あぁ…めんどくせえな。
犯罪の陰に潜む人の悪意は時に複雑な様相を見せる
例えば町工場で働くこの男。
友人の借金の保証人になったばかりに人生を狂わせた
友情を尊び男気を見せたこの男はやがて背負った借金に押し潰されある日行きつけの酒場で店主を殴り殺した。
たまっていた酒代を請求されたというただそれだけの理由で…
〜やめろ!もうやめろ!おいやめろほら!〜おい!やめろお前!やりすぎだ!わかってんのか自分がやったこと!〜
だがそこにあった悪意は店主に向けたものではなかったはずだ。
抑えていた友人への怒りが形を変えたに過ぎない
石川勝美殺害容疑であなたを逮捕します。
大事なものが入ってるだろ?ポケットに。
さぁ…。
いや〜案外てこずりましたね。
どういうつもりだ?えっ?やられたからやり返したってことか?
多くの場合人は自らの悪意に気づかない。
ほとんどの人間は現状になんらかの不満や苛立ちを抱えながらもそこに目をつむっているからだ。
しかし何かのきっかけでその悪意に形が与えられたとき犯罪が生まれる。
平凡な人間の起こす事件は大抵はそんなものだった
「ハッピーバースデートゥーユー」「ハッピーバースデーディア恭子」「ハッピーバースデートゥーユー」おめでとう。
おめでとうございます!ありがとう。
(拍手)おばちゃんお誕生日おめでとう!うわ〜ありがとう!でもね〜おばちゃんはやめてくれる?おばちゃんだろ?一哉君から見れば。
もう40になったんだから。
なぁ?あ〜あ私もとうとう40か…。
やんなっちゃう。
いや〜とても40には見えないですよ。
どう見ても30そこそこだよな?そうね。
この人ったらね私よりお姉ちゃんのほうが妹に見えるって言うんですよ。
失礼でしょう?でもほんとに若くておきれいですよね。
主人からいろいろ聞かされてはいましたけど。
あら。
何を話してたの?奥さんに。
えっ?美人のカミさんもらうと男は変わるって話ですよ。
こいつ結婚してからすっかりつきあい悪くなりましたから。
なに言ってんだ。
お前こそ郡山に戻ってからろくに連絡もしてこないじゃないか。
向こうじゃよっぽど忙しいんですか?いいえ。
お父様の跡を継いだって言っても不動産の管理だけですから。
この人もよく東京に来てますし。
えっ?そうなのか?いや…東京じゃなくて千葉だよ。
叔父が長患いでさ時々見舞いにね。
実は今日もそのついでに寄ったんだ。
やだ〜ついでだったの?あ〜いや…失言。
私は子供がいますからめったに来れないんですけど今日は強引に。
この人は嫌がったんですけど…。
子供たちだけ置いてくるのは心配だと言ったんだ。
でも来てよかった。
久しぶりに栗山さんにお会いできたし恭子さんにもお目にかかれて…。
私も嬉しかったわ。
来ていただいて。
じゃあそろそろ始めませんか。
あの腹減っちゃって…。
ちょっと待って。
先に写真撮るから。
あ〜そうだな。
そうしよう。
皆さんお姉ちゃんのまわりにお願いします。
萩野さんたちはお姉ちゃんの後ろにお願いします。
敏夫さんもっとお姉ちゃんに寄って。
じゃあいきますよ。
はい。
はい笑ってくださ〜い!一哉も笑ってね。
〜もしもし?あなた聞いてる?それがわかんないのよいつからいなくなったのか…。
敏夫さんが出張から戻ったのが昨日らしいんだけどその時にはもうお姉ちゃんいなかったんだから。
寒い…。
敏夫さん?今警察に行ってる。
そんな大げさなことになってんのか?だって今日も全然連絡取れないんだもん。
また温泉にでも行ったんじゃないか?前にもあったろ?敏夫さんが出張中に秘湯巡りになんか行っちゃってさ。
あなたには他人事なのね。
いやそういうわけじゃ…。
とにかく私もうしばらくこっちにいるから。
うん…じゃあ。
あっおかえりなさい。
どうでした?一応捜索願いは出してきました。
念のためですけど…。
すみません…。
昌子さんにも心配かけちゃって…。
いいえ…私の姉のことですから。
あっ…なんかエアコンの効きが悪いみたいで…。
あぁ…。
この家すき間風が入るんですよ。
恭子がしょっちゅう文句言ってます。
灯油の買い置きあります?どうかな。
物置にあったと思うけど見てきます。
あっいいですいいです。
私が行きます。
敏夫さん寝てないんでしょ?少し寝てください。
なんかあったら起こしますから。
じゃあそうさせてもらおうかな。
〜
(パトカーのサイレン)主任!ご苦労さまです。
ご苦労さまです。
ふざけるな!まったく甘えたことぬかしてんじゃねえぞこら!おいどうしたんだ?あっ主任。
このバカなんとかしてくださいよ!このクソ忙しい時に明日から沖縄へ行くってぬかしやがるんですよ。
疲れたから休暇取ったって。
ちゃんと係長の許可を得ましたよ。
それはこのヤマが発生する前だろうが!事件なんて年中起きてんじゃないですか。
そのたんびに休暇取り消されたらいつ休めるんですか!疲れてんのはお前だけじゃねえんだよ!みんな休みなしで働いてんだぞ!年寄り働かせてなんで若いお前が休むんだよ!おい田中。
はい?もういい。
そうっすか?でも頼みますよ。
こういうやつ甘やかすとろくなことになりませんからね。
おい物置どこだ?あっこっちです。
検視官は?絞殺に間違いないそうです。
死後は2〜3日ってとこだそうで。
おい石子。
あどうも遅くなりました。
係長。
槙原が休暇の届けを出したみたいですね。
休暇?届けを出してあるから明日から沖縄へ行くとぬかしてますが。
何言ってんだ行けるわけねえだろ。
ですよね!はっ。
亭主は奥さんの捜索願いを出したと聞きましたが。
ああうかつな話だよ。
すぐそばに女房の死体があったっていうのにな。
あ〜せめて木戸口の異変に気がついてくれてりゃもっと早く警察が入れたんだが。
木戸口は?見てみろ。
これ靴底の模様だろ?誰かが外から蹴破ったらしい。
