今回の先輩は…ちょっと怖い絵を描いています。
(松井冬子)幽霊信じてる人?
(一同)は〜い!
(男子)めちゃ信じとる!うっそ〜!授業のテーマは「幽霊を描こう!」。
みんなは先輩のようにうまく描けるのかな?でもそもそも幽霊って何なの?アハハハ。
ゲームの中のキャラクターならすぐに描けるんだけど…。
このさ目の描き方すごい強烈で好きなんですけど。
ちょっと言葉が出ないんですけど…。
一体どんな幽霊が生まれてくるのでしょうか?静岡県西部山に囲まれたお茶の産地森町。
森小学校が松井冬子さんの母校です。
27年ぶりとなります。
失礼します。
(拍手)私の名前は松井冬子といいます。
皆さんと同じようにここの森町の出身です。
もちろんこの森小学校を卒業して森幼稚園も卒業しました。
皆さんと全く同じです。
私東京芸術大学の大学院博士課程というほとんどプロフェッショナル…プロの美術家になろうって決心した時に博士課程に進みました。
その時にこの作品を制作しました。
松井さんの代表作の一つ…花畑に横たわる女性が自分でお腹を切り開き内臓を見せています。
松井さんは恐怖をテーマに心の痛みを感じさせる作品を描いてきました。
みんなは松井さんの絵をどう感じるのでしょう?何でもいい何か…あんまり好きじゃないとか見たくないとか何でもいいのでもしよかったら感想を聞かせてもらえたらなと思います。
あっ!アハハハ!ありがとうございます。
ありがとうございます。
はいお願いします。
例えば私がここでイタタッてつねったとしましょう。
この私が痛いって言った痛みっていうのは拓馬さんにどのぐらいの痛みなのかどんな痛みだったのか分かるかなっていうと他人の事だから全然そんな気持ちや痛みっていうのは分からないと思います。
心の痛みそういったものって…なかなか見えてこないものだから。
そういった痛みとか恐怖とかそういったものを作品を通してみんなで分かち合えないかな。
そういうふうに思ったのがこういった作品を描くきっかけとなりました。
幽霊っていうのを少しテーマに挙げさせて頂きたいと。
あっ何かちょっと嫌だなみたいな声が聞こえて…。
(一同)は〜い。
お〜!うっそ〜!幽霊とイメージすると皆さんどういうものをイメージされますか?幽霊って女の人が多いと思う人?男の人が多いと思う人?じゃあ女が多いと思う人?全員?これ…?
(男子)いや耀君だけ。
えっとこのクラスは何人でしたっけ?
(一同)37人。
37人って事は36人。
すごい確率ですね。
みんなが思う女性で足がない幽霊はどこから来ているのでしょうか?これです。
一番最初に幽霊の絵を描いた人っていうのが江戸時代にいました。
円山応挙っていう…。
日本でなじみ深い足のない幽霊は江戸時代の画家円山応挙が初めて描いたとされています。
幽霊画っていうのは江戸時代の中期に始まってだんだん後期になってくると幽霊画っていうのがはやりだします。
全国的に。
泥棒対策みたいなものだったりします。
「魔をもって魔を制す」っていう言葉があるんですけどまあこういう恐ろしいものが床の間に掛かってたりすると例えば家族で旅行に夏休みに海に行きました。
留守にしていておうちに誰もいない。
そういったところにこういった怖い幽霊画を掛けておくと泥棒が怖くて入ってこない。
そういった意味合いをもって「魔をもって魔を制す」といって幽霊画っていうのを一家に一幅持つっていうのが結構はやったりしました。
1時間目が終わり生徒たちが憧れの松井さんの周りに集まります。
いわのあやこって知ってますか?知ってる!その息子です。
こんにちは。
お母さんによろしくお伝え下さい。
あっそうですか元気がいい。
そっくりね言われてみたら。
生徒たちとの雑談で松井さんの緊張もほぐれていきます。
松井さんは自分の描いた幽霊画を見せたいと生徒たちを連れ出しました。
美術館に足を運んだ事がない子どもたちのために本物の幽霊画をわざわざ持ってきました。
初めて見る松井さんの幽霊画の迫力に圧倒されます。
鶏を持つ髪の長い女性。
この作品は友だちから受けた嫌な言葉を繰り返し繰り返し思い出して眠れなくなった自分の心の痛みを描きました。
幽霊を見たっていう人の心理状況っていうのは本当に幽霊がいる訳ではなくてその人の心が幽霊をつくりだしている。
