神守幹次郎殿は幼なじみだった私汀女を乱暴な夫壮五郎の手から救い出してくれました。
私たちが3年の逃亡の旅の末にたどりついたのは江戸・吉原。
しかしそこで私たちをおびき寄せる罠に使われた弟信一郎と遊女初音は夫壮五郎が雇った浪人に斬られ命を落としました
死ぬな!吉原のためにお働き願えませぬかな。
つまり吉原の用心棒になれという事ですか?そういう事になりますか。
いわば吉原裏同心でございます。
吉原はお上のお許しを得た遊里ゆえ大門の中に町方の詰め所がありお役の方が昼夜交代で詰めておられます。
ところがお役人方も太平の世にすっかり慣れてしまいましてな近頃では何か騒ぎが起きてもお前らでなんとかしろとおっしゃるばかりです。
我ら会所の者が廓内の仕置きは行うておるんですが時には刃傷沙汰も起こります。
誰ぞ腕の立つ者がいたらと思うておったところをあなた様を見た。
お引き受け下さいますなら相応のお礼は致します。
なぜお断りになったのですか?吉原はあの初音のように金で買われてきた女たちが体を売っている所です。
吉原で用心棒をするという事はそれをさせている連中に力を貸す事になりませぬか?そうですね…。
確かにあの四郎兵衛という人は信一郎と初音を一緒に手厚く弔ってくれました。
しかしこればっかりは…。
あね様には苦労をおかけしますが。
信一郎が眠っているそばにいれるだけで私は心安らかでいられます。
それに…壮五郎殿があれで私たちを討つ事を諦めたとは思えません。
うわ〜!待て!それが終わるまでは私たちの暮らしは所詮仮住まいですから。
もう少し辛抱しましょう。
いつか腰を落ち着けて心安らかに暮らせる日が…。
きっと来ます。
お〜い気を付けろ!へい!仕事はないか?何でもやる。
あいにく諸国じゃ天災続きで江戸に人がどっと流れ込んできましてねこのとおり人手は間に合ってまさあ。
おいお前時間だ。
飯食ってこい。
へい!邪魔したな。
助けてくれ〜!おい大丈夫か!?あら元気だねえ!これはひどいなあ。
誰にやられた?この人吉原の人ですよ。
吉原に使いを出しておきました。
う〜んこのやられ方…相手は小具足術を心得ておるな。
小具足術というと…あの?ああ。
戦国伝来の素手と小太刀で戦う技じゃ。
わしも昔かじった事がある。
おう誰がやられたって!?何だ春乃屋の宗助じゃねえかよ。
あ!ああこの御仁が助けてここまで運んで下さったんだ。
へえそうですかい。
そりゃどうも。
知り合いか?この人はよ四郎兵衛様のありがたい申し出を断ったんだよ。
全くもったいねえ事を。
某の勝手だ。
フン!そりゃそうだ。
仙右衛門さんよ…。
しゃべれるようになったか?
