首都圏の地下に建設された壮大な建築。
おっきいですね。
まるでパルテノン神殿のような巨大空間。
そこは大自然の脅威から密かに私たちを守る神聖な場所だった。
例年に比べ雨が多いといわれる今年の梅雨。
すでに何度も豪雨が日本列島を襲い道路を冠水させ交通機関を麻痺させている。
そんな被害を減らすため今私たちの見えないところで防災施設の建設が進んでいる。
首都圏の地下に隠された巨大施設。
今夜は豪雨から都市を守る防災の最前線に迫ります。
(粕谷さん)あっいらっしゃいましたね。
初めまして。
どうも初めまして山田五郎と申します。
本日はよろしくお願いします。
こちらこそよろしくお願いします。
今回案内してくれるのは地下空間の専門家粕谷太郎先生。
2人がまず訪れたのは江戸川沿いの大きな広場。
この真下に巨大な施設が隠れている。
広場の傍らにある小さな建物。
ここが入り口だ。
神秘に満ちた地下への扉が今開かれる。
(粕谷さん)鍵がかかってる。
鍵がかかってますね。
関係者以外立ち入り禁止。
特別に入れるんですね。
おお〜こうなってるんですね。
早速ひんやりしますね。
(粕谷さん)そうですね。
116段の階段を下りた先に待っていた光景とは…。
おお〜これですか?粕谷先生。
有名な地下神殿といわれるやつですね。
ギリシャのアテネにあるパルテノン神殿のような柱と空間の巨大さから地下神殿とも呼ばれている。
ここは埼玉県春日部市の地下に広がる巨大空間。
首都圏外郭放水路という防災施設だ。
神殿を思わせるこの空間も全体から見るとごく一部に過ぎない。
最大直径30メートルの縦穴が5つもある総延長6.3キロに及ぶ巨大施設なのだ。
江戸川と荒川に囲まれたエリアは低い盆地状になっていて昔からよく川が氾濫し大きな被害をもたらしてきた。
そこで建設されたのがこの首都圏外郭放水路だ。
大雨が降って川が増水すると地下70メートルの縦穴に水が取り込まれる。
水位が50メートルまで達するとこの柱が並ぶ空間に水が流れ込み25メートルプール3000杯以上をためる事が出来る。
たまった水は最後は江戸川に放出される仕組みだ。
今年はすでに3回も稼働。
特に6月6日から降り続いた雨は3日間で200ミリの雨量に達しこの施設が造られてから最大の水量を記録した。
あの辺ですねあの黒い…。
あそこに跡がありますよね。
あの辺が水のたまった跡。
ああ…。
どれくらい水がたまったのかというと…。
ちょっと風船上げていってみますね。
その辺…大体湿ってる辺りですよね?そうですね。
色の変わってる…。
その辺ですかね。
この辺…。
そうすると…9メーターぐらいのとこまで水がきたって事ですね。
あんなとこまで水が入ってて僕らそん時いたらもう完全に溺れてるって事ですね。
6月6日水はこの高さまできたのだ。
たまった水が3日間かけて江戸川に排出された翌日貴重な作業を見る事が出来た。
水切りを使い床にたまった泥をかき出している。
施設の構造上掃除の機械を入れる事が難しい。
たまった泥は全て人の手で掃除しなければならない。
地下神殿に立ち並ぶ柱は59本。
設備全体を支えるとともに水の抵抗を減らす形をしている。
ものすごく楕円形というかかなりこう長い…細長い形になっていますよね。
柱の断面はまん丸ではなく楕円形。
川の橋と同じように川の流れの方向にこういう細長くしてる橋がいっぱいあると思いますがあれと同じような構造…。
水の力で柱が壊れないよう楕円形になっているのだ。
次に水の入り口を見せてもらう。
ここは第一立坑と呼ばれる縦穴の上。
おお〜きた!
