若者たち2014 #02 2014.07.16

(鈴の音)
(旭)理屈じゃねえんだよ!
(旭)家族だから一緒に住む。
それはごもっともな意見だしこれ以上ない理屈だよ。
ああ。
でもな肝心なことを間違えてる。
お前は家族じゃねえ。
(暁)そんなわけないでしょう。
(暁)ほら。
見てよ。
(旭)うん?
(暁)俺の名がさんさんと輝いてんじゃないの。
まぶし過ぎて見えないとか言うなよ。
(旭)言わねえよ!こんなもんはなこうしてこうしてこう!
(旭のわめき声)
(陽)何言ってるか分かんないよ。
(旭)お前とは縁を切ったんだ。
二度とうちの敷居をまたぐんじゃねえ。
(暁)そんなこと言っていいの?お前だってこいつらに縁切られたんだろ?
(旭)うん?あれはだな…。
(暁)衝突したらしいじゃん。
何が理由か知んねえけど。
まあそう邪険にすんなって。
また昔みたいにみんなで仲良く暮らそうじゃないの。
(旦)ふざけんなよ。
俺らがどんな目に遭ったのか分かってんのか?あんたのせいで俺は学校でいじめに遭ったんだよ。
犯罪者呼ばわりされて高校だって中退したんだよ。
(暁)痛い痛い痛い。
ハル兄だってな大手の就職を落とされたしアサ兄や姉ちゃんだって職場で肩身の狭い思いしてんだよ。
全部あんたのせいだ!
(暁)痛いって言ってんだろ。
童貞が盾突いてんじゃないよ。
(旦)だから俺は童貞じゃねえ!
(暁)あっそうなの?それはおめでとう。
(旭)やめろ!もう。
(ひかり)大丈夫?
(暁)甘やかすなよ。
脱ゆとりに対応できねえぞ。
(陽)俺もサト兄の同居には反対だね。
(暁)何だよ?陽まで。
(陽)問題はサト兄の態度だよ。
全然罪を悔いている様子がない。
そういう人間は必ずまた同じ過ちを繰り返す。
(暁)随分なこと言ってくれるね。
そもそもお前の言う罪を悔いてる様子って何だよ?人さまと目を合わさないように道の端っこを歩けばいいのか?公衆の面前で反省文読み上げりゃいいのか?俺はな刑務所に2年もいたんだよ。
もうじゅうぶん罪は償ったわけ。
再出発試みて何が悪いんだよ?
(旭)屋代さんには謝罪したのか?
(暁)あっ?お前が3,000万をだましとった屋代昌江さんにはちゃんと謝ったのかって聞いてんだよ!
(暁)そいつは無理だな。
もう死んじまったんだから。
出所の日娘を名乗る女が教えてくれたんだよ。
(旭)えっ?いつ亡くなったんだよ?
(暁)もうすぐ四十九日とか言ってたから1カ月以上前じゃない?その女会っていきなり「あんたが母を殺したんでしょ」なんて言うからびっくりしたよ。
(旭)お前。
お前何やったんだよ?
(暁)何もしてねえよ。
それとも何か?ムショから念力でえいって殺したとでもいうのか?病気で死んだんだよ。
単なる逆恨みってやつだ。
(旭)本当だろうな?
(暁)えい!どう?死んでくれた?
(旭)んっ!だったら家族に謝ってこい。
(暁)はっ?
(旭)屋代さんの家族は殺されたって思うぐらいにお前のこと許してないってことだ。
