新世代が解く!ニッポンのジレンマ「僕らのキャリアデザイン論」 2014.06.29

「キャリア」職歴や経歴を意味するこの言葉の存在感が若者の間で高まっている。
大学の就職課はキャリアセンターへと呼び名を変えキャリアデザインという学問分野も生まれている。
キャリアの入り口就職活動は社会人になるための通過儀礼か。
若者たちは自らの市場価値を分析し社会に差し出す。
「自分は何者か」という問い。
それは複雑化している。
一方企業側も「即戦力」や「コミュ力」といった価値基準でプレッシャーをかける。
個人と組織のキャリアを巡るジレンマがそこにある。
4月は「人材育成」という大学の社会的使命5月は組織と個の関係性から会社活用術を語ってきた。
今回のテーマは「キャリアデザイン」。
個人が社会と出会う「就職活動」を巡ってユニークなキャリアの持ち主4人をスタジオに招いた。
外資系金融機関の内定を辞退。
日系総合商社のキャリアを選んだマルチリンガル。
ITを駆使したマッチング手法で転職市場に衝撃を与える女性起業家。
東大卒業後出家。
更に仏教界に経営革命を起こそうというMBA僧侶。
学生時代のベンチャー立ち上げ失敗を経て就活を研究する経営学者。
僕らはキャリアをどう積み重ねいかにして捨て去りまたどのようにデザインするのか?求められてる人間像みたいなのが…90年生まれも加わり新世代がニッポンのキャリア観の再定義を試みる。
今夜人生の指針が得られるかも。
「新世代が解く!ニッポンのジレンマ」6月のテーマは「僕らのキャリアデザイン論」です。
いつにも増してユニークなキャリアの皆さんをお呼びしております。
古市さんどうでしょう?キャリアデザインイメージは?僕就活もした事ないですよ。
だからキャリアとか考えた事ないんで今日黙ってます。
でも一応大学行って大学院進んでというのはあるじゃないですか。
友達と会社やったりとかキャリアの転機はあったんですけどでもそんなデザインとかした事ないんで。
キャリアデザインってそもそも何だろうなっていう。
じゃあ今日その感じを皆さんに聞いていきましょうね。
こういう事をすると「意識高い」とか。
自身の就職活動では就活生の憧れ外資系金融の内々定を蹴り老舗日系総合商社に入社。
趣味の語学では5か国語で話しマルチリンガルの世界に踏み出す勇気を広く伝える。
読者モデルを経験したりテキーラマエストロの資格を取ったりと多文化を楽しむ多彩なセンスの持ち主はキャリアデザインをどう考える?常にキャリアを考える時に日本の外を考えて意識せざるをえなかったのでちょっと今日はその辺からも。
今日はよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
そして続いては仲暁子さんです。
仲さんもう準レギュラーじゃないですか。
そうですねもう…結構出させて頂いて。
ありがとうございます。
外資系金融会社世界最大のソーシャルネットワーク企業を経て人材業界に殴り込む気鋭の女性起業家。
組織と個人をカルチャーでマッチングするモデルを構築しスペック偏重の転職市場に革新をたくらむ。
面白く働くために硬直したキャリアシステムをどうハックする?
