(テーマ音楽)知っておきたい健康情報を分かりやすくお伝えしましょう。
「きょうの健康」です。
今週はこちら…糖尿病は何と言っても数が多いでしょうね。
患者の数はおよそ950万人。
そして予備群を含めますと2,000万人を超えると見られているんですね。
治療は皆さんしっかりやっていらっしゃいますかね?それがしっかりしていないという方も少なくないんですね。
そんなケースをご紹介しましょう。
こちらです。
50代の太郎さんです。
糖尿病と診断されて5年ですが仕事が忙しい事もあり治療をしてきませんでした。
「何の症状もないから大丈夫だろう。
糖尿病といっても病気という気がしない」と平気だったんですね。
こういう声よく聞きますね。
ところが最近両足の先にしびれを感じるようになり医療機関を受診すると「これは糖尿病の合併症だ」と言われてがく然としてしまったんです。
怖いですよね。
確かに私の友人もいますけどね「糖尿病だと言われてるけど別に痛い事も苦しい事もないしね」と言うんですよね。
だからといって放っておきますとこの糖尿病が原因となってさまざまな病気が全身に起こってくるんですね。
それが糖尿病の合併症なんです。
そこで今週は4日間そんな糖尿病の合併症とその対策についてお伝えしていきます。
まず今日のテーマはこちら。
このシリーズも専門家をお迎えしております。
分かりやすく話して頂きましょう。
ご紹介致しましょう。
糖尿病内科特に糖尿病の合併症の診断や治療がご専門です。
どうぞよろしくお願い致します。
よろしくお願いします。
最初に申し上げましたが糖尿病の方大変な数なんですね。
そうですね増えてきていますね。
特に地方では車社会になってしまいましたので昔に比べると歩かなくなりました。
そのために糖尿病になる方が都市部以上に増えているといわれています。
これは我が国だけではなくて世界的な現象のようです。
私の友人のようにまた太郎さんのように治療をおろそかにする方は多いんですかね?しっかり治療されている方も増えてはきておりますが今なお患者さんの3割が十分には治療していないという現状です。
人数としては300万人以上という事になりますでしょうか。
多いですね。
というのも糖尿病は長い間自覚症状がほとんどないという事から先ほどの太郎さんのように油断してしまうと考えられます。
しかし糖尿病はジワジワと進行していく病気です。
合併症の症状が現れる頃には相当悪化しています。
それではこの糖尿病が原因になって起こるほかの病気合併症どんな病気があるんでしょうか?久田さん。
ではこちらで見ていきましょう。
まずこちら側ですね。
目が悪くなる網膜症。
そして腎臓が悪くなる腎症。
そして足などにしびれや痛みが起こる神経障害。
これらを三大合併症といいます。
いずれも全身の細い血管が障害されて起こってくるんです。
また太い血管も障害され動脈硬化が進行します。
その結果脳梗塞心筋梗塞そして足に起こる閉塞性動脈硬化症が起こりやすくなるんです。
いろいろな病気が糖尿病が原因となって起きてくる事がこれで分かるんですがそもそも合併症はなぜ糖尿病によってこうやって起きてくるんですか?糖尿病といいますのはひと言で言えば血糖値が慢性的に高いこういう病気の事です。
血糖値というのは血液中に含まれるブドウ糖の濃度を意味しています。
ブドウ糖というのは基本的には全身に運ばれて細胞のエネルギー源のようになる訳ですがこのブドウ糖が細胞に十分取り込まれずに血液中に異常に増えた状態になる。
これが糖尿病という事です。
しかしおっしゃるように血液中のブドウ糖の濃度が異常に高い状態これがなぜよくないんですか?全身に血管がありますがこの全身の血管が異常な濃度のブドウ糖によって痛めつけられてしまう。
これがよくないという原因です。
それでは合併症の内容詳しく伺ってまいりますがまずはこの細い血管に起こる問題として三大合併症というのがありますね。
これをご説明頂きましょう。
まず網膜症。
これは眼球の奥にあります網膜にある細い血管がもろくなる病気です。
進行すると視力の低下や失明に至る場合もあります。
こういう細い血管が障害される訳ですね。
そして次に糖尿病腎症。
腎臓の問題ですね。
腎症は腎臓の働きが低下していく病気です。
腎臓も細い血管が無数に集まった臓器ですがそれらが少しずつ障害されていきます。
ひどく悪化した場合には透析治療が必要となる事もあります。
次にまいりますと今度は糖尿病神経障害です。
これはどういう問題でしょうか?神経障害は末しょう神経が障害されていく病気です。
足などのしびれ痛み感覚まひがよく生じます。
神経に栄養や酸素を送っている末しょうの血管が血行不良を起こしたりあるいは末しょうの神経そのものが壊れたりする事が原因となります。
悪化すると足を切断するほどの事態に陥る事もありえます。
怖いですね。
そして今度はこちら太い血管の方に起きる問題ですが何と言っても動脈硬化なんですね。
動脈硬化というのは血液中に増えたコレステロールが動脈の血管の壁にたまってそれがこぶ状に膨らんで血行が悪くなったものです。
この動脈硬化と糖尿病はどのように関係していますか?糖尿病で血液中のブドウ糖が増えるとコレステロールの運び役をしているLDLが酸化したりあるいはブドウ糖が結び付いたりします。
そうするとコレステロールは更にたまりやすくなって動脈硬化が進行する。
このように考えられています。
また糖尿病の方は食べ過ぎやあるいは運動不足などがよくありますね。
そうすると糖尿病だけではなくてコレステロールなどの脂質異常や高血圧も起こりやすくてこれらが重なって動脈硬化が進みやすくなります。
この動脈硬化の状態が進行するとどういう事態が起こりますか?血管壁に出来たこぶが破れてそうすると底に血液の塊つまり血栓が出来ると。
