ドラマ10 ハードナッツ!(3)「ダイイング・メロディーの哀しき解法」 2014.07.15

(くるみ)
世界中のほとんどの人は気付いていないけれどこの世の中を支配しているのはいくつかの数式だ。
宇宙自然動物たちそれら全てに数式が存在する。
事件は数式によって解き明かされる
(小板橋)この世界は数で出来ているんだとかのピタゴラスは言った。
この世の全てを数字で表そうとしたんだな。
彼いわく1は理性2は女3は男。
2+1=3だろ?女に理性を足すと男になるという訳だ。
全くえらい男尊女卑だったんだな。
(ため息)じゃあプリントを見ろ。
恋人たち。
彼らはパートナーの未来の収入をその存在価値を計算し自分にふさわしいかどうかを決める。
研究に全てをささげる私には関係のない話だ。
…とはいえ私が望みさえすれば恋人ぐらいすぐにできる。
必ず。
恐らく。
きっと。
多分…。
神様聞こえてます?
(ピアノの音)不快な音楽ですか?それを君に作ってもらいたいんだ。
はあ…。
(坂下)どうぞ。
ゴホッ…。
ぬるい入れ直せ。
すいません。
全く使えない。
ああ失礼。
君も見ただろう。
恥ずかしながら我が京南大学はバカばっかりだ。
居眠りしたりいちゃついたり。
まあそこで着メロに見せかけてとても不快な音楽を流す。
ハッとして飛び起きるようなね。
そのメロディーを君に作ってもらいたいんだ。
もちろん数学的アプローチで。
お引き受けします。
そうかよかった。
言っときますがその…恋人たちを憎んでいるという訳ではありませんので。
引き受けてもらってうれしいよ。
君がどれほどの逸材なのかとても興味があってね。
森崎教授に紹介してもらったんだ。
はあ。
よく話してたよ。
飛びっきり優秀で飛びっきり変人が東都大学にいるってね。
ハハハハ…。
どうだった?私の講義は。
とてもよかったと思います。
だろ?ピタゴラス研究の第一人者として斬新な切り口を常に…。
非常に初歩的でとっても分かりやすかったです。
お猿さんでも理解できるかと。
お…お猿?はい!ハハハ…わざとレベルを落としてあげてるんだよ。
無能な学生のために。
…だと思いました。
では失礼します。
(ピアノの音)調律終了しました。
ご苦労さん。
君はクラシックには詳しい?人並み程度です。
よかったら来週の講義も面白いもの見せてあげるよ。
音楽は情熱の発露数学は冷静な思考。
だから全く違うもの。
そう考える人は多い。
だけどそれは間違いだ。
ドレミのもととなる音律を初めて発見したのはピタゴラスだし歌手の歌声をCDに録音するにはフーリエ解析が欠かせない。
もし数学がなければ今のような音楽にあふれる世界は実現していなかったのだ
じゃあ聴かせてもらおうか君の傑作を。
出来ませんでした。
出来ない?正確にはまだ出来ないです。
というのもですね不快な音楽というのを背理法で証明しようとまず心地よい音楽の研究を始めたんですよ。
すると…やはり心地よいのですやすやと寝てしまいました。
しかしですねラムゼーの定理を応用するというアプローチを思いついたのでその検証を経てあと5日で完成予定となっています。
(奈津子)難波さん!奈津子さん…。
何ですか?その格好は。
あ私チアやってて野球部の試合があるから応援に。
そうなんですね。
あちょうどよかった。
今週の土曜って空いてる?え?ポーカーのお礼。
コンパがあるの。
コンパは男女が知り合う場所。
という事は研究に全てをささげる私には関係のない話だ。
だけど…お礼だというのなら行ってあげなくもない
研究で忙しいんですけどその日だけは空いてる可能性はありますね奇跡的にはい。
スケジュール…。
あっかばん忘れましたんで取りに行ってきます。
あ…。

