きょうの健康 脳ドック 異常が見つかったら「脳梗塞を防ぐ」 2014.07.15

(テーマ音楽)これは首の動脈の様子を超音波で見たものです。
健康な人では血液がスムーズに流れています。
一方こちらの動脈では血管が一部狭くなって血液の流れが遮られています。
こうした出っ張りが剥がれて脳に詰まると脳梗塞を引き起こす事があるのです。
健康に役立つ確かな情報をお伝えしましょう。
「きょうの健康」です。
この2日間はこちら…この脳ドックでは主に3つの検査があるんでしたよね。
おさらいしてみましょう。
まずMRA。
磁気を使って脳の血管を見るものでこれで未破裂の脳動脈瘤を調べる事ができます。
そしてMRI。
脳の断面や立体的な画像が得られます。
小さな脳梗塞を見つける事ができます。
更に首の超音波検査では脳梗塞につながる頚動脈狭窄症を調べる事ができるんです。
このうち今日は下の2つですね。
MRIそして首の超音波検査で分かる事をお伝えしていきます。
テーマはこちら。
今日も専門家をお迎えしています。
分かりやすく教えて頂きましょう。
ご紹介致しましょう。
脳神経外科特に脳血管障害の治療手術がご専門です。
今日もどうぞよろしくお願い致します。
さて首の血管が狭くなる頚動脈狭窄症の方は増えているんでしょうか?そうですね。
我が国では大体6,000人から7,000人の方が毎年外科的な治療を受けられています。
これは食生活が欧米化して非常に動脈硬化の病変が多くなってきている事の現れだと思います。
また脳梗塞の大体1/3が頚動脈狭窄病変のようなプラークによって起こっている事が知られております。
それでは首の血管が狭くなる事と脳梗塞どういうふうなつながりがあるのか見てみましょう。
久田さん。
ではこちらの図で見ていきましょう。
頚動脈は首の左右を通っている直径5mmほどの血管です。
顎の下付近で枝分かれして一方は顔の方そして一方は脳につながって脳に血液を送る大事な役割を果たしています。
頚動脈ではこの枝分かれしている部分にコレステロールがたまりやすくプラーク塊が出来てしまいます。
このプラークによって血液の通り道が狭くなってしまう。
これが頚動脈狭窄症です。
更にプラークの一部が壊れ剥がれる事があります。
剥がれたプラークはそのまま血流に乗って脳に運ばれて脳の血管を詰まらせてしまう事があります。
これが脳梗塞です。
脳梗塞になりますとそれより先の血管に栄養や酸素が運ばれなくなり脳に障害を引き起こす事もあるんです。
このように頚動脈の狭窄が見つかったとしますとこれはどういう対応という事になるんでしょうか?やはり手術によってその病変を治す方法と経過観察という方法があると思います。
この2つがある訳ですね。
それぞれ伺ってまいりますがまずは手術ですがどういう方が手術の対象になるんでしょうか?この狭窄病変は先ほどの説明のように血管がどんどん狭くなっていって血液の流れが悪くなって脳梗塞の原因になるとかあるいはプラークそのものが壊れてとんでいって脳の血管を塞ぐ事によって脳梗塞を起こすという事ですからこの病変の程度ですね私たちは狭窄率という言葉で大体70%前後ですねこういった値のところが非常に危険な信号と考えていますしプラークそのものが非常に壊れやすいとこういったものを危険な信号と考えて手術の適応としております。
そうしますとこうした基準はかなりハッキリしているという…。
これは世界的な研究によってこういった病変が手術をした方がいいのかあるいは経過観察へいった方がいいのかこういった結果はガイドラインとしてきちっと出てきております。
更にプラークの状態という事をおっしゃいましたがここに模式的にありますがこれがいろんな状態のケースがあるという事ですね。
非常に落ち着いた安定したプラークもあればドロドロのような状態のものからあるいは骨と同じように石灰化といいまして非常に硬くなったものさまざまなものがあります。
そういったものが超音波検査で…。
超音波は一番よくそういった事を反映してくれます。
それでは手術ですがどんな手術の方法がありますか?手術には直接頚動脈の中のコレステロールのたまったプラークを取り除く内膜はく離術という方法と血管の中から広くするステント留置術があります。
では実際の手術の様子を教えて頂きますが頚動脈内膜はく離術はどういう手法でしょう?見てみましょう。
