知らなかったの?ハハハ…。
じゃあな。
(鳥居勘三郎)
15年前京都府宮津市にある産婦人科の裏の道で早朝後頭部を殴られて死んでいる男の死体が発見された。
男は前日の夜妊娠中毒症で入院していた妻を見舞いに来ていてその帰りに何者かに撲殺されたものと見られた
その現場は天橋立の近くであった
目撃者も犯人を特定する手掛かりもなく捜査は難航した
そんな中事件発生の翌日難産ではあったが被害者の妻は無事に出産
生まれた男の子は純と名付けられた
こうして凶悪な殺人と新しい命が交錯した事件は解決を見ないまま今時効を迎えた…
こうやって覗くと天に橋が架かってるように見える…。
(七尾洋子)さ〜見るだけ見たんなら行きますよ〜。
どこへ?お土産物買うの!おたまさんから頼まれてるんだから。
これだけ買ったんだからいいじゃない…。
だってこんなだよこんな…!
(木本百合子)鳥居さん?鳥居勘三郎さんじゃありません?えぇそうですけど…。
あぁほら!あの京都府警の刑事さんよ!忘れた?思い出した!先生!産婦人科の!え〜と…宮津の…えっと…木本先生!
(鈴木たえ)あぁ!あの時の!
(田畑翔子)思い出した!看護師だった田畑です。
助産婦だった鈴木です。
しばらくです。
あの僕今鴨川東署の資料課って所にいます。
昔捜査に協力してもらった3人。
3人ともまだあの病院に…?いいえ。
あそこはあの後しばらくして閉めたんです。
少子化で!産婦人科は経営の方がどうもね。
そうですか…。
だからあたしたち今別々の職場なんですよ。
今回は久々に3人揃って京都見物しようって事になってね。
もう3人揃うと女子高生の修学旅行!
(3人の笑い)で…こちらの若い人は奥様?そんなんじゃありません!ただの部下です。
まだ独りです。
あ…!これが占いに出てた運命の出会いかもしれない!あぁそうそう!百合子先生!電話番号!いや…何言ってんのよ!?あの〜結婚相手募集中なんです。
もうやめてよそんな事…。
これ…あの電話番号です。
あの…明日はあの京都貴船べにやに泊まってます。
電話ください…。
ちょっと歳はいってんですけどね美人だしもうお肌なんかパッツンパッツンだから…ね?オススメ品です!ホントに怒るわよ!もぅ!だって…ねぇ?
(3人の笑い)
(悲鳴)
(茅野太一)死後4〜5日は経ってるなぁ…。
(高岡俊介)傷は…2か所ですね。
え〜腹と背中。
(吉川新平)あれ…?あれ?こんなもん落ちてましたよ。
(堀真澄)あ〜!そこ足跡あるから気をつけて!
(吉川)すいませんすいません…!生徒手帳…?
(吉川)中村純…高校1年生か。
ちょっと見せて…。
四つ葉のクローバー…。
これ随分前に採ったものね…。
それに砂…。
何ですかねぇ…?
(おたま)ヘッ!?お肌ツヤツヤの女医にナンパなどされたんですかお坊ちゃま!?うん。
モテモテだったわよおみやさん。
いけません!女は読み書きそろばん洗濯掃除それに料理ができればいいんです!女医なんて理屈ばっかり多くて家庭は守れません!すっごい差別発言!ねぇねぇおたまさんって昭和で止まってない?明治かも。
いえてる〜!彼女海外生活が長かったのかもしれないね。
え…?ほらすぐ握手求めてきたじゃない。
よく見てる…。
ひょっとしてタイプなんだ?わかりました。
坊ちゃまがそこまでおっしゃるんならその女医がこの鳥居家に相応しいかどうかこのおたまが確かめて参ります!タイプじゃないし当分結婚するつもりありません。
その消極的な姿勢がいけません!だっておたまさん女医さんはダメだって言ったじゃない!でもね坊ちゃまの赤ちゃん抱いてみたいの…。
いやいやいや…当分そのつもりありません。
子持ちのおみやさん…想像できないな!そいじゃねおたまさんいってきま〜す!鳥居家の後継ぎはどうなるんです!?
