(三上大輔)50万円!?
(内藤千秋)うん…ごめん。
何だってそんなもの50万円もするんだよ!どこなんだそれ?そんな怒んないでよ。
そこ…。
ええっ!?どんな…。
ちょっと貸せよ!いやっダメちょっと…。
あっ…!「痩身プログラム。
一週間で3キロも痩せられるたった一ヶ月であなたも痩身美人」何っ!?これだけで50万もすんのか?その他に補正下着がある。
補正下着?ほら体にピチッとしたやつそれ着てるだけで痩せられるの。
1着目は着た途端にビリッと破けちゃって今2着目着てるんだけど苦しんだなこれが…。
ちょっちょっと見せてみろ。
ちょっといやだ!いいから見せて…!いやだ!ちょっと待ってよ!全然痩せないし脱いでくる。
もうバカ騙されたんだよ。
返品するぞどこで買ったんだよ!…ったくもう。
明日50万円取り返すからな!まったくもう…。
ねえ大輔君。
私もうちょっとやってみようかな補正下着。
バカだなもう!そんな着てすぐ破けるような下着はまがいもんに決まってるじゃないかよ!バカ言ってんじゃないよ本当に!バカバカ言わないでよ。
いいじゃない私のお金なんだから!あのねぇ俺は豚肉20円安く買うために30分歩いて駅の向こうのスーパーまで行って家計のやりくりしてるんだよ。
そんなせこいことやってるから8回も司法試験落ちるのよ!それとこれとは関係ないだろう!料理はうまい買い物は上手。
私はそんな超優等生の主夫を家に居候させてるんじゃないんですからね。
早く弁護士になってよ。
そうすればお金だってガバガバ入って入会金3百万円のエステの会員だってなれるのに!いいか千秋!俺はな金儲けのために弁護士になりたいんじゃないんだよ。
困ってる人の正義を守るために…。
そんな偉そうなこと言いたいならさっさと司法試験合格してみせてよ!よおーしわかった。
今度は絶対合格してやるからな覚えとけよ!覚えとくわよ!ちょっと本当に返しちゃうの?当たり前だろう。
絶対返すぞ!返品できない!?どうして?あなたクーリングオフ制度って知ってるでしょう?商品を購入して1週間以内だったら返品できるんですよ。
そういう法律があるんですよ。
確かにそれは…でもお客様の場合は…。
(山崎稔)どうされましたか?先生。
顧問弁護士の山崎と申します。
クーリングオフ制度にはいくつかの例外があることはご存じですか?それはもちろん知ってますよ。
一度使ってしまった商品とか代金を全額支払ってしまった場合は例外になるでしょう。
だけど彼女の場合は…。
契約はどちらでなさいましたか?契約ならここでしましたけど…。
業者の営業所に出向いて契約した場合はクーリングオフ制度の対象から外されるんです。
法律にお詳しいようですがそれはご存じありませんでしたか?それにお客様が署名なさった契約書に明らかな不良品でない限り返品は一切受け付けないと書いてあります。
よくご覧になって研究なさってください。
そうなの?いや…。
こんな細かい字でぎっしりねそんなの全部読むわけないでしょう。
ご不満でしたら出るとこ出ても結構ですよ。
(山崎)この署名はお客様の筆跡ですね?はい。
何よ!言い包められちゃって…。
そういう言い方ないだろうがよ。
大体ね千秋がこんなものにサインするからそれがいけないんじゃないか。
誰あの人?べガの会長よ。
黒沼幹生。
あの人が…。
(浜村由梨)黒沼会長!私は泣き寝入りなんかしないわよ!必ず告訴してあんたたちの悪事暴いてやる!黒沼会長聞いてるの?離して離して!会長!ひとでなし!泣き寝入りなんかしないわよ!何とか言って!卑怯者!あの娘も補正下着かな?そうかも。
すごい迫力。
あれっ!?何?由梨ちゃん!?ええっ?そうだやっぱり由梨ちゃんだよ。
ああっ!三上さん!いやあ久しぶり。
何だよ見違えちゃったよきれいになっちゃって。
ええっ三上さんこそ小ぎれいにしちゃって全然似合わないよ。
あはは…。
変わんないなそういう口の悪いところは…。
でもうれしいよ!はは…由梨ちゃんちょっと…。
あっいや学生時代に毎日のようにお世話になってた定食屋の娘さんなんだ。
浜村由梨です。
昔三上さんのファンでした。
ああそうなの…。
まだ高校生で男を見る目がなかったのねぇ。
あはは…!かもしれません。
じゃあ奥さんも同じく?奥さん!?いやーだ。
単なる同居人よ。
同居人!?居候。
(由梨)居候?もちろんこっちが…。
あはは…!3百万!?うん。
バカだったな。
じゃあ会員になったの?ええ。
入会金が2百万とその他に化粧品とか補正下着とかリラクゼーションのCDセットなんかで…。
効果なし?ええ。
友達はね別のエステで買った補正下着できれいに痩せた人もいるんだけどベガのは全然ダメ。
ねえ由梨ちゃん。
さっきから気になってたんだけど足捻挫でもしたの?その補正下着で血行障害と神経障害になっちゃって…。
もっと早く病院に行けばすぐ治ったらしいんだけどそういうもんだと思ってしばらく我慢してたからひどくなっちゃって…。
そうだったのか…。
ひどいわねぇ。
女の弱みにつけ込んであくどい商売して…。
大輔君何とかならないの?よおっし!ベガの悪事暴いてやるか!これでも弁護士の卵だ。
ちょっと待って!?まだ卵なの?えっ!?あああの…人にはいろいろ人生があってだね…。
あはは…!うふふ…。
ただいま!お父さんお母さん!めずらしい人連れてきたよ。
どうも久しぶりです。
まあ三上さん。
よおっ久しぶり!元気そうだね。
どうも。
オムライス大盛りください。
どう!?うまいだろ?名物なんだよこれが。
うんおいしい。
ねえ千秋さん。
何?私被害者同盟作ってベガと戦おうと思ってるんだけど一緒に戦ってもらえません?被害者同盟!?本気で?もちろん!ベガにひどい目に遭わされて抗議に行っても結局法律もよくわからないしみんな泣き寝入りなのよ。
だからみんなで力を合わせて戦おうと思って…。
でもさ由梨ちゃん。
それやるならやるでもっと専門家の人に頼むとかしないと…。
それ大丈夫!参議院議員の田沼雅代さんっているでしょう。
あの人の事務所に飛び込んで頼んだら協力は惜しまないって約束してくれたの。
へえ…だったら私もやるわ。
大輔君も参加ね。
俺も?当たり前でしょう!顧問弁護士だか何だか知らないけどあんな偉そうにしてる奴にギャフンと言わされて悔しくないの?卵には卵の意地があるでしょう!?ないの?まあ…そうね。
よおーしいい根性!「『ベガ・エターナル』会長の黒沼幹生が独自に考案したリラクゼーションメソッドを応用して現代人のストレスを解消するという名目で創設した株式会社です」か…。
キャアー!お母さん!
