8ハートネットTV 介護百人一首2014「夏編 その一」 2014.07.16

(小谷)「介護百人一首2014」。
東京都の橋迪子さん70歳の短歌です。
「寝たきりになった主人の体温と血圧を毎朝測っています。
平熱で脈も穏やかですとほっと致します。
雨があがり遠く青空が見えています」。
群馬県の佐々木信輔さん78歳の作品です。
「介護は人の仕事と思っていましたが自然のいろいろな様も心を癒やしてくれます。
部屋の窓は母が外とつながる唯一のもの。
窓を通して自然の恵みが母を癒やしてくれます」。
1万1,000首もの中から選ばれた珠玉の100首。
その三十一文字に込められた介護を巡る思いを訪ねます。
(毒蝮)介護は明るく楽しくかっこよく。
全国の介護家族の皆さんご機嫌いかがですか?「ハートネットTV」今日と明日の2日間は「介護百人一首」をお送りします。
全国から寄せられた1万1,606首の中から選ばれた100首の歌を紹介してまいります。
春に続いて今回は「夏編」という事になりますね。
もう夏なんだよな。
はい。
俺夏大好きなんだよ。
海水浴行ってね。
赤ふんを締めるの俺うまいんだ。
かっこよく。
それでは早速ゲストをご紹介してまいりましょう。
直木賞作家の姫野カオルコさんです。
よろしくお願い致します。
たくさんの著作のある姫野さんですが「風のささやき」という介護する人の告白小説。
介護する人への13の話をつづったご本を出されてるんですよね。
これは私が母を見舞う中で施設や老健そういった所で実際に会った人の実際のお話を聞いてそれが何人もにわたったのでそれを全部合わせて13人の形にしたという事でそこがフィクションなので告白小説というふうにして頂きました。
ちょっと1節ご紹介させて頂きます。
お母さんを介護する娘さんのささやきです。
これはもう歌だよね。
詩だよね。
詩ですね。
介護してる人のいろんな思いがあふれていますね。
俺も勉強になった。
これ…。
はい。
それでは早速姫野さんと一緒に見てまいりたいと思います。
「介護百人一首2014夏編」ご覧頂きましょう。
山口県の河野美也子さん68歳の作品です。
「もう亡くなった父ですがだんだんと様子がおかしくなっていきました。
それを少しでも遅らすため父に数学を習いました」。
栃木県の石和芳子さん70歳の作品です。
「認知症になった頃の母は夜になると私を恐れ朝は『神さま』と手を握りしめていました。
私は1人なのに母の頭の中には別な2人が存在しているようでした」。
広島県の大野千恵子さん40歳の作品です。
「私が帰る時独り暮らしの祖母はいつも車が見えなくなるまで手を振り続けています。
そんな姿をバックミラーで確かめる度に切なく感じます」。
兵庫県…この町にも介護百人一首の詠み人がいます。
失礼致します。
池田さんおはようございます。
訪問看護師の方が訪ねたのはこの市営住宅に暮らす104歳の池田トメコさんです。
そのトメコさんを介護しているのは息子の弘さん84歳。
(弘)ほら!…ああすみません。
そしてその妻の敬子さん82歳です。
ちょっときれいに…。
お母さん自分でかいてごらん。
上手にかいてよ。
下関で暮らしていたトメコさんを弘さんが引き取り神戸に連れてきたのは8年前の事です。
ともに80を過ぎている夫婦が104歳の母を見ている暮らしです。
トメコさんは明治42年香川県坂出市に生まれました。
高松の女学校を出て二十歳で結婚しました。
相手は下関の警察官。
子どもは5人設けました。
しかし召集された夫はフィリピンで戦死しました。
戦後トメコさんは女手一つで苦労して5人の子どもたちを育てました。
(弘)5人抱えて警察の給料も戦死と同時にストップですわ。
恩給もない。
お母さんが請負の裁縫いうか夜なべ…。
それで女学校皆行かせてもろうたし僕も旧制の中学校までやった。
5人の子どもを抱えて戦後たくましく生きたトメコさん。
その母を助けるため弘さんも旧制中学を出ると下関の青果店で働きました。
当時は下関に荷揚げされる高価なバナナが大変な人気でした。
弘さんはそのバナナの商売で母を支え懸命に働きました。
貧乏たれ嫌やからバナナやってあの時には赤いダイヤが小豆で黄色いダイヤいうぐらいの時やったからな。
バナナでもうけたらなあかん思って…。