(仲)よろしくお願いします。
続いては松本紹圭さんですがお坊さんでいらっしゃる。
はい見てのとおりです。
東大哲学科卒業後仏教はコンテンツだという発想で仏門を選んだユニークな僧侶。
これまで宗派を超えて集うインターネット寺院を立ち上げ都会の真ん中のお寺もカフェとして開放。
若者向けに仏教の認知度も高めてきた。
更にお寺には経営の概念が足りないとインドでMBAを取得。
若手住職にマーケティングを指南する起業家僧侶はどんなキャリア観を持っているのか?面白い経歴の持ち主なので。
出家ってなかなか…。
でもキャリアとして出家を選んでお坊さんになったわけですよね。
選択として。
(松本)そうですね。
かなりそういう意味では決心しましたよね。
そして服部泰宏さんです。
お願いします。
よろしくお願いいたします。
服部泰宏と申します。
そろそろやばいぞと。
学生時代ベンチャー企業を立ち上げるも失敗。
その経験を学問的に見つめ直そうと決意。
以来経営学に没頭している。
その専門は採用。
採用基準や需給のミスマッチを分析し科学的に検討する「採用学」を提唱する。
現行の就活システムを生んだ就職仲介業者とも共同研究。
データを集め就職活動の最前線からキャリアを分析する。
よろしくお願いいたします。
さあ早速なんですけれどもキャリアデザインという言葉なんですがどういう意味で使われてるんですか?僕はキャリアデザインした事がないんで。
キャリアってデザインできるんですかね?青井さんて考えた事あります?やりたい仕事とかやっぱりあるんですか?例えば紅白歌合戦がやりたいとかあったらそこに向けて何かをやっていくというやり方はあると思うんですけど運じゃないですかそこそこ。
(笑い声)どんな仕事に巡り合えるとかどんな人がいたかでなかなかコントロールできない部分も多いわけですよね。
テレビ見てる企業に属してる方も結局運みたいなところもあったりとかデザインしててもうまくいかなかったというのはあると思うんで。
ただ「キャリアデザイン」って言葉がこれだけ普及したからにはキャリアはデザインできるんじゃないかみたいな発想が共有されたからここまで普及した言葉なわけですよね。
「キャリアデザイン」っていつぐらいから使われるようになったんですか?日本の中では言葉としては90年代ぐらいだと思うんですね。
私がいろんな事を調べた結果として。
というのも1つは大体バブル経済が終わって日本企業がちょっと安定的じゃなくなってしまった。
しかも今までは会社に入ったら基本的にデザインとかしなくても一応会社が私たちの人生を何とかしてくれるだろうという期待もあったし会社の方も基本的には従業員に対して責任負いますよという時代がありましたよね。
学問的にはキャリアってデザインできる事になってるんですか?基本的にはいろんな考え方があるんです。
学問にもアメリカの王道の研究者なんかでも「キャリアはデザインすべきだ」という一派と「流されようじゃん」という一派と。
流されると単なるドリフターズではないんですけども要するにポイントポイントではグッと自分の事考えるんだけど基本的には出たとこに対して対応していったらいいよねという考え方といやいやキャリアはしっかりと考えましょうと1年後2年後3年後プランニングこそが大事ですという大きな2つの学派があって。
堀口さんドリフターズ知ってます?ドリフターズ多分でも今…あっ分かります!あのお笑いの…。
(笑い声)お笑いの…面白いですよね。
面白いですか。
よかったです。
けん…何だっけ?志村けんとか…。
志村けん!でも今のは「漂流する」って意味です。
議論がドリフトしたところで仕切り直したのは今回最年少90年生まれの堀口。
出演者たちのキャリア意識の芽生えとは?キャリアデザインってごめんなさい…デザインしないといけないものみたいなあるいはしてないと考えてないみたいになっちゃって。
でもそうじゃなくて私にとってすごく楽しい事だったんですよね。
将来の自分のビジョンとかこういうふうにできたらいいなというところに向かっていろんな方法がある。
どれを選ぼうかなどれだったら一番楽しいかなというのを考えて布石打っていってその点点をつないでいくのが日々の生活。
何歳くらいから考えたんですか?それがいい質問ではっきり覚えてるんです初めて考えたの。
(笑い声)いい質問頂きました。
イスラマバードパキスタンの首都に住んでた時なんですけど小学校3年生の時かな?…に初めて考えましたね。
40くらいの時の自分っていうのがパッてその時思い浮かんで。
