7ハートネットTV 介護百人一首2014「夏編 その二」 2014.07.17

(小谷)「介護百人一首2014」。
山口県の山本幸晴さん66歳の短歌です。
「脳梗塞で入院し退院した時手の握力は2kgしかありませんでした。
生まれてくる孫を抱きたくて必死でダンベルを振り夏を過ごしました」。
東京都の石山ミチさん83歳の作品です。
「テレビ『おはようございます』。
『はいおはようさん』。
『天気予報です』。
『はいはい』。
『折り畳み傘があれば安心でしょう』。
『じゃあ持っていくわね』」。
福祉を学ぶ埼玉県の加茂正美さんの作品です。
「実習先の施設で寒がりなおばあちゃんがいました。
でも孫が来るという知らせがあるとクーラーをつけ厚着をして待っています」。
応募された1万1,000首の中から選ばれた100首の歌。
介護を巡る思いは人さまざま。
その歌に込められた心もようを訪ねます。
介護は明るく楽しくかっこよく。
全国の介護家族の皆さんご機嫌いかがですか?「ハートネットTV」。
昨日に引き続き今日も「介護百人一首」をお送りしてまいります。
全国から寄せられました1万1,606首の歌の中から選ばれた100首を紹介してまいります。
今回は「夏編」という事ですね。
夏というと荒川の北千住で荒川を横断すると黒い線の入った帽子になるんだよね。
そういう思い出があります。
今日は琵琶湖で泳いだというゲストをご紹介したいと思います。
直木賞作家の姫野カオルコさんです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いします。
琵琶湖ですよね。
はい。
クラゲいないんですよ。
クラゲいない…。
そうだ。
サメもいない。
「風のささやき」という介護する人への13の話を姫野さんまとめられた本がありますがちょっとこの扉をご紹介させて頂きます。
この本どういう思いで書かれたんですか?介護って介護そのものだけじゃなくて自分の心の中であんまりその事を押し殺してきた事とかが一気に噴出してしまう出来事でもあると思うんですね。
そういった時の気持ちどこにもぶつけようがない事を私が聞くという形でできたらと思ってこのような形になりました。
これ「風のささやき」ささやいてんだよね。
分かる分かる。
ねえ。
それでは早速「介護百人一首2014夏編」ご覧頂きましょう。
静岡県の鈴木せつ子さん80歳の作品です。
「施設の庭で歩行練習をしている時カタツムリを見つけました。
そして私も少し休憩」。
三重県の深田須美子さん71歳の作品です。
「義理の姉は昔は私にとても厳しくあたりつらい事がたくさんありました。
けれども今は私の顔を待っていてくれます」。
大阪府の山本田鶴美さん79歳の作品です。
「母の見舞いで病院へ行った時目にした風景です。
若い看護師さんの優しさにとても感心致しました。
ありがたい事と思います」。
この町の小久保美佐子さんの歌も介護百人一首に選ばれています。
この町の一軒の床屋さん。
短歌を詠んだ小久保美佐子さん72歳です。
おかげさんでなんとか食べさせてもらっとるで。
ありがたいですね。
豊橋の方から高速乗って来て下さる方もあるしね。
美佐子さんの夫修二さん77歳です。
修二さんは8年前に脊柱管狭窄症を起こして手術し現在は歩行器を使用。
はさみを持つ事はできなくなりました。
(取材者)いつもここで一緒に見てるんですね。
そうですね。
(取材者)安心できるほっとする所とかですか?すみません遅くなりまして。
病気になるまでは理容コンテストで優秀な成績を修めた事もある修二さんが店のあるじでしたが今は美佐子さん一人が髪を切るお店です。
昭和16年に生まれた美佐子さんは親戚がやっていたこの店で16歳の時から働き始めました。
ちょうどそのころ修二さんもこの店に修業に来ていたのです。
2人が結婚したのは昭和38年。
