NHKスペシャル「集団的自衛権 行使容認は何をもたらすのか」 2014.07.13

生字幕放送でお伝えします今月1日。
戦後の安全保障政策の転換点となる決定が行われました。
集団的自衛権の行使が容認されたのです。
やっと、ここまでくることができた。
大きな、大切な一歩を記すことができたと。
決定に至るまでに11回にわたって非公開で行われた与党協議。
考えが異なる2つの党が際どい駆け引きを繰り広げました。
行使容認を目指す自民党。
慎重な姿勢を堅持してきた公明党。
何が話し合われ何が課題として積み残されたのか。
当事者たちが証言しました。
総理をはじめ私たちの強い願望がありますと。
深刻な顔をして聞いていただきましたんで。
まあ、非常に揺さぶりがいろんなところからあって。
ぎりぎりの線を模索するという責任感でずっとやっておりました。
この問題をですね数で押し切るとかあるいは初めから時間で押し切るとかこういうことがあってはいけない問題だという危機感がございました。
わが党も憲法解釈を変えるわけにいかんわけですから。
どういうふうに決着をつけるのか苦しんだし悩んだりしましたですね。
今回の決定によって自衛隊の海外での活動は大きく拡大する可能性があります。
東アジア情勢の緊張が高まる中そのことは日本に何をもたらすのか。
岐路に立つ日本の安全保障。
その行方を見つめます。
これまで憲法9条のもとでは行使は許されないとしてきた集団的自衛権。
安倍政権は憲法解釈を変更し集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定しました。
その背景には海洋進出を強める中国や弾道ミサイルの発射を繰り返す北朝鮮の動向など日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増しているという現実があります。
集団的自衛権とは日本と密接な関係にある国が攻撃を受けた場合日本が反撃する権利のことです。
これまでは日本が攻撃された場合にしか武力の行使はできませんでしたが今後、法整備が行われれば直接、攻撃を受けなくても同盟国、アメリカなどが攻撃を受けた場合に武力が行使できるようになります。
日本の安全保障政策は大きな転換点を迎えたといえます。
連立政権を組む自民党と公明党は1か月あまりにわたって与党協議を行い当初、慎重な姿勢を崩さなかった公明党は最終的に行使容認に転じました。
集団的自衛権の行使容認は何をもたらすのか。
それを考えるうえでもまずは立場が違う両党の間でどのような駆け引きや攻防があったのかを見ていきます。
集団的自衛権の行使を認める閣議決定から3日。
安倍総理大臣は、今回の決定は日本の安全保障にとって不可欠だったと語りました。
日本の平和を守るためには何か事態が起こる前に平素からですね、そうした対応ができていることがですね日本をより安全にする。
国民のお命をより守ることができる体制につながっていくと思うんですね。
日本をめぐる安全保障環境はずいぶん厳しくなっています。
ですから、私は、むしろ一日も早く作るべきだと。
国民の賛否が分かれる中安全保障政策の大転換に踏み切った安倍総理大臣。
強いこだわりの原点は半世紀前にさかのぼります。
安倍総理大臣の祖父岸信介元総理大臣です。
大規模な反対運動の中日米安保条約の改定を断行しました。
岸元総理が目指したのは対等な日米関係。
基地を提供する代わりに日本を防衛する義務をアメリカに課しました。
あのとき、祖父もこれは間違いなく平和に資する国民の命を守ることに資するという確信と信念を持っていたと思いました。
相当、毎日、デモ隊に押しかけられるという状況が当時は続いていましたからね。
もちろん今度も同じだと言うつもりはありませんけれどもこの今回のですね、閣議決定はまさに目的は同じでして平和を守り、国民の命と幸せな生活を守るために必ず私はですね、役に立つとそう確信をしています。
5月。
安倍総理大臣の強い意向を受け自民党と公明党との間で与党協議が始まりました。
当初、期限を決めずに話し合うとされていました。
自民党を代表して協議に臨んだのは高村正彦副総裁。
公明党の責任者は北側一雄副代表です。
ともに弁護士出身の2人。
与党協議に加え水面下でも10回以上にわたって交渉を重ねました。
しかし、協議は序盤から前に進みませんでした。
政府が提示した事例について時間をかけて検討が行われたためです。