そこに向かうために今イスラマバードにいて何もできないけどどうしようどうしようみたいな。
10歳やそこらでそういう事考えたわけですね。
そうですね。
きっかけがあったんですか?いや…。
急に?それは宗教的な啓示みたいな感じでもなく?「ふわ〜」みたいな?あるんですか?そういうの。
でも堀内さんはキャリアデザインをしてきたっていうふうに自分では言える。
そうですね。
イスラマバードも周りパキスタン人いっぱい住んでてイスラム教の国なのでキリスト教がむしろマイノリティーなんですけどキリスト教のマイノリティーのゲトーがちょうど家の真裏にあったんですね。
その人たちってどれだけ頑張ってもどれだけ人生楽しく生きようとしてもやっぱり制限されてるところがあってそういうの見るにつけて…。
自分はたまたまそういうのと違う境遇に生まれてきたからじゃあ何かしないといけないなというかそこに意味を自分で付け加えていきたいなというのはすごく思ったというのはあったと思います。
仲さんはどうですか就職活動の時とか。
あまりキャリアデザインとか考えた事がないんでさっきの堀口さんとかすごいなみたいな感じですね。
初めての就職先はどうやって選んだんですか?就活の流れがあるじゃないですか。
皆さんも就活やったと思うんですけど。
ある種のゲームじゃないですけど受験とちょっと似てますよね。
どの会社に受かるとイケてるみたいなそういうのがちょっとミーハーとかで流されたりとかね。
毎年の空気感がありますよね。
結果はっきり出ますしね。
というのとかもあってそこは流されたりもしつつの…。
それでコンサルかっこいいみたいな感じでコンサル入ったんですか?そう外資系…投資銀行なんですけどそうですね。
入ってみてすごいよかったんで優秀な方々がいたからという最終的な決め手はあったんですけど始めたきっかけは…。
ゲーム感覚じゃないけど?流されてみたいなのはちょっとあるかもしれません。
さあお待たせいたしました。
(笑い声)松本さんはお坊さんでいらっしいますよね。
東京大学を卒業されてお坊さんになったという事なんですけど。
お坊さんの場合ってナビ的なものってあるんですか?どうやって応募するんですか?出てないんですよ求人が全然。
募集してないんですよね。
当時振り返ってみてどんな思考回路だったんですか?同級生でお寺の息子がいたんですね。
名前を出すと小池君っていう…小池龍之介君っていうんですけど。
同じタイミングで本出したんですよ。
ランキング見るといつも小池さんのが僕の上にあるんですよ。
古市さんはじゃあ知ってるんですね小池さんの事。
お会いした事ないけど勝手に嫉妬してます。
そういう友達もいて彼は寺の息子なんですよね。
私は孫なので。
「もっと仏教って頑張れるよね」というような話をしていて「そんなに気になるんだったらお坊さんになっちゃえばいいじゃん」って言われて。
そうかその手があったかと私もやすやすと乗ってしまったんです。
それからですよね。
だから全然キャリアデザインというのは皆さんそうおっしゃってますがしてないですね。
むしろ…何て言うんでしょう閉じた門を中に何が入ってるか分からないものを開けるワクワク感というかパアーッみたいなのをイメージして。
ある意味そこでキャリアデザインをし始めたといったら…結果的には。
(松本)そうですね。
扉を開けたっていう仏門をたたいたという事なので。
その先に何が待ってるかは分からない。
どのくらい先まで…全く見越しなくて…。
ベンチャー企業なんか作る時って大体何年以内には上場してという大体時間的な距離感をとりながら進んでいく。
扉を開けるという感覚は同じだと思うんですけど今お話を聞いてると例えば5年後にはどう10年後にはどうというような時間感覚すらもなくて本当に開けてみたという感じですか?そうですね。
だって開ける門の…私が縁があったお寺も800年ですからね。
重いですよ。
キャリアのスパンもさまざま。
無数の選択肢を前に就活生たちの意識は?彼らが日々使う独特なキーワードが浮かび上がった。
早く始めてる子だったりすごい準備していろいろ研究とかしてる子はやっぱり意識高いなとは…。
1月とか就活の時期になってくると「お祈りメール」みたいなのはほんとに増えると思います。
「ゴウセツ」とかそういう言葉ですかね。
合同説明会。
無い内定は多分使ってました。
これらの言葉の背後にあるキャリア観とは?何か気になるのあります?みんな知ってますこれ?「ゴウセツ」「ガクチカ」…「NNT」「ANT」に至ってはもう…。
「NNT」僕分かります。
「無い内定」でしょ?
(堀口)そうなんですか!
