総合診療医 ドクターG「体のあちこちが痛い」 2014.07.18

君の担当時に起きた事だ。
その責任は取ってもらう。
(飯倉孝)
私は大手製造メーカーから系列の工場の副社長へと出向を申し渡されました。
前任者の失策を押しつけられ飛ばされたんです。
いろいろ言いたい事はありましたが新しい職場になじもうと頑張っていました。
ところが…
(落とす音)すまん…。
俺らの仕事なめてるんですか?
とにかく体がだるいんです。
その上肘や膝手も痛みだしました。
だんだん体のあちこちが痛くなってきて家族からも疑いの目で見られて…
とうとう会社に出る事もつらくなってきたんです…
先生…助けて下さい…。
もう大変だよ!いわゆる会社企業ものですけれどもだんだん精神的に追い詰められて…。
体も痛いって言ってたね。
まずひどいストレスですよね。
周りもあんな「ヘヘしてやったぜ」みたいな顔しなくていいのに。
別所さんどうですか?同世代ですよ。
間に挟まれて家庭でもそれを発散できないし自分の居場所がないっていうのはつらいでしょうね。
症状が出たのか症状からメンタルが出てるのか…。
いやあ土俵際いっぱいですよ。
患者の声に耳を傾け体に問いかける。
総合診療医の武器は問診と診察だ。
症状は?仕事は?生い立ちは?病気を探るヒントはどこに潜んでいるのか。
意外な手がかりを一つ一つつなぎ合わせ病気を探り当てる。
私たちはその人を「ドクターG」と呼ぶ。
ここ総合診療部で定期的に行われるカンファレンス。
中心人物は…じゃあどっちの確率が高いですか?実際にあった難しい症例を検討しその原因や病名を突き止める。
「問診」から得られた情報だけで鑑別するのが生坂カンファレンスの特徴。
(玉ちゃん)今回のドクターGは…
(拍手)
(玉ちゃん)いやいや先生よろしくお願いします。
先生と言えば「問診」ですが今回の症例も問診で追い詰めていくと。
でその問診に相当するのが再現VTRですからその大切な情報を見落とさないように…。
さあ病気の正体を探り当てるために全国から集まって頂いた研修医はこちらの3人です。
(拍手)よろしくお願いします。
(玉ちゃん)よろしくお願いします。
さあ井上先生どんなお医者さん目指してるんでしょう?そうですね。
僕は患者さんとその患者さんだけじゃなくてご家族とかが井上浩輔という医者に出会えてよかったなって思ってもらえるようなそういう医師に頑張っていきたいなと。
津村先生医者になってよかったなと思った事があるらしいですね。
意識障害の患者さんで話しかけても全く反応がなかった患者さんが治療によって笑ってくれるまで回復したのでそれがとてもうれしかったし治療の重要性を実感しました。
(玉ちゃん)それすごいね〜!日比新先生。
お名前がなんかすばらしいですね。
「日々更新」みたいな。
今のVTR見てどうでした?自分が同じ立場だったら多分同じ症状を訴えてしまいそうでどんな疾患が隠れているか次のVTRで考えていきたいと…。
(玉ちゃん)う〜んなるほど。
それでは病名を探るための再現ドラマを見て頂きましょう。
ドクターGの症例に研修医が挑みます。
テレビの前の皆さんも一緒に考えて下さい。
ドクタージェネラル!今日はどうされましたか?手や…肘肩脚とにかく体のあちこちが痛いんです。
3か月くらい前からですか…。
寝不足ではあったんですが…。
すみません。
手の空いてる人手伝ってもらえませんか?
(飯倉)
その日も体がだるかったんです。
手足も動かすと痛くなる事があって…。
ついに…
おっ!
