さて日本の橋の数をご存じですか?
その数およそ70万
我が国は古くから橋の国なのです
橋があれば谷や川
大きな海さえ渡れてしまうまこと便利
どれも先人たちが心血を注いだ傑作なのだが…
便利な橋が流されてしまったら一大事
道は寸断され生活は立ち行かない
緊急時すぐに現場に急行して架けられる橋があれば…
そんな夢をかなえようとしている橋がある
その名も…
常識破りと言われた橋の開発者は…
一刻も早く命の架け橋を架けたいから
Ihaveadreamあッこれその辺何かありそう
かつてここに橋があった
2009年兵庫県佐用町で水害が起きた
300ミリの豪雨が襲いすさまじい濁流が橋を破壊した
町を流れる川はたちまち増水
ありとあらゆるものを飲み込み
のどかな町に大きな爪痕を残していった
あれから5年
橋の崩落は暮らしを直撃
時に被災地を孤立させる
こうした緊急事態が起きると自衛隊は浮き橋を設置する
仮設の橋は立派だが
造るのにかなりの時間がかかってしまう
橋を架け直すとなると何ヵ月もかかるんであれば今までの橋の発想では絶対無理ですんでもう単純にボタン一つで伸ばせる橋みたいなものがあればいいんではないかと
どこでも移動可能でボタン一つで伸びる橋とは?
土木構造工学が専門の有尾
夢の橋の発想を得たのは阪神・淡路大震災だった
建造物の壊れ方を調査していた際ある法則を見いだしたという
それを解説してもらうと…
逆に言えば少ない力で伸ばせると
有尾はこの考えを橋に応用した
押しつぶされた橋ならわずかな力で伸ばせる
でもそれってどんな橋?
そんなとき子供が遊んでいたおもちゃが目に留まった
橋が伸びるイメージとマジックハンドがつながった
これならいける
有尾はモバイルブリッジと名付けた最初の橋を開発
ボタン一つとはいかず手動で橋を対岸に伸ばしていった
およそ10分で8メートルの橋が架かった
もちろんまだまだ出発点
有尾が目指す頂はもっと上にあった
人が渡れるサイズではなくて…
有尾は命の架け橋を造りたかった
被災地ですぐに架けられ
救援物資や緊急車両が行き交える橋だ
しかし橋の専門家たちは笑った
モバイルブリッジには橋を支える橋脚がない
「そんなおもちゃみたいな橋じゃ構造が弱すぎる」
「車どころか人が渡れる程度が関の山だ」
痛烈な批判が有尾の耳に届いた
こうやって橋の専門家にこうやって出したらこんなんダメだとかねダメ出ししてたたかれるこっち側に入れば結構おもしろいんですけどね
笑われたり批判されるたびに夢は強くなった
研究に行き詰まると自然と足が向く場所がある
はい黒滝山に着きましたはあ…はあ気持ちいいですね最高海がさわやか
昼ご飯は瀬戸内名物のたこめし弁当
うまい景色がいい人生1回きりだったらこんな方法論でも橋になりますよってぶち上げた方がおもしろい
先人たちが残した橋の数々も
完成した当初は常識破りでした
こちらは山梨県の猿橋日本三大奇橋の一つです
高さ30メートルの渓谷に架かっていて
なんと橋脚がありません
どう橋を支えているのかと見れば
両岸から刎ね木と呼ばれる支えが突き出しています
両岸の岩に埋めた刎ね木を4段重ね
その上に橋を載せています
釘を1本も使っていないというのがすごいですよね
その美しさから観光名所になっています
高知県の清流四万十川にも常識破りの橋があります
あれッ欄干がありませんなぜでしょう?
水があふれると橋は川の中に沈みます
橋が壊れるのを防ぐのです
自然の力に逆らわずに橋を守ってきた
先人たちの知恵なんですね
有尾もまた常識破りの橋造りに挑んでいた
「その場で伸びて車が通れるモバイルブリッジを造りませんか?」
大企業に共同開発を申し入れたが
採算が合わないとフラれ続けた
諦めるわけにはいかない
必死の思いで今度は中小企業を回った
思いの丈をぶつけた
有尾の迫力に赤松さんは心動かされた
有尾先生が一生懸命やっている情熱はありますよね
しかしモバイルブリッジには
クリアしなければならない構造上の問題があった
20分の1サイズの模型を作ったところ…
途中まではいかないんですけどここからはスーッといくんですよ
有尾が考えたとおりわずかな力で橋は伸びる
本来ここで止めたいところが…
重さと勢いで一気に伸び切ってしまう
巨大なモバイルブリッジなら大事故になる
最初はもう10メートルもできないんじゃないのかなと車を通してぐらいの規模のやつはちょっと難しいんじゃないのかなと思ってました
解決のヒントになったのが
赤松さんの会社が造っている昇降機の技術だった
伸び縮みする橋モバイルブリッジの問題点
それを解決したのが昇降機の上げ下げを制御する装置
油圧シリンダーだった
これを応用すれば手綱を緩めるように
ゆっくりと橋を伸ばせるのではないか
実物大のモバイルブリッジに油圧シリンダーが組み込まれ
橋を伸ばす実験が行われた
制御されながら伸びた橋は
予定した長さでピタリと止まった
次の課題は橋全体の強度を上げることだ
注目したのはモバイルブリッジの床板の部分
有尾は大阪でアルミ製の桟橋を製造する小さな会社を頼った
担当の中谷さんは
有尾の自由すぎる発想に戸惑ったという
「こうしましょう」と言い出して図面描いてやった「今度はこうしましょう」と言って図面ばかり描いてました「あんたそう言うたやん」言うて「これでいきましょう」って言うといて「やっぱり考えたんですけどね」っていうのが多いんです
試行錯誤の末の設計はこう