(七尾清一郎)休みに2人で天橋立見に行ったと聞いてねそうか君もいよいよその気になってくれたかと…。
署長?何の話?いや水はな低い方に流れるのが自然なんだよ。
な?お前はやっぱりそばにいるおみやさんと…その…何するのが一番いい。
ハァ!?いや〜あたしもそろそろねぇ孫の顔が見たくてねぇ。
頼みますよ〜!え…?という事は何を期待されてるわけ?
(兵藤兵吾)おみやさんみたいな偏屈者が踏み切るにはできちゃった結婚しかないんじゃないか?うわ〜兵さんに言われちゃおしまいだわ!
(茅野)課長!被害者の身元が割れました。
ガイシャは暴力団構成員林田清次36歳。
(茅野)恐喝の前科があります。
(真澄)検視の結果が出ました。
死因は背中の刺し傷からの失血死です。
縦4センチ腹部縦2センチです。
(星野康夫)背中を刺した凶器と腹部を刺した凶器は別物って事か?手掛かりは現場に落ちていたこの生徒手帳の持ち主中村純。
このお守りが…天橋立文殊堂。
天橋立文殊堂…?4日前に高校を下校して以降行方不明となって保護願が出ています。
(村井課長)吉川!あ…課長課長課長…あの…え〜と…所轄の西陣北署から送ってもらったデータによりますと身長164センチ体重56キロ制服姿でスニーカーだそうです。
行方不明…?におうな…。
この高校生の行方を捜せ。
残りは林田の聞き込み!
(一同)はい!四つ葉のクローバーか…。
中村純…15年…?あった!それ時効になってるヤマですよね?「宮津市産婦人科医院殺人事件」…。
あれ…?この3人天橋立にいた…!?洋子…何か食べよう。
葛餅?15年前天橋立近くの産婦人科医院の裏の道で1人の男が殺害された。
当時僕京都府警に勤務しててそのヤマを担当したんだけども被害者の名前は中村渉。
妊娠9か月身重の妻がその病院に入院してた。
産婦人科医院の裏で殺し…。
流しの犯行だったんですか?物盗りとは考えらんなかった。
ガイシャ多量のアルコールを摂取しててケンカの果ての殺しとも考えられたが結果的に凶器発見されなかった。
でも〜おみやさんがわざわざ資料を残してたって事は何か引っかかるヤマだったって事ですよねぇ?実は捜査の過程で1人の容疑者が浮上した。
誰です!?殺された中村の妻峰子。
え〜?妊娠9か月の奥さんが!?ガイシャは奥さん以外に愛人関係にあった女性がいて夫婦はしょっちゅう衝突してた。
(中村渉)せやから産むな言うてるやろ!
(中村峰子)この子は神様からの授かりもんなんや!あんたが何て言うても産むわ!俺は知らんぞ。
これにサインして送り返してこい!でも身重の奥さんが殺しだなんて考えたくないな…。
調べた結果中村が殺害された時間急に峰子さん産気づき婦人科・助産婦・看護師に見守られてた。
もしかしてその婦人科医が…?木本先生。
助産婦さんが鈴木たえさん看護師さんが田畑翔子さん。
(百合子)鳥居さん…!わざわざ捜して会いに来てくださったんですか!?
