お祭り弁護士澤田吾朗の事件ファイル 2014.07.14

(冬木悟)374万…250円。
確かに…。
お預かりします。
じゃお預かりします。
(厚田勇二)失礼します。
このところ残業続きで眠くて…。
コーヒーでも買ってこいよ。
(厚田)すみませんじゃ。

(パトカーのサイレン)
(佐野刑事)行員証か…。
佐野さん。
おそらくこれが犯行に使われたものでしょう。
ああ。
これを至急調べてくれ。
(堀田刑事)はい。
(佐野)何?集金の途中で2人とも行方不明になってる!?なぜ昨日の時点で警察に届けが出されてなかったんですか!
(飛田克之)そそれは…。
飛田さん営業課長ならあんたが2人の直属の上司でしょう?はい捜査願が遅れましたことにつきましては…。
集金した金の総額は?
(飛田)はぁ。
2300万です。
(近藤信也)その金が目的の犯罪に巻き込まれたとなりますと2人の命に関わることですし1日だけ様子をみようと…。
銀行というのは体面ばかり考えすぎる。

(堀田)佐野さん!冬木さんの奥さんですね?
(冬木彩)はい。
これご主人のものですね?冬木悟を重要参考人として手配します。
澤田先生!先生本当にありがとうございました。
(澤田吾朗)相手方の婚約不履行はひどい話だけど結婚前に相手の正体がわかってよかったって思いましょう。
そしてこんなことは早く忘れて立ち直ってくださいね。
はいそうします。
がんばって幸せになってください。
ただいま戻りました。
(澤田恵)おかえり。
(テレビの声)「…ひとりで産むんだったら認知しない」
(神崎雅子)「それでも離婚したいの?」「はい。
もう主人にはうんざりなんです」ちょっと身勝手なんじゃないの?子どものこと考えてやれよな。
「子どもは欲しいでも夫はいらないって決心したのならまあそれもいいでしょう。
別れなさい」おおまた「別れなさい!」出ましたね〜。
もう一度よく考えろと諭すのが常識だと思うんだけどな。
なあ?
(神崎)女が一度見限ったら…もう一度も二度もないんです。
あっ所長これ生放送じゃなかったんだ。
ハハハ…。
所長。
婚約不履行の調停無事終わりました。
あそう。
ご苦労さん。
あんまり常識にとらわれ過ぎると事の本質を見誤ることがあるから気をつけるように。
はい。
規定の弁護料はいただいてくださいね。
慰謝料請求してもらうものはもらったんでしょう?微々たるものだよ。
彼女には早く立ち直ってもらわなきゃ…。
だから交通費等は実費でいいと言っておいたからよろしく。
またそういうことを…。
じゃ今日はこれで。
お疲れさま。
吾朗先生…吾朗ちゃん!能天気でいいね…。
(恵)能天気って何よ!やることはきちんと誠意をもってやってるでしょう。
能天気だから事務所つぶしてここに転がり込んだんでしょう。
あなただって優雅な弁護士夫人のつもりがかわいそうに生活のために働かされてさ。
働かされてるわけじゃありません。
あの人はお金にならないような仕事でもやる良心的な人だから事務所を維持できなくなっただけ。
お母さんみたいに大企業の顧問になったりテレビの人生相談で名前を売るようなことはさらさら考えてないの!それは要するに…弁護士として一流か三流かの違いじゃないのかな?自分の娘のお婿さんのことをそういうふうに言っちゃう?しかしこの季節になると仕事が手につかなくなるんだもんな。
なんかつける薬ないかな。
(雅子)ないねあいつには。

(祭りの囃子)
(菅野刑事)どうぞこちらへ。
昨日交通事故で救急病院に担ぎ込まれたそうです。
ではご主人かどうか確認お願いします。
主人です…。
冬木に…間違いありません。
そうですか。
ではこちらの遺留品も確認してください。
(菅野)どうですか?主人のものです…。
そうですか。
(ドアをノックする音)どうも。
今奥さんに冬木本人だと確認してもらいました。
そうですか…。
ではさきほどのお部屋でお待ちください。
(菅野)昨日事故があったのはここです。
目撃者によると車には2人の男が乗っていた。
しかし救急車が到着したとき男はひとりしかいなかった。
病院に担ぎ込まれたその男が所持していた名刺や行員証から死亡したのは冬木悟とみられた。
ということですよね?
(菅野)ええ。
じゃあなぜ…その男が冬木の行員証や名刺を所持していたかなぜそういう状況になったか…?佐野さん?あの遺体は冬木じゃありません。
何ですって!?けど冬木の奥さんが。
あの女…いったい何を考えているのか…。

