地球ドラマチック「生きた化石 カブトガニ〜知られざる太古の力〜」 2014.06.30

海底を突き進む不思議な生き物。
何億年も前から地球上に生息する生きた化石です。
その名はカブトガニ。
日本では数が減少し天然記念物に指定されていますがアメリカ東海岸には数多く生息しています。
カブトガニは生き残るためにさまざまな危険をくぐり抜けなくてはなりません。
荒れる海。
私たち人間。
何億年もの間生き延びてきたカブトガニの驚くべき秘密に迫ります。
1億5,000万年前。
恐竜が陸を支配し海にも巨大な生物が泳いでいた時代。
カブトガニは既に海底を歩き回っていました。
6,500万年前。
小惑星の衝突によって地球上の生物のおよそ80%が絶滅しましたがカブトガニは生き残りました。
私たちはかつて恐竜が目にしていたのと同じ生物を見ているんです。
奇妙で不気味にも思えるカブトガニですが多くの人々を惹きつけてやみません。
先史時代を彷彿とさせる姿でかっこいいと思います。
それぞれのカブトガニに個性があります。
カブトガニの姿はまるで空飛ぶ円盤のようです。
ヘルメット型の甲羅の下には先がハサミ状になった足が12本あります。
そのうち10本は歩くために使われますが一番前の一対は食料を取って口に運ぶ役割を果たしています。
カブトガニは獲物を荒々しく取る事はせず死んだ魚やゴカイ海藻などを食べています。
年に1回の繁殖期が近づくとメスはできるだけ多く食べるようになります。
浜辺にたどりつくまでに体内で数万個の卵をつくり出さなくてはならないからです。
カブトガニの大きな特徴は血液が青い事です。
青い血液の生き物なんて他に見た事がありません。
面白いでしょ?人間の血液には酸素を運ぶ鉄分が多く含まれその鉄が血液を赤くしています。
ところがカブトガニの血液は鉄の代わりに銅が含まれているため色が青くなるのです。
ごめんねちょっと我慢して。
カブトガニの研究者カーメラ・クオモが学生たちに青い血液の重要性を教えています。
瓶の中に入っているのはカブトガニの青い血液です。
これを利用して薬品が細菌などに汚染されていないかテストします。
おかげで薬の安全性が高まります。
秘密はカブトガニの血液に豊富に含まれている「LAL」という成分にあります。
LALは有害な細菌が1つでも存在すると反応し凝固します。
LALを使えば薬や医療器具の安全性がチェックできます。
私たちが服用している錠剤の多くはLALでテストされています。
大きな恩恵を受けているんです。
これほど貴重な生き物なのにカブトガニをたたえる像は建てられていません。
私たち人類はカブトガニから大きな恩恵を受けています。
青い血液は世界中の人にとって貴重なものなんです。
ケガの治療のため私の足首にはプレートやネジが入っています。
そういった医療器具や薬の安全性はカブトガニのおかげで高められているんです。
本当にすばらしい生物なのに多くの人はカブトガニについてほとんど何も知りません。
若い学生たちが初めて知るカブトガニの生態。
大昔からほとんど変わらないタイムカプセルのような生物です。
春。
繁殖の時期が近づくとカブトガニは浜を目指します。
産卵が行われるのは満月の夜。
目や尾にある光センサーで昼と夜を区別します。
年に一度の大切な儀式のため数多くのカブトガニが浜辺に集まってきます。
先に到着したオスがメスの到着を待ち構えています。
こうした光景は恐竜が現れる前から繰り広げられてきました。
4億5,000万年前。
カブトガニは既に海底に生息していました。
近い種である三葉虫も同じです。
三葉虫やカブトガニはこの時代の海で繁栄を謳歌していました。
化石によって当時の様子を知る事ができます。
三葉虫の化石にはしばしば奇妙にねじ曲がったものが見られます。
古生物学者がその謎の解明に取り組んでいます。
三葉虫は大昔に絶滅しているので研究を進めるにはよく似た生物が必要です。
そこで役立つのが今生きている中では三葉虫に最も近い生物であるカブトガニです。
三葉虫はカブトガニと同じく成長に合わせて脱皮をします。
脱皮したてで甲羅が軟らかい時期はどうやって身を守ったのでしょうか?