(たえ)百合子先生脈アリだわよ!まぁヤダ!占いどおりの出会いですね。
いや僕が今日お伺いしたのは昨日発見された男の死体について2〜3お伺いしたい点がありまして。
死体なんて…!暴力団の構成員でした。
殺されたんです。
それでその事件に中村純という名の少年が関わっていると見られています。
それが…私たちと何の関係があるんです?お忘れですか?あの15年前の事件の時に生まれた男の赤ちゃん。
中村純…。
あ…!あの時取り上げた子!その後の彼との付き合いは?ううん全然!あ…!確か10年ぐらい前だったかしら?その子の母親が病死したと風の便りで聞いたぐらいで…。
でも…高校生がヤクザを刺し殺すなんて…。
刺し殺すって言った?いいえ。
ここに出てたから…この事件ですよね?「暴力団構成員清滝で刺殺される」って。
あぁそうです。
この事件です。
あたしたちはお役に立てないと思います。
だって最後に見たのはねぇへその緒の付いた赤ちゃんだったものねぇ?念のためお訊きしますが今どちらにお住まいですか?千葉の印旛沼で助産婦やってます。
私は京都市内で保育園の保母をしています。
あたしは東京の病院で救命救急で働いてます。
救命救急…?えぇ…。
産婦人科医より死を目の前にした人の命を救う事に使命感を覚えたんです。
そうですか。
中村純が暴力事件を起こしていた…?
(吉川)はい。
帰りました。
(吉川)あ!中学2年の時同級生を教室で殴って警察の取り調べを受けています。
母親が亡くなり叔父夫婦に引き取られてたようですがその家で厄介者扱いをされ気持ちが荒んでいたようです。
ちょうど良かった。
鳥居君!はい。
暇な資料課に仕事をやろう。
中村純の殺された父親ってのはどういう男だったんだ?ガソリンスタンドの店長をしてました。
仕事振りは真面目ですが酒が入ると奥さんに暴力を振るう事があったとか。
うん…。
親子揃って粗暴だったんだね。
これで中村純が本ボシの可能性が強くなった。
でも考えたくないなぁ…。
15歳の少年が殺しなんて。
課長…!課長ちょっといいですか?現場から採取したゲソコンの分析結果が出ました。
足のサイズは27センチ。
靴底の形からして革靴だと思われます。
革靴…!?中村純が最後に目撃された時スニーカーをはいてましたね?サイズも合いませんよね?何…?あ!つまり中村純以外の誰かが死体のそばにいた!
(茅野)課長!ガイシャが最後に携帯で通話をした相手が見つかりました。
商事会社のサラリーマンで田代俊彦28歳。
ガイシャの競馬仲間でした。
田代俊彦を任意で引っ張れ!了解!はい。
おみやさんお客さん。
鳥居さんがお帰りになった後私1人で考えてみたんです。
そしたらちょっと気が付いた事があって…。
出過ぎてるかもしれませんがお話ししようと思って…。
ご協力ありがとうございます。
でどんな事でしょう?高校生の男の子がヤクザのような人を山奥へ誘い出して殺すなんてちょっとムリがあるような気がするんです。
確かに不自然な点ありますね。
そのヤクザはホントは別の場所で殺されて清滝まで運ばれたんじゃないでしょうか?でもだとしたら車がなければムリですよね?でも15歳の男の子は免許を持っていない。
つまり中村純は林田を清滝に運ぶ事ができない。
だからやっぱり…その高校生はヤクザを殺していないんじゃないでしょうか?これはあくまでも私の直感なんですけど。
説明して!あの賑やかな白衣3人組が今回のヤマと関わってるって思ってるみたいだけどどうしてなの!?田畑翔子さんがわざわざ中村純は犯人じゃないって言いにきた。
それにちょっと引っかかってんだよね。
え…?林田は別の場所で殺されて運ばれたんじゃないかって事?中村純を庇いすぎじゃない?あ〜そう言われれば…。
事件が報道された夕刊をわざわざ持ってたりしたし…。
ここに出てたから…。
これですよね?それにもう1つ。
女将さん女の人って旅行へ行くとしょっちゅう買い物するよね?
