親の離婚や病気虐待。
さまざまな事情で親と離れて児童養護施設などで育つ子どもたち。
心の傷を抱えたまま大人になった時さまざまな壁にぶつかり自立に苦しむ人が後を絶ちません。
第3回は…さまざまな事情により児童養護施設などで支援が受けられない若者たちが生活しています。
職員は精いっぱい向き合いますが自立への道は簡単ではありません。
こうした中地域とのつながりを生かし若者を支えようという取り組みが始まっています。
香川県の自立援助ホームでは地元企業の協力を得て若者たちの就労をサポートしています。
第3回は自立援助ホームの取り組みから考えます。
こんばんは「ハートネットTV」です。
「シリーズ“施設”で育った私」。
第3回は親と暮らせない若者の最後の砦ともいわれる自立援助ホームについてです。
自立援助ホームは18歳になっても自立の準備ができていない人やさまざまな事情で児童養護施設などの支援が受けられなくなった人たちが入所する最後の受け皿になっています。
しかしその現場は厳しい状況にあります。
まずは愛媛県の自立援助ホームの実態からご覧頂きます。
午前10時20分。
この日も職員が一人入所する若者たちが起きてくるのを待っていました。
せっかく用意した朝食も手つかずのままです。
待っている間いつも自問自答を繰り返しているといいます。
12時前ようやく起きてきました。
入所しているのは15歳から18歳の男女4人。
集団生活になじめなかったり年齢やさまざまな事情で児童養護施設などにいられなくなった若者たちです。
幼い頃から父親に虐待を受けてきました。
去年の夏ついに耐えきれなくなり家出。
2か月間公園で寝泊まりした末このホームにたどりつきました。
入所して間もなく1年。
定時制高校に通い落ち着いた生活を取り戻していましたがこのところ学校を休みがちです。
長い間虐待を受け何を言っても否定され続けてきた佐々木さん。
自分の気持ちをうまく言葉にする事ができません。
(取材者)殴ったの?そうやって?失礼します。
この自立援助ホームは2年前弁護士と大学の准教授が中心となって設立しました。
少年犯罪などを扱う…どこにも行き場のない若者たちの存在に心を痛めてきました。
ホームの職員には児童養護施設で働いた経験者や熱意のある若者を採用し運営を始めました。
ホームが出来て2年。
現場は予想以上の難しさを抱えています。
この日も決められた夕食の時間を過ぎても1人が帰ってきません。
父親から虐待を受けていた佐々木遼さんです。
職員の出水さんに夕食の時間には必ず帰ると約束をしていました。
夜10時過ぎ。
佐々木さんがゲームセンターから帰ってきました。
ここ2週間学校やアルバイトを無断で休んでいます。
心配した出水さん佐々木さんと向き合います。
なかなか気持ちを話せない佐々木さんに出水さんはなんとか寄り添おうとします。
出水さんがほかの若者の対応に追われていた時でした。
ホームのルールを守らない佐々木さんの態度に17歳の女性が怒りを爆発させました。
1人の行動がほかの若者たちの心理状態にも大きく影響します。
(激しい物音)女性は自分の部屋に戻っても感情を抑えられませんでした。
それぞれが心に深い傷を負っているため難しい対応を迫られています。
どうしたら若者たちの気持ちに寄り添えるのか。
出水さんたちは機会あるごとに勉強会に参加しています。
この日は精神科で働く心理士に心に傷を負った若者たちとどう向き合えばいいのか学びたいと思っていました。
出水さんは積極的に質問します。
ホームは3人の職員が交代制で見守っています。
前日の職員からの引き継ぎで佐々木さんの様子を確認します。
苦しみもがき続ける若者たち。
粘り強い支援が続いています。
若者たちの姿サヘルさんにはどう映りましたか?見ていて多分…ああいうふうに声を張り上げたいってきっと誰も思わないし暴力的になりたいって普通は思わないと思うんですね。
だけど彼ら彼女らを見ているとどっかで自分の弱い部分本当は泣きたかったり苦しいっていう心の声を出したいんだけどそれをどう出したらいいか分からない。
それを出せる相手と多分今一緒じゃないからこそ思わずそれが行動に出てしまう。
自分を守ろうと。
守ろうとしているんだと思うんです。
居場所をまだ見つけられていないのかなって。
本当は自分の心の叫びを聞いてほしいという裏返しだと思うんですがどうご覧になりましたか?さまざまな事情を抱えた子どもたちが生活してます。
例えば児童養護施設にいて高校中退をして本来ですと児童福祉法は18歳なり二十歳まで児童養護施設でケアを受けられるようになってるんですが例えば施設の中でもどうしようもない状態となった子どもたちは高校中退を機に施設の方から出されてしまう場合もあるんですね。
悲しい話ですが。
そういう子どもを引き受けているのが自立援助ホーム。
