NHK大阪ホールに来ております。
今これ誰もいてまへん。
実はこれがじきに満員になるんでございます。
「NHK上方落語の会」が間もなく始まります。
ご機嫌いかがですか?落語作家の小佐田定雄です。
「上方落語の会」の時間がやって参りました。
本日は笑福亭呂鶴さんと笑福亭鉄瓶さんの落語をお楽しみ頂きます。
この番組このシーズンからゲストをお招きして花を添えて頂いております。
今日も大輪の花に来てもうてます。
スポーツキャスターでお笑い好きの大林素子さんです。
よろしくお願い致します。
何か伺いますとお笑いが大好きという事で。
大好きです。
普通のお笑いコントとかそういうものも大好きですが最近やっぱり落語がね大人になってくるとちょっと興味が出てきました。
うれしいな〜。
何でお好きになりました?もともとは桂南光さんが仲良しでいろいろと遊びに行ったりとか番組でご一緒してから落語を見始めましたら今までになかった世界だという。
やっぱりお笑いの中の究極なものが落語なのかなっていう。
一人でいろんなものを演じるっていう事の魅力にちょっとはまってしまいました。
なるほど。
ではそういうところで落語を今から聞いて頂きましょう。
笑福亭鉄瓶さんの「時うどん」です。
(拍手)ありがとうございます。
(拍手)笑福亭鉄瓶と申しましてよろしくお願いする訳でございますけれども鶴瓶の弟子でございまして鶴瓶の「べ」「瓶」っていう字もらいましてね鉄に瓶で鉄瓶という訳でございますけれどもまあほとんどの方が「鉄瓶さん鉄瓶さん」と言わはる訳でございます。
そらそうですわね。
鉄に瓶と書いて鉄瓶と読む方が難しい訳でございますけれどもね。
まあですから今世の中何ですかね便利な時代になりましたから1人1台携帯電話は当たり前ですし一家に1台パソコンというのはもう当たり前になってきております。
ですから調べ物するのももうあんまり図書館行ったりとかするような事がなくなってきたんじゃないかなと思います。
もう携帯でも調べれますしねパソコンでも調べれる訳でございます。
例えば落語家調べるのも簡単でございましてね私の師匠でございます鶴瓶を調べるんでしたらもう鶴に瓶「鶴瓶」と携帯電話であったりパソコンで検索しましたら鶴瓶の情報がいっぱい出てくる訳でございますね。
どういうところに出てるとかどういう映画に出てるとかそういうものがいっぱい出てくる訳でございます。
上方でね私だけなんです。
この亭号「笑福亭」から入力しないと南部鉄瓶いっぱい出てくるんです。
(笑い)もう相手は古くからある代物でございますから私はそいつと戦っていかなあかん訳でございますんで頑張って戦っていこうかなと思う訳でございますけれどもね。
まあ私の方はおなじみのお噂おつきあい頂きましてお後をお楽しみにして頂きたい訳でございますが…。
「ウッハッハッハッハ!ウッハハ!清やん!清やん!ちょっと一杯飲んだ帰りや。
ちょっと小腹すいた。
何ぞ食うて帰ろ」。
「おう。
ほんに小腹すいたな。
何ぞ食うて帰ろか。
おい。
ほたらお前今なんぼ持ってんねん」。
「へえ?わいか?ちょ…ちょっと待ってや」。
「8文持ってるな」。
「かっ!ええ大人が8文みたいなんで喜ぶな」。
「そんなポンポンポンポン言いなや。
そういうお前なんぼ持ってんねん」。
「おう俺かいな」。
「7文やな」。
「わいの方が1文多いねやがな」。
「いやお前の方が1文多かったら腹立つ。
ちょっとその銭こっち貸せ。
これ足してなちょっとそこにうどん屋出てるやろ。
うどん1杯つけて2人で半分こして帰ろか」。
「ちょっと待ちいな清やん。
うどんっちゅうたらきょう日1杯16文が相場やで。
わいら8文と7文で15文しかあらへんがな」。
「さあさあさあそこをな頭を使て食おうっちゅうねん」。
「ウッハ!お前器用な事するな〜。
ほんな事したらお前頭やけどするで!」。
「誰がホンマに頭で食おう言うてんねん。
とにかくな俺が向こう入ってうどん屋と応対するさかいお前横手から邪魔したらあかんで。
黙ってついといでや。
ほたらついといで。
おううどん屋1杯つけてんか」。
「へえいらっしゃい」。
「うど〜んそ〜いやう…」。
「じゃかぁしな」。
「えらいすんまへん。
うどん屋建て前言うて怒られると思いませんでした。
へえお待っとうさんでおます。
あっ!どうです?お連れはんもつけまひょか?」。
「え?あっこいつ?あ〜要らん要らん。
見てみい。
うどん食うような顔やあらへんがな。
1杯で結構。
呼ばれるわ。
頂戴するわ」。
(すする音のまね)「おう〜。
うどん屋お前ええだし使てんな。
かつおぎょうさんはり込んでるやろ。
わいうどん大好き大好物。
日に一遍食わな寝られん性分。
お前のところひいきにしとこ。