(小池仁美)そりゃあもう!お土産買うのが楽しみの1つですから。
だけどあの3人組が泊まった部屋それらしい物は何もなかった。
そう言えば何も…!何か変…。
変!確かに変!じゃああの3人何しに京都に来たの?いやそれはまだわかんない。
ただ行方不明になった中村純がヤマに関係してるような気がする。
う〜ん…。
(吉川)どうもありがとう。
(星野)ありがとう。
あ!おみやさん!中村純の行方の手掛かりは?いえ全然です。
友達もあんまりいなかったようで…。
確か全寮制の学校だよね?部屋見せてもらえるかな?あ…いやそれは…。
さ〜見てみるか。
彼の足取りに繋がるような手掛かりは何もありませんでしたよ?「諦めず出るまで探そう刑事ならば」は〜い。
鈴木たえさん!?「純くんお元気ですか?たえおばさんは昨日も1人赤ちゃんを取り上げました」
(たえの声)「あなたが生まれた時と同じ元気一杯の泣き声を出していました」「世の中にはつらい思いを体験した人喜びを体験した人といろいろです」2人は文通してたの…!?あ…!ここにも四つ葉のクローバー!
(携帯電話)はい…あ兵さん?宮津までの切符を買った…。
わかった。
すぐ行きます。
木本百合子が動き出した。
(茅野)すいません…!田代さんですね?私たちあの…鴨川東署の者です。
林田清次さんが殺されたのご存知ですね?
(高岡)その林田さんから5日前の午後7時半すぎに電話がありましたよね?田代さん…あなたですね生きている林田さんと最後に電話で話をした人なんです。
(高岡)ちょっ…!待て!鳥居さん…!中村峰子さんのお墓?つけていらしたの?いえ昨日は10年前に風の便りで死んだのを聞いたってそうおっしゃったじゃないですか。
鳥居さんから中村さんの事を訊かれて急に思い立ったんです。
それでわざわざ天橋立まで…。
ロスの救命救急にお勤めでは滅多に来られませんもんね。
そんな事まで調べたんですか!?どうして東京にお勤めだと嘘をつかれたんですか?それともう1つわからない事があります。
これ純君の部屋なんですけども…。
皆さん頻繁に手紙のやり取りをなさってる。
時には会ってる…。
なのにその事を僕に隠してた。
どうしてです?実はたえさんもあたしも警察はあまり好きじゃないんです。
だから…あまり関わりたくなかったんじゃないでしょうか。
いや田畑翔子さんは中村純が犯人じゃないって警察にわざわざ言いに来てくれた。
ホントは中村純と亡くなった中村峰子さんと3人何か密接な関係があるんじゃないですか?今回の旅もそれに関わったもの…。
アハハ…!見当違いだわ!あたしたちはただ久しぶりの観光旅行を楽しんでいるだけで。
もういいでしょうか?あった。
子育守…。
ここのお守りか。
(携帯電話)兵さん?…旅館の2人が。
出掛けるようです。
2人は!?あの町屋に入ったきりです。
あそこは鈴木たえの従妹が経営してるとこです。
じゃああとは我々が。
あの…ここはたえさんのご親戚の町屋なんですか?えぇ…。
…翔子ちゃん!おみやさんあれ!
(百合子)純ちゃん逃げてー!純君!もう逃げらんない!逃げ回ってんの良くないな。
何もかも話してくれる?
(たえ)この子がやったっていう証拠でもあるんですか!?この子は清滝へは行ってません。
純君…君の口から話を聞きたい。
(中村純)あいつが悪いんだ…あいつが俺に絡んできて…。
俺の大事なお守りを…!四つ葉のクローバーの入っているお守りだよね?取り返そうとしたんだ…それだけなんだ…。
(林田清次)おい…早ぅせんかい。
(林田)なんやその目は!?金払わんかい!あぁ?なんや?これは…。
ただのお守りやないけ。
(純)それは…!返してくれよ…。
なんや…?おい!?
(純)離せ…!君はその場から逃げ出した…そうなんだね?それで逃げた純君からどなたかに連絡が入った…?あたしです。
人を殺したかもしれないって泣きながら。
それで3人集まった。
…わかりました。
じゃあ警察に行こう。
そこでゆっくり話聞く。
嫌だ!純君!前に教室でケンカした時も警察が来て俺の事不良扱いしやがった!俺の言い分なんて全然聞いてくんなかった。
警察なんて信じられない!いやしかしね…。
鳥居さん!状況がこの子にとって不利だからあたしたちはこの子を匿ってるんです!
