ハートネットTV NHKハート展(1)「オレの挑戦」 2014.07.15

こんばんは。
「ハートネットTV」です。
今日と明日の2日間は今年で19回目を迎えたNHKハート展の入選作品をご紹介します。
NHKハート展は障害のある方が書いた詩に各界で活躍する著名人が絵やアート作品を寄せるという詩とアートのコラボレーション。
今回も新たな世界が生み出されています。
詩の応募総数は4,085編。
その中から50編の詩が入選しました。
では作品を味わって頂くゲストをご紹介します。
女優タレントとして活躍されている奥山佳恵さんです。
よろしくお願いします。
よろしくお願い致します。
奥山さん2010年にハート展に絵を描いて頂きましたけどもハート展どんな印象がありますか?どの作品もホントに温かくてそして力強くて。
ハートがいっぱいだなって毎回感じます。
そうですよね。
奥山さんご自身も障害のあるお子さんがいらっしゃる?はい。
2人の子どもがいるんですが上の子はこの春小学6年生になりまして。
下の子が2歳の男の子なんですがこの子次男坊がダウン症です。
最近は歌に合わせて手振りができるようになって持ち芸が増えましてこれがまたかわいいんですよ。
お見せしたいぐらい。
どんどんどんどんこう表現する事が…。
できる事が増えてきてホントに楽しく子育てしてます。
子どもたち表現力そして発想力あふれてきますから。
今日はそんな10代の子どもたちの作品いくつかご紹介してまいります。
まずはこちらからです。
埼玉県の…タイトルは「まるがり」。
「僕のかみ型は、まるがり。
まるがりは、すずしい。
そのかわりに、気温差が、はげしい。
まるがりは、たまごを、うまない。
まるがりは、男の気合いだ。
まるがりは、かみのけが、じゃまにならない。
まるがりは、あらったら、すぐかわく。
だから、僕のすきな、かみ型は、まるがり。
これからの人生は、死ぬまでボウズ」。
この詩には羊や犬の毛で作品を作るクリエイターのSINCOさんが作品を寄せて下さいました。
こちらの作品です。
SINCOさんからのメッセージです。
「ちょっと昔によくいた“日本男子”…それが詩を読んですぐに浮かんだイメージです」との事です。
なかなか力強い詩ですよね。
あの最後の一文がずっとまるがりで続いてたけど「ボウズ」っていうところでこの締めがまた男を感じますよね。
人生最後まで男でありたい。
そう気合いだっていう。
力強さを感じます。
さあ続いての作品です。
愛媛県の…タイトルは「あの日」。
「あの日、小学生の私が通学路を歩くときミーンミーンミーンミーンミーンと奇妙な音が聞こえた私は耳が聞こえないのに、すごく大きくて高い音が聞こえたそれが今までのなかで一番印象に残っている音セミさん、ありがとうこれからも耳が聞こえない子のために頑張って鳴いてね」。
板東さんは6年が過ぎた今でもセミの鳴き声が記憶に残っているそうです。
この詩にはシンガーソングライターの嘉門達夫さんが絵を描いて下さいました。
その嘉門さんからのメッセージです。
「ハートと蝉の融合。
必然的にこういう形になりました。
平和の象徴『LOVEゼミ』です」という事です。
この羽根の形がハートの形になってますけどもね。
いかがでしたでしょうか?「セミさん、ありがとう」。
その優しい気持ちにすごく胸を打たれますよね。
「これからも耳が聞こえない子のために頑張って鳴いてね」っていう優しさ。
そこに思いあふれてますよね。
温かい気持ちになります。
さあ続いての作品です。
長崎県に住む…タイトルは「オレの挑戦」。
去年初めて車いすマラソンに挑戦した翔太さん。
その時の気持ちをつづってくれました。
「ドクドクドクドク胸が痛い震える手吐きそうでも今日のオレは逃げんあまったれの自分とは、オサラバだヨーイドンスタートだオレの左右をとおりすぎる選手たちオレの前を行く108を必死でおいかけるくやしいくやしい顔を上げるまだまだつづく一本道オレの背中を押す『がんばれ』の声たくさんの笑顔くやしいうれしいたのしいなんか目覚めた車いすマラソン車いすとオレの挑戦」。
すごい頑張ったんだなという思いがぎっしり詰まってるな。
何かこの作品を読みながら私も声に出して「頑張れ」って背中を押したくなりますよね。
さあこの詩を書いた翔太さんですが一体どんな少年なんでしょうか。
こちらからご覧頂きます。
第3学期始業式を行います。
今年1月。
長崎県立佐世保特別支援学校を訪ねました。
ハート展に入選した尾下翔太さん中学3年生です。
(一同)おめでとうございます。
全校生徒を代表して今年の抱負を発表します。
翔太さんは脳性まひのため両足と左手をうまく動かす事ができません。
(翔太)はいただいまです。
こちらは…中学2年の時からの受け持ちです。
この学校には身体障害のある生徒は少なく翔太さんは多くの時間を先生と差し向かいで過ごします。
手足のまひが強く車いすの操作が苦手な翔太さん。
学校と自宅を往復する日々を送っていました。
