(テーマ音楽)あ〜暑い暑い暑い。
あ〜暑い暑い暑い暑い。
はぁ…この時期の水やり大変ですよね。
あ〜暑い。
今日はね奥さんが出かけちゃってるので家のことねいろいろやんなきゃいけないんですよ。
あら〜慌てて出て行っちゃったんですかねぇ。
随分とこれ散らかっちゃってますねこれ。
どうしたの…?それにしてもこれ何だか麦わら帽子多くない?僕なんてこれたった一つしか持ってませんよ。
草刈さん。
うん?夏のおしゃれに麦わら帽子は欠かせませんよね。
この夏いろいろなデザインが街を彩っている…日ざしを防ぎ風を通すという機能性から夏の定番アイテムです。
ゴッホもセザンヌも自画像で描いた農作業用の麦わら帽子。
ヨーロッパで中世から広くかぶられていたといいます。
こちら紳士向けに広まった…中南米の農夫がかぶっていたものが起源とされます。
カンカン帽は18世紀末イギリス軍人の制服として作られたと言われています。
日本でも雨や雪日ざしを防ぐためにかぶられた菅笠がありましたがいわゆる麦わら帽子とは西洋から伝わったもの。
日本では明治5年ごろ横浜で外国人がかぶっていたものをまねて作られ始めました。
今では麦に限らず麻パナマ草やしの葉などで編んだ帽子を総称してストローハット麦わら帽子と呼びます。
麦わら帽子の作り方は大きく2つに分かれます。
麦をひも状に編んだ「真田」という材料を渦巻き状に縫い合わせる方法とあらかじめ全体を編んだ「帽体」という材料から立体的に形を整える方法です。
作り方にも違いがあるんですね。
帽子好きで知られる女優の萬田久子さん。
常にいくつか持ち歩き夏は麦わら帽子が手放せないそうです。
「格好いい」というのに憧れを持って生きてきたのでよくかぶってるのはマニッシュ系ですね。
やっぱりねすごく大好きな帽子っていうか気の合う帽子と出合った時はすごくうれしい。
うん。
個性的なデザインも増え自己表現のアイテムとなっている帽子。
手技が生み出す麦わら帽子の美しさ。
更にとっておきのおしゃれなかぶり方も紹介します。
へえ素材がそんなにいろいろあるとは知らなかったなぁ。
形も本当にいろいろあるんですねぇ。
いや〜それにしてもこれ懐かしいなぁ。
おじいちゃんがよくかぶってたカンカン帽ですよこれ。
わあ〜ハハッ。
確かカンカン帽って大正時代に流行したんですよね。
そうそう。
昔の人はみんな帽子をかぶってて格好いいなって憧れたなぁ。
最初の見せどころはつば。
年代物の麦わら帽子を収集している山本ゆきこさん。
こちらは1960年代に作られた有名ブランドの麦わら帽子。
山の部分とつばの部分の素材を変えて上品で華やかな雰囲気を出しています。
そして1950年代の山の部分が無い珍しい帽子。
ストローなんですけれども非常に織り方が繊細な今では作れる人がまずいないであろうと思われるような材質を使っています。
美しい編み方には芸術さえ感じます。
広いつばは魅惑のステージなのです。
今日一つ目の壺…かつては日本屈指の麦の産地で今も麦わら帽子作りが続く岡山県。
伝統の技を伝えるため資料館で麦わら帽子の材料となる真田作りを教えている山本敏夫さんです。
この農家の家の中でこの麦かんが真田が簡単に編めてそしてまあ小遣いが取れるというので非常に盛んであったわけです。
麦をひも状に編んだ「麦かん真田」。
現在はほぼ輸入で賄われ作れる人は少なくなってしまったそうです。
この一番穂が付いとる元のここの節の所までが先の節ですから先節。
それから次の節が二節。
で主に使うのは二節を割って使うのがまあこの辺では普通だったんです。
このように筒状の二節を2つに割り加工しやすいように整えます。
それで真田を編んでいきます。
こちらは「四菱」と呼ばれる編み方。
2本の麦わらを半分に折り4本で編んでいきます。
菱形が連続して現れました。
リズミカルで幾何学的な美しさ。
これを綿々50メートル以上つなぎようやく一つの帽子が出来上がるのです。
真田にはさまざまな編み方があります。
左右非対称の凝った編み方。
変わったアクセントですね。
こちらはほとんど神業。
幾重にも編み込んで重厚な雰囲気です。
さまざまな趣向が凝らされた真田で個性的な帽子が作られてきました。
岡山県笠岡市にある明治30年創業の工房です。
帽子職人の石田昌司さんは細い真田を縫い合わせた繊細な帽子作りに定評があります。
大体その3ミリぐらいというのが限界ですかね。
