今年4月に陸軍第28師団で、23歳の兵士が集団暴行を受けて死亡した事件と関連し、韓国軍検察は暴行を加えた兵士たちに最大で懲役30年を求刑する方針であることが分かった。しかしこの兵士に対する暴行は実はこれだけでなく、さまざまな形のいじめや虐待・暴行が常習的に行われ、最終的にこれらが原因で死亡したことが後から明らかになった。事件の全容が少しずつ解明されると、入隊予定者やその家族たちの間からは「こんな状況ではどうやって軍を信頼して入隊できるのか」といった声がメディアやネットを通じて相次いだ。
陸軍のある幹部は1日「第28師団暴行致死事件の加害者たちの身柄はすでに拘束・起訴されており、厳正な司法手続きが進められている。問題の部隊を担当する検察は、犯行の内容に応じて懲役5年から30年を求刑するだろう」とコメントした。
今回の暴行致死事件の捜査を担当した軍の捜査機関は、死亡した兵士がおよそ1カ月にわたり常習的に暴行やいじめを受けていた事実を確認している。捜査機関は暴行を加えたとされる兵長(25)など4人と、これを止めずに傍観していた下士官(23)の計5人を傷害致死などの容疑ですでに逮捕・起訴している。またこの部隊の連隊長と大隊長に対しては監督責任を追及し、職務から解任するなど、16人の幹部も処分した。暴行を加えた兵長など5人は結審のための公判を5日に控えている。
韓国軍人権センターのイム・テフン所長は、暴行を加えた兵士たちは死亡した兵士に対し、以前からセクハラを行っていた疑いがあることも前から指摘してきた。これについて捜査機関は「セクハラ容疑についてはいじめの一部と把握しているが、引き続き法律の規定をあらためて精査し、公訴状の内容を見直すことも検討したい」とコメントしている。つまり死亡した兵士に対しては、暴行だけでなくセクハラも以前から行われていたということだ。
別の韓国軍関係者は、死亡した兵士が問題の部隊に異動する前まで、先に部隊にやって来た別の兵士がいじめや暴行を受けていたことも明らかにした。この関係者は「死亡した兵士に対して3回暴行を加えたとして今回在宅起訴された兵士も、死亡した兵士が来るまでは顔に大量の水をかけられたり、歯磨き粉を食べさせられたりといったいじめや暴行をうけていた」「それまで虐待を受けていた兵士は、今回死亡した兵士がくると今度は自分が虐待する側に加わった」と説明した。またいじめや暴行を行った兵士たちは、死亡した兵士に対して「話し方や行動が遅い」という理由で虐待を加えていたという。
一部では「加害者側の兵士たちには殺人罪を適用すべき」とする主張も出ているが、これについてこの関係者は「犯行直後、加害者らは気を失った兵士に人工呼吸を施すなど、兵士の命を助けようとしていた。また暴行時には明らかに危険な道具は使わず、急所も殴らなかったことから、故意に殺人を行ったと見なすのは難しい」との見方を示した。
■1カ月にわたり毎日暴行
今回の兵士死亡事件が大きな問題として浮上したのは、7月31日に軍人権センターが関係する捜査記録を公表したことがきっかけだった。今年2月に第28師団砲兵連帯本部に配属されたこの兵士は、4月6日に先輩から胸などを殴られて意識を失い、すぐ病院に運ばれたが翌日死亡が確認された。捜査記録を見ると、先輩たちは掃除用のモップが折れるまで兵士に暴行を加え、腫れた部位に消炎鎮痛剤のアンチプラミンを塗ると言いながら、衣服を脱がせて性器にこの薬を塗ったなどと記載されている。さらに夜中に馬乗りの姿勢のまま寝かせないとか、たんを舐めさせるなどの悪質ないじめも行われていた。
韓国軍は今回の第28師団での事件を受け、全部隊を対象に兵士への虐待に関する実態調査を行ったが、それによるとどの部隊でもいじめや暴行が行われていることが確認されたという。この結果を受けて陸軍は今年6月9日付の「一般命令第14-156号」の中で、暴行やいじめ、および言葉による暴力を根本から改善するよう全部隊に指示し、この指示が守られているか定期的に調べさせることにした。韓国軍でいじめなどを禁止する一般命令が下されるのは35年ぶりのことだ。陸軍本部人事参謀部のリュ・ソンシク部長(陸軍少将)は1日「参謀総長以下全ての幹部は一連の事故、とりわけ第28師団での事故で国民に多くの心配をかけたことについて深く反省しており、責任を痛感している」として正式に謝罪した。