(嗚咽)お母さん由梨さんどうして出かけたんですかあんな時間に?電話があったんです。
被害者同盟に入りたいからすぐに会えないかって…。
その人の名前とか住所とか聞いてませんか?由梨の持っていたメモを見て警察の人が連絡してくれたらしいんだけどその住所には名前の違った人が住んでいたそうです。
(由梨の父)いたずら電話だったんですなぁ。
足悪くしてたから階段うまく下りられなかったのね。
かわいそうに…。
(嗚咽)畜生!大輔君。
由梨ちゃんは事故なんかじゃない。
殺されたんだ!殺された?畜生。
このままじゃ済まさんぞ。
俺が由梨ちゃんの代わりに黒沼の化けの皮剥いでやる。
ええっと…田沼雅代。
あっ!田沼雅代事務所ここだ。
ホントだ。
あっあの田沼先生の?
(杉本正巳)はい。
先生いらっしゃいますか?はい。
先ほど事務所へお入りになられました。
どうもごくろうさまでございます。
ああ…ずいぶん待たせるな。
国会議員にすぐ面会できると思ったら大間違いよ。
今日会ってくれるって返事もらっただけでもラッキーだと思わなくっちゃ。
へえオルゴールか…。
『ゴンドラの歌』大輔君ダメよ勝手にさわったら。
うん?これちょっとどうすんのよ?
(田沼雅代)ごめんなさいお待たせして。
ああっすみません。
いい曲でしょう。
この曲を聴くと若い頃の澄んだ気持ちになれるの。
はじめまして田沼雅代です。
三上大輔です。
内藤千秋です。
本日はお忙しいところ突然伺いまして申し訳ありません。
いいえさあどうぞ。
由梨さんがあんなことになってしまって正直言って誰かと話がしたい気分だったんです。
あんなに元気だったのに…まだ信じられないわ。
同感です。
ベガを告発してやるんだって張り切ってたんですけど。
秘書から聞いたところでは三上さんと千秋さんが由梨さんの遺志を継いで被害者同盟結成に向けて頑張ってくださるそうですが?ええどこまでできるかわかりませんが本気です。
そう。
でしたら私もできる限り協力させていただくわ。
田沼先生っていい人じゃない。
代議士なのにお高くとまってないし頼りになりそう。
ああ代議士っていうのはどうも信用できないけどあの人なら本当にベガと戦ってくれるかもしれないな。
中山友美…?誰それ?誰だろうな?またとぼけて…。
おいちょっと千秋…。
中山友美…?中山…友美!あはは…!誰?あああの…学生時代の…。
ああそうお幸せに!おいっ!ちょっと千秋!おいっちょっと千秋違うってば…。
ちょっと何が違うのよ。
どうせ私がいない間に電話でもしたんでしょう。
久しぶり元気どうしてる?まだ結婚してないの?ふーん俺もまだ独身なんだよ。
とかさ…。
何言ってんだよ。
中山とはね大学を卒業してから一度も会ってないし電話もしてません。
それに彼女はね大学2年のときに司法試験に受かっちゃった才媛だしさ俺なんか鼻もひっかけてくれなかったよ。
きれいな人だったんでしょうね?残念でした!天は二物を与えずってね。
ふーん。
じゃあ何なのその手紙?何だろうな?ベガ・エターナル…。
3周年記念パーティーの招待状じゃない?すげえなぁ航空券付きだよ。
どうして大輔君にこんなもの送ってくるのよ?知らない。
なんでだろう?怪しいなこの男…。
違うってば!行くの?行かないよ。
だって招待される理由もないしさ。
そう?いやだけど何で中山がベガみたいな胡散臭いところに?もともとそういう人だったんじゃないの?そんなことないよ。
中山はねまじめで正義感の強い奴だったし…。
(大学のチャイム)何思い出してるのよ?エッチな顔しちゃって!ちょっとエッチな顔って千秋ちょっと!しょうがねぇなもう…。
何で俺なんかに…?
(森田雄太郎)どうした千秋?元気ないぞ。
何でもありません。
またあの居候のことで悩んでんだろ?もういい加減やめろ。
才能ないんだからあいつは…。
ほっといてください。
ほっとけないから言ってるんでしょうが…。
8回も司法試験落ちる奴なんてダメだよ。
万が一ね次で合格したとしても9回目でやっと合格する奴なんか他の事務所が雇わないでしょう。
(森田)そうだろう?考え直せよ!あいつじゃなくったって他にいい男がいっぱいいるだろう。
千秋にぴったりの男が…。
どこにいるんですか?どこってここでしょう。
大輔君!?どうしたの?何かわかったの?金貸してもらえないかな?どうして?行ってみようかと思うんだ。
いやあのベガを告発するためにはさ内部のことを知っておいたほうがいいと思うんだよ。
「虎穴に入らずんば虎児を得ず」って…。
行ってもいいけどこんなときにその中山何とかって人とイチャイチャしたりしたら絶対許さないからね。
当たり前だろう。
そんなお前…。
わかった。
あの…。
今晩!?空いてるよ。
何言ってるんですか?私高松行ってきます。
高松?どうして?ベガ・エターナルの3周年記念パーティーがあるんです。
それ取材してきます。
ええっうちトラベル誌だよ。
パーティー取材してどうすんの?高松はベガの黒沼会長の故郷ですから故郷探訪のコーナーの記事にします。
あっそう。
じゃあ俺も行こう。
いやーだ!ダメ!?いらっしゃいませ。
あの三上というもんですけど。
三上大輔様でいらっしゃいますね。
ええっ?ただいまご案内いたします。
ああ…はい。
どうぞこちらでございます。
ちょっとこちらで少々お待ちくださいませ。
はいすみませんどうも。
あれっ…。
(中山友美)三上君お久しぶり。
ああ。
三上君全然あの頃と変わらない。
そんなことないよ。
中山こそ。
何?いやあ…。
じゃあチェックインしてロビーで待っててすぐに着替えてくるから。
じゃあ!