(ピアノの音)
(ノック)かばんを忘れたんですけど…。
(ノック)いないんですかね?いるんじゃない?ピアノの音がしたし。
失礼しま〜す。
小板橋教授…。
え〜?
(奈津子)どうしたの?キャ〜!
(彩葉)どうしたの?あ…。
うん?何?はっ…ああ…。
小板橋教授!ひ…人殺し!え…あ…違います。
来ないで!ここにあったから…。
(伴田)ガイシャは?この研究室の小板橋教授。
頭部殴打による撲殺。
このログドラムという楽器が凶器だな。
おい伴田。
第1発見者が呼んでるぞ。
知り合いか?
(ノック)失礼します。
どうして君が?ちょっといろいろありまして…。
お願いします。
知り合い?知り合いの定義にもよりますね。
「この人を知ってるか?」って聞かれると答えはイエスですけど「この人の何を知ってるか?」って聞かれると…。
君のへ理屈につきあってる暇はない。
まさか君がやったんじゃないだろうな?エヘヘヘ。
すてきな冗談ですね。
あいえあの私が彼女に声をかけて2人で教授の部屋に行ったんです。
そしたらもうその時には死んでいたみたいで…。
なるほど。
…で?え?事件の概要はどんな感じなんですか?この前の事件では確かに世話になった。
だがこれ以上警察の仕事に首を突っ込むな。
もちろん分かってます!・
(彩葉)あの時はこの部屋で論文を書いていました。
すると悲鳴が聞こえたので慌てて駆けつけると倒れた小板橋教授と彼女がいました。
その前後で何か不審な事はありませんでしたか?ピアノの音が聞こえました。
ピアノ?ええ。
流ちょうなメロディーではなくてポ〜ンポ〜ンという単調な音でした。
(ピアノの音)これです。
よく覚えてられますね。
絶対音感を持っていますので。
ちょっと録音しても?どうぞ。
(ピアノの音)はっ…そういえば私も聴いた。

(坂下)東都大学の女の子が出ていったあと教授はすぐに論文を書き始めました。
「お前は邪魔だから出ていけ」と言われたので自分は図書館に。
…という事は小板橋教授は部屋に1人でいたんですよね?…だと思います。
そこで何者かに襲われた。
研究室にあったピアノなんですが…。
来週からクラシック音楽と数学理論に関する授業を行う予定だったんです。
それで新調しました。
なるほど。
新品の…。
確かに新しいな。
(警官)何してるんだ!あっ…。
あ〜…。
岡さん大丈夫です。
知り合いですので。
そうですか?いい加減にしろさっきからコソコソと。
邪魔をする訳じゃないからほっておいたが…。
私も聞いたんです。
何を?ピアノの音を。
教授の部屋に戻ってきた時に。
そうなのか?多分教授が息絶えようとする直前だったと思います。
つまりあれは…。
小板橋教授のダイイング・メッセージならぬダイイング・メロディーって訳か。
その謎を解けば犯人が分かるかもしれませんね。
言ったよな。
「事件に首は突っ込むな」と。
探偵気取りはやめて自分の研究でもしてろ。
(小林)崇高な教育が行われる最高学府で起きた殺人であり到底許す事のできない凶悪な事件だと考えている。
一分一秒でも早い解決に向け全員で捜査に当たってほしい。
(一同)はい!殺された小板橋教授だが実績は申し分なく研究者の間ではかなりの発言力を持っていたらしい。
今のところ動機の面から考えて容疑者は3名。
はい。
一人は助手の坂下学28歳。
常に教授から「無能だ」と文句を言われていたそうです。
今日の午前中も…。
早くしろ。
君には無能という言葉がぴったりだな。
すみません。
(笑い声)そんな事は日常茶飯事で積もった恨みから犯行に至ってもおかしくなかったようです。
犯行時刻は1人で図書館にいたと言っていますがアリバイは確認されていません。
以上。
次。
はい!もう一人は准教授の堤彩葉32歳。
彼女は10年前小板橋のゼミ生でありその後助手を務めています。
いわば師匠と弟子という関係かと。
しかし小板橋の性格からか当時から衝突が多かったようです。
研究室は小板橋の隣であり誰にも目撃されずに犯行を行う事はたやすいと推測されます。
以上です。
次!はい。
3人目は数論堂出版の三条文也40歳。
三条の担当する専門誌で何度か小板橋の論文を取り上げています。
ただ関係は良好ではなく先日も来月発売の雑誌の打ち合わせだったそうですが…。
ふざけんな!
(三条)すみません。
バカ者が!かなり険悪な空気であったとの証言が出ています。
終わります。
次!はい。
これを聴いて下さい。
(ピアノの音)何だ?それは。
小板橋教授が死ぬ直前に弾いていたものだと思われます。
死ぬ直前に?准教授の堤彩葉の証言です。
彼女には絶対音感があるとの事で。
第1発見者の大学生難波くるみも聞いています。
教授はこのメロディーで何かを伝えたかったんじゃないでしょうか?教授のダイイング・メッセージって訳か。
はい可能性はあります。
おい推理小説じゃないんだぞ?いや手がかりになる可能性もある。
分析させろ。
分かりました!すぐに音楽の専門家音大の教授や作曲家科捜研にも依頼しますので。
いえそれでは…。
よし次。
ほかに聞き込みおよび目撃証言などあるか?
(彩葉)何してるんですか!?ここまだ立ち入り禁止みたいですけど。
失礼するよ。