名前何ちゅうねん?屋号。
え?あたり屋。
験のええ名前やな。
覚えとこ覚えとこ。
うんうん」。
(すする音のまね)
(すする音のまね)「引っ張りな。
今食いかけたとこやがな。
おつゆこぼれるがな。
半分残しといたるさかい黙ってえ」。
(すする音のまね)「引っ張りなちゅうてんのになお前。
見てみい。
うどん屋お前の顔見て笑てるがな。
半分残しといたるさかい黙ってえ」。
(すする音のまね)「引っ張りなちゅうてんのにな。
ええ?何かい?このうどんがそない食いたいんか。
食いたけりゃ食え」。
「食わいでかい!ええ!?黙ってたら横手でズルズルズルズルいきやがって!わいの方が1文ようけめに払てんねんでホンマに。
ああ〜!あっ…」。
「どっから声出して…」。
「おい。
お前これ8文分のうどんか?うどんが2本泳いでるだけや。
わいの方が1文ようけめに払てんのやホンマに。
1本目。
腹立つ…。
」。
「最後や。
腹立つ…」。
(すする音のまね)「もうしまいや!」。
「食うたらしまいや。
鉢こっち返せ。
おううどん屋鉢そっち返しとこ」。
「へえ。
おおきにありがとはんで。
あっどうです?お代わりつけまひょか?」。
「あ〜もうええもうええ。
ちょっと銭が細かいさかい手ぇ受けてくれるか」。
「へえ。
おおきにありがとはんで」。
「ほたらいくで。
一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ…。
おいうどん屋今何時や?」。
「へえ。
九ツでおます」。
「十十一十二十三十四十五十六。
ごちそうさん。
また来るわ。
おい来い来い来い…」。
「お〜い!おい清やん!ちょっと待って。
お前うそつきやな。
ええ?ちゃんと16文持ってんねやんか」。
「お前も分かってへんのかいな。
違うがな。
わい『銭が細かいさかい手ぇ受けえ』言うたろ。
ほたらうどん屋が手ぇ出した。
そこへわいが『一つ二つ三つ四つ五つ…八つ』まで言っといて『うどん屋何時や?』『へえ九ツでおます』『十十一十二…』や」。
「やっぱり持ってる!」。
「まだ分からんか?八つまで言って『うどん屋何時や?』『へえ九ツでおます』『十十一…』」。
「ウッハ!うどん屋が1文払てんの。
ウッハ!お前おもろい事思いつくねんな。
こんなん聞いたらなわいかて明日やる。
わいかて明日やるわ」。
「あかんあかんあかん。
お前みたいなアホは一人でできへん。
やめとけ」。
「そうかてこんなおもろい事聞いたらわいかて明日やるで」。
「あかんで。
お前みたいなんは一人でできへん」。
さあこのアホ次の日小銭バッとたもとに入れよってね。
うどん屋探して歩いて回っとん。
「ウッハッハッハ!ゆんべはおもろかったな〜。
『一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つうどん屋何時や?』『へえ九ツでおます』『十十一…』。
ハッハ!あっ!清やん言うとったな。
『お前みたいなアホは一人でできへん』?何抜かしてけつかんねん。
そらわいは近所から『アホやバカや』言われてるけどなゆんべの事ぐらい覚えてんねん。
ゆんべと全く同じようにしたら間違える事あらへんねん。
ゆんべと同じようにしたろ。
えっとうどん屋うどん屋…。
あっ!うどん屋1杯つけてんか!」。
「へえ」。
「おい。
ぼ〜っとしてたらあかんがな。
ゆんべと同じようにしたいねん。
『うど〜んそ〜いやう〜』ってあの建て前あれ言うて」。
「えらい世話焼きな人でんな。
うど〜んそ〜いやう〜」。
「じゃかぁしな!」。
「あんたが言え言うたんや。
けったいな人やって来はった。
へえお待っとはんでおます」。
「おおきにおおきに。
おい。
ぼ〜っとしてたらいかんちゅうねや。
『お連れはんもつけまひょか』ちゅうて!」。
「いやお連れはんて…お宅1人とちゃいまっか?」。
「ええねん。
ごちゃごちゃ言わんとちょっと言うて!」。
「お連れはんもつけまひょか?」。
「え?こいつ?要らん要らん。
見てみい。
うどん食うような顔やあらへんがな」。
「ほたら言わしなはんな!何でんねんあんた!?」。
「ヘッヘ!ゆんべと一緒ゆんべと一緒」。
(すする音のまね)「あっうどん屋!お前ええだし使てるな。
かつおぎょうさんはり込んでるやろ。
わいうどん大好き大好物。
日に一遍食わな寝られん性分。
お前のところひいきにしとこ。
屋号何ちゅうねん?あたり屋か?」。
「うちはずれ屋だ」。
「験の悪い店やな。
ええわええわ。
ゆんべと一緒ゆんべと一緒」。
(すする音のまね)「引っ張りな!今食いかけたとこやがな!おつゆこぼれるがな。
半分残しといたるさかい黙ってえ!」。
「お宅誰としゃべってはりまんねんな?大丈夫…」。