そういった追い詰められている心理状況っていうのが私にとってはすごく興味深い対象でそれを表現したいと思ってこういう作品を作りました。
松井さんは小学校時代に受けた心の痛みが今でも忘れられないと言います。
え〜悪いイメージの思い出が一つ残ってるんですけど同じクラスの女の子に冬ちゃんって呼ばれてたのちっちゃい頃。
「冬ちゃん絵がうまいと思ってるでしょ?」って言われてギクッとしたの。
自分で絵がうまいとやっぱり思ってたのもあるけど人にはあんまりやっぱり知られるとちょっと恥ずかしいと思っていて「そんなに絵はうまいと思ってないよ」って言ったんだけどその女の子がそしたら今描いてる絵を「じゃあその絵破れる?破る事ができる?」ってその女の子が私に言ったの。
だから「うん破れるよ」って言ってその自分の描いた絵をビリビリビリビリッてその目の前で破ってその時はすごい我慢したんだけど後ですっごく悲しくなって泣いた思い出があります。
皆さんは痛みって何だと思いますか?心の痛みっていっても結構目に見えるものではないから漠然としているので。
自分の中の今までつらかった思いとか悲しかった出来事とかそういう事をちょっと思い出してみてそれを画にしてみて下さい。
みんなに幽霊を描いてもらいます。
テーマは幽霊なので幽霊でいいです。
自分の思い描く幽霊。
子どもたちは迷う事なく幽霊を描き始めました。
松井さんはすぐに注意をします。
あっという間に描き始めてる人がいますけれどもちょっと待って下さい。
何に一番時間かけるかっていうとアイディア出しとかイメージを膨らませる事に一番時間をかけるんです。
だから例えば5時間…6時間あったとしたら4時間ぐらいがイメージをひねり出すのに使ってあとの2時間で描くっていう感じなんですよ。
松井さんは作品を作る時はすぐに描く事はしない。
この事はとても大事な事だと言います。
絵画っていうのはその人となりとかその人そのものっていうのが直接表れてしまうものなので全然何も考えずに描いているとすごい薄っぺらい画になってしまうんですね。
だからたくさん考えてたくさん悩んでそういった人間の試行錯誤っていうのが画に詰まっているっていうとやっぱりその画が魅力的になってくる訳です。
だからやっぱりたくさん考える悩むって事が大事なんじゃないかなって思っています。
幽霊の輪郭が出来てきました。
(男子)見せて。
耀君の幽霊にみんなの注目が集まります。
昼からの授業。
耀さん!はい。
どうぞお座り下さい。
耀君は頭や体に刃が刺さっている事で悲しみを表現しました。
言葉の刃?そう自分も傷つくんですけど自分も何かひと言言ってしまって傷つけちゃったなっていう事ってありますか?傷つけちゃったかなって思う時…。
う〜ん…まあ。
何か両方なんですよね。
こういう人と人との関係って。
お願いします透真さんよろしくお願いします。
透真君はナイフで刺されて殺された幽霊の悲しさを表現しました。
このさ目の描き方すごい強烈で好きなんですけど。
だから2つある人なんだけど髪で隠れてるっていうふうな表現をしたい場合は鼻をもうちょっとこっち側にずらすとちゃんとなるかもしれない。
すごい強烈…。
友歌さん。
お願いします。
わあ面白い!友歌ちゃんは親子の悲しみを描きました。
川に立つ少年の後ろにはお母さんが立っています。
えっ…私もこれももう全然何か言う事ないっていうかこのまま進めて下さい。
次にやって来たのは拓馬君。
松井さんは拓馬君の画に心の叫びを聞きました。
影の薄い画に不自然で不条理なものを強く感じたのです。
ねえこの画を見てると口に笑みがあるんですけどそれもちょっと無理に笑ってるように感じるし何かそれこの女の人なんですけど私はこの女の人拓馬さんの投影かなって私思っていて…。
平面的なお墓から拓馬君は人を表面的にしか見ていない。
更に悲しみがテーマなのに女性が笑っている。
松井さんは拓馬君の中に何かつらいものがあるのではと感じたのです。
つらい事があった時に自分でどうやって消化するっていうか落ち着かせますか?やっぱり傷つくと一日中落ち込んでしまいます?落ち込んだりはそんなにしない?松井さんは拓馬君のつらい気持ちに寄り添おうとします。