当然、その一つ一つにですね詰めた論議をするのは当たり前の話だと思うんです。
だから、そういう中で一個一個論議をしていることがですね自民党側から見るとねなんか、議論を先送り…引き延ばしているんじゃないかと思われたかもしれませんがそんなつもりは毛頭ありません。
その中で果たして一致点が見出せるのかというわれわれは考えてましたよね。
このペースでいくと数か月先にまで結論が出ないぞと。
かなり先でもいいと公明党の方たちが思ってるのではないかなという危惧を私は持ちました。
安倍総理大臣には結論を迫る理由がありました。
今後の日本の安全保障の柱となる日米防衛協力の指針ガイドライン。
年末までに行う17年ぶりの見直し作業に集団的自衛権の行使容認を反映させたかったのです。
5月23日。
高村副総裁は都内のホテルで公明党の2人の幹部に会い安倍総理大臣の意向を伝えました。
2人…北側さん、漆原さんに申し上げた。
で、お二人は分かったとは言わなかった。
だけど、そんなことはとても無理だとも言わないで深刻な顔をして聞いていただきましたんでどうしてもやらなきゃいけないということは強く入ったと。
公明党側に強く入ったと思います。
1か月で結論を出してほしいという事実上の通告。
期限を設けないという当初の方針は改められました。
公明党は1964年の結党以来平和を党是に掲げ憲法9条を擁護する姿勢を打ち出してきました。
自民党と連立を組んでからも憲法に対する考え方は自民党とは一線を画していることを強調してきました。
(聴衆)公明党!日本再建は…。
公明党!5年前、党の代表に就任した山口那津男氏。
安全保障政策に精通しています。
政権を奪還したおととしの衆議院選挙でも自民党に歯止めをかけることを有権者に約束していました。
山口代表は与党協議が始まっても慎重な姿勢を崩しませんでした。
そんな中で行われた党首討論。
山口代表の前で安倍総理大臣はあえて自分に賛同する野党の名前を挙げました。
党の理念と連立与党の代表としての立場。
山口代表は、そのはざまで苦悩を深めていました。
そういう厳しい場面だったと思います。
それは家族にもある意味で見せられない。
そういう厳しい自分との葛藤という面もあったかもしれません。
与党協議の議論が緊張感を増す中長くパイプ役を担ってきた2人の幹部が調整に乗り出しました。
公明党の漆原良夫国会対策委員長と自民党の大島理森前副総裁。
相手の党の本音を探り合っていました。
お互い看板を取り合いっこだなと。
総理は集団的自衛権っていう看板欲しい。
わが党は平和の党という看板欲しい。
これ両立しないと思ったんですよ。
どういうふうに決着するのか大変困ったというふうに思っていました。
それじゃ賛成する他の政党と一緒にやるかと。
これは政治の安定上絶対失敗します。
私の経験からして。
それは、新しく生まれた政党というのはまた分裂したりなんかするのはもう時々あってるわけですからやっぱり安定性という意味でそれはいけないしやっぱり公明党さんと、とことんやっぱり、お話し合いをさせていただくしかないとこの問題は。
集団的自衛権をめぐる駆け引きが今後の選挙にまで悪影響を与えるのではないか。
危機感を募らせていたのが自民党の石破茂幹事長です。
選挙協力を続けていくためにも公明党への配慮が重要だと考えていました。
(記者)なんか交渉の進め方公明側をちょっとこうなんていうんですかね…。
この問題での決裂を避けたい自民党と公明党。
その思惑がぎりぎりの合意点を探る動きへとつながっていきます。
集団的自衛権の行使容認は歴代の自民党政権にとって越えられない一線でした。
しかし、湾岸戦争をきっかけにこれまでの見解を見直すよう求めるアメリカの圧力が高まりました。
当時の総理大臣海部俊樹さんです。
自衛隊の派遣を繰り返し求められたといいます。
日本もこれからわれわれのテーブルの仲間になることになるんだと。
だから俊樹、踏み切れよと。
ブッシュからはそういう趣旨の電話がしつこくありました。
海部さんは、対応を誤れば日米同盟を揺るがしかねないと危惧しながらも、憲法解釈には手をつけるべきではないと考えていたといいます。
専守防衛というのは専ら防ぐ国と国民を守るこれ、基本理念でしょう。
それを守ってやってきたわけであってそれは、やっぱり乗り越えては平和国家とは言えなくなるんですよ。
だから僕は、やっぱりそれは守っていかなきゃならんと。
これは、うそも隠しもなくそういう教育を受けて政治家になりましたから。