「やかましなもう!ごちゃごちゃ言うな。
黙ってて!黙ってて!」。
(すする音のまね)
(すする音のまね)「引っ張りなちゅうてんのにな!見てみい。
うどん屋お前の顔見て笑てるがな!」。
「笑てしまへん。
何や心細うなって…。
お宅大丈夫…」。
「やかましなもう!黙ってて!ゆんべと同じ…。
黙ってて!」。
(すする音のまね)「引っ張りなちゅうてんな!何かい!このうどんがそない食いたいんか!「食いたけりゃ食え!食わいでかい!」。
「医者呼びまひょか?」。
(笑い)「医者呼ぼか!?お宅大丈夫…」。
「やかましなもう!黙ってて!」。
「ああ〜!あっ…」。
「今度は何ですか?」。
「これが8文分のうどんか?」。
「それ16文でっせ!」。
「うどんが2本泳いでるだけや」。
「あんたが食べたんや!あんたが!」。
「やかましい!黙ってて。
1本目。
ゆんべより短い…」。
「最後や」。
(すする音のまね)「もうしまいや!」。
「食うたらしまいでんがな。
鉢こっち返しとくんなはれ。
ホンマにもう!もうはよ帰ってもらいたいわ。
ホンマにもう。
よう洗とこホンマ。
アホうつるわ。
ホンマにもう」。
「おい!何をぼ〜っとしてんねん。
『お代わりつけまひょか』も言うて」。
「お代わりつけまひょか?」。
「もうええもうええ」。
「ほたら言わしなはんな!何でんねんあんたもう!」。
「うどん屋ちょっと銭細かいさかい手ぇ出して」。
「もう早い事払て帰っとくんなはれ」。
「うどん屋…いきますか。
うどん屋!お前かわいそうやな〜」。
「わしあんたの方がかわいそうですわ。
もう早い事払て帰っとくんなはれ」。
「いくぞいくぞ!一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ!おいうどん屋今何時や?」。
「へえ。
五ツでおます」。
「六つ七つ八つ…」。
3文損しよった。
(拍手)鉄瓶さんの「時うどん」でございました。
いかがでした?いや〜ホントにおなかがすいてうどんを食べたくなってしまいましたね。
なるほどね。
食べ方もお上手だしすごいなと思ったんですけど落語初心者の私たちにはすごく分かりやすくてちょっとはまってしまうネタですね。
入り口として。
はい。
ありがとうございます。
では後半は笑福亭呂鶴さんの桜の季節にぴったりの「天神山」でございます。
ではどうぞ。
(拍手)
(拍手)いっぱいのお運びでございます。
本日私寄せて頂きまして楽屋の方で早めに寄せて頂きましてちょっと退屈なもんでございますので楽屋にありますテレビの入力を切り替えまして一般の放送を見ておりました。
もちろんNHKの放送を見ておりました。
2チャンネルを見ておりましてちょうどニュースをやっておりました。
今から1時間ほど前の話でございますがニュースで言うてはりましたんですが今日のホンマに1時間ほど前で6時5分ぐらいです。
18時5分にミスタージャイアンツと呼ばれた長嶋茂雄さんが今日の18時5分6時5分にご自宅の方でご家族に見守られながら静かに夕食をとられたようでございます。
(笑い)
(ざわめき)
(笑い)あまり噺家の言う事信じたらあきまへんで。
今日は相も変わらずの古いところを一席聞いて頂きますが春先のお噂をば今日は一席聞いて頂きまして。
「おいどうやお前時候がようなったな」。
「さいな。
ええ日和やな。
え!これだけ日和がようなると表をぞろぞろ人がはうな」。
「『はうな』とはどうや。
けったいな物の言い方しいないな」。
「それはそうとあれ皆お前用事のある人ばっかりかいな?」。
「用事のある人もありゃ中には花見遊山に行く人もあるな」。
「へえ〜どういう人が花見遊山に行くねん?」。
「そやな着物の一つも着替えて手にひょうたん弁当なんかぶら下げてる人が花見と決まってはるな」。
「結構なこっちゃな。
あないしてええべべ着てやでうまいもん買うて遊びに行く人もありゃわいらみたいにこないして年がら年中ピーピーピーピー言うてるもんもあんねんな」。
「そんなアホな事言いないな。
そらそうとお前向こうから来る男の人誰や知ってるか?」。
「え…どこにな?」。
「『どこに』言うたって最前風呂屋の角曲がってこっち来てるやろ。
そうそう今割り木屋の表や。
いや今たばこ屋の表畳屋…」。
「そない言うたら分かれへんがな」。
「そうかて向こうかって歩いてくんのやさかいしゃあないやないか。
おっ!ちょうどええわ。
今酒屋の表で向こう向いて人と立ち話してる人があるやろ?」。
「あああれ誰や?」。
「お前知らんのかい?あれがお前この町内で有名なヘンチキの源助やないか」。
「聞いてる!ヘンチキの源助ってあいつか!」。
「あいつや。