(祭りの囃子)
(男たちの話し声)元気だよね先生も。
初めて会ったときはまだ若くて大学生のころだったろ。
大学の祭り同好会のころです。
長いですよねおみこし付き合い。
今じゃ妻に仕事もしないでってしかられて…。
うちも。
母ちゃんにはこの醍醐味がわかんないんだよな。
(笑い)おっとっとっと…。
大丈夫ですか?ちょっとお神酒持ってきてください。
貧血だと思うからこれ飲んでみて。
本当にご迷惑をおかけしました。
あまり無理しない方がいいです。
少し休んだらお送りします。
いえもう大丈夫ですから。
お近くですか?いえ…。
じゃお家の方に連絡しましょう。
あの…私秋田から出てきたんです。
秋田?はい。
それまた遠くから。
はあ…。
そうだ秋田と言えば西馬音内の盆踊りをご存じですか?あそこには珍しい祭りがあるんです。
その西馬音内が私の故郷です。
え本当ですか?あれは…黒い覆面で顔を隠して踊るんですよね。
いやぁ1回見てみたいんだよな。
このご町内の方ですか?せっかくのお祭りなのにご迷惑をかけてしまって…。
毎年みこしを担ぎに来てますけどここの町内の者じゃないんです。
日本全国お祭りがあるところへはどこでも駆けつけるというお祭り大好き人間でしてね。
そんなにお祭りがお好きなんですか?ええそりゃあもう。
じゃあ秋田からわざわざこの神社にいらしたんですか?はい。
いいえ…。
主人が…交通事故で亡くなったと連絡が入ってこちらの警察に呼ばれて秋田から来たんです。
大変じゃないですか…。
何か困ったことがあったら僕に相談してください。
こう見えても弁護士なんです。
弁護士さん…。
警察の管轄はどこですか?死んだのは…主人じゃありませんでした。
知らない人です。
でも…警察には主人だと言いました。
どうしてまたそんなことを…?…主人に会いたいんです。
主人を…捜すつもりでここに来たんです。
どうしてここに来たらご主人に会えると思ったんですか?これ主人が描いたんです。
主人はここに来たと思うんです。
あなたが会いたいのに会えない。
ご主人も住所も名前も書かないハガキを送ってくる。
いったいどういう事情なんでしょうね。
この神社は子どもを守ってくれる神さまだと聞いています。
主人は子煩悩な人ですからきっと娘の無事をお願いしに来たに違いないんです。
いいお父さんじゃないですか。
それじゃあ手がかり探してみましょうか。
いいえ。
そんなご迷惑は。
今着替えてきますから。
あの…どうしてそんなに親切にしてくださるんですか?あなたのご主人が何をしたのか僕は知りません。
けどこの神社に子どもの無事を祈りに来るような優しい父親じゃないですか。
それにそのハガキ家族への強い愛情を感じるんだな。
そしてまたあなたも必死になって夫を捜してる。
警察に嘘までついて。
きっといいご家族なんだろうなと思って…。
ああ…答えになったかな。
ご存じないですか?知らないね〜うちには泊まってないね。
そうですか…どうも。
お泊まりになっておりませんね。
そうですか。
ありがとうございました。
ああ…この方はお泊まりになっていました。
宿泊代金は先にいただいておりましたから何ですがチェックアウトもなさらずいなくなられて。
お連れの女性の方もそれっきりで。
女性の連れがいたんですか?はい。
あの…同じ部屋に?はいご一緒でした。
祭りの夜…あの人は帰ってくる…。
え?
(祭りの囃子)
(祭りの囃子)祭りの日踊り手たちは鳥追笠を被るか彦三頭巾と呼ばれる黒い頭巾で顔をすっぽりと隠します。

(祭りの囃子)対照的に黒嬬子の襟を付けた衣装は端縫い衣装と呼ばれる絹の色あでやかなもので衣装だけが宵やみの中にくっきりと浮かび上がるんです。
頭巾や鳥追笠を被った踊り手の表情や性別が消えただ魂だけがあでやかな衣を着て輪を作りゆるりゆるりと舞っていく。
その輪の中は冥界。
亡くなった人の魂が帰ってくるところ。
先祖の御霊の踊る場所と言われています。
だから生きている者は中へは入れない。
祭りの夜…あの人はきっと帰ってくる…。
きっと祭りの浴衣が似合うんだろうなぁあの人…。
ただいま!お帰り。
あっどうも。
お祭り男のご帰還だ。
もう出来上がってるんですか?これしきのビールでは酔いませんよ。
ご飯まだでしょ?うん。
お腹ペコペコ。
あーどうもどうも…ありがとう。
いただきます。
大学のお祭り同好会の人たち来た?それが今日はウィークデーの昼間だろ。
みんなサラリーマンだからさ…。
君もうちの事務所に勤務してるサラリーマン弁護士じゃないの?すみません…。
お義母さん一杯いってください。
お母さんお風呂にも入ったしビールも飲んだしそろそろ自分ちに帰ったら?意地悪だね。
せっかく吾朗くんも帰ってきたしゆっくり飲もうと。
まあこの気軽さは離婚した女の特権ですね。
いやあなたたちが仲良くやってくれれば文句はないのよ。
嘘ばっかり文句だらけじゃない。
(チャイムの音)お義母さん一杯。
それじゃまあ…。