(イワサキ)三葉虫は身を守るため砂の中に隠れていたと考えられます。
身をくねらせて砂の中に潜り甲羅が軟らかい時期をやり過ごしていたのです。
(イワサキ)脱皮してすぐの時期は「丸ごと食べて下さい」と言っているようなものですから地中に隠れるしかありません。
三葉虫が絶滅したのはおよそ2億5,000万年前の事です。
この時代に起きたのは地球の歴史上最大と言われる大量絶滅でした。
大陸は移動し大気が変化し三葉虫を含む海洋生物の95%が絶滅しました。
それでもカブトガニは生き残りました。
カブトガニははるか昔恐竜が生きていた時代既に海に生息していました。
カブトガニには地球の歩んだ長い歴史が刻み込まれているんです。
2億年前。
恐竜や翼竜が栄えたジュラ紀と呼ばれる時代が始まりました。
海では首長竜のプレシオサウルスが獲物の魚を求めて泳ぎ回っています。
カブトガニを狙っていますがうまくしとめられないようです。
イクチオサウルスはイルカに似た水生爬虫類です。
大きな目で視界の悪い海の中でも獲物を見つけます。
しかし太古の海は危険な場所で獲物を狙う者が獲物にされる事もありました。
リオプレウロドンは体長25mの巨大な首長竜。
その体格に見合う食欲の持ち主です。
イクチオサウルスは岩場を避難所にしていました。
カブトガニも同じです。
太古の海では熾烈な生存競争が繰り広げられていました。
そして6,500万年前。
またもや大量絶滅が起きました。
小惑星が地球に激突し壊滅的な被害をもたらしたのです。
地球上の生物のおよそ80%が絶滅し恐竜の時代は終わりを迎えました。
それでもカブトガニは生き残りました。
カブトガニとは一体何者なのでしょうか?実はカブトガニはカニではありません。
サソリやクモに近い生き物なのです。
(クオモ)クモは全然好きじゃないのにカブトガニは好きなんて考えてみればおかしな話ですよね。
甲羅の下をのぞくと確かにクモに似た生き物だという事が分かります。
カブトガニの大きな魅力はとにかく形がユニークだという事です。
前の部分は「前体」と呼ばれます。
後ろは「後体」。
「尾剣」という尾があります。
カブトガニは何億年にもわたって環境の変化に適応し見た目も内部の構造も独特なものに進化しました。
赤い背骨のように見える部分がカブトガニの心臓です。
心臓は1分間に32回動きます。
人間のおよそ半分です。
8つの方向に血液が流れるようになっていてエラや足その他の主要な器官に青い血液が送り出されます。
単純な消化器官と歯車のような形の脳があります。
足で匂いを嗅ぎ分ける事もできます。
目も優れた機能を備えています。
(クオモ)目は全部で5つあります。
見た目には分かりにくいですがここに一対の側眼があります。
すぐ後ろには退化した側眼もあります。
カブトガニの側眼は昆虫と同じく複眼で数百の個眼が集まったものです。
それぞれの個眼に映った画像はそのまま脳に送られます。
オスは目で見て繁殖の相手を選びます。
正中眼と呼ばれるもう一対の目は太陽や月の光を捉えます。
前方にある正中眼は光を感じ取るためのものです。
裏返すとおなかにももう一つ目があります。
おなかの目は体がひっくり返っても自分の位置を把握できるようになっています。
また尾でも光を感知する事ができます。
甲羅で覆われているため動きにくそうですが実はとても柔軟な動きができます。
体の構造は非常に複雑です。
750の筋肉を駆使して歩きエラを動かしさまざまな動きをします。
潮の流れが速くても体が流されたりひっくり返されたりしないようにしなくてはなりません。
そのために役立つのが尾です。
「尾剣」と呼ばれる尾を武器だと思っている人がたくさんいます。
尾剣は武器ではありません。
テコに使う棒のような役目を果たします。
尾剣はあおむけになった体を元に戻すのに使います。
鋭くとがって攻撃的に見えますが武器ではありません。
小型の海洋生物の多くは潮の流れによって流されてしまいますがカブトガニは違います。
尾剣を海底に突き刺し体が流されないように固定するのです。
カブトガニの硬い甲羅は身を守るのに役立ちます。
サメのような大型動物が近づいてきた時には身を隠します。
うまくやり過ごしました。
海底を移動しながら食料を探します。
これが口です。
前にある小さなハサミで食料を口に押し込みます。
食べる時に使う小さなハサミはクモとサソリそしてカブトガニだけにあるもので3つの生き物が近い仲間である事を示しています。
カブトガニの体の構造で特にユニークなのは食べ物が口に入ると脳を通り抜けて胃や腸に運ばれる事です。
カブトガニの性別は足で見分ける事ができます。
ポイントは前にある一対の足です。