(百合子)この事件は不自然です!あたしはこの子は殺してないと信じます。
ホントの犯人は別にいる!それが見つかるまでこの子は渡しません!すっごいね…3人の団結力。
このまま純君連れて行こうとすると僕が殴られそうだよね。
…わかりました。
じゃあ僕もここで捜査の行方見守ります。
おみやさんいいの?そんな…!
(星野)ゲソコンを調べたいんだ。
わかりました。
(茅野)おい田代…お前靴脱げ!
(田代俊彦)何なんですか…?
(高岡)「何なんですか」じゃない!
(田代)何するんです…!?
(田代)やめてください…!何す…!木本先生…1つお伺いしていいですか?何か?皆さん純君を守るためにそれぞれの仕事を捨ててこの京都に集まった。
どうして皆さんそこまでして純君を守ろうとなさるんですか?あなたには関係ないわ!翔子ちゃん…。
その事は…ここでは話したくありません。
(電子音)
(村井)ゲソコンが一致した!?ではその田代って男が死体を遺棄した可能性があるわけだな!?はい。
よし!田代を徹底的に締め上げろ!どういう事だ?し…知らない!お前殺された林田に借金があったそうじゃないか。
ちゃんと返そうと思ってた!
(ノック)家に帰してください…こんなとこに…!車のトランクから血痕が出た。
そうですか…。
(茅野)田代!お前の車のトランクから血痕が発見された。
林田と同じA型の血液だ。
最初から訊き直そうか?林田から何と言って電話があったんだ!?田代ー!!ガ…ガキに刺されたからすぐに来てくれって…。
それから!?あの男が…あの男があんな事言いやがるから…!
(林田)傷はたいした事あらへん。
医者に行ったら面倒や。
女のとこ連れていけや。
自分で行ってくださいよ…。
僕だって仕事中なんですから…。
(林田)やかましい!わしに大きな口きけた身分かい?車持ってこんかい!?わかりました…。
(田代の声)ひと思いにやれば借金もチャラになると思って…。
(田代の声)死体は清滝の山奥に運んで川に捨てました。
田代が林田殺しを自供しました。
あそう…ありがとう。
あ兵さん警察の車両こっちに回して。
中村純ここにいる。
犯人が自供しました。
田代という男が純君が逃げた現場にやってきて怪我した林田を刺し殺した。
林田の死体を田代が清滝に運び捨てた。
(翔子)よかった…!助かったー!あなたは人を刺した事に間違いないから取り調べを受ける事になるわ。
でもね重い罪にはならないから。
そうですよね?鳥居さん。
はい。
皆さん外の空気を吸いに出ましょう。
(百合子)そうですね。
純ちゃん行こう。
いやいや…君はいいや。
あの3人の方から話聞きたいから。
洋子純君頼む。
事件は解決したのに何?行きます。
(たえ)話する事なんて何もないけど。
でもまだ僕の質問に答えてもらってませんよね?みんなどうしてあそこまで純君を庇うのか。
それは…だから…鳥居さんには黙ってたけどあの子の母親が死ぬ時に頼まれたのよあたしが。
あの子に何かあったら助けてやってくれって。
木本先生ロスから帰ってきてる。
これ…大変な事でしょう。
15年前あなた方3人は力を合わせて中村峰子の出産を助けた。
言葉を変えていえば中村純の誕生を助けた。
それだけですかねぇ?