見てみい!ヘンチキいうだけあってけったいな格好しとるやろえ?頭いうたら半分伸ばして半分そっとるやろ。
着てる着物が面白いな。
肩の辺りがひとえでな腰の回りがあわせ。
裾が綿入れになってはんのや。
一枚で四季の着物ちゅうてな。
足元見てみ。
白足袋と紺足袋と片方ずつはいとるやろ」。
「ほんにけったいな格好しとるな。
どこ行きよんのやろな?」。
「俺の思うのには多分花見にでも行きよると思うのやがな。
今こっちへ来よる。
わいが尋ねる間ちょっとお前黙ってや。
おっこれはヘンチキの大将!」。
「お〜町内のお方たち。
大将とは恐れ入りますな」。
「どちらへお出かけだす?」。
「これだけ時候がようなると家にじっとしとられんでな」。
「さよか。
花見でも行きなはんのやろ?」。
「何を?」。
「花見でも行かはりまんのやろちゅうてまんねん」。
「いやわいが行くのは墓見や」。
「は…は…墓見?墓見って何だんねん?」。
「石塔や塔婆見て一杯飲むのやないかい」。
「おい聞いたか?え?石塔や塔婆見て一杯飲むねんて。
手に何や持ってなはるな」。
「ヘンチキかて腹減るわい。
これはお前弁当やないかい」。
「弁当にしてはえらい入れ物が大きゅうおますな」。
「これかい?これはお前おまるやないかい」。
「お…おまるでやすか?何やぶら下げてなはんな」。
「これはお前酒やないかい」。
「入れもんは?」。
「言わずと知れたしびんじゃ!」。
「えっ…しびんですか?」。
「ああしびん酒のおまる弁当や」。
「うわ〜…どっちも新品でっしゃろな?」。
「あ〜両方とも古や」。
「えっ…古でっかいな」。
「どうじゃおまはんらもわしと来て一杯やらんか?」。
「結構です結構です。
今の聞いただけで胸悪うなってきましたさかい。
どうぞあんた一人で行っとくんなはれ」。
「そうかい。
ならわし一人で行くとするかい。
待てよわしもヘンチキやからな。
人が花見で一杯やってんのを同じようにやってたんではおもろない。
よし今日はホンマに墓見で一杯やってこましたる」。
けったいなやつがあったもんでそのまま南へ南へ。
一心寺の前までやって参りますとお寺の男衆が表を掃除しとる。
そこへ右のヘンチキサ〜クサクやって来よった。
「ああえらいもんやな。
この辺まで来ると何となしに気が落ち着くな。
静かなもんやないかい。
おっ男衆が表掃除しとんな。
こんちは!」。
「あ〜お参りかな?」。
「ええちょっと墓をな」。
「ごゆるりとご参詣なされ」。
「ヘヘッ『ご参詣なされ』やて。
アハハ!これから墓見て一杯飲むの知らんとあんな事抜かしてけつかんねん。
おっこらまたぎょうさんの石塔やないかい。
ぎょうさんあるな!こらまた大きい石碑やな。
何何?『千田川留吉の墓』?千田川?ハハ〜ンこりゃ相撲取りやな。
相撲取りの石碑の前では色気がなさすぎるな。
どこぞに色気のある…おっ!こらまた立派な石塔やないか。
上等な石使てるで!よっぽどの金持ちやで。
かなりの銭かけてるでこの石塔は。
何何?『笑福亭呂鶴の墓』?あいついつの間に死によったんやろな?どこぞに色気の…おっこらまた小さい墓やな。
何何?『俗名小糸』。
小糸!ハハッこらおなごや。
よしこの前に決めたろ。
よっとどっこいしょっと。
小糸はんちょっとお邪魔致しま。
わたいヘンチキの源助っちゅうもんだんねん。
人が花見で一杯やってんの同じようにやったんではおもろないと思うてね今日は墓見で一杯やらしてもらおうと思て寄せてもらいました。
ちょっとお宅の前拝借致しま。
え?何です?酒肴ちゃ〜んと用意してま。
しびん酒のおまる弁当ちゅうやつ。
ちょっといけまんねん。
お近づきのしるしに一杯つがさせてもらいまっさ。
ちょっとごめんやっしゃ。
これ便利よろしいでええ。
持つとこついてまんねん。
つぎやすいんで。
さあさあ一杯飲んで…え?何です?え?『先に毒味せえ』?ああこらうかっとしておりました。
ほな先に毒味さしてもらいます。
ごめんやっしゃすんまへんな。
頂戴しま」。
「ア〜ハハハハッ!えい毒味済みましたで。
今度はあんたの番で。
あ〜心配しないで。
町内の連中はあんた両方とも古や言うてますけど一遍でも使たやつで酒や物入れられまへんやん。
どっちも新品だすさかい安心しとくなはれ。
きれいなもんで。
つぎましたぜ。
いっとくんなはれ。
どうぞ。
飲まれしまへんな。
ヘヘッそんならまあ石塔の上からかけときますさかい。
ゆっくり飲んどくんなはれ。
へっ何です?アテ?アテちゃんと用意してま。
さわらの生ずしいかの鹿の子焼き卵の巻き焼き。
どれでも好きなん食べとくんなはれ。
ちょっといけまんでエヘヘ。
あ〜いやついでもらわんと独酌独酌でいきます。
へえ結構だす。
しかし何だすなお宅ら明け暮れこんな閑静なとこに住んでなはって。