湾岸戦争から20年あまり。
核やミサイルの開発を進める北朝鮮。
海洋進出を強める中国。
安倍総理大臣は東アジアの安全保障環境は厳しさを増していると指摘しています。
歴代の政権が踏襲してきた集団的自衛権は行使できないとする憲法解釈を変更し抑止力を高めたいとしているのです。
6月13日。
この日、行われた6回目の与党協議で事態が大きく動きました。
公明党の北側副代表が初めて憲法解釈の変更を容認する可能性に含みをもたせたのです。
解釈の変更は、一切だめだと言ってるわけではございません。
従来の長年の政府見解との論理的な整合性が本当に保たれているのかどうかと。
そこに私はポイントの大きな一つがあるんだろうというふうに思っております。
なぜ、北側副代表は容認に転じたのか。
実は、この4日前の夜高村副総裁と北側副代表は都内でひそかに話し合っていました。
このとき、北側副代表はある条件を提示します。
集団的自衛権の行使は認められないとしてきた従来の政府見解。
そこにある「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされる」という表現を閣議決定に盛り込んでほしいというものでした。
このことばを入れることで従来の憲法解釈との整合性を取り歯止めにもなると考えたのです。
あくまでも自国防衛のためのやむをえない措置としての自衛の措置として認められると。
憲法9条のね精神というものをですねきちんと維持をしていく中での枠内でのですねぎりぎりの判断でいけたんじゃないかと私は思ってるんです。
こういう話がありましたので。
この案を作るのには北側さんの意見がかなり入ってる。
かなり入ってる。
ほとんど北側さんの意見を丸のみしてるわけですよ。
高村副総裁と北側副代表の会談から2週間あまり。
公明党のすべての都道府県の代表者が党本部に急きょ、呼び出されました。
近くには集団的自衛権の行使容認に反対する人たちが集まっていました。
4時間近くにわたって非公開で行われた会議。
地方からは多くの反対意見が挙がりました。
反対が多いと。
ただ、よく聞かされてないから何がなんか分かってないから。
戦争へ突き進んでいくんじゃないかっていうような声はありますけどね。
公明党の議員たちは支持者や地元の人々への説明に追われていました。
おととし、初当選した輿水恵一衆議院議員です。
集団的自衛権の行使を容認するつもりなのかと厳しく問われていました。
絶対守るべきところっていうことはしっかりと自覚をしながらそこの部分は主張をしていきたい。
6月下旬、執行部は連日、党内協議を開き議員たちに理解を求めていました。
しかし、反論の声はなおも残っていました。
なぜ、合意を急ぐのか。
質問に対して執行部の一人がこう答えたといいます。
この発言に、出席者たちは押し黙ったといいます。
6月30日公明党としての判断は執行部に一任され自民党との合意が事実上、成立しました。
自民党内では今回の閣議決定に至るまで政府の方針に反対する意見はほとんど出ませんでした。
反対の声を上げた村上誠一郎衆議院議員です。
どうしても集団的自衛権の行使が必要というのであれば正々堂々と憲法改正を主張し最終的に国民の判断に委ねるしかないと考えています。
自民党内で、ほとんど反対意見が出なかったことに公明党の山口代表は違和感を抱いていました。
どうして自民党がこうなってしまったのかなというのはいささか残念な面がありました。
私がPKO協力法に携わったころは、自民党の中には多様な意見がありました。
そして、それがどんどん表に出て自民党の中で議論が闘わされました。
われわれとも、やりました。
ところが今回の場合はですね議員をお辞めになった自民党のOBの方はいろんなご意見を出されますけれども肝心な現職の方々はですねそういう意見がなかなか出てこない。
これでいいのかというのは政治全体としてはね感じる部分がありますね。
しかし、それは自民党の取り組むべきことだと思います。
1か月あまりの話し合いの中で自民・公明両党が着地点を探った集団的自衛権の行使容認。
山口代表は、今回の閣議決定では従来の憲法解釈との整合性は維持されたとしています。
その憲法の枠というものをしっかり固めるということと守るということと一方で、その安全保障環境の変化に対応すると。
その両方の目的を達成するということこれが政治家として大事な責任なんだということを考えながら対応したわけです。
