人生デザイン U−29「アイデアをカタチにする」 2014.06.30


(講師)Nicemeetingyou.
(男性)Nicemeetyou.男性が英語で話しかけた先はインターネットで結ばれたフィリピン。
(男性)Firsttime.・Ah.It’syourfirsttime.・
(講師)Hello.
(一同)Hello.この日都内でオンライン英会話スクールのイベントが開かれていた。
オンライン英会話はインターネットを使って外国に住む講師からレッスンを受けられるサービス。
30分のレッスンでなんと200円。
人件費の安い国で優秀な講師を雇う事によって低価格なレッスン料を実現している。
この手軽さと安さが幅広い層から人気を集めている。
今後も高い成長が見込まれるとして100を超える企業がこの業界に参入している。
(日向)ずらっと先生の予約できる時間帯がありますので…。
その1つの企業に期待の即戦力として半年前に採用されたのが日向佐智胡さん。
佐智胡さんは日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれ17歳までフィリピンで育った。
3つの言語を操り誰とでも仲良くなれるのが強みだ。
Canweallreallyimproveinonlineschool?
(タガログ語での会話)しかしふだんの仕事ぶりは…。
ミス連発で大慌て!そんな彼女の人生デザインとは?朝10時。
佐智胡さんが会社にやって来た。
この日から取材スタート!おはようございま〜す。
もうずっとこんな感じなんですか?そうですよ。
密着です。
びっくりです。
ネット事業を展開する佐智胡さんの会社が英会話事業部を立ち上げたのは2年前。
本部があるのは英語の講師が多いフィリピン。
日本のオフィスで働く社員は3人だけ。
週に一度のインターネット会議で近況を報告し合う。
所属する講師の国籍は50か国以上。
英語を学ぶだけでなくさまざまな国の文化に触れられるのが売りだ。
OK.ThisisHyuga,ThisweekIwork….佐智胡さんは入社半年ながら国際会議でも臆する事なく自分の意見を言う。
オンライン英会話の利用者を増やす事が仕事の佐智胡さん。
「思い立ったらすぐ行動」がモットーだ。
(男性)あそんな感じです。
この日はある業者から「セミナーを開かないか」と話を持ちかけられた。
すると。
(男性)やります?分かりました。
いやいやいや…。
決めてないですよ。
人手や予算を心配する上司の気持ちはお構いなし。
会場の中で一番目立つ場所をリクエスト。
はい。
やった〜。
ハハハ…!即断即決。
細かい事は後回し。
躊躇したりしないの?う〜んないです。
フフフ。
はい。
遠慮するべきでした?そんな佐智胡さんに欠かせないのがSNSなどのインターネットツール。
これらを使って思いついた事を次々と同僚に連絡。
周りの力を借りてアイデアをすぐに形にしていく。
もう無いと。
この日佐知胡さんはオンライン英会話の説明会で司会をする事になっていた。

(講師)Sachikosan.Hello.・Howareyou?Fine,Great.来た人に親しみをもってもらえるよう会場でライブ授業をする事を思いついていた。
海外の講師と一緒に段取りを一つ一つ確認する。
しかし説明会直前…。
ライブ授業の事で頭がいっぱいだった佐知胡さん司会として話す内容をまとめきれていなかった。
ちょっと待って下さいね。
あのあの…上司の須藤さんが冒頭の挨拶で言うべき事を考える。
…みたいな感じのモチベーションを上げるような事を言ったうえで…。
そんな調子で大丈夫?よろしくお願いします。
いよいよ説明会がスタート。
・Hello.Mynameis….IcomefromBosnia….自ら発案したライブ授業。
・Ok.Let’strytorepeat.Hello.
(一同バラバラに)Hello.会場の盛り上がりはいまひとつ。
(須藤)リピートして頂ければと思います。
更に…。
はい。
段取りを忘れ説明会が中断してしまった。
はいえ〜っと皆さま…。
途中で上司の須藤さんに交代する事に…。
自分がやるべき仕事をミスしたうえに上司に押しつけてしまった。
全部しゃべる予定だったんですけどもやっぱりうまくしゃべれないっていう事で「須藤さんお願いします」って言って。
投げちゃいました。
フフッ。
結構思いついた事で「これやりたいこれやりたい」っていうふうに言うんですけど「じゃあそれをやったからって目標達成できるの」っていうふうな事を言った時に「もともと目標何でしたっけ」みたいな話になっちゃって。
気づいたら目標を見失っている形になってる時があるのでそこは軌道修正今している段階です。
仕事を終えて帰宅するのは夜9時すぎ。
佐智胡さんは今都内のアパートで一人暮らしをしている。