昭和36年弘さん夫婦はバナナで一旗揚げようと母を残し神戸に出ます。
なんとか始めたバナナの店は大当たり。
商売は大きく伸びていきました。
その後店を手広く広げ一財産を築いた弘さんでしたがバブルのあと持っていた株が急落。
店も土地も失ってしまったと言います。
今はこの市営住宅に暮らす弘さん夫婦。
それでも長い間離れて暮らしていた母を呼び寄せる事にしたのです。
1億円も借金食ろうて大騒動する。
家はこのざまや。
バリアフリーも何もない。
便所はガタガタ。
そんなもの関係ないわい。
敷居が高かったらわしが負うてでも抱いてでも行くわ。
気持ちさえあれば銭がなかろうが家が…まあルンペンにはできんけどまあ気持ちやね。
食事は敬子さんが作ります。
1時間炊くの。
いつもおかゆとカボチャの煮物お豆とみそ汁という決まったメニューです。
煮汁もたっぷり入れます。
たんとな…。
食事これ…。
トメコさんの食欲は今日も旺盛です。
おいしいね。
こうやって食べますから。
箸使えますよ。
こんなんしてね。
豆でも…。
(弘)人間誰でもそれは…別れる時もありますわな。
「一期一会」いいますけどね僕は「一期一日」ですわ。
一日朝起きてお母さんがこういてこれ一日で終わりというぐらいの気でやっていこうと思いますわね。
それが覚悟になりますわな。
夫婦2人して見る104歳の母の老老介護。
穏やかな日々が続きますように…。
いや〜弘さんかっこいいよ!そう思うよね?はい。
お母さんを呼び寄せて…。
お母さん104歳?これ老老介護どころじゃなく老老老だよね。
奧さんも80越えてんだろう?敬子さんも82歳。
すばらしい。
元気もらった人たくさんいらっしゃると思うよ。
改めて短歌ご紹介しますと…。
これは姫野さんはどうご覧になりましたか?このご家族3人ともお若いですよね。
若い!全員明るいんじゃないですか?性格が…。
前向きさがこうね…。
出てるんでしょうかね。
肌の艶とかにもね。
かわいいお母さん…。
ねえ。
すごいかわいらしいの。
ちっちゃくって…。
カボチャをお母さん「ああおいしそう」ってあれがいいね。
お母さんもそういう点でいろいろと喜んでくれました?介護行った時に…。
う〜ん…。
母親何かあの〜認知症になったんですけど認知症になってから全然人が変わってしまって暗い性格だったのがものすごい明るい優しい性格になったのでそうなってからは何だかものすごく楽しそうで性格もよくなって何か人気者になっちゃって…。
そうなの?人気者になるからますますよくなってどんどんプラス効果じゃなくて…。
相乗効果でね。
ああそうなの?じゃうれしかったですね。
お母さんがそんなに明るくなって。
そのころは本当に楽しかったです。
会いに行くのが楽しかったです。
グループホームへ…。
うん。
さて姫野さんほかに気になった短歌ありましたでしょうか?ああ!元教師数学の先生。
これはどういうところに…?気になります?同じ事を言われる方がたくさんいらしたのでみんなそうなのかなと思って…。
お母さんにもそういう何か覚えてる事ありました?認知症になってから…。
母は教育勅語ですね。
教育勅語…。
教育勅語を私が読み始めると「続きは?」って聞くと小さい声で言ってくれたりしましたね。
スラスラと…。
ええ〜!?それはもう小さい時に教え入ってるから。
全然覚えらんないでしょ?私は大人になってから読み始めたので何回も何回も読んでるのに全然…。
ハハハ…!はあ〜!直木賞作家にも弱点があったんだ。
さて「介護百人一首2014夏編」続きをご覧下さい。
千葉県の川島愛美さん二十歳の作品です。
「正月に親戚一同集まる中祖父は『もう杖なしじゃ歩けなくなった』と言いながら両手に大好きなお酒を持ち笑顔で歩きました。
思わず笑ってしまいました」。
広島県の武藤晴子さん74歳の作品です。
「母は寝たきりになり3年ほどで逝きました。
起き上がるのも難しくなり介助する時そっと抱き締めました。
私は幼い頃を重ね合わせていました」。
愛知県の山口一夫さん93歳の作品です。
「重い失語症の妻との会話はなかなかかみ合わず話の通じない焦りとつらさがふびんでなりません。
ほとんどやるせない幕引きとなってしまいます」。
神話の国…この町に介護百人一首の詠み人がいます。
夫が病になってからも毎年夫婦2人で訪れたという蓮池。