(仙右衛門)何があったんだい?付け馬をしくじっちまって…。
付け馬?付け馬も知らねえのか?吉原で遊んだ客が金が足りなくなって家まで取りに帰るって時一緒についていく役目の事さ。
客に一人で行かせたんじゃドロンされるのがオチだからな。
客の名前は弥七。
3日前に梅園の所にあがって居続けてしてさんざん飲み食いしてよ金ならあると言い張るんだが3日も4日も居続けられたんじゃ店の方だって心配にもならあな。
「俺は神田の呉服屋の伜だ。
家に金を取りに戻って耳そろえて払う」。
そう言うんで…。
(仙右衛門)お前が付け馬になって家まで行ったんだな?おうここだ。
(相庵)その…取りっぱぐれたって金はどうなるんだ?梅園って遊女の借金につけられちまうんじゃなかろうな?そんな!いや春乃屋ならやりかねねえな。
いくらなの?20両だ。
そんなに!?ああ3日も飲み食いすりゃそんなもんさ。
梅園はよ器量はいいがどうも愛想が悪くてよそんなに稼げる玉じゃねえんだよ。
まあ3年は年季が延びるだろうなあ。
3年も?かわいそうに…。
お芳お前も遊女にならなくてよかったなあ。
ヘッ!お前なんか遊女になっても客がつくかよ。
あら私これでも結構もてるのよ。
おい何だと!?誰にもててるっていうんだよ!お芳目当てに仮病まで使ってやって来る輩が何人もいるっていうのを知らないな。
ヘヘッ!悪い冗談だぜ。
梅園とやら厄介な事にならなければよいが…。
厄介?ああ。
遊女の厄介といえば足抜き心中首くくり。
借金が増えてヤケを起こさんとも限らん。
そのころ私は弟信一郎と初音の墓参りに来ていました
(信一郎)私が弱いばかりに…初音を。
ご苦労さまでございます。
後で本堂にお立ち寄り下さい。
はあ…。
あ…。
ああこれはこれは。
どうぞ。
私に何か?今度墓参に来られた時には必ず私に知らせてくれとご住職にお願いしておきました。
先日の書状のお礼を申し上げたくて…。
弟を手厚く葬って下さりまことにありがとう存じました。
いやご丁寧に。
あなたの文はまことに優しゅうて品がございます。
字も実に美しい。
いえ。
さぞ修練なさった事と。
はあ。
父がいかに貧しくとも武家の娘にはたしなみがなくてはならぬと申して至らぬまでも書に茶の湯俳諧の道を一とおり…。
うむ。
いかがでしょうな。
私とご同道願えませぬか?え?この吉原にはさまざまなお客様がいらっしゃいます。
中でも上客と呼ばれるお方のお相手をする遊女はただ美しいというだけでは務まりませんのでな。
そこそこの学も必要なんでございますよ。
はあ…。
まあどうぞ。
それにもう一度お客様にお越し頂けるように文をしたためるというのも大事な仕事でございます。
さようですか。
まあ女たちは貧しい出の者が多うございますからなこの吉原に来て初めて読み書きを習って難儀している者もたんとおりますよ。
さあどうぞ。
お師匠さんこれでいいですか?何だいこれは!ミミズがのたくってるような字だねえ。
こんな手紙もらったらどんな客も逃げちまうよ。
ええ!?私の娘で玉藻といいます。
あ!この巴屋を任せておりましてな。
巴屋…。
茶屋ですよ。
遊女と客が待ち合わせて宴を張るとこです。
私はもう会所の方に掛かりっきりでございますからこの店はこいつに…。
あっもう一人清次って伜がいるんですがねあれはまだ青二才ですから会所で見習い修業中でございます。
店が忙しくて嫁に行く暇もありゃしませんよ。
てやんでい!嫁のもらい手がねえのはてめえの口が悪いせいだろうが。
おお!?お?おお!おお!おお!だろうよ!吉原で手習いの師匠を?はい。
遊女たちにいろいろ教えてやってくれないかと四郎兵衛様に言われまして。
あの方たちのためにしてやれる事があるのならやってみたいのですが…。
よいではありませんか。
某も明日やる事が決まりました。
この時幹次郎殿は遊女たちの手助けとなる仕事をする決意を固めていたのです
はいごめんよごめんよ!
(村崎)付け馬に行った妓楼の若い者が狼藉を加えられた上客に逃げられたとの知らせが来ておる。
そのあとどうなった?へえ。
弥七と名乗った客の行方を八方手を尽くして捜してるところで。
一刻も早く捜し出せ!へえ。
さっさと捜しに行かねえか!
(男衆たち)へい!痛えな!離せ!宗助を殴って逃げたのはこの男だ。
えっ本当か!?宗助を連れてこい!人相を改めさせる。
へい!こいつをふん縛れ!
