あのクラシックの名曲をあなたのものに。
人生を豊かにしてくれる一曲を一緒に見つけませんか?「ららら♪クラシック」今回は…。
(「ルーマニア民俗舞曲」)ルーマニアといえば1976年モントリオール・オリンピックで金メダルに輝いた体操のコマネチ選手の出身地。
そして雄大な自然。
しかしそれだけじゃありません!実は…それに強く惹かれたのが作曲家…宝を集めるためならどんな苦労だってへっちゃら!見つけ出した宝を自分流に磨き上げ作品として輝かせたのです。
バルトークが加えた音楽のスパイスにゲストのホラン千秋さんは…。
振り回されるか…。
ちょっと恋愛に似てますね。
彼が探し求めたものとは?今日はお宝ざっくざくですよ〜!「ららら♪クラシック」今日はバルトークの「ルーマニア民俗舞曲」です。
バイオリンやオーケストラそれから吹奏楽などにもアレンジされている作品ですよね。
では本日のゲストです。
タレントのホラン千秋さんです。
(一同)よろしくお願いします。
ホランさんこの曲ってご存じでしたか?全然聴いた事はなかったんですが好きな感じですね。
なんかしゃれてますもんね。
うん。
よくこういう曲を学生の頃テスト勉強をしながら聴いてました。
そうでしたか。
はかどりましたね。
この曲のタイトルにもなっているルーマニアという国には何かイメージあります?昔読んでた月刊漫画雑誌みたいなものに各国の民族衣装を着た女の子のトランプみたいなものが付録でついてたんですよ。
白いチュニックに赤いスカートでちょっと刺繍が施されたりしててこうバンダナを巻いて歌ったり踊ったりするイメージなんですけどね。
すごい記憶力ですね。
ほんとですね。
僕の世代でルーマニアといったらもうさっきVTRにもありましたけどナディア・コマネチ選手。
かわいらしかった。
今見ても…。
ほんとすばらしいですけどね。
でもそれ以外ルーマニアのイメージは一切ないんです。
実際にルーマニアに旅行で行った事がある方も少ないという事なのでこちらちょっと基本情報で地図をご用意しました。
まずルーマニアの位置なんですが東ヨーロッパですね。
ハンガリーセルビアブルガリアウクライナそしてモルドバ黒海に囲まれた国で首都はブカレストという事になりますね。
ルーマニアの音楽っていうとどういうイメージを持ってらっしゃいますか?でもさっき私が言った民族衣装をみんなが歌ったり踊ったりしながらその横で例えばアコーディオンとかハーモニカとか持ち出せる楽器をその場で弾いてるイメージはなんかありますね。
結構具体的な楽器も出てきましたね。
そうですね。
ヨーロッパの東にあるルーマニア。
この国の意外な人気者が…。
吸血鬼ドラキュラ。
ドラキュラのモデルとなったヴラド3世がよく訪れていたお城も残っています。
ドラキュラというとちょっと残酷なイメージがありますが地元では祖国を守った英雄として語り継がれているんです。
ドラキュラのお城が建つルーマニア北西部…かつてはオーストリア・ハンガリー帝国の領土でしたが第1次世界大戦を経て現在はルーマニアの一部となっています。
トランシルヴァニアとは「森のかなたの国」という意味。
深い森そして牧草地や小麦畑が広がる緑豊かな地域です。
その大地を支えるのが昔ながらのやり方で農業や牧畜を営む人々。
この地で古くから大切にされてきた宝それが…おじいさんのそのまたおじいさんの頃から受け継がれてきた歌や踊り。
民謡は今も村のあちこちで響いています。
「ルーマニア民俗舞曲」はそんなトランシルヴァニア地方に伝わる旋律をもとに作られたピアノ曲。
6つの小さな曲から成りそのどれもに農民の暮らしそして踊りのリズムが織り込まれています。
子供時代を東ヨーロッパで過ごしたピアニストの金子三勇士さん。
この辺りでは今も民謡が人々の暮らしと共にあるといいます。
村の…例えばちょっとしたお祭りぶどうが採れてワインを造るお祭りでしたりそれから2月の謝肉祭の時でしたりあとはほんとに結婚式。
結婚式っていったら村人全員が集まるような村っていうのは今でもたくさんあると思うのでそういったところで歌を歌ったり踊りを踊ったりっていうそういった事は東ヨーロッパの国々の中では非常に強く民族音楽っていうのは生きてるんじゃないかなというふうに思います。