だったら家族に謝るのが筋だろ。
屋代さんの家を訪ねて線香上げてこい。
話はそれからだ。
(暁)相変わらず変なところで頑固だね。
(旭)うるせえ!それができねえなら出てけ!
(暁)分かった分かった。
もう行くよ。
(暁)だったら金貸してくんない?危ねっ。
念力で殺しちゃうぞ。
(旭)いいから出てけ!こっちだってな給料日まであと5日もあるんだよ。
その面二度と見せんじゃねえ。
(暁)じゃあ金は返さなくていいってことね?
(旭)えっ?へそくりの場所変わってねえな。
チャオ。
えっ?えっ?えっ!?なっ。
何だよ?あの野郎。
あるじゃねえか。
バカ野郎。
脅かしやがってよ。
おいひかり。
ひかり。
塩まいとけ。
塩。
バカ野郎。
ホントに。
11位はかに座の…。
(旭)ぶーっ。
おい。
COUNTDOWNHYPERやってる。
ああー。
まずい。
そして今日最も悪い運勢は。
ごめんなさい。
おひつじ座のあなたです。
勢いだけで行動すると失敗しがち…。
毎度あり。
(旭)あのう。
すいません。
あのう。
すいません。
あっ。
ああ。
屋代さんですか?
(旦)何これ?
(香澄)責任取ってくれるよね?
(陽)妊娠!?
(旦)実はよく覚えてないんだよ。
(旦)酔いつぶれて目を覚ましたら全て事が終わってたんだよ。
(陽)おい。
お前それホントに妊娠してんのか?
(旦)うん。
あの。
あれ何だっけ?
(陽)えっ?
(旦)あっ。
妊娠検査薬っていうやつも見せてもらったし。
あのう。
産むなら結婚。
おろすなら10万くれって。
ハァ。
(陽)ハハッ。
ああ。
分かった。
俺が話つけてやるよ。
(旦)ホントに!?ホント?・
(戸の開く音)お前その代わり分かってんな?
(旦)掃除当番無償で頑張ります。
(旭)ただいま。
(陽・旦)おかえりなさい。
(旭)ああ。
行ってきたよ。
屋代さんとこ。
(旦)あっ。
どうだった?
(旭)うん。
まあ要するに暁の事件が影響して病気が悪くなったんじゃねえかって。
(陽)言い掛かりだよ。
サト兄が逆恨みだって言うのも分かる。
ああ。
でもなもっと気になるのがさ昌江さんの部屋が散らかってたんだよ。
(陽)四十九日が終わるまで遺品整理しないケースだって多いし。
(旭)そりゃそうかもしんないけど何か引っ掛かんだよな。
・ごめんください。
(陽・旦)はーい。
(旭)はーい。
あっ?
(陽)はいはい。
ごめんなさい。
(旭)あーちょっちょっ…。
いやいや。
いい。
俺が行くよ。
(陽)何だよ?痛いな。
(旭)ちょっちょっちょっ。
どうしたの?急に。
(梓)いや。
まだご家族に挨拶してないから。
サプライズってやつ。
(旭)そんな心臓に悪いドッキリいらないよ。
(梓)何かしてた?あっ。
いやらしいこと?
(旭)違うよ。
まあ色々とね。
(梓)はいこれ。
ギョーザとコロッケ。
お店から。
(旭)おう。
ありがと。