(仲)「ANT」は何ですか?何だろう?何ですか?「有る内定」っていう言葉が。
(仲)「有る内定」…。
持ってる?無いの?みたいな。
それ略してどうするんですかね。
どうですか?松本さんこのワード見て。
ちょっとボーッとしてますけれどもあぜんとされてますけど。
ほんとにまあ近いのはお祈りくらいなんですけど。
(笑い声)意識高い系っていうのに意識だけが高くて何のためにとか軸はないんだろうなっていう感じはしますよね。
「意識高いBOT」っていうツイッターがあって…ご存じですか?いや知らないです。
基本的にすごく意識高い事をひたすらつぶやいてるんですよ。
例えばどういう事ですか?就活関連で例えば「どこどこのキャリアフォーラム行ってきた熱い!」とかそういうよくある…。
意識が高いって何の意識が高いんですかこれは。
分かんない…。
何に対しての意識が高いんですかこれは。
基本的に大学内で学生たちが使う言葉としていうとやっぱり就職とか仕事とか人生っていうそういうキーワードと結び付けられるんですよね。
あの子よく考えてゼミ選んでるよねとかあの子インターンとか早めにチェックしてるよね意識高いよねって要するに仕事の世界を見据えながら大学生活を動いてる。
さっきのインタビューもそうでしたけど就活って大学受験とは違うのに「TOEICの勉強します」とか「インターンします」とか試験勉強的になってますよね。
(堀口)なってますね。
でもこういう時代なんですか?そういう意味では。
そうだと思います。
彼らを一概には責められないというのは入った時点で就職厳しいよとかちゃんとしないと就職できないよという事を考えさせられたりあるいはキャリア教育というものは結構早い段階から行われていて将来の事考えなさいって2年生くらいから早い段階では…。
それこそキャリアデザインみたいな事を学校側がさせていくわけです。
そうすると彼らからするとやばいんじゃないかとか意識高くしないと駄目なんじゃないかって思いますよね。
今の子たち真面目なので。
そういう意味では彼らは時代にひとつ適応したというのがこういう言葉として表れてるんじゃないかなと感じてますけどね。
本来の自分から離れちゃったら非常にむなしいですよね。
外資系目指す学生にも自分含めて自戒の念も込めてなんですけど意識を高く高く高く高く…ってやった結果全然自分の本来得意としてるところから離れちゃってそういう事を志して…人生いいの?それで。
人生考えないといけないタイミングで。
例えば堀口さんなんかは言葉たくさんしゃべれるとか自分の強みが分かってるけど普通の二十歳やそこらの子って強みって分かるんですかね。
意識の高さは時として空回りしかねない諸刃の剣。
こちらは学生たちに就活でアピールしたい強みについて質問したアンケート結果。
多くの学生が武器として考えるのはコミュニケーション能力だった。
果たしてその実態とは?納得ですか?皆さん。
(仲)そうですね。
コミュニケーション能力に関してはあながち間違ってないな。
最近会社を回して採用する側になって思うんですけど「コミュニケーション能力」というんですけど分かりやすくいうとかわいがられる能力みたいな感じだと思うんですよ。
かわいがられる存在になろうと思ったらなれるものなのかそれとももともとの素質が大事なのか。
素質が結構大事だと思うんですけど一番は素直さだと思うんですよね。
信じて言われた事をすぐに実践したらこいつ俺の言う事聞くじゃんみたいになるわけじゃないですか。
素直さみたいなのは結構若いうちだったら頭を切り替えたら持てるんじゃないかなって思いますけどね。
テクニックでできそうな事ですよねそういう事って。
私コミュニケーション能力すごい大事だと思うんですけど最近話題になってる「Thepowerofintroverts」って「内向的な人の強み」みたいな。
あれを見た時にコミュニケーション能力あるっていうだけですごく高く評価されてる人たちがいてでも一方でそうじゃない能力って…あれを見るのが一番手っ取り早いんですけどあるなと。
