米国経済が復調してきた。4~6月期の実質国内総生産(GDP)は年率で前期比4・0%増。個人消費や企業の投資が伸びた結果だ。

 とはいえ、回復の足取りはそれほど力強くはない。7月の失業率は6・2%。リーマン・ショック後で最悪だった2009年10月(10・0%)からは改善したが、06~07年の4%台には届いていない。

 景気の回復に必ずしも内実が伴っていないのは、中央銀行の連邦準備制度理事会(FRB)が量的緩和政策で市場にお金を行き渡らせ、経済を押し上げてきたからだ。

 気になるのは、その副作用が見え始めたことだ。

 米国では今、新規株式公開が増え、ITバブルがはじけた00年以来の盛況だという。

 株式市場について、FRBは議会に出した報告書で、ソーシャルメディアとバイオテクノロジー業界を名指しし「比較的小規模な企業に、株価が大幅に割高になっているものがある」と異例の指摘をした。イエレン議長は、格付けが低い企業への融資条件などが著しくゆるんでいると警告する。

 所得や返済能力が低い利用者向けの「サブプライム自動車ローン」も増えているという。

 いずれも、金余りを背景に、リスクには目をつぶって少しでももうけようという行動だ。

 金余りの影響は国境を越える。「投機的」と格付けされているセネガルが最近発行した国債にも、発行額の8倍の応募があった。

 国際決済銀行(BIS)は年次リポートで「中央銀行の金融政策の(量的緩和からの)正常化が手遅れになることのリスクを、過小評価するべきではない」と指摘した。

 一方、正常化を急ぎすぎるのも危険だ。国際通貨基金(IMF)はリスクとして「想定より早期の利上げ」を挙げる。米国の利上げなどで金利上昇圧力が高まれば、世界経済の足を引っ張りかねない。昨年からの量的緩和の縮小過程では、新興国の通貨が連鎖的に下落するなどした局面が何度かあった。

 FRBは、量的緩和のための米国債などの追加購入を10月にはやめ、来年半ばには利上げに向かうとみられる。バブルを思わせる市場の動きには、金融機関への監督を強めることで対処する方針だ。

 FRBは政策運営に慎重を期すとともに、市場の誤解を招かないために、政策の方向性や狙いを明確に発信するよう努めてほしい。