亭主はこれに気づかなかったんですかね。
ああ。
家の中が荒らされてりゃ別なんだろうがそういうことはまったくなかったそうだ。
物盗りの可能性は?ない。
初めから女を狙ったんだろう。
事件の一報を聞いたときは亭主を疑ったんだがね。
お前さんもそうだろ。
ええまあ。
亭主は今どこに?2階だろ。
妹と一緒だ。
妹?被害者の妹だ。
死体見つけたのも妹のほうなんだ。
(ノック)ご主人の栗山さんと妹さんの高瀬昌子さんですね?警視庁捜査一課の石子といいます。
早速ですがまずは…。
奥様がああいう形で亡くなられた事に関して何かお心当たりがあればお聞かせください。
私にはまったく。
妹さんはいかがですか?最近何か不審な出来事があったということはありませんか?いいえ。
私は出張が多いもので家は留守がちなんですが何かあれば妻が話してくれたと思います。
これはたいへん失礼な質問なんですが単刀直入にお伺いします。
奥様には特別に親しい男性が…。
あの…。
私はもう帰していただくわけにはいきませんか?だいたいの事は他の刑事さんにお話ししましたしできれば今日は…。
彼女は公立の中学に勤めてるんです。
月曜日からまた授業で準備が大変だそうです。
家にはお子さんもいますし。
そうですか。
では妹さんにはまた改めて。
ごめんなさい。
いろいろありがとう。
うちの会社はトラクターなどの製造販売が主流でして私は本社の販促課で東北地区を担当しております。
では出張というのは東北ですか?はい。
1月の29日から2月の2日まで南東北を回っておりました。
行かれたのはお一人で?松下という部下が同行しました。
細かな行程は彼がたてましたから。
これが行程表です。
刑事さんは先ほど妻の男関係をお尋ねになりましたが…。
ええ。
それはちょっと考えられません。
私どもには子供がおりませんので妻は昼間わりと自由にしておりました。
けど私が帰宅したときは必ず出迎えてくれました。
妻は一見派手に見えるんですが家の事をするのが好きだったんです。
花を飾ったり料理を作ったり。
私にとっての妻はそういう妻なんです。
おい。
明日一番で栗山の部下の確認をとってくれ。
はい。
あこれ被害者のケータイです。
どこにあった?クローゼットの中の上着のポケットです。
亭主が電話してもつながらないわけですよ。
電源切れてましたから。
何か出たか?いいえ。
これ最近買い換えたばかりですね。
過去の履歴がほとんどないんですよ。
う〜ん。
おい!近所の聞き込みやってんのか!今やってきたんですよ。
ったく嫌々仕事やりやがって。
今鑑識から聞いたんだがな家族以外の指紋が出たぞ。
物置からですか?いやここと裏口それから2階の寝室から。
やっぱり…これかね。
被害者の。
おい玄関の鍵かかってない…。
おかえり。
おお前いつ来たんだ?ん?昼間。
ふ〜ん。
いいのか亭主ほっといて。
うん今出張中。
母さんは?まだだよ。
まだってどっか行ったのか?え聞いてないの?書道展だよお母さんの生徒さんの。
ふ〜んそれにしたってもう11時だ。
お祝いでもしてるんじゃない?ねえ賞とったんだってお母さんの教えてる生徒さん。
才能あったんだねお母さん。
講師の。
ただのカルチャーセンターだろ。
ただのじゃないよ。
生徒さん100人いるんだから。
えっそんなにいるのか。
はっお父さん。
自分の妻の事把握してないの?お茶。
お父さんもそろそろ意識改革が必要かな。
なんだそれ。
もっと家の事に目を向けろってこと。
あと2年もすれば定年でしょ?その一方でお母さんはどんどん忙しくなってくしこのままじゃまずいよ。
はい。
お父さん家じゃなんもしないでしょ。
なんかあるといちいちお母さん呼んじゃうしさ。
これで定年迎えてごらん。
へたすりゃお母さんに捨てられるよ。
なんで俺が捨てられるんだ。
だって邪魔だもん。
定年後の男なんて妻には。
せめて物のしまい場所くらい覚えてさお母さんいちいち呼ばないようにしときな。
ごめ〜ん遅くなっちゃった。
ああおかえり。
大丈夫だよ。
お父さんも今戻ってきたとこだから。
もう早く帰ろうとしたんだけどね。
引きとめられちゃって。
カラオケよカラオケ。
私も歌っちゃった。
「キミは覚えているかしら」「あの白いブランコ」お前酒飲んでんのか?やだ少しよ。
少しじゃないみたい。
「風を見つめて」「2人で揺れたあの白いブランコ」「ブランコ」おはようございます。
おはようございます。
それでは始めます。
栗山の出張は1月29日が仙台。
30日が山形。
31日が福島で2月の1日が一関。
最終日が2月の2日でまた仙台です。
この間栗山は部下の松下とほぼ毎日行動を共にしておりました。
31日福島14時半CMってなんだ?地元のテレビのコマーシャル撮影です。
地元向けのCMを作るんで立ち会ったみたいで。
同じ日にビジネスフォーラムってあるがこれは?それは仙台です。
仙台?この行程表では31日のビジネスフォーラムってのは福島になってるぞ。
撮影の間に栗山だけ仙台へ行ってフォーラムを見学してるんですよ。
夕方にはまた福島に戻ってます。
あとは東京戻るまでずっと部下と一緒か。
いや福島の泊まりだけは別ですね。
栗山は友人の家に泊まったそうで。
友人?ええ。
郡山に栗山の大学時代からの親友がいるんですよ。
萩野光治という地主の跡取りですが。
東京の大学を出たあとそのまま就職したそうなんですけど。
去年父親が亡くなって郡山に戻ったらしいです。
それでまあ福島の仕事のあとに栗山だけそっちへ泊まったみたいなんです。
確認とれたのか?本人にはまだですがさっき奥さんに電話で確認したところ栗山は夜の8時頃に訪問し翌朝7時台の新幹線で一関へ向かったということです。
同じ新幹線に部下が福島の駅から乗り込んでいます。