その蓮池を去年は1人で訪ねたという短歌です。
出雲大社の参道近く歌を詠んだ小梶輝枝さんの住まいがあります。
小梶輝枝さん71歳です。
輝枝さんは脳梗塞で左半身が不自由になった夫を自宅で19年間ずっと見守り介護してきました。
その夫は今入院中です。
(取材者)病院には割と毎日のように…?ほとんど毎日行っています。
よっぽど用事がある時には1日置いたりしますけどもやっぱり待ってますのでね。
何するっていう事ないですけど行くと安心するんですよ。
(取材者)向こうも安心するけど自分もやっぱり…。
そうです。
やっぱりね行って様子見ると落ち着きますね。
安心して夜も寝れます。
輝枝さんの夫専一さんが脳梗塞で倒れたのは平成7年です。
その後懸命にリハビリに努め退院してからは杖で元気に歩いていました。
でも今回の入院はもう6か月になります。
肺に水がたまり回復が遅れています。
こんにちは。
こんにちは。
いつもお世話になります。
いえこちらこそ。
リハビリの先生です。
先日はどうも。
専一さん74歳です。
肺を手術したため声が出しにくくなっています。
はい曲げてみて…。
脳梗塞の後遺症は左半身です。
体を動かさないでいると関節が硬くなってしまいます。
顔を上げる練習しましょうか。
はいグッと上げて…。
はい1…。
はい上げて…2。
20分ほどのリハビリが終わりました。
はいいいですよ。
脚動かしますか?もういいですか?まだ…。
まだやる?まだやる…頑張るねえ。
すごいね。
その調子その調子。
ちょっと下げますよ。
おとうさんちょっと下げますよ。
123456…。
2人が結婚したのは昭和42年。
お見合いで自動車部品メーカーの製造部門に勤める専一さんを紹介されました。
(輝枝)まあ真面目…。
この人なら真面目そうだなと思いました。
信号渡られる時に見ましたらねきちっと青になってから渡るんですね。
何となく「はあこの人は案外しっかりしてるかもしれないな」というような気がしたんですよ。
2人の子どもにも恵まれました。
無遅刻無欠勤で仕事に励んだ専一さん。
そんな専一さんが脳梗塞の発作に襲われたのは定年を間近に控えた54歳の時でした。
一時は医師から車椅子の生活になると言われた専一さんでしたが懸命な努力をして退院。
その後もリハビリは頑張って続けました。
自宅でも右手だけで何でもできるようにと折り紙細工にも取り組んできました。
根が強いっていいますか一生懸命なんですよ。
治りたいという気持ちもあったと思いますけども…。
ですから本人がものすごく努力したと思います。
…で私も何かしなきゃいけないわと思って。
専一さんが倒れてから輝枝さんはホームヘルパーの講座を受け介護の仕事を始めました。
平成14年には介護福祉士の資格も取りました。
(輝枝)介護の仕事を昔からしたかったんですよ。
若い時から…。
やってみますとねこんないい仕事はないわと思ったんです。
やりがいがあります。
こんなすばらしい仕事はないわと思って…。
楽しみながら仕事してました。
でもずんずん目に見えて体力が落ちていくのが分かったんです。
歩いて帰るのも遅いなと思って見るとそこの所からやっと足を引きずって帰るんですよ。
その姿見てますとねもうこの辺で仕事を辞めないと私はまた後悔する事になると思ったんです。
退職したのは4年前です。
現在は介護予防の運動教室を週に1日だけ手伝っています。
仕事を辞めて夫を車に乗せお出かけする余裕も生まれました。
リハビリに励む夫をゆっくりと支える日々が過ごせました。
出雲市内の荒神谷史跡公園は毎年のように専一さんと訪れる場所です。
ここですけどね。
咲いたらそれはそれはきれいなんですよ。
蓮の花が咲くといつも2人で見に来ていました。
でも去年の夏は専一さんがデイサービスで先に見に行ってしまいました。
輝枝さんの詠んだ短歌はその時の歌です。
また再発してるんじゃないかとか転んでるんじゃないかといつも気になってましたので「今日だけはいいんだ。
おとうさんの事考えなくても自分のためだからちょっと口紅をさしてお化粧しておしゃれをして…」。
おしゃれをするいってもこの程度でございますけども出かけてもいいんだと自分に強く言い聞かせるような気持ちでございました。
「今日だけは許してもらえるんだ」という気持ちが強かったですね。