(悲鳴)どうした!?何ですか?いきなり。
あいや…。
何やってるんだ?不快な音楽の作曲をしているんです。
不快?教授は亡くなられましたが研究を途中でやめてしまうのは性に合わないので。
(悲鳴)君に聞きたい事がある。
(不気味な音)うっ…。
実は…。
(不気味な音)やめろ。
すごく不快だ。
よくそんなに食えるな。
脳の唯一の栄養は糖分なんです。
研究者には必要なんですよフフッ。
そういうものなのか。
…でお話というのは?ああ。
音楽と数学ってどう関係してるんだ?殺された教授は音楽と数学の専門家だろ?参考までに聞いておきたいんだ。
そうですか。
その2つは強い結び付きを持っています。
音律を初めに発見したのはピタゴラスというのはまあ言うまでもありませんが…。
えそうなのか?えっそこから?ピタゴラスは鍛冶屋の前を通った時に聞こえてくるハンマーの音が時折美しくなる事に気付き研究を始め和音という概念にたどりついたんです。
彼が発見した音律はピタゴラス音律と名付けられ非常に美しい和音を生み出します。
ちなみに現在一般的に使われている平均律とは多少音がずれています。
それに彼は数図形音楽天文学を4大学問とし同じ土俵で見ていました。
つまりピタゴラスの時代には今の感覚よりもずっと数学と音楽は近しい関係にあったんです。
もういいよく分かった。
まだ説明は続きます。
結構だ。
数学アレルギーなんでな。
アレルギーは治療可能ですよ?そんな物知りの君に頼みがある。
(ピアノの音)何か鳴ってる。
携帯じゃない?小板橋教授が弾いていたものだ。
君も聴いただろ?これを分析してほしい。
私が?ああ。
警察では音楽の専門家に依頼をしている。
だがこれは数学者が残したメロディーだ。
なら数学に詳しい者にこそ頼むべきだと俺は思っている。
容疑者の情報は後で資料で送る。
「探偵気取りはやめろ」と!「探偵気取りはやめて自分の研究をやれ」とあなたがそうおっしゃったので私は不快な音楽の作曲に精を出していた訳なんですけれども!それはな…。
訂正して頂ければ。
申し訳ありませんでした。
エヘヘヘヘヘ…。
分かりました!
(ピアノの音)
小板橋教授は何か伝えようとしたんだろうか?死ぬ直前このメロディーで
(ピアノの音)
音楽と数学を専門にしていた教授なりのメッセージがあるのかもしれない
・「ドミファドドレシレ」
(権堂)うっ。
うっ。
廊下は右を歩けと言っただろう!申し訳ありません。
待ちたまえ。
先ほどの鼻歌は何の曲だ?気になるメロディーだ。
さあ…。
「さあ」?それが分からないから分析しているところです。
音楽は分析などするな。
感じろ!全く…。
感じる…。
・「ドミファド」
(鼻歌)何ですか?そのメロディー。
あいや…。
今日ず〜っと口ずさんでますよ。
ちょっとね。
(坂下)今までの論文ですか?はい小板橋教授の。
貸して頂けますか?どうしてそんなものを?犯人を捜しているんですけどその手がかりになればと思いまして。
いやけど膨大な量ですが…。
構いません。
あの講義のスケジュールとか授業で使ったプリントとか…何でも。
分かりました。
メロディーを分析しつつ別の角度からも問題を検証する。
我ながら完璧な作戦だ
あ。
あっ。
この資料って…?あ小板橋教授のです。
メロディーの分析をしてるんですがなかなかうまくいかなくて。
そう。
あ何か変わったところはありませんでしたか?う〜ん特におかしなところは…。
そうですか。
単調なピアノの音だった。
あの日新調したんでしょ?だから音が狂ったところもなかったし。
回想
(ピアノの音)そうですか。
よく分かりますね。
その音が狂ってないとか。
こう見えてピアニスト目指してたから。
絶対音感もあるし。
へえ〜すごいですね。
今度ミニコンサートやるからおわびでご招待させて。
是非!はい。
ありがとうございます。
(三条)ん?何だ?
確かに小板橋教授は優秀だ。
この頭脳で一体何のメッセージを残そうとしたのか。
結局行われる事のなかった講義か