2月2日東京に戻ったのは何時だ?仙台発20時26分の新幹線に乗り込んでいますから夜の10時半頃ではないかと思います。
死亡時刻からみて…それから世田谷の自宅へ戻って女房を殺すっていうのはありえんな。
はい。
目撃情報が出ました。
1日の夜8時頃栗山の家から出てきた男がいるそうです。
そうか。
すぐに行く。
目撃情報が出たようです。
よし。
行ってくれ。
こちらが?はい。
どうも。
あなたが男性を目撃したときの状況をもう一度お話し願えませんか。
あのねピピちゃんのお散歩に出かけたんですよ。
そしたらね栗山さんのお宅から男の人が出てきてピピちゃんが吠えちゃったもんだからすごい顔してにらまれちゃったんです。
どんな感じの男性でしたか?そうねぇ…外灯のあかりだけだから…。
ちょっといい男風?彫りの深い。
歳は40代半ば…いやもうちょっと若いかな…。
彫りの深い40代半ばの男ですか。
ええ…心当たりは?ここに写ってる男性はどなたですか?右端にいるのは妹さんのご主人で私の後ろにいるのは友人ですが。
友人というと?大学時代からの親友でして今は郡山におります。
これちょっとお借りします。
槙原。
さっきの主婦に見せてくれ。
はい。
栗山さん。
31日の夜郡山の友人のお宅に寄られましたね。
はい。
そのとき出張の予定が2月2日までだということを…。
ええ話しましたが。
もしもし。
間違いありませんでした。
目撃されたのは写真の中の男です!わかった。
あの…どういうことですか?2月1日…あなたの友人はあなたがまだ東北に滞在中であることを承知のうえでここに来てます。
状況次第では任意の取り調べを向こうでやってくれ。
郡山の警察には私のほうから連絡しておくから。
わかりました。
それじゃ。
じゃあ。
(インターホン)萩野さんごめんください。
(インターホン)萩野さんごめんください。
ういっす。
おう。
(くしゃみ)これしてろ。
あいえ大丈夫ですよ。
いいからしろ。
すみません。
主任は刑事になってどれくらいなんですか?あぁ…35年かな。
その間に辞めようとか思ったことは?まぁ何度かはあるな。
それでも辞めなかったのはどうしてですか?あん?辞める…暇がなかった。
意味わかんないですよそれ。
常に目の前に事件があったんだ。
そいつに背を向けるわけにはいかんだろう。
ふ〜ん。
自分進路間違えたなって思ってるんです。
刑事って外から見てるとかっこいいけど中身は旧態依然ですからね。
ろくに休みも取れねえし。
そりゃ普通の企業のようにはいかんだろ警察は。
でも刑事だって普通の人間ですよ。
疲れれば休みたいし…。
沖縄くらい行きたいじゃないですか。
けど事件が発生すれば全部キャンセル。
おまけに田中さんには怒鳴られるし。
刑事は疲れても休むなってことですかね。
そんなことはないよ。
本当に疲れてんだったら休めばいい。
しかし田中がカチンときたのは疲れた疲れたって言いながらお前には沖縄に行く余力があったからだ。
栗山さんのことでしたら今朝東京の刑事さんから電話をいただきましてお話しましたけど。
ええ。
それは承知してるんですがご主人に直接確認したいことがありまして。
いらっしゃいますか?さあ。
ゆうべから戻ってませんからどこにいるかは…。
戻ってないってどういう意味です?温泉へ行くって家を出たんです。
私は日帰りだと思ったんですけどどこかに泊まったみたいで。
どこかって…行き先は聞いてないんですか?ええ。
どうぞ。
奥さん正直に話していただかないと困るんですけどね。
別にウソなんかついてませんけど。
まともな男なら奥さんに行き先くらい告げるでしょ。
でもそういう人なんです。
昔から…気ままな人で。
どこにいらっしゃるんですか?ご主人は。
だから知りませんよ。
あのね奥さん!槙原。
向こうへ行ってあの…係長に報告してきてくれ。
はい。
逃亡の可能性があると思います。
奥さんの様子も不自然ですし。
わかった。
何人か応援やるからしばらくそっちへ滞在してくれ。
じゃあ主人が栗山さんのご自宅の裏口から侵入して恭子さんを殺害したとそうおっしゃるんですか?ご主人がふだんお使いのクシかブラシをお借りできますか。
それからご主人のケータイの番号を教えてください。
主人のケータイです。
ケータイは持たずに出て行かれたんですか。
さあ…わざと置いていったのか忘れたのかは知りませんけど。
それ最新のGPS機能がついてるんです。
私が去年あの人の居場所を把握するために買い与えたんですけど。
でも逆効果でしたけどね…。
以前からご主人の浮気を?おかしいとは思ってました。
こっちに越してから頻繁に千葉の叔父の家へ行くようになったんで。
東京にいた頃はめったに行かなかったくせに。
東京じゃなくて千葉だよ。
叔父が長患いでさ時々見舞いにねだからそれを持たせたんですけど逆にカムフラージュに使われました。
叔父の家へ行ってそこにケータイを置いておきさえすればあとはどこへでも行けますものね。
相手のことはいつから?去年の12月に初めて恭子さんにお会いしましたけど会った瞬間にやっぱりこの人だって思いました。
私も嬉しかったわ。
来ていただいてでもあの方…賢い方ね。
私が疑っているのを見抜いてわざとこんなことを…。
あなたはどうされたんです?別に何も。
恭子さんに家庭を壊す気はなさそうでしたし1月に入ってから主人はおとなしくなりましたから。
関係は終わったと?当然でしょ。
これが恭子さんの意思表示だと思ってます。
だからご主人は栗山さんの出張中に恭子さんに復縁を迫ろうとした。
しかし拒否され殺害に及んだ。
これで動機もはっきりしましたね。
違いますよ。
確かに主人は恭子さんに会いに行ったんでしょう。
多少の未練はあったでしょうから。
でもただの浮気相手を殺すほどバカじゃありませんよ。