だからそこのコラボレーションによって何でも進むんだなと思うし偏りを正すという意味では彼女が主張しているような事を企業も分かった上で採用しないといけないのかなと。
松本さんはどうでしょう?コミュニケーション能力が高いという事は採用面接官を俺は引っ張ろうと思わせるというつまり相手のモノサシに自分を立たせる事ができるかという。
言ってみれば就職活動そのものが就職市場って言いますよね。
就職市場というところで自分じゃないわけですよねモノサシが。
買い手側のモノサシで自分をはかってみた時にどれくらい今上がってるのかなというところでの意識が高い低い。
そこに対する意識が高いのか低いのかという事が語られてると思うんですけどもそれってやっぱり苦しいんじゃないかなと。
就職活動は多くの学生にとって自分への評価を初めて市場価値のモノサシではかられる機会でもある。
市場価値と学校で身につけてきた価値そのギャップにキャリアのジレンマが生まれている。
そもそも売るものもない人もいるわけじゃないですか。
5か国語しゃべれるとか学生時代ベンチャーやってたとかいろいろできる人はいろんな働き方があると思うんだけどそもそも学生時代何も別に…ボケーッと過ごしちゃって…。
(堀口)好きな事って誰でもありますよね。
でも好きな事ってできるかどうか分かんないじゃないですか。
(堀口)できてるじゃないですか。
僕はできてますよ。
それって…それは語学とか要は普通の企業側採用側が持ってるモノサシに自分がたまたま持ってるものが合う人だったらいいですけどそもそも今の社会の枠組みの中であまり評価されていないそもそもモノサシが存在しないようなだけどほんとは大事な事とかってたくさんあるわけですよね。
そこにフィットしない人たちが何とか…何だかんだいって買い手の側が用意したモノサシに自分を合わせなきゃいけないというところでものすごい苦しんでいる。
でもそもそも企業側がモノサシを用意してそこにハマる人を採ったって企業は成長できないですよね。
そもそもの話として。
だからそこからはみ出すような人をどうやって採るかという事も考えていかなきゃいけないしそう見れば私はこれは元も子もないですけど就活市場が破綻してるんじゃないかなと思ってるんですけど。
就活システムの綻びも学生には乗り越えねばならない課題の一つ。
こちらは就活生が悩んでいる事柄についての調査。
目立つのは自分自身に関する疑問。
自分は何に向いているのか。
自分にフィットする企業とは。
自分が何に向いてるのか分からない。
二十歳で分かるわけないじゃん。
僕もそう思うんですよ。
そんなの僕も入りますよ。
30越えても分からない。
自己分析がうまくできない。
さっきありましたけど。
自己分析のデータもあるので見てみますか。
(仲)3回もしてる人がいる。
これ何?自己分析って何をするんですか?僕就活してないんで分かんないんですけど。
例えばアンケート項目みたいなのがあってあなたはどういう事に興味がありますかって事だったりとかあるいは以下の5つの仕事があるけどあなたならどれやりたいですか。
1つ目は人の上に立ってリーダーやりたいという仕事だったり2つ目は物を触って実際に作っていきたいという仕事だったり。
じゃああなたはどこに回答しますかといって例えばですけどあなたはリーダーシップタイプですよねとか。
1回なら分かりますが3回する人っていうのは何考えてるんですか?多分面接で落とされたりして…。
(服部)やり直しをするというのもありますし世の中に自己分析ツールそのものがわんさかあるというのもあるので。
こっちの自己分析してみましたこう出ました今度はこっちの分析試してみましょうかちょっと結果違っちゃったよねどっちがほんとなんだろうみたいな事があり得るんですよね。
学生が自己分析したところで弱みとかって直せるんですか?「強みをいかに伸ばすか」だけにフォーカスすればいいと思います。
トップ大学とかは選択肢も多いしいろいろ悩んでもいいと思うんです。
自己分析して。
でもそうじゃない大学行ってる子はどうしたらいいんですか?どんなアドバイスできますか?