(恵)はいどちらさまですか?
(菅野)「多摩南署菅野と言います。
澤田先生はご在宅でしょうか」はい。
あっどうも…昼間ご一緒だった女性の件でご協力をお願いに来ました。
えっ!?こういうもんですが…。
先生方は冬木が滞在していた入谷のビジネスホテルを訪ねてましたが冬木の奥さんはどうして旦那があそこにいたのを知ってたのか冬木とどう連絡をとってあそこにたどりついたのかを教えていただきたいと思いまして。
尾行されていたわけですね。
いやぁ気づかなかったな…。
冬木は同僚を殺害し銀行の金2300万円を持って逃亡している容疑者です。
捜査にご協力お願いします。
そういうことですか…。
冬木さんは私の依頼人というわけではありませんが相談にのった以上弁護士として知り得たことはお話できません。
守秘義務という形式的な意味でなく私の信条としてお答えできないと解釈していただきたい。
すみません。
仕事は半人前だけど男気があってなかなかいい奴じゃないの。
それってほめてるの?
(雅子)うん。
キャーッもう…。
キャーッ!!
(パトカーのサイレン)
(無線)「容疑者は年齢30歳前後女性。
身長160センチ前後」
(無線)「服装は白のカーディガンに花柄のスカート。
茶のバックを所持」
(無線)「市内潜伏のもよう。
発見しだい身柄を確保願います」私が行ったとき飛田課長はもう死んでいたんです。
じゃ飛田課長にどんな用があって部屋まで行ったと言うんだ!ご主人に何か頼まれて飛田さんのところへ出かけたのでは?冬木から連絡があった。
それで話がこじれて刺してしまった。
いいえ違います。
違います!・
(祭り囃子の音)今年も祭りが来るな…。
〔困ったことがあったら相談してください。
僕弁護士なんです〕東京の神崎法律事務所の澤田吾朗弁護士に連絡してください。

(祭りの囃子)冬木彩さんの依頼ですね。
わかりました。
すぐに伺います。
あの…仕事で秋田へ行きたいんで出張費の仮払いをお願いします。
なんでわざわざ秋田まで。
向こうにも弁護士はいるでしょう。
それは必要とされればどこへでも駆けつける。
そういう弁護士でありたいと思っているもんで。
立派な心がけですこと。
フフフッ…。
毎日連絡を入れること。
それとかかった費用の領収証は必ずもらうこと。
はい。
はい…あれ?気をつけてね。
とくに美人に。
…了解!よく私のことを思い出してくれましたね。
これから一緒にがんばりましょう。
それと…これは警察から何度も訊かれたことでしょうけどどういう理由で飛田営業課長を訪ねたのですか?私はあなたの無実を信じています。
だからあなたも私を信じてください。
入谷のビジネスホテルに冬木と泊まっていた女の人はおそらく長井智代という人です。
飛田課長に聞けば智代さんの居どころがわかるかもしれない。
そしたら冬木のことも聞ける。
そう思ったんです。
長井智代という人はいったい何者なんですか?智代さんは飛田課長の愛人だと聞いています。
なんでその人が冬木さんと一緒にいたんです?…今は言えません。
冬木彩さんあなたは本当に殺していませんね?本当にやっていません。
娘が待っています。
お願いします。
すみません。
ちょっといいですか?
(道子)死んだ人を悪く言うのはなんですけど飛田課長うさん臭いところあったのよね。
うさん臭いって?
(敬子)すごい遊び方するし持ち物なんか高級品ばっかり。
女性関係とかはどうだったのかな?長井さんのこと。
長井って長井智代さん?ええ。
深い付き合いだったのよあの2人。
長井さんがうちの銀行を辞めたあとにそうなったみたい。
長井智代さんは銀行に勤めていたんですか?お宅の?そうよ。
そうですか…。
ということは当然冬木係長とも面識があったってことですねよ?そうか…そういうつながりがあったか…。
で今彼女は?横手のクラブにいるって…。
長井智代さんの写真とかは?OL時代のなら私持ってます。
貸してください。
これ僕が。
凶器のナイフは見つかりました?今探してます。
胸をひと突きと言われましたね。
この場合犯人は返り血を浴びているはずなんですが彩さんの着衣はどうでしたか?何かで覆っていたんでしょう。
着衣にそんなものはついていなかったんですね?
(佐野)今回は犯行時刻が特定されているんですよ。
奥さんが飛田課長の部屋を飛び出して行ったのは犯行直後。
つまり死亡推定時刻には現場にいたことになります。
でもそれは犯行を犯したということにはなりません。
こんなことで拘束するのは不当です。
もう何回も話したじゃないの…。
そこをなんとかもう一度お願いします。
奥さんはあの日外から帰ってらっしゃった。
そしてエレベーターに乗って3階まで…。
エレベーターは使ってないの。
ダイエットしてるから階段を。
じゃ奥さんは階段を使って3階まで昇ってきたと。
いい運動になりますね。
そーなのよ!でも下からふーふー言って大変なのに上からはらくそうに降りてくるのよね。
ちょっと待ってください。
上から誰が降りてきたんですか?えっ?あっそうか。
あのとき誰かとすれ違ったわねそういえば…。
(主婦)その男の人黒いジャンパー着てて「この暑いのに…」て思って振り返ったのよ私。
このマンションの住人でしたか?ううん。
初めて見る顔だもの。
犯行可能な人物がもうひとりいたってことになりますよね?いちおうは釈放はするが…奥さんの容疑が完全に晴れたわけじゃないのでそのつもりで。
さっ行きましょう。
何してるの?
(冬木真由子)お絵かき。
お母さんもうすぐ帰ってくるからね。
(足音)ママーッ!ママーッ!真由子!どうもありがとうございました。
この度は先生にお力添えをいただいて本当にありがとうございます。
いえ。
あと長井智代さんのことが気になるので調べてみます。
そこまで先生にご迷惑はおかけできません。
本当にありがとうございました。
でもご主人のことがまだ…。
信じて待つしかありません。
冬木が帰ってくるのはこの家しかないんですから…。
私はここで待つつもりです。
…どうも。
ここまできて今さら引けないよな…。
よーし。
わっせわっせ…。
(ルミ)残念だったわね。
智代急に辞めちゃったのよ…。
そういえば飛田さんて殺されたんだよね。
長井さんと付き合ってたんでしょ?そうよ。
どうして智代があんな人と付き合ってたのか不思議よね。
(ママ)あら社長いらっしゃい。
(ルミ)あっ国松さんよ。
(ルミ)あの人が智代のパトロンだった人よ。
どこのどういう人?えーと丸富建業の社長さん。
えっ!じゃ何…彼女はあの社長とも飛田課長とも?そうよ。
2人ともこの店の常連でしかも仲良しなの。
智代よくやるわ…。
あっちょっとごめんなさいね。
(携帯電話の音)もしもし…どうもどうも。
でどうだった?
(恵)入谷で冬木と一緒にいたのはやっぱり長井智代さんだったわ。
ビジネスホテルの人が間違いないって。
そう…そうか。
ねえいつごろ帰れる?こっちの仕事もたまっててお母さんつの出してるよ。
ん?ああ…もう少しかな。
(恵)「あっ吾朗ちゃん鼻の下が伸びてる」フフフッ…バカァ!ジャンパーが発見されたって…。
目撃者の証言と一致しましたね。
付着していた血痕は被害者のものと一致した。
よかった…。
これで彩さんの容疑は完全に晴れましたね。
しかし逃亡している冬木の件はまだ未解決だ。
彼女はなんらかの形でこの事件に関与しているはずだからね。
ところで東京の事故で死んだ男の身元はわかったんですか?ああ…。
丸富建業という地元の会社の社員だった。
丸富建業…!?《事故で冬木の身代わりにされて死んだのは丸富建業の社員…》《彩さんはその男を冬木だと嘘をついた…なぜだ?》その丸富の社長が…長井智代のパトロンだって?待てよ…長井智代…冬木…そして飛田…。
事件の顔ぶれはすべて樺桜銀行の関係者だ。
それに絡むのが丸富建業か…。
《彩さんは何かを知っている。
いったい何を隠しているんだ》〔祭りの夜…あの人はきっと帰ってくる〕祭りか…。
とにかく長井智代と冬木を早速捜し出すことだ。