ご主人が東京にいらした日あなた何をなさってたんですか?昼間はPTAの集まりで学校におりました。
夕方からは卒業式のあとの茶話会の相談をここでいたしました。
もうよろしいでしょう?これで。
またPTAですので。
日曜日ということもあって大変賑わっていたということです。
一哉早く着替えなさい。
あなた一哉着替えさせてよ。
おいちょっと来てみろ。
今忙しいの。
今日写真を公開して情報提供を呼びかけました。
来てみろって。
なに?郡山市安住町のこちらのお宅に住む不動産管理会社社長萩野光治さん43歳です。
萩野さんって敏夫さんの親友だろ?どうなってんだよ?やっぱり不倫とかしてたのかな恭子さん萩野さんと。
一哉早くしなさい。
遅れるわよ。
あなた。
よく平気だな。
感心するよ。
バカなこと言わないでよ。
平気なわけないじゃない。
私だってつらいわよ。
でもどんなにつらくたってやることがいっぱいあるのよ。
家のことも子供のことも仕事も。
何怒ってんだよ?何怒ってんだよ。
なぁ?なぁ。
おはよう。
おはようございます。
おはようございます。
おはようございます。
おはようございます。
おはよう。
萩野が以前勤めていた東京の会社それから大学時代の友人関係もあたってみましたが萩野をかくまうような人間はちょっと見当たりませんね。
そうか。
戻りました。
おぅご苦労さん。
ご苦労さまです。
加藤と吉田はまだ郡山か?ええ。
2人とも女房にまだ張り付いてます。
女房はほんとに行き先を知らないんですかね?どうかな。
自分の夫に殺人容疑がかかってるっていうのに何事もないような顔して暮らしてるんですよ。
女房が亭主殺したってことはねえかな?まさか。
いやありうるぞ。
不倫のあげくに女殺した亭主なら死んでくれたほうがマシってもんだろ。
萩野には親が残してくれた資産が相当残ってるんだろうしな。
そういえば栗山も親の遺産が3億ほどあったそうですよ。
父親は何をしていた人物なんだ?栗山が勤めているサクラ電動機の役員だったそうです。
7年前に亡くなったんですがそれからまもなくですよ。
栗山が受付嬢だった恭子と結婚したのは。
男性社員の間で争奪戦だったらしいんですがね。
勝ち抜いたのが一見地味な栗山。
父親の遺産が効いたかな。
遺産といえば栗山は1億も保険に入ってたそうだ。
1億?ちょっと多いな。
恭子はまったく入っとらんのに。
ねぇこれ使える?うんタクシー代は全部オッケー。
おかえり。
おかえりなさい。
出張ご苦労さま。
何やってんだ?お母さんの確定申告。
手伝ってんの。
この子簿記やってたでしょ。
結構役に立つのよ。
今日は忙しかったからお寿司とっちゃった。
意外といいお値段したわよね。
ちょっと高いよ。
やっぱり接待費に計上しちゃおうか?いいから早くしてくれ。
ああ…はい。
ねぇ何怒ってんの?怒ってないよ。
仕事で何かあったの?最低だよ仕事の不満家に持ち込むの。
まぁうちの旦那もよくやるけどさ。
そうじゃないわよ。
お父さん温かいごはんが食べたかったのよ。
寒いところから帰ってきたんだもん。
そうでしょ?おみそ汁だけでも作ろうか?いい。
ごめんなさいね。
冷えた体にお寿司はおいしくないよね。
アナゴ好き?いいわよ。
あ〜ん。
う〜んおいしい。
気に入ったものはありましたか?お姉ちゃんの服高級品すぎて私には似合いそうにありません。
これ全部持ってってください。
いいんですか?みんな本物じゃないんですか?結婚指輪さえ残せれば僕はいいんで。
お姉ちゃんほんとに幸せでしたね。
敏夫さんと結婚して。
敏夫さん自分じゃ贅沢しないのにお姉ちゃんにはこんなに。
その代わり恭子は僕の服を洗ってくれたりうまい料理を作ってくれたり。
当たり前ですよそんなこと。
普通の主婦がみんなやってることじゃないですか。
お姉ちゃんのことは早く忘れてくださいね。
それで今度こそ敏夫さんにふさわしい人と。
僕はもう妻を迎える気はないです。
やっぱり僕の妻は恭子だけだから。
私これだけでいいです。
あとは敏夫さんの好きにしてください。
そうですか。
じゃあこれで。
さよなら。
天気よくてよかったね。
ファイト。
40!すごい
(物音)お前今までどこにいたんだよ?関西のほうに。
栗山話を聞いてくれないか?話なら警察にしろよ。
頼むよ聞いてくれ。
俺は恭子さんを殺してないんだ。
無実なんだよ。
萩野!萩野。
午後4時12分容疑者萩野光治を緊急逮捕。
ご苦労。
はい。
いいところばっか持っていきやがってこの野郎。
痛い。
ほんとに痛い。
ほんとに痛い。
ほんとに痛いから。
疑われてもしかたないとわかってます。
けどほんとに私じゃないんです。
あの家に侵入したのはしたけどそれは恭子さんにバカにされたと思ったからで。
違う…そうじゃないんだ。
ケータイをかえられたからそれで頭にきて…。
違う何言ってんだ俺は…。
おい水持ってきてくれ。
はい。
すみません。
どう説明していいかわからないんです。
自分でもなんであんなことをしたのか。
あなたと恭子さんの関係はいつから始まったんですか?去年の6月私が郡山に戻ってからです。
たまたま栗山が出張中に家を訪ねていったとき彼女のほうから…。
萩野さん。
これちょっと手伝ってくれる?あぁ親友の奥さんとそういう関係になることに抵抗はなかったんですか?それは…栗山には申し訳ないと思いました。
終わったのは?今年の1月7日でした。
彼女から会いたいってメールが来ていつも使っているホテルへ行くと今日で最後にしようと言われました。
いつも使ってるホテルとは?横浜のミナトホテルです。
窓から船が見えるので彼女が気に入ってました。
別れの予感はあったんです。
私の家内が関係を疑っていましたから。
でも私はうまくやれると言いました。
私と家内とはとっくに冷めていたし亭主の浮気を騒ぎ立てて家庭を壊すような女じゃないって。