(仲)そこに関しては多分変わりつつあると思ってて松本さんがさっき就活自体がもう終わってるみたいな感じで言ってたじゃないですか。
これはビジネスモデルなんですよ。
そこに周りのいろんなプレーヤーが乗っかってきて自己分析本とかもある意味ビジネスとして成り立ってるわけじゃないですか。
それがゆがみが…疲弊が構造自体にあってうまくいってないみたいな。
それが多分今はどんどん個人が発信できる時代になってる。
ソーシャルメディアとかブログとかツイッターとかフェイスブックとかで個人がどんどん力を持ってるじゃないですか。
なのでそういうところで発信していけば引っ張ってもらえるんですよね。
例えばブログって結構学生さんとかでも書いていて社会人顔負けの何かに特化したブログとか書いてる女子大生さんとか学生とかいるんですよね。
そういう人を見つけると経営者は普通に連絡して一本釣りするんですよ。
それも今までの…それは個々人が発信できる力を持ったからこそできる事であって。
ゆがんでたシステムがあったんですがそこにソーシャルメディアとか個人がエンパワーメントできるツールが生まれてきた事によってこっちが崩れつつあって新しく変わっていくのかなと思います。
確かにそうですよね。
今は可能性としては少ししかないかもしれないけど今後広がっていく可能性はそこにあるかもしれないと。
日本の学生が自分に自信持ってる度みたいなのがすごく他の国に比べて半分くらいという統計が出てたんですね。
セルフイメージが低いとかセルフエスティームっていいますけどそれってすごく私もいろんな…OB訪問とかに来てくれた後輩の子たちと話してて思うところでほんとにみんなもっと自信持っていいと思うんですよね。
特に就活してる数か月だけでいいんで自分のできない事とか苦手な事っていうのはさもなかったかのように自分の強みだけに目を向けて私こんな事もできるんですあんな事もできるんですっていう。
そうすると目が輝いてくる。
自分ができる事を話してる時って。
だからそういうふうな気持ちですけど心持ちでやるととってもうまくいく。
これ本当に就活してる時に使えたし後輩に伝えてあげられたなと思った子はきちんとすごくいいとこ入ってるのでこれはひとつアドバイスとして是非お伝えしたしだいです。
「私特技とかないんです」って言われたらどうするんですか?そういう時はソクラテスの尋問みたいなのあるじゃないですか。
で私乗ってあげるんですね。
その子にいろんな質問をして絶対この子こういうとこ強いよねというのを教えてあげてます。
あなたこれ強みだから絶対使えるからって言うとハッみたいな気付いてくれて。
それはほんとに水をやれば芽が出ていくものだと思うので。
ほんとに駄目な子いたらどうします?ほんとに駄目な人なんていないです。
いない。
それは誰かしら何かしら1個は秀でるというか…。
絶対あると思います。
強みがあるはずだからと。
でもその強みを探すためにみんな自己分析するんじゃないですか?みんなだから苦手なんですよ。
だからソクラテスっぽい事をちょっとしてあげると非常に出てくるし一回出してあげると…その子を理解したうえで。
(松本)かわいそうですよねこういうのが。
これ自体があって上手に使うといいと思うんですけども自己分析のツールとかって前提として結局就職市場のというところでのモノサシだからあなたはこうですあなたはこういうタイプですって出てくる。
必ずその枕詞にちゃんと学生としてもこれは就職市場というモノサシに合わせて自分をはかるならばあなたはこうです
(服部)という事であって。
そうです。
でもそれってまだ学生さんもダイレクトに経験も少ないのでそれを真に受けちゃうというか自分自身をそういうふうに評価された自分そのものが駄目って言われたんだというふうに否定されちゃうのがほんとかわいそうだなと思って。
本気で自己分析をそれこそ仏教というところでやろうと思ったらすごい事ですよ。
「私とは何か?」という問い。
これほど究極的な問いはなくて。
自己分析ができたといったらもう悟ったという話ですから。
一方採用側にもジレンマはある。
本来企業にはそれぞれの採用基準があり人材活用戦略があるはず。
時代が変われば求める人材も変わる。
これは企業が求める人材像の変容を追ったもの。