(雅子)建設を受注して竣工したとたんに相手が倒産したというケースですね。

(雅子)この場合の留置権つまり建物を占有する権利は…。
(恵)今日から3日間お祭りだ。
こりゃあ当分帰ってこないな。
(雅子)吾朗先生に仕事があるからすぐに戻るように連絡して!やばい…。
またどこかの祭りに引っかかってるの。
ごめんください。
澤田です。
真由子ちゃんこんにちは。
ママはいますか?ママはスーパーのパート。
そうお仕事へ行ったの。
うん。
そうか…。
よし。
じゃおじさんと一緒にお祭り行こうか!うん。
浴衣着てくる!《そうか今夜は冬木は来ないのか…》
(物が崩れる音)どうした真由子ちゃん?
(真由子)イッターイ…!ああ…大丈夫?どこか痛くした?大丈夫…。
向こうで着替えておいで。
あとやっとくから。
はい立って。
《これも冬木が送って来たんだ》《この牡丹の意味は…》
(祭りの囃子)
(祭りの囃子)うわぁ〜たまんねぇや!こりゃ!
(祭りの囃子)ああ…色っぽいな…。
ああ…ごめんごめん。
よいしょ!あっママだ!え!?ど…どこに?あそこ!牡丹の花だ!あれが夫婦の目印だったんだ!《冬木はこの祭りの中にいる》《あの牡丹の衣装を目印に彩さんと会おうとしている…》
(堀田)奥さん!ご主人は帰ってるんですね。
どこにいるんですか?知りません。
奥さんいつまでも逃げきれるものじゃない。
早くご主人をらくにしてあげたらどうです?彩さん!やっぱり彩さんだ。
あっどうもみなさん…。
捜しましたよ。
良かったね。
ようやくお母ちゃん見つかったね。
じゃあ帰りましょうか。
みなさん失礼します。
さっ行きましょう。
いやぁ良かった良かった。
ようやく見つかった。
智代さん…。
長井智代も帰ってるんだ…。
冬木さんに会ったんですね?いいえ。
…会えませんでした。
きっと私が尾行されていたから主人は…。
ねえ彩さん。
ご主人はなぜ危険を冒してまで帰ってこようとするんです?どうしてそんな思いしてまで逃亡を続けてるんですか?あの人は…。
あの人は私と真由子を守るためにそうしてるんです。
帰ってくることも逃げることも私と真由子のためなんです。
明日どうなるかもわからないけど私は冬木を信じています。
信じて…待ってます。
(真由子)ママぁ…。
ごめんね。
帰ろうね!
(チャイムの音)長井さん。
…長井さん!いらっしゃいませんか?先生も長井智代を見たようですね。
しかしここに立ち寄った形跡はまるでなかった。
…失礼します。
先生…知ってるんでしょ?冬木のかみさんは昨夜旦那に会ったんですか?さあね。
丸富建業が妙な動きをしている。
冬木を捜してるのかもしれん。
冬木さんを?飛田さんを殺した犯人は十中八九丸富建業の息がかかってる。
冬木のかみさんに早く警察に協力するよう言ってください。
しかし…丸富建業はなぜ飛田課長を殺し冬木さんを捜しているんですか?丸富建業は樺桜銀行と以前から不正融資疑惑がある。
不正融資疑惑?冬木さんが危ないってことは…じゃ丸富建業の不正融資疑惑と冬木さんの事件とのつながりを何かつかんだわけですね?さあ…交代の時間だ。
昨夜一睡もしてないんでね。
…じゃああと頼むよ。
そうか…不正融資不正融資…。
銀行と不動産会社の不正融資がらみの事件?いや危ないなぁ〜。
早く帰ってらっしゃい!あなたの仕事終わったんでしょ?お願いしますよ!そう言わずに教えてくださいよ!依頼人の命にかかわることなんです!う〜ん…その冬木って係長がどうかんでたのか知らないけど不正融資なんてものはね一人でできるもんじゃないのよ。
だからその殺された営業課長には行内にもう一人相棒がいるわね。
それが逃げている冬木ですか?
(雅子)「それは違うわね」「融資の場合銀行では必ず審査を通さなきゃならないでしょ?」だから融資に不可欠な担保を偽造した人間と不正融資と知りながら審査を通した人間がいるはずよ。
(雅子)「だから銀行内でそういう立場にいる人間で殺された課長の相棒になりそうな奴」それを割り出して動き張ってたら必ず不正融資先と冬木って男引っかかってくると思うわよ。
さすがお義母さん!助かりました!お言葉ですが不正融資疑惑など当行には存在しておりません。
とんでもない言いがかりです。
そうでしょうか?集金した金を持ち逃げした冬木さんを丸富建業の関係者が追ったという事実がすべてを如実に語っています。