お互い遊びだったんだしいい潮時だと思うの。
楽しい思い出だけを残して別れたいのよ。
修羅場は嫌い。
一つ聞いてもいいかな?栗山を愛してたのか?さあ…自分も栗山も手玉にとられていると思いました。
だから別れを受け入れたんです。
でも…やっぱり気になったんですよ。
彼女は本当は誰を愛していたのか。
それを確かめたくて何度かメールをしました。
ところが突然彼女がケータイをかえたんです。
あなたからの連絡を絶つためですか?そうだと思います。
それで彼女とは本当に終わったんだと実感しました。
そんなとき栗山が出張の途中で郡山の私の家に来たんです。
乾杯。
久しぶりだな。
おぉすごいな。
ほら。
サンキュー。
いつまでこっちにいるんだよ?2月の2日までだよ。
そうか今彼女は1人で東京にいる。
そう思ったらどうしても最後にもう一度会いたくなったんです。
翌日暗くなってから栗山の家へ行きました。
家にあかりが見えました。
だから彼女はいると思ったんです。
ところがいくらチャイムを押しても出てこない。
彼女の名前を呼んだんですが返事もなかった。
でも2階にはあかりがついてる。
絶対にいるはずなんだ。
それなのになんで無視するんだ。
だんだん腹が立ってついあんなことを。
でも彼女はいなかったんです。
あとで思い出しました。
昔栗山の家に泥棒が入ったんです。
それ以来留守でもあかりはつけたままにしておくんだと栗山が言ってたことを。
なぜ姿をくらませたんです?逃げれば余計に疑われると思わなかったんですか?事件のニュースを見たとき気が動転したんです。
私は指紋をたくさん残していますから。
でも刑事さん私じゃないんです。
物置にだって近づいてないんです。
ほんとに一歩だって近づいてないんです。
信じてください。
信じてください!田中鑑識の報告書を出してくれ。
はい。
何だ?えぇ…萩野は殺しに関してシロかもしれませんね。
住居侵入罪に関しては本人も認めています。
しかし殺しに関してはシロの可能性が高い。
根拠は何だ?指紋です。
萩野の指紋は部屋から大量に出ていますが物置からは一切出ていません。
それは初めからわかってたことじゃないですか。
物置から萩野の指紋が出なかったのはたまたま手にしていた布か何かで扉を開けたんじゃないかって。
私も初めはそう思ってたがどうやら違うようだ。
えっどういうことですか?指紋にはな古い指紋とその上に付いた新しい指紋があるだろ。
あの物置の扉からは死体を発見したときの妹の指紋が検出されたとしか報告されていない。
本来あるはずの古い指紋が出なかったということは犯人が自分の指紋を消すためにふき取ったからだ。
そのことがどうして萩野シロ説になるんですか。
萩野が消したかもしれないじゃないですか。
なんで消したんだよ。
そりゃ気づいたんですよ。
ここに指紋を残したらまずいって。
犯人なら当然でしょ。
ならなんで萩野は部屋のほうの指紋を残したんだ?それは…。
それは余裕がなかったんですよ。
殺しのあとは一刻も早く逃げたいのが犯人の心理でしょ。
余裕がないのにわざわざ物置に死体を隠したのはなぜだ?発見を遅らせるためです。
発見を遅らせれば死亡時刻をごまかせると考えたと思います。
大量の指紋を残しながら死亡時刻をごまかすことにどんな意味があるんだ。
そこまではわかりませんよ!萩野に聞いてみなければ。
槙原自分がワッパかけた萩野をシロと言われておもしろくねえのもわかるがよ。
確かに萩野の行動には矛盾があるんじゃねえか?殺人は異常な行動じゃないですか。
普通の精神状態じゃない人間の行動に多少の矛盾があったって何の不思議もないでしょ!やつですよ。
他に誰がいるんです。
それをこれから調べるんだ。
だから調べたじゃないですか!調べて萩野になったんでしょ!郡山まで行って3日も向こうの警察に泊まり込んで。
萩野の奥さんのアリバイまで調べたじゃないですか!もういい!石子の話はもっともだ。
萩野はシロとは断定できんがクロとも断定できんだろ。
あいつ…。
こらお前!何だよ!おいこら!お前警察辞める気か!おい田中。
ほっとけ。
いやでもこのままじゃあいつ辞めますよ。
大丈夫だよ。
大丈夫かなぁ。
大丈夫じゃないんじゃないかな。
全然大丈夫だったな。
じゃあ主任は萩野の他にも恭子に不倫相手がいるっていうんですか?いるとは言ってない。
可能性があると言ったんだ。
そんなこと言ったら何だってありますよ!ストーカーの可能性から変質者の可能性隣近所のトラブルから友人関係のトラブルそれこそ山のようにね!あいつ開き直りやがった。
確かにお前の言うとおり可能性なら山のようにある。
その一つひとつを潰していくのが俺たちの仕事だろ。
いいかこれから横浜に行ってくれ。
萩野と恭子が密会に使ったミナトホテルだ。
目的は…。
恭子が他の男とそのホテルに現れなかったか調べろということですか。
わかってんだったらさっさと行ってこい。
槙原!お前さんもずいぶん丸くなったね。
え?昔だったら怒鳴りつけてるとこだろ。
私の息子といってもいいくらいの歳ですからね。
怒鳴る気にもなりませんよ。
姉は贅沢が身についてるんです。
独身時代から姉がつきあう人はみんなお金持ちでしたから。
食事は高級レストラン旅行は海外プレゼントはブランド品。
私の夫がデートで連れてってくれた所は牛丼屋ですからね。
姉ならその場で帰りますよ。
しかしお姉さんが結婚相手に選ばれた栗山さんは父親の遺産があったとはいえごく普通のサラリーマンですよね。
姉が求めていたのはただお金がある人ではないんです。
自分を自由にしてくれる人。
自由も贅沢ですから。
姉は自分の魅力をよく知ってました。
それを最大限利用して生きた人だと思います。
ひとつ気になることがあるんですが。