(落とす音)すまん…。
もう偉い人は座って損益表でも見てて下さいよ。
俺らの仕事なめてるんですか?まあまあ副社長はこういうの慣れてないんだから…。
かえって迷惑かけたな…。
あちこち痛い上にうまく力が入らない感じで階段の上り下りすらつらくなってきたんです
それはどんな痛みですか?じっとしてればそうでもないですが動かすととても痛くて…。
とにかく痛いんです。
ええ。
3か月前は市販の痛み止めをのんだら治まったんですが最近は朝起きるのもつらいくらいです。
寝つきは悪いですしうとうとしたと思ったらすぐに朝になる感じで…。
眠りたいのに眠れないといろんな事を考えてしまって不安で胸がドキドキしてくるし…。
何かストレスのきっかけがありましたか?ありましたよ…。
半年前に系列の工場に飛ばされました。
中国杭州工場との業務提携が流れた件だがね「根回しにあれだけの時間と金をかけたのに」と問題になってね…。
(飯倉)はあ…しかし私が引き継ぎました時には既に…。
前任者のせいにするつもりか?君の担当時に起きた事だ。
その責任は取ってもらう。
ハロー!飯倉部長ついに出向か…。
さんざんお金を遣っておいて責任をおっかぶせたのは前任者の吉良部長だってみんな知ってるのに…。
昇進おめでとうございます。
吉良取締役。
そうですか。
それは悔しかったでしょうね…。
(飯倉)もうこんな会社辞めちまおうかと思いましたがこのご時世ですし心機一転新しい職場に通う事にしました。
妻と娘がいます。
でも私のつらい気持ちは分からないようで…
どうだ?このネクタイ。
昔母さんがプレゼントしてくれたやつ。
久しぶりに締めてみたよ。
今日初出社だから。
工場に行ったら作業服着るんじゃないの?まあそうなんだけど気持ちだから…。
御飯どれぐらい?今日は少なめに。
珍しいわね。
お母さん私やっぱり女子大に行きたい。
私学にするの?お父さんに聞いてみなさい。
いいよね?お父さん。
うん?学校いってきます!いってらっしゃい。
新しい環境になって…そのころからだんだん食欲がなくなって…。
あなた御飯はどれぐらい?今日は飯はいいや。
何だか気持ち悪いから…。
えっ二日酔いかしら…?でも昨日は飲んでないわよね。
美鈴は?早朝補習とかで先に出かけたわ。
よいしょ。
ねえあなた。
昨日振り込まれたお給料の事なんだけど少なくなる事は覚悟してたんだけど実質2/3じゃない?私パートに出ようと思うの。
家の事とか手が回らなくなると思うけど文句言わないでね。
そのころからだるさや手足の痛みがひどくなって会社に行くのがつらくなってきたんです
体がつらくて気持ちがついてこないという感じで…。
副社長。
はい。
銀行融資に必要な申請書類です。
来期の事業計画内容なんですが…。
新規受注見込みだね。
本社からの発注予定額は?これです。
この受注がないと資金繰りが厳しくなるので…。
副社長夕方になると仕事のペース落ちるよな。
副社長今日は帰ってもいいでしょうか?あっ…ああもうこんな時間か。
帰りなさい。
お先に失礼します。
ハァ…。
元気が出るあんパン。
工員用のおやつなんですが副社長もよかったらどうぞ。
ありがとう。
じゃああとで頂くよ。
ええ。
食欲はありませんでしたが心遣いがうれしくておいしく食べました
ええ。
でも週末にゆっくりすれば楽になりますしよし月曜からは元気に出社しようという意欲が湧きました。
食欲が落ちてきたという事ですが…減りました。
5kg…。
いやこの半年で7kgぐらいですか。
それで妻が心配しまして近くの総合病院に行ってみたんですが…
飯倉さん飯倉孝さんお入り下さい。
検査の結果は至って正常ですね。
一度心療内科も受診されてみては…?
心療内科に行ったらよく眠れるようになる薬を出してくれて「しばらく様子を見ましょう」と言われました
ハァ…。
いかがですかマッサージ。
1時間2,980円です。
思えば営業畑にいた若い時からさぼった事など一度もなかったのに…ついうそをついて早退してしまいました
あ〜…あ〜…。
(いびき)もしもし?ああはいはい。
ああ書類?えっとね…。
マッサージを受けたら楽になって気持ちも軽くなりました。
ところがそれも一晩もたなくて…翌朝はだるかったんです

いつもの朝のように体がこわばってしばらくベッドから出られませんでした
あなた〜!もう起きないと…。
ねえ今日御飯炊けなかったの。
パンでいい?