(旦)誰?あっ。
もしかしてできちゃった婚の?
(旭)おめでた婚だよ。
(梓)初めまして。
澤辺梓です。
(梓)うん?4人きょうだいじゃなかったの?
(旭)ごめん。
あのう。
でもまだ話の続きがあって。
(梓)ホントは6人きょうだいとか?
(旭)いや。
あのう。
実はさこいつが2年前に詐欺事件で捕まって最近まで刑務所にいたんだ。
(梓)うん?
(旭)あっ。
(梓)えっ?えっ?えっ?・
(旭)違うって。
違う。

(梓)あっ!?あっ!?やーだ。
(旭)ああ。
あったあった。
証券を偽造して資産家の女性から3,000万をだましとって…。
(梓)ちょっちょっ…。
待って。
何で隠してたの?これってうちらにとってもおっきな問題だよね?
(旭)家族に犯罪者がいるってことが。
(梓)ずるいよ。
そういう言い方。
(旭)考え直したくなった?そんな半端な覚悟で決めたわけじゃないから。
(梓)だったらさ会わせてよ。
(旭)えっ?
(内海)《新城先生?今日家族でスカイツリー観光だって》《奥さんとお子さんを案内するからってガイドブック読み込んじゃってさ。
何か意外じゃない?》・
(一同)・「野球するならこういう具合にしやしゃんせ」・「アウトセーフよよいのよい!」イェーイ!イェーイ!敵討ち成功。
(ひかり)はっ?・
(一同)脱げ脱げ…!
(陽)投げろ!投げた!あっ。
姉ちゃんおかえり。
(ひかり)何なの?
(梓)どうも初めまして。
(陽)この人は澤辺梓さん。
アサ兄の婚約者。
(旦)でき婚だよでき婚。
できちゃった婚の。
(旭)だからおめでた婚だっつってんだろ。
(ひかり)色々思考が追い付かないんだけど。
ねえ?何でいんの?何でいんの?何でだっけ?
(梓)私が会いたいって。
謝罪がどうとかっていうのは?
(旭)あっ。
そうだお前。
謝罪に行け謝罪。
(暁)全部水に流してくれたんじゃねえのかよ?酒まで振る舞って損したよ。
(旭)そうだよお前。
酒なんか買う金なんかよどこで…。
えっ?えっ!?お前この金…。
(暁)ハハッ。
バレちゃった。
(旭)ああ…。
(陽・旦)スイッチオン。
こつこつこつこつこつこつこつこつためた俺の金をよ!今回だけはマジで許さねえ。
マジで許さねえぞあの野郎。
よっしゃ。
お前…。
バカ野郎。
(暁)何してんの?やめろ!
(旭)人の金盗んどいて罪を償ったなんてよく言えるな。
全然反省してねえじゃねえか。
自分の犯した罪の大きさ分かってんのか?
(梓)やめなって。
(旭)いいんだよ。
こいつにはちゃんと言っといた方がいいんだよ。
俺の金はなまだはした金だ。
でもな昌江さんは3,000万。
3,000万もの大金をお前にだましとられたんだ。
それで昌江さんがどれだけ傷ついたか分かってんのか?ステレオタイプの説教しかできねえのかよ?誰がすててこパンツだこの野郎。
(陽)ステレオタイプね。
意味はありきたり…。
(旭)うるせえ!お前な昌江さんだけじゃないんだよ。
お前はその家族も悲しませたんだ。
それを何だ?パンツいっちょでへらへらしやがって。
(暁)お前に言われたくねえよ。
(旭)うるせえ!いいから家族に謝ってこい。
(暁)被害者が傷ついたとかその家族が悲しんでるとかどうしてそんなことが分かんだよ?
(旭)そんなもん普通に考えりゃ分かんだろうが!
(暁)お前の物差しはきっとこんなもんだろうね。
中卒バカにしてんのか!
(陽)違うよ。
度量の問題だ。
(旭)えっ?
(陽)アサ兄の普通が他の人の普通とは限らないとそう言いたいんだろ?
(暁)さすが国立大。
お前のちっちぇえ物差しじゃ測れない思考や感情が世の中には渦巻いてんだよ。
(旭)知ったような口利いてんじゃねえお前この野郎。
だったらお前の言う謝罪って何だよ?やみくもに謝ればそれでいいのか?もうしませんって家族の前で誓えばそれで満足なのか?
(旭)ああそうだよ。
それで救われる人間もいる。
痛っ!?
(暁)お前みたいなやつがマスコミの報道全てうのみにすんだろうな。
(旭)何が言いてえ!世の中にはいろんな側面があるってことだ。
色眼鏡外してこの薄汚え世の中を見てみるんだな。
(ひかり)ちょっと…。
(旭)くっ!
(旭)バカ野郎!二度と来んじゃねえ!何だ?あの野郎。
開き直りやがって。
(陽)きっとサト兄は…。
(旭)うるせえ!もう寝る。
・危ねえ。
・早く寝ろ!
(ひかり)ごめんなさい。
いっつもこうで。
(梓)ううん。
こう言うと語弊があるかもしれないけど何か楽しかった。
私ねきょうだいがいないからああいうケンカ見ると妙にテンション上がっちゃって。
(ひかり)私は一人っ子に憧れるけどな。
(梓)えっ?
(ひかり)だってうちぼろいし部屋狭いし何かと干渉してくるし。
プライバシーなんて皆無だもん。
(梓)けどお兄さん。
いっつもみんなの話ばっかりだよ。
ひかりさんの職場のこと知りたくて。
あれ何だっけ?NICU?
(ひかり)NICU。
(梓)…の本立ち読みしたり陽君のために学生の舞台見に行ったり。
(ひかり)えっ?
(梓)後ね旦君が予備校で同級生とうまく会話ができるように話題探したり。
初めはこの人損してるなって思ってたけど家族の幸せが自分の幸せだって言えるなんてすてきだなって思うようになって。
だからうらやましい。
確実に私より大切にされてるからね。
(ひかり)梓さん帰ったよ。
いい子だね。
あのさ新城さんのことなんだけど。

