ミネラルたっぷりの泥水は体内のバランスを整えるためになくてはならないものです。
ゴリラたちにとってもバイは格好の餌場です。
マクンバはゾウの少ない小さな湿地に群れを連れていきます。
群れはゾウの足跡にたまった水で喉を潤します。
でも一番のお目当ては栄養豊富な草。
根っこに近い部分にはミネラルがたっぷりと含まれています。
群れが食事を楽しむ間補佐役のクンガはゾウから目を離しません。
一方マクンバたちも他のゴリラに見張られていました。
(ドラミング)木陰からドラミングの音が響きます。
他のシルバーバックが木陰に隠れてマクンバに挑んできたのです。
逃げるべきかとどまるべきかマクンバは決めかねています。
(ドラミング)メスたちにとってはより優れたオスに乗り換えるチャンスですが今は無防備な状態。
子供たちの安全を第一に考えなくてはなりません。
マクンバは慎重に状況を見定めます。
命懸けの決闘は最終手段です。
クンガがマクンバの隣に控えます。
しかし決断を下すのはマクンバです。
相手はなかなか姿を現そうとしません。
マクンバは決断しました。
経験豊富な賢いシルバーバックは群れを密林の中に移動させました。
マクンバは群れを守りました。
密林には更にさまざまな危険が潜んでいます。
その一つが密猟者です。
密猟者から野生動物を守るために「エコガード」と呼ばれる人たちが密林をパトロールしています。
野生動物の肉の密売が増えているんです。
放っておけば武装した密猟者によって一帯の野生動物がみんな殺されてしまうかもしれません。
プロジェクトを始めた当初から密猟者たちを取り締まる活動が行われています。
エコガードは森をパトロールしあらゆる方法で密猟者たちを追っています。
押収された武器を見ればエコガードが必要な事は明らかです。
手作りの銃です。
こちらが一番よく目にするタイプ。
近くの村で作られているんです。
基本的に全て手作りでゴムで全体を留めています。
金属部分も手作りです。
これらの武器はどの野生動物にも使われる可能性があります。
更に恐ろしいのが輪なわです。
輪なわは類人猿にとって最も危険なものです。
手を失ったり傷口が細菌に感染したりするからです。
輪なわの使用は禁止されていますが実際には密林の至る所に仕掛けられています。
周辺に住む6,000万の人々にとってほとんどの場合口にできる肉は野生動物しかないからです。
しかし一部の地域ではありますがアンジェリークのプロジェクトによって野生動物の保護が受け入れられつつあります。
アフリカ中央部に生息するニシローランドゴリラはおよそ12万頭。
しかしその数は急速に減少しています。
このままでは将来ゴリラは姿を消してしまうかもしれません。
ゴリラがいなくなるという事は私たち人類の仲間がいなくなるという事です。
このつながりだけでも保護する理由になると思います。
(雷鳴)雨季がやって来ました。
実りの季節です。
群れはごちそうにありつきそのお返しに消化しきれなかった種を森のあちこちにばらまきます。
新芽や発芽時期の種はゴリラにとってとっておきのごちそうです。
ボンベは硬い皮を難なくむいていますが幼いテンボは苦戦中。
ボンベに手助けする気はないようです。
時には苦戦しながらひとりで学ぶしかありません。
そのころ長男のクンガは群れの片隅にひとりたたずんでいました。
クンガは少しずつ家族から離れて食事をするようになっています。
独り立ちする時が近づいているのかもしれません。
水しぶきをあげるしぐさはシルバーバック特有の行動です。
そうして力を見せつけるんです。
今はまだ遊びの段階ですが前触れと言えます。
クンガはこれまでこうしたしぐさは見せていませんでした。
自分の強さを主張し始めるようになったんでしょう。
クンガはマクンバの下に控えているだけでは物足りなくなってきたようです。
群れから離れてしまうのでしょうか。
群れを観察していたアンジェリークは近くの村まで来るよう急きょ呼び出されました。
地元の子供が助けを求めているのです。
しかし雨で道がぬかるんでいるためタイヤをとられて足止めされてしまいました。
アンジェリークの仕事はゴリラの研究です。
しかしプロジェクトを支えてくれる地元の人々を助ける事も彼女にとって大切な事です。
最初は科学者としてここに来ましたがだんだん人との関わりも深くなっていきます。
とても貧しい人たちと働く場合仕事仲間だけでなく彼らの家族の事も考えなくてはなりません。
村にたどりついたアンジェリークを待っていたのは胸の痛む光景でした。
赤ちゃんは重い病気にかかっていて医師に深刻な容体だと診断されました。
ポリオです。
この地域では子供の40%が何らかの病気にかかっています。
アンジェリークは赤ちゃんが病院で治療を受けられるよう手配しました。
少し手を貸すだけで一人の子供の命を救えるんです。
群れの観察は次の日また居場所を探すところからやり直しです。
