タイムスクープハンター「激流!ふんどし男の渡し」 2014.07.18

(沢嶋)
かつてその川には橋が無く船で渡る事も禁じられていた。
川を渡る唯一の手段「川越人足」。
人や物を担いで対岸まで運ぶ男たち。
彼らがいなければ川を越える事はできなかった。
悪天候の中でも川を渡す熟練の技と仲間を助けるチームワーク。
これは「川越」という危険な仕事に命を懸けた男たちの記録である
え〜アブソリュートポジションN027W303E906S149。
ポジション確認。
アブソリュートタイムB0248912年32時50分29秒。
西暦変換しますと1853年7月4日5時18分35秒。
無事タイムワープ成功しました。
コードナンバー219842これから記録を開始します。
沢嶋雄一。
彼はタイムスクープ社より派遣されたジャーナリストである。
あらゆる時代にタイムワープしながら時空を超えて名もなき人々を記録していくタイムスクープハンターである。
河原で客を待つ男たち。
彼らは川越人足。
大井川の川渡しを担う専門集団である。
人足たちは旅人や荷物を担いで向こう岸まで送り届ける。
裸一貫で仕事に取り組む熱き男たちに密着する
この時代の人々にとって私は時空を超えた存在となります。
彼らにとって私は宇宙人のような存在です。
彼らに接触するには細心の注意が必要です。
私自身の介在によってこの歴史が変わる事もありえるからです。
彼らに取材を許してもらうためには特殊な交渉術を用います。
それは極秘事項となっておりお見せする事はできませんが今回も無事密着取材する事に成功しました。
はっ!はあっ!
(人足たち)よいしょ!
(人足たち)ヨイトッ!ヨイトッ!
歌に歌われたように東海道を旅する人々にとって大河の大井川は最大の難所だった。
大井川は東海道五十三次の島田宿と金谷宿を隔てている。
幕府は江戸の防衛などの理由から橋を架ける事や船で渡る事を禁じていた
川岸の手前街道沿いに川を渡るための人々が立ち寄らねばならない場所がある。
川会所。
ここで川越しのための手続きを行う
え〜島田宿の川会所前です。
旅人の方がどのように川越しするのかご紹介したいと思います。
来ましたね。
すいません。
あっ帰る。
そうなんですか。
掛塚にも呉服屋はあるんですけど越野屋みたいにいい色合いの反物をそろえてる店は他にありませんから。
ええ。
それで買い出しに来たんですよ。
そうですか。
早く川札を買ってらっしゃいよ!はい。
(川庄屋)名前と在所…
通行客はまず住所や名前旅の目的などを申請。
次に料金を支払い川札と呼ばれる通行券を購入する。
値段は水が流れる川の深さと幅によって変動する。
雨などで水かさが増せばそれだけ料金が上がる事になる
(川庄屋)ご案内してくれ。
(立会人)はい。
客は係の者によって川岸まで案内されていく。
川札を人足たちに渡す。
人足たちは受け取った川札を鉢巻きなどに巻きつける。
この川札の数により一日の賃金が決まる。
川を渡るには大きく分けて2種類ある。
「れん台」と呼ばれる台に乗って渡る方法と肩車で渡る方法だ。
れん台にはさまざまなグレードがあり必要な人足の人数も決められている。
それに応じて料金も高くなる。
お慶はれん台下女のゆかは肩車で送られる事になった。
肩車は「カタクマ」と呼ばれ料金が一番安い
人足たちは流れに足を取られないように細心の注意を払って進んでいく
(ゆか)きゃっ!
人を担いで川の中を進むにはそれだけの技術と鍛錬が必要だった。
皆厳しい修業を経て人足となった川越しのプロフェッショナルである。
向こう岸の金谷宿側
下りますよ。
無事客を運び終えた人足たちに安堵の表情が浮かぶ
では気いつけて。
ほら。
せりゃせえだ。
(鐘の音)
夕方寺の鐘が時刻を知らせると人足たちの一日の仕事は終わる
人足たちのたまり場である。
仕事を終えた男たちが集まっている
ご苦労さま。
今日の川札。
(人足たち)へい。
5つだ。
頭に結び付けていた川札が回収され現金に換えられる。
これが一日の賃金となる。
給金はベテラン新人を問わずまた売り上げに差があっても公平に分配されたという
翌朝の事だった。
ちょっとした事件が起きる
(小頭)おい!
(竹蔵)へいどうしました?
(小頭)どうしたもこうしたもねえら。
おめえとんでもねえ事やらかしやがって!何ずら朝っぱらから。
何の事だかさっぱり分かんねえ。
一体何だってんだ?
人足たちを束ねる小頭と待川越の六三郎
何も思いつかねえのか!はて…。
現れたのは昨日川を越えたばかりのあの下女ゆか
だけんが転んじゃねえら。
(竹蔵)落とし物?そうですよね?そんな事があったのにちゃんと見極めもしねえでこのバカっつらが!待って下さい。
この方が悪いんじゃないんです。
私がきちんと荷物を持ってなかったのが悪いんです。
穴埋めなんてそんな…。
(竹蔵)あいすいません。
(竹蔵)何ですって?見つからねえと…?竹蔵。
分かりやした。
分かったな。
(竹蔵)へい。
早速2人でかんざし捜しを行う
人足たちは客のために常に最善を尽くして仕事に当たっていたという。
ドイツの医師シーボルトも大井川を渡った際川越人足たちの仕事ぶりを見て感嘆した様子を記している。
落としてしまったかんざし。
たとえささいな事であっても人足たちにとってあってはならない事だった