具体的に人にそういう自分の苦しみっていうのを伝えようっていう気はあるかないかはちょっと私には分からないですけどもし伝えられたら少しは軽くなると思うんだよね。
拓馬君はこの春転校してきたばかりでした。
松井さんは拓馬君の背中にそっと手を差し伸べます。
自分で考えて自分で正しい方向を見つけるしか方法がない。
(先生)おはようございます。
(一同)おはようございます。
拓馬君はクラスの仲間と元気に遊んでいました。
ねっ涼しいね。
変えた?ひょっとしてお墓見に行った?見に行ってない?行ってない。
行ってない?じゃあ頭の中で考えたの?拓馬君の画は力強く色も濃くなっていました。
2日目の午後。
最後の授業は出来上がった幽霊の画の発表会です。
37人の幽霊が出来上がりました。
脳みそちゃんと描いてますもんね。
描写がすごい。
多分研究したんだと思いますね。
前に出てみんなの作品をそれぞれ見て下さい。
初めて挑戦した幽霊の画。
どんな悲しみを抱えた幽霊が出来上がったのでしょう。
最初の発表はあかりちゃん。
こちらの作品ですね。
は〜い。
驚きました。
お墓参りに来てくれないから悲しくて出てきたお化け。
お墓参りってよく行かれるんですか?そんなに行かない?じゃあ行かないとね。
言葉の暴力で悲しむ幽霊を描いた耀君。
雨の降る廃墟に幽霊はたたずんでいました。
億ちゃんはもっと生きたいと願いながら病気で亡くなった女の子の悲しさを表現しました。
凛々子ちゃんは自然破壊をテーマに選びました。
黒いゴミ袋が捨てられ汚れていく川を悲しむ幽霊です。
すごい!内容もすごいいいですよね。
社会派。
社会の問題を幽霊と託していろいろ表現してるっていうところに好感度があります。
こちらですね中村さんは3枚描いてましたよね。
えっ?2枚目これいつ描いたんですか?家で。
家で描いた!?拓馬君の発表です。
はいお願いします。
ありがとうございます。
ありがとうございました。
拓馬君は自分の心の痛みをしっかりと見つめたのです。
今回悲しみをテーマに描いてもらった訳なんですけど悲しみを作品にする前に結構考えて下さいって言った訳なんですけどもやっぱりそれがね作品に表れていて悲しみの気持ちとか人に対する思いやりの気持ちっていうのを更に追究して考えてくれてるのかなっていうふうに思いました。
それがすごく印象に残っています。
(男子)ありがとうございました。
(一同)ありがとうございました。
人が亡くなるっていう悲しみを描きました。
先生はじっくり考えてゆっくり描けばいいみたいな感じで言ってくれました。
絵が幽霊の絵とかあんまり描いた事がなかったのですごい勉強になったと思いました。
子どもたちのそれぞれの思いから生まれた幽霊。
怖いと思っていたけどひょっとするとみんなの友だちになったのかな?2014/06/30(月) 12:25〜12:50
NHKEテレ1大阪
課外授業 ようこそ先輩「幽霊は友だち?〜日本画家 松井冬子〜」[解][字][再]
今回の先輩は、日本画家の松井冬子。授業のテーマは幽霊の絵を描くこと。松井は、幽霊は心の痛みだと考えている。後輩たちは、どんな「幽霊画」を描きあげるだろうか。
詳細情報
番組内容
今回の先輩は、日本画家・松井冬子さん。静岡県森町の森小学校で「幽霊を描こう」というテーマで授業をする。松井さんは、「幽霊は心の痛みからくる心象風景」だと考えている。その痛みを描くことになったが、後輩たちはどう描いていいか分かりません。そこで松井さんから「悲しい風景や悲しいカタチ、音、匂いを想像してください」とヒントが出る。後輩たちは、どんな「幽霊画」を描きあげることになるだろうか。
出演者
【出演】日本画家…松井冬子,【語り】木村多江
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – その他
趣味/教育 – その他
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
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日本語(解説)
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