修二さん26歳。
美佐子さんは22歳の時でした。
2人はよく働きやがてお店も譲ってもらいました。
子どもは3人の娘と息子。
それぞれが父母となり今や2人の孫は8人います。
その孫の一人稜大くんはこの店の常連です。
(取材者)孫はみんな切るんですか?切らん子もおるけど切る子もおるね。
いろいろ大きくなると外がいいって外に行く子やら。
やっぱりおばあちゃんとこじゃなきゃいかんて戻ってくる子やら。
友達がかっこいいって言うさかいほんならおばあちゃんとこの頭がええんやで行くわっつって。
(取材者)かっこいいって言われる?5年の時言われた。
(取材者)言われた。
この子なんかサッカーやるもんでねサッカー選手の写真持ってきてこういうふうにやってくれって。
今日写真ないねって。
(取材者)いかがですか?今日の感じ。
(笑い声)最近は早めに店を閉める事も多くなりました。
自宅は少し離れているので車で通っています。
美佐子さんは修二さんがここまで動けるようになって随分助かっているといいます。
(クラクション)美佐子さんは3年前公民館の短歌教室に参加して歌を作るようになりました。
それまで日記はつけていましたが短歌はなぜか気分が落ち着くといいます。
夫の介護を詠んだ歌もたくさんあります。
ちょっとこのごろ楽になってきたもんで介護の歌が少ななったか分からんけどえらい時は介護の歌が多かったですね。
それで自分を慰めてるいうかね。
そんな美佐子さんの介護百人一首。
度々入院した修二さんがやっと退院してくれた夜。
しみじみと幸せをかみしめたという短歌です。
ふだんは邪魔になる時もあるけれどやっぱり何とも…。
地震なんか来た時にねえ。
おんでも行けれえへんしどうやって逃げるんかしらと思う時もありますね。
ぱっと動けんやってね。
そんなって思う時もあるけど心底いないとやっぱり困るいう事で。
結婚して50年。
子ども4人に孫8人。
そして今やひ孫も2人という子宝に恵まれた美佐子さん夫婦。
ひいおばあちゃんがひ孫の髪を切るのももうすぐです。
いや〜すばらしい夫婦だね。
いやいや…。
お孫さんからお金もらえないよねこうやってあげても。
それが心配だったけどね。
まあいいんでしょうね。
孫もうれしいよね。
ねえ。
どうです?私はこの歌本当によくって。
本当にこれ聞いた時にもう胸が詰まってきて…。
大丈夫?修二さんが入院されてた時は網戸で開け放ってする事はできなくてサッシの鍵を掛けなきゃいけなかった。
今はおとうさんが寝てるから網戸にして風を通して休む幸せを知ったという本当に穏やかな夫婦の時間が流れているような。
このようなご夫婦がいるというのを知っただけでも日本のみんなの元気になると思います。
この小久保さんご夫妻仲良くてありがとう。
思います。
見習いたいと思います。
ありがとうございました。
さて姫野さんほかにも気になる短歌ございましたでしょうか?これですね。
大阪の山本田鶴美さん。
これは?こんなふうに大きい口開けておかゆを食べさせてくれる元気な頼もしい看護師さんがいると思うと私本当に感謝感謝。
介護っていうのはある意味では死に直結してますよね究極は。
だから死を間近に見てる職業の人は神に近い人であるとも言うっていう。
そういう感じがしますよね。
天使。
天使って本当に看護師さんの事白衣の天使って昔からそういう言い方ってありますけどでもそれを実感しますよ。
実感する。
ああそうですか。
それでは「介護百人一首2014夏編」続きをご覧頂きましょう。
兵庫県の大平守さん83歳の作品です。
「新聞で介護ロボットの事が報じられていました。
よい事だとは思いますが私はやっぱり人間の温かさが欲しいと思います」。
広島県の長井一恵さん68歳の作品です。
「手術で声を失いほとんど寝たきりの主人。
元気になったらまた旅行でもしたい。
でもその日は来ないと分かっているからこそ言ってみました」。