(「連続テレビ小説」のテーマ曲)お父さんは?う〜んまだ寝てた。
今日も体がだるいみたい。
全くいつまで寝てんだろうね。
昨日はマッサージがきいたって元気そうだったのに一晩でお疲れ復活なんてさぼり病なんじゃないの?そういう事言わないの。
ふ〜ん…。
飯倉孝さん52歳。
基礎データはこちらでございます。
全体的に正常範囲でしょうね。
本人が痛いって言ってんだけど家族は分からないもんですね。
ああいう事言われちゃって。
「さぼり病」だとか。
ああいう言葉がドキッとね…。
(玉ちゃん)刺さるなあ…。
それでは研修医の皆さん疑われる病名をフリップにお書き下さい。
かなりメモしてますからねいろいろあったでしょうが…。
私がうつ状態で悩んだ時に意欲がまず低下しますよね。
それから不安で眠れなくて…。
ただ階段上れないぐらい…基本的に真面目な方じゃないですか。
何にでも真面目に取り組もうと思ってる…さあ研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
フリップオープン!
(玉ちゃん)ジャカジャン!さあじゃあまず日比先生からお願いします。
(玉ちゃん)津村先生。
(玉ちゃん)あるある。
井上先生。
ここからはドクターGと研修医との真剣勝負です。
カンファレンススタート。
はい。
答えがばらけましたね。
ではどうしてそう思ったのか?日比先生。
「ランバート・イートン症候群」は筋力低下を起こす病気の一つなんですが…。
夕方に仕事のペースが落ちるというのがあって筋力低下が起こってもおかしくないかなと。
他にも体重減少であるとか精神的なうつ傾向であるとか起きてもおかしくないかなと思いました。
う〜んなるほど。
あらゆる症状が出るという意味ではこういう症候群を挙げてくるというのは非常に適切だと思いますね。
津村先生。
まず朝にこわばりがあったというのが「関節リウマチ」でも見られるかなというので考えたのと脚とか手とか肩とかが痛くなったという事でこの疾患を考えました。
関節リウマチは非常に患者さんの数が多くてよく知られている病気の一つですよね。
井上先生。
この「アミロイドーシス」を考えた理由としては…まずは一元的に考えられるものとしてアミロイドーシスを…。
アミロイドという異常なたんぱく質が体内で形成され…日比先生は筋力低下に注目。
津村先生井上先生は関節の痛みに注目して病気を考えた。
それでは合わなかったところがありましたか?関節痛がこんなに顕著に出るのはあまり典型的ではないかなと…。
「ランバート・イートン症候群」では関節の痛みは起きない。
この人痛がってたでしょう。
筋力低下もあるかもしれないけど痛がってたよね。
ここはランバート・イートンにとってつらいところかもしれない。
井上先生アミロイドーシスですね。
特に合わないところなさそう?思い浮かばない…。
じゃあアミロイドって…全身のアミロイドーシス全身に沈着するタイプの場合は…だからここはちょっと合わないですよね。
飯倉さんの場合…では津村先生の挙げた…関節が痛い特に末しょうの関節が痛いといった時に圧倒的に確率論的に正しいのは関節リウマチですよね。
日比先生井上先生どうして関節リウマチ挙げなかったの?どうですか?関節リウマチだとやっぱり朝がかなりきついかなという。
30分以上続くかどうか。
30分以上ですよね。
関節リウマチは関節の炎症が強く起こるので朝のこわばりが30分ぐらいでは治まらないんですね。
どのくらい続いてました?