営業係長の冬木さんはあるとき営業課長だった飛田さんが不正融資に絡んでることを知った…。
知られた側が冬木さんのことをそのままにしておくはずがない。
そこで…私ちょっと考えてみたんですがね。
今回のこの2300万の持ち逃げこれひょっとすると…冬木さんに仕掛けられた巧妙な罠じゃなかったのかなって…。
そう考えますとねなにもかもつじつまが合ってくるんですよ。
なんの根拠もない推測じゃありませんか。
バカバカしい…。
失礼します。
おたくの支店では融資をチェックして審査する担当の方はどなたですか?そんなことを部外者には…。
…亡くなった飛田課長でした。
そうですか。
…ということはやはり担保を偽造して不正融資を引き出していた仲間が銀行内にもう一人いるな。
いや参考になりました。
お邪魔いたしました。
もしもし?彩さん!どうしました?何かあったんですか?ちょっと真由子がいなくなって。
でも捜す手段はありますから!僕も一緒に捜します!そんなご迷惑かけられません!なに言ってんですか!放っておけないですよ!
(所長)お子さんに発信機を持たせていたのが役に立ちます。
大丈夫。
子どもさん見つかりますよ。
発信機ってなんですか?持たせていたってどういう…?最近いじめが増えてるでしょう。
だから親御さんが子どものお守りの中にチップを入れておいていじめの監視とその実体を把握するために使うんです。
チップはこれです。
どうしてこんな用心をされてたんです?冬木が失踪する前にも真由子が誘拐されたことがあって…。
それで主人がこちらにお願いしたんです。
誘拐!?
(所長)お守りに仕込んだ発信機の電波が弱いんでね受信機が電波をキャッチするまで走り回らなきゃいけないんです。
さっきの話ですけど…以前にも真由子ちゃんが誘拐されたってそれはひょっとして丸富建業の仕業じゃなかったんですか?冬木は私には何も…。
(受信機が反応する音)
(真由子の声)「ママどこ?ママはいつ来るの?」つかまえたっ!真由子っ!
(真由子)「ママいつ来るの?帰りたいよぉ」どっかの公園みたいですね?
(アナウンスの声)「…秋田ふるさと村でごゆっくりお過ごしください」ふるさと村?・
(汽笛の音)真由子っ!真由子ーっ!!
(真由子)ママっ!ママっ!ママっ!オイっ!とめて!真由子っ!ママーっ!ママっ!真由子!
(笑い声)
(智代)冬木帰ってるんでしょ?どこにいるか知ってるわよね。
教えないとあの子どうなるかわかんないわよ。
あなたね幼児誘拐は3年以上5年以下の懲役で罪は重いんですよ!自分が何してるのかわかってるのか?先生待ってください。
彩さん…?あなたこそ冬木の居所を知っているんじゃ…?教えてください。
知るわけないじゃない。
なんで私が…?東京の入谷であなたが一緒にいたことはわかってるんです。
あら…人違いじゃないの?冬木さんを見つけ出していったい何をしようとしてるんです?長井さん。
あんたの目的はいったい何だっ?お願いだから真由子に手出しをしないで。
復讐したければ私にすればいいでしょ!二度とこんなことしないと約束してください。
お願いします…!だから冬木はどこにいるのよ?ちゃんと答えてちょうだい!
(佐野)長井智代さんだね?訊きたいことがあるんで同行願います。
(智代)私が何したっていうの!?まぁとりあえずは幼児略取誘拐容疑だな。
あ!ちょっと待ってください!…違うんです。
私がこちらに真由子のことお願いしたんです。
彩さん!?…そういうこと。
とにかく署でゆっくり話を伺います。
さあ。
真由子!さぁ帰ろう。
ねえ彩さん。
どうして違うだなんて言ったんです?「復讐するなら私にしろ」ってあれはどういう意味ですか?彩さん…!冬木と私は家が近所で幼なじみでした。
兄弟のいない私は4つ年上の冬木のあとをいつもくっついて回って遊んでたんです。
中学3年のとき…両親が亡くなりました。
法事に行った先で事故の巻き添えになったんです。
二人とも即死でした…。
留守番だった私だけが残されたんです。
ひとりぼっちになった私は生きる気力すらなかった…。
そんなとき…冬木が言ってくれたんです。
彩ちゃんのお父さんとお母さんは盆の祭りの日踊りの輪の中にきっと帰ってくる…。
そのとき二人の魂を迎えてあげられるのは君しかいないんだって…。