何ででしょう?分かりません。
19年間夫を気遣い支えてきた輝枝さん。
でも最近気が付いた事があると言います。
私が頑張れたのはおとうさんが頑張ってたから私も頑張られたという事がよく分かったんです。
「私が見なきゃ」とか「支えなきゃ」と思っていたんですけど実は私の方が支えられてたんですよ。
本当感謝です。
来年の夏は2人で蓮見に来る事ができますように…。
輝枝ちゃん!かわいいよ〜!頑張ってるっていうか旦那が頑張ったから私も頑張った。
夫婦は一心同体だって事がすごくよく分かるね。
お二人とも頑張り屋さんで働き者の…。
…で介護はすばらしい仕事だっていうのも介護する人にとっては勇気づけられるなあ。
本当ですね。
ありがとうありがとう。
すばらしいお話を…。
「今日だけは自分のためと紅をさし蓮見に出かける夫はデイの日」。
小梶輝枝さんの歌姫野さんはどうご覧になりましたか?仲むつまじい感じがして本当に羨ましい限りでした。
私人生の最強の武器はやっぱり夫婦仲がいい事だと思いますね。
…という事はどちらかが病んだ時に一番出るね。
夫婦仲がいいって事は最高の介護でもあるんだ。
看病でもね。
お父さんお母さんとても仲良かった?いえ逆逆逆…。
真逆。
なのでこのご夫婦は本当にもう…金銀財宝に勝る宝をお持ちの夫婦ですね。
のろけてるようだけどこののろけがすばらしいですよね。
皆さんのろけるなんて全然恥ずかしい事じゃないです。
日本全国の皆さん夫婦仲のいい方お互いを是非のろけて下さい。
本当に…。
小梶輝枝さん専一さんいい短歌そしていいご夫婦の宝物のような例を示して頂きました。
どうもありがとうございました。
仲良くお過ごし下さい。
今日はいろんな短歌を見てこられて姫野さん小説家から見て短歌五七五七七のよさってどういうふうにご覧になります?私からすると私はクドクドクドクドとゴチャゴチャゴチャゴチャ言いがちなのでスキッとこの短い中にまとめてるのが何かすごくきれい。
きれい。
片づいた部屋みたいですごくきれい。
片づいた部屋…。
介護なんてゴチャゴチャしたりドロドロしてるんですよ。
それを短歌にまとめた時はこういうすっきりした片づけた文になるんだよ。
是非そのモヤモヤを片づけにもなりますんで「NHK介護百人一首」では来年度の介護短歌を募集しています。
こちらのチラシでもご応募頂けます。
このチラシの裏が応募用紙になっているんですね。
NHKハートプロジェクトのホームページ「NHK介護百人一首」の専用申し込みフォームまたはこのチラシなどでお申し込み頂けます。
締め切りは9月11日です。
お問い合わせはNHKサービスセンターまたはホームページでお問い合わせ下さい。
平日の10時から午後6時半まで受け付けをしています。
どうぞ皆さんの介護で生まれた心のモヤモヤを…。
取っ散らかっててもいいからお寄せ下さい。
皆さんの短歌お待ちしております。
さて「介護百人一首夏編」明日もお送り致します。
姫野カオルコさん明日もよろしくお願い致します。
2014/07/16(水) 13:05〜13:35
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV 介護百人一首2014「夏編 その一」[字][再]

介護する人、される人の日々の生活の様々な思い−つらさ、悲しさ、笑い、そして優しさを詠んだ介護短歌。今年もたくさんの応募の中から百首が選ばれました。今回は夏編の一

詳細情報
番組内容
「介護百人一首2014」介護する人、される人、日々の介護生活の中でふと心に浮かんだこと、ある出来事の情景…いずれもさまざまな思いがこめられた珠玉の百首です。今回は「夏編その一」。歌はどんな時にどんな思いで詠まれたのか、作者の方々を訪ねます。介護短歌という三十一文字の器にこめた人の優しさ、強さにふれていきます。「今日だけは自分のためと紅をさし蓮見に出かける夫はデイの日」ほかの歌をご紹介します。
出演者
【出演】毒蝮三太夫,小谷あゆみ,姫野カオルコ

ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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