細くなるほど難易度が高くなるのでそこがちょっと難しいとこですけど。
それでは幅3.5ミリの細い真田を使った石田さんの技に注目してみましょう。
まずはつばの先が柔らかに下がった帽子。
渦巻き状に縫う時決め手となるのは左手の指の動き。
とてもリズミカルでスムーズですね。
更に縫い目にも指の技があります。
縫っているのは幅3.5ミリの真田をわずか1ミリほど重ねた部分です。
カーブに合わせてのりしろを1ミリの幅に保つため指先で微調整していきます。
数が本当に。
経験値を積むほどやっぱりうまくはなると思います。
手の感覚のみで作ったにもかかわらず木型にはめてみると細かく測りながら作ったかのようにピタリと合います。
指の技を駆使するとこんな形の帽子も生まれます。
今度は縫い目の近くに左手を添えつばの縁を巻き込むように縫っていきます。
縁の絶妙な丸みも繊細な手先から生み出されます。
完成した帽子。
こちらはつばが緩やかに下がっているので日ざしよけになり小顔に見える効果もあります。
縁が丸まっているほうはつばがくるりと上を向き顔がよく見え明るい雰囲気に。
美しい個性を支えたのは伝統の職人技でした。
へえ〜確かに帽子によってかぶる人の雰囲気が変わるよね。
これねおととし横浜でデートした時にね奥さんがかぶってたんですよ。
よく似合ってましたよ〜。
似合いすぎてね僕なんて「ハット」しちゃったんですよ。
あ〜言っちゃった。
…恥ずかしい。
「ハット」したんですか。
そうそう。
こだわりが隠されている場所があります。
たくさんの帽子を持っている萬田久子さんのこだわりは山の部分にありました。
帽子の高さ。
なのでその高さっていうのは人の顔の長さがあるように人それぞれ似合う高さってあるんですよ。
萬田さんはこの高さによって帽子を使い分けているそうです。
座っている時が多い時はこの低いほう。
食事とかじゃない時はちょっとこれぐらい高いのをかぶるんですけれどもやっぱりこれで食事をしてると何となく威圧感があると思うのでなのでやはりこの高さを割と大事にしていますね。
萬田さんが大切にする帽子の山の部分。
高さに加えて形にもこだわりがありそうです。
今日二つ目の壺…帽子の山の部分は作り手の自由な発想を形にする創造の場なんです。
自宅の工房で麦わら帽子を専門に作る本田依子さん。
人気スタイリストやおしゃれな雑貨を扱う店からも支持されています。
自分がかぶる帽子というのを考えているので……というのがいいです。
私の理想ですけど。
素朴ですが洗練された雰囲気がある絶妙なバランスの麦わら帽子。
本田さんが使う材料はあらかじめ全体を編んだ帽体。
これを木型に合わせて立体的な形を作っていきます。
ぬらして曲げやすくした帽体を木型に乗せ蒸気を当てて細部を整えます。
画びょうで固定し思い描く理想の形をしっかりと付けていきます。
完成したのはてっぺんのドーナツのようなへこみとつばのシャープなりりしさが調和した帽子です。
見てて同じような形なんですがとにかくかぶったらどれがいいかって自分でも分かると思うのでほんのちょっとの差というのを見つけてもらえるといいかなって思います。
太陽の光の下では奇をてらわない美しさこそ麦わら帽子の大きな魅力なのかもしれません。
ミュージシャンの帽子や舞台衣装も手がけている横山智和さん。
大胆な発想力や独特の個性が人気です。
無地だったり形だけで面白いなぁとか。
あんまりこうキャラクターだったりモチーフっぽいものよりは全体的な雰囲気でいいなぁとかそういうほうが好きかなと思って作ってます。
ちょっと変わった帽子を作る横山さん。
中でもデザイン性と機能性を見事に両立させた話題の作品がこちら。
一見シャープな形の山を持つ中折れ帽。
でもこれ実はうちわになるというのです。
夏使ったりしてうちわをあおぐようにこう「暑い暑い」ってやるようなしぐさでそのまま…スタイリッシュな山は持ち手だったんですね!野山へ出てふと暑くなったらこのとおり。
夏にぴったりのユニークな麦わら帽子です。
あ〜これは確か軽井沢に行った時だったかな。
あ…待て。
あれ?北海道だったかなこれ。
まだ思い出に浸ってますね。
え?そのお花が付いたのすてきですよ。
お花?あ〜これは一緒に舞台を見に行った時にかぶってましてね。
女優さんに間違われてね奥さんすごく喜んでたんですよ。
うわ〜ハハッ。
飾り一つで雰囲気が変わります。
ファッションの歴史にも通じた服飾評論家の大石尚さん。