そのころ群れは「ネスト」と呼ばれる木の葉で作ったベッドで眠りにつこうとしていました。
雨季はぬれないように木の上で眠ります。
幼いテンボも見よう見まねでネストを作っていますが3歳になるまでは母親と一緒に眠る事が許されます。
お兄さんのモソコは5分で寝床を完成させのんびりとくつろいでいます。
結局母親のネストに潜り込んだテンボですが今度は小さな虫に悩まされているようです。
下では地上から危険が迫った時に備えてマクンバが地面に体を横たえます。
夜更けのキャンプではアンジェリークがデータをまとめています。
ここでの生活は決して楽なものではありません。
しかしアンジェリークにやめるつもりはありません。
ゴリラの研究は私の生きがいです。
ゴリラの保護に力を尽くしたいと思っています。
彼らと一緒なら森で生涯を終えても構いません。
研究者としてではなくただ彼らのそばにいたいんです。
ゴリラのおかげで私の人生は変わりました。
夜明けとともにマクンバの一家が動きだします。
地上への下り方もそれぞれです。
一番速いのは消防士スタイルのようです。
群れは朝食を探しています。
モソコが細い枝の先に熟した果実がたくさんなっている木を見つけました。
しかし手が届きません。
そこで枝を激しく揺らして果実を落とす事にしました。
ちょっと危険ですがおかげで一家はおいしい朝食にありつきました。
マクンバは食事中も周囲の音に耳を澄ませ警戒を怠りません。
やって来たのは息子のクンガでした。
モソコが落とした果実に誘われてクンガも家族と一緒に食事を楽しみます。
家族と距離をとるようになったもののまだ独り立ちの時ではないようです。
子供たちがクンガに勢いよく飛びつき歓迎します。
ひとりでいるよりもマクンバを支えている方がクンガにとって今は心地よいのでしょう。
年老いたシルバーバックを息子がしっかりとそばで支えます。
一家にはもう一つうれしいニュースがありました。
新たな命が誕生したのです。
赤ん坊がいます。
交尾から8か月半。
モパンビが子供を産みました。
アンジェリークにとっても特別な瞬間です。
チームは赤ん坊を「ソポ」と名付けました。
バイアカの言葉で「大地」という意味です。
様子を見にやって来たモソコをモパンビが優しくなでます。
全てうまくいったようです。
ソポが赤ん坊のうちはリーダーであるマクンバの関心はモパンビに注がれます。
マクンバはモパンビをそばで眠らせこれまで以上に周囲を警戒します。
テンボは末っ子の座をソポに譲りました。
マクンバにとって新たな日々の幕開けです。
この1年マクンバはメスたちを自分のもとから離さず家族を守るために戦ってきました。
その結果健康な子供を授かり母親は子供が少なくとも3歳になるまではマクンバのそばを離れません。
ソポの誕生はとても前向きなニュースです。
群れが続いていくという事ですから。
大きくなった群れは一度小さくなりましたがソポの誕生によってまた大きくなったんです。
ゴリラたちはアンジェリークの人生そのものです。
そして一頭のゴリラが彼女の心をつかんで離しません。
マクンバは私にとって特別な存在です。
初めて群れを近くで観察させてくれた相手ですから。
何年も追い続けて信頼を得ようと努力しました。
拒絶されたり受け入れられたりを繰り返しながら今ではお互いに最高の関係を築けたと思います。
マクンバは掛けがえのない存在です。
一生忘れられないでしょう。
マクンバに今後どんな運命が待ち受けているかは分かりません。
しかしマクンバがいる限りアンジェリークはそばにいます。
一目で恋に落ちるようなものです。
その気持ちを打ち消す事なんて誰にもできません。
今日の主人公は風船。
2014/07/19(土) 19:00〜19:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「ゴリラ愛情物語〜家族の絆を見つめて〜」[二][字]
アフリカ中央部の密林に暮らすゴリラの一家。ボスのマクンバは子育てや家族のケンカの仲裁などに大忙し。10年間観察を続けている生物学者とともにゴリラ一家に密着する。
詳細情報
番組内容
長い間ボスとして君臨するマクンバは、11頭のメスと子どもたちを率いる。子どもたちにエサ場を教えたり、メス同士のケンカの仲裁をするなど、マクンバは家族に細やかな気配りをする。一方、水場の減少や違法な狩猟者など森の環境は厳しさを増している。10年間観察を続け、マクンバの全幅の信頼を得ているイギリス人生物学者とともに、愛情あふれるマクンバ一家に密着する。(2011年ドイツ)*アンコール放送
出演者
【語り】渡辺徹
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
他言語の時もあり
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