わたいらかて一遍でええさかいこういう静かなとこへ住みとうおますわ。
けどまあ喜んでまんねん。
今日はええとこ寄してもうたと思て。
またそのうちあんたらの方へわたいも寄してもらう事になると思いま。
その時はひとつよろしゅう…え?何です?え?『この辺で拳』…拳がさっぱりあきまへんのや。
えっどうしてもどうしても?さよか。
ほなこうしまひょか。
拳杯負け飲みっちゅうやついきまひょ。
ここへ一杯ついどきまんね。
拳して負けたもんがこれを飲むっちゅう事。
そういうふうにしまひょ。
用意よろしいな?お手柔らかに頼みますよ。
ハットントンのトン!もう負けてもうたがな。
さっぱりわやや」いうてけったいなやつがあったもんで1人で言うて1人で返事しとる。
もうぼちぼち帰ろかいなと思て立ち上がって横手をひょいと見ますと土がこんもりと盛り上がった所がある。
「何じゃいな?」。
塔婆を持ってきてそれをばぐいっと掘り起こしてみるとそれこれぐらいのしゃれこうべがゴロゴロ。
「あっびっくりした。
何や?これ。
しゃれこうべや。
えっ?墓場からしゃれこうべが出てきても不思議はないけども。
えっ?しかし昔の人はええ事言うてるな。
『骨かくす皮には誰も迷うなり好きも嫌いも皮の業なり』ちゅうてな。
皮があるさかいべっぴんやへちゃの区別つくねやな。
死んでしもたらこのとおりや。
べっぴんやったかへちゃやったか分からへんがな。
持って帰ったろかしら?無傷やで。
床の間の置物にしゃれてるで。
それかなれつけてたばこ入れの根付けにでもしたろかいな?誰も見とれへんな。
今の間に持って帰ったれ」。
悪いやつがあったもんで。
家へ帰ってまいりますとやもめ暮らしの事仏さんの前へしゃれこうべを供えましてゴロッと横になって寝てしまいよった。
その日の夜中表の戸をば…。
(戸をたたく音のまね)「ちょっとここをお開け」。
(戸をたたく音のまね)「ちょっとここをお開け」。
「あ〜よう寝たなあ。
へえどちらでおます?」。
「今日一心寺でお目にかかった者でございます」。
「一心寺で?確かに私一心寺に昼間行きましたけどもねどなたにも会わしまへんけどね」。
「あの〜ゆうでございます」。
「おゆうさん?そんな方知りまへんで。
あんたどこぞ家間違うてはるんと違いまっか?「あの〜れいでございます」。
「おれいさん?やっぱりあんた家間違うとる。
私そんな方知りまへんで」。
「あの…ゆうとれい」。
「ゆうとれい?ああっ!いや〜えらいすんまへん。
悪気があって持って帰ってきたんやおまへん。
堪忍しとくんなはれ」。
「恨みを言いに来たのではございません」。
「何しにおいなはってん?」。
「お礼に参りました」。
「礼?礼やったらそんな遠いとこ来てもらわんでも手紙の一本でよろしおましたのに」。
「ちょっとここ開けて…」。
「いや開けれません。
開けれますかいな」。
「開けて下さらねば戸の隙間より」。
障子に青い陰火がさしますとそれへさしてズズ〜!「びっくりした。
入っといやはったんや。
どっから入っといやはった?戸の隙間から?器用なお方でんな。
いやしかしあんたえらい年は若いが全体どういうこってんねん?」。
「これだけではお分かりになりますまい。
私の申します事一とおりお聞きなされて下さりませ」。
「こんなとこで芝居しなはんないな」。
「私は京都は西陣織屋清兵衛の娘小糸と申します。
父は商法に損失なし。
その日の煙の立てかねるのを私がどう見ておられましょう。
浮き河竹の勤め奉公つき出しのその日よりふとなれ初めた方がございます」。
「かなわんな〜。
夜中に幽霊にたたき起こされてのろけ話聞かされて世話ないわ」。
「互いに『変わるな』『変わらじ』と言い交わした仲。
親方にはせきせかれ『いっそこの世で添えねばあの世で』と無分別にも一心寺で心中。
男は私の死に姿を見てその場を逃げ去り『おのれやれ』とは思いますれどもおてんとさまに恐れ浮かびもやらでおりましたるところ今日あなた様の結構なお手向けにあずかりお礼に参りみますればあなたもいまだやもめそう。
逆縁ながら女房に」。
「今何言いなはった?あんた。
えっ嫁はん?女房に?ちょっと待っとくんなはれ。
ホンマでっかい?それ。
えっ?待てよ。
俺もヘンチキやがななあ。
普通の嬶もうてたんではおもろないで。
ヘンチキに幽霊の嬶てしゃれたるで。
ええ!ホンマでっか?ホンマやったら気の変わらん間に祝言のまね事など。
あっ昼の酒残ってまんで。
つぎましたさかい。
ちょいとこれ一杯飲んどくんなはれ」。
「それではお頂き…」。
「けったいな。
そんなけったいな手つきしなはんな。
手はこういうふうに出しなはれ」。
「それでは幽霊組合違反」。
「違反?」。
けったいな男があったもんで幽霊と杯事を致しましてゴロッと寝てしまいよった。
