親の離婚や病気虐待。
さまざまな事情で親と離れ児童養護施設などで育つ子どもたち。
心の傷を抱えたまま大人になった時さまざまな壁にぶつかり自立に苦しむ人が後を絶ちません。
親から支援を受けられず一人自立を求められる子どもたちをどう支えるのか。
その一つの試みが施設を出たあとも進学や就職生活の相談に乗る…更に共同生活の場を提供し子どもたちが孤立しないようにするサポート。
「シリーズ“施設”で育った私」。
第2回は子どもたちの独り立ちを支える児童養護施設の取り組みについて考えていきます。
こんばんは。
「ハートネットTV」です。
今日はまず皆さんに聞いて頂きたい作文があります。
ある児童養護施設で生活する高校1年生の女の子が書いた作文です。
胸が締めつけられるってこういう事を言うんだなって思います。
あと3年でここを出なければならないという…。
「出なければならない」。
普通だったら「出たい」と思うはず。
施設から出て家庭とかもっと幸せな未来を描くものだと私は思っていたんですけれどもそうではない現状今の子たちがそういう事を感じてるんだというすごくリアルな心の叫びのように感じますね。
西澤さんはどう感じましたか?やはり一番胸に刺さるのは大人の理由でここに来させられて文章ではそうではないですが追い出されるという強いられた自立というかそういうものに対する子どもたちの無力感だとか怒りというのが伝わってくる気がします。
第1回の放送では18歳以降に児童養護施設を出て進学や就職など自立をしていく段階で深刻な問題に陥っている現状を見てきました。
今日第2回ではそうした現状に対して児童養護施設が始めた支援の取り組みを見ていきます。
まず最初に見るのは東京都の取り組みです。
自立に向けた支援を専門に行う職員を施設に配置して巣立っていく子どもたちを手厚くサポートしていこうとしています。
関東地方の短期大学に通うユカさん19歳です。
両親から繰り返し虐待を受けたため中学3年生の時から児童養護施設で暮らしてきました。
去年高校を卒業し施設を退所。
将来は自分と同じ境遇の子どもを支えたいと保育を学んでいます。
施設を出た今も両親を頼る事ができないユカさん。
学費は奨学金で賄っていますが生活費を稼ぐために早朝から2つのアルバイトを掛け持ちしています。
それでも自分でアパートを借りる余裕はなく交際する男性の家に身を寄せています。
実はユカさんは施設を出たあと一度虐待を受けた両親のもとへ帰りました。
「家に戻ってきてほしい」と言われたからです。
しかし両親の態度は以前と変わりませんでした。
毎日のように続く言葉の暴力。
更に預金通帳を取り上げられ将来のために高校時代からアルバイトでためた120万円全てを抜き取られました。
このままでは人生が駄目になってしまう。
ユカさんは家を飛び出し交際相手のもとに逃げ込んだのです。
ユカさんが育った東京都の児童養護施設です。
困った事があるといつもここを訪れます。
出迎えたのは自立支援コーディネーターの鈴木章浩さん。
子どもたちの自立を支える専門の職員でユカさんが施設にいた時から進学など将来の相談に乗ってくれました。
この日ユカさんにはどうしても聞いてもらいたい事がありました。
交際相手に追い出されたら住まいを失ってしまう。
心配した鈴木さんはまずユカさんが学費や生活費をどうやりくりしているのか確認する事にしました。
交際相手から経済的に自立するにはどんな方法があるのか。
ユカさんと一緒に考えます。
新たに使える奨学金を探すなど生活を安定させるための手段を一緒に探していく事になりました。
じゃあまた。
またね。
気を付けて。
はい。
バイバ〜イ。
バイバ〜イ。
自立支援コーディネーターは東京都が全国に先駆けて2年前に立ち上げた新たな試みです。
施設を出たあと生活に行き詰まる子どもが相次いでいたためでした。
就職や進学1人暮らしをするためのアパートや奨学金の手続きなど社会に出ていくためのあらゆるサポートをします。
鈴木さんが最近自立に向けて支援を始めた子どもがいます。
高校3年生のケンタさん。
来年春には進学し施設を出て1人暮らしを始める予定です。
ケンタさんは幼い頃に両親が離婚。
引き取った母親は病気で働けず4歳から施設で育ちました。
10年以上にわたって集団生活を送ってきましたが今後は一人で生きていかなければなりません。
ケンタさんのために鈴木さんは1人暮らしの練習をする機会を作りました。
