(陣川公平)今日は何食べよっかな〜。
おい!ちょっと!こら!あごめんなさい!待てっ!
(陣川)こら!待てー!
(陣川)待ちなさい…。
あ…待て!君今万引きしたよね。
(門馬悟)なんだよあんた…。
警視庁捜査一課の陣川だ。
素直にポケットのものを出しなさい。
あ…よかったら一服するか?あすいません。
タバコ持ってませんか?あはい。
どうぞ。
ほら。
僕吸いませんので刑事さんどうぞ。
僕も吸わないから。
ごめんなさい。
どうしてこんな事したんだ?万引きは犯罪なんだから。
僕は最低な男です。
いや…そこまでは言ってないけど。
どうしようもなく間が悪くていつだって肝心な時に取り返しのつかない失敗ばかりしちゃうし…。
だから結局何ひとつものに出来ないダメな人間で…。
何を言ってるんだ!人は失敗するから成長出来るんだ。
こう見えても僕はよく失敗する。
見当たり捜査で犯人じゃない人を逮捕しかけた事も一度や二度じゃない。
でもたとえ失敗してもいろんな人に助けてもらってなんとかここまでやってこられたんだ。
(ため息)僕の事なんかどうせ誰も助けてくれませんよ。
だったら僕が力になってやる。
どんな失敗でも死ぬ気になって頑張れば取り返せない失敗なんてないんだから。
取り返せる…のかな?うん。
うん。
刑事さん。
うん?実は僕1年前大変な事をしてしまったんです。
え?
(角田六郎)おいおいおいおい!聞いたか?今年一番のニュースだよ!
(神戸尊)なんですか朝から大げさな。
あの陣川のやつがさ昨日万引き犯捕まえたんだけどなそいつがなんとあの北薗篤彦の屋敷から500万盗んだ犯人だったんだってよ!え!?あの陣川さんが?うん。
(内村完爾)陣川警部補。
はっ。
このたびの働き誠によくやった。
はいありがとうございます。
(中園照生)これもひとえに日頃の刑事部長のご指導のたまものかと。
警察官たるものたとえ経理が仕事でも常在戦場の心構えを持っているべし。
お前たちも心しておくように。
(内村)ここだけの話だが警視総監賞も検討中だ。
あの…取り調べに立ち会ってもよろしいでしょうか?うんいい心がけだ。
なんならこのまま刑事にしてやってもいいぞ。
(内村)ハハハハ…!
(三浦信輔)…おいマジかよ。
(芹沢慶二)まさかうち来たりしませんよね?
(伊丹憲一)そん時はお前が面倒見ろよな。
芹沢先輩。
ちょっと…勘弁してくださいよ〜。
(杉下右京)たしか1年ほど前の事件でしたねぇ。
場所は杉並区。
北薗興産の当時会長だった北薗篤彦さんの自宅。
ちょっとは名の売れた資産家でさたしか5年ほど前に銀座のクラブのホステスと再婚したんだよな。
奥様の名前は北薗摩耶子さん。
事件の第一発見者ですねぇ。
あそうそう。
摩耶子ってのがいい女でさ歳も倍ぐらい離れてるもんだから財産目当ての結婚なんじゃねえかって当時結構話題になったよね。
事件発生は2月28日の深夜。
当時僕は屋敷の離れに住み込みで北薗会長の運転手をしていました。
だから書斎の金庫に金がある事も知っていたのか?はい。
事件の夜会長や奥様が寝室に入られたのを確かめてから…。
(ガラスが割れる音)外から泥棒が入ったように偽装してから自分の部屋に戻ってカバンごと天井裏に隠しました。
(角田)ようするに事件は単純な窃盗だったんだけどそのあとにひと騒動起きちまったんだよな。
これですね。
犯行直後物音で目を覚ました北薗摩耶子が書斎まで下りてきた。
(北薗篤彦)おいどうした?何かあったのか?さらに夫の北薗篤彦氏も姿を見せ室内の異変に気づき急いで110番をしようとした時…。
もしもし泥棒に入られた!大至急来てくれ!脳梗塞の発作を起こし倒れてしまった。
幸い一命は取り留めたものの重度の後遺症で言葉も不自由になり記憶も途絶えがちになってしまったため北薗興産の会長の座も退く羽目になった。
門馬悟37歳ですか。
(ため息)陣川に捕まるだけあって運のなさそうな顔してるね〜。
ははっ。
何か?