竹蔵は必死に川の中を捜す
(竹蔵)それはそうかもしんねえけど…えっ?そうですの?そうずら。
あんたがかわいそすぎらあ。
ああいうのは…そんな…女将さんの事を悪く言わないで下さい。
こりゃいけねえ。
すいません口が過ぎやした。
だでまちっと下流の方を捜すら。
はい。
かんざし捜しは範囲を広げて続けられた。
だが一向に見つからない
あの…迷惑だなんてとんでもねえ。
元はと言えば…ここで休んでて下せえ。
捜してきます。
そんな…。
どうするんですかい。
(鐘の音)いけねえもうしまいだ。
今日は俺っちの知ってる安宿をご案内するずら。
なになじみのやつの所だから心配要らねえ。
何から何までありがとうございます。
おゆかさん…はい。
結局その日ゆかは島田宿に一泊する事になった
その翌朝。
竹蔵は朝一番で一人かんざしの探索に出かけようとしていた。
しかし事態は急展開へ
(永吉)おい竹蔵!竹蔵!何だおめえら。
(永吉)あったぞかんざし!
(竹蔵)どうしたんだこれ。
順平の野郎が見つけやがったんだ。
(竹蔵)でかした順平!ありがてえ…。
みんな感謝するぜ!
(永吉)早くあの娘さんに知らせてやれ!おう。
仲間たちの協力により奇跡的にかんざしが見つかった
おゆかさん!えっ?仲間のやつらが見つけたんです。
はい…ありがとうございます!本当にありがとうございます。
よし。
はい。
(六三郎)おめえら雁首そろえて何やってんだ!?かんざし見つかったぜ。
本当か?ああ…。
何でだよ?いや…そんな暇がねえんだよ。
ぎりぎりだな。
今ならまだ平気じゃねえか?お客の身に何かあったらどうするんでえ。
そんな危ねえ事は絶対に許さねえ。
川明けまで待つんだ。
う〜んそうだな…本部本部こちら沢嶋応答願います。
はいこちら本部古橋です。
今大井川の川越しについて取材中なんですが川留めの頻度はどれくらいであったんでしょうか?川留めですね…少々お待ち下さい。
島田宿組頭が書いた「地方御用場日誌」に記述があります。
これによると…。
えっ?ほぼ1か月間もですか?はい。
大井川付近は雨が多く雨期になるとすぐに川が増水し川留めになったようです。
なるほどこの時代の人々にとって川留めは深刻な問題だったんですね。
そのようですね。
分かりました。
ありがとうございます。
はい。
次第にこの辺りにも雨が落ちてきた。
今日中に川を越える事は難しい状況だ。
川留めが発令されるといかなる理由があろうとも川を渡る事はできない
すいません。
あいえ…竹蔵さんのせいじゃないです。
ゆかも竹蔵も諦めかけていた。
その時だった
(継飛脚)早荷!
やって来たのは継飛脚
早荷!
夜中や悪天候の時でも行われそれを担うのが川越しの熟練者待川越である。
安全のため二人一組で行うのが決まりとなっていた。
しかし…
それじゃおせぇ!
その時!
俺っちに行かせてくれ。
(六三郎)なに?
(竹蔵)頼みます。
(川庄屋)六三郎。
(六三郎)へい。
えらい御用だ。
おめえの裁量に任せる。
へい!竹蔵支度するぞ。
(竹蔵)へい!おゆかさんはこちらで待ってて下せえ。
このかんざし…ありがとうございます。
くれぐれもお気をつけて。
竹蔵は緊急書簡の川越しに便乗する事にした。
全ては大切なお客のために。
書簡の入った箱を防水のため油紙で包んでいく
行ってめえりやす。
おう!
そして急ぎ川へ向かう。
降りしきる雨により川はかなり増水している
ベテランの六三郎が安全なポイントを探る。
川下にある比較的浅瀬の場所を選んで渡る事になった
ええか。
へい。
これから六三郎さんと竹蔵さんによる決死の川越しが行われようとしてます。
果敢にも川に挑んでいく竹蔵と六三郎。
果たして川を越える事ができるのか?私は彼らが運ぶ箱にマイクロカメラを装着。
川越えの様子をカメラに収める事にした。