こうした、ぎりぎりの線を模索するという責任感でずっとやっておりました。
しかし、実際に自衛隊の活動がどこまで広がるのか。
両者の認識に隔たりも残されています。
その一つが、中東などで戦闘が行われているさなかでのシーレーン・海上交通路の機雷の掃海活動です。
戦闘が行われている最中のですねそういう機雷の掃海業務を果たして今の要件のもとで中東のほうでですねできる事態というのはこれは相当、極限的な状態だと思うんですよ。
機雷がまかれたというだけでねじゃあ、それで今、申し上げたような要件に該当するかというと直ちに該当するとはとても思えません。
(記者)シーレーンの機雷掃海なんかでは議論になりましたけれどもこれはできると、お考えですか。
できますよ。
できるできないという議論とやるべきかやらざるべきかって議論があってねそれは、やはりやるべきではないのかと。
一人も傷つけず一人も傷つかずということはそれは最大の配慮はします。
最大の配慮もしますがなおそれでも戦うということがあってその気概がありその備えがあって初めて排除できる他国の侵害っていうのはあるんじゃないんですか。
自衛隊の役割が拡大することで犠牲が出る可能性についてどう考えているのか安倍総理大臣に問いました。
当然ですね自衛隊の活動の幅は広くなります。
しかし、自衛隊の諸君は常に日本人の命を守る日本という国を守るためにその任務を完遂するために身をもってその任務を完遂するという宣言をして日々任務に当たっているんですね。
まさに彼らの仕事ぶりに私は感謝をしていますし私もですね彼らの最高指揮官としてですね常に責任は感じているところであります。
自民党と公明党は集団的自衛権の行使容認では合意したものの具体的な法整備に当たっては議論が再燃することも予想されます。
今回の閣議決定では新たな要件を満たす場合には集団的自衛権の行使が認められるとしています。
そして政府は実際に武力の行使に踏み切るかどうかは時の内閣が事態の状況を踏まえ総合的に判断するとしています。
このため自衛隊の活動範囲が際限なく広がるという懸念が出ています。
これに対し、安倍総理大臣は武力行使は自衛のための必要最小限度に限るとし湾岸戦争やイラク戦争のような戦闘行為に参加することはないとしています。
ここで今回の閣議決定に対する野党各党の見解を聞いてみます。
国民になんにも事前に説明せずにですね突然といっていいほどこの短期間に安倍総理を中心に集団的自衛権の行使を容認する方向に入ったと。
これはまさに立憲主義に反する行為でありますからそういうことから私たちはこの閣議決定を撤回すべしとこのように申し上げているとこです。
日本の安全、国民の命と財産をどう守っていくかということを考えなきゃいけない。
自衛力を高めなければいけないと。
そういうことの中で集団的自衛権という話も捉えてわが国の平和と安全を守るためには必要だということであります。
9条の範囲内に集団的自衛権の最小限度の行使というものは当然、憲法上も認められるというふうに考えます。
自分の国を守るためにですね他国と協力をしていくという体制はですねなるべく早く整えておかないとやはり日本の安全・平和にとっては大きな脅威が生まれてくると。
中国や北朝鮮の状況などを見ればこういう国際情勢の変化などで時代に合わせた憲法解釈をしていくということは当然、あることだと思っているし抑止力を持っていくということは大切で、その抑止力を向上させるということには集団的自衛権の容認はつながるものだというふうに考えています。
海外で戦争することができるようにするというのが集団的自衛権の行使ですからもう日本の国の在り方を180度変える。
殺し、殺される国にするとこれは憲法破壊のクーデターともいうべきものですね。
断固反対です。
撤回すべきですね、閣議決定は。
集団的自衛権行使容認というのがあくまでも日本の防衛のために必要不可欠。
もっというならば個別的自衛権と重なり合う範囲の集団的自衛権の話なのかということを、しっかりと縛りをかけていかないと憲法が、ざる法になってしまうと。
手順が非常に拙速だったという感じを僕は持っています。
集団的自衛権はそれは、だめだと。
戦争への道だからだめだということで憲法9条で、きちっときて世界にも、それを宣言しある意味では世界の評価を受けてきた。
一内閣が閣議決定でこのような形になったというのは本当に許されないし、残念です。
集団的自衛権の行使っていうのは憲法9条のもとで許されないと。