(旭)不倫は駄目だ。
誰も幸せにはならない。
けどお前にとっては支えなんだろ?俺にはよく分かんねえし分かりたくもねえけどそういう世界もあるんだろうよきっと。
俺は人よりも度量が狭いらしいからいまいちぴんとこねえけどよ。
(ひかり)アサ兄。
(旭)もちろんお前には別の人と一緒になってもらいたい。
けどどうにもならない気持ちを無理に抑え込んでもしょうがないことぐらい分かってる。
だからお前はお前で悩め。
自分で答えを出せ。
(旭)相談ならいつでも乗るから。
ありがとう。
おやすみ。

(子供たち)うわー!逃げろ!逃げろ!
(暁)労働は生きてる証し。

(陽)うん。
確かに陽性だね。
(陽)じゃあ次はこれでお願い。
今トイレで確認してきてもらえるかな?
(香澄)何で?
(陽)これね君が妊娠した友人から譲り受けたり産婦人科近くの公衆トイレで拾ったりするっていう可能性があんのよね。
(香澄)証拠は?
(陽)ないよ。
だから確かめんじゃない。
これで。
(香澄)今トイレに行きたい気分じゃないし。
(陽)待つよ。
1日でも2日でも。
用事があるなら同行する。
(香澄)意味分かんない。
訴えるから。
(陽)訴えて困るのはどっちかな?
(香澄)もういいよ。
(旦)じゃあ…。
(香澄)妊娠は嘘。
っていうかやってないし。
(旦)えっ?
(香澄)何で私があんたと寝なきゃいけないの?
(陽)ハハハ!何がおかしいの?
(陽)いやぁ。
大した女だなと思って。
(陽)その開き直り方からすると寝ないで金をゆすったのは旦だけじゃなさそうだね。
(香澄)男がバカなんでしょ?やることしか頭になくて妊娠したって言ったら急に青ざめて。
みんな一緒。
(旦)ふざけんなよ。
謝れ。
俺をだましたこと謝れよな。
謝るって強制されてするもんなの?
(陽)お前の負けだな。
童貞。
行こう。
(旦)えっ?
(陽)よかったら遊びに来てよ。
大学で劇団やってるんだ。
君きっといい女優になるよ。
ほら行くぞ。
何だよ?触んなよ。
童貞くさい。
うわ!?臭え。
童貞くせえお前。
(看護師)仲川まどかちゃんのお母さんをお連れしました。
お願いします。
(ひかり)おめでとうございます。
NICU看護師の佐藤ひかりです。
よろしくお願いします。
(志保)お願いします。
(ひかり)まどかちゃんとこ行きますね。
(志保)はい。
(ひかり)まどかちゃん。
お母さん来ましたよ。
見えるかな?もうちょっと前行きましょうか?よいしょ。
(志保)何これ?何でこんなに小さいの?小さく感じちゃいますよね?でもまどかちゃん頑張ってますよ。
お母さん。
お母さんなんて呼ばないで。
私がもっと我慢してればこんなに早く生まれなかったのに。
ごめんね。
ごめんね。
(志保の泣き声)ごめんね。
ごめんね。
ごめんね。
ごめんね。
ごめんね。
ごめんね。
まどか…。
(ひかり)仲川まどかちゃんの障がいの可能性についてはいつ話しますか?
(新城)説明は両親揃っての方がいい。
早産児を育てる環境には父親の存在が重要なんだ。
何とか来てもらえるよう説得してみてくれないか?
(ひかり)分かりました。
(ひかり)誰かに見られたらまずいんじゃないですか?
(新城)誰もいないよ。
(ひかり)スカイツリーは楽しかった?
(ひかり)ごめんなさい。
(新城)旭に何か言われたか。
(ひかり)自分のことだから自分で決めろって。
(ひかり)大丈夫。
サト兄が出所してばたばたしてたからちょっと疲れてるだけ。