(粕谷さん)すごいですね。
すごいですね。
もう高すぎて逆に実感がないですね。
(笑い声)直径およそ30メートル深さおよそ70メートルの第一立坑。
自由の女神がすっぽりと入ってしまうほどの大きさだ。
他にも同じような縦穴が4つも存在する。
川が増水すると水はまず4つの縦穴に流れ込む。
その時水の取り込み方に巨大な施設ならではの工夫がある。
それがこの水の滑り台。
らせんにこう落としていくように出来てるんですね。
立坑の深さは70メートル。
膨大な水が直接底に落ちれば衝撃でコンクリートが傷む恐れがある。
壁に沿って水を流す事でその衝撃を弱めているのだ。
本当にすごい構造物人間は作るなって思いますけども逆に言うと水の力っていうのはそんだけ強いって事ですよね。
それだけのもんじゃないと耐えられないぐらいの水圧だったり流れだったりするわけで。
水が溢れるって事は本当に怖いっていう事が逆に伝わってきますね。
たまった水は最終的に江戸川へと排出されるが水量を調節して徐々に排水しなければならない。
水の出口にも大事なテクノロジーがある。
水の出口付近は足元が悪くなる。
装備を整えいざ施設の一番奥へ。
目の前に出口へと通じる横穴が現れた。
ここから先は水がたまっている。
深さは50センチほど。
あの…普段はですねここはあの…一般の方というか職員でも滅多に入らない。
あら?職員でも滅多に入れない場所。
見学はもちろん。
気をつけて…。
いよいよ首都圏外郭放水路の心臓とも呼べる場所へ。
あっかなり下には土砂が…。
またね足とられますね。
(粕谷さん)砂みたいな田んぼみたいな…。
江戸川に通じる放水路の出口。
そこにも巨大なテクノロジーが待ち受けていた。
(シャッター音)
(能年)なんか夢中になって画面しか見えなくなる感じが気持ちいいです。
あっまつ毛。
EOSM2
まつ毛がある。
(シャッター音)
(能年)あっ失礼します。
なんかかっこいい。
(シャッター音)ああ速い。
タッチ。
(シャッター音)
(シャッター音)すげー。
EOSM2
ぴゅーん。
SNSの写真そのままだといいね。
ですが
(観客)うんうん。
「PIXUS」でプリントすると
(無音)
(桐谷)いいね〜!
…になります
タブレットからもう一度
いいね〜!!
もちろんカメラからも直接
(無音)やっぱりいいね〜!!
(拍手・歓声)
どんな写真もカンタンキレイ
首都圏を水害から守る巨大な放水路。
いよいよその出口に向かう。
何か上からこう水が落ちてきてますね。
気をつけてください。
このちょうど上に…。
あこれだ!これがインペラですね。
(粕谷さん)すごいな…。
これはでかいですね。
天井を見上げるとそこには直径3.7メートルの巨大なスクリュー。
このインペラと呼ばれるスクリューで水を吸い上げ江戸川に送り出すのだ。
水量をコントロールするためこの施設には全部で4基のインペラを備えている。
4基を回すとですね25メートルの小学校のプール1杯を1秒間に放出する。
すごいな!首都圏外郭放水路が出来たあとは降雨量が増えても冠水する事が少なくなった。
今では水害の多い土地だった事すら知らない住民がいるほどだ。
都市を河川の氾濫から守る巨大施設。
そこには自然の脅威から身を守るために人が作り上げた驚くべき技術が詰まっていた。
大量の雨が降ると排水が間に合わず低い場所に水が流れ込んでしまう。
そのため都市の中で特に水害のリスクが高いのが地下鉄や地下街だ。
そのリスクを回避するため都心の地下に人知れず巨大な貯水槽が建設されている場所がある。
例えば東京駅の八重洲地下街。
1日15万人もの人が訪れる首都圏最大の地下街だ。
駅からおよそ500メートル。
小さな公園にその入口がある。
このマンホールだ。
この下は一体どうなっているのか?特別な許可を得て取材させてもらった。
人が1人やっと通れるほどの縦穴を下りる。
東京駅付近は都内でも地下の開発が進んだ場所。
巨大な貯水槽を作る事が出来る場所は恐ろしく深い。
地下37メートル10階建てのビルほどの深さに直径2.8メートルの巨大なトンネルが現れた。
この施設はですね大雨の時に雨水をためる事によって浸水の被害の発生を抑えるというそういう目的で作られている施設でございます。
地下街を浸水から守るために作られたトンネルのような貯留管。
東京駅のすぐ下まで続いているというが目では確認出来ないほど奥が深い。
長さおよそ500メートル。
300万リットルの水をためる事が可能で1時間75ミリの大雨でも地下街に浸水しないように設計されている。
東京駅の地下街を豪雨から守る砦なのだ。
地下の巨大施設は一体どのように作られているのか?粕谷先生の案内で今まさに建設中の現場を訪れた。
東京北部の練馬区を流れる白子川。
大雨が降るたびに何度も氾濫し大きな被害を出してきた川だ。
白子川の氾濫を抑え近くを流れる石神井川に放水するための調節池と呼ばれる施設がまさに今地下に建設中なのだ。
あれがずっと地下までどーんと降りてるわけですね。
工事用のエレベーターに乗り地下50メートルまで降りる。
そこには直径10メートルもの巨大なトンネルが口を開けていた。
先生なんか来ましたよ。
なんか見えましたね。
奥から現れたトロッコ列車。
水を流すためのトンネルになぜ列車が走っているのか?