今重視されているのは「社会の変化に進んで取り組む力」や「新しい方向性を追及する姿勢」だというのだがその意味するところとは?だからどうしたらいいんだろうという。
この曖昧な企業側が掲げる人物像に学生側とかはどう対応したらいいのかな。
就活してた時に……というフレーズがあるんですけど。
(笑い声)いろいろそうやって抽象的にかもしれないですけど定義して見てるといいかなあと。
実際採用の現場ではどんな事が起こってるんですか?まさに今起こってる事というのは確かにここに書かれたような事というものを採用活動の前に定義するんですね。
今年これ採りにいきましょうと。
実際これ見ようとするんですよね。
例えば面接で「今までやったあなたが一番面白かった革新的な事って何ですか?」という質問してみたりとか。
要するにこれははかろうとはしてますよね明らかに。
そういう人を採ろうとはしてるんですけどただ学生たちもそのくらいは平気でクリアするだけのコミュニケーション力持っているので結局はそれ自体を聞いてるんだけどみんな同じ答えなのでじゃあこれ基準に使えないよねという事で基準がほっぽり投げられちゃう。
でどういう人を見るかというとこいつと働きたいというような非常にまた曖昧な部分というものが採用基準になっちゃう。
採用基準がそもそも決定してるものからスライドしてるというかこれが非常に多くの企業で起こってる。
それやってるとどんどん同質性の輪に…。
全くおっしゃるとおりです。
ですから多様な人とがった人採ろうと思ってるのに結局採った人は同じ人ってなっちゃうわけですね。
企業として成功体験とかないんですかね。
あいつ大丈夫かなと思って採ったけど10年後大化けしたという成功体験がいろんなところで語られ始めたら多分直感に反するけど採ってみようみたいな。
意外と大企業とかもとがった人採ろうとしてるんじゃないかなと。
就活したの5〜6年前とかなんですけど当時外資系とかみんな3年後とかに辞めて結構いろんな事やってるんですよ。
それって変人だったわけじゃないですか。
振り返ると。
辞めて変な事やってるという事は変人でそういう変人たちに対して多分大企業もオファー出したけど切られた可能性は高いんですよね。
…と考えると多分日本の日系の大企業と定義するのであれば多分採りたいのは採りたいんじゃないかなと思っててただそういう人たちが外資系の金融とかコンサルとかに行っちゃってるんじゃないかなみたいな。
そもそも受けないというか受ける側が受け付けてないと?かもしれないですね。
あと日本の大企業の特に文系の特徴として専門性とかではなく人柄みたいな形で採る傾向はありますよね。
メンバーになる人を探すという。
だからせっかく非常にとがった能力を持ってる子たちってここに入っても10年後にどんな事やってるか想像ができないしなかなか日本企業は採用の段階でこんな仕事させますってクリアにしてくれないというのがあるのでそういう人たちが日本の会社を受けるインセンティブを失っちゃうんですよね。
そうすると海外に出ちゃったりとか外資系行っちゃったりとか。
日本企業でいうジェネラリストというのはあくまでも企業の中ではジェネラルにいろんな仕事ができるんだけどそれが違う会社に行ったら使えないという事もありますよね。
企業内の慣習がすごく多い会社もあってその中で果たしてそういう人材を日本企業はこれからもたくさん採り続ける意味ってあるのかなと思います。
これってでも昔からそうなんですか?同じ人材を採るとか。
結局とがった人は入ってこないわけじゃないですか会社に。
基本的には会社の採用というのは私たちの日常を考えてみたら分かるんですけど自分と似た人と一緒にいると気持ちがいいし快適だしこの人と働きたいと思っちゃうんですよね。
だからどうしても採用の場面でも面接官も人ですから一緒に働きたい人を採りたくなるという事は昔から変わらないです。
これ変わらないですよじゃあずっと。
でも昔からのやり方をしてる日本企業がこれからどんどん潰れたりしたら変わるんじゃないんですか。
去年9月経団連が採用選考に関する指針を公表。
就職活動にも大きな影響を与えると言われている。
今年の4年生の採用選考は4月から始まったのに対しその次の年の学生については8月からに遅らせようというものだ。
就活期間は4か月短くなる。