(友美)これがプラサット・ヒン・アルンっていうアンコール王朝の全盛期に造られた寺院を正確に3分の1のスケールで造ったんですって。
へえ〜。
向こうがモスクっていう寺院イスラム教のね。
あの上に建っているのがブータン仏教の総本山でタシチョゾンって言うんですって。
すごいな!でもよく知ってるね。
もしかして中山さこのテーマパークの案内係でもやってるわけ?違うわよ。
私はベガの顧問弁護士。
顧問弁護士?もちろん何人かのうちの1人だけどね。
ああそう…。
やっぱりすごいな。
三上君は?どこかの事務所に所属してるの?いやあそれがまだ合格してなくて…。
うそよ!?あんなに優秀だったのに。
あっそんなことないよ。
いや俺頭悪いからあはは…。
よっぽど運が悪かったのね。
いや実力だよ実力。
それよりさ何で俺のことパーティーに招待してくれたわけ?ちょっとお願いしたいことがあって…。
何…?実はベガのことなの。
ベガの?何?向こう行こうか…。
最近週刊誌でいろいろ騒がれてるでしょう。
ベガの商品は効果がないとかいろいろ障害が出たとか…。
会員になったのはいいけどお金が払えなくて自殺しちゃった女性のこととか…。
俺の知り合いにもベガを憎んでいる人が2人いるよ。
まあ1人は亡くなったけどね。
そうだったの…。
それで?今夜10時過ぎに私の部屋に来てくれないかしら?中山の部屋?ゆっくり話したいの。
(友美)三上君!じゃあパーティー会場で。
ああ。
あっ痛っ!ああー!ちっ…千秋!?ちょっと話が違うようね。
ええっ!?なっ何が?今の人が中山友美さん?ずいぶんきれいな人ね。
天は二物を与えたわけね。
あの人の場合…。
そうかな…。
いやそれよりさ何で千秋こそこんなところにいるんだよ?三上大輔って男がどんな男か確かめに来たのよ!ええっ!?案の定裏切り者!そうじゃないだろう千秋。
部屋何号室?私も泊まるから…。
ねえ一緒の部屋?パーティー客で満員なんだって。
それとも私はそのへんで寝たほうがいい?大輔君忙しそうだから…。
忙しそうって…別に…。
いいのよ別にあの家私1人で住んだって…。
お部屋までご案内します。
こちらです。
はい。
ああありがとう。
ごめんねつきあえなくて。
今夜は私もホステスだから仕方がないの。
気にしなくていいよ。
適当にやってるから。
千秋!サンキュウ。
やっぱり入れてくれなかったか?うん何度もパーティーの取材と黒沼会長のインタビュー申し込んだんだけどダメだった。
ガード固いわ。
そうか。
世間でいろいろ言われだしたからマスコミには過敏になってるのかもしれないな。
すねに傷持ってるからね。
大輔君のお友達だってベガ側の人だってこと忘れないようにね。
美人だからって…。
わかってるよ。
(アナウンサー)「ただいまよりベガ・エターナル会長…」あっ黒沼会長のあいさつだ。
ちょっと行ってくるわ。
じゃあちょ…ちょっと待って。
これで写真撮ってきて。
ええっ?大丈夫よ。
大輔君招待客なんだから。
いやだけどさ…。
家追い出されたい?わかったよ…。
頑張ってね。
(拍手)
(黒沼幹生)ええただいまご紹介にあずかりましたベガ・エターナル代表の黒沼でございます。
本日は我がベガの創立3周年記念パーティーに遠路はるばるお越しいただきまして誠にありがとうございます。
(拍手)ベガも3周年を迎え最近はどこへ参りましても感謝の言葉をいただいております。
多くの女性からベガのお陰でこんなに美しく痩せることができ楽しく自信を持って毎日を送ることができるとお礼の言葉をたくさんいただいております。
またある会社の社長さんはベガのリラクゼーションシステムを始めてからストレスも消え健康状態も大変よろしくなり従って会社の業績もどんどん上がってこの間などは念願のホールインワンを達したと連絡をいただきました。
さすがホールインワンだけはこれはベガの力ではございません。
(一同笑い)しかしそういうお声を聞くたびに私は本当に幸せ者だと実感しております。
これもひとえに皆々様のお陰であります。
本当にありがとうございます。
(拍手)黒沼も出てこないかしら。
見つけたらその場で特攻レポーターやってやるのに。
あっ俺さ黒沼捜してくるわ。
ホテルのバーとか…。
じゃあ私も行く。
ああダメだよ千秋は。
許可なしのプレス関係者だってことがばれてるんだからたとえ見つけたとしても近づけないだろう。
見つけたら取材できるように頼んでみるからじゃあな。
大輔君…。
あれっ!?黒沼捜しに行ったんじゃなかったの?ああいやそうなんだけど着替えてないから苦しくてさ…。
じゃあ行ってくるわ。
ちょっと…。
何か怪しいな…?