そんな翔太さんが車いすマラソンに挑戦するきっかけを作ったのが柴田先生でした。
柴田先生がこの学校に赴任したのは2年前。
そのころの翔太さんは自分の弱さを克服できずにいました。
自信がない事は何でも避けてしまう。
苦手な教科ではすぐできないと投げ出してきました。
翔太さんが自信をつけるにはどうしたらいいのか?思い悩んだ先生の頭に浮かんだのはかつてボランティアとして参加した事のある車いすマラソンでした。
よ〜い!
(ピストルの音)柴田先生の初任地佐賀県の有田町では24年前から大会が開かれてきました。
赴任先の中学校である女子生徒に参加を勧めたところ見事完走。
自信をつけ大学進学も果たしたのです。
こうした経験から柴田先生は翔太さんにも自分の力を試す機会を作ってあげたいと考えていました。
そして中学3年の5月。
1か月後の大会を目指し猛練習が始まりました。
この大会は距離が違う4つのクラスで行われます。
翔太さんは一番短い500mに出場する事にしました。
マラソンは平らなグラウンドではなく起伏がある一般の道路で行われます。
左手にまひがある翔太さんにとって緩やかな坂道でさえ大きな壁になります。
翔太さんは休み時間を削り練習に励みました。
一度に走れる距離を少しずつ伸ばしタイムも縮まっていきました。
そして大会の直前翔太さんはなんと1kmのクラスに挑戦したいと言いだしたのです。
小雨の降る中競技がスタート。
「オレの挑戦」。
「ドクドクドクドク胸が痛い震える手吐きそうでも今日のオレは逃げんあまったれの自分とは、オサラバだヨーイドンスタートだ」。
目標タイムは30分。
しかし実際のコースはアスファルトの凸凹道で思うように進めません。
「オレの左右をとおりすぎる選手たちオレの前を行く108を必死でおいかけるくやしいくやしい顔を上げるまだまだつづく一本道」。
「オレの背中を押す『がんばれ』の声たくさんの笑顔くやしいうれしいたのしいなんか目覚めた車いすマラソン車いすとオレの挑戦」。
結果は32人中31位。
しかしタイムは29分16秒。
30分を切る事ができました。
車いすマラソンを経験した翔太さん。
イッツコールド。
苦手な事にも正面から向き合えるようになりました。
翔太さんホントによく頑張りましたね。
そうですね。
自分の力で道を切り開きましたよね。
そうですねえ。
最初のマラソンをするというきっかけは先生からだったかもしれないけど500mではなくて1kmにするって挑戦するって選択したのは翔太さん。
2倍の距離だから相当勇気も必要だし…。
だったと思うんです。
でもそこがもしかしたら翔太さんを成長させてくれた事につながってるのかもしれないですよね。
目標の30分以内。
29分16秒ってギリギリでしたけどもね。
いや〜すごいですよね。
先生もやはりすばらしい先生で。
自分の未来を切り開くのは自分の行動しかないという。
ですから下の行。
最初は「くやしい」という気持ちから「うれしいたのしいなんか目覚めた」というこの変化。
子どもに自信をつけさせたいって思われる親御さん。
私も含めてなんですけど。
そういう親御さんいっぱいいらっしゃると思うんですよ。
でもどうしたらいいのか分からないというところだったんですけど。
環境を整えてあげてあとは力を振り絞って道を切り開くのは本人なんですよね。
そこ見守る事も大変なんですが。
あとは本人の頑張りを信じる心。
あと背中をぐっと押してあげるところ。
そういう気持ちすごく分かるし私もそういう親でありたいなと感じました。
そういう事が翔太さんの自信につながって車いすマラソンを挑戦してから苦手な授業英語や社会の前に吐く事はなくなったそうです。
ホントによかった。
心もきっとぐっと成長したんでしょうね。
さてこの詩にはイラストレーターの米津祐介さんがこんな絵を描いてくれました。
真っ赤なハートです。
その米津さんからのコメントです。
にじみ出てますもんね。
強い意志と思いがハートからあふれてますよね。
まさに燃えているような感じ。
翔太さんの思いが籠もってるなと伝わります。
しかし苦手な事ってなかなか挑戦するのは難しい…。
大人でもそうですしね。
子どもだったらよりそうですよね。
奥山さんの子どもさんどうですか?うちの長男が漢字が苦手なんです。
ついつい漢字の勉強から逃げがちなんですけどでもそこは頑張ればきっとできるよと私も常に応援していて。
漢字テストを私なりに作って与えてなんとかやったら100点を取れたんです。
ああすごいじゃないですか。
もうホントにうれしくて今玄関にドアに飾っているんですが。
半年間ずっとそのままなんですけど。
更新されぬままですが。
でも頑張ってくれた事は偉いなって思います。
挑戦したからこそ次につながるという事で実は翔太さんは車いすマラソンをきっかけに新たな挑戦を始めました。
この日翔太さんが電話をしたのは地元の鉄道会社です。
中学卒業間近の翔太さん。
親元を離れ寄宿舎のある高校への進学を目指しています。
そこで1人でも帰省できるよう電車に乗る練習を始める事にしたのです。