(刑事)「盗品は全て去年の夏に競馬場で会った見ず知らずの男に売った。
で間違いないか?」「はい」あの…。
北薗会長にお会いする事は出来ないでしょうか?会長があんな事になってしまったのは僕のせいなんです。
どうしても謝りたくて…。
そういう事はちゃんと罪を償ってからだ!以上供述に間違いがなければここに署名して。
やっぱり取り返せない失敗だってあるんですね…。
あ杉下さん!ひょっとしてこれから被害者のお宅へ行かれるつもりではありませんか?え?なんでわかるんです?わかりやすい人だ。
では我々もご一緒しましょう。
え?いいんですか?暇ですから。
ええ…。
こっちを行った方が近道ですので。
へえ。
北薗氏の屋敷って陣川さんちの近くなんだ。
ところでなんの魂胆です?はい?まさか陣川さんが犯人逮捕なんてありえない…なんて思ってるんじゃないですか?それもあります。
ふっ。
ですが何より気になったのは住所です。
住所。
ええ。
門馬悟が万引きをしたコンビニは陣川くんの家のすぐ近くにあり1年前窃盗事件の舞台となった北薗邸からもさほど離れていません。
偶然じゃないですか?しかし門馬悟の現住所はここから遠く離れた下町です。
どうしてわざわざこの町まで来て万引きをしたのでしょう。
気になりますか?気になりますねぇ。
え?何が気になるんです?いや別に。
こっちの話です。
行きましょう。
はい。
(陣川)被疑者の門馬はご主人にどうしても謝りたいと言っています。
その事だけはぜひお伝えしたくて。
(北薗摩耶子)わざわざありがとうございます。
自分の犯した罪だけじゃなくそのせいでご主人の身に起きた事を深く後悔しているようで本当に反省しているんです。
そう言われましても…。
事件の現場となった書斎ですが拝見出来ますか?どうぞ。
主人が倒れて以来そのままで散らかっていますけど。
これがその金庫ですね。
盗まれたのは現金500万円のほかは指輪が7点ネックレスが4点そしてオルゴールでしたね。
それらの品物は全て金庫の中にしまわれていたと調書にはありましたが。
ええそれが何か?宝石類はともかくどうしてオルゴールを金庫の中にしまわれていたのでしょう?杉下さんそれが何か?細かい事が気になるのが僕の悪い癖。
あのオルゴールは私と主人がまだお付き合いを始めて間もない頃2人で初めてヨーロッパを旅行した時に主人が私にプレゼントしてくれたんです。
ご主人からのプレゼントですか。
ええ。
私と主人にとっては大切な思い出の品なんです。
そうでしたか。
あのオルゴールが戻ってきたら主人に聴かせてあげようとずっと思っていました。
そうすれば後遺症でなくした記憶が戻ったり症状も少しはよくなるかもしれませんから。
お言葉ですが犯人の門馬は盗んだ品々を全て見ず知らずの男に売りさばいてしまったと供述しています。
そうなると返ってくる可能性はかなり低いかと。
そうだったんですか…。
僕に任せてください。
え?ですが刑事さんにそんな事をお願いするのは…。
いえ。
僕たちにお任せください。
僕たちって…。
(尾沢泰夫)北薗興産の尾沢です。
奥様いらっしゃいますか?あっ…。
まさかと思いますが北薗摩耶子さんを運命の人とか思ってませんよね?冗談言わないでくださいよ。
僕が人の奥さんを好きになるわけないじゃないですか。
そこに線があるんだ。
僕がオルゴールを取り返そうと思ってるのはあの奥さんのためだけじゃなくて捕まった門馬のためでもあるんです。
これからどうするつもりですか?門馬のマンションに行こうと思っています。
たしか門馬は北薗会長が倒れたあと運転手の職を失い部屋を借りてるんでしたね。
はい。
行きましょう。
ね。
見ず知らずの男に売ったんだからここには残ってないと思いますけど。
これなんでしょう?え?骨董品店のリストみたいですね。
盗んだ品を買ってくれる店を探してたんじゃないですか。
これだけの数を調べたとすれば逆じゃないかな?逆?つまり自分が手放した盗品が店に出回っていないかを調べていた。
はあ。
やっぱり門馬のやつ自分でも取り戻そうとしてたんだな。
君が僕に伝えたかった事がやっとわかったんだ。
え?もう二度とプレゼントを贈る事の出来ない北薗会長のためにも思い出のオルゴールを摩耶子さんに取り返してあげたい。
そう願ってんだろ。