(チャイム)
(チャイム)こん…。
ごめん。
今シャワー浴びてたの。
入って。
ああっ…。
どうぞ。
ああシャワーまだ途中だったのよ。
悪いけどお酒でも飲んで待っててくれる?ああ…。
お酒ここにあるからお好きなものどうぞ。
じゃあ。
もおー!じゃあ再会を祝して乾杯!乾杯!うんおいしい。
やっぱり三上君あの頃と全然変わらない。
そうかな…?うん。
あはは…!三上君ってすうーっと人をひきつける何かがあったのよね。
素直だし飾り気何もなくて人間がとても大きい人なんだって思ってた。
やめてくれよ。
俺そんなんじゃないよ。
司法試験8回も落ちてるしさ。
単なる落ちこぼれだよ。
そんなことないよ。
絶対にそんなことない。
だから私三上君のこと気になってたんだもん。
何してんの?ええっ夢かなと思ってさ。
あっいやだ。
あはは…!あのね三上君。
何?助けてほしいの。
助ける?お願い。
私を助けて。
信じられないあの万年浪人!司法試験も受からないくせに女となるとマメなんだから。
お替わりください。
大丈夫ですか?大丈夫よこれぐらい。
弁護士を目指してた頃は困ってる人の手助けをしたいっていう正義感みたいなのものすごく強かったのに実際に弁護士になってしかもこんなベガみたいな大きなところの顧問弁護士の1人になれたのに現実は全然違う。
私の思い描いていた理想と全然違うの。
中山…。
三上君ベガ・エターナルを告発してくれないかしら?何だって?もういやなの。
ストレスに苦しんでそのリラクゼーションのためにベガを頼ってくる人たちを騙したり抗議に来た人たちにわざと難しい法律用語を使って煙に巻くようにして追い返すのはもうこりごり。
こんなことをするために私は弁護士になったんじゃないもの。
お願い三上君。
ベガを告発して。
でもそこまで思いつめてんだったらどうして自分でやらないんだ?俺なんかより中山のほうがよっぽど優秀だしそれに内部告発ともなれば真実の重みが違ってくるだろう。
ごめん。
本当はそうすべきなんだけどどうしてもできないの。
(水音)顧問弁護士の山崎さんていう人がいるんだけど…。
ああ一度会ったよ。
私司法修習生の頃から山崎さんにずいぶんお世話になってて恩師といってもいいほどの人なの。
つまり裏切れないっていうことか?実はもう何度かこのことを話したんだけどもし内部告発をするなら一切の縁を切るとまで言われて…。
まあ内部告発をするならそれは当然だろうな。
そうよね。
そのとおりなんだけど…。
だけど何だい?彼本当は情の厚いやさしい人なのに法廷に立つとまったく変わっちゃうの。
クールで冷徹ともいえるくらい。
でも見習いの私にはそれがすごく魅力的に見えたの。
この人プロの弁護士に徹しているんだってすごい私もこうなりたいって…。
そうか…好きなんだ山崎を。
でも俺とはまったく逆のタイプだな。
俺だったらたとえ法律を破ってでも依頼人の情に溺れちゃうほうだからな。
それが三上君のいいところよね。
それじゃ話が矛盾してるよ。
そうね。
矛盾してるよね。
あはは…。
ベガか…俺が告発するには大きすぎる相手だろうな。
大丈夫よ。
被害者の証言を集めれば必ず勝てるわ!私も表だってはできないけど三上君に協力するから。
ごめん。
勝手なことばかり言って。
よしわかった。
やってみるよ。
本当!?ありがとう三上君。
すみません。
ライトの点検中です。
でも本当にいいんだな?もし俺が勝つようなことがあったら君はもちろん君の愛してる山崎弁護士だって法律のみならず社会的にどんな制裁受けるかわからないぞ。
わかってるわ。
それが当然の報いなんだしそれに彼が悪いことに加担するのもう見たくないの。
そんなに彼を…。
うん。
ねえ飲もうか。
ええっ?ほーら。
おい…いつの間にこんなもん?うふふ…これが飲まずにいられるかってね。
さあ行こう。
まいったな。
パーッと飲んで。
どうしてよ大輔君!?私は一体あなたの何なのよ。
ちょうだい。
お客様もう…。
もう!?何がもうよ!私が言いたいわよ!もう大輔め!寝ちゃったんだ。
ははは…おい中山。
おい起きろよほら。
中山!
(パトカーのサイレン)俺じゃありませんよ!俺には中山を殺す理由なんて何一つないんですから!
(松田)あんたな女が隣で死んでてだとぼけられると思ってんのか?正直に話しなさい!だから正直に言ってるじゃないですか!あそこで一緒に酒を飲んでいていつの間にか寝ちゃったんですよ。
そして朝目が覚めたら中山が。
昨夜中山友美の部屋に行ったな?行きましたよ。
用件は?女ひとりの部屋に訪ねて行ったんだ。
何か用事あったろ?いや…それは…。
何だ?言えません。
どうしてだ?まだ言えないんです。
じゃあいつになったら言えるというんだ?フッ…黙秘権か。
そうじゃないですけど!あんた確か彼女と大学時代の同級生だったな。
彼女は顔も美人だし頭も切れる!惚れてたろう?ええまあ。
そうだろなぁ。
それで彼女と10年後に再会した。
そして彼女を襲おうとした。
何ですって!?ところが彼女はその気がなかった。
それで抵抗されて思わず首を絞めた!そうだろう!ちょっと!バカなこと言わないでくださいよ!おい。
いつまでもとぼけてるとろくなことになんねぇぞ!とぼけてなんかいませんて。
あんた職業は何だ?無職です…。
無職?司法浪人なんですよ。
司法浪人。
確か34歳だよな?何年浪人してるんだ?9年目に入りました。
生活はどうしてる?それは…まあ一応友達の世話になってますけど。
フッ…女か。
ええまあ…。
そっか金が欲しかったんだ。
あんたの狙いは中山友美の財布の中身だ!そうだろう!何言ってるんですか!?もう怒りますよ!!おい!怒ってんのはなこっちだ!!・
(ドアの開く音)何だ?何だと?汚ねえ手使いやがって…。
えっ?おい。
勘違いすんなよ。
容疑が晴れたわけじゃないからな。
大輔君。
もう大輔君たら…。
ごめん。
でも千秋に隠すことなんて何もしてないから。
それだけは信じてくれよ。
知らないそんなの!千秋!千秋ちょっ…!黒沼会長の指示で山崎さんが警察に話をつけてくれたんですって。
話をつけるったってこんな簡単に釈放されるなんて…。
うん…ベガのパーティーに政治家が何人か来てるし手を回してくれたんじゃないかしら?大変ご迷惑をおかけしました。