(玉ちゃん)どれぐらいだったかね。
あった?そんなに長くない…。
あ時計出てる。
(飯倉)
いつもの朝のように体がこわばってしばらくベッドから出られませんでした

(「連続テレビ小説」のテーマ曲)お父さんは?う〜んまだ寝てた。
全くいつまで寝てんだろうね。
動いてますねもう。
もう動いてたよね。
(玉ちゃん)であれは多分…そういう事なんだ…。
15分ぐらいで軽快してる。
つまり30分は絶対続いてない。
こわばったらあんなポンポン打てませんから。
推理小説ですよ。
ただこれだけでは酷なのでもう1個ヒントがあったんです。
そうだ!すぐパッと…。
(玉ちゃん)ああそうだ携帯鳴ったんだよこれ。
もしもし?いびきかくぐらいだから寝てたと思います。
ですぐに動かしだしたというね。
こういう事を重ねると関節リウマチの可能性はちょっと落ちるかなと。
関節リウマチの可能性を外すためだけでこんだけあるんですね。
ではなぜ痛みが起きるのか?ドクターGは…どうですか?この人の精神症状この患者さんの痛みがどこからきてるか?精神的なもので体の症状が出る事があるんじゃないかという。
(津村)いろんな心配があって…。
このストレスに耐えきれなくてうつ症状を発症した。
個人差で関節が痛くなる事はあってもいいわけですよね。
(高木)いつも痛いところいつも凝ってるところが本当に取れないぐらい。
うつ病で体の症状が出る事がある。
そういうのを名前聞いた事あります?そういううつ病の患者さんを総称して…うつ病で典型的なのが「大うつ病性障害」。
これらの項目のうち5つが当てはまると可能性がある。
飯倉さんはうつ病なのか?我々内科医としても押さえなきゃいけない。
どうして大うつ病を押さえなきゃいけないんですか?毎年何千人もの患者さんがこれで自ら命を絶ってるという。
ここで介入しないとひょっとしたら最悪の結末を迎えるかもしれないという事を皆さん方もやっぱり考えておく必要がある。
うつ病だと思うシーンちょっと挙げてみて下さい。
体重減少。
あとこれ。
8番どうですか?「無価値感」。
うつ病の非常に大切な症状です。
どうなっちゃうんですか?「無価値感」。
(高木)あっこれか!俺らの仕事なめてるんですか?
(高木)これか!自分に価値がない。
実際に価値あるんだけどもそれを自分で認められない。
自分のせいだと思い込んでしまう。
飯倉さんに当てはまる診断項目は5つ。
うつ病の可能性がある。
では主訴である…他にない?ちょっと男性なので考えづらいですけど…左右対称に合計18か所ある圧痛点のうち11か所以上に強い痛みを感じるのが特徴です。
「線維筋痛症」であれば全て説明できる。
合わないところはどうですか?基本的に筋肉の部分を押すと痛がるので…。
線維筋痛症の人はあの圧痛点をほんとに軽く押しただけで飛び上がるくらい痛がります。
(玉ちゃん)マッサージ受けてる。
マッサージで気持ちよい。
線維筋痛症の中核症状ですからこれがないと他が全部そろっててもなかなか線維筋痛症とは言いにくいかもしれないです。
という事でもっといい仮説はないかという事でV2を見てみましょう。
それでは診断を絞り込むために再現ドラマの続きをご覧下さい。
ドクタージェネラル!いいえ。
(飯倉)
金曜日になると疲れがたまって好きだった酒のつまみも欲しくなくなって…
ストレスがいけないんですかね?町内の夏祭りなんですがうちも毎年参加してます。
商店会やご近所の方と仲良くなるいいチャンスなんで。
かき氷もあるのか?やりますか?シャカシャカって。
アハハ…。
大変です。
本社がずっとのばしのばしにしていた新部品の発注を撤回すると言ってきました。
え?それがないと融資が受けられないのに…。
本社に行ってくる!
久しぶりに本社に行った時が…最悪でした
常務出向を命じられた時に新製品の発注は約束すると明言して下さいましたよね。
それがどうして…。
消費者のニーズが変わったんだ。
しかたがないだろう。
ハァ…。
ウッ!
(飯倉)気持ち悪い感じはありましたが吐いたりするのは初めてでした。
それからは本当につらくて…。
ハァ…。
もしもし?もしもし?