(たえ)それだけよ!それ以上何があるって言うのよ!?事件当時中村渉殺害の容疑は妻中村峰子に向けられた。
あの夜中村峰子は急に出血しすぐ処置室に運ばれた。
見舞いに来た中村渉氏とは二言三言話しただけだと皆さん揃ってそう証言された。
それで中村峰子の容疑は晴れた。
あの…あたしたちが峰子さんを庇って嘘の証言をしたとでも…。
とも考えました。
でも今日皆さんにお会いしてその考え変えました。
皆さんが中村峰子を庇ったんじゃなくて中村峰子が皆さんを庇った…。
15年前病室で何かが起きた…。
違いますか?僕は知りたいんです。
15年前…誰が彼を殺したのか。
残念だけど…あたしたちには関係のない話だわ。
百合子先生行きましょう。
先生…。
仕方がなかったのよ…ああするより他…。
(百合子)天橋立で偶然鳥居さんに会った時は驚いたわ。
でもおかげで覚悟ができた。
(たえ)先生言わないで!もう疲れたわ…。
純ちゃんのための蓄えもできたし…。
もう…いいのよ。
鳥居さん。
中村を殺したのはあたしです。
詳しく話していただけますか?
(渉)峰子ー!
(百合子の声)中村峰子さんは切迫流産の恐れがあって入院されました。
酔っ払った夫の中村がたびたび病院を訪ねては峰子さんに嫌がらせをしたんです。
峰子さんの体には何か所も痣がありました。
赤ちゃんを始末しろと言って中村が暴力を振るうのだと聞きました。
それから…よそに女性がいる事も。
それである時峰子さんに聞いてみたんです。
いっそ離婚に応じた方がいいんじゃないかと…。
別れるのは赤ちゃんが産まれてからにしたいんです。
だってもし赤ちゃんが父親に望まれないで産まれたと知ったら可哀想すぎます。
せやからせめて形だけでも出生届出す時には夫婦でいたいんです。
中村さん…。
(百合子の声)でもあの夜どうしても我慢できない事が…。
(峰子の悲鳴)
(渉)誰が産んでええて言うた!?
(百合子)やめてください!
(百合子)やめて…!やかましいわボケ!オイ峰子!俺は子どもなんかいらんのや!あぁ!?わかっとんのか!?
(翔子)何やってるんですか!?ほっとけや!オイ!わかってんのかコラ!
(百合子の声)子どもが危ない…そう思った途端体が動いていました。
(渉)何回言うたらわか…!
(殴る音)
(殴る音)
(百合子)大丈夫…?
(たえ)どうしまし…!?
(翔子)この人…死んでる!あ…!殺して…!殺してしま…!警察…!警察呼ばないと!先生悪くない!お腹の子守ってくれたんや!
(峰子のうめき声)先生!出血してます!先生どうしましょう!?
(峰子)助けて赤ちゃん!先生…!分娩室…分娩室に運んで!
(たえ)はい!百合子先生は付きっきりで中村さんの処置をなさいました。
だからあたしたちが…。
(翔子の声)先生は悪くないと思ったし中村さんは母子共にまだ危ない状態が続いていましたから。
(たえ)でも次の日…。
玉のような男の子が無事産まれました。
純ちゃんに文殊堂の子育守と清めの砂のようにいつまでも純ちゃんが心綺麗であって欲しいと天橋立の砂をお守りに添え…。
(翔子)そして百合子先生が見つけた四つ葉のクローバーをお守りに入れてあげたんです。
じゃ撮りますよ〜!
(シャッター音)あの4枚の葉が私たちなんだとそう思いました。
純ちゃんは可愛かった…。
でもこの手で抱いた時とても重たく感じられて…。
(百合子)だから何があっても純ちゃんを守ってあげたいと…。
(純)んな話聞いてねぇぞ!純ちゃん…。
そんな事俺には一言も!言えるはずないじゃないの!だってあたしたちが…。
死ぬ時にお母さんが言い残したんだ…。
お母さんが死んでも3人の心優しいおばさんたちが守ってくれるから安心しなさいって!全然優しくなんかないじゃないか…!みんなで俺のお父さんを…!人殺しだよ!純君…それ違う!残酷な現実かもしれないけどそうしなければ君はこの世に生まれてこなかった。
全て君の命を助けるためなんだ。
わかんないよ…俺は…俺はどうしたらいいのか…。
聞いてくれ。
先生が産婦人科辞めてロスの救命救急に勤めてんのは君の将来に備えて貯金をするためなんだよ。
それに先生知ってるけども15年前の事件は先月で時効を迎えてる。
だけど先生が海外にいた時間は刑法上計算されない。
先生に時効はまだ成立していない。
警察に逮捕される危険を承知の上で君のために先生は帰ってきた!純ちゃん…おばさん許してとは言わない。
あの一瞬鬼になったんだから。
でもね母親たちは分娩台の上で闘うのよ!闘って闘って赤ちゃんを産むの!それを助けるのがおばさんの仕事だった。
だからあなたを死なせるわけにはいかなかったの!守りたかったのよ!あなたの命を!