これが残りの足と全く同じ形ならメスです。
ボクシングのグローブのような形ならオス。
繁殖の時メスに抱きつくためです。
繁殖期にはメスの体内は数万個の卵でいっぱいになります。
産卵までに膨大な数の卵がメスの体内でつくり出されます。
カブトガニの足には匂いを嗅ぎ分ける能力が備わっています。
人間では考えられない能力です。
エラも特徴的で魚や他の海洋生物とはだいぶ違います。
カブトガニのエラは「書鰓」と呼ばれています。
今ちょうど動かしてくれています。
本のページが並んだようなエラでカブトガニはそれを持ち上げたり下ろしたりして呼吸するんです。
陸上でもエラさえぬれていれば何日も生きる事ができます。
カブトガニの外見は極めて独特なものですがおなかを見るとクモによく似ている事が分かります。
明らかにカニとは違います。
春は繁殖の季節です。
カブトガニははるか昔からある合図に反応するようになっています。
満月の夜満潮になると多くのカブトガニが浜辺に集まります。
つがいの相手を見つけるためです。
アメリカ東海岸に生息するカブトガニはオスの方が数が多く1匹のメスに対して5〜6匹のオスが群がります。
待ち構えていたオスはメスに飛びかかり前足でメスの体を捕まえます。
メスの体はオスよりもずっと大きく力があるので後ろにオスがしがみついても楽々と移動する事ができます。
メスはより優れたオスを見極めようとします。
うまく相手を見つけるオスもいればふられるオスもいます。
メスは少しでも優れたオスを選ぼうとしますが次から次へとオスが押し寄せてくるため抵抗しきれなくなります。
つがいの相手を見つけたオスはメスをしっかりとつかみくっついたまま何日間も過ごします。
相手を見つけられないオスはカップルの後について回りあわよくばメスを奪おうとします。
カップルのオスは尾剣を振って邪魔者を牽制します。
2匹が重なった状態でひっくり返ってしまう事もあります。
オスは一度捕まえたメスにしがみつき離れようとしないためなかなか起き上がれません。
オスが離れたためメスは尾剣を使って起き上がる事ができました。
メスはオスを引きずりながら産卵のため浜辺に向かいます。
浅瀬に着くとメスは産卵のための穴を掘ります。
そしてエラの下にある穴から卵を産み落とします。
エラであおって水流を起こし卵をくぼみの中に広げます。
続いてオスが精子を出します。
メスの作り出す水流によって精子は卵の上に降りかかります。
産み出されたばかりの卵を狙う魚から卵を守るのは簡単ではありません。
相手を見つけられなかったオスはカップルの卵に自分の精子をかけ受精させるチャンスを狙います。
産卵期のメス1匹にオスが10匹から15匹群がる事もあります。
皆同じ卵に精子をかけて受精させようと狙っているんです。
繁殖期は年に一度春だけです。
産卵が終わるとカブトガニは海へと帰っていきます。
産み落とされた卵には多くの危険が待ち受けています。
カブトガニの卵は砂粒とほぼ同じ大きさです。
数多くの卵のうち無事に孵るのはほんの一握りです。
繁殖の儀式はジュラ紀にも同じように行われていて卵を狙う敵もそのころからいました。
ランフォリンクスという翼竜が群がってきました。
卵を掘り返して食べようとしています。
現在カブトガニの卵の敵は鳥です。
カブトガニは鳥類が地球上に出現するよりもずっと前から浜辺で産卵してきました。
その間に恐竜や翼竜が出現し滅んでいきました。
カブトガニは地球の長い歴史の中で他のさまざまな生物と関わりを持ってきたんです。
カブトガニは鳥類が現れる何億年も前から地球上に存在していました。
南米からの渡り鳥は繁殖のため北へ向かう途中アメリカ東部のデラウェア湾に立ち寄ります。
カブトガニの卵が大量にあるからです。
卵には脂肪分が多く含まれています。
痩せ細っていた渡り鳥もここで2週間ほど過ごせばまるまると太って旅を続けるエネルギーを蓄えられます。
2〜3週間後渡り鳥は北を目指す長い旅に出ます。
浜辺に静寂が戻りました。
食べられる事を免れた卵は育つ事ができるでしょう。
カブトガニはさまざまな危険を乗り越え何億年も生き延びてきました。
しかし近年新たな災難が降りかかるようになりました。
新参者の生物人間による捕獲です。
数百匹のカブトガニが海で捕獲され連れ去られました。
一体何が行われるのでしょうか?毎年50万匹のカブトガニが研究室で青い血液を採取されています。
(マカラック)製薬業界では薬品のテストのために毎日カブトガニの血液を利用しています。
汚染物質を見つけ出す検査に使われ薬の利用者を守ってくれているんです。
私たちの多くはさまざまな薬を服用しています。
効果も大切ですが安全性の確保も欠かせません。