(呼び出し音)この日インターネットである人に電話をかけた。

(母)Hello.Hello.相手はフィリピンに住む母のエレニータさん。
日本人の父とフィリピン人の母の間に生まれフィリピンで育った佐智胡さん。
日本への強い憧れから17歳の時に家族を残し来日。
しかし日本での暮らしは想像以上につらいものだった。
おうちを借りた時「普通だったらうちは外国籍には貸さないんだよ」って言われたりとかして。
「でも日本国籍なんですよ」って言っても「いやでも向こうで生まれ育ってるんでしょ」とか「向こうの血流れてるんでしょ」とか。
自分の出自に苦しむ中偶然出会ったのが今の仕事。
フィリピンに本部を置く職場で働ける事に特別な思いを抱いていた。
本当小ちゃい頃から父親にすごく言われてたんですけど「日本とフィリピンの懸け橋になれるような人材になれよ」ってず〜っと言われてて。
「何言ってんだこの人は」って感じだったんですけど。
結局的にどうしても意識ってそっちの方そっちの方に行くところがあって。
日向さんの収入と支出はこちら。
故郷で暮らす親への仕送りは日本に来てから毎月欠かさず行っている。
一週間スケジュールを見てみよう。
週末に説明会などの仕事が入る事もしばしば。
仕事を終えて家に帰ってからも…またパソコン。
帰宅中に思いついた仕事のアイデアを同僚にどんどん提案していく。
何か電車の中で「あれやんなきゃこれやんなきゃ」みたいなのもず〜っと浮かぶので何か帰ってきたら即刻パソコンつけないと落ち着かないです。
仕事に追われる中唯一リフレッシュできる時間がある。
321。
スタート!半年前に始めた…参加者が2チームに分かれて撃ち合い勝ち負けを競う。
勝敗の鍵を握るのはチームワーク。
初めて会った人とも協力し合う事が大切だ。
ふだん全く話せない人たちとかでも全然ジャンルとか年齢とかも違う人でもサバゲを通して「相手どこにいる?」ってそれだけに集中して超仲間意識生まれたりとか。
めっちゃ楽しい。
佐智胡さん仲間に助けられながらも前へ突き進む。
(銃声)何だか仕事の進め方とちょっと似ているような。
この日フィリピンの本部からインターネットで呼び出された。
事あるごとに連絡をしてくる佐智胡さんのやり方に対し他の部署から苦情が上がったのだ。
・相手あっての事だと思うので「相手の事をちゃんと考えて仕事をしましょう」という事を言いたいですね。
お願いする時でも五月雨式に思いついたらボンボンやるっていうのってちょっと違うかなと。
思ったらすぐ口に出すのもいいけどでも相手があるっていう事をちゃんと忘れないで。
はい。
須藤さんからも日頃の仕事ぶりについて指摘が。
結構さっちゃんの仕事の進め方ってすごく言い方悪くしたら自分本位だと思うんだよね。
結構バンバンバンバンスカイプとかラインで「これどうなりました?」とか言ってガンガン来るけど俺は別に仕事だからいいんだけどさ他の人にしてみれば「だって急ぎじゃないんだったらスカイプで送んないでくれよ」とかいう事もあると思うんだよね。
何でスカイプで送っているかといったら申し訳ないけどさっちゃんが早く返答欲しいからでしょう。
スカイプとか来たらいちいち止まるやん仕事。
自分のアイデアに夢中になって周りの事が見えなくなっていた。
自分本位は間違いないっす。
結構多いと思います自分本位になる事は。
このままでいくともうそういうのが頼めない。
ちゃんとやんないから頼めないってなって全く仕事が来なくなるようになってくると思います。
その場その場その場だと。
やばいです。
そうはなりたくない。
それから間もない5月下旬。
2か月前から準備を進めてきたある一大イベントが翌日に迫っていた。
都内の大型施設で開催される合同説明会。
多くの会員を獲得できるチャンス。
佐智胡さんはリーダーとして学生インターンを取りまとめ現場の運営に当たる事を任された。
上司の須藤さんは現場に同行しないつもりだ。
その代わり佐智胡さんにノルマを課す事にした。
うん。
了解です。
会員獲得。
会員獲得。
「目標に向かって仕事をする事で責任感が芽生えるのでは」と考えていた。
本来の目的ちょっとブレないようにしましょう。
はい。
無料会員獲得する。
(須藤)そうそうそう。
無料会員を獲得するっていうのが最大の目的だから。
おはようございま〜す。
佐智胡さんが会場にやって来た。
今回臨むのはフィリピン留学フェア。
イベントにはフィリピンにある40以上の英語学校がブースを出す。