取り返すってそんな事出来るんですか!?いや…そのためには君の協力が欠かせないんだ。
盗品を売った男の事なんでもいいから何か思い出せないかな?実は僕もずーっと思い出そうとしてるんですけど歳は40代の後半かせいぜい50歳ぐらいだった事しか。
名前は?あー!あのさそもそもどうして盗んだ宝石類を競馬場で出会った男になんか売ろうと思ったのかな?ああ…。
質屋なんかだと盗品とばれる恐れがあるって聞いた事があって捨てる事も出来ずに迷ってた時競馬仲間に紹介されて。
その競馬仲間が名前で呼んでたんじゃないの?えっと…ハヤシじゃなくて…。
ヤハ…ヤハギ…。
いえ…ヤハシ!たしかヤハシって呼ばれてたような。
ほうほうほう。
特徴とかどこに住んでるとかほかには何か?ああ…ムショでつかんだルートがあるから足がつかずにさばけるとこ知ってるとか言って怖かった印象が。
(陣川)ヤハシという名前で40代から50代の前歴者はこれだけだった。
この中に競馬場で会った男はいるかな?
(門馬)この男です!僕が盗品を売ったのは。
矢橋宗市。
詐欺容疑で逮捕歴が3度か。
気になるのは経歴ですねぇ。
10年ほど前まで不動産会社を6社も経営。
当時は金回りもよかったのでしょうねぇ。
それが破たんして不動産詐欺に走ったってわけか。
暴力団とも関係があったようですねぇ。
組織犯罪対策部の取り調べも受けています。
年齢は48歳住所も都内。
間違いありません。
いないって…。
でも住所はここの203号室になってますけど。
夜逃げ同然勝手に出て行っちまったんだよ。
それはいつ頃の事でしょう?去年の今頃だったかなあ。
なんかたちの悪い取り立て屋みたいな連中が部屋に押しかけてたし家賃だって半年も滞納してて見つけたら絶対教えてくださいよ。
(電話)あすいません!行方不明じゃ捜しようがありませんね。
あだったら次は競馬場に行ってみましょう。
陣川くん。
はい。
その前に寄りたい所があります。
え?あどうも。
失礼します!陣川さん!いやあお手柄だったね!昨日は。
どうもありがとうございます。
いやよかったよ。
あ!どうやらかなりお馴染みさんのようですね。
信じてたとおりになったから。
私もホント鼻が高くてね。
陣川さんにもシンパがいたんだ。
(陣川)杉下さん店長です。
杉下と申します。
あのいつも話してる僕の尊敬する元上司の杉下さんです。
ああこれはどうも。
神戸です。
後輩です!君がここに立ち寄るのは何時ぐらいの事が多いのでしょう?何時って…仕事終えた帰りには必ず寄りますからいつも8時ちょっと前くらいですよね?そうだねえ。
では昨夜門馬の万引きを見つけたのもその頃ですか?ですよね?ええ。
こう店を出た門馬はいきなり向こうへ向かって走り出しました。
駅はこっちですよね?ええそれが何か?つまり門馬は住宅街の方に向かって逃げた。
ええ。
それが何か?行ってみましょう。
あはい。
この路地に逃げ込んだんですけどご覧のとおり行き止まりで。
だから陣川さんでも逮捕出来たんだ。
ちょっと失礼だな!尊くん。
つまり門馬は自ら袋小路に飛び込んだ。
コンビニを出た時の道の選択といい不可解ですねぇ。
いやそれは門馬に土地勘がなかったからでは。
門馬はこのすぐ近くの北薗邸で運転手をしていました。
土地勘がないとは思えませんけど。
思えませんねぇ。
門馬悟は万引きをするためにわざわざ自宅から遠く離れた店まで来てなおかつ警視庁の人間が立ち寄る時刻を見計らって行った。
妙だとは思いませんか?ちょっと待ってください。
僕が警視庁の人間である事を門馬が前もって知っているわけないでしょ。
おそらく門馬は何度も君と店長の会話を聞いていたのでしょう。
常日頃から店長とはあのように会話しているのでしょ?まあそうですね。
ほらほら。
ですから門馬にはわかってしまったのですよ。
君が警視庁の人間である事も犯人逮捕に人一倍熱心である事も。
なるほど。
自分からわざと捕まろうとしたとすればつじつまが合いますね。
一体何が言いたいんです?そもそも今回の事件には最初から大きな疑問がありました。
疑問?現行犯逮捕とはいえ万引きはある意味微罪です。
ではなぜ門馬は1年前のもっと重い罪をわざわざ白状したのか。
それは僕という人間を信用してくれたからで。
門馬の経歴は当然調べましたね。
ええ。