(新城)暁が?今度は迷惑掛けないようにするから。
しょうが焼き定食食いてえ。
(暁)弁当かよ。
(旭)だったら食うな。
(暁)これで謝罪しろとか言うなよ。
(旭)分からねえんだよ。
お前の言う世の中の側面ってのが。
がきのころ死んだおふくろのために2人で仏壇盗もうとしたことあったよな?すぐに捕まって。
でもおふくろのためにしたことだからって謝らずにいたら親父に散々殴られて。
悪いことをしたら謝る。
俺もお前も泣きながらその言葉を何度も言わされた。
そのお前がよ謝りたくねえって訳を知りてえんだよ。
(暁)ムショに届いた手紙だ。
オレオレ詐欺ってあるだろ?あれ。
今何て言うんだっけ?あれっておかしいと思わないか?昔なら息子が不祥事を起こしたからって電話一本で金の振り込みを要求する人間かどうかなんて一発で分かったはずだ。
けど盆や正月にすら帰省しなくなった今の親子にはそれが分からない。
だから恥も外聞もなく被害届を出せるんだよ。
ホントいい世の中になったもんだ。
(旭)それがお前の事件と何か関係あんのか?あるかないかは手紙を読めば分かる。
ごちそうさん。
(旭)その手紙の内容は本当ですか?
(多香子)本当よ。
私も2人の兄も家を出てからほとんど連絡を取ってなかった。
みんなが集まったのは母の食道に腫瘍が見つかったとき。
そこできょうだいが話したのはまだ亡くなってもいない母の遺産の話。
(多香子)母がずっと嫌いでね。
私を産んだときもう40過ぎてて化粧もせず毎日畑仕事で汗水垂らして。
あのごつごつした手を見るのが嫌だった。
小学校の授業参観では必ずおばあちゃんに間違われて恥ずかしかった。
(多香子)15のとき家を出た理由も夢のためっていうのが半分。
残りの半分は母親の顔を見たくなかったから。
(旭)あのう。
この手紙は中途半端な形で終わってると思うんです。
あのう。
もしかしたらなんですけどまだ続きがあったんじゃないかと思うんですよね。
だったら何?
(旭)この手紙の日付から入院してたときに書いた可能性ってありますか?あるかもね。
(旭)もし可能であればなんですけどそのときの荷物って見せていただくわけにはいかないですか?
(旭)じゃあすいません。
失礼します。
(旭)あっ。
これありました。
「誕生日プレゼントなんてもらったことがなかったからとてもうれしかった。
あのビデオカメラは大切にします」「もし私に何かあったら映像を見て思い出してください」ビデオカメラ。
ちょっと。
(多香子)どうぞ。
(起動音)
(陽)謝罪っていえばさちょっと面白い子に会って。
旦の知り合いで。
要するにこいつだまされたんだよ。
それで旦がその子に謝れって言ったら「謝罪って強制でするものなのか?」って。
その瞬間ふに落ちたんだよね。
確かにこっちが謝ってほしくても向こうにその気がないんじゃそれは単なるポーズにすぎない。
それがサト兄の謝罪に対するスタンスなんだなって。
さすが国立大。
そうなんだよ。
謝る気がねえのに頭下げても向こうに何の得があるんだって話だろ。
(旦)いや。
それは違うんじゃない?
(旦)悪いことをしたら謝るって親父にも教わったろ。
サト兄の場合は都合のいいように解釈して逃げてるだけだよ。
(暁)偉そうにこのがき。
俺が家出たときはちんちんの使い方も知らなかったくせに。
おい見せろ。
(陽)やめろって。
ほこり立つから。
(ひかり)いいよ。

