福島をずっと見ているTV・選 vol.37「僕の仕事は、ふるさとの除染」 2014.06.29

(合原)どうもこんにちは。
(箭内)こんにちは。
東京で会うの初めてじゃない?初めてです。
「福島をずっと見ているTV」。
今回の舞台は前回に引き続き南相馬市です。
町の中心部が東電福島第一原発から25km。
南相馬市は原発事故が生んだたくさんの課題と今も日々向き合わざるをえない町の一つです。
市役所の除染対策課。
もちろん震災前にはなかった部署です。
14人のベテラン職員が仕事をしていますが中に一人だけ今年4月に入ったばかりの新人がいます。
働き始めて2か月。
戸惑う事ばかりです。
学生時代と何よりもイメージが違ったのは除染の事。
遅れの訳は何でしょうか?今日は新米職員が見つめた除染の今。
収録では担当として自分が抱える葛藤を素直に語ってくれました。
南相馬市の人口は原発事故のあと一時は1万人にまで減りましたが今では5万人を超えるまでになりました。
しかし若い世代はまだ4割が避難したままです。
この日光井さんはまだ新しい作業着姿でした。
研修を兼ねて除染の現場に視察に行くというのです。
個人のお宅の庭の除染が行われていました。
表土を削り取り真っさらな土と入れ替えます。
こうした個人宅を除染するには…かかるお金は人件費だけではありません。
除染した土などを入れる袋の単価は6,150円。
QRコードで管理されどこの土を入れたものか分かるようになっています。
このお宅の庭の除染には画面で確認できるだけでも11袋が使われていました。
これだけお金と時間をかけても…大変だっていう感じ?あの時の。
ほんとにいつ終わるんだろうというような。
さっき一つ一つお金が出てましたけどもね。
ちょうどこれがあるから…はい1万6,000円程度ですね。
(光井)単純な作業員の日当で。
(箭内)一十百千万…。
(光井)1日ですか?
(箭内)あ〜すごい事になってる。
一十百千万十万百万千万一億十億…。
(光井)完全に放射線がなくなるというものでは…。
行政に就職をしてね市役所に入ってやっぱり僕見てても…結構現実の問題として…
(合原)そんなにずれるんですか?そこはやっぱり行政の体制というとちょっとあれですが…もとは田んぼだったこの仮置き場。
こちらは市が秋をめどに仮置きを始めたいと考えている予定地の一つ。
かつてはゴルフ場など市民のスポーツ保養施設として使われていました。
予定地の近くに住む人たちの気持ちは複雑です。
この予定地についての何度目かの住民説明会が行われる事になりました。
光井さんも参加します。
以前職員になって初めて出た説明会ではかなり厳しい意見もぶつけられたといいます。
この日の説明会。
それまで強く反対していた人たちは欠席していたという事です。
(箭内)あれやっぱり僕聞いてて印象的だったんですけど。
そういう事で結構お怒りを受けたっていう事で。
何か…何て言うんでしょう。
いろんな思い抱えたまま…
(光井)はい。
そうですね。
実際やってみると少数の人が犠牲になったうえでそれで除染って進めてるんだなというのを…。
当たり前の生活を壊してそれでそういう事なのかなというので。
休日のこの日光井さんに地元を案内してもらいました。
光井さんがかつて通った幼稚園。
玄関には張り紙が1枚。
「東日本大震災のため休園中です」。
幼稚園の隣。
小学校のグラウンドに子供の姿を見つけました。
それでも休みの日にもかかわらず広い校庭で遊んでいたのは3人だけ。
この日私たちが最もたくさんの親子連れを見かけたのがこちら。
除染した場所に人工芝が敷き詰められ土に直接触らなくても走ったり転げ回ったりする事ができます。
放射線の不安を少しでも減らして遊んでもらおうと市が今年3月オープンさせました。
ほんとにそれは思いますね。
思いは変わらないですか?
(光井)はい。
やっぱり希望があるから…そういう思いはあります。
ありがとうございます。
(笑い声)皆さんのご意見ご感想を番組ホームページから是非お寄せ下さい。
2014/06/29(日) 16:00〜16:25
NHKEテレ1大阪
福島をずっと見ているTV・選 vol.37「僕の仕事は、ふるさとの除染」[字]

今回、箭内道彦さんが出会ったのは、南相馬市役所除染対策課の新人職員。「故郷に若者を戻したい」と日々業務にあたるが、除染には様々な課題が…。葛藤を素直に語る!

詳細情報
番組内容
今年4月、南相馬市役所の除染対策課に一人の新人職員が入りました。「ふるさと南相馬に若者が帰ってきてほしい」。その思いを胸に、あえて“除染”という仕事を希望したそうです。大学時代は「さっさと進めればいいのに…」と思っていた除染でしたが、実際に担当してみると大違い。なぜ難しいか、なぜ進まないのか、収録では素直に語ってくれました。ふだんはあまり聞くことがない、除染担当者の胸の内です。
出演者
【司会】箭内道彦,合原明子,【語り】相沢舞

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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