そういう子どもたちだけじゃないですがほかにもさまざまな生育歴上の問題を抱えた子どもたちを引き受けているのが自立援助ホームで。
その辺の支援というのが求められるとこなんだけれども一方でそれに見合うだけの今のVTRでもありましたがとても今おっしゃったように心の叫びがいろんな暴力的な行動だったり自暴自棄的な行動になって出てくる訳ですよね。
恐らく推測するにその背景というのは例えば自分の親保護者からの虐待やネグレクトなどの不適切な養育。
それのみならずもしかしたら社会的養護児童養護施設に入ってそのあとも適切なケアが受けられずにいろんな傷つき体験をしてそれがいろんな問題行動として現れてその結果その養護施設ではケアできないという状態になってそこを追い出される事によって見捨てられる経験をしてますよね。
こういう見捨てられというのはすごくやっぱり子どもたちにとっては深い深刻なダメージにつながるのでそういった事が今のあの行動の様子に現れているのかなというふうに見させて頂きました。
子どもたちがそうなると例えば諦めて何かするといった時に諦めてしまったり大人への不信感とか信じられないという。
そもそもそういう子どもたちって自分が生きる意味が見いだせない。
どのように自分が生きていったらいいか分からないし自分というものを肯定的に捉えられないですからだからそういう子がなかなか頑張ってアルバイトに行こうとか学校行こうとかそういうふうに思えないものですよね。
ですからお子さんはもしかしたらそういう自分の実態というか自分の今の有り様に直面できないでゲームセンターという所で現実逃避をして自分の…何て言うのかな?その場限りの安らぎを求めてしまっているのかなとは感じましたね。
サヘルさん大人との信頼関係って築き上げるのは難しいと思うんです。
それは焦って作るものじゃなくて本当に時間をかけてゆっくりと相手がしゃべらなくても黙ってて聞くだけでもそれはすごく意味がある事だし横に座って本人がしゃべりだすまで待ってあげる事も一つの信頼関係だと思うんですよね。
その子どもたちに対して自立援助ホームもなんとか対応しようとはしていましたが。
やはり社会的な位置づけといいますか自立援助ホームの位置づけが低いといいますか。
それによってそこに投下される社会的資本ですよね。
そういった財源の問題ですとかそこも手薄いとなってしまいがちなのでどれだけの専門性を備えたケアワーカーを雇えるかという部分もあるんですがその部分は非常に弱い。
その分外部の専門家の手助けを借りていく必要があると思うんですね。
そのために僕は児童相談所のソーシャルワーカーあるいは児童福祉司の役割は大きいと思います。
そういう意味ではあれだけ大変な状態のお子さんを自立援助ホームでケアしている訳ですから児童相談所が自立援助ホーム自体を孤立させないようなネットワークのカギになってさまざまな専門的な支援が得られるようにしていく努力をすべきだと思います。
こうした現状がある中で香川県には地域とつながりながら若者を支える自立援助ホームがあります。
夜7時過ぎ夕食の時間です。
5人の入所者全員が働きながら共同生活を送っています。
若者たちは集団生活のルールを守りながらそれぞれ目標を持ち自立に向けて歩み始めています。
こうして落ち着いた生活が送れているのはホームの職員を支えるある仕組みがあるからです。
それは地域にあるほかの施設や支援機関との密な連携です。
例えば…精神的に不安定な若者に医師や心理士が投薬やカウンセリングを行います。
地元の民間団体が運営する…座禅や畑仕事をしながら基本的な生活のルールを身につけます。
入所者の生い立ちや経歴などの情報を共有。
抱えている問題に対してそれぞれ専門の立場から相談に乗ります。
1年半前情緒障害児短期治療施設を経てこのホームに入所しました。
ここに来てから地元の企業で正社員として働き始め通信制高校にも通うようになりました。
朝7時45分。
伊藤さんは仕事が始まる15分前に出勤します。
働いているのは産業廃棄物の処理場。
廃棄された木材の中から金属をより分けるのが仕事です。
伊藤さんが就職先を見つけられたのも地域の協力によるものです。
ホームが地元の企業に呼びかけ若者たちの就職先を見つけているのです。
ホーム長の野田大燈さんはこの日香川や大阪にうどん屋を展開する製麺会社を訪れました。
若者たちの抱えている問題を企業に理解してもらいストレスなく働ける職場を確保したいと考えています。
ホームの職員は若者が就職してからも職場を定期的に訪ねます。
この日は産業廃棄物の処理場で働く伊藤さんの上司にふだんの様子を聞きました。
ホームの職員が職場との仲介役となってトラブルが起きても仕事が続けられるようにサポートします。
最近重機のオイル点検も任されるようになった伊藤さん。
近い将来ホームを出て自立したいと考えています。
期待されてましたね。