(踏切警報機の音)
(通話の切れる音)
(踏切警報機の音)ううっ…。
(泣き声)
梅雨が明けた3日前にはとうとう…
やだ!日焼け止め塗ったのにこんなに焼けちゃった。
染みになっちゃう。
(氷を削る音)ねえかき氷まだ?あっ!ちょちょちょちょっと…。
大丈夫ですか?副社長!しっかりして下さい!副社長。
あ…あ…。
よいしょ。
飲み物!
スポーツドリンクを飲んだら少し元気が出てなんとか一人でうちにも帰れたんですが…
(飯倉)私はさぼり病なんでしょうか?私はどうしたらいいんでしょうか?はい結構ですよ。
(玉ちゃん)え〜っ?最後に手元を見てましたけど…。
研修医の皆さん考えられる病名をお書き下さい。
いろいろね食欲がなくなって…。
(玉ちゃん)好きなつまみも食べなかったし戻した。
線路前がもう…。
いや〜だって泣いてましたもの。
どこにも行き場はない解決方法は見つからない…。
つらいんだな〜…。
さあ研修医の皆さん病名を書き終えたようです。
フリップオープン!
(玉ちゃん)はい。
日比先生からどうぞ。
(玉ちゃん)さあ津村先生。
(玉ちゃん)井上先生。
それでは再びドクターGと研修医との真剣勝負です。
最終カンファレンススタート。
また病名が分かれましたね。
(玉ちゃん)割れたね〜。
どうして診断名を変えたか。
津村先生どうですか?関節リウマチって先ほど挙げたんですが朝のこわばりは「全身性エリテマトーデス」だとそんなに長くはかからないと思います。
全身性エリテマトーデスは炎症が分散しているのでもうちょっと短い朝のこわばりの事が多いわけですね。
先ほどはランバート・イートン症候群を挙げさせてもらったんですが非常に多彩な症状があるのでどうしても一元的に考えようとするとこの病気が頭に浮かんだんですけど…。
では井上先生。
初めにアミロイドーシス挙げたんですが全体として高カルシウム血症で説明のつく病態だなと考えまして…。
(井上)2番目のVTRで吐いてしまったりとか消化器症状が出てきていたという事を考えると「副甲状腺機能亢進症」があるかなと考えました。
うつ症状に関してどうですか?これはもう別に考えるという…。
それでも説明できるのかなと思います。
高カルシウム血症で精神症状は出るのでそういう意味でうつ病のような症状が出てもおかしくない…。
うつ病に関しては……と説明もできるのかなと。
ちなみに皮膚筋炎に悪性腫瘍を合併するというのはこれはよく知られていますけど「混合性結合組織病」の皮膚筋炎に悪性腫瘍は合併します?いやあまり聞いた事はない…。
悪性腫瘍を合併しない混合性結合組織病では精神症状が出ない。
全身性エリテマトーデスと副甲状腺機能亢進症では精神症状が出てもおかしくない。
ではこの患者さんの精神症状は本当に典型的なうつ病ですか?細かいところを言うと合わないところないですか?普通のうつ病だと朝につらいのが特徴だと思いますがこの方は…副社長夕方になると仕事のペース落ちるよな。
ハァ…。
うつ病なら午前中の方がつらいはず。
一日の中での症状の変化「日内変動」のパターンがうつ病と合わない!午後悪くなってるというんですね。
皆さん方共通して合わないところは?津村先生もそうでしょう?井上先生も…午後悪くなるような日内変動を考えた時にこういう病気ってあります?午後悪くなってもいいのかなと…。
では日内変動が大きく動くホルモンはそしたら何ですか?別名「ストレス対抗ホルモン」と呼ばれています。
痛みや不安を緩和し血糖を上げてさまざまなストレスに対抗します。
なのでこの方は…?「副腎不全」の可能性もあるかなと思いました。
もう本当に副腎皮質ホルモンが出てないんですよ。
そうすると精神症状はどうですか?これもう有名ですよね。
会社のストレスとか精神的なストレスにも副腎皮質ホルモンが非常に大切である。
日内変動プラス……という大きな特徴があると。
そういうシーンはありませんでした?週末にゆっくりしたら楽になるって…。
週末にゆっくりすれば楽になりますしよし月曜からは元気に出社しよう…。
(高木)言ってた!更に週の前半はどうでした?ご近所の方と仲良くなるいいチャンスなんで。