どんな天才にも休息は必要だ
気分転換に音楽はいいかも
不思議な音楽。

これもしかしたら…
解けました
教えてくれ。
誰が犯人なんだ?私の推論が正しければそれは出版社の三条です。
どうして彼が犯人だと?答えはとってもシンプルでした。
フーリエ解析とか時系列解析とかそんなものは必要なかったんです。
ヒントはこの音楽に。
音楽?教授の資料の山の中にありました。
彼が生前聴いていたものだと思います。
何だか不思議な曲だが…これが?円周率です。
円周率…。
でもそれは数字だろ?それをどうやって音楽に?とっても簡単なんです。
それぞれの数字をドレミに置き換えるんです。
1はド2はレ3はミといった具合に。
後はそれを自由なリズムに合わせて音を並べるだけ。
そうするとその音楽になります。
つまり教授もこれと同じように?教授が最後に弾いたメロディー。
音階にすると…。
ドミファドドレシレ。
これを今の法則で数字に置き換えると13481272となります。
どうしてこれがダイイング・メッセージに?三条の名前は文也ですよね?ああ。
文也を数字にすると…。
238。
そうかつまり…。
そうです。
三条文也。
つまり文也の数字238を3乗。
3回掛け合わせたんです。
238×238×238は13481272になります。
まあ言葉遊びみたいなものです。
教授は頭を殴られ鍵盤の前に倒れ込んだ。
息も絶え絶えで声も上げられない。
手を伸ばせる範囲にペンもない。
そこで思いついたんでしょう。
音階で犯人を知らせる事ができるかもしれないと。
(ピアノの音)隣の部屋には堤さんがいました。
彼女なら分かってくれるかもしれない。
ヒントとなる数字を音楽に置き換えて師匠が弟子に最後のメッセージを送ったんです。
もしもし。
本当ですか?はい分かりました。
どうかしたんですか?死んだんだ…三条が。
(小林)現場に止まっていた車の中から遺書も見つかっています。
「小板橋は自分が殺した。
その罪の意識に耐えられない」と。
そっか…。
終わってしまえばあっけない事件だったね。
結局被疑者死亡のまま捜査終了だな。
おい泉尾崎。
はい。
それから伴田も。
お前たちはすぐに別件入れ。
マル暴から応援要請だ。
分かりました。
はいはい。
どうしてだろう?事件は解決したというのに何か引っ掛かる
難波さん!わあ。
今日のコンパ7時集合ね。
よろしく。
はい!・「誓うよ」
(歓声)えっ?・ここなら出てきたらすぐに分かる。
・はい。
あ伴田さんネクタイ。
どうしてここにいるんだ?ちょっといろいろ。
そちらはデートですか?いや…。
詐欺グループの人間を尾行してる。
邪魔するなよ。
そうですか。
あのどういった?いや…まあ…ちょっと知り合いというか。
知り合いの定義にもよりますがお互い何かを知ってる訳ではありませんけど…。
あちょっと待って下さい。
はいまだ動きありません。
はい。
じゃあ私はこれで。
いや。
はあ?ちょっと待ってくれ。
1人でいたら怪しまれる。
何か歌ってくれ。
はあ?頼む。
ほら数学と音楽は密接な関係があると言ってたよな。
という事は数学者の君は歌も得意なんだろ?ほら頼む。