(吾朗)踊りの輪の中は冥界。
亡くなった人の魂が帰ってきて踊る場所…そう昔から伝えられているんでしたね。
(彩)夏の盆の三日間冬木は私と一緒に踊ってくれました。

(彩)冬木は盆の祭りの三日間はどこにいても必ず帰ってきて私と一緒に踊ってくれました。
毎年毎年かかさず…。
その三日間があったから…私は生きてこられたんです。
じゃあ…長井智代とあなた方のかかわりは何なんですか?冬木にとって…幼なじみの私は近すぎたんだと思います。
冬木は同じ銀行のOLだった智代さんとつき合っていました。
つまり恋人だった?でも生真面目な冬木にもの足りなくなった智代さんはほかの人に心を移したんです。
今度は私が傷ついた冬木を慰める番でした。
なるほど…。
それじゃあそのとき初めて男として女としてお互いを強く意識したということですね。
でも…私たちの結婚が決まってから智代さんが冬木にやり直したいと言ってきたんです。
冬木はそれを拒否しました。
それで…彩さんのことを恨んで未だにこんな嫌がらせを…。

(真由子)ママーっ!!お腹すいたぁ!あぁごめんごめん!真由子は私たちの命なんです。
長井さん!…弁護士さん。
あなたが釈放されたのは彩さんが幼児略取誘拐を否定したからでそうでなければあなたは間違いなく逮捕起訴されてる。
だからもう二度とあの親子には手を出さないでもらいたい。
それともあなた…誰かの指示があって動いてるんですか?フフッ…!私は冬木に会いたいだけよ。
…何度でもやるわ!きっと彼女を操ってる人間がいるはずなんだ。
(国松)もう3億。
これで最後だ。
なんとかしてくれ。
融資担当の飛田課長がいない今とても無理です。
私一人じゃどうにもできない。
飛田のように怖じ気づいても今さらしょうがないだろ。
死にたくなかったらもう一回だけ偽造担保を作って金を引き出せ。
きれいな着物ですね…。
この牡丹の柄が目印だったんでしょ?西馬音内の古い家では代々の女の絹の着物を端縫いにして母から娘へ娘から孫へと受け継がれていくんです。
ですから…盆の祭りのとき端縫いの着物を着て踊る女は母や祖母やそのもっとずっと昔の女たちと一緒に踊ってるんです。
ロマンチックですね…。
私が母から受け継いだ着物も次は真由子が着てくれるでしょう。