かき氷もあるのか?元気そう。
元気そうでしたよね。
会社に駆け込むところあれ火曜日だったんですけど結構走れてたでしょう。
休息で回復するという大きな特徴があるの。
週末休むと何で楽になるんですか?副腎不全でもいくらかは出てますこの患者さんもそうでしたけど。
ああ…!チョロチョロでも折り合いがつく…。
そうなんです。
午前よりも会社の仕事などストレスが高まる午後に体調が悪化する。
そして休息によって著しく改善する飯倉さん。
うつ病やこれまで鑑別に挙がった病気では説明できなかった症状の変化が…では主訴である「体のあちこちが痛い」というのも…副腎皮質ホルモンがないという事で関節の痛みがくるかどうか。
そこが説明できないかなというのが…。
そこが難しいですよね。
では副腎皮質ホルモンの作用って何ですか?薬として使う事ないですか?それが欠乏すると痛みが出てもおかしくないかなという…。
(玉ちゃん)そうなんだ!すばらしい視点です。
副腎皮質ホルモンは…人間の体というのは例えば筋肉とか骨とか使う時に関節にすごい負担かかってるんですよ。
だから普通の状態でもそこに軽い軽度の炎症が起きます。
それを痛みと感じないのはちゃんと副腎皮質ホルモンが出て抑えてくれてるわけです。
なのでこの副腎皮質ホルモンがなくなると…。
いろんな痛みを感じる。
(玉ちゃん)う〜んなるほど。
質問いいでしょうか?しかしここで井上先生がドクターGに切り込んだ。
はい!副腎を考えた時に合わないなと思ったのが一つはバイタルでしたがこの人の血圧は極めて正常で…。
こういうケースはあるんでしょうか?飯倉さんの来院時の血圧は上が128下が84と正常値だった。
通常であればストレスを受けると副腎皮質ホルモンが分泌され血圧は上がる。
飯倉さんが副腎不全によるホルモン不足なら……と井上先生は考えた。
やっぱ疑問残るよね。
「こんな大切なホルモンがなくなって血圧が正常ってないでしょう」というそういう発想だよね。
どうしたらこれ説明できます?いいですか?副腎不全の理由が大きく分けて2つありますよね。
それとももっと上流の下垂体に原因があるのかで…。
それは何て言うんですか?続発性という言い方ありますよね。
「原発性副腎不全」とは副腎そのものの機能不全。
この場合副腎皮質ホルモンのうち血圧に関わる塩分をコントロールするホルモンと血糖値に関わる糖分をコントロールするホルモンの両方が不足します。
つまり副腎そのものがやられてたら確かに糖質コルチコイドも鉱質コルチコイドもやられる。
鉱質コルチコイドは塩分に関係してます。
一方「続発性副腎不全」は副腎そのものではなく副腎を刺激する脳下垂体の機能不全が原因です。
脳下垂体は「ACTH
(副腎皮質刺激ホルモン)」を分泌しています。
ACTHは副腎から出る糖分をコントロールするホルモンだけに作用します。
そのため脳下垂体に問題がある続発性副腎不全の場合血圧には影響が少なく血糖値だけが下がります。
飯倉さんの血圧は正常だった。
つまり血圧を正常に保つ役割のある…飯倉さんがのりの佃煮を欲しがらなかったのはホルモン分泌不足による塩分低下ではなかったからだ。
以上の事から…だから血圧の事は続発性でクリアーできそうなんだけども…。
倒れてしまったのも副腎不全のような症状…。
そこで井上先生は飯倉さんが倒れたのは糖分不足による血糖値の低下が原因ではないかと考えた。
スポーツドリンクを飲んだら少し元気が出てなんとか一人でうちにも帰れたんですが…
そうですね。
副腎皮質ホルモンは血糖を上げるホルモンですよね。
スポーツドリンクに糖分が入ってますからそれで少し戻ったという…。
という事は原発性と続発性で言うとどっち?続発性。
もっとないですか?そこ。
この人の肌はどちらかというと白かったように思うので…。
来院3日前は強い日ざしが照りつけていた。
そこで津村先生が注目したのは日焼けがあったかどうか。
来院時と比べてみると…。
(別所)何?袖がどうしたの?これで何かぴんと来ました?外にいた時の袖のところのラインで色素沈着であれば色の変化があるべきですがそれより上のシャツを着ていてそこで何も変化がないので…。