岩手県の及川内子さん69歳の作品です。
「夢と現の間を行き来するようになった母は介護士の胸が目の前に来ると手を差し伸べました。
介護士の方もほほ笑み返してくれました」。
この町に住む中野坦子さんの歌も介護百人一首に選ばれました。
歌を詠んだ中野坦子さん80歳と夫の亨さん83歳です。
亨さんは9年前脳梗塞で倒れ左半身に麻痺が残りました。
退院した当初はこんなふうに立ち上がる事ができなかったといいます。
マンションの隣の部屋には長女家族が住んでいますが日常の介助は坦子さんがする老老介護です。
(坦子)これヨーグルトで今朝出来たんで。
種菌を入れて1晩置いとけば出来る。
朝しっかり食べる分の一番メインというか。
しょっちゅう出歩く。
結婚は昭和40年。
坦子さん31歳亨さん35歳という当時としては少し晩婚の2人です。
昭和19年14歳で海軍に志願した亨さんは戦後学校を通い直して電電公社に勤めていました。
その亨さんに紹介されたのが呉の自転車店の娘坦子さんだったのです。
見合いいうても顔はお互いに知ってたんですよ。
その先生を通してね。
主人の恩師を通してね。
そこにしょっちゅうこの人は遊びに行ってたみたいで。
だから顔は知ってたんですけど。
まあその話を持ってこられるまで全然そんなお互いに…。
結婚した翌年に長女3年後に次女が生まれ亨さんは定年まで30年間働き続けました。
坦子さんも子どもが小学校に入ると勤め始め経理の学校にも通って63歳の定年まで勤めました。
退職してからも2人は働きます。
亨さんはマンションの管理人などで68歳まで。
坦子さんは介護の資格を取って訪問介護を69歳まで続けました。
やっと訪れた穏やかな暮らし。
しかし9年前…。
自転車で帰ってきてドアを開けたらここに倒れてたの。
もうびっくりして。
すぐ救急車を呼んで。
(取材者)倒れた時の事は覚えていますか?足かけおおかた7か月。
え〜っと200日ぐらいおりましたね病院にはね。
退院したあとも亨さんはリハビリを頑張りました。
今もデイケアに週4日通い手すりを使った歩行訓練に励んでいます。
(坦子)病院にいる時の事を思ったら本当によくなったんですよ。
「退院して家に連れて帰られますか?それとも施設へすぐ行かれますか?」って言われた時に「私もう家に帰ってもどんなふうにしていいか分からない」と言ったら「普通に暮らしたらいいんですよ」っておっしゃったんです。
その言葉がすごく私心に入りましてね。
ああそうか何も気負う必要はないんだと。
今まで主人は自分で歩いて自分で着替えてそれを全部やってたのをそこを私が介助すればいいのかっていう。
ちょっと手伝ってあげるでもゆっくりと暮らそうと。
できるだけの事をしてゆっくり過ごそうというふうに思ったんですよね。
すいませんお待たせしました。
隣の部屋に住む長女の瑞穂さんです。
瑞穂さんは介護福祉士の仕事をしています。
仕事帰りによく立ち寄り顔を見に来てくれます。
どうでした?ねえ見て下さいあの顔。
娘の顔見てもあんな顔するんですから。
(瑞穂)そんな…。
何か月も会ってない訳じゃないのにね。
(瑞穂)うれしいんよね帰ってきたらね。
いろいろお話できた?もう「どうせ駄目だから」とか「どうせ無理」とかそういう事は一切言わないんです。
お父さんの偉いところはそこかなって。
私たちに何か頼んでもいつもニコ〜っと笑って「ありがとのまた頼むの」って言って。
こういうふうになっても何か全然お父さんらしさが失われてないというか。
ああいうところがうれしいです娘として。
(瑞穂)うんよかった。
お父さんがこういう体になった事は無駄じゃなかった。
(笑い声)戦後働きづめに働いてきた2人。
さあこれからはという時に襲った病。
それでも2人には生きていく喜びがあります。
坦子さんの介護百人一首。