(シャッター音)
(妻夫木)僕は…。
なぜわかったんですか?…影?
(シャッター音)
(シャッター音)
EOS70D
(能年)あっ失礼します。
なんかかっこいい。
(シャッター音)ああ速い。
タッチ。
(シャッター音)
自分の思ったところにピントが合ってなんか面白いです
(シャッター音)すげー。
おおー!うさぎが…。
あっまつ毛。
EOSM2
まつ毛がある。
今まさに建設中の白子川調節池。
地下50メートル。
巨大トンネルの奥から現れたのは…。
列車ですね。
(粕谷さん)そうですね。
トロッコ列車みたいなやつが来ましたけども…。
水を流すためのトンネルになぜ列車が走っているのか?その理由はトンネルの奥に行けばわかるという。
結構ゆっくりですね先生ねえ…。
多分10キロぐらい。
時速10キロぐらい。
列車に乗っておよそ25分。
線路はトンネルの途中で終わっていた。
この先では調節池を建設する上で特に重要な作業が行われているという。
そこには建設現場でよく見られる光景が…。
左官職人が床部分のコンクリートの表面をならしている。
今こっちでこれどういう工事されてるんですか?えっと水を通すためのトンネルなんですけれどもきれいに水が流れていくようにそういう事を考えてコンクリートの打設を行っています。
丸いトンネルなんだけど下を平たくしてるわけですね。
水を効率よく流すためトンネルにはごくわずかな勾配がつけられている。
1.5キロ行きまして1メートル下がると。
そういうまあ非常に緩い勾配がついています。
15メートルでわずか1センチという微妙な傾斜で掘られたトンネル。
さらに効率よく水を流すためトンネルの断面を見ると中央の溝に向かってわずかな傾斜がつけられている。
試しにビー玉を置いてみると…。
あーきますね。
水がこういうふうに流れて…。
そうですね。
その溝にたまる。
ここの溝にたまるという…。
このわずかな傾斜を仕上げるのが左官の技。
トンネル全体の微妙な勾配を守りながら中央の溝に向けてわずかな傾斜をつけていく。
ミリ単位の精度が要求される仕事だ。
左官の人が手でやっていたすごい技術ですよね。
やっぱり日本の技術ですね。
はい。
最新の地下施設。
職人の技がそれを支えていた。
トンネルの中に線路を敷き列車を走らせていた理由もここにある。
トンネルの長さは3.2キロ。
工事に使う生コンクリートや作業員を運ぶために列車が必要だったのだ。
端からだんだんだんだん手前に…。
今ここまで下が平らになったと。
はい。
平らになったら今度僕らが乗ってきたトロッコの線路をどけてまた次のセメントを打ってと。
ずっとこれが続いていくわけですね。
今年も気がかりな集中豪雨。
その被害を未然に防ぐため地下50メートルで大工事が行われていた。
今日のトンネルの地下でねわずかな勾配ですよ。
1500分の1の勾配だとか2パーの勾配だとかそれをつけるために左官さんがきれいに仕事している。
測量の人がずっと40メートルの地下で測り続けている。
こういう人たちの努力に支えられてね我々水害から守られてるんだなっていうのは改めて感じましたね。
東京の地下深く次々と生まれる巨大防災施設。
最新の技術と伝統の技に支えられ私たちの暮らしは守られている。
2014/06/29(日) 18:30〜18:56
ABCテレビ1
奇跡の地球物語 首都圏をゲリラ豪雨から守れ!〜地下に広がる巨大パルテノン神殿〜[字]
連日、1時間に約50ミリという豪雨が日本各地を襲っている。実は東京の地下には水害から都市を守る巨大な施設があった!パルテノン神殿と呼ばれる巨大施設の全貌とは!?
詳細情報
◇番組内容
連日、日本各地を襲うゲリラ豪雨。1時間に約50ミリという猛烈な雨、雷、さらにはヒョウが首都圏を襲っている。しかし近年、東京の地下には猛烈な水害から都市を守るために巨大な地下貯水施設が続々と建設されている。パルテノン神殿を思わせる超巨大な地下貯水施設、巨大トンネル、そこに注ぎ込まれる日本の伝統技術の全貌が明らかになる!
◇番組内容2
古代のミステリーから日常のふとした疑問まで、人間を取り巻くあらゆる物事を最先端科学で紐解いていく…。明日誰かに話したくなる、新しい発見がいっぱいの番組です。
◇出演者
【ナレーター】山寺宏一
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/miracle-earth/
◇おしらせ2
この番組は、朝日放送の『青少年に見てもらいたい番組』に指定されています。
ジャンル :
バラエティ – その他
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
ドキュメンタリー/教養 – 宇宙・科学・医学
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日本語
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