(祭りの囃子)
(祭りの囃子)冬木!待てっ!冬木っ!!彩…。
あなた…。
パパっ!大丈夫?ああ。
心配いらない。
苦労かけてすまない。
ううん。
信じてるもの。
でも無事でよかった…!ああ。
会えてよかった…。
真由子を…頼む。
あなた…。
なんですかっ!?真由子!ママっ!
(佐野)待てっ!!冬木の家族が拉致された!車はグレーのツートンのワゴン車!ナンバーは不明!二万石橋方面へ逃走。
至急配備を頼む!捜査の邪魔したあんたのせいだ!とんでもないことしてくれたな!真由子ちゃんのお守りだ…。
〔私は冬木に会いたいだけよ。
…何度でもやるわ!〕責任は取ります。
緊急事態なので。
きっと彼女も噛んでるに違いないんだ…。
今でも冬木さんのことを…。
(携帯電話の音)澤田です。
「樺桜銀行の近藤でございます」
(近藤)「先生に何もかもお話しいたします」「どうか助けてください!」今どこにいらっしゃいますか?こちらも伺いたいことがある。
近藤さん。
冬木さんの奥さんと娘さんが誰かに連れ去られました。
おそらく丸富建業の仕業です。
なにか心当たりありませんか?…近藤さん?
(せき込む)わっしょい!わっしょい!
(せき込む)死んで…たまるか…!わっせ…わっせ…わっせ…!わっせ…!わっせ!わっせ!わっせ!わっせ!わっせ!わっせ!ダーッ!!彩さん…彩さんはいったいどこ行ったんだ?この背景に見える建物どこだかわかりませんか?
(所長)あぁこれは七曲峠の貸別荘じゃないかな?七曲峠?場所を教えてください。
ええ。
あっ!あぁ…!この子…?
(ピアノの演奏)フフッ…見てなさい。
冬木は必ずここに現れるわよ。
だってここは昔二人で過ごした思い出の場所なんだもの。
冬木をどうする気?あなたは…冬木をどうしたいの?さあ…?どうしようかしら?先生!?大丈夫ですか?あらあらよくここがわかったわねぇ。
もっとわかったことがあります。
そもそものことの始まりだった樺桜銀行の丸富建業への不正融資。
これの橋渡しをしたのはあなただ。
(吾朗)国松社長と飛田課長の両者を知っていて紹介できる立場にあなたはいた。
あなたが飛田さんの愛人になったのも彼を引き込むために国松社長から指示されたことだったんじゃないんですか?さらに自分よりも彩さんを選んだ冬木さんを恨んでいたあなたは彼をも巻き込んだ。
だから冬木さんを見張るために一緒に東京へ行ったんだ。
そして東京へ行くにはもう一つ理由があった。
それはあなたのアリバイづくりだ。
あなたが東京へ行ってる間に飛田課長を殺害する計画があったからだ。
…相変わらず想像がたくましいのね。
いいわ…。
じゃあ本当のこと教えてあげる。
冬木はねあなたを捨てたの!ウフッ…!二人で手に手を取って東京へ逃げたのよ。
信じないわそんなこと…。
今あの人を救えるのは私だけよっ!あの人を生かすも殺すも私の気持ちひとつよ…。

(冬木悟)国松はそんなに甘くないっ!あなたっ!冬木さん…!すべて話します。
飛田課長が近藤課長と共に丸富建業の国松に利用され不正融資に手を染めてることを私が知ったときには課長たちはすでに身動きならないほどの金を融資させられていたんです。
(飛田)〔冬木頼む。
もう少し目をつぶっていてくれ〕〔必ず何とかする!頼む!〕〔何とかなるはずないでしょう。
小さな支店ですでに10億です〕〔すべてをオープンにして対策を考えましょう〕〔なんとか金は返してもらう。
もう少し待ってくれ!頼む!!〕
(冬木)そんな矢先真由子が何者かに連れ去られるという事件が起きたんです。
これは丸富建業の私への口封じに違いないと私は確信しました。
その確信は当たっていたんです。
(智代)〔ねぇ…知らない土地で私と一緒に暮らさない?〕〔なに言ってんだ…。
僕には家庭がある〕〔ウフッ…そんなもの壊すぐらいあの連中簡単にやるわ〕〔…君は丸富の手先か?〕〔お嬢ちゃん無事に見つかって本当によかったぁ〜〕〔でも次も無事とは限らない。
そういう連中よ〕〔あなたの家族に手出しさせない。
…約束する〕〔だから…お願い…!〕〔新しい生活にはお金がいるわ。
でも…集金業務をしているあなたなら…都合つけられるわよね〕〔銀行の金を横領しろと…?〕
(冬木)私は考えた。
集金した金を持ち逃げすれば本店の査察が入る。
そうすればあれだけ膨らんでる不正融資の件も露見するに違いない。
なにより自分に注意を引きつけておけば妻や子どもに危害を加えられるのを防げる。
そう計算したのです。
あなた…。
だが相手にもあなたを追い込む理由があった。
罠だったんでしょ?ええ…。
(智代)そうよ。
確かに罠だった。
入谷のビジネスホテルに逃げ込むまでは…。
(智代)確かに私は国松に言われて冬木を横領犯に追い込んだ。
でも…一緒に逃げている間私は自分がとても幸せだってことに気づいたわ。
…この人と離れたくない。
このまま本気でこの人とやり直したいと思った…。
〔ここから逃げましょ。
もっと遠くへ行って二人で暮らすの〕〔支度して!〕〔金は置いてきた。
本当の横領犯になるわけにはいかない〕〔お金なんかどうだっていい!〕〔それより早く支度して。
ここを出なくちゃ!〕
(アナウンサー)「…横領持ち逃げしていた銀行員2人のうち1人が今朝秋田県羽後町の山林で他殺死体で発見されました」「警察では遺留品などから樺桜銀行・西馬音内支店の行員冬木悟を容疑者と断定しました」〔こういうことだったのか!〕〔待って!〕〔行かないでっ!〕〔ウワッ!!〕
(智代)〔やめてっ!!殺さないで!やめて!〕〔車を止めろ!早くっ!〕〔止めないとお前も死ぬぞ!〕
(クラクション)〔黙って殺されるわけにはいかないんだよ!〕〔早く止めるんだっ!!〕
(ブレーキ音)
(冬木)私はとっさにその男を自分に仕立て逃げ出したんです。
行員証や名刺を置いて。
やっぱり…そうだったんですね。
君も用がなくなれば殺されるぞ。
たとえほんの一時でも時間を稼ぎたかった。
私が死んだことになってる間はお前と真由子は安全だ。
その間に飛田課長に今度こそ自首させるつもりだった。
こんなやり方でしかお前たちを守ることができなかった…。
あなた…!あんたなんか…あんたなんか死んじゃえばいいのよっ!!キャァ!!やめろっ!あなたは悲しい人だ…。
好きな人には幸せになってもらいたいと思わないのか?それが本当に人を好きになるってことじゃないのかっ!?近づくとこの子殺すわよ!
(冬木)バカな真似はやめろ!殺すなら私を殺して!あなたに子どもを殺すようなことはできやしない。
この赤ん坊…あなたの子どもなんだろ?なによっ!?返して!子どもを人質に取るような真似はよすんだっ!あなただって母親じゃないか…。
そうよ。
その子私が産んだ子よ。
ねえ彩さん!よく見てみなさいよ!その写真の子が私と冬木の子どもよっ!君…!じゃあ…じゃあ今この子は?女が一人で赤ん坊を抱えてたら働くことだってままならないわ。
仕方がないじゃない。
人にあげたわ!今どこでどうしてるのかも知らないけど…。
だったらなおさら同じ母親として真由子ちゃんを大切に思う彩さんの気持ちがわかるはずだ!さあ…こっちに返すんだ!こないでっ!同じ冬木の子どもなのにこの子だけが冬木に愛されてぬくぬくと育ってる。
そんなの不公平よっ!よせっ!やめろっ!やめてっ!真由子は…あなたの子なのよ!ハハハッ…!なに言ってんのこの人?この子が…この子が真由子ちゃん?今まで隠しててすみません。
あんなによくしていただいたのに申し訳ありませんでした…。
そうか…だからか…。
だから彩さんは警察から長井智代を庇った。
あなた方夫婦は真由子ちゃんの秘密を守るために自分たちだけで戦おうとしていたのか…。