がらり夜が明けますと隣に住んでおりましたのが胴乱の安兵衛。
こいつもやもめでございまして「源さんおはようさん」。
「おう安っさんかおはようさん」。
「殺生やなお前という男は」。
「何が?」。
「『何が?』やあれへんがな。
ええ?そやないかい。
夜中に若いおなご引っ張り込んでイチャイチャイチャイチャさらしやがって。
俺もやもめやないかい。
気になって寝てられへんがな」。
「えらいすまんな。
出し抜けにやって来よったんや」。
「出し抜けか何か知らんけどそれならそれと先言うといてくれたらやで俺は友達のうちにでも遊びに行くのやがなお前。
殺生やでイチャイチャイチャイチャされて。
けどな壁越しで顔見えなんで分からなんだけどもあの言葉つきから見るとゆうべのおなごあれお前ただ者やないやろ?」。
「おう!ただ者やない。
よう分かったな。
当たりや当たりや」。
「そやろな。
やっぱりお前出てたんやろ?」。
「出てたんや出てたんや」。
「出てたんやろな。
北か南か?」。
「いや一心寺や」。
「えっ一心寺?けったいなとこ出てたんやな。
やっぱりあのこれの方か?それともこれの方か?」。
「いやこれの方や」。
「おいおい何や?それ。
おかしな手つきして。
えっ何?ほうほうほう…えっ?ほんならあれか幽霊嬶にしたんか?」。
「そうや。
お前も嬶もらうのやったら幽霊の嬶もらえ。
幽霊の嬶得やぞ」。
「得か?」。
「そうや。
見てみいおれへんやろ。
昼間おてんとさんのお照らしがきついからよう出てけえへんのやな。
昼間出てけえへんちゅう事は三度三度の飯が助かる。
これでも得やが。
なあ。
頭いうたら年がら年中ざんばら髪や。
髪結い賃元結びんつけは要らん。
着てる着物かてそうやないかい。
夏が来ようが冬が来ようがあれ1枚でええねん。
なるたけ古い方が値打ちがあるてなもんや。
第一足ないさかい足袋履けへん下駄履けへん。
こんな安うつく嫁はんないで」。
「ホンマやな。
聞いてみたらそやな。
何か。
まだ一心寺行ったら落ってるかいな?」。
「まあもう一個ぐらいやったら落ってるのちゃうか?」。
「ああそうか。
ほなわいも拾てくるわ」ってこいつもけったいな男で。
一心寺やって参りましたがそういくつもしゃれこうべが落ちてるはずがございません。
あっちへウロウロこっちへウロウロ。
ぽいっと出てまいりますのが向かいが安居の天神さん。
天神さんへやって来よったからに…。
「あ〜嫌になってきたホンマに。
お寺でお茶引いて宮はんへやって来てんねんな。
しかし何やでここぐらいなもんやで。
世間では物が上がったとか高うなったとか言うてるが年がら年中『安居安居
(安い)』いうて評判取ってんのはな。
違いない!天神さんに嬶頼んでこましたる。
よいしょ。
うん!ヘヘッ」。
(かしわ手)「天神さんちょっとあんたに頼みおまんのや。
ええ。
ゆうべ隣のヘンチキの源助っちゅうのが嬶もらいよったんで。
わたいも急に嬶欲しなりました。
ええのがあったら一人世話しとくんなはれ。
えっ年?年はもう少々おなごが年寄りでも結構でんね。
年上のおなごがええいうたかてわたい26やねん。
嬶83てこれちょっとね行き過ぎてまんのでそこは適当に頼みますわ。
えっ何です?器量?アホらしいあんた。
器量好みしまっかいな。
おなごはここよりここでっせ。
わたいら職人でっしゃろ。
昼間でも寝てますわな。
そこへ友達が遊びに来まっしゃろ。
『ちょっとおにいさんお越しやす。
いつもうちのがお世話になってえらいすんまへんな。
へえ今のうちの。
いや寝てんのやおまへんのやで。
今なちょっとしんどいさかいて横になってまんの。
ちょっと待っとくんなはれ。
ちょっとあんた起きなはらんかいな。
お友達がお見えだっしゃないかい』ってわたい起こしまっしゃろ。
『おい嬶!友達が来てんのやないかいお前。
一杯つけんかい』みたいな事言わすような嬶ではあきまへんで。
ほっといても酒肴用意して『まあにいさん何もおまへんけどお一つどうぞ。
いえあんたに進めんのやおまへん。
うちのが今飲みたい言うてたとこでんがな。
たまにはつきあっとっとくんなはれな。
うちにまんざら毒の入ったお酒もおまへんがな。
一杯つがさせてもらいました。
ごめんやっしゃ。
何です?わても?さよか。
ほな久しぶりに今日はわても呼ばれますわ』。
嬶5〜6杯飲んで目の縁真っ赤にしよった時分に『おい嬶三味線持ってこんかい!』嬶三味線持ってきて…」。
・「チントンシャン花の」「痛い痛い痛い痛い痛い!痛〜。
あらまたいつの間にかぎょうさん子どもが寄ってきよったなこれ。
もう向こう行け向こうへ向こうへ…。
おっさんはな天神さんに嬶頼んで…向こうへ…痛っ。
こらあかんわ。