栗山さんは恭子さんの不倫には本当に気づいていなかったんでしょうか?敏夫さんは姉を理想化してました。
だから真実が見えなかったんです。
人は自分の理想だけを愛する者に求める。
愛の側面にはそういうエゴもあると思うんです。
最も敏夫さんだけに限りませんけど。
そうだ…私刑事さんにお聞きしたいことがあったんです。
何でしょう?警察が押収した物の中にクリーニングの引換券がなかったでしょうか?クリーニングの引換券ですか?いや。
そうですか…。
じゃあどこにいったんだろう。
何かなくされたんですか?姉のワンピースがないんです。
誕生日の時に着てたピンクのワンピースなんですけど。
あぁ…。
あれほんとは私が買おうとしてた服なんですよ。
去年姉に会う用事があって一緒にデパートに行ったんです。
その時にあの服を見つけて。
2人で試着したんですけど姉のほうがずっと似合ってて…。
すてき…結局あの服は姉に譲ったんですけど形見分けのときに見当たらなかったんです。
それで姉がクリーニングに出したと思ったんですけど敏夫さん姉がどこのクリーニング店を使ってたか知らないんです。
すみませんつまらないことお聞きして。
いいえ。
(クラクション)じゃあ私あれに乗りますので。
どうも。
〜クリーニングの引換券がどうしたんだ?いえ…ちょっと。
萩野に会ってきます。
あ…今離婚訴訟専門の弁護士が来てる。
え?奥さんがよこしたんだよ。
あ〜そうですか。
妙に落ち着いてると思ったらこれを考えてたんですねあの奥さん。
萩野の財産根こそぎ持っていくんじゃないか?
(くしゃみ)
(ドアが開く音)自業自得…ですね。
離婚は受け入れたんですか?子供のためと言われりゃ反論できないですよ。
この立場じゃ。
萩野さん栗山家に侵入したとき何か持ち去ったものはありませんか?泥棒じゃありませんよ私は。
恭子さんが誕生日に着ていたワンピースがなくなってるんですが心当たりありませんか?部屋の中はどうでした?きれいに片づいてました。
まるで掃除したてのようにホコリひとつなかった。
寝室のベッドも乱れひとつなくて恭子がこんなに完璧に家事をやることにちょっと驚いたぐらいです。
恭子は恭子なりに栗山との暮らしを大事にしてたんですかね。
あなた方の関係ですが栗山さんが気づいていた可能性はありませんか?ないと思います。
うまい家内が密告でもすれば別ですが。
行ってきました横浜のミナトホテル。
従業員は恭子の顔を記憶しておりましたが萩野以外の男を連れ込んだことは一度もないということです。
ついでに近所のホテルを4軒あたりましたがそこでは恭子の顔すら記憶されておりません。
以上。
槙原一緒に来い。
めんどくせえな。
〜ございませんね。
そうですか。
ありがとうございます。
あぁこれかな?ピンクのワンピースね。
1月の27日にお預かりしました。
じゃあまだこちらに残されてるんですか?いえ奥さんが引き取りに来られましたよ。
引き取った?いつ?1月の31日の日付になってます。
確か午前中にいらっしゃったんじゃなかったかなぁ。
なんか急に出かけることになったからこれを着るんだっておっしゃってましたけど。
31日の午前中…。
そんなに重要ですかねワンピース1枚なくなったことが。
本人が捨てたんじゃないですか?汚したか何かして。
捨てた?いつ?どこで?出先から戻ったとき家で。
家の中にはない。
(ため息)ゴミとして出したに決まってるじゃないですか。
なぜだ?なぜお前はワンピースは捨てたと簡単に片づける?なぜだ?いや…そんなに重要なことには思えなかったんで。
1月31日は犯行があったかもしれない日だ。
被害者がその日に着てたはずのワンピースが消えたことにお前はなぜ疑問を持たん?〜槙原お前にとって事件とは何だ?飯のタネか?違いますよ。
お前に一つだけ忠告しておく。
わかったつもりになるな。
お前のそのつもりが被害者や容疑者の一生を左右することになるんだ。
〜昔な石子が今のお前とちょうど同じ頃同期の出世頭と期待されてた。
誰よりも仕事熱心だったからな。
ところがある日石子が逮捕した男が公判を前に首をくくるという事件が起きた。
あとで男はシロとわかった。
デカにとってこんなつらいことはねえよな。
石子も一時は警察を辞める気になった。
しかしそれで終わりにできるほど石子はガキじゃなかったんだな。
きつかっただろうなほんとは。
けど石子は男の死を無駄にしたくなかったんだろう。
どうぞ。
それからもデカを続けてあと2年で定年だ。
石子がかわいそうとか偉いとかって話してんじゃねえぞ。
お前のそばにはそういう先輩がいるって話だ。
教えてもらえもっと素直に。
ありがたくな。
ありがとうございました。
ごちそうさま。
いらっしゃいませ。
熱燗2つ。
それからガンモと大根。
はいわかりました。
明日から聞き込みをやり直します31日の。
彼女がどこへ行ったのか徹底して探ってみます。
うん。
お待たせしました。
アチ…。
すみません。
そうですか…1月の31日に姉はあのワンピースをクリーニング店から引き取ったんですか?ええそれを着てどこかへいらしたようなんですが行き先はまだつかめていません。
敏夫さんに心当たりはないんですか?わからないとおっしゃってます。
ドライブにでも行ったんじゃないのか。
車買い換えたばっかりだろあそこ…痛い痛い…。
ああそういえば高級車をお持ちでしたよね栗山さん。
あれ姉が強引に決めたんです。
敏夫さんは国産車でよかったのに。
(インターホン)はい。
サカタ急便ですがお届けものです。
俺出るわ。
あの車1,000万ですって。
うちじゃ考えられません。
おい吉永先生の快気祝いだぞ。
バカに早いな。
この間手術したばっかりだろ。
この間ってもう2か月くらいになるわよ。
いつだっけ?お前が見舞いに行ったの。
1月の7日。
そのとき手術から1か月くらい経ってたもの。