(ドアの開閉音)
(純)百合おばさん!
(純)百合おばさん…。
純!純ちゃん…!俺…百合おばさんにもらった命大切にする!おばさんが刑務所から出てきたら今度は俺が守る!純ちゃん…!純ちゃん!
(純)だから元気でいてね。
うん!百合おばさん…!
(翔子の悲鳴)あれさ天橋立のお土産だよね?そう。
お土産買ってきたのになんであんなに機嫌悪いの?私たちだけ行ったからスネてるの。
そんな行きたかったの?だって日本三景の1つだもん!そっか…。
おたまさんその天橋立のお土産の「智恵の餅」ってどうですか?おいしゅうございます。
よしじゃあ僕も1ついただきます…。
おみやさんおみやさん…。
だからたまには親孝行のつもりでおたまさんをどこかに連れていってあげないとダメって事ですよ!親子って僕とおたまさんは…。
確かに血の繋がりはございません。
…聞こえてる!私は坊ちゃまの事を自分の息子のように…!ちょっと…おたまさん?あそうよねおたまさん!じゃあさじゃあさ今度3人で一緒に温泉でも行きましょうか?ね〜?どうしてあなたが一緒なの!?あたしはねあなたを娘だなんて思ってませんよ!あ〜ん娘だなんてそんな事全然言ってないじゃないですか。
ずうずうしいわねじゃあ嫁とでも言いたいんですか!?まそうはいきませんからね。
誰が…こんな人なんか!こんな人…!?こんな人と!?
(電話)電話。
はい。
(電話)はい鳥居です。
…あ兵さん。
何だって?殺された?田畑翔子さんって天橋立の看護師さん!?兵さん!田畑さん…。
(兵藤)15年前のヤマが解決した矢先に…。
どうして…?信じられない…!兵さん殺しなんですか?いやまだどっちとも。
(真澄)これ見て。
この傷転落でできた傷じゃないと思う。
誰かの爪痕だと思う。
爪?じゃあ…。
ガイシャのコートのボタンがちぎれてますね。
(吉川)あれ…?真澄さんこれ何?
(真澄)千鳥の根付…。
正絹の古布で出来てるわ。
古布…?うん。
古い着物を再利用して小物を作ったりするの。
(吉川)じゃあ根付って何ですか?
(茅野)ストラップみたいなもの?知らないの?帯の中にこうやって入れて先っちょに匂い袋とか印籠とか付けて落ちないようにするの。
へ〜。
千鳥の根付…どっかで見たな。
え…?2014/07/15(火) 16:00〜16:58
ABCテレビ1
おみやさん5[再][字]
「最終回特別編・京都祇園〜丹後天橋立を結ぶ殺人連鎖!!時効直前産婦人科に男の死体!?女医…舞妓…母子の絆15年隠し続けた真実!人生をかけて四人の女が守りたかったもの」
詳細情報
◇番組内容
京都鴨川東署資料課の鳥居勘三郎(渡瀬恒彦)が、部下の七尾(櫻井淳子)と迷宮入りした難解事件を鮮やかに解く、木曜ミステリー好評シリーズ第5弾。
◇出演者
渡瀬恒彦、櫻井淳子、菅井きん、谷啓 ほか
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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