(戸の開く音)
(ひかり)帰ってきたよ。
(陽・ひかり)おかえりなさい。
(暁)遅えよ。
何してたんだよ?出掛ける準備しろ。
(暁)あっ?昌江さんの四十九日で今晩子供たちが集まるそうだ。
で?
(旭)行くんだよ。
お前には屋代家でやるべきことがあるだろうが。
(暁)学習能力ってもんがねえのかよ?手紙にもあったろ?悪いのはあの人を孤独にさせた子供たちなんだよ。
あいつらが親をいたわってちゃんと家族築いてればこんなことにはならなかったんだ。
(旭)だったらそう言えばいい。
(暁)あっ?お前が謝罪すべき相手は昌江さんだよ。
いまさら死んだ人間に何謝れっていうんだよ?いいか?謝罪ってのはよ「何を謝るか」じゃない。
「何を伝えるか」なんだよ。
お前が何を思って昌江さんのことを母ちゃんと呼んでたのか?何を思ってそんな大切な人をだましたのか?何を思ってかたくなに遺族への謝罪を拒んだのか?大事なことはな頭を下げることじゃない。
そういう思いをちゃんと昌江さんの魂にぶつけることなんだよ。
魂とか思いとか表現が昭和なんだよ。
自分の思いを伝えるなんてただの自己満だろ。
(陽)それは違うよ。
親父が口酸っぱく言ってた悪いことをしたら謝る。
あれは自分の非を認めろってことじゃない。
被害に遭った相手の気持ちをおもんばかれってことだ。
それは決して自己満足なんかじゃない。
昌江さんって人がサト兄を息子のようにかわいがってくれたんだろ。
だったらそれはアサ兄の言う思いってやつを伝えてやるべきなんじゃないのか?
(ひかり)私は自己満でもいいと思うけど。
昨日ねうちに600gの小さな赤ちゃんが来たの。
その子のお母さんがねしきりに謝るの。
「こんなに小さく産んじゃってごめんなさい」「私のせいだ」って。
赤ちゃんはそんなこと望んでないのかもしれない。
でも泣きながら謝る姿見て私には伝わるものがあった。
サト兄はいまさらって言うけど思いを伝えるべきなんじゃないかな?どいつもこいつも。
これは俺の問題だ。
お前らには関係ねえ。
関係あるに決まってんだろ!俺たちはサト兄のせいでいろんな迷惑を被ってきたんだよ。
(陽)でも過ちは誰にだってある。
だからサト兄の罪そのものを責めてるわけじゃない。
罪を犯したら家族や友人巻き込まれる人間が大勢いるってことに気付かないその神経が許せないんだよ。
それでもまだ関係ねえっていうんなら教えてやる。
アサ兄は気ぃ使って黙ってるけど俺たちがどうして一緒に暮らしてるのか。
(旭)やめろ。
(陽)それはな。
(旭)やめろっつってんだよ。
(ひかり)3,000万をアサ兄が返済してるからよ。
毎月お給料のほとんどを屋代さんの口座に振り込んで。
(旦)そうだったの?家族はいいことだけじゃなくて全てを共有するものなんだって。
家族の罪は自分の罪ってわけか。
フッ。
何だそれ?
(暁)誰がそんなことしろっつった?余計なまねしてんじゃねえよ。
3,000万は俺が奪った金だ。
俺が遊んで使った金だよ。
どうしても行かねえっつうんだったらあれしかねえな。
(旭)お前本当に遊ぶ金欲しさに昌江さんをだましたのか?
(暁)ああ。
そうだよ。
(旭)昌江さんはそう思ってなかったみたいだぞ。