いえ…。
でも礼は言いませんよ。
あなたがどんな手を使って僕を釈放させたか想像はつきますがそんな姑息な手を使わなくったって僕はすぐに釈放されてたんだ。
無実ですからね。
大輔君。
大体僕が中山を殺した犯人だったら朝までのん気に死体のそばで寝てたりしませんよ。
警察だってそれがわかってるから簡単に僕を釈放したんだ。
あなたのお陰で釈放されたんじゃない!ベガのパーティーのお客様が容疑者になっていたんではベガのダメージにもなる。
だから釈放させた。
それだけの理由だ。
別に君を助けたかったんじゃない!あなた直属の部下が殺されたっていうのにベガの評判優先するんですか!?しかも彼女はあなたを…!!やめなさいって。
ベガを告発!?そうなんだ!彼女自身はベガに世話になっていたんで自分ではどうしてもできないって。
大輔君はだから中山友美さんが殺されたって思うの?だって…!他にどんな理由があるんだよ!黒沼が殺したんだ…由梨ちゃんのときと一緒だよ!畜生…。
ひどいことしやがって。
俺は絶対に許さないからな!大輔君だってひどいよ。
俺が?私一睡もできないで待ってたんだから。
ああ…ごめん。
私がどんな気持ちで待ってたか大輔君わかる!?どんなに心細かったかわかる!?ホントにごめん。
でも何にもなかったんだよ!昔話して酒飲んで酔っぱらってそのまま寝ちゃってさ。
ホントにそれだけだって!信じるわ。
しょうがないから。
でも今度あんなことしたらもう絶対許さないから!ああ。
ごめんなさい!ふふっ。
じゃあこれ!何?黒沼は毎朝ジョギングをするのが日課になってるんですって。
毎朝?うん。
チャンスだと思う。
よいしょっよいしょっよっよっ!ああ〜!はあ…。
黒沼先生!先生がベガ・エターナルを創設された理論は著書で拝見しました。
確かに素晴らしい理論だと思います。
ああ。
そりゃあどうもありがとう。
しかし実際ベガ・エターナルが行ってることは詐欺と同じです。
ほう。
それはまたどうしてかな?表向きはストレスに侵された現代人の精神を救済するなどとおっしゃってますがその裏では切実に痩せたい…きれいになりたい…ストレスから解放されたいと思ってる人たちのなけなしの金を騙し取ってる詐欺組織です。
世の中には様々な悩みで苦しんでいる人が大勢いるんだ。
ストレス然り肥満然り対人関係然りだ。
そういう人たちにとってベガは最後のよりどころなんだ。
なるほどね。
「溺れる者はわらをもつかむ」と言いますからね。
ベガはわらじゃない。
頑丈な救命艇だ。
私に抗議をしたければもっと勉強して出直して来たまえ!黒沼さん逃げるんですか?びくともしないって感じね。
単なる悪党さ。
もっと周りから攻めてみる?周り?顧問弁護士の山崎とか。
そうか…。
中山の話だと山崎はベガのすべてを知ってるような感じだった。
じゃあオヤジに頼んで調べてもらうわ。
(電話)はいよいしょっ。
はいはい?おっ千秋か!何だまだ高松にいるのか?ごめ〜ん。
黒沼会長のインタビューが手間取っちゃって。
でももう帰るわ!早く帰って編集長の顔見たいから!そうかそうか。
おうっじゃあ羽田迎えに行くわ。
まあ嬉しい〜!でもダメだ…。
編集長にはちょっと頼みたいことがあるの。
何だ何だ?うん?何でも言ってみろ。
千秋の頼みなら何でも聞くぞ。
あのねベガの顧問弁護士に山崎稔っていう人がいるんだけどその人のことを調べてもらいたいの。
何でもいいからわかること全部。
お願〜い。
うん…じゃあね!う〜んチュッ!チュッ!チュッチュッ!ハハ…!はあ…。
怖ぇ…。
何か言った?えっ?ああ…。
あっ。
ああこんにちは。
どうもご苦労さまです。
こんにちは。
事務所へ伺ったら先生まだご自宅だと聞いたものですから。
はい。
もう間もなくお出かけになると思いますが。
あっ…あの突然の訪問でも会っていただけますかね?どうですか…。
じゃ私ちょっとお伺いしてまいります。
あっ先生。
三上さん!すいません。
突然お邪魔して。
あっ例の件ね。
ベガの顧問弁護士が殺害された。
そうなんです。
わかったわ。
ねえ30分ほど時間もらえる?申し訳ありません。
党の予算会議までもうギリギリなんです。
ああそう…。
じゃあ車の中でいいかしら?ええ結構です。
山崎って?ベガ・エターナルの顧問弁護士の。
ベガの顧問弁護士。
ええ。
山崎を洗えば黒沼の化けの皮を剥がせると思うんです。
なるほどね…。
それで具体的にはどうするの?何か計算はある?いやそれはまだ…。
そう…。
その中山友美さんでしたっけ?その方は三上さんに何かベガを告発する材料のようなものは与えてくれなかったの?詳しい打ち合わせは東京に戻ってからということだったんで残念ながら…。
そう…。
でもね三上さんじっくりやりましょう?焦って証拠が揃わないうちに戦っても負けてしまうわ。
きちんと資料が揃ってから戦いましょう。
ええ。
順番はこうでいい…。
はいわかりました。
ただいま〜。
おうお帰り〜!はいこれ。
おみやげ。
おおうれしい〜。
ところで例のあれ調べていただけました?ああ!まかしとけ。
知り合いの探偵社に頼んでな…。
大至急調べさせたぞははは!ありがとうございます!さすが編集長!だから好き!いやはははは!じゃ今夜飯でも行こうか!すいません今日は早退します!いやちょっと…!何だこれ。
羽田で買ってんじゃん。
「本名山崎稔。
出身は瀬戸内海にある香瀬島」「18歳の時に4歳年上の同じ島の娘と上京」「練馬区に2人でアパートを借りて住む」「山崎はそこから大学の夜学に通い学費は女が銀座のクラブで働いて工面していた」その女の身元は?「不明」「大学を卒業する年に司法試験に合格」「虎ノ門の高見沢法律事務所にイソ弁として席を置く」「3年後司法修習生として配属された女性と親密になる」中山友美か。
そう。
ホントの恋人同士だったのか。
どうして?彼女からそう聞いてたんでしょ?ああ。
でもあいつ俺を警察に迎えに来たときに表情一つ変えてなかったのが気になってたんだ。
恋人が殺されたのにってこと?うん。
確かにクールで冷徹な男ではあるらしいんだけど。
それにしても山崎が中山友美さんを殺せっていう命令は出さないと思うわ。
となるとやっぱり黒沼か…。
うわ〜!!