やっぱり期待されるってすごく誰しもがうれしい事じゃないですか。
その期待に応えようと思って今のように頑張るっておっしゃったと思うんですがやる気を出させるためにこれやってあれやって監視とかそういう形ではなく静かに横に寄り添っているあの形は私すごく好きなんです。
静かに横に寄り添って遠出からその様子を見たりとか。
その優しさって言葉に出さなくても見てあげたりまなざしってすごく伝わると思うんですよね。
あと本人たちにやりたい事の種を渡してあげてあとはまいてみて水やりしてみてどんな花が咲くんだろうという。
ワクワクさせながらでも大丈夫だよってみんなが見てるよって期待してるからやりたい事やってっていう背中を押してあげてるのもかいま見えてすごくすてきでした。
うまい事全ていく訳ではないと思うんですがつまずいた時にしっかりと…。
支えてあげる。
私はそれは母だったんですが。
私も最初夢ってどう持ったらいいんだろうって。
施設にいるとやりたい事ってなかなか口に出していいのか。
それを出したところできっとかないっこないと思ってしまう部分はどうしてもあるので。
諦めてたんですね。
そうなんです。
一歩引いてしまうんですがそうじゃなくて…「私たちが」というのはすごく大切なポイントなんじゃないかなと思いますね。
西澤さんそういう気持ちというのが子どもたちの自立につながってくるんでしょうか?そうですね。
基本的に今「私たちが」とおっしゃった。
それこそやっぱりネットワークでたくさんの人からサポートされてるっていう事が子どもたちを支えていく一番のカギになると思います。
ネットワークというのは具体的にいうと?やはり例えば彼らにとって必要なのはソーシャルワーク社会福祉がベースですがそのほかに心の問題を抱えている子どもたちには心理からの支援だったりあるいは場合によっては精神科的な問題。
そういう場合には精神医療だったりあと保健とか。
あるいは司法関係もサポートが必要になるかもしれないです。
そういう人たちがこういう子どもたちの存在をきちっと理解をしてみんなで支えていくという仕組み。
それが大事なんじゃないでしょうか。
ネットワーク地域で見守る。
サヘルさん専門職だけではないと思うんですよね。
身の回りで多分サポートできる事たくさんあるんだなと私自身がすごく実感した出来事がありまして。
日本に来た最初の頃公園で生活を余儀なくされた時に学校で給食を作っている給食のおばちゃんがいるんですが本当に苦しくても誰に何をどう伝えたらいいか。
特に子どもだとどう言葉を発したらいいかが分からなかった時にその方が声をかけて下さったんですね。
多分ほかの方も思ったと思うんですがでもほかの人がやるからもしかしたらいいのかもしれないって皆さん引いてしまった時にその給食のおばちゃんが…実は今こうなんですって使える日本語と身振り手振りを使ってお伝えしたらそれからかくまって下さったりしておうちを借りるにしても保証人が要るんですがその保証人になって下さったりだとかいろんなサポートをその方がしてくれた事で今の私たちがあるんですよね。
手を差し伸べてくれる給食のおばちゃんがいなかったら今の私たちがない。
周りに多分いると思うんですよ。
静かに誰か手を差し伸べてくれる人いないかという。
そこに耳を傾けるか傾けないかの違いもすごく大きくあると思いますよね。
なるほどね。
そういう人が増えるといいですけどね。
そうですね。
そもそも社会的養護という言葉に対して市民の人たちがどう思うかなんですよね。
だから社会的養護要は親が養育できないあるいは養育が不適切な親に代わって社会が子どもを育てる責務を果たすのが2014/07/03(木) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズ“施設”で育った私 第3回「自立援助ホーム」[字][デ]
7月特集「“施設”で育った私」第3回の舞台は、虐待などで親と暮らせずに育ち自立が難しい若者たちの“最後の砦”「自立援助ホーム」。心に傷を抱えた若者の再生の記録。
詳細情報
番組内容
7月特集「“施設”で育った私」第3回の舞台は、虐待などで親と暮らせずに育ち、自立することが難しい若者たちの“最後のとりで”と言われる「自立援助ホーム」。虐待で心に深い傷を負い、生きることへの意欲がわかない人。基本的な生活の仕方を身につけることができずに育った人。自立への大きな課題を抱える若者たちをどのように再生に導くのか。地域でのネットワーク作りや徹底した就労支援など、試行錯誤を重ねる現場に密着。
出演者
【出演】サヘル・ローズ,山梨県立大学人間福祉学部教授…西澤哲,【司会】山田賢治
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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