仲間と別れ1週間施設の離れにあるワンルームで自炊をします。
買い物や料理お金のやりくり。
親がいれば自然に学べる基本的な事を施設で育つ子どもの多くは知る機会がありません。
いつも大勢の人に囲まれて暮らしてきたケンタさん。
1人きりで過ごす事にも慣れていません。
自立支援コーディネーターの鈴木さんが訪ねてきました。
困っている事がないか何気ない会話を交わしながら様子を見守ります。
1週間後アルバイトから帰宅し夕飯作りに取り組むケンタさん。
残っていた食材をやりくりして手際よく3品を調理しました。
鈴木さんには支援を通してケンタさんに伝えたい事があります。
それはこの先も困った時にはいつでも自分を頼ってほしいという事です。
今VTRにもありました自立支援コーディネーターというのは施設に暮らす子どもの世話をする職員とは別にこのように独立して置かれている職です。
子どもの退所が近づくと就職や進学などのサポートを職員と一緒に行ったり奨学金の手続きなどを行うなどして少しずつこの施設にいる中で関わりを深めていきます。
更に退所したあとも生活の相談に乗ってくれたりハローワークなど外部の支援機関につないでくれたりすると…。
自立支援コーディネーター制度というのは東京都だけの制度なんですが全国化すればいいなと思っていますが…。
子どもたちを支えていく制度としてはアフターケア事業はあるんだけれども実態としてそれがなかなか実現できてなかった部分を補うという意味で意味のある制度だと思います。
ただ一つには今も鈴木さんが施設で自立を目前に控えた子どもと密に関係をとっていくという事で施設にいる間から関係性をとっておくというのがとても大事だろうと思います。
ただ一つ思うのは今こういうふうな制度が必要になってくるのは根本的に言って施設の子どもたちの生活支援をしている専門職であるケアワーカーというのが十分に配置されてないからで本来だとその人たちが継続して自立後もアフターケアができるというのが本来は望ましいんだろうと思いますけどね。
サヘルさん。
いろんな大人が関わるというこれは大事だと思うんですがただ子どもたちにとっては誰でも大人だったらいい訳ではない…。
子どもってやっぱり大人が思ってる以上にすごく見ているし分かるんですよね。
業務的にこなそうとしてる人がいたらそれは見てすぐに分かるしもうその人には心を開かないものなんですよね。
だけどファイル上の私たちじゃなくて生身の私たちをちゃんと目で見てその人の瞳に自分が映ったって感じた瞬間その人をすごく信頼できるんですよ。
その1対1の関係になれたって感じたそれが一番大切だと思うんですよね。
ただこなしてしまっては駄目だと思うんですよ。
VTRのユカさんもそうでしょうね。
鈴木さんに対してこの人だったら言えるって…。
…だと思います。
おにいちゃんのような目で見ていたしフランクにしゃべっていたのがすごくいい関係性だなと思えたんです。
鈴木さんもそれを受け止める…。
一人一人ちゃんと目を見て話を聞いてあげてるのが私はすごく身近な存在ですてきだと思いました。
一方で施設を出た子どもたちの生活を支える場を作ってサポートしようという取り組みを行っている施設があります。
通常児童養護施設を出たあとは多くの子どもたちは就職や進学でもこのように一人で生活をしていくんですが東京都にある児童養護施設希望の家では施設と一人の間にこのように安心して生活できる中間的な場を設けて独り立ちを助けていこうという支援を行っています。
児童養護施設を退所した子どもたちの生活をサポートする…現在大学や専門学校に通う4人の学生がアルバイトをしながら共同生活を送っています。
ここでは生活費の負担を減らすため家賃は無料。
施設の使わなくなった空き部屋を提供しています。
そして子どもたちに困った事があればいつでも施設の職員が訪問し相談に乗る体制になっています。
施設を出た途端社会の荒波に放り出すのではなく一人でやっていける力がつくまで支える環境を用意したのです。
この春入居した…施設を出たのは去年3月。
一度は1人暮らしをしながら大学に通いましたがうまくいきませんでした。
施設にいた時は何事もそつなくこなし職員の誰もがしっかり者だと安心していたアヤさん。
しかし1人暮らしは想像以上に戸惑う事ばかりでした。
更にアヤさんを追い詰めたのが孤独でした。
ちょっとしたトラブルも一人で抱え込んでしまい誰にも相談できなかったと言います。