(キャスター)「亡くなっていたのは今話題のベガ・エターナルの会長黒沼幹生さんと判明」千秋…千秋!どうしたの?黒沼が死んだ…。
黒沼が!?「ある筋の情報によりますと黒沼会長と中山友美さんは親密な関係にあったとも言われ2人の死は痴情のもつれが原因ではないかと警察ではみているようです」そんなバカな…デマだ!殺されたんだわ。
黒沼も殺されたのよ!誰に?誰って…。
黒幕がいるのかもしれないな。
黒沼を操ってベガの甘い蜜を吸ってる黒幕が…。
千秋…。
何?早くしないと俺たちも危ないかもしれないぞ。
何ですって!?今だんだんマスコミで騒がれてきてるけどベガを本気で告発しようとしているのは俺たちしかいない。
しかも田沼先生の協力を得てる。
ベガにとって一番の危険分子は俺たちかもしれないぞ。
やだ…。
黒沼会長を殺害してまでベガを守ろうとした奴らだ。
俺たちを殺すぐらいわけないよ。
何とかしてよ大輔君!何とかしてよ!!千秋ワープロ打ってくれないかな?ワープロ?探しても何も見つかりませんよ。
ベガを告発できるという証拠を中山友美が持ってると伝えたあの手紙は僕が書いたんです。
不法侵入だな。
警察を呼ぶ。
どうぞ。
しかしあなたが中山の部屋の合鍵を持ってると警察が知ったらまずいんじゃないですか?警察はベガが流したデマを信用して中山は黒沼会長の愛人だと思ってる。
ところがホントは中山の恋人はあなただと警察が知ったらあなたが黒沼会長の死に何らかの形で関与してると思うんじゃないですかね?なかなかの悪知恵だな。
あなたほどじゃありませんよ。
出てってくれ。
この部屋は私と友美の部屋だ。
誰が中山を殺したんですか?中山はベガを告発しようとしていた。
それを知ったベガの人間が中山を殺した。
あなたは中山の身に危険が迫っていたことを知っていたんでしょ!?どうして止めなかったんですか。
あなたの恋人だったんでしょ!?みすみす中山が殺されるのを見ていたんですか。
山崎さん。
ベガは法に触れるようなことは何1つしてませんよ。
もしあるというなら告訴してください。
いつでも受けて立とう。
山崎さん…。
ねぇもう1軒飲みましょうよ。
まだ早いもん。
明日仕事だろ。
大丈夫。
事務所に行って山崎さんに会えると思うともう朝ばっちり目が覚めちゃうの。
ねえもう1杯飲みましょうよ。
いらっしゃいませ。
あの晩中山が言ってました。
あなたを恩師として尊敬している。
ベガの悪事には腹が立つが告発すればあなたを裏切ることになる。
だからどうしても裏切れない。
そして愛してもいた。
だからどうしても自分では告発できない。
弁護士である自分と女である自分の間で悩み苦しんだ。
そして僕に告発してほしいと頼んだ。
それが精一杯の彼女の答えです。
君はアマチュアだ。
しかし私はプロだ。
ベガの顧問弁護士なんだよ。
ベガを守るのはプロとしての私の仕事なんだよ。
誰を好きだからとか愛してるからとかそんな甘い理由で顧問弁護士の仕事を放り出すような奴は弁護士としての資格などない。
弁護士である前に人間でしょ。
怒ったり悲しんだり人を好きになったり嫌いになったり…。
法律というものはそういう人間的な感情の上に成り立つべきものなんじゃないでしょうか。
法律至上主義で人間の人間的な感情を頭ごなしに抑えつけるようなやり方は僕は嫌いです。
それをアマチュアと呼ぶなら僕はその呼び方を誇りに思います。
「いのち短し恋せよ乙女…」『ゴンドラの歌』ですか?この歌を口ずさむとな若い頃を思い出すんだ。
君のようにまだ尻の青い純粋だった頃をね。
好きだったのか?中山を。
ええ学生の頃。
そうか…いい女だったな。
『ゴンドラの歌』この曲を聴くと若い頃の澄んだ気持ちになれるの。
(山崎)〔この歌を口ずさむとな若い頃を思い出すんだ〕千秋!開けるぞ!ちょっと待って!おいちょっと何やってんの?ヨガよ!補正下着でダメならヨガで痩せてやる。
懲りないな…。
ちょっ…!危ない!イテェ…!ちょっとそれよりどうだったの山崎?ああ。
確か山崎が瀬戸内の香瀬島から上京するときに同じ島の4歳年上の女と一緒だったって言ったよな?うん。
名前はわかんないけど。
その女の名前突き止めてくる。
瀬戸内の香瀬島まで。
何?いや交通費ちょうだい。
もう早く弁護士になってよ!いや〜ほら勉強する暇なくてこんなことばっかやってるから…。
山崎君?ええ。
役場のほうで先生が山崎稔さんと同級生だと伺ったものですから。
ええ。
小学校中学校高校とずーっと一緒でした。
あっそれじゃあ山崎稔さんが上京したときのことも覚えてらっしゃいますか?ええ…。
かわいそうやったんです。
あのときは。
かわいそう?山崎君が中学生のときに漁師やったお父さんが海で遭難してお母さんが無理をして山崎君を高校に通わせとったんやけどそのお母さんも山崎君が高校3年生のときに過労で倒れてそのまま亡うなってしもうたんです。
そうだったんですか…。
山崎君たった独りになって…。
高校へ行くお金もないし途方に暮れとったんです。
そしたらある日突然…。
どうしても出て行くん?山崎君。
東京行っても知っとる人おらんのやろ!
(山崎)じゃあのう。
その女性の名前わかりませんかね?ええっと…役場の福祉課に勤めとった人で何いったんかな?思い出せませんか?ああ…!そやそや杉本さん!杉本?杉本何さんですか?うちら役場の杉本さん言うて呼びよったけん名前まではちょっと。
その杉本さんのご家族は?詳しいことは前の町長さんに訊いたらわかるんやないやろか?勝野さん!この方が何かお話お伺いしたいそうですけど!
(勝野)ああ…。
すいませんどうも。
いやいや。
杉本の娘さんの?ああ…。
何かあったんですか?親父がろくでなしでのう。
お父さんが?杉本のうちは代々この島で漁業長をやっとったんじゃ。
杉本も親父の跡を継いで何代目かの漁業長になったんじゃが…。
ああ…これがいけんかったのう。
組合の積立金やら国の助成金やらまんで使い込んでしもうたんじゃ。
当然漁業長はクビじゃ。
漁にも出ずに酒を飲み仲間にケンカを売り。
とうとう蓄えものうなってしまい役場に勤めておった娘の給料を当てにするようになったんじゃ。
そやけんど娘もしっかり者じゃけん一銭も金を渡さんようになったんじゃ。
そんで事件が起きたんじゃ…。
事件?酔うた杉本は酒買う金欲しさに小学生を殴りつけてのう給食費を奪ったんじゃ。
給食費ですか?ああ島中大騒ぎじゃ。
その騒ぎの最中杉本の嫁さんは山で首を吊って死んだ…。
でお嬢さんは?かわいそうにこの島におるにおられんで山崎の息子と2人で駆け落ちしたんじゃ雅代は。
雅代?杉本さんのお嬢さんの名前は雅代さんていうんですか?ああ。
雅代や。
ようできた娘やったんだがほんまにかわいそうなことをした。
お帰りなさい。
はい。
ようっ千秋!えっ?お望みの資料だ。
田沼雅代の?うん!もうバッチリだぞ!さすが編集長!ありがとうございます!えっ?どう?今夜食事でも。
ごちそうさまです。
そう?行く?ああそう!じゃこれはそのときに…。
失礼いたします。
お連れ様がお見えでございます。
いや…うん?ああっこりゃどうも。
(咳払い)何でこいつが一緒なんだよ!その資料の依頼人ですから。
いやぁ!この度は私共のためにご尽力いただきまして誠にありがとうございます。
その上このような超高級割烹にまでご招待いただき何と申してよいやら感謝感激でございます。
ハハハ!いやぁ…これぐらいお安いご用です。
ねえ!素敵な上司でしょう?繊細でかつ太っ腹。
情報収集力抜群!理想の上司なの。
いや〜ホントだな。
千秋幸せ者だな!うん!うふふ…!ハハハ…!あっ!すいませんけどその資料読んでいただけますか?ははっ!