「留学するほど英語学習の意欲が高い来場者をオンラインのサービスにも取り込んでしまおう」というのが佐智胡さんたちの狙いだ。
佐智胡さん現場のリーダーとして学生インターンと準備に取りかかる。
ちょっとうまく立ち止まったお客様は捕まえて話できるように頑張りたい。
イベントがスタート。
ぜひぜひぜひ。
いいですか?会場には学生だけでなく休暇を利用して留学しようという社会人などたくさんの人がやって来た。
しばらくすると…お客さんがブースに。
しかし会員にはなってもらえなかった。
そのころ英語学校のブースには人が集まり始めていた。
一方佐智胡さんのブースはご覧のとおり。
焦り始めた佐智胡さん。
来場者の様子を伺おうと英語学校のブースを偵察する事に。
するとあるブースに目が止まった。
フィリピンの実家の近くに出来たばかりの英語学校だ。
佐智胡さん何やら思いついた様子。
英語学校と協力して新しいサービスができないか相談を始めた。
あ〜やりた〜い。
やりたいですねはい。
(男性)今度は我々が…。
「60人の会員獲得」というノルマを忘れて自分のアイデアにもう夢中。
上司にあれだけ念を押されたのに…。
目標の60人までは程遠い数字。
佐智胡さ〜んどうすんの?上司の須藤さんが様子を見にやって来た。
今日って何人ぐらいお客さんこっちで取れたの?まだゼロ?いや無料は何人か取れてます。
あ本当に。
苦戦を強いられる中佐智胡さんはある作戦を立てていた。
Hello.TeacherJane.Nicetomeetyou.やって来たのは旅行でたまたま日本に来ていたフィリピン人講師。
夕方に開くセミナーに出席してもらおうと呼び寄せていた。
フィリピン人講師の存在をアピールしフィリピン留学への希望者を一気に取り込む狙いだ。
過去の説明会で参加者から寄せられた質問を参考にトピックを考えていく。
いよいよセミナーがスタート。
皆様こんにちは。
今日はお忙しい中お集まり頂き本当にありがとうございます。
トップ講師であるジェーン先生がフィリピンから来日されてますので…。
ジェーン先生は「にこやかで話しやすい雰囲気を作ってくれる」と人気の講師だ。
「オンライン英会話のレッスンで英語力を高めてからフィリピンに行く事で留学がより充実したものになる」と訴えた。
佐智胡さんから最後の一押し。
ありがとうございました。
(拍手)セミナー終了後ブースに戻るとたくさんの人が集まっていた。
全員で一丸となって最後の勧誘。
ありがとうございました。
(一同)ありがとうございました。
そしてイベントが終了。
最後の粘り及ばず登録してくれたのは結局目標の半分の30人だった。
一つの目標に向かって一緒に頑張った仲間へ最後の挨拶。
結構バッタバタでこっち行ってこっち行ってって感じで計画性ないんでそれにすごく皆振り回されたと思うんですけどよく何か頑張ってくれたなっていうか。
ちょっと無駄に会社のお金とか使ったところがあるのでその60人獲得できなかったのがすごく悔しいです。
これまで感じた事のない悔しさ。
自分をデザインする一歩はここから始まる。
やっぱり今回目標達成できなかったので60人獲得。
前こんな事絶対思わなかったんですけど。
やっぱ言われた事ってやんなきゃいけないからそれができなかったのが今回悔しいし。
「日向さんに任せたい。
日向さんじゃないとこれはダメだな」って。
そう思われるような感じでそれだけの存在になりたいなって思います。
2014/06/30(月) 23:25〜23:50
NHKEテレ1大阪
人生デザイン U−29「アイデアをカタチにする」[字][再]

主人公は、日本人の父とフィリピンの母をもつ日向佐智胡さん(24歳)。今、人気を博す「オンライン英会話スクール」で、新しい企画を形にしようと奮闘する姿を追う。

詳細情報
番組内容
フィリピンなどの外国人講師と1対1の英語レッスンを受けられるオンライン英会話スクール。格安で受けられる手軽さで人気を集めている。2年前にサービスを始めたばかりの会社で働くのがフィリピンで生まれ育った日向佐智胡さん(24歳)。新しいアイデアを次々と提案するものの、実際に企画をカタチにする仕事は、他人に任せてばかり。そんな姿を見かねた上司がある課題を与えた。日向さんは課題をクリアすることができるのか。
出演者
【語り】Mummy−D

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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