こら一哉やめなさい!こら!ちょっとお行儀よくしなさい。
ほら怒るよ。
横浜ですか?お見舞いに行かれたのは。
え?あぁ昌子の大学時代の恩師なんですよ。
ガンの手術のあと自宅療養されましてね。
いい環境だそうですよ。
窓から船が見えてね。
〜今年の1月7日でした1月の7日。
横浜のミナトホテルです。
窓から船が見えてね。
窓から船が見えるので彼女が気に入ってました栗山さんが気づいていた可能性はありませんか?ないと思います。
家内が密告でもすれば別ですが。
恭子さんに家庭を壊す気はなさそうでしたしあの…松下です。
あの…何かあるんでしょうか?出張のことで何度もこんな…。
ただの確認です。
それで1月31日は?1月31日は1時半に福島支店での会議が終わりましたのでそのあとは私だけ地元向けのCM撮影を見学しました。
その間係長は仙台でビジネスフォーラムを見学されましたが夕方6時には福島に戻られてます。
そのビジネスフォーラムの会場で誰か知り合いに会ったというような話を栗山さんしてませんでしたか?いや別に。
それじゃあそのフォーラムの内容については?特に聞いてないんですが…。
2月2日最終日は再び仙台に戻られてますがこれは?南東北地区の全体会議です。
それをまとめて本社にメールで報告してから東京へ戻りました。
仙台発20時26分ですか。
お二人は東京駅で別れたんですね?いいえ。
違うんですか?私は大宮でおりました。
家が浦和なんで。
あぁ…そうだったんですか。
2月2日の?駅の防犯カメラですか?ああ。
いいえ3NG’してませんけど。
だって死亡推定時刻から考えるとその日は別に…。
いや防犯カメラのビデオは一週間で消去されるんで今からじゃもう確認できないですね。
そうか。
わかった。
仙台発20時26分の新幹線に乗車してますから。
私は大宮でおりました。
家が浦和なんで敏夫さんは姉を理想化してました。
だから真実が見えなかったんですすてき。
姉のワンピースがないんです
(ため息)主任何ですか?これ。
うん?栗山の犯行の可能性を探ってる。
栗山?うん。
彼がやったとするならこの時だ。
いやそれはないでしょう。
どうしたんですか?主任。
だって無理でしょう。
13時半に福島にいた栗山が東京で犯行を犯して18時にまた福島に戻るなんて。
あぁほら。
見てください。
福島発13時47分の新幹線に飛び乗ったとしても東京着は15時24分です。
自宅との往復を1時間半としても東京から福島に向かう新幹線に乗れるのは17時です。
ほらこの時点でアウトじゃないですか。
犯行が東京ならアウトだ。
え?お前今までどこにいたんだ?ずっと聞き込みしてましたよ。
もうクタクタです。
いやでもおかげで1月31日恭子がクリーニング屋からワンピースを出したあと車で出かけていることだけは確認できました。
え〜世田谷東通りのガソリンスタンドに寄ってるんです。
よく頑張ったな。
いやでもそこからどこへ行ったのかがまだ…。
Nシステム調べてみろ。
東京中の?東北自動車道のNシステムだ。
天気よくてよかったね。
ファイト!会社に辞表を出されたそうですね。
ええ。
なんだか気力がなくなったというか…。
働く張り合いがない感じで。
どうもいけませんね。
一人は。
今日は何か?署にご同行ください。
私が疑われてるんですか?恭子を殺したと?はいそうです。
そんな…私は部下と一緒にずっと東北におりました。
それなのにどうやって恭子を?我々は騙されました。
遺体の赤いガウンに。
あれは犯行が東京の自宅であったと思わせるためにあなたが着せたものでしょ?しかし実際に奥様が殺されたときにはピンクのワンピースを着てらしたと思います。
死因は絞殺。
ワンピースには汚物や体液が付着したはずです。
だからあなたはワンピースを捨てた。
違いますよ!そんなこと私は知りません。
おかしいじゃないですか。
私は部下と一緒に東北へ行って部下と一緒に東京へ戻ってきた。
いったいいつ妻を殺せるんですか?Nシステムご存じですか?Nシステム?主要道路にある監視カメラのようなものです。
あれは車のナンバー自動読み取り装置です。
そこにお宅の車のナンバーがありました。
1月31日午後1時東北自動車道下り車線。
運転されていたのは奥様です。
2月2日仙台から部下の方と東京へ戻られたあなたはその足で下り新幹線に飛び乗って東北へ戻られた。
戻った先に奥さんの遺体を隠した車があったはずです。
違う。
違う。
栗山さん…。
あなた本当は後悔しておられる。
あとはあなたからお聞きしたい。
奥様をどこに呼び出しどうやって殺害し車をどこに隠したか?大丈夫です。
逃亡の意思はないようです。
この公園は恭子とよく走りにきた場所なんです。
ねぇねぇどっちどっち?まっすぐ行こう。
こっち?まっすぐ?右側?まっすぐねあんなものが届かなければ私と恭子は今でも…。
奥様と萩野さんの関係にはいつ?1月の半ばです。
私の会社に封書が届いたんです。
差出人不明の。
はじめは何かの間違いだと思いました。
しかし思い当たるふしもあったんです。
恭子に問いただすことはできませんでした。
なぜかあの笑顔を見るとできないんです。
あっワインにしようか?ねっ。
ああ…でもあの写真は片ときも頭から離れなかった。
よりによってなんで萩野なんだ?そう思うと体が震えました。
10日の間苦しみぬきました。
そして決心したんです。
こんなに苦しいならいっそ…。
それからの私は殺人計画に没頭しました。
自分の出張を利用して留守宅の殺人を練ったんです。
そうしていると嫉妬から解放された気分でした。
1月31日の朝恭子に電話をしました。
1日だけスケジュールが空いたから那須まで来ないかって。
恭子好みのフレンチを見つけたと言ったら喜んで来ました。