担任の柴田先生と電車に乗る手順や困った時の対処方法をおさらいします。
実は翔太さん今まで1人で外出した事がないのです。
次の日曜日体験の日です。
駅に到着。
もちろん1人で電車に乗るのも今日が初めてです。
今回は私鉄とJRを乗り継いで70kmほど離れた諫早まで行き昼ごはんを食べて帰ってくるのが目標です。
おはようございます。
おはようございます。
お一人はお宅ですか?
(翔太)はい。
朝8時半過ぎ。
電話でお願いしていた時間に介助の駅員さんが来てくれました。
まずは私鉄を利用して佐世保へ。
ここでJRに乗り換えます。
ところが…。
運転手さんが障害者割引のボタンを押す前にICカードをタッチしてしまいました。
翔太さん緊張のせいか「すみません」の連続です。
佐世保駅での乗り換えはお願いしていた駅員さんの介助もあって無事成功。
目的地の諫早へは予定どおりの時間に到着しました。
駅員さんの介助はここまで。
翔太さんは駅前のお店で昼食をとる計画を立てていました。
外へ出ようとしたその時。
目の前には重そうな扉が。
Uターン。
外へ出るのは諦め手前のお店で食べる事にしたのでしょうか?なんと自動ドアを見つけて切り抜けました。
お目当てはあのファストフード店。
排水溝の蓋に車輪が引っ掛からないよう慎重な車運びです。
しかしそのやさき動けなくなってしまいました。
店の入り口につながる緩やかなスロープが上がれません。
この日は気温が低く体が動きにくくなっていたようです。
どうする?翔太さん。
通りがかりの人に声をかける事ができました。
ありがとうございます。
大丈夫です。
ありがとうございます。
はいありがとうございます。
すいません。
ありがとうございます。
何度もお礼を言う翔太さん。
ようやく昼食をとる事ができそうです。
(翔太)すいません。
640円お預かり致します。
レシートはお持ち致しますか?お願いします。
かしこまりました。
少々お待ち下さいませ。
午後1時帰りの電車の前にちょっと買い物。
行動にも余裕が出てきました。
初対面の人にも質問したり手助けを頼む事ができる。
翔太さんはこの日自分自身の新たな力を確かめる事ができました。
朝8時から始まった挑戦は午後3時半にようやく終了しました。
将来は福岡で働きたいという翔太さん。
夢に向かって着実に進み始めています。
よく頑張りましたね。
ドキドキしました。
よかったね。
「お願いします」って言えるようになったというのは大きいと思うんですよね。
これ初めての1人のお出かけでしかもこんな長距離で勇気がいったと思うんですよね。
人に声をかけるって。
でも行動をする事で翔太君の世界がまた広がりましたよね。
それに1人で自立して行動する事もホントにすばらしいし。
翔太君も今回の体験で感じられたかもしれないけどホントたくさんの人に甘えていいんだよって。
言っていいんだよ大丈夫なんだよって。
大丈夫なんだよって言ってあげたいです。
それが彼の強さにもつながってくるでしょうしね。
実は翔太さんなんですが今回の鉄道の運賃やお昼ごはん代全て自分の小遣いで賄ったと。
偉い!自立したいという気持ちが表れているんでしょうね。
では最後にこの詩を書いた翔太さんに奥山さんからメッセージお願いします。
翔太さんこれからもきっとできる事はたくさんあるし世界は翔太さんを待っていると思います。
たくさんの方に甘えてみんなで生きていきましょうね。
どんどんどんどん可能性って広がっていきますからね。
自分からどんどん声を上げていっていいんだよって。
それを自信につなげてほしいなと思います。
ハート展の作品明日もご紹介してまいります。
明日もどうぞご覧下さい。
奥山さん今日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
2014/07/15(火) 20:00〜20:30
NHKEテレ1大阪
ハートネットTV NHKハート展(1)「オレの挑戦」[解][字]

長崎県に住む脳性まひの尾下翔太さん(15)。去年、初めて車いすハーフマラソンに挑戦。その思いをつづった詩「オレの挑戦」を、女優・タレントの奥山佳恵さんと味わう。

詳細情報
番組内容
長崎県に住む脳性まひの尾下翔太さん(15)の作品を紹介。去年、「自分の弱さを克服したい」と初めて「佐賀セラミックロード車いすマラソン大会」のハーフマラソンに挑戦。見事に完走した。その時の思いをつづった詩「オレの挑戦」は、どうやって生まれたのか。翔太の日常をVTRで紹介しながら、心の内の成長過程を描く。ゲストの女優・タレントの奥山佳恵さんは、翔太さんの挑戦をどのように見つめたのか。
出演者
【出演】尾下翔太,奥山佳恵,【司会】山田賢治

ジャンル :
福祉 – その他
福祉 – 高齢者
福祉 – 障害者

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

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