(冬木)真由子…。
彩さん。
長井智代が産んだ子どもだとわかっていながらなぜ真由子ちゃんを引き取って育てていらしたんですか?冬木の子どもですもの。
私の一番大事な冬木の子どもですから…。
当たり前です。
彩…。
(智代の泣き声)
(泣き声)なんだあの煙は?閉じこめられたっ!外から火を付けられたみたいです!こっちも開かない!彩さんたちは床に伏せて!低くしたほうが煙を吸わない!冬木さんっ!奥へ行って!よいしょ!よいしょ!いきますよ!せーのっ!よいしょっ!よいしょっ!せーのっ!早く彩さんたちを!はい!さっきはよくもやってくれたな!飛田課長を殺ったのもお前か!?みたかっ!日ごろおみこし担いで鍛錬してんだ!!早くしろっ!
(パトカーのサイレン)
(佐野)先生!大丈夫か?これで国松の逮捕状が取れますよ。
集金した2300万です。
一つ…訊いてもいいですか?はい。
長井智代が子どもを産んだことをどうして知ったんです?
(彩)それは…私たちが結婚してすぐの盆踊りの夜でした。
(智代)〔私のお腹にはあなたの子どもがいるのよ〕〔もちろん産むつもり〕〔この世のどこかに自分の子どもがいるってこと一生忘れないでね〕
(彩)その後風の便りに智代さんが子どもを産んだと聞いて八方手を尽くして養家先を突き止めたんです。
冬木は何度もその家に足を運んで自分が父親であると説明してその子を返してもらってきたんです。
そのことは彩さんも承知で?
(冬木)彩のほうから引き取って育てたいと言ってくれたんです。
子どものころ両親を亡くしてひとりぼっちになった私は真由子を同じ目にあわせたくはなかったんです。
これで横領の嫌疑はまず間違いなく晴れるでしょう。
今後の冬木さんの弁護僕が責任もって引き受けます。
いろいろとありがとうございました。
まったく…あんたの亭主みたいの鉄砲玉っていうんだね。
ポーンと飛び出したらそれっきり。
連絡もないなんて言語道断です。
減俸!賃金カット!お母さんは心配じゃないの?あの人不正融資事件なんて危ない仕事にかかわってるのよ。
もし危険な目に遭ってたら?ううん…万一のことがあったらどうしよう…?大丈夫よ。
万一のことがあったとしてもあいつならお祭りどきになったら幽霊になってでも帰ってくるわ。
やめてよ幽霊なんて!縁起でもない!だって万一なんてバカなこと言うからよ!万一って…?キャーッ!!お母さん待って!!ジャカジャーン!驚いちゃった?もうっ!!心配してたんだからね!もぉ〜っ!ごめん。
そんなに驚くとは思わなかったよ。
ねえ…お義母さんなんとかしてくださいよ。
まぁ…仲よくやってなさい。
私忙しいの。
忙しいって…だって…!なあにっ?悪かった…ごめんなさい。
遅いしっ!…ただいま。
おかえり。
あぁ〜大変だった!でも秋田の踊り覚えたよ。
こうやんだけどね…。
2014/07/14(月) 13:05〜14:56
ABCテレビ1
お祭り弁護士澤田吾朗の事件ファイル[再][字]

「見知らぬ死体を夫と呼んだ女…みちのく夜祭り“北の盆”に秘められた哀しい殺意」

詳細情報
◇出演者
高嶋政伸、野際陽子、芳本美代子、安永亜衣 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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