幼い頃に両親を亡くし苦学の末に高校を卒業してハイヤー会社で運転手をしていた時北薗会長と知り合い住み込みの運転手になったそうです。
なるほど。
でも北薗会長に恩義を感じていたとすれば500万円の金でそれを裏切るような真似しますかね?それはきっと魔が差したからで…。
だから今になってあんなに深く反省しているんじゃありませんか。
陣川くん。
はい。
君の人間としての魅力は人を信じる純粋な心です。
ですがそれは時として真実を見失わせる諸刃の剣となりかねません。
杉下さんは門馬が嘘をついているというんですか?その可能性が高いからこそ君に忠告しているんです。
いくら杉下さんでも言っていい事と悪い事があります。
おや。
行きましょうソンくん!えっ!俺そっちのサイドなの?お願いします。
自分からわざわざ捕まるような真似をする人間なんているはずないでしょう。
その杉下って人うふふ…うふふふ…。
ちょっとどうかしてますよ。
そうだよな。
うん。
すまない。
変な事聞いて。
それより矢橋って男は見つかりましたか?いやそれが…行方不明で。
でも君の言うとおり矢橋には不動産詐欺の前科があった。
暴力団ともかかわっていたみたいだし。
ああ〜やっぱり。
「やっぱり」って?いやなんだか自分のバックにキジン会がいるとか自慢げに話してた覚えが。
キジン会って広域暴力団の。
なんでも幹部の人と仲がいいとかって。
ほう…。
尾沢専務ですね。
警視庁特命係の杉下と申します。
あまあどうぞ。
あの…一体ご用件は?北薗篤彦氏の屋敷ですれ違った時…。
(尾沢)北薗興産の尾沢です。
(右京の声)一緒にいらしたのは弁護士の方々とお見受けしたのですが。
あああの時の…。
北薗篤彦氏は1年前に倒れて以降会長職を退かれ経営にも関与されていないと聞いています。
にもかかわらず弁護士同席で訪問された。
何か問題が生じているんですね?警察の方ですからお話し致しますが現在我が社は前会長の北薗篤彦氏を背任横領で告訴する準備を進めている最中でして…。
背任横領ですか?前会長は会社を私物化していました。
会社名義の土地を個人名義に書き換えたり売り上げの一部を抜いて自らの個人の資産に移したり…。
告訴の準備をしているという事は奥様の摩耶子さんもすでにご存じでらっしゃる?もちろん。
差し押さえの準備などもありますのでひと月ほど前から通達をしております。
差し押さえとなると当然北薗氏の資産は…。
不動産も含めて全て我が社の方で回収させて頂く事になろうかと…。
(一同)お疲れさまです!よっと…。
はい。
本気で張り込むつもりなんだ?もちろんですよ。
矢橋が姿を見せるまで根比べです。
そんなに都合よく現れますかねぇ?僕は結構強運の持ち主なんです。
今までもここぞって肝心な時には絶対に外した事ありませんから。
肝心な時には絶対外すの間違いじゃ…?来た!嘘!?行きましょう。
(米沢守)ご依頼があった公衆電話の通話履歴が届きました。
どうもありがとう。
複数回記録があった通話の中で最も数が多かったのが個人所有の携帯電話なんですがその持ち主がなんと…。
北薗摩耶子さん。
ど…どうしてわかったんですか?思ったとおりです。
思ったとおり…?もう少し彼女の事を調べてみる必要がありそうですねぇ。
はあ…。
うちの店にいたのは10年ほど前ですけど。
その後銀座の店に移られて北薗氏と出会ったわけですか。
ええ。
うちにいた頃からとにかく上昇志向の強い子でね。
人の子の客とか平気で寝取ったりしてましたから。
おやおや。
本当に「おやおや」ですよ。
ちなみにその頃お付き合いされていた方はどのような…?たしか不動産会社の社長とか言ってたかな。
ひょっとしてこの男性ではありませんでしたか?そうです。
でも会社がやばくなったら途端に別れて…。
その直後ですよ彼女が銀座に移ったの。
ちょ…!神戸です。
矢橋の居場所がわかりました。
今陣川さんと2人…。
おい…!かけ直します!矢橋宗市さん警視庁の者です。
あなたが門馬という男から買ったのは盗まれた品物の可能性があるんです。
どうしても取り戻したいと被害に遭ったお宅の方も言っているのでちょっと話聞かせてもらえませんか?ちょっと何やってるんですか!だってこの部屋に例のオルゴールがあるかもしれないんです。
聞いてみるしかないでしょう。
矢橋さん!いい加減にしてください!今チャンスじゃないですか!