こういう事が起こると血管が完全に詰まってしまいます。
これが脳やその近くの血管で起これば脳梗塞。
心臓を動かす冠動脈で起これば心筋梗塞という事になります。
それもとても怖い病気ですがそうした脳梗塞や心筋梗塞に糖尿病の人はどのくらいなりやすいという事なんですか?糖尿病がある場合には脳梗塞は2倍心筋梗塞や狭心症は2倍から4倍起こりやすくなると考えられています。
そして糖尿病というのは目や腎臓や神経が悪くなるだけではなくて動脈硬化による病気が非常に起こりやすくなる事も是非知っておいて頂きたいと思います。
さて合併症を順にご説明頂きましたがこちら最後に閉塞性動脈硬化症とありますね。
これはどういった状態でしょうか?これは動脈硬化が足の動脈に起こる病気です。
歩くとふくらはぎが痛んで休まないと歩けなくなる。
休むとまた歩けるようになりますがやがて歩行困難になる事もあります。
またここに神経障害が加わると足の切断につながる場合もあるので注意が必要です。
さまざまな合併症を見てきましたがこうした合併症は糖尿病になってからどのくらいで起こってくるものなんですか?一つの目安がこちらです。
細い血管の障害は多くの場合糖尿病と診断されてから5年から15年で起こります。
順序としては神経障害網膜症腎症こういう順が多いといわれていますが個人差がかなりあります。
また糖尿病が進行してから発見された場合この場合には合併症が既に始まっている事もあります。
そして動脈硬化。
これは予備群の段階から始まります。
つまり糖尿病とは診断されていなくても血糖値が正常より高めであれば進行してしまいます。
つまり空腹時血糖がまだ低くても食後の血糖値が上昇しているいわゆる食後高血糖と呼ばれていますがこれが動脈硬化を進行させるという疫学調査が出ていて確認されています。
しかし糖尿病の恐ろしさが本当に分かってきた訳ですがやはりこれは合併症が問題なんですね。
そうですね。
糖尿病は合併症が本当に恐ろしい原因です。
逆に言えば合併症さえ抑えられれば糖尿病の方でも健康な方と変わらない生活が送れます。
合併症を防ぐそのポイントは?ポイントは何と言っても糖尿病を治療する事です。
すなわち血糖値を十分に下げる事が大切です。
それでは糖尿病の治療法について基本的なところを押さえておきましょう。
久田さん。
こちらでご覧下さい。
糖尿病は肥満や運動不足が影響するため食事の改善と適度な運動が治療の基本。
そして最も重要なんです。
それだけでは血糖値が十分下がらない場合は飲み薬またインスリンなどの注射薬を使います。
なお合併症を既に発症している場合は合併症自体の治療も必要です。
糖尿病のお薬では最近新しいものが登場しているようですね。
はい。
数年前に発売されたインクレチン関連薬というお薬が現在非常によく使われています。
このお薬は血糖値に応じてインスリンを分泌させますので単独では低血糖を起こしにくい薬剤という事もあってよく使われています。
更に新しいお薬が登場しているようですね。
これまでになかったお薬が2014年に登場しました。
SGLT−2阻害薬という飲み薬です。
どういう働きなんでしょう?これは血液中に増えたブドウ糖を尿に排せつさせる事によって血糖を下げていきます。
つまりこれまでのインスリン分泌促進薬あるいはインスリン抵抗性改善薬とは全く異なる働きをするお薬です。
ほかにも特徴があります。
単独で使った時には血糖が下がり過ぎる低血糖が起きにくいという事。
そしてブドウ糖が尿から体の外に出るため肥満解消という効果もあります。
いい点が多い訳ですね。
ただ懸念すべき点もある事は事実です。
尿が増えて脱水とか喉の渇きが起こりやすくなります。
また尿の通り道にブドウ糖が増えるという事で尿路感染が起こりやすくなるといわれています。
更に高齢で痩せている方などでは筋肉が衰えやすくなると。
このように考えられています。
また腎機能が落ちている方には効果がないという事も確認されています。
新しいお薬ですので医師の指示をよく聞いてお使い頂きたいと思います。
糖尿病の合併症今日のポイントをお願いします。
糖尿病は自覚症状がないという事から放置される方が少なくありません。
そうすると合併症が起こって悪化していきます。
そうならないように治療を受け血糖値をしっかり下げて頂きたいと思います。
合併症さえ起こらなければ糖尿病は決して怖い病気ではありません。
確かに糖尿病は痛くも何ともないからと放置するのが一番よくないですね。
ありがとうございました。
2014/06/30(月) 20:30〜20:45
NHKEテレ1大阪
きょうの健康 糖尿病 合併症を食い止める!「傷つく全身の血管」[解][字]
糖尿病の主な合併症は、失明につながる網膜症、透析治療の原因になる腎症、足などの神経障害、脳梗塞・心筋梗塞。いずれも血液中のブドウ糖が血管を傷つけることで起きる。
詳細情報
番組内容
糖尿病は血液中のブドウ糖の濃度が異常に高くなる病気。血液中のブドウ糖が全身の血管を傷つけて、合併症と呼ばれるさまざまな病気を引き起こす。主な合併症は、視力低下や失明につながる網膜症、腎臓の働きが低下し透析治療の原因にもなる腎症、足などにしびれや痛みが現れる神経障害、動脈硬化から起こる脳梗塞や心筋梗塞。これらを食い止めるには血糖値を下げる治療が必須となる。
出演者
【講師】旭川医科大学教授…羽田勝計,【キャスター】濱中博久,久田直子
ジャンル :
情報/ワイドショー – 健康・医療
福祉 – 高齢者
趣味/教育 – 生涯教育・資格
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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