特に今期の2016採用と言われるこの次にやってくる採用って非常に時間が短くなってしまうのでちゃんとどんな人採りたいかはっきりしてちゃんとしたメッセージ打ち出さないとほんとに企業はいい人採れなくなっちゃうはずなんですよね。
そこで今までコミュニケーション能力とか非常に曖昧だったものを一生懸命今年は結構企業定義し始めてる。
そういう議論を結構各所で聞くんですよね。
そろそろやばいぞと。
コミュニケーション能力とかいってる場合じゃねえぞという話が聞こえる。
少しそれは図らずもですけどね就職の世界が少し変わってきたという事によって企業も少しづつ適応し始めてるのかな。
そんなような動きはちらほら見えます。
ちなみにその線引きというか具体的に打ち出すメッセージって例えばどういうのが?例えばある会社の例ですが私の会社では非常にタフな営業が求められてしかもその営業の相手というのは自分よりもはるかに年上のいろんな社長さんとか店長さんとか相手にしなきゃいけない。
だとしたらふだん今まで問われなかったような年配の人たちを笑わせるようなユーモアが必要だとか。
こんな事今までの就活で問われた事なかったじゃないですか。
例えば我が社の社員ってどんな環境で働くのかなどんな仕事をするのかなじゃあこんな能力だよねというような思考の回路というかそういうような採用基準の設定のしかたをいくつかの会社が設定し始めてる。
確かにそこまでやるとイメージしやすいですね。
他に今年とか来年の就活のトレンドってあるんですか?トレンドとしてはそうですね…基本的には皮肉な事に学歴みたいなものにもう一回戻ろうという。
というのも2016採用というのは期間が短くなって何を見ていけばいいかという事が非常に難しくなるので一方では我が社なりの基準を定義しましょうという方向があってもう一方では分かりやすい基準を採用しましょうという方向があって一番分かりやすい基準が学歴だった。
(仲)確かに採用担当の方に聞いた時に「何で学歴で切るんですか?」って聞いた事があるんですよ。
そしたら「あくまで確率論だ」みたいな話をしてて確率的に学歴が高い人の方が当たる可能性が高いから労働力が少なくて済むみたいなそういう話らしいですね。
面白いのは学歴がチェックされる度合いというのは就職が非常にタイトになったり厳しい獲得競争が起これば起こるほどそういう学歴のようなシグナルというものが優先順位が高くなる。
最近思うのはいろんな会社があるじゃないですか世の中には。
レベルが高い会社もあればそうじゃない会社もあるんですね。
例えば知り合いでデザイナーになりたかった子がいるんですよ。
突然トップの企業には入れないじゃないですか。
でもその子の身の丈にあった会社というのはたくさんあってそこで雑用みたいなところから入って転職を1年ごとくらいに繰り返してスキルアップして最終的に行きたかった会社に行けるみたいなのが周りで起こっていて。
みんなそんなやりたい事あんのかな。
デザイナーに絶対なりたいとかだったらそういうルートもあると思うんです。
でもほんとに若い子たちってやりたい事があったりするのかなというのが疑問なんですよ。
みんながそんな起業家みたいに頑張んなきゃいけないって結構大変な社会じゃないかなと一方では思うわけですよ。
意外と自分の環境の中では自分ができてれば得意で結果が出れば楽しくなってくると思うんですよね。
そこに夢中になっていくみたいな。
…とすると結果もついてきて仕事もできるようになる。
身の丈の丈をはかるモノサシは何ですか?多分インターンをするのか分かんないですけどアルバイトとか。
いろんな会社を見まくる。
まあ会社だけじゃなくてNPOとか学者とかいろんな道あると思うんですけど。
どうでしょう松本さん。
今の話聞いてると。
学歴に戻っていくというのは社会全体にとっても結構危険だなと思うんですけど。
多分学歴がある人はある人でそれを生かさないと損なんじゃないかみたいな発想になってそれでどんどんどんどん…。
ほんとは別にそれに縛られなくてそれこそ坊さんになるとか何でしょうかねいろんな選択肢があるにもかかわらずこじんまり収まっちゃうというところがあると思うんですよね。
東大卒というのは逆にバッシングじゃないけど嫌がられたりもするんですか?バッシングはないですね。