落ち合ったのは那須塩原の駅です。
恭子は私がいちばん好きなワンピースを着てました。
落ち合ったあとは私が運転していきました。
私が目指したのは雪深い会津への道です。
山の中に入り人けのない場所で車をとめました。
ねぇどこなの?何もないじゃない。
ホテルに行く前に話があるんだ妙なことに私はすぐに殺人を実行せずなぜか保険の話を始めました。
私は恭子のために1億の保険に入っています。
それを減額したいと言いました。
なんでそんな話をしたのか…。
たぶんずっとそのことに不安を感じていたからだと思います。
嫌よ不安は的中しました。
私の生活はどうなるの?恭子はこれまで見たこともない冷ややかな目で私に言ったんです。
1億は最低の保障よ本当はわかっていました。
恭子が私と結婚したのは私が恭子のわがままを受け入れる男だったからです。
けど見たくなかった。
こんな恭子をあの写真のような妻を私は見たくなかった!〜ワンピースはそこで処分されたんですか?はい山の中に捨てました。
ガウンは私が新しく用意したものを着せました。
車はどこに?宇都宮です。
恭子の遺体を車のトランクに隠して駅の近くの有料パーキングに3日間の予定でとめました。
それからすぐに新幹線で福島へ戻りました。
あとは刑事さんのおっしゃったとおりです。
いったん東京に戻ってから宇都宮に引き返して車をパーキングから出すとひたすら運転して東京に戻りました。
私が妻を殺しました。
失いたくなかったのに自分の手で抹殺したんです。
もしあれがあんな写真が届かなければこんなことにはならなかった。
たとえ恭子が外で何をしてようと私には完璧な妻だったんです。
でもあの写真がそんな私の甘さを打ち砕いたんです。
これが真実だと突きつけて私を粉々にしたんです。
刑事さん。
誰があんな写真を私に送りつけたんでしょう。
誰が誰があんなものを!〜栗山さんは今でもあの密会写真が誰によって送られてきたのかわかっていません。
あの密会写真の及ぼす影響の重大さを十分にわかっておられた。
だから匿名にして送られたんでしょう。
私の役目は終わりました。
もうこれでお会いすることもないでしょう。
では。
私が姉を殺した。
私の中の姉への嫉妬やねたみが事件を引き起こした。
刑事さんはそう言いたいんですよね。
そのとおりです。
認めたくないけどそのとおりなんです。
うらやましかったんです姉が。
いつもきれいでみんなにチヤホヤされて自由で。
あんなに身勝手なのに私よりずっと幸せそうで。
私はいろんなことを我慢しながら生きています。
ほしい物も自由な時間も新しい恋だって。
いろんなことを我慢しなきゃまともに生きられないじゃないですか。
みんなそうでしょ?でも姉は…。
姉だけはわがままが許されるんです。
許しちゃいけないのに。
許しちゃいけないから私は!お願いします。
はいいってらっしゃいませ
(シャッター音)私がしたことがこんなに大きな事件になるなんて思わなかった。
ただほんの少し姉に罰を与えてやりたかっただけなんです。
私の仕事は人の悪意と向き合うことが多い。
何十年もそうやってきました。
いまだに何が正しく何が間違っているかは容易には見抜けません。
〜やっ!さあこいかかってこい。
しかしここ持ってどっひゃ〜!もう1回?じゃあ押せ押せ。
もっと押せ。
4月からですか?でもこれ以上教室を増やすのは…えぇ。
何探してるの?つめ切り。
その下の段。
やっぱりこれ以上は。
えぇ申し訳ございません。
失礼いたします。
あった?うん耳かきは?えっ?耳かきはその下よ。
あぁあった。
何やってるの?ん?奈々に言われたんだよ。
何がどこにあるかくらいちゃんと覚えろって。
いちいちお前に聞くんじゃないって。
だからこうやってちゃんとメモにして覚えてる。
そんなの定年後でいいわよ。
そうかな?あなたピアノやれば?えっピアノ?昔ピアノやりたかったって言ってたじゃない。
仕事に追われてできなかったんだからこの際やっちゃえば?好きなことをガンガンやって定年後は羽ばたかなきゃ。
私だって羽ばたいちゃうもんね。
お前まだ羽ばたくの?そうよ。
カラオケだってどんどん行っちゃうしあなたがピアノ弾いたらね私歌っちゃう。
今まで仕事に追われてやってきたんでしょ?お父さん。
一度荷物おろしてリセットよ。
第2の人生2人で楽しもう。
うん。
あ…俺本当はさピアノより三味線やりたいんだ。
三味線!?うん。
おはようございます。
おう。
あっやる。
えっいいんですか!?ありがとうございます。
2014/07/02(水) 13:00〜15:00
テレビ大阪1
午後のサスペンス 松本清張特別企画「留守宅の事件」[字]
妻は何故殺されたか?密会と密告の罪深い闇 空白5日間の不在証明を追う刑事達の執念!!
詳細情報
番組内容
栗山敏夫の出張中に、妻・恭子が殺害され自宅物置から遺体で発見された。警視庁捜査一課の石子らは、敏夫の留守を狙った第三者の犯行であると睨み捜査を開始。やがて石子の部下・槙原が、栗山の家から怪しい男が出て来るのを見たとの目撃情報をつかむ。捜査の結果、その男は栗山の大学時代の親友・萩野であることが明らかになるが、萩野は姿を消し・・・。
出演者
石子隆明・・・寺尾聰
槙原秀則・・・柄本佑
石子静江・・・高橋惠子
栗山敏夫・・・野村宏伸
高瀬昌子・・・戸田菜穂
林晋一郎・・・宇崎竜童
田中徳則・・・高橋和也
栗山恭子・・・伊藤裕子
萩野あさみ・・濱田万葉
萩野光治・・・堀部圭亮 ほか
原作脚本
【原作】松本清張
【脚本】坂上かつえ
監督・演出
【監督】本木克英
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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