(男衆たち)へい!一体どうやって?相庵先生が言ってた。
相手は小具足術を心得ておるな。
聞いたところ江戸には小具足術の道場が3軒ある。
その3軒を訪ね歩いて急に金回りがよくなった者を見つけた。
あ〜!あああ!何なんだよ!あ!あ〜!あ〜!アイテテテテテッ!…で賭場で遊んでいたところを捕まえたという訳だ。
では。
おいちょっと待ちなよ。
何だ?昨日は宗助を助けてくれて今日はこいつを捕まえてくれた。
礼をしない訳にはいかねえ。
礼など無用だ。
そうはいかねえ。
ただで帰したんじゃこの仙右衛門の男が廃るってもんだ。
お前の男がどうなろうと某は知らん。
この男は何者だ?名乗るほどの者でもありません。
では。
チッ!この男の取り調べをする。
連れていくぞ。
あっ村崎様。
これには吉原の面目が懸かってます。
こっちでやらせて頂きます。
ふ〜ん。
勝手にしろ。
てめえ仲間がいたな。
どこのどいつだ!知らねえよ。
とぼけるな!
(藤兵衛)手はずはかねて話したとおりだ。
いいな。
(梅園)やっぱりやるつもりなの?あんな恐ろしい事。
客に金踏み倒されてまた年季明けが延びたそうだな。
このままではいつになっても吉原から出られんぞ。
この暮らしを終わりにしたければやるんだ。
それに…これはお前一人の事じゃないんだ。
分かっておるだろう?分かってるよ。
この吉原の連中にほえ面かかせてやる。
よろしくお願い致します。
あの〜何を教えて下さるのですか?皆さんが習いたい事を何でもお教え致します。
(歓声)
(遊女たち)わ〜!私もよろしゅうございますか?
この方は薄墨太夫。
吉原の華です
お客様への文はただ早く会いに来てと催促するだけでは相手のお気持ちも萎えてしまいますよ。
ではどのようにしたら…。
そうですね。
いつ会えるかいつ会えるかとお越しになるのを待ちかねて涙が袖をぬらさぬ日とてありませぬ。
お師匠様はなまじな遊女よりも色恋の道にたけておられるご様子。
あっいえ。
私はただ幼少の頃より「源氏物語」や「伊勢物語」を読みふけっておりましたので。
耳年増ってやつでありんすね。
(笑い声)私のも見て頂けますか?はい。
これは…美しい!「随處作主」。
どこにいても自分らしくあればそこはまことにすばらしい場所となる。
私たちの中には前の暮らしがあまりに貧しく吉原で三度三度白いごはんが食べられるだけで満足という者もおります。
でもそれだけではあまりに悲しゅうございます。
好きな人に身請けされて吉原を出られればもちろんそれが一番の幸せ。
でも私はこの吉原の中にも遊女なりの幸せがあるのではないかと。
いえそう思いたいのです。
お師匠様はお幸せですか?苦労もありますが夫と2人ささやかながら幸せに暮らしております。
羨ましい事を。
さぞかしお優しい旦那様なのでしょう。
「梅雨明けて三千世界に炎立つ」。
戯れに書いただけの事。
意味はありません。
何ですか?吉原の中を歩いてみたくなりました。
物好きだね。
どうしてあんな句を?さあね。
もう忘れたよ。
でも…。
あ!おう!幹殿どうして?この春乃屋の梅園という女の帰りを待っていました。
梅園さんならこの人ですよ。
おうそうか。
付けを踏み倒して逃げた客を捕まえた。
その男が持っていた金だ。
全部ではないだろうが何かの足しにはなるだろう。
何だい?あんた。
この人は私の夫です。
これっぽっち戻ってもどうしようもないよ。
私たちに何かできる事はありますか?ああ。
何でも言え。
何だい2人して気持ち悪いね。
身内でもない女郎に何でそんな…。
それは…。
我らはある遊女を救う事ができなかったんだ。
私の弟と吉原の遊女が逃げようとして…。
ああ噂で聞いた事あるね。
外に逃げて2人とも殺されたって。
あんたたちあの2人の関わりの者かい。
みすみす2人を死なせてしまった。
それゆえか困っている遊女を見るとどうも気になる。
じゃああんたたちが私を吉原から出してくれるのかい?それは…。
薄墨さんはこの吉原の暮らしにも楽しみや幸せがあると言った。
フン。
そんなもんがあるもんかい。
ただ次に生まれ変わった時には娘を売らなきゃいけない家には生まれたくない。
それだけさ。
「梅雨明けて三千世界に炎立つ」。
あの女がそんな句を…。
「炎立つ」。
何かあの人の…暗い怒りのようなものが籠もっている気がして…。
借金がかさんで年季が延びてヤケになってそんな句を?どうもそれだけではないような気がします。
よくぞ話して下さいました。
差し出がましい事とは思ったのですが。
いえいえ。
その梅園の付けを踏み倒した弥七が仲間の事を少しずつ口を割り始めまして…。
もう一遍話してみろ!許して下せえ!私は頼まれただけなんです!頼まれた?島田藤兵衛とかいう浪人と賭場で知り合って…。
その野郎吉原に恨みがあるとかで今度の事を頼まれたんでさあ。
春乃屋の梅園の所にあがってさんざん飲み食いしておいてその金を踏み倒せって。
うまくやった礼に5両の金くれたんでさあ。
(仙右衛門)口から出任せ言いやがったら承知しねえぞ!