(咳払い)「田沼雅代。
旧姓杉本雅代」杉本雅代!やっぱり…。
山崎と一緒に駆け落ちしたのは田沼雅代だったんだ。
駆け落ち?ああ…いやいいんです。
続けてください。
お願いします。
「香川県出身。
履歴がわかるのは銀座のホステスをしていた時から」「それ以前は不明」それで?「銀座のホステスをしている時に客で店に来ていた衆議院議員田沼誠一郎に見初められ昭和59年田沼の後妻に入る」う〜ん31歳の時だ。
31歳。
4歳年下だから…山崎は27歳。
山崎が司法修習生だった中山友美と出会ったのは山崎が26歳のときだから田沼雅代の結婚の1年前ね。
その頃に2人の別れがあったってことだな。
別れたっていうより山崎のほうが去山っ崎てのっほたうっがて感じじゃない?友美さんを好きになって。
男は薄情だからね〜。
そんなに世話になってるのに。
いや男はみんなそうってわけじゃないだろ〜。
だけど!ああちょっとちょっと。
先続けていいかな?あっはい。
どうぞ。
「平成3年田沼誠一郎肝臓ガンで他界」「その選挙地盤を受け継いで…」ねえ千秋それちょうだい。
「田沼雅代が…参議院に立候補」ああ!どけてただけ!「弔い合戦と称して戦い…」やっじゃあそれちょうだい!あんま食べ過ぎると太るから!やあだ!ちょっと…。
おい!聞いてんのか!聞いてます。
でも大輔君。
田沼先生と山崎がかつて恋人同士だったからって田沼先生がベガの黒幕かもしれないなんて話が飛躍してない?じゃあどうして山崎の話したときに田沼先生は知らない人だみたいな顔をしたんだよ。
山崎って?そうよね…。
ああ!仕上げはやっぱりラーメンだな。
うん。
なあ千秋。
もう一度鼻声出してくんないかな?鼻声?うん。
編集長にさ田沼雅代に対する政治献金のリストと選挙のときに応援してくれた人物を調べてもらいたいんだ。
編集長お願〜い・こんな感じ?ふっ…ふふっ。
さすが編集長!仕事が速い!献金リストね。
でもベガの名前なんてないわよ。
どうして?田沼雅代は女性の味方ってことで当選してるんだから悪評高いベガの献金なんか受けてることが知れたら議員生命終わりだもん。
ないか…。
…とすると裏金か。
そっちは?田沼雅代が当選したときの後援会名簿。
あれ?あった!えっ?ほらっ黒沼幹生。
ホント。
どうして?これ何年前の名簿?4年前。
ベガができたのは?3年前。
だからだよ。
ベガができる前に田沼雅代と黒沼は関係があったんだ。
じゃあやっぱりベガの黒幕って田沼雅代なの?『ゴンドラの歌』
(ノック)
(秘書)失礼いたします。
『ゴンドラの歌』『ゴンドラの歌』…ですよね?若い頃…好きだった歌なの。
山崎さんも口ずさんでました。
あらそう。
偶然ね。
偶然ではないと思います。
どういうこと?たぶんおふたりが若い頃一緒にこのオルゴールを聴いていたかふたりで口ずさんでいたんじゃないかと思うんですがね。
おふたりって誰のこと?先生と山崎さんです。
何を言い出すの!?私はその顧問弁護士さんとはまったく面識がないのよ!大体どうしてあなた方と一緒にベガを告発しようとしてる私がそのベガの顧問弁護士とそういう関係だと思うの?そんなはずないでしょ。
ええ。
そこが盲点でした。
三上さんいい加減にしてちょうだい。
私は今山のように仕事を抱えているのよ。
でもあなた方のためにこうやって時間を割いてる。
それなのにそんな話…。
とても大事な話だと思うんですがね。
申し訳ないけどこれから私札幌に行かなくちゃいけないの。
飛行機の時間がありますから失礼します。
先生待ってください。
何してるの杉本!早く車用意して!はい。
早く!はいすいません。
杉本?ぐわっ!?あっ…ああっ…!ううっ!キャッ!?いやっ!大輔君!杉本さん!やっぱりあんただったのか!勘違いするな!先生の命令やない!わしが勝手にやってることや!田沼雅代の旧姓は杉本雅代!あんた田沼雅代の父親だろ!小学生の給食費まで奪ったそうだな。
おかげで田沼雅代は島を出ることを余儀なくされた。
あんたその罪滅ぼしのために娘を追い詰める人間を殺してるのか!わしは雅代を守るためやったら何やってする!雅代がやっとつかんだ幸せなんや。
それを壊そうとする奴は誰だって許さん!あんたが階段から突き落とした浜村由梨だって両親はいるんだぞ!勝手なこと言うな!あんた一体自分の娘が何をしてるのかわかってるのか?金のために罪のない純真な人たちを騙してるんだぞ!あんたも人の親なら自分の子供が悪事に手を染めるのを止めるのが務めだろ!あんたに何がわかるんだ!わしが雅代にどんなひどい仕打ちをしたか…。
それはあんたたち親子の問題だろ!そのために何の罪もない人たちをなぜ殺した!わしにゃあこんなことしかできないんや。
雅代を守るためにはこんなことしかできないんや!中山友美もあんたが殺したのか?雅代にとっては一番危険な存在やった。
ひどいよあんた…。
娘の幸せを守りたいなんて言ってるが人の命を踏み台にする幸せなんかどこにもない!そんなことをして田沼雅代の幸せを守ってると思ったら大間違いだ!しかもあんた田沼雅代を苦しめてるだけだ。
彼女の首をしめてるだけなんだよ!黙れ!杉本!杉本…!あんたの言いよることは正しいわ!そのとおりじゃ!だったら警察に自首してすべてを…!自首なんかせんわい!これ以上雅代に迷惑かけることはできん!雅代を殺人犯の娘になどせんぞ!わしが死んだらみんな闇に葬られる!やめろ!雅代はのわしが守るんじゃ!わしが!やめろー!