鉄の代わりに銅が含まれる青い血液。
細菌だらけの古代の海に耐えられるよう進化した血液には驚くべき特徴が秘められています。
カブトガニの血球は細菌に触れると固まり細菌の侵入を防ぎます。
素早く固まるので1時間以内に細菌の存在を確認する事ができます。
(マカラック)細菌の存在を確認できるので医薬品などが汚染されていないか検査するのに活用されています。
そのアイデア自体もすばらしいものですが更にすばらしいのはカブトガニを殺さずにすむ事です。
抜き取る血液の量はカブトガニの全血液のおよそ30%。
カレン・マカラックはカブトガニを活用した医療活動を指導しています。
(マカラック)カブトガニの背中にはくぼんだ部分がありそのくぼみに心臓があります。
血液を抜く時にはカブトガニの体を折り畳むようにしてくぼみを露出させ心臓に直接針を刺します。
容器がどんどん満たされていき抜き取るのをやめると血の塊が出来て出血は止まります。
採取する血液は全体の30%に抑えられていますがそれだけの血液が体内で再生されるまでには何か月もかかります。
血液はさまざまな成分に分離され血球からLALが作られます。
LALを加えた蒸留水で薬や医療機器など無菌状態を求められるもののサンプルを洗浄します。
その際細菌が混じっていればLALが反応し汚染されている事が分かります。
カブトガニの血液が医療の分野で人間を守ってくれているなんてすごい事だと思います。
人間から家畜に至るまで医療に頼っている者はカブトガニの恩恵を受けているんです。
カブトガニの血液は巨大なビジネスになっています。
1足らずの血液が1万5,000ドルおよそ150万円で売買され試験薬LALの産業規模はおよそ1億5,000万ドル150億円以上に上っています。
LALは宇宙科学の分野でも利用されています。
NASAアメリカ航空宇宙局の科学者や技術者が宇宙で使われる器具が汚染されていないかを調べているのです。
宇宙飛行士は細菌を検知するポータブル装置を持っています。
結果は15分で分かります。
血液を採取されたカブトガニは消耗した状態でもともといた浜辺に戻されます。
死なないよう注意して扱われてはいますが血液の採取に関してはさまざまな意見があります。
人間が赤十字に行って献血をするのと同じ事です。
そんなに深刻な話ではありません。
しかし実際にはカブトガニの死亡率は15%に上り毎年何万匹も犠牲になっています。
(マカラック)命を落とすカブトガニがいるのは事実です。
でもその血液が医療業界にもたらしている恩恵医薬品と患者の安全を守れるメリットを考えたら小さな代償だと思います。
元の生息場所に戻っても失った血液が再生されるまでの数か月間カブトガニの活動は鈍くなります。
あんな奇妙な姿をした生物が貴重な青い血液を持っているなんて不思議な話です。
世界中の患者さんにとっては青というより黄金の血液です。
それくらい私たち人間を助けてくれているんです。
人間は常にカブトガニの血液によって守られているんです。
カブトガニはできる限りの方法で人間を助けてくれています。
他の海洋生物も助けています。
日頃ほとんど目にしないものの医学的に大きな価値があるカブトガニの事を学生たちによく理解してほしいと思います。
ジョン・タナクレディは人命を救う薬がしばしばカブトガニを含む動物から発見される事を知っています。
私の息子は7歳の時に白血病と診断されましたが回復して今も元気にしています。
それ以来私は動物の医学に対する貢献に興味を持つようになり研究のテーマにもしています。
(タナクレディ)カブトガニの捕獲について製薬会社などは問題にしていませんが懸念する声もあります。
タナクレディの研究によってカブトガニの捕獲の問題点が一つ改善されました。
以前は捕獲したカブトガニを研究所の近くの海で放していました。
もともとどこにいたかは無視されていたんです。
しかし元の生息地に帰さないと繁殖に悪影響を与える事が分かりました。
僕たちはタナクレディ先生の指導の下カブトガニが毎年同じ浜辺に戻ってくるかどうかを調べています。
ウミガメの調査と同じように発信機をつけたり遺伝的性質を調べたりしているんです。
カブトガニは毎年自分が生まれた浜辺に戻ってくる事が分かりました。
(ボイス)勝手に別の場所に放すと元の浜辺には戻れなくなってしまいます。
私の研究課題はカブトガニの遺伝的性質に関する事です。
特に母親から子供に受け継がれる性質に注目しています。
大きなストレスを受けるとカブトガニに重大な変化が起きる可能性があります。
それを遺伝学に基づいて調べているんです。
カブトガニの生態を科学的に研究し保護活動に結び付ける動きが活発になっています。