(弥七)本当ですって!これはほんの手始めだ。
次にはもっとでかい事をやる。
吉原を丸焼けにしてやるって言ってました!え!?
(半鐘の音と悲鳴)「三千世界に炎立つ」。
つながりましたな。
その藤兵衛って男の素性は?この吉原にどんな恨みがあるんだ!さあ。
それ以上の事は何も。
ほうそうかい。
じゃあもう少し思い出してもらおうか。
ほ…本当だ!何も知らねえんだ!おい!
(長吉)四郎兵衛様。
梅園の事を聞いてきました。
おう。
梅園の親元は芝にあります。
代々菓子屋を営んでおりましたがオヤジが無理に商売を広げようとしてしくじりおまけに博打に手を出して借金を作ったあげく2年前に娘を売るはめになった。
その娘お千代が梅園です。
仙右衛門。
梅園のうちへ一走りだ。
何か分かるかもしれない。
(仙右衛門)へい。
待ちな!表にいるお人にご同行願っちゃどうだ?あ!俺一人でもいいのによ。
あんたが一人で行ってやられたらそれっきりだ。
それは困る。
フン!ありがたいねえ。
梅園という女を助けたいのだ。
妙に肩入れするね。
ただでさえ吉原に売られてきた哀れな境遇なのにその上悪事に巻き込まれようとしているんだぞ。
あんた吉原が嫌いかい?好きとは言えないね。
俺は好きだ。
何しろ自分が生まれ育った所だ。
吉原の生まれなのか。
吉原には何も遊女だけがいるんじゃねえ。
そこにいる大勢の人間が働いてるんだ。
畳屋もありゃあ米屋もある。
俺のオヤジは八百屋をやってた。
そうなのか。
相庵先生の所にいるお芳…あいつは貸本屋の娘だったんだ。
あいつとは幼なじみで妹みたいなもんさ。
吉原を庭みてえにして一緒に遊んで育ったのよ。
吉原がふるさとか。
人のふるさとの事は悪くは言えんな。
我らはふるさとを捨ててきた身だ。
ふるさとがあるのはいい。
おうここだ。
あっちょいとものを尋ねるがここはお千代さんのお里かい?千代は私の姉ですが…。
えっあんた妹さんかい?姉が何か?いやいやちょっと聞きたい事があるだけだ。
オヤジさんは?そこの角の居酒屋に。
昼間から酒かい?祝いだと言って。
明日には借金が片づくそうなんです。
借金?おい待てよ。
借金のカタに2年前お千代を吉原に売ったんだろ?お父っさんはまた山っ気を出してしくじって…。
でも困っていたところに借金を肩代わりしてくれる人が現れたそうなんです。
それで私は吉原に行かなくて済むんです。
えっ妹のあんたまで吉原に売られるとこだったのか?私は吉原に行ってもいいって言ったんです。
姉さんだけにつらい思いをさせるのは…。
その…借金の肩代わりをしてくれる人ってのは誰なんだい?確か藤兵衛さんとか…。
島田藤兵衛!?これはお前一人の事じゃないんだ。
この子のオヤジさんに話を聞こう。
ああ。
邪魔したな。
梅園は吉原をこの世の地獄のように思っている。
あの妹が吉原に売られずに済むためなら何でもするだろう。
藤兵衛ってやつはその梅園の気持ちにつけ込んで悪事を手伝わせようって魂胆かい。