(地面に落ちる音)あなたがお父さんに人殺しをさせたんですか?浜村由梨中山友美黒沼幹生。
3人もの人間をあなたが父親である杉本さんに殺せと命じたんですか?そう…。
やっぱりあの人が殺したの。
とぼけないでください。
とぼけてなんかいない!本当に知らなかったの!ただ…。
(黒沼)〔誰がお前を議員にした!〕誰のお陰で先生を続けていられると思ってるんだ!はい。
ベガの被害者同盟を作ろうという動きがいくつかあるそうじゃないか!そういう連中から話を聞いたと言って昨日警察から連絡があった!中山友美殺害事件そしてもう一人階段から転落した女のことで事情を訊きたいというんだ!この私にだぞ!!そういう下らん雑事から私を遠ざけるのがお前の仕事だろ!何のためにお前に大金を与えてると思ってるんだ!申し訳ありません。
すぐに取り掛かれ!何とかしろ!はい。
マスコミにちやほやされていい気になるな!その気になればお前を潰すことなんて簡単にできるんだぞ!うん?何だお前は!どけ!そのときに初めて気がついたんですか?でもあなたのお父さんはいつも運転手としてあなたの身近にいたんですよ。
目の届くとこに置いておかないとまた何をしでかすかわからない人だからよ!大体あんな男父親でも何でもない!母を自殺に追いやって私の生活をめちゃくちゃにして!おまけに今度は人殺し!?どこまで人に迷惑をかければ気がすむのかしら。
とにかく私はあの人が何をしようと関係ないわ!私とはもう無関係の人ですから!じゃこの浜辺へ何しに来たんですか?お父さんのことを思い出すためでしょ。
バカなこと言わないでちょうだい!あの人のことなんか思い出したくもない。
『ゴンドラの歌』事務所から借りてきました。
山崎さんに聞きました。
昔あなたと山崎さんはお金がなくて1つのインスタントラーメンを2人で分け合って食べたそうですね。
その頃の気持ちもう一度思い出してください。
お願いして来てもらいました。
雅代さん僕は弁護士を辞めるよ。
稔君…!僕らの夢はあんな人の弱みや足元に付け込んで金儲けをするようなことじゃなかった。
もっと純粋だった。
僕がいけなかったんだ。
僕があなたを裏切って友美を愛してしまったことがすべてを狂わせ始めた原因だったんだ。
本当に申し訳ないと思ってる。
あんなに世話になり恩になったあなたを…。
それは違うわ。
確かにあのときあなたのことを恨んだりもした。
でもお陰であなたのことに踏ん切りがついて田沼と結婚して彼が亡くなった後その地盤を継いで国会議員にもなることができた。
それにあなたは私のためにベガで頑張ってくれたじゃない!それだけで私は十分うれしかった。
でもあなた方は肝心なことを忘れてしまった。
一体何のために国会議員になったんですか?弁護士になったんですか?金儲けをするためですか?権力を手に入れるためだったんですか!?人間の欲望にはきりがないわ。
自分だけは別だと思っててもいったん権力やお金を手にしてしまうともっと…もっと欲しいと思うようになってしまう。
先生先生と呼ばれていい気になっていくつもの企業が札束を抱えて私の前に日参してくる。
こんなことしてちゃダメだ。
これは本当の私じゃないと思ってももうダメだった…。
誘惑に勝てなくなってた…。
ベガの黒沼からの賄賂を受け取ることにも何の抵抗もなくなってた。
結局…黒沼の言いなりになるしかなかった!そんな言い訳では誰も納得しませんよ!そのために何人の罪のない人がひどい目に遭い死んだと思ってるんですか。
あなたのお父さん最後に言ってました。
これ以上雅代に迷惑をかけるわけにはいかない。
自分が死ねばすべてが闇に葬られる。
雅代は俺が守る!俺が…。
そう言って飛び降りたんです。
あなたが金や権力に目が眩むことがなければお父さんを殺人者にしなくてもすんだんだ!ちょっと大輔…。
言わなきゃ気がすまない。
俺は弁護士でもない。
裁判官でもない。
あなたを裁く資格もない。
でもな死んでった由梨ちゃんや中山の悔しい気持ちを考えるとあなた方をここで殴り飛ばしても気がすまないよ!杉本さんがどんな思いで人を殺したかあなたは思い知るべきだ。
あなたやあなたのお母さんをひどい目に遭わせた罪滅ぼしのためだけじゃない。
あなたが自分の娘だからだ。
かわいい娘だからだ!父親の愛情だったんですよ。
それを歪んだ形にしてしまったのは雅代さんあなたですよ。
そうね…。
私がこんなに変わってしまわなければ誰も死ぬことはなかった。
まして父が…3人もの人を殺すことだってなかった!
(雅代の嗚咽)ごめんなさい…。
本当にごめんなさい…。
三上さん。
あなたならきっと素晴らしい弁護士になれる。
私たちがまだ純粋だったときの夢を実現してください。
(雅代の嗚咽)しかしさ…何でまた急にジョギングなんか始めるの?美しく痩せるためには運動が一番!あんなインチキダメなのよ!やっとわかったわけ…。
何?ああ〜もう!こんだけでステーキでも腹いっぱい食いたいよ!だったらさっさと弁護士になってお金稼ぎなさいよ!俺はね金儲け主義の弁護士にはならないの!そういう偉そうなことは司法試験に合格してから言って!やぶ蛇だこりゃ。
こんなところに隠して!ずっと探してたのよ!?いや〜ほら勉強の合い間に甘いものをと思ってさ。
もう〜あ〜ん…。
おい…。
うっ…ちょっと…。
えっ!?水!水?何だよ…。
何だよちょっとダイエットするんじゃなかったの?うんやめた!大輔君太ってる女の子のほうが好きって言ったでしょ?えっ!?俺そんなこと言った覚えないよ。
勉強頑張って!ちょっと待ってよ。
それ何で持ってくの。
食べたんだからいいじゃない!少しくらい残してよ。
ちょうだいよ!そんなの!ちょっとやめて!
(2人)わあー!!2014/07/16(水) 13:05〜14:56
ABCテレビ1
同居人カップルの殺人推理旅行[再][字]
死を呼ぶダイエット!?美人弁護士が暴くエステサロンの危険な秘密…
詳細情報
◇出演者
布施博、大宝智子、高樹澪、ラサール石井 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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