もう裏手回ってこましたろ」。
裏手へぐるっと回りますというと片方が崖熊笹がいっぱい生い茂っておりましてそこで若い男が汚い手拭いで頬かぶりを致しまして一点を見つめとる。
・「おかかのお世話はないかいな」「もしあんたそんなとこで何してん?」。
「あっち行け向こう行け」。
「そんなとこでしゃがんで何してはりまんねん」。
「向こう行けっちゅうのに。
狐捕ってんねん」。
「狐!?ええとこへ来た。
見せてもらおう!」。
「うるさいな。
ちょっと静かにしててくれ」。
「見るはよろしやろ?」「見るはかめへんけどなこいつの穴やないねん。
餌でも拾いに来よったんやな。
おてんとさんのお照らしがきつい。
俺に見つかったと思てこの穴に隠れよってん。
畜生でも人間の言葉悟るさかいしばらくの間黙っててくれ」。
「黙ってる黙ってる。
わて物言わずや物言わずやで。
男のしゃべりっていうのはみっとものうおまっせ。
『三言しゃべれば氏素性が表れる。
言葉多きは品少なし』言うてけどあんた黙ってたら友達が言いまんがな。
お前つんとして偉ぶっとんのちゃうか。
ちょっとぐらいしゃべったらどないやって。
わて口不調法で何にもよう言わん」。
「ようしゃべってるわお前。
それだけしゃべったら十分や。
頼むさかい黙っててくれ」。
「黙ってる黙ってる黙ってる。
家はどこなん?」「うるさいな。
ホンマにもう黙っててくれ言うたやろ。
…河内や」。
「河内!河内でも広うおまんがな。
中河内北河内南河内いっぱいおまんがな。
あっ河内で思い出しましたがあなた河内音頭知っとるやろ。
わてあれ好きだんねん」。
・「もろたもろたで何もろたあら風呂敷包みで」・「嬶もろた」「うるさいなお前は。
ちょっと黙っててくれ言うてるやろ」。
「黙ってる黙ってる。
名前は何ちゅうねん」。
「うるさいなお前はもう。
…角右衛門や」。
「何?」「角右衛門や」。
「角右衛門。
何や吉右衛門の弟みたいやな」。
2人がわあわあ言うてる隙を狙うて狐がピャッと飛び出しよった。
そこは商売人。
なかなか逃せしまへん。
持ってた縄シュッと投げますと狐の足にクルクルッと巻きつきそれをグッと引き付けると狐がそばへゴロゴロっと。
「危ないとこや。
すんでのとこで逃がしてしまうとこやった…。
うるさいやっちゃなホンマに。
なあもう狐捕まえたから大丈夫や。
なんぼでもあと好きなだけしゃべれ」。
「もう私しゃべる事おまへんねん」。
「みんなしゃべってしまいやがんねん」。
「えらい大きいでんな」。
「うん。
思惑より大きかったな」。
「ねえ乳のとこぶらぶらしてまんな」。
「ああ雌や。
やっぱり思たとおり餌でも拾いに来よったんや」。
ねえペコペコペコペコ頭下げてまっせ」。
「うん。
堪忍してくれ逃がしてくれってなもんや」。
「あ〜かわいらしいもんでんな。
なああんた逃がしたんなはれ!」「そんな事ができへんねがな。
それができんのやったら苦労するかいお前」。
「今度はわたいの方見てペコペコ頭下げてまっせ」。
「ああ。
俺に言うてもあかん思てお前に頼んでもうてくれ堪忍してもうてくれ頼んでくれいうて頼んどんのや」。
「あっさよか。
かわいいもんでんな。
ほなわたい頼まれましたから逃がしなはれ」。
「あかんちゅうてるやろ」。
「じゃああんたそれ持って帰って飼うときまんのんか」。
「アホかお前は。
飼うとくぐらいやったらこんな殺生するかお前。
これからお前高津の黒焼き屋持ってくのやないか」。
「あ〜じゃあ黒焼き屋が飼うときまんのんか」。
「まだあんな事言うてけつかんねん。
黒焼きになんのやないか!」。
「えっ黒焼きになりまんのん?かわいそやな〜。
それ黒焼き屋持っていってなんぼで売りまんねん」。
「まあ寒中なら値よう売れるが春先は毛が抜けるさかいな。
けどまあこれだけ大きかったら5円には買いよる」。
「へえ〜5円でそれ黒焼きになりまんのん。
かわいそやな〜。
あの物は相談でっけどねあんた5円で売んのやったらわてにここで5円で売っとくなはれんか?高津の黒焼き屋へ持っていく手間が省けまっしゃろ」。
「お前こんなもん買うてどないすんねん」。
「逃がしたりまんねん。
かわいそうでんがな。
殺生でっせ。
もうわたいに売っとくんなはれ」。
「これから高津の黒焼き屋へ持っていって5円に売るならお前にここで5円で売ったら持ってく手間が省ける。
お前その5円持ってんのかい」。
「えっちょっと待っとくれ…」。
「ごめん。
おまへん」。
「なかったらあけへんやないか」。
「さあそこでんがな…。
捕まえたけどこないに大きいなかったって3円にしか売れなんだと3円で売っとくんなはれ」。
「うん?3円やったら持ってんのかい」。
「ちょっと…ちょっと待っておくんなはれ。