(陽)おおー!
(ひかり)懐かしい!
(旦)今平成だよ。
ケンカでけりつけるってさ。

(旦)あれさどっちが強いの?どっちが強いの?
(陽)えーと。
確かサト兄の127勝46敗だったかな?
(旦)アサ兄全然駄目じゃん。
ここでパイルドライバー?
(陽)すげえ!
(ひかり)私先帰るね。
(旦)えっ?この状況で?
(ひかり)だってもうどっちが勝つか分かってるしまた雨降りそうだし。
(陽)おおー!返した。
(陽)旦。
どっちに賭ける?
(旦)そりゃサト兄でしょ。
(陽)ああー。
勝敗だけを見ればな。
(陽)でもここ一番ってときに必ず勝つのは…。
(旭)うおー!
(陽・旦)うおー!
(旭)おりゃ!
(陽)きたぞきたぞ。
(旭)うおおー!弟を連れてきました。
おい。
(正一)君は。
2年前弟がご迷惑をお掛けしました。
(正二)何の用だよ?
(旭)四十九日を迎える前に弟を昌江さんに会わせたくて。
ほら。
奥の部屋だ。
(正二)おい。
ちょっと待てよ。
その前に俺たちに土下座してわびるのが筋じゃないのか?弟も私もあなたたちに謝るつもりはありません。
(正二)何だと?
(正一)ふざけるのもいいかげんにしろ。
これは昌江さんが弟に渡したものです。
まったく連絡取っていなかったそうですね。
それが昌江さんの入院で急に集まったと思ったら遺産の話でもめて。
昌江さんはね全部知ってたんですよ。
知った上で弟の口車に乗ったんですよ。
私たちのせいだったんだよ。
(正二)だからって罪は罪だろ。
(正一)そのとおりだ。
君の弟が詐欺で3,000万をだましとったのは紛れもない事実だ。
3,000万が手元にあれば確実にもうかる話がいくらでもあったのに。
お兄ちゃん。
(正一)俺たちに大きな損害を与えたんだよ。
(旭)口を開けば金金金。
そんなに欲しいんだったらなほら。
くれてやるよ。
土地の権利証だ。
うちの土地が売れればそれぐらいの金が入る。
これで文句ねえだろうが。
(暁)おい。
(旭)いいんだよ!
(暁)バカ。
(旭)バカ野郎。
(暁)バカ。
(旭)うるせえ!バカ野郎。
人間にはな金よりも大事なものがあんだよ!いくぞ。
いくぞ!
(旭)外で待ってる。
(多香子)2人とも近くのホテルに泊まるって。
すいません。
四十九日を前に。
(多香子)ホントは知ってた。
3枚目の手紙のこと。
退院の支度をしてるときに見つけてあのビデオカメラの映像も全部見た。
(多香子)あなたの弟を許せなかったのは嫉妬してたから。
ああいう親子になりたかった。
(起動音)
(昌江)よいしょ。
ああー。
あーまた。
もうやめなさいったら。
(暁)カッコイイよ母ちゃん。
ほら。
(昌江)バカなことやってないで働きなってば。
(暁)死んだら子供たちが見んだからさ。
(昌江)えっ?
(暁)ねえ?
(昌江)うん?
(暁)こんな土地あんだからさ売っちゃえばいいんだよ。
(昌江)いいのいいの。
労働は生きてる証しだ。
(暁)おーなるほどね。
もう1回やって。
もう1回もう1回もう1回。
(昌江)労働は生きてる証しだ。
(暁)おーもう1回もう1回。
(昌江)早く手動かせって。

(昌江)バカなこと言ってないで。
運ぶの手伝いなさいよ。
(昌江)ご飯食べたくないんならいいけどね。
晩ご飯あげないよ。
(暁)分かった分かった。
じゃあこれ置いといて。
後で運ぶから。
よし。
そこまで言うんなら頼むか。
ねっ。
(暁)この長靴ちっちぇえな。
(昌江)これ昔多香子が履いてたやつだよ。
あんたの子供が女の子ならこれあげるよ。
(暁)いらねえよ。
(暁)ああ。
昔兄貴とキャッチボールしたな。
(昌江)うちも正一と正二がさ年中キャッチボールしてて。
(暁)うん。
(昌江)1回さすぐそばをさ多香子がその三輪車乗って。
(暁)うん。
(昌江)それで正二が脅かそうと思ってボール投げたらさ頭がーんってぶつかってもう多香子大泣きしてさ大騒ぎだよ。
(暁)俺なら当て返すけどね。
(昌江)すごい怒ってたよ。
(暁)まあきょうだいっていうのはそんなもんだね。
(昌江)あっそう?どこでもそうかね?
(暁)そうだね。
(昌江)ああー。
(暁)大丈夫?
(昌江)ああ。
大丈夫。

(暁)こっち着物?
(昌江)そうだよ。
七五三の。
たまにはね風通してやんないと。
着物悪くなっちゃうからね。
(昌江)ほら。
奇麗でしょ?
(暁)奇麗だね。
(暁)みんな別々に暮らしてんだ?
(昌江)そうだよ。
(暁)うらやましいね。
(昌江)えっ?
(暁)うちなんて缶詰めみたいにみんなで暮らしてたからさプライバシーなんて言えたもんじゃないからね。
(昌江)そのくらいの方がちょうどいいんじゃないの?
(暁)何?この丸。
誕生日?
(昌江)ああ。
そうそうそう。
これは多香子の誕生日。
(暁)母ちゃんまめだね。
今でも誕生日に丸なんか付けちゃってさ。
(昌江)いや。
忘れっぽいからね何でもこうやって書いちゃうのよ。
(昌江)形は変だけどさおいしそうでしょ?個性的なのが売りだからね。
(暁)俺は個性的より形がいいのがいいけどね。
(昌江)うん?何か言ったか?
(暁)うわ!?冷たい冷たい。
(暁)今日の晩飯は何ですか?
(昌江)今日はしょうが焼きです。
(暁)イェーイ。
やった!
(昌江)駄目ね。
もう親子の話って弱いのよ。
またそんなことしてもう。
早く食べちゃいなさいよ。
もう。
(暁)母ちゃん。
(昌江)うん?
(暁)子供に会いたい?
(昌江)悪がきのあんたがいるからいいわよ。
(暁)悪がきっていったって俺もう25歳だからね。
(昌江)幾つになったってね私から見りゃがきなんだよ。
ほら。
もうやめなさいって。