(ドアの開く音)
(「Butterfly」)
(音程の外れた歌声で)・「Butterfly今日は今までの」・「どんな時より素晴らしい」電話しただけか。
(音程の外れた歌声で)・「Butterfly今日は今までの」・「どんな時より素晴らしい」・「赤い糸でむすばれてく」
(停止ボタンを押す音)ここから間奏が長いんですよ。
そうか。
まああれだな…。
味わい深くていいと思うぞ。
そうですか?ちょっとずれてるけどな。
確かにずれてる。
まあでもそれも考えようによっちゃ魅力の一つというか…。
ずれた…音?回想単調なピアノの音だった。
音が狂ったところもなかったし。
調律終了しました。
ご苦労さん。
よければ来週の講義も面白いものを見せてあげよう。
もしかしたら!
(ピアノ)
(ピアノの音)彩葉さん。
難波さん。
どうかしたの?コンサートのリハーサル中なの。
出ていってくれない?っていっても…。
(ピアノの音)このピアノ調律がおかしくて。
音が狂っている訳ではありませんそのピアノ。
え?そんなはずないわ。
ならやっぱりあなたはうそをついていたという事になります。
小板橋教授のダイイング・メロディー。
あれを弾いたのは彩葉さんあなただったんですね。
あなたは「あのメロディーが教授の部屋から聞こえてきた」とうそをついた。
言ってる意味が分からないんだけど。
そのピアノはあの日小板橋教授の研究室にあったものと全く同じになるように調律をしてもらいました。
(ピアノの音)あなたは言いましたよね?「教授が最後に奏でたメロディーにおかしなところはなかった」と。
「単調なピアノの音だった」と。
そんなはずはないんです。
教授のピアノは現代の音階とは違うピタゴラス音律を再現したものだったんですから。
ピタゴラス音律…?もちろんあなたなら知っていますよね?ピタゴラス音律は私たちが現在聞いているドレミの音とは違う。
少しずれがあるんです。
教授はこの音律に関する講義をする予定でした。
「グレゴリオ聖歌」など中世ヨーロッパでは現代の音階ではないピタゴラス音律で演奏されていたと。
だから特殊なピアノを新調したんです。
その可能性に思い当たって私は実際確かめました。
(ピアノの音)教授の新しいピアノはピタゴラス音律で調整されていました。
普通のドレミとは確かにずれがある。
だから本当に教授の部屋にあるピアノでダイイング・メロディーが奏でられたとしたらあなたがそのずれに気付かないはずがないんです。
それはさっきあなた自身がリハーサルを中止した事で証明しました。
教授が死の間際にピアノを弾いていたというのは全てあなたの作り話だったんです。
私たちにダイイング・メロディーだと聞こえるピアノを弾いたのは彩葉さんあなただったんです。
どうなんですか?フフッ。
刑事さんもいるしもう逃げられないか。
子どもの頃今みたいに数字でメロディーを考えるのが好きだったの。
その日の日付で短い曲を作ったり。
あの日…小板橋に呼び出されたわ。
回想
(彩葉)どういう事ですか?君が光大の教授に引き抜かれる話があったんだろ?それは白紙にしてもらった。
どうしてあなたがそんな事…!君には分不相応な話だと思ったからさ。
この世界での僕の力は知ってるだろう。
(彩葉)小板橋は私が数学者として成功する事をよしとしてなかったわ。
君にはまだまだ力を借りたいと思ってるんだ。
(彩葉)こいつがいる限り私に未来はない。
そう思ったら勝手に体が…。
ああ!
(彩葉)逃げようとしたけどあなたが来るのが見えた。
(彩葉)子どもの頃のお遊びのおかげね。
偽のダイイング・メロディーを流す事を思いついたの。
三条が教授とうまくいっていない事は知っていたから彼になすりつければいいって。
文也…238の3乗で13481272。
ドレミに直すとドミファドドレシレ。
(彩葉)あなたに解いてもらおうと思った。
そうすれば捜査をかく乱する事ができるかもしれないって。
警察はどうせ私を疑うに決まってる。
だったらあなたが解いた方が説得力があるでしょう?ヒントを出したのは…。
私よ。
(彩葉)煮詰まってたみたいだからもっとシンプルだって教えたかったの。
しかし殺人は計画的なものではなく衝動的なものだったんでしょう?その時に自首していれば…。
それに…研究の道を妨害されたからといって人を殺していい理由にはならない。
あなたに何が分かるの!?小板橋はねピタゴラスだったのよ!ピタゴラスは弟子の偉大な発見も全て自分の手柄にした最低の男よ。
小板橋も同じ。
5年前私が助手をやってる時私の論文を盗用して…。
ねえあなたになら分かるでしょう?自分が苦しんで書き上げた論文は研究者にとって血肉を分けた子どものような存在。
それを勝手に奪っていくなんて…許せる訳がない。
編集者の三条も同罪よ。
小板橋の行為を知っていたのに見て見ぬふりをした。
三条もあなたが…。
ピタゴラスは弟子を殺した。
自分の研究に反する発見をした弟子を…。
だから私は…殺される前に…殺した。
あいつらが生きている限り私の数学者としての明日は…なかったから。
最後に一曲弾いてもいい?ピタゴラス音律か…。
ずれた音。
今の私にはちょうどいいかも。
回想これを出したのは君なんだろ?言っておくけどな今回も君の論文を使おうと言いだしたのは小板橋教授だ。
また逃げるんですね。
えい!おっ…。