(矢橋宗市)クソ…いまさらなんだって警察が…。
なんでこんな物…。
ちょっとソンくん…!せめて最初は警察だと名乗らずに鍵を開けさせるくらいの知恵はないんですか?なるほど!それいい作戦ですね。
だったら次は…。
次はありません!
(物音)ここにいてください。
ちょっと見てきます。
…クソ!久しぶりだなぁ。
昔話をしている暇はないの。
早く出して。
どうしてこんなガラクタに10万円も?どうだっていいでしょ。
早く渡して。
おっと…その前になんだって俺があの運転手からこいつを買った事になってんだ?その理由も教えてもらおうか。
あなたに話す気はない。
おいおい…まだこいつを返すなんて言ってないぞ。
あなたにはその価値は永久にわからないし私以外の人間にはそれを役立てる事は出来ないの。
(矢橋)気が変わった。
今からお前の家まで行ってありったけの金と交換だ。
最低な男ね。
物騒な物は捨ててください。
警察です。
チクショウ…!
(矢橋)うわぁーっ!
(陣川)もう逃げられんぞ!ああっ…ああっ!はいそこまで。
10時12分銃刀法違反で現行犯逮捕!失礼とは思いましたが尾行させて頂きました。
ああ触れないように。
これはまだ証拠品です。
いずれお返し出来ると思いますがしばらく預からせて頂きます。
指輪やネックレスのたぐいは見つかりませんねぇ。
換金しやすい物はすでに売ってしまったんでしょう。
失礼します。
矢橋の携帯電話の通話履歴をお持ちしました。
こちらです。
ああ…これが北薗摩耶子さんを呼び出すための通話ですね。
でしょうね。
その前は…しばらくありませんねぇ。
ですがこの部分を見てください。
1年前のこのあたりは頻繁に通話をしてますね。
北薗摩耶子北薗摩耶子…。
(米沢)日付は窃盗事件より前です。
杉下さんの話では矢橋と北薗摩耶子は10年前に別れたはずですよね。
なのにどうして…。
1年前門馬悟は運転手として住み込んでいた北薗篤彦氏の屋敷の金庫から現金や宝石類などとともにオルゴールを盗み出した。
そしてそれを競馬場で知り合った男に売った。
ところがその男は北薗摩耶子と昔付き合っていた矢橋だった。
そして矢橋は北薗摩耶子を呼び出しオルゴールを高値で買い取るように迫った。
あのオルゴールに一体どんな価値があるんでしょうか?あっ!ちょっと…こんな物が出てきましたけども。
あっ!これって…。
おやおや…そういう事でしたか。
あ…。
おや何をしているのですか?いや…これ何度やっても鳴らなくて。
念のため。
証拠品なんですけど。
あっ何やってんですか!?これ…。
杉下さんがなんと言おうとこれを北薗摩耶子に返してご主人の篤彦さんにこの音色を聴かせてあげる事が今の僕に出来る唯一の仕事ですから。
あっ!やめてくださいよ!何やってんですかもう…!ごめんなさい。
ちょっと失礼。
なんでいまさら実況見分なんですか?いいから中入って。
終わりましたらお呼びします。
わかりました。
どうぞ。
あの…陣川さん一体…?今日はこちらをお返しに上がりました。
1年前の窃盗事件の真相が全てわかりました。
真相も何もその男が犯人だから逮捕されたんじゃありませんか。
10年近く前あなたはあの矢橋とお付き合いされていましたねぇ。
もう随分昔の事です。
お言葉ですが矢橋の携帯電話にはあなたとの通話記録が何度も残っていました。
それも1年ほど前。
ひょっとして1年前矢橋はあなたを恐喝したのではありませんか?だとすれば1年前の窃盗事件の真相も容易に推測出来ます。
こんなもの送りつけて一体どういうつもり?