(坦子)主人はここを持って一生懸命立ち上がろうとしてある日立ち上がった時は本当にリハビリってすごいなと思いましたし…。
そうそうそうそう赤ちゃんが初めて立った時の感激はよくいろいろ言われますけど本当に何か第一歩を進んだという感じ。
老老介護の笑顔に伝う一筋のうれし涙です。
亨さん「ありがとよ」とかねああうまいなっていう。
うまいよやり方が乗せ方が。
それに「這えば立て立てば歩めの親心」とかってよく子どもに言うじゃない。
これはさ「這えば立て立てば歩めの妻心」だね。
中野坦子さんの短歌改めてご紹介します。
立ち上がった瞬間の喜びも表れていると思います。
自分も一緒に立ち上がってるんだよな。
よかったですね本当に。
本当によかったですね。
ご主人のあの笑ってらっしゃる顔。
お酒飲んだ時に「うめえ」っていうような顔をなさってましたよね。
本当にこういうご夫婦見ると私もこうしなきゃって元気づけられる人多いですよね。
こういう夫婦に変化する…変化するって変身しちゃう夫婦も。
介護っていう事でね。
いろんな事がさらけ出してそれをまた浄化してきれいにしてそれで次なる次元の高い夫婦になる訳ですよね。
中野さんすてきなファミリーどうもありがとうございました。
さて昨日今日の2日間にわたって姫野さんいろんなご夫婦の介護そしてそのまつわる短歌をご紹介してまいりましたが改めてこの介護とそして短歌。
どういうふうにご覧になりますか?やっぱりこのように自分の気持ちを表に出す事はすごくその人を支えるんだなと思いました。
それとともに表に出す事により私も私もっていうその人の書いた短歌を読む事でああ私一人じゃないんだって思う人大勢いらっしゃると思うんですね。
だから一人じゃないんだって思える事ってすごく人間をやっぱり支えてくれると思うので。
はいありがとうございます。
さて「NHK介護百人一首」では来年度の新たな介護短歌の募集をしています。
こちらのチラシでもご応募頂けます。
チラシの裏が応募用紙になっておりますのでこちらでお寄せ下さい。
もしくはNHKハートプロジェクトのホームページの中にあります「NHK介護百人一首」に専用の申し込みフォームがあります。
こちらでもご応募頂けます。
締め切りは9月11日です。
詳しくはホームページまたはNHKサービスセンターまでお問い合わせ下さい。
朝10時から夜の6時半まで受け付けております。
皆さんふるって介護短歌お寄せ頂きたいですね。
今度はもう秋になっちゃうんだな。
そうですね。
「NHK介護百人一首2014」。
次回は「秋編」。
秋にお会い致しましょう。
元気でいなきゃな。
はい。
姫野カオルコさん…。
(2人)ありがとうございました。

(テーマ音楽)2014/07/17(木) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV 介護百人一首2014「夏編 その二」[字][再]

介護する人、される人の日々の生活の様々な思い−つらさ、悲しさ、笑い、そして優しさを詠んだ介護短歌。今年もたくさんの応募の中から百首が選ばれました。今回は夏編の二

詳細情報
番組内容
「介護百人一首2014」 介護する人、される人、日々の介護生活の中でふと心に浮かんだこと、ある出来事の情景…いずれもさまざまな思いがこめられた珠玉の百首です。今回は「夏編その二」。歌はどんな時にどんな思いで詠まれたのか、作者の方々をも訪ねます。介護短歌という三十一文字の器にこめた人の優しさ、強さにふれていきます。「我が側に動けぬ夫が居るだけで網戸で休む幸を知りたり」ほかの歌をご紹介します。
出演者
【出演】毒蝮三太夫,小谷あゆみ,姫野カオルコ

ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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