憲法を全くないがしろにするということならば憲法の存在意味もない。
あるいは憲法改正の手続きもいらない。
これは思い上がり立憲主義を破壊をする近代国家のルールを破壊をする行為ですからこれはもう許されざる中身ですね。
野党各党の反応は賛成、反対に分かれています。
積極的平和主義を掲げる安倍政権が踏み切った集団的自衛権の行使容認は何をもたらすのか。
行使容認を歓迎するアメリカ。
20年前に集団的自衛権の行使を容認したドイツ。
そして、日本。
それぞれの安全保障の専門家に聞きました。
アメリカは日本に対し長年、集団的自衛権の行使容認を望んできました。
ことし4月に来日したオバマ大統領は行使容認を目指す安倍政権の姿勢を歓迎しました。
オバマ政権で安全保障政策に携わってきたウォレス・グレグソン氏です。
かつて、沖縄に駐留するアメリカ軍の最高責任者を務めその後、国防総省でアジア太平洋地域の安全保障政策を統括する高官を務めました。
東アジアの安全保障環境が厳しくなる中アメリカ軍には自衛隊の協力が不可欠になっていると指摘します。
現在、ハワイで行われているリムパック・環太平洋合同演習。
ことし、日本の陸上自衛隊が初めて参加しアメリカ軍と共同で離島を想定した上陸訓練を行いました。
アメリカは、こうした訓練を重ね自衛隊との連携の強化を加速させようとしています。
日本と同様に第2次世界大戦で敗戦国となったドイツ。
NATO・北大西洋条約機構の域外に軍を派遣することを事実上、禁じていました。
しかし、湾岸戦争で財政支援に頼り小切手外交と非難を浴びたことをきっかけにNATO域外にも軍を派遣できるという方針を打ち出したのです。
そして、議会などでの4年にわたる議論を経て集団的自衛権の行使を容認しました。
2001年、アメリカで同時多発テロが発生するとドイツは集団的自衛権を初めて行使し軍を派遣しました。
その後、国連の枠組みのもとアフガニスタンでの後方支援などに参加しましたが戦闘に巻き込まれるなどして50人以上が犠牲となっています。
専門家は集団的自衛権の行使によって国際的な地位は高まるものの日本の政府や国民は犠牲者を生むリスクも認識すべきだといいます。
また、ドイツが軍の海外派遣を決めた背景には周辺国と築いてきた信頼関係もあったと指摘します。
では、自衛隊の元幹部はどう見ているのか。
かつて陸上自衛隊15万人を率いた冨澤暉さんです。
陸上自衛隊初の海外派遣となったカンボジアのPKO・国連の平和維持活動に隊員を送り出しました。
退官後、日本防衛学会の副会長を務めるなど安全保障政策や自衛隊の海外派遣の在り方について研究を続けてきました。
冨澤さんは国防費を削減するアメリカが集団的自衛権の行使を今後、強く求めてくると指摘します。
海外での活動が拡大する可能性がある自衛隊。
冨澤さんは、今回の閣議決定に理解を示しつつ政治の責任の重さを指摘します。
敬礼!戦後日本の安全保障政策の大転換となる集団的自衛権の行使容認。
政府は実際に行使できるようにするための法律の改正案を来年の通常国会に一括して提出する見通しです。
国会では、あすと、あさって衆議院と参議院の予算委員会で閉会中審査が行われます。
政府は、どのような場合に集団的自衛権を行使することになるのかより具体的に説明を尽くしていく必要があります。
NHKの世論調査ではこの問題で賛成、反対より賛否を判断できないという人が最も多いという結果が続いています。
国民の理解が深まるよう国会での丁寧な議論が求められます。
♪〜♪〜2014/07/13(日) 21:00〜21:50
NHK総合1・神戸
NHKスペシャル「集団的自衛権 行使容認は何をもたらすのか」[字]

戦後の安全保障政策の大転換となった集団的自衛権の行使容認。決定に至る舞台裏に迫るとともに、海外の事例も交え、今後の日本に何をもたらすのかを考える。

詳細情報
番組内容
戦後の安全保障政策の大転換となった集団的自衛権の行使容認。憲法解釈を変更する閣議決定に至る舞台裏では、自民・公明両党の間で、憲法解釈の変更や“歯止め”などをめぐって様々な協議が行われた。なぜいま集団的自衛権の行使容認なのか。自衛隊の活動はどう変わるのか。キーパーソンへの取材から、今回の決定までの動きと背景に何があったのかを検証。海外の事例も交え、今回の決定が今後の日本に何をもたらすのかを考える。

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