世界中を回って年代物の貴重な帽子を集めています。
19世紀の後半からエドワーディアンの1912年までねその時代の非常に豪華で華やかな帽子がやはり最盛期だったと思います。
大きな羽根と果実を模した飾り。
これが当時流行の装飾でした。
片方の目が隠れるくらいに斜めにかぶるのがおしゃれだったそうです。
菅笠を連想させる形の帽子。
リボンと花があしらわれシャープで大人びた印象を演出しています。
東洋の影響を受けたエキゾチックな形のデザインです。
こちらは若い女性が昼間にかぶった定番の帽子。
飾りはパステルカラーで統一しつばにチュールを付けて顔を隠すことで魅惑的な雰囲気を醸し出します。
西洋の豊かな帽子文化ですね。
お金持ちとかそれから地位の高い方たちは帽子をかぶることによって自分の威厳みたいなものを示されたんじゃないかなと思います。
今日最後の壺は…萬田さんはどんなふうに帽子を飾るんでしょうか。
なのでお昼このままでかぶってたとしても…広尾にある帽子店。
こちらでは親子2代で帽子のデザインをしています。
父親の平田暁夫さんは日本の帽子デザイナーの先駆け。
パリの有名な帽子職人に学び洋服でいえばオートクチュールにあたる一点物の作品を発表してきました。
娘の石田欧子さんは日常的にかぶりやすいファッショナブルな帽子で人気を呼んでいます。
帽子の飾りを専門とする職人さんたちです。
作っているのはバラの花びら。
熱したコテで少しずつシルクを曲げ微妙な曲線を作っていきます。
花びらはおよそ40枚。
一枚一枚丁寧に組み合わせていきます。
このシンプルな帽子に花飾りを付けると印象がどのように変わるでしょうか。
例えばこういうピンクですと割とかわいらしい雰囲気だったりすごくノスタルジックなイメージになると思います。
非常にクラシックな花なんですけどそれがこの麦にすごく合ってると思います。
でまたちょっとこういう茎のような感じのものが見えてくるものだと形としてもちょっと珍しいですしでこういう濃い色を持ってくるというのはすごく個性的になると思います。
飾りをリボンに替えてみると今度はシックに。
リボンの色や太さによって帽子全体の安定感が決まります。
どういう位置に例えば花ですとかリボンが付くかというのは……というのを確かめます。
最後の微調整は机の上ではなく頭の上でなんですね。
完成した帽子。
透けた感じのある素材を巻いて涼しげに。
抑えた花の色で大人の女性らしい柔らかな雰囲気に仕上げました。
一方父親の平田暁夫さんが手がけてきた作品です。
白い大きな花のアクセント。
流線型の黒いフォルムとの対比が大胆な作品です。
こちらはつばの上下に咲き乱れるピンクの花。
そして全面を覆う美しいチュール。
帽子というのはですね私はいつも顔の額縁だと思ってます。
顔を多彩に演出する麦わら帽子。
この夏あなたも主役になってみてはいかがですか?女優といえば僕の大好きなオードリー・ヘップバーンも映画の中で帽子をすてきにかぶりこなしてますよねぇ。
草刈さんは帽子の似合う女性がお好きなんですね。
う〜ん確かにそうだねぇ。
うちの奥さんもこれだけたくさんの麦わら帽子が似合うんだからすごい。
それにしても麦わら帽子の魅力には…脱帽。
ハハッまた言っちゃった。
恥ずかしい。
2014/06/29(日) 23:00〜23:30
NHKEテレ1大阪
美の壺・選「麦わら帽子」[字]
身近なテーマを、美術鑑賞を3つのツボで指南する新感覚美術番組。今回は「麦わら帽子」。オシャレ麦わら帽子満載。貴重なアンティークコレクションも! 案内役:草刈正雄
詳細情報
番組内容
豪華ゲストは萬田久子さん。コレクションを見せて頂き、夏のオシャレには欠かせない麦わら帽子について伺います。「つば」の見事な編み目に隠された、帽子職人の技とは!?おしゃれの命・「山」のへこみに込められた繊細な造形美とは?!世界のアンティーク麦わら帽子コレクションの圧倒的な美とは?!一見カジュアルでシンプルに見えて、自由な発想によってファッションの主役にもなりうるその奥深い魅力に迫ります。
出演者
【ゲスト】萬田久子,ホナガヨウコ,【出演】草刈正雄,【語り】礒野佑子
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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