これは今頚動脈を切って開けているところです。
今切開している部分がプラークが詰まっている所であります。
何か黄色いものが見えてきました。
これがプラークです。
コレステロールの塊となって血管の中に盛り上がっています。
これを顕微鏡できれいに正常な部分とプラークの部分をはく離していきます。
うわ〜剥がれてきましたね。
きれいに剥がす事によって元の正常な血管の面を出す事ができます。
これが健康な血管の壁なんですね。
でこれを縫い合わせると。
そういった形で元の状態に戻します。
しかし首を切り開いての手術ですからこれはかなり高齢の方でも可能なんですか?条件はあるんでしょうか?条件と致しましては全身麻酔が可能である事とそれから頚動脈が完全に詰まっている場合は掃除する事ができませんのでこれはできませんが年齢に関しましては86歳ぐらいの方まで安全に治療ができております。
そしてもう一つの方法としてステント留置術というのがありますね。
今日はこのステントをお持ち頂きました。
こちら実物でございますね。
ここにある網状のものですがこれぐらいの大きさですよね。
これは拡張した状態でありましてもともとは非常に細い状態にしてカテーテルという細い管を通してこれを病変のとこまで持っていく事ができます。
これがギュッと折り畳まれてそういう状態のものを入れるという事ですね。
どういうふうに働くかこちらでご説明して頂きます。
これは足の付け根の動脈から細いカテーテルを頚動脈のとこまで持っていきます。
そしてこれから先ほどのステントを病変の部分に置きまして徐々にこれを開いていきます。
実際の画像では…。
ここの部分が非常に細い状態でありますがここの所にステントを入れまして全体としては大体50%から60%ぐらいまでに拡張させていくのがこのステント留置術であります。
見事に広がりましたね。
今2つの手術の方法を見ましたがそれぞれの長所と短所はどんな所なんでしょうか?内膜はく離術は先ほど見て頂いたようにコレステロールの塊をきれいに取り除いて元の若い時の血管の状態に戻してあげられるという理想的な状態に近づける事ができます。
一方ステント留置術は血管の中から開きますから病変そのものは…コレステロールの塊はそこに残っている状態です。
従いましてステント留置術の場合はそこに血栓が後で出来たりあるいはコレステロールの塊の一部がとんでいく事が残っているのでそういったところが少し欠点になります。
しかし体の負担としてはこちらの方が軽い。
これは全身麻酔が必要ですしこれは局所麻酔でできますからそこは非常に大きな差となります。
手術後のケアについて伺いましょう。
どういった点が注意が必要なんでしょうか?術後のケアとしましてはやはり薬物療法がいくつか必要になってきます。
特に内膜はく離術でも血管の面が一度さらされますので抗血小板療法が必要になってきます。
特にステントの場合は2剤以上必要になってきまして厳重な抗血小板療法が必要になってきます。
お薬1種類ではなくて2種類を使っていくんですね。
それから基本的になりますが血圧のコントロールとかやはりコレステロールの高い人が非常に多い状態がありますのでコレステロールのコントロールも必要になってきます。
手術について見てきましたが経過観察というのもありましたね。
これはどうしていくんでしょうか?これは狭窄の程度が軽いとかあるいはその病変が重症度はない面がきれいであるという事で経過観察になっていますがやはり手術のあとと同じような形の薬物療法特に抗血小板療法とか血圧のコントロールとかコレステロールのコントロールとかそういった事が必要になります。
こういう注意をしながら過ごしていくと。
経過観察ですね。
また状態に変化がないかどうかももちろん見ていかなければいけない訳ですよね。
ほかに経過観察という事でいえば日常の生活ですね。
やはり注意しなきゃいけない事もあると思いますがどんな点でしょうね?これは脳卒中の治療の基本になりますが生活習慣の改善が必要でありまして血圧とかそういったものの管理あるいは喫煙は非常にマイナスになりますのでこういった事の対策は必要であります。
たばこは必ずやめて頂くという事ですね。
危険因子としてはこういう事がある訳ですね。
やはり肥満とかそういうのはコレステロールの値に非常に関係がありますからこういった事も非常に重要な因子となっています。