(矢橋)「よく撮れてるだろ。
いくらで買ってもらえる?」あなたは矢橋の恐喝を無視した。
ところが闇金からの借金でどうにもならない状態だった矢橋は…。
なんのつもりなの?家まで押しかけてくるなんて。
金がいるんだ。
明日までに600万返さないと殺される。
お金なんか払わないって。
大声出して亭主起こして洗いざらい全部ぶちまけるぞ。
強盗同然で押し入ってきた矢橋に逆らう事は出来ずあなたはやむなく書斎の金庫を開けてしまった。
金庫の中身が持ち去られた以上警察に届け出ないわけにはいかない。
ただ1つの問題点は侵入経路でした。
矢橋は玄関から堂々と入ってきた。
それをごまかすために庭に出て窓ガラスを割り見ず知らずの窃盗犯が外部から侵入した。
あなたは門馬さんにそう装うように頼んだのでしょうねぇ。
これでよろしいでしょうか?つまり君は犯人でもなんでもなかった。
なのにどうして自分が犯人だなんて僕に言ったんだ?それは…奥様のために会長との思い出のオルゴールをなんとしてもあの男から取り戻そうと思って…。
盗まれたオルゴールをどうしても取り戻したい。
しかし犯人を明かすわけにはいかない。
だからあなたは自分が犯人だと名乗ろうと考えたんですね。
そのために陣川さんに目を付けてわざと捕まるような真似をしたんだ。
奥様の気持ちを考えるとどうしても力になってあげたくて…。
…申し訳ありませんでした!まだそんな嘘で僕をだませると思ってるのか?この写真をネタに矢橋から恐喝されたんですね?
(門馬)いやそれは…。
君のマンションの公衆電話から摩耶子さんの携帯電話にかけた記録が何回も残ってたんだよ。
君は僕を利用してたんだ。
それも最初から計画的に言葉巧みに操って…。
取り返せない失敗だってあるんですね…。
心の底から後悔しているように印象づけて僕を被害者の摩耶子さんに会いに行くように仕向けると…。
あのオルゴールが戻ってきたら主人に聴かせてあげようとずっと思っていました。
今度は彼女が君の後悔の理由が恩義ある会長と摩耶子さんの思い出の品をなくしてしまったからだと教え…。
たしかヤハシって呼ばれてたような。
(陣川の声)前歴者の矢橋宗市を捜すように仕向け君は取調室にいながら意のままに僕を操っていたんだ。
もし刑事さんの言うとおりだとしてもそれって証明出来ませんよね?それとも捕まった矢橋が自供でもしましたか?完全黙秘してて…。
1年前の窃盗だの恐喝だの自分からわざわざ白状するわけありませんものね。
やはりそこまで計算していましたか。
窃盗事件の犯人は僕です。
僕が盗品のオルゴールを売った相手がたまたま摩耶子奥様の昔の知り合いでそれを買い取れと脅してきた。
今回の事件ってただそれだけですよね?こんな事とっとと切り上げて早く証拠品を奥様に返してあげてください。
君はやってもいない罪で起訴されるつもりなのか?初犯だし執行猶予だってつくかもしれません。
刑務所に入るにしたってせいぜい1年ぐらいでしょ。
これでもまだ僕が犯人じゃないなんてバカな事を言いますか?このままにした方がお互いのためでしょ。
だって陣川さん初めてのお手柄なんだから。
…門馬!ちょっと陣川さん。
残念ながら彼の言い分にあらがう手段を我々は持ち合わせていません。
どうやらここは引き下がるしかなさそうですねぇ。
杉下さん…。
聴取が終わりました。
迎えにきて頂けますか。
行きましょう。
いや…。
あとは三課の方にお任せしましょう。
(ドアが閉まる音)
(摩耶子)ない!どうして!?どうしてないの!?落ち着いて。
この中にあるのは間違いないんですよね?だってあなたも聞いたでしょ?ここにあるって…。
ねぇ…ねぇなんとかして。
あなたならなんとか出来るわよね?ダメです。
口座番号がなければ1円だって動かせない。
そういう銀行なんです。
ちゃんと読んでよ。
どうにかする方法が書いてあるんじゃないの?失礼。
「WengnerhoffandCo」やはりスイスにあるプライベートバンクでしたか。
お探しの番号ならこちらにありますけど。
