匠たちの誇りを懸けた戦い。
宇宙から災害時などの状況把握に活躍が期待されている。
そのための正確な動きを可能にしているのが…。
人工衛星に搭載されたコマ。
その回転をコントロールし向きを制御している。
コマはものづくりの現場でも重要だ。
コマのようなこの工具。
これが世界に誇る精密機械を生み出す。
ブレずにずっと回り続けるコマがあれば…。
ものづくりそして宇宙開発の技術が格段に向上する。
今宵熟練工と宇宙エンジニアが激突。
プライドを懸けた戦いが始まる。
さあ始まりました「超絶凄ワザ!」でございます。
今回は究極のコマ対決。
ブレずにいつまでも回り続ける究極のコマを作ろうというものです。
言ったらまあただのコマがいろんなものを支えてるんですね。
ただの子どものおもちゃやと思ってましたけども。
では究極のコマ作りに挑戦する2組ご紹介しましょう。
1組目の皆さんはこちらの方々です。
だいち2号の制御装置を手がけた三菱プレシジョン。
これまで40年にわたり日本の宇宙開発を支えてきた。
これはJAXAと共同で開発した…その大きさは世界最小。
中にはモーターで動くコマがある。
この速さを調整し衛星の向きを変えている。
修理ができない宇宙空間。
15年間にわたり正確に動き続けなければならない。
微少な塵も故障につながる。
そのため組み立てはクリーンルームで行う。
こうした製品を設計するのが若きチームリーダー…対するのは金属加工のプロフェッショナル…東京・青梅市にある町工場ヤノック。
社員10人のうち8人が65歳以上。
その名は業界にとどろいている。
彼らが作る工具は日本の精密なものづくりには欠かせない。
その名は…部品を削り出すための工作機械に使われる。
高速で回転する部品を両側から支える。
もしこのコマ型のセンタにゆがみがあれば削るもの全てに伝わってしまう。
熟練工軍団のセンタで削り出した機械部品の数々。
これがなければ高性能を誇る日本の自動車も造れない。
驚く事に彼らはコンピューターを一切使わない。
手の感覚だけで製品を削る。
完全な円からの誤差はなんと1万分の1mm以下!驚きの精度を誇る。
現場を仕切るのは職人歴63年15歳からこの道一筋の工場長…全社一丸となって頑張りましょう。
(一同)頑張ろう!すごい対決ですね。
若さか熟練かというところも楽しみですし。
どうなんですか?田島さん。
自分たちが作られたものが人工衛星を制御してるというのは。
人類の夢を背負っていると思うので非常にやりがいのある仕事です。
やりがいもありますし責任感もねえ。
さあ対しますこちら熟練工軍団。
一切コンピューター使わず手の感覚だけで。
そうです。
すごいですね。
そうですか。
6人中5人がメガネというね。
さあそれでは対決の舞台をご紹介しましょう。
今回の対決の舞台私たちの後ろに用意しました。
こちらです!勝敗を決するのはコマ回しロボット…そびえ立つ2本のタワーがコマを回す土俵だ。
土俵の広さは一円玉と同じ。
直径僅か2cm。
この狭い舞台の上で回り続けた方が勝ちだ。
コマを回すためにこれ作って頂いたんですか?そうなんです。
コマのためだけです。
世界で1台しかありません。
でしょうね。
すごいですね!試しに市販のコマを回してみよう。
まずロボットアームで回転台へ移動。
手で回すのとほぼ同じ1,500回転を与える。
そしてツインタワーへ。
瞬殺。
2秒ともたない。
この舞台の上で回り続ける事それは奇跡。
では両チーム一体どんなコマ作りになるんでしょうか。
その挑戦ご覧下さい。
熟練工軍団のコマ作りが始まった。
メンバーは7人。
図面を手に現場に向かう。
これが加藤の考えたコマだ。
目指したのは寸分のゆがみもない完璧な円。
実現できればブレる事なく回り続けると考えた。
加工はチームプレーで行う。
最初に削るのはコマのボディー。
いつもセンタに使っている慣れた素材超硬合金を使った。
削り担当の石澤がこれを完全な円に仕上げる。
削り始めて20分。
先端についた針で1000分の1mmまで測る。
ほとんどブレない。
見事真ん丸の円に削りあげた。
続いては軸。
細長い軸を完全な円に削るのは至難の業。
僅かでもゆがめばコマはブレる。
任されたのは軍団最年少…直径12mmの完全な円柱を目指す。
しかし軸の上と下を測定すると下の部分が僅か1000分の1mmだけ太かった。
こことここの差がまだ荒削りなんで1000分の1です。
僅か1000分の1mmを寸分たがわず削る事はできるのか?削り方はこうだ。
軸と砥石が当たる角度を調節し砥石の角を使って太くなった部分を削り取る。
菊池は何のためらいもなく砥石を動かした。
その角度は僅か1000分の1度。
目盛りにもあらわれない。
見てほしい。
砥石を当てた部分の色が僅かに変わっているのが分かるだろうか?菊池は1000分の1mmの削りをこの色の変化で見極める。
再び測定。
軸の上部の値はゼロ。