それから最低年に一度超音波の検査を受けて頂いて頚動脈の狭窄病変が進行していない事の確認が大切だと思います。
超音波検査は私も経験ありますが何の苦痛もありませんし非常に楽な検査ですよね。
しっかり受けて頂いた方がいいという事ですね。
ではこの脳ドックの検査ここまでは頚動脈狭窄症について超音波検査で分かる頚動脈狭窄症についてお伝えしてきたんですがもう一つMRIの検査これで脳梗塞ラクナ梗塞なども発見できるという事ですね。
このラクナ梗塞ですが実際の画像でご説明頂きましょうか。
どういう状態のものなんですか?これはどちらも60代の男性の脳ドックでの写真なんですがこちらは脳ドック上正常健康であると判断された方です。
こちらはラクナ梗塞があると判断された方です。
どこが違うのかと言いますと脳の深い部分ですねこういう深い部分なんですがこういった所がこちらの方は非常にきれいでありますがこちらの方はこういった形で非常に小さな点のようなちり紙をまき散らしたとか…。
白い小さな斑点のような形の病変があります。
これをラクナ梗塞といいますがラクナ梗塞は脳の中の非常に細い血管が血液の流れが悪くなって完全に梗塞に陥ったりあるいは血液の流れが悪い状態になっている。
そういった事を示しています。
基本的にはほとんど症状はないんですがこういったものは非常に増えていきますと血管性の認知症にまで移行していく事が知られておりますのでやはりこれも十分注意する必要はあります。
素朴な疑問ですが普通の状態の方でしたよね。
ラクナ梗塞が指摘されている方も無症状なんですか?無症状なんです。
何にも症状が出ていない訳なんですね。
にもかかわらずこういった変化は脳の中にあるという事ですね。
こういった方は高血圧を伴っている方が非常に多いんです。
高血圧が基本にあるのは私たちが見た時に感じる事です。
何か特別な治療を始めるという事ではないんですか?ですから高血圧とかそういう隠れたものを早くピックアップして治療する事が大切だと思います。
この脳ドックで「頚動脈の狭窄がありますよ」と。
あるいは「小さな梗塞が見つかりましたね」などと言われますとこれは大変不安にもなりますが対応の基本はどういう事でしょうか?無症候性のこういう梗塞とか狭窄病変は直ちに大きな変化を起こす事は極めて少ないのでやはり専門の先生の所で精巧な検査を受けて頂いて手術的な治療をするのかどうかを決めていったらいいと思います。
いずれにせよ脳ドックを受けてみようという時は「異常なし」と言われる事を期待しているんですがちょっと指摘を受けるとこれは不安です。
心構えはどうしましょう?脳ドックはやはり私たちの医療が進歩したからできるようになった技術でありますから早く見つけて頂いた事を前もって…恩恵と思って頂いていろんなリスクファクターを処理していく事が大切だと思います。
生活習慣の改善などにちゃんとつなげたいですよね。
どうもお話ありがとうございました。
2014/07/15(火) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 脳ドック 異常が見つかったら「脳梗塞を防ぐ」[解][字]

首の動脈にコレステロールがたまる「頚(けい)動脈狭さく症」。一部がはがれると、脳梗塞につながる恐れがある。脳ドックの結果で手術を検討、術後の注意点も紹介する。

詳細情報
番組内容
首の動脈にコレステロールがたまる「頚(けい)動脈狭さく症」。その一部がはがれると脳梗塞につながる恐れがある。脳ドックの「超音波検査」で血管の状態を調べる。コレステロールの塊の硬さや血管が狭くなっている場合には手術が行われる。血管を切開して塊を取り除く手術、またはステントで血管を広げる治療がある。術後は血栓ができるのを防ぐ薬の服用や、生活習慣に気をつけることが大切。
出演者
【講師】東京女子医科大学教授…岡田芳和,【キャスター】濱中博久,久田直子

ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格

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日本語
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