骨董品としてなんの価値もない壊れたオルゴールを逮捕されてでも手に入れたい理由があるとすればただ1つ北薗篤彦氏の隠し財産。
ここにはスイスにあるプライベートバンクの口座番号が隠されていたんですね。
何を言ってるのか全然わかりませんけど。
あれ?さっき言ってませんでしたっけ?口座番号がなければ1円も動かせない。
そういう銀行なんでしょ?スイスのプライベートバンクは口座番号のみで管理される世界で最もガードの堅い金融機関です。
仮に番号がわかっても預金者本人とその代理人以外はそんな口座が存在する事すら確かめるのは不可能です。
完全な秘密主義ゆえ顧客本人への郵送物ですら銀行名を入れずスイスではなく隣国のフランスから郵送される事がある。
確かなようですねぇ。
なおかつあなたは矢橋に会った時こう言いました。
あなたにはその価値は永久にわからないし私以外の人間にはそれを役立てる事は出来ないの。
北薗篤彦氏があなたを代理人に指定した事が書かれています。
すなわちご主人が動けない今あなた以外に預金を動かせる人間はいない。
おそらくあなたはその事をオルゴールが盗まれたあとに知ったのでしょう。
おいどうした?何かあったのか?オルゴールがない…まさか取られたのか?ええ…。
あの中にはスイス銀行の口座番号を入れてたんだ。
もしもし泥棒に入られた!大至急来てくれ!
(摩耶子)あなた…?あなた!あなた!ご主人が倒れオルゴールに隠された口座番号だけが預金を引き出す唯一の鍵となってしまった。
だからどうだって言うんです?オルゴールの中にあったのなら彼女のものでしょう。
早く返してください。
口座番号が書かれたメモもこの書類も別の犯罪の重要な証拠です。
すぐにお返しは出来ません。
ねぇ…どういう事?北薗興産は前会長である北薗篤彦氏を背任横領で告訴する予定です。
ご存じのはずです。
告訴されると知ったからこそその前に口座の金を自分たち2人のものにしようとしてあんな無茶な計画を実行に移したんでしょ。
横領した金がこの口座に預金されている事もいずれ確実にわかるでしょう。
完全秘密厳守の銀行だぞ。
たとえ返還要求があっても応じるわけはない!だとしても摩耶子さんが金を引き出した瞬間東京地検と国税局が束になって押し寄せるでしょうねぇ。
要するに1円でも動かしたらアウトって事。
当然君の手にも入らない。
絶対に。
そんな…。
お願いします。
さあ行きましょう。
僕です。
1年前の窃盗犯は僕なんです!早く送検してください。
僕がやったんですから!どうして…。
嘘じゃありません!僕です…僕がやったんです。
陣川さん僕がやったんですから!僕なんですよ陣川さん…!もういいよ。
門馬は金が手に入らないとわかってもまだ彼女のために身代わりを続けようとした…。
(宮部たまき)その門馬さんて方よっぽど摩耶子さんの事が好きだったんですね。
摩耶子さんにオルゴールを取り戻してあげたい。
その一途な思いだけは本心だった。
だからこそ陣川くんも信じる事が出来たのでしょう。
これに懲りて刑事に向いてないって気づいてくれるといいんですけど。
諦めませんよ僕は!はい?だって今度の事件で僕はつかみましたから。
2014/07/03(木) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
[終]相棒 season9[再][解][字]
「陣川警部補の活躍」
詳細情報
◇出演者
水谷豊、及川光博 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
福祉 – 音声解説
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
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日本語
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