微塵の誤差もなく直径12mmに仕上がった事を示す。
軸の下の部分もゼロから全く動かない。
完璧な円柱を手の感覚で削り出す。
凄ワザだ!全てのパーツを完璧な円に仕上げた熟練工軍団の真円ゴマ。
ついにその姿を現した。
一方TEAMスペーススピン。
まずはコマの構造を検討する。
メンバーは宇宙工学や機械工学を専攻してきた精鋭たち。
より長く回すためリーダーの田島は外側をできるだけ重くしようと考えた。
確かに鉄をはめて外側を重くしたコマはより長く回り続ける。
この原理を利用する作戦だ。
500gという制限がある中でどれだけ外側に重さを集中させるか。
それが鍵となる。
これが田島の考えたコマだ。
外側は鉄の3倍の重さがあるタングステンを用いる。
一方内側は徹底的に軽量化した。
軽いアルミニウムを使い更に内部を空洞にして軸も無くした。
まさに常識破りのコマだ。
製作に取りかかる。
作業はクリーンルームで行う。
人工衛星の部品を製造するこの場所は企業秘密の塊。
立ち入りは厳しく制限されているが今回は特別に撮影が許された。
まず内側のアルミニウムの部品を組み合わせる。
接着剤もネジも使わないという。
どうする?金属を隙間なく密着させる技術だ。
あえて常温でははまらないサイズに加工した2つの部品。
一方は温めて膨張させもう一方は冷却して縮めはめ合わせる。
常温に戻せばピタリとくっつく。
人工衛星の部品にも用いられるワザだ。
まず片方の部品をヒーターで温める。
すると100分の13mm膨張する。
そしてもう一方の部品を冷やす。
およそマイナス200度の液体窒素。
ここに蓋となる部品を入れると100分の15mm縮む。
見事はまった。
2つの部品が僅かの隙間もなく密着した。
金属の特性を知り尽くした凄ワザだ!いよいよ仕上げ。
ここでも焼きばめのワザを使う。
タングステンのリングを熱して膨張させる。
一方先ほど組み立てたアルミの部品を液体窒素で冷やし縮める。
この2つのパーツをはめ合わせようとした。
すると…。
(蓋がはじけ飛ぶ音)何だ?アルミニウムの蓋がはじけ飛んだ。
液体窒素がアルミの中に入り込んでいた。
それが熱したタングステンで急速に温められたのだ。
そこで蓋に穴を開け液体窒素を逃がす事にした。
さあどうか!?成功だ!宇宙の技術を注ぎ込んだ常識破りのコマ見参!焼きばめすごいですね。
はい。
これ…だんだん何作ってるのかよう分からんなってきましたね。
コマですからね皆さん!あれ中空洞で軸が通ってない訳ですね。
はい。
それもねらいがあって?そうですね。
さあそして…。
熟練工軍団。
あれでもすごい技術ですね。
1000分の1を削るというのを…。
目なんや。
目と耳です。
当たった時に。
慣れてる人がやると目と耳でこれで間違いないというのが分かるんです。
完璧な円を追い求めた熟練工軍団の真円ゴマ。
その実力を試してみる。
軸はまっすぐなはずなのにコマは揺れる。
何が問題なのか?伊勢谷はある事に気が付いた。
ボディーを下げて重心を低くすればコマはより安定して回るのではないか。
中心の軸がブレる事なく安定して回り始めた。
回り続ける事2分。
すごい!しかし徐々に回転が落ち始めた。
まだまだこの記録では納得できない。
完璧な円ならもっと回るはず。
突破口は見いだせるのか!?一方のTEAMスペーススピンも回す。
せ〜のはい。
回転数を計測しコマの状態を観察する。
54321。
内部を空洞にした常識外れのコマ。
最初はブレる事なく安定して回った。
しかし…。
コマの動きに異変が…。
ブレが生じて1分半コマは倒れてしまった。
回転数は十分だったはず。
なぜだ!?予想だにしなかった謎のブレ。
打開策は見いだせるのか?どうする!?TEAMスペーススピン!生字幕放送でお伝えします2014/06/30(月) 16:30〜16:55
NHK総合1・神戸
超絶 凄(すご)ワザ!「目指せ!奇跡のコマ 宇宙エンジニアVS熟練工」[字][再]
人工衛星「だいち2号」の制御装置を作った宇宙技術者と手作業で1万分の1ミリを削る平均年齢72歳の熟練工が直径2cmの狭小鉄塔で回り続ける“奇跡のコマ”を目指す
詳細情報
番組内容
人工衛星の向きを変えるために実は「コマ」が使われている。ものづくりの現場でもコマ型の工具が精密部品を生み出している。ぶれずに回り続けるコマが実現できれば、宇宙開発やものづくりの技術は飛躍的に向上する。今回はそんな奇跡のコマを目指し「だいち2号」の制御装置をつくった宇宙エンジニアと、手作業で1万分の1ミリの精度を削り出す熟練工軍団が激突。直径2cm狭小タワーで、落ちずに回り続けるコマは実現するか
出演者
【司会】千原ジュニア,池田伸子,【語り】福島泰樹
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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