河原では仲間たちが2人の無事を祈っていた
川の中間地点。
急に深くなり足を取られる。
危険な状況だ。
次の瞬間!
竹蔵と六三郎の姿が消えた。
一体どこへ行ったのか?緊張が走る。
必死に2人の行方を捜す
たった今2人の行方が分からなくなってしまいました。
マイクロカメラの映像も途切れています。
緊急事態です。
どうしたんでしょうか?
依然として2人の姿は見当たらない
捜せ!へい。
順平!危ねえずら!
二次災害のおそれがあるためどうする事もできない。
水温は15℃。
危険な状態となる。
無情にも時間だけが過ぎていく。
皆祈るしかなかった
その時だった!
あっこ!竹蔵!
向こう岸にかすかだが人の姿が見える
竹蔵!お〜い!竹蔵さ〜ん!
史料によれば待川越は緊急書簡を運ぶため危険を顧みず激流に飛び込んでいったという。
川岸には安否を気遣う人々が集まり対岸にたどりついた時には歓声が沸き上がったという。
さながら英雄のように
い…いましたいました!対岸にいました。
私もあっちにワープしたいと思います。
川の対岸。
竹蔵と六三郎は無事だった
任しとけっつうんだ…。
荷物…。
ああ。
へへ…。
ありがてえ!大丈夫か?御状箱でございます。
こうして緊急書簡とかんざしは見事に届けられた
降り続いていた雨も上がりようやく川明けとなった
竹蔵さんが帰ってきやした!バカ野郎待ちくたびれたぞこの野郎。
島田宿には対岸から戻ってきた竹蔵と六三郎の姿があった
(ゆか)竹蔵さん!ああおゆかさん。
これは?
それはゆかの主人お慶からの手紙だった。
必死にかんざしを捜してくれたゆかと人足たちの仕事ぶりをたたえ深く感謝する旨がつづられていた。
そしてゆかに早く戻ってきてほしいと添えられている
竹蔵さん六三郎さん皆さん本当にありがとうございます。
なに特別な事をしたわけじゃねえ。
当たり前の事をしたまでずら。
なあ。
(永吉)うん。
(順平)ええ。
さあ…カタクマの方がいいんじゃねえか?アハハハ!そんな事したらまた足滑らしちまうずら。
だな!
(笑い声)
ゆかを対岸に運ぶ彼らの姿を見送り今回の取材を終える事にした
そうかい。
はい。
おうまたな。
はっ!はあっ!
危険を顧みず仕事に挑んだ川越人足たち。
その名前が歴史の教科書に載る事はない。
だが責任感あるその姿は記録に値すべきものであった。
彼らのような名もなき人々の営みが歴史をつくっている
以上コードナンバー219842アウトします。
2014/07/18(金) 02:10〜02:40
NHK総合1・神戸
タイムスクープハンター「激流!ふんどし男の渡し」[字][再]

シーズン6の第12回。時空ジャーナリストの沢嶋雄一(要潤)は江戸時代へタイムワープ。東海道の難所、大井川の川越えを担う男たちの奔走ぶりをリポートする。

詳細情報
番組内容
今回の取材対象は川越し人足(かわごしにんそく)。東海道の大井川など橋のない川で旅人や荷物を担ぎ、川を渡していた。1853年、駿河国、川越人足の竹蔵が仲間と一緒に近江屋のお慶と下女のゆかの渡河を請け負う。ゆかを肩車して川を渡る途中で、竹蔵がこけのついた石に足を滑らしてしまう。体勢を立て直し、無事に川を渡ることができたが、何と、高級なかんざしを落としてしまう。竹蔵たちは必死にかんざしを探すが…
出演者
【出演】要潤,杏

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 歴史・紀行
ドラマ – 国内ドラマ
バラエティ – その他

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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