(彩葉)先生これは私の…!だから何だと言うんだ?え?これからも数学の研究者として生きていきたいなら私には逆らわない事だ。

(拍手)
(刑事)では行きましょう。
ムジカ・ムンダーナ。
ピタゴラスの時代宇宙の秩序を調律する音楽は人の耳には聞こえないとされていました。
それがムジカ・ムンダーナです。
彼女は聴いてはいけない音楽を聴いてしまったのかもしれません。
おい!解決したからって調子乗んなよ。
俺の力ではありませんので。
誰の力だっていうんだ?俺もまだよく分かってない人物です。
何だか捕らえどころがなくて。
ああ?何だそれ?もういい。
行くぞ。
はい。
2014/07/15(火) 01:25〜02:15
NHK総合1・神戸
ドラマ10 ハードナッツ!(3)「ダイイング・メロディーの哀しき解法」[解][字][再]

殺人死体を発見したくるみは、その教授が死の直前にピアノで弾いたメロディーを准教授・堤彩葉(中越典子)が再現するのを聞き、犯人の名前が隠されていることに気づく…。

詳細情報
番組内容
京南大の小板橋教授(斉木しげる)を訪ねた難波くるみ(橋本愛)は、ピアノにもたれた小板橋の撲殺死体を発見する。音楽を数学的アプローチで研究する小板橋は、死の直前にあるメロディーを残していた。事件を担当する刑事の伴田(高良健吾)から情報を得ようと付きまとうくるみは、小板橋の隣の研究室にいた准教授・堤彩葉(中越典子)が再現したメロディーを解析し、その中に犯人の名前のヒントが隠されていることに気づく…。
出演者
【出演】橋本愛,高良健吾,勝村政信,矢島健一,波岡一喜,中越典子,斉木しげる
原作・脚本
【作】山浦雅大
音楽
【音楽】和田貴史,橘麻美

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
日本語(解説)
サンプリングレート : 48kHz

OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:13492(0x34B4)