3円もない」。
「なかったらあけへんやないか」。
「そこでんがな…。
物は考えようでんがな。
来たけども坊主で帰った何にも捕れなんだと思たら事が済みまんがな。
2円で売っとくんなはれ。
2円やったらここに持っとる。
逃がしたりまんねん。
2円で売っとくんなはれ」。
「だけどもあぶれて何もなしで帰ったと思ったら事が済む。
よし。
お前がそないして2円で逃がしたる言うのやさかい2円で売ったる。
2円こっち貸せ。
…よし。
よっしゃ。
捕れ」。
「えっ大丈夫で?」。
「大丈夫や」。
「かぶりまへんか?」。
「かぶったりするかお前。
お前が逃がしたる言うのにかぶったりするかい」。
「さよか。
すんまへんけどわたいが捕まえるまでそのままにしといて下さい…。
えいしゃ!へえへえ…。
もう大丈夫」。
「何してんねんお前。
逃がさんかい」。
「ええ?」。
「早う逃がさんかい!」。
「『早う逃がさんかい!』って逃がそうと逃がすまいとわたいの勝手でんがな。
これから高津の黒焼屋へ持ってって5円で…」。
「あかんでおい!そんな詐欺みたいな事…」。
「うそでんがな。
逃がしまんがな。
大丈夫でっせ。
ちょっと用事がある。
向こうへ行っとくんなはれ。
…逃がす。
大丈夫大丈夫。
危ないとこやなお前。
ええ?もうちょっとで黒焼きになるとこやでお前。
ええ?餌が欲しかったんかい。
餌が欲しいならうち来い。
なんぼでもあんのやないかい。
うちは高津新地百軒長屋がたがた裏の胴乱の安兵衛ちゅうもんや!うち来たらなんぼでも餌ぐらいやんねん。
こんなとこでウロウロしとってみいお前。
黒焼きにする言っとったぞお前。
ええ?…そや!こいつに頼んだろ。
お前に頼みがあんねん。
ゆうべ隣のヘンチキの源助が嬶もろてわいも急に嬶欲しなってな。
ええのがあったら一人世話してくれ。
ええ?嬶。
分かってるか?おい。
物言わんのは頼んないなホンマに。
ええな?逃がしたるさかいもう出てくんのやないぞ!ええな?そ〜れ逃げい!」。
(太鼓の音)「ア〜ハッハッハッハ…。
うれしそうに逃げていきよったな。
あ〜くさっ!ホンマにもう。
嬶探しに来て2円損してんねがな。
帰ってこましたろ」。
帰りがけますと今逃がしてもうた狐やぶ陰から出てまいりますとわらくずを頭に載せてクルッと返りますと22〜23のきれいな若い娘に化けてしまいよって安兵衛の後を追いかけて押しかけ女房。
安兵衛もズボラなやつでとうとうこの狐を嫁はんにしてしまいよった。
さあそうなると長屋の者が大変でございますのはそらそうでございましょ。
ええ。
片っぽは幽霊の嫁はん。
片っぽは狐の嫁はん。
何じゃ化け物長屋に住んでるようでございますがそうこうしてる間に子どもが一人できます。
男の子。
童子という名前を付けまして3年間連れ添うておりましたがある日の事1つの事がきっかけで長屋の連中に狐やという事が悟られてしまいます。
もうこの長屋にはおられん。
障子にサラサラッと歌を書き残して姿を消してしまいます。
その歌が「恋しくばたずね来てみよ南なる天神山の森の中まで」。
春先のお話でございます。
(拍手)え〜呂鶴さんの「天神山」でございました。
いかがでした?いややっぱり雰囲気と風格がありますよね。
年齢に合った作品ってあるんだなと面白かったです。
そうですか。
はい。
次また面白いのあるんですよ。
あっそうなんですか?次回もまたお越し頂けますかな?是非お邪魔したいと思います。
約束でっせ?頼みまっせ。
はい。
という事でまたお目にかかります。
2014/07/04(金) 15:15〜16:00
NHK総合1・神戸
上方落語の会・選「時うどん」笑福亭鉄瓶、「天神山」笑福亭呂鶴[字]
▽「時うどん」笑福亭鉄瓶、「天神山」笑福亭呂鶴▽NHK上方落語の会(26年4月3日)から▽ゲスト:大林素子(スポーツキャスター)、ご案内:小佐田定雄(落語作家)
詳細情報
番組内容
NHK上方落語の会から笑福亭鉄瓶の「時うどん」と、笑福亭呂鶴の「天神山」を、ゲストの大林素子のインタビューもまじえてお送りする。▽時うどん:二人あわせて十五文しかない男が一杯十六文のうどんを食べようとうどん屋へ…▽天神山:源助が花見ならぬ墓見に出かけどくろを拾ってきて、その夜に礼にやってきた美人の幽霊を嫁さんに迎えてしまう。それを聞いた隣の安兵衛も出かけるが…。▽ご案内:小佐田定雄(落語作家)
出演者
【出演】笑福亭鉄瓶、笑福亭呂鶴、【ゲスト】大林素子、【案内】小佐田定雄
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落語
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