あんたが吉原を嫌いになる気持ちも分かるぜ。
え?自分の妹が売られたらどんな気持ちになんのかちょっと考えちまったよ。
どうした?な…何でえ!?かねて市中を騒がせたる2人組の押し込み強盗がここに立ち寄るとの知らせがあった。
その方らであろう?何言ってやがる!俺たちは…ちょっと!問答無用!お縄につけ!待て!これは何かの間違いだ!おとなしくしろ!何かの間違いなんだって!確かに全然違うな。
じゃあさっさと出してくれよ!与力様じきじきのお調べとなる。
しばらく待っておれ!捕り方は俺たちを張ってたぜ。
どうしてだ?誰かが偽の訴えを出したんだろう。
何のために?俺たちがひっくくられたとしても調べがつきゃ無実と分かって放免されるだろうよ。
私たちをここに足止めするのがねらいだ。
え?敵は今日何かやるつもりだ。
何かって?恐らく梅園に火付けをさしてそのドサクサに紛れて火事場泥棒でもやるんだろう。
ちょっ…早くなんとかしなきゃ!どうする!?それを今考えてるんだ。
面白そうな話してんなあ!
(仙右衛門)なにが面白いだ!引っ込んでろよ!あんたは?わしかい?さる大店の若旦那が博打で間違いを起こしてね懲らしめのために10日間の入牢となったがその身代わりでここにいるのさ。
身代わり?あっ聞いた事がある!身代わり屋ってやつだな?金をもらって牢に入る身代わりになるんだろ?変な商売だな。
しかし役人も身代わりに気付くだろう?役人も承知の上だ。
誰かが形だけ牢に入ればいいのさ。
いい加減なものだな。
佐吉出ろ。
へい。
今日が晴れてご放免の日なんでね。
じゃあな!おい俺たちはいつになったら出られるんだよ!おいおいどうした?商売だ。
身代わりになってやる。
5両で請け負うぜ。
そいつはありがたい!ちょちょちょちょちょ…!一度に2人は無理だよ。
どっちか1人だけ出してやる。
では某を。
何でお前なんだよ!足が速い方だ。
え!?おやめなさい!そんな事してどうなるんです!?やるしかないんだよ!あなたは藤兵衛という男にだまされているんです。
付けをためて逃げた弥七という男は藤兵衛の仲間でした。
どうしてそんな事を?恐らくあなたを追い詰めて言う事を聞かせるためでしょう。
ウソだ。
あの人は妹を売られずに済むようにしてやると…。
それもどこまで本当か…。
信じてはいけません!うるさい!今更やめる訳にはいかないんだよ!もう後戻りは…!まだ間に合います!私の夫が今あなたを助けようと必死になっています!うるさい!・梅園さん!?梅園さん!私を信じてここを開けて下さい!・梅園さん!梅園さん!ここを開けて下さい!おやめなさい!ここを開けなさい!火事だ〜!火事だ〜!
(悲鳴)
(悲鳴)
(藤兵衛)あそこの土蔵にはたんまりお宝がある。
因業オヤジがため込んでるからな。
おい分け前は確かだな。
ああ。
行くぞ。
おう。
何だ?お前は。
あいにく火事は起こっていない。
何だと!?