部屋に引きこもり大学にも通えなくなったアヤさん。
結局退学せざるをえませんでした。
その後アヤさんはなんとか施設の職員に相談。
あやめホームに移りました。
今は介護福祉士を目指し新たに専門学校に通い始めています。
同じ経験をしてきた仲間と支え合いながら再び自立への道を歩んでいます。
熱い!話したら誰かが答えてくれるっていうその気持ちすごく分かります。
…というのも自分も施設を出て今まで共同でみんなで生活をしていたので夜眠る時に音がないというのが慣れなくて眠れなかったんです。
音があるのが当たり前の生活だったんですね。
そうなんですよ。
今でもラジオかテレビはつけっ放しで寝てしまう。
音がないと眠れない。
すごく彼女のもう一回みんながいる一人じゃできない寂しさ孤独感というのはすごくよく理解できます。
でもこの施設逆に戻ってこういう所で一緒に生活をする事が果たしていいのだろうかというのも私最後自分の中で考えてしまいました。
とりあえず18で今までの生活はなし。
これから自分で自立しなさいという残酷な状況に追い込まれる子どもたちに対して社会との間をつなぐ中間的な場所を提供しましょうというのは一歩前進だと思うんですね。
ただやっぱり問題なのは今おっしゃったようにこの子たちってやっぱり幼少期の体験とか幼い頃の体験から自分というものの核が出来てないんですね。
普通それは親との関係の中で自分というものの核を作っていくんですが残念ながらそれが出来てない子が多いのでVTRの中で福島先生が「依存を通じて自立」というふうにおっしゃった依存が自立に結び付くようなそういった精神的な支援というのが必要になると思います。
施設を出た若者たちというのはつまずきやすい状況にある中で西澤さんはどんなサポートが一番大事だと思います?自立っていうのは今の法的な側面から言うと自立って18まで児童福祉法は18までだからってパッとそこで切っちゃいますよね。
だけど本当の自立っていうのはある意味徐々に自分を支えてくれていた親なり養育者養父母さんそういう方から徐々に離れていくというようなプロセスだと思うんですよね。
そうするとアメリカなんかでも…。
アメリカって割と自立を早くしようという傾向あるんですけどそれでも18ぐらいから始まった自立へのプロセスが大体完成するのは28歳ぐらいだといわれてるんです。
28ですか。
その間に行きつ戻りつしながらそれぞれがいろんな課題を抱えながらそれをクリアーしていくのを周りがサポートすると…。
私は今28なので言われてすごく…。
そろそろ自立。
そうですね。
何か分かるような気がします。
やはり彼らが緩やかに離陸していくそれを支えるようなソーシャルワーカーなり今現には東京都で自立支援コーディネーターがありますがああいったものをもっと拡充させるとかそういうものに対してもっと公的資金を社会的資本を投入していって養護施設の子どもたちがそのあとも支援を受けられるようなそういう体制作りというのはやっぱり必要だと思いますけどね。
そうした施設を出た若者たちの自立に向けて何が必要なのか明日も引き続き考えていきます。
2014/07/02(水) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV シリーズ“施設”で育った私 第2回「児童養護施設の試み」[字][デ]
7月特集「“施設”で育った私」第2回は施設で育った子どもの巣立ちをどう支えるか考える。進学や就職の相談にのるコーディネーターを置くなど児童養護施設の試みに密着。
詳細情報
番組内容
7月特集「“施設”で育った私」第2回は、施設で育った子どもたちが社会でスムーズに自立していくための支援を考える。虐待などで親と暮らせずに施設で育った子どもたちは、頼れる人も少なく、社会に出て自立する際に様々な問題を抱えやすい。進学や就職の相談にのるなど、自立を支援する専門のコーディネーターを置いたり、共同生活しながら自立の準備をするための寮を作ったりなど、児童養護施設の自立支援の試みに密着する。
出演者
【出演】サヘル・ローズ,山梨県立大学人間福祉学部教授…西澤哲,【司会】山田賢治
ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者
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