産卵を終えたカブトガニが海に戻ってからおよそ2週間。
鳥に食べられずにすんだ卵に変化が起きていました。
満潮時海岸線が海水に覆われるとカブトガニの赤ちゃんが卵から出てきました。
卵から孵ってから6日間赤ちゃんは浅瀬で活発に泳ぎ回ります。
大昔の三葉虫と同じようにカブトガニも脱皮を繰り返します。
最初の脱皮をすると大人のカブトガニの姿に近づき海底を歩き回るようになります。
脱皮の直後はまだ甲羅が軟らかく身を守る事ができないためカブトガニにとっては危険な時期です。
大人のカブトガニになるまでにおよそ10年かかりその間に十数回脱皮を繰り返します。
脱皮の度に複眼を構成する個眼も完全に再生されます。
他の海洋生物には見られない事です。
全ての赤ちゃんが大人になれるわけではありません。
浜辺で鳥に食べられずに済んでも魚や亀に食べられたり人間に捕まったりする危険性があります。
ある研究によれば最初の1年を生き延びるカブトガニは0.003%。
10万匹のうちたった3匹です。
無事に試練を乗り越えれば20年以上生きると見られています。
しかしほとんどが幼い頃に食べられてしまう上に繁殖できるようになるまでに10年ほどかかるためカブトガニの数は減っています。
科学者たちはさまざまな対策を練っています。
カブトガニの人工孵化を始めているところです。
カブトガニの赤ちゃんを毎年1万匹環境の良い海に放す事が目標です。
産卵場所から卵の一部を採取し研究室で育てます。
鳥や魚に食べられる事なく無事に成長させる事ができます。
卵から孵ると注意深く管理した環境で育てます。
1年たって体の幅が5cmほどになると生き残る可能性が高くなるため自然に帰されます。
最終的な目標は人工繁殖させる事です。
既に何匹かは成功し多くの卵が産み落とされました。
研究室での繁殖は何億年にもわたって行われてきた自然の営みとは大きな違いがあります。
しかし科学者たちの試行錯誤によって少しずつ成果を上げています。
研究室では多くの赤ちゃんが元気に動き回っています。
カブトガニの赤ちゃんは最高にかわいいですよ。
カブトガニの赤ちゃんはこの世で一番かわいい生き物だと思います。
カブトガニを救う事は私たち人類を救う事でもあるのです。
生息環境を守らなければカブトガニが絶滅する可能性は高いと思います。
何十年にもわたってカブトガニは医療の分野で人間を守ってきてくれました。
ですから私たち人間もカブトガニを守るべきです。
これからもずっと生き続けてほしいと思います。
(クオモ)カブトガニの血液と同じものを人工的に作り出す試みはいまだに成功していません。
カブトガニが掛けがえのない存在である事を多くの人に知ってもらいたいと思います。
カブトガニと持ちつ持たれつの関係を築くべきです。
(タナクレディ)私が心の底から願っているのはカブトガニが世界遺産のようなものに認定され十分に保護される事です。
人間のさまざまな思惑など知る事もなくカブトガニは今日も海の底で食料を探しています。
現在の海は祖先が生きていた海とは大きく違っています。
時にはやっかいな隣人に捕まり血を採取されてしまう事もあります。
カブトガニは地球の長い歴史と共に生きてきました。
祖先は恐竜の誕生と絶滅も目撃しました。
私たち人類もいつの日か恐竜と同じように絶滅するかもしれません。
その時もカブトガニは生き残り未来の生物の足元で動き回っているのでしょうか?2014/06/30(月) 00:00〜00:45
NHKEテレ1大阪
地球ドラマチック「生きた化石 カブトガニ〜知られざる太古の力〜」[二][字][再]

何億年も生き抜いてきたカブトガニ。5つの目、匂いをかぎ分ける脚…敵から身を守る術と抜群の適応力を持つ!その血液は薬に利用され、人間の命を守ってくれている!

詳細情報
番組内容
日本では数が減少し天然記念物に指定されるカブトガニ。アメリカ東海岸には数多く生息する。クモに近い生き物で、甲羅の下には12本の脚がある。750の筋肉を駆使して柔軟な動きが可能。長い尾を海底に突き刺し、流されないよう耐える。またカブトガニの「青い血」は細菌を検出すると固まる性質を持つため、医薬品の安全をチェックするのに欠かせない。“生きた化石”カブトガニの驚きの能力を紹介する。(2012年ドイツ)
出演者
【語り】渡辺徹

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz
2/0モード(ステレオ)
英語
サンプリングレート : 48kHz

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