つまりこの患者さんは日焼けを?していない。
脳下垂体からACTHが分泌されると同時にメラニン細胞を刺激するホルモンも分泌されます。
その結果色素沈着つまり日焼けが促されます。
この事でACTHが分泌されていないのが裏付けられた。
つまり…日焼けによる色素沈着がある部分とない部分の境がなきゃいけない。
それがないという事は…?追加のメラニン反応が全く起きていない。
という事で…。
それでは最終診断名を…。
お〜ったどりつきました!いやいやいや…。
その後の検査の結果副腎そのものには異常はなくACTHの分泌だけが欠乏している事が分かった。
「体のあちこちが痛い」と訴えていた飯倉さんは…飯倉さんはどうなったんですか?コルチゾールという薬を毎日のむ事によって全く元の生活が送れます。
(玉ちゃん)そうですか!よかった〜。
関節痛はもう数日以内に全くなくなりました。
うつ症状もそれによって数週間以内に完全に良くなった。
体調が戻った飯倉さんはその後工場の仲間たちと共に前向きに経営に取り組んでいる。
もう泣かないんですねじゃあ。
もう大丈夫です。
(高木)よかった〜!さあドクターGから研修医にメッセージをお願いします。
今まで原因が分からなかった病気が次々に診断できるようになってます。
でも検査は万能ではないし何千という検査を全部やるわけにもいきません。
実際今日の症例のように原因が不明で診断がつかない患者さんもたくさんおられるわけですね。
ただ思い出してほしいのは人は体の異変を言葉で表現できるようになってます。
この患者さんも言ってましたよね。
「月曜日になると元気になる」。
こんな病気副腎不全以外はちょっと思いつかないでしょう。
我々は進化の過程で得た「言葉」。
これを利用して医学的に考察して診断に導く。
これが我々臨床医の仕事。
ですから皆さん…以上です。
ついついやっぱり働いてみると患者さんとの時間というのが意外となくて…。
今日やっぱこうやって症状一つ一つをみていくとそれだけでももう病気の診断にたどりつける事ができるんだなというのを改めて実感できたのであしたからまた気を入れ直して…。
「ひびあらた」にね。
「ひびあらた」に頑張っていきたいと思いました。
今日僕あの…すばらしい推理ドラマを見ているような…。
一つ一つの浮き出ている現象や情報をつなぎ合わせて本当の犯人をさがすって大変なんだな…。
今日研修医の皆さんホームズですね。
本当!生坂先生ありがとうございました。
研修医の皆さんもおつかれさまでした。
次回はどんなカンファレンスが繰り広げられるんでしょうか。
さようなら。
どうも!2014/07/18(金) 22:00〜22:50
NHK総合1・神戸
総合診療医 ドクターG「体のあちこちが痛い」[字]

「助けて下さい」と52歳の男性会社員がドクターGのもとへきた。「体のあちこちが痛い」という。問診だけで病気を絞り込む、推理小説さながらのカンファレンスが展開!

詳細情報
番組内容
患者は、体の調子がおかしいと訴える52歳の男性。「だるいし、あちこちが痛いし、会社に出るのもつらい。家族からはサボり病と言われ…」。眠りたくても眠れず、朝は起きづらく…とにかくつらいと訴える。ドクターGは問診するうちに、男性が半年前に、大手製造メーカーから系列の工場へ出向したことを知る…。事業の失敗の責任を負わされ“飛ばされた”のだ。症状や病歴をたどり、ドクターGは問診だけで病気を絞り込んだ!
出演者
【出演】千葉大学医学部附属病院 総合診療部医師…生坂政臣,【ゲスト】高木美保,別所哲也,【司会】浅草キッド,【語り】小野寺一歩,佐竹海莉

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
バラエティ – クイズ
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学

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