(半鐘の音と悲鳴)
(半鐘の音と悲鳴)火事だ〜!火事だ〜!・
(半鐘の音と悲鳴)やあやあやあご苦労ご苦労!おおきにな!おおきにな!はいはいはいご苦労ご苦労!畜生!ぐわっ!所詮は火事場泥棒か…。
違う。
遺恨を晴らすためだ。
遺恨?俺は10年前この春乃屋で用心棒をしていた。
それは土蔵の鍵だった。
主が置き忘れたのだ。
ほんの少しだけでよかったんだ。
それで当分は遊んで暮らせる。
しかし春乃屋の主は食い詰め浪人たちを雇ってこの俺を…!この春乃屋と吉原の連中にあの時の借りを返す。
ただの逆恨みだ。
うるせえ!梅園の妹を助けてやると言ったのは本心か?まさか!金さえ取れりゃ用済みだ。
何!?遊女なんぞは所詮道具だ。
用が済みゃ斬って捨てるまで。
だがあの妹は殺すには惜しい。
どっかに売り飛ばしてやる。
許せん。
やれ!でや〜!うわ〜!よかった!よかった…。
ご苦労さまにございました。
梅園は?はい。
汀女様に諭されましてな少しずつ白状しております。
だいぶ気持ちも落ち着いたようでございますな。
あなた方ご夫婦には大層感謝しておりましたよ。
これから梅園はどうなります?さあそうでございますな…。
(戸を開ける音)おう戻ったか。
うるせえ!仙右衛門。
お前この神守様とは妙に息が合うようだな。
そ…そんな訳ないでしょう!本日はまことにありがとうございました。
あなた様がいらっしゃらなければどうなっていた事やら…。
いえ。
いかがでしょうな。
この吉原のために働いて下されと言うた私の頼み…今でもお断りになりますか?
(ウグイスの鳴き声)よくご決心されましたね。
四郎兵衛殿が某の頼みを聞いて下さいました。
頼み?お前の罪は問わない事にした。
こたびの事を表沙汰にしてくれるなという話がお前の主からあってなお前を罪人として突き出すよりはその方が得だと考えたんだろう。
それからもう一つ…。
表沙汰にしないのを引き換えにお前の主から金を出させた。
その金の一部はお前のオヤジに送ってある。
え!?二度と博打なんぞに手を出さないとしっかり釘打ってな。
ありがとうございます。
なんとお礼を言っていいのか。
ありがとうございます。
礼を言うならこの人に言いな。
この条件をのまぬ限り私の頼みは断るとおっしゃるんだ。
ありがとうございます。
そう。
それはよかった。
ただ某は吉原にいる女たちを守る仕事がしたい。
そのためにはあの中に飛び込んでみるしかありません。
こうして神守幹次郎殿の吉原裏同心としての日々が始まったのでした
お見回りご苦労さまにございます。
お奉行おけがは!?卵でけがをするか!私はもうここから出られる事はないからね。
あの世で幸せになるしかないのさ。
きく!もしや…。
なぜ卵なんだ?分からん。
・「君のそばにいる」・「君を守って行く」・「悲しみを消してあげることは出来ないけど」・「ここからはふたり同じ道を行く」・「せめてひととき」・「風よやさしく」・「二人包んで」2014/07/03(木) 20:00〜20:43
NHK総合1・神戸
木曜時代劇 吉原裏同心(2)「守りたい人」[解][字]
幹次郎(小出恵介)と汀女(貫地谷しほり)は、遊女・梅園(奥菜恵)に、藤兵衛(山口馬木也)がたくらむ火事場泥棒の片棒を担ぐことを思い留まらせようとする。
詳細情報
番組内容
剣の腕を生かし吉原裏同心になって欲しいとの四郎兵衛(近藤正臣)の申し出を幹次郎(小出恵介)は断る。一方、汀女(貫地谷しほり)は、遊女たちに読み書きを教えるようになるが遊女・梅園(奥菜恵)の作った俳諧に不穏なものを感じる。借金の形に妹が売られるのを防ぎたい梅園は、昔なじみの悪党・藤兵衛(山口馬木也)がたくらむ吉原での火事場泥棒の片棒を担ごうとしていた。幹次郎と汀女は梅園に思いとどまらせようとする。
出演者
【出演】小出恵介,貫地谷しほり,野々すみ花,山内圭哉,三宅弘城,京野ことみ,石井愃一,沼田爆,若葉竜也,平田薫,尾上紫,菜葉菜,近野成美,奥菜恵,山口馬木也,定松直子,松之井綾,児玉陽子,富田エルほか
原作・脚本
【原作】佐伯泰英,【脚本】尾崎将也
音楽
【主題歌】小田和正,【音楽】林ゆうき
ジャンル :
ドラマ – 時代劇
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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