(昌江)あしたもねやることいっぱいあんの。
あした私町内の会合があるからニンジンの収穫頼んだよ。
2人入ってる?
(暁)入ってる。
こうやってやると見えるんだ。
ホントだ。
イェーイ。
イェーイ。
びっくりした?今あんた宛てに手紙書いたところ。
(昌江)ハァ。
あんた私に母ちゃん母ちゃんって懐いてたけどホントは分かってたんだよ。
だましたつもりだったんでしょうけどそうは問屋が卸さないってえの。
だから最後に一泡吹かしてやろうと思ってさ。
ヘヘッ。
でも私の負けかな?いつの間にかあんたのことホントの息子のように思っちゃったんだから。
こんなおばちゃんに付き合ってくれてありがとね。
本当にありがとう。
(昌江)あんたあの3,000万誰かのために使おうとしてたんでしょ?あんたの考えなんて全部お見通しだよ。
だって私はあんたの母ちゃんなんだから。
(昌江)ハァ。
私はあんたにあげたつもりだったんだけど子供たちがバカなまねをして結果的に悪いことしちゃったね。
だからこれでおあいこ。
出所したら私のことなんて忘れて精いっぱい笑って生きるんだよ。
うん。
私も退院したらまた元気に働くから。
生きてる証しだもんね。
(昌江)あんたも。
暁も頑張るんだよ。
じゃあね。
ごめんな。
母ちゃん。
何やってんだよ?
(旭)ああー。
土地の権利証返してくんねえかな?
(旭)なあ?あの3,000万何に使うつもりだったんだ?昌江さんが言ってた誰かのためにって。
(暁)勘違いすんなよ。
(暁)俺はお前を許したわけじゃない。
10年前のあの日から。
(暁)3,000万は遊んで使ったよ。
チャオ。
2014/07/16(水) 22:00〜22:54
関西テレビ1
若者たち2014 #02[字]

「次男戻る」
次男の暁の出所により佐藤家の問題が明らかに。長男の旭は罪を犯した相手に謝罪に行けと言うが暁は意に介さない。1人で出向いた旭は真相を知り…。

詳細情報
番組内容
 出所した佐藤暁(瑛太)が戻ってきたことで、佐藤家は大混乱となる。旭(妻夫木聡)と陽(柄本佑)は同居は認めないと言い、旦(野村周平)は暁のせいで高校を中退するはめになった、と怒りをあらわにする。ひかり(満島ひかり)はそんなやりとりを見つめていた。
 そのうち陽が、問題はまるで罪を悔いている様子がない暁の態度だと指摘。それに対して暁は、陽の言う罪を悔いる様子とは何なのか、自分は2年刑務所にいて
番組内容2
十分罪は償っている、と言い返す。すると旭が暁に、まず3000万円をだまし取った後に亡くなった屋代昌江(根岸季衣)の家族に謝罪に行けと命じる。しかし、暁は聞き流すと旭のへそくりを手にして家を出て行く。
 その後、屋代家を訪ねたのは旭だった。昌江の遺影の前で手を合わせた旭に、娘の多香子(長澤まさみ)は、なぜ暁が来ないのか、と文句を言う。そんな多香子と部屋を見回した旭は、ある違和感を抱く。
出演者
佐藤旭: 妻夫木聡 
佐藤暁: 瑛太 
佐藤ひかり: 満島ひかり 
佐藤陽: 柄本佑 
佐藤旦: 野村周平 

澤辺梓: 蒼井優 
屋代多香子: 長澤まさみ 
永原香澄: 橋本愛 

新城正臣: 吉岡秀隆
スタッフ
【原案】
山内久 
森川時久 

【脚本】
武藤将吾 

【音楽】
荻野清子 

【主題歌】
「若者たち」森山直太朗(ユニバーサルミュージック) 

【プロデュース】
石井浩二 

【演出】
杉田成道 
中江功 
並木道子 

【制作】
フジテレビドラマ制作センター

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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