橋が伸びると同時に床板ががっちりとかみ合い固定
これでたわむことのない頑丈な構造になる
その床板はそのまま車の通り道にもなる
有尾が目指したのは伸び縮みして車が通れる橋だ
非常識な夢がまた前進した
それぞれみんながオンリーワンナンバーワンそれがもっとタッグ組めばこんなことができるんですよと
大企業が見向きもしなかったモバイルブリッジは
中小企業の知恵と技をつなぐ夢の橋になった
そういうふうに返ってくるんでねそれはそう思っとけとこれはアラフォーの夢やねという感じで40代前半頑張ろうという
タブーに挑戦してこそ新しいものが生まれる
有尾の言葉が物づくりに賭ける男たちに響いた
いよいよモバイルブリッジの全貌が明らかになる
いよいよ有尾のモバイルブリッジの全貌が明らかになる
それはかつてない移動可能な橋
おお来た来た
アルミ合金で軽いとはいっても重さ11トン
トレーラーが止まると筒状の金属が横へ伸び始めた
するとその中から脚のようなものが伸びていき
地面に着くと橋全体をゆっくりと持ち上げていく
4本の脚で完全に自立したモバイルブリッジ
そしてトレーラーはその場を離れた
やったすごーい浮いた浮いた
続いて本体がゆっくり下がってゆく
まるで橋のロボットだ
すると今度は驚いたことに橋が体を起こし始めた
実用化に向け有尾たちは様々な工夫を凝らしていたのだ
ここに川が流れているという想定で
モバイルブリッジを伸ばす実験が始まる
徐々に伸びながら対岸を目指す
20メートルの橋になった
橋脚はなく完全に浮いている
この橋が被災地で役立つためには重い車が渡れなければならない
非常識と笑われた橋がそこに挑む
橋脚もなく宙に浮いた橋
果たしてこの上を重い車は渡れるのか?
うまくいってほしいですよねちょっとドキドキする感じですよね子供の入学式を見るような
ゆっくりとスロープを上ってゆく
車が載っても床板はたわむことがない
次々に車が渡っていく
3台載っても橋はびくともしない
有尾が挑んだ命の架け橋
その夢の扉が開いた
もう理想に近いですよね新しいステップに入ったなという感じはします
災害時モバイルブリッジはきっと人々の助けになる
そのためには有尾とともに夢を追いかける
仲間の力が欠かせない
どうしても僕らは大阪のねどっちかいうたらベタな感じの会社の人でベタな人間なんですけども僕も言いたいことを言ってしまうけどもそれをもちろん怒りますけどでも怒るから「じゃあ君なんか要らない」とは言わなくて怒り合いながらでもずっと関係を続けてきてもらってるのが感謝はしています今までは夢物語やったけどもこれが現実のものに少しなって現実の開発のスタートラインに立ったかなぐらいのもんなんでこれからもよろしくお願いいたしますってことですね実際本当にできるのかなという周りの不安の中で先生は常にできるというふうな自信を持ってやられてたんでそういった意味では我々は先生についていけば必ず実現するんじゃないかなと世界にどんどんできるようになればいいんですけど我々と先生が一致団結タッグ組んでどんどん出していきたいなとはそういう夢はあります皆さんの夢を背負ってるのかなという感じはしますし大企業だとどうしてもリスク回避で提案しても皆さん逃げていくというかやはり中小さんはすごいですよねまさに日本の産業の大事なところのスピリッツを持ってらっしゃる感じはしますね本当に伸びる橋伸びる夢みたいなところありますよねどんどん伸びていけば伸びていく伸ばしたいという夢みたいなのが次々伸びていくみたいなそんな感じでしたね
非常識な夢に挑み続けた有尾は男たちにも夢の橋を架けた
それはどこまでも伸びる橋だ
次回は…
あれから5年日本が世界に誇るスーパーコンピューター京は
様々な未来を描き出し世界初の成果を連発している
新たに挑むのは…
医学の常識を覆す挑戦を追った
今夜は…
2014/06/29(日) 18:30〜19:00
MBS毎日放送
夢の扉+[字]【被災者救え…完成10分!巨大伸縮橋】
緊急時に10分で設置!“命を守る橋”「モバイルブリッジ」一刻も早い災害復旧のため・・常識を打ち破る! ナレーター/中井貴一
詳細情報
お知らせ
近年の集中豪雨による河川の増水でも、橋が崩落。救助活動の妨げとなるほか、動線を失った地域には、救援物資が届きづらく、孤立化を余儀なくされる。
『いつでもどこでも、一刻も早く架けられる橋があれば—』
そんな“命の架け橋”を開発しているのが、広島大学助教、有尾一郎。有尾の「モバイルブリッジ」は、現場まで運んだあと、わずか10分で20メートル伸び設置が完了、車3台の重量にも耐えられるという。
番組内容
「モバイルブリッジ」の特徴は、アルミ合金でできた橋が、マジックハンドのようにジャバラ状に伸びて、橋脚がないこと。しかしそれでは、人や車が安全に渡るための“強度”が確保できない。「伸び縮みする橋に車を通すなんて、馬鹿げている」専門家からは一笑に付された。『既成の概念を打ち破るには、タブーにチャレンジしなければならない』
そんな有尾の夢を近づけたのは、志を同じくする中小企業の技術者たちだった。
出演者
【ドリーム・メーカー】 広島大学 助教 有尾一郎(48歳)
【ナレーター】中井貴一
音楽
【テーマソング】
「やさしい雨」
唄 小田和正(アリオラジャパン)
制作
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