村人たちが大切にしてきた素朴な民謡から生まれた「ルーマニア民俗舞曲」。
この曲にはトランシルヴァニアの大地に生きる人々の姿が刻み込まれていたんですね。
いかがでしたか?ほんと音楽が生活の一部っていう感じはしますよね。
生活を情景にしてそれを音楽にしてるのでまた音楽だけを聴いても「こんな景色なのかなこんな季節なのかなこんな生活風景なのかな」っていうのを想像するのが楽しくなりますね。
ホランさんがおっしゃったとおり白いブラウスにアコーディオンを弾くおじさんがいてみんなで集まって踊って歌うという。
持ち出せる楽器を全部持ってきてお祭り騒ぎという感じでしたね。
踊りをみんな村じゅうの人が踊れるってすごくすてきじゃないですか?今多分夏祭りとかやっても盆踊り踊れる人ってそんなにいないじゃないですか。
意外と若い子恥ずかしがって来ないですからね。
ホランさん盆踊り踊った事あります?私ちょっとしかないんですが「月が出た出た」ぐらいしか分からないんですけど私も盆踊りとか民俗踊りみたいなものが分からなくなってる人の一部だと思うんですよ。
そして村に代々伝わる古い民謡や舞曲中にはね曲の名前さえも付いていないような小さな音楽を一つずつ丁寧に集めていったのが今日ご紹介するバルトークという作曲家なんですよね。
それではここでホランさんに「ららら♪クイズ」。
バルトークが集めた民謡の数一体どれくらいだったと思われますか?でも200はないと思うんですよ。
一生かかってるので。
でも2万もないんじゃないですかね。
間を取って2,000で。
無難なところきましたね。
アハハハ!正解は…え〜!2万曲!?そんなに民謡ってあるんですか?そうなんですよね。
その事にも確かに驚きがありますよね。
この採集にとても役立ったのはなんと蓄音機。
ちょうどねエジソンが開発したばかりの蝋管式のものを持って回ってそれで録音をして。
バルトークにとってはね便利な蓄音機なんですけれど民謡採集に関しては苦労の連続だったんですね。
それでは実際彼がどんなふうに民謡を集めていったのか見ていきましょう。
バルトークが生まれたのは1881年…ブダペストの王立音楽院でピアノと作曲を学び早くからピアニストとして高い評価を得ていました。
24歳の時そんなバルトークの音楽人生を大きく変える出会いが訪れます。
(民謡)下宿先である女性が口ずさんでいた素朴な民謡。
それまで聴いた事がなかった音楽にバルトークの心が震えました。
楽譜にも記されていない小さな歌。
それはバルトークには手つかずの宝のように思えました。
そして多くの人が見過ごしてきたその宝を大切にしなければと考えるようになったのです。
彼は埋もれている民謡を記録するため重い蓄音機を手に遠くの村まで出かけました。
しかし村にたどりついたバルトークを待っていたのは苦労の連続でした。
何よりも難しかったのが村人に信用してもらう事。
都会から来た見慣れない訪問者に村人たちはなかなか心を開いてくれません。
宿が見つからず時には野宿となる事も…。
何とか信用してもらおうと農作業を手伝う事もありました。
積極的に人が集まる場所へ通ったバルトーク。
村での日々を重ねるうちに村人たちは少しずつ彼に心を開くようになったのです。
こうして村人たちの信頼を得たバルトーク。
彼の熱意に打たれ一人また一人と歌を録音させてくれるようになりました。
その瞬間はまるで「歌のなる木」が表れたよう。
目の前で探し求めた村の民謡が次々に響いたのです。
こうした地道な努力を何度も何度も繰り返しました。
実際にバルトークが録音した貴重な音楽が残されています。
ちょっと聴いてみましょう。
バルトークが集めた民謡はおよそ2万。
そのどれもが彼にとってかけがえのない宝となりました。
今日の名曲「ルーマニア民俗舞曲」は彼のふるさとトランシルヴァニアで集めた旋律をもとに作られたものです。
村人が奏で歌い継いできた音楽。
それこそがバルトークの創作の力となったのです。
なんか僕イメージ全然変わりましたね。
ルーマニアのですか?いえいえバルトークの。
こうやって農民の間に行ってお酒飲みながら曲を集めてたのかって思うとバルトークっていいやつだったんだと思います。
結構地道な作業ですよね。
その土地に足を運んで知ってもらって仲良くなって初めて聴かせてもらえるんですもんね。
ホランさんそういうの得意ですか?知らない人と話をしてっていう…。
私は中途半端に飛び込んだり出かけたりするよりも全く知らない土地に行ったりとかそういう大胆な行動は好きなんですよ。
なのでバルトークちょっとかっこいいなって思いますね。
その民謡収集でもう一つ大変だったのがやっぱり先ほどの蓄音機。
村人たちは…あ〜なるほど!見た事もない機械に対する恐怖心というのもあったそうなので。
でも農民の立場からしたら怖いですよね。
いきなり首都のブダペストからやって来た偉い音楽の先生が見た事のない機械に向かって歌えって言うんでしょう?でそれを再生すると自分の声が入っている。
そのころはそんなもの全く考えられないですから飛び上がったんじゃないですかね。
声を盗んだっていうね。
そんな中で2万曲ですよ。
頑張りましたねバルトーク。
ほんとですよね。
クラシックにまつわる素朴な疑問にお答えしま〜す!答えて下さるのはこのコーナーではおなじみ!クラシック音楽では…例えばバイオリンですけれどもこのように構えます。
で左手で音程を変えて右手で弓を持ちますがこれがもし反対の利き手だったらどうなってしまうかといいますとそもそもどうやって持ったらいいのかも分からない感じですが…こんな感じになってしまうわけですね。
これ何が困るかといいますとオーケストラのようにバイオリンがたくさん並んでいたりしますと…非常に不都合なわけです。
ちなみにチャップリンは左利きでして映画の中で特注のバイオリンを使って逆さに楽器を持っています。
よこまいさんみぽりんさんお分かり頂けたでしょうか?番組ではクラシックにまつわるあなたの疑問・質問をお待ちしていま〜す!今日の名曲は…彼は民謡を集めるためならどんな苦労にもめげない男でした。
バルトークのふるさとは民謡の宝庫。
民謡は彼の創作の力となったのです。
そしてその民謡に彼は絶妙なスパイスを加え新たな音楽をつくり上げました。
ここからはそんなバルトークのテクニックに作曲家の美濃さんがググッと迫ります。
キーワードは「魅惑のスパイス」。
「魅惑のスパイス」。
何でしょう?この「ルーマニア民俗舞曲」でバルトークは…でもポイントは…スパイスその1…まずはですね第1曲先ほどからかかっています「棒踊り」という曲ですね。
彼が譜面に書き起こしたものが残っていますのでちょっとそちらを弾いてみます。
左手に特に注目して聴いていて下さい。
これをバルトークがどんなふうにアレンジしたかというと…。
そうなんですよね。
かなり鍵盤をたっぷりとこう音域を膨らませてしかも…。
左手の伴奏部分も1拍目以上に2拍目に…。
重みがしっかりくるように和音になっていたりそれから「装飾音」といってね…。
ポロロンみたいな。
こういうスパイスも効いてますので非常に…スパイスその2…生ハムメロン召し上がった事ありますか?あります。
ああいう感じですか?あれを是非思い出して頂きたい。
すごい。
バルトークと生ハムメロンが比べられるなんて。
メロンは甘いんだけどなんか生ハムの塩っ気で「ん?これは一体何だ?」みたいなどっちなんだろうみたいな感覚にちょっと陥りますよね。
ああいう不思議な感覚になるのが第5曲「ルーマニアのポルカ」。
それがこちらです。
この曲はもともと「変拍子」といって一つの曲の中で拍子が変わるんですね。
3拍子と2拍子が混じり合ってるメロディーなんですけれども最初が3拍子。
最後だけ2拍。
まずは3拍子3拍子2拍子というのがどんな感じのリズムなのかというのを手拍子で…。
(手拍子)「12312312」という拍の頭を是非たたいて頂きたいと思います。
さんはい。
(手拍子)おっいいじゃないですか。
今の出来てたの?へぇ〜!ではバルトークが使っているリズムそれを一度ご紹介します。
いいですか?
(手拍子)タタタタタタタタタタタタタッタラタンタン。
頭2拍は裏です。
タタタ…3拍目は頭に来ます。
ウンチャウンチャチャウンチャウンチャチャ…。
ウンチャッチャ。
なるほど。
ウンチャッチャ。
オーケーです。
ではいきますよ。
さんはい。
(手拍子)あれ?ああ〜最後ずれた。
どっちですか?どっちが?犯人は衣良さんですね。
まあいいじゃないですか。
これ難しいね。
そうなんです。
そもそも変拍子という時点で拍子が分かりにくくなるうえにこのように裏なら裏に行ってくれればいい左手のリズムが裏裏表みたいになってくるのでよりこうなんか今どこにいるのかこれは甘いのかしょっぱいのか…生ハムメロン!みたいな感じ。
そういう意味だったんですね。
なるほどね〜!振り回されるか…。
ちょっと恋愛に似てますね。
あ!バルトークはじゃあ恋愛上手だったかもしれません。
駆け引きとかちょっとうまかったんじゃないですか?ホランさんが振り回されるタイプだってだけでしょ。
(笑い声)あれ〜?あれれれれ?フフフフ。
でもねこの作品6曲ともに共通しているのはメロディーはそれぞれの曲で1つとか2つぐらいしかないんですがそこに伴奏のアレンジで音の重ね方を細かくデリケートにしていく事によってとても多彩な作品になってるという事なんですよね。
もしかしたらこういうふうなアレンジを加えなかったら今まで生き残らなかった曲もきっとあるはずだと思うのでさすが。
それではバルトークの「ルーマニア民俗舞曲」金子三勇士さんの演奏でどうぞ。
(拍手)いやぁ…なんかほんと一曲一曲は短いんですけど全く違った表情ですよね。
ほんとですね。
あのトランシルヴァニア地方の景色だったりとか天気だったりとか季節とかこう時間経過みたいなものもすごく浮かんできてなんかこう想像が膨らみました。
でも舞曲がもとになったようなものに関してはリズムのキレが良くて胸がすくようでしたね。
三勇士さんの演奏ね。
でもそこに流れてる根底のほんとに歌い継がれた歌の力というかメロディーの力というのはすごいあるんでしょうね。
そうですね。
今日はねピアノで原曲どおりに演奏して頂いたんですけどこれオケで聴いてもいいしバイオリンで聴いてもいいし吹奏楽で聴いても全部に魅力的なんですよ。
それをね今度また別の形で是非聴いて頂きたいです。
バルトークのふるさとから世界中に広がったメロディー。
小さな民謡に秘められた大きな力ですね。
2014/07/14(月) 10:25〜10:55
NHKEテレ1大阪
ららら♪クラシック「埋もれた宝を探して〜バルトークの“ルーマニア民俗舞曲”」[字][再]
作曲家バルトークは民謡コレクターだった!?彼の音楽人生を変えることとなった民謡との出会いとは?採集したシンプルな音楽に彼なりのスパイスを加えてみると…。
詳細情報
番組内容
今回はバルトークのルーマニア民俗舞曲。作曲家バルトークは無類の民謡コレクターだった!?彼の音楽人生を変えることとなった運命的な音楽との出会いとは?さらに、バルトークは探し求める音楽のためならどんな困難にもめげない男だった。祖国ハンガリー周辺を訪ね歩き、集めた民謡は膨大な数だった。そして採集したシンプルな音楽に、彼なりのスパイスを加えることで個性的な音楽を生みだした。その名曲の秘密とは。
出演者
【出演】ピアニスト…金子三勇士,【司会】石田衣良,加羽沢美濃,【語り】服部伴蔵門,ホラン千秋
ジャンル :
音楽 – クラシック・オペラ
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
劇場/公演 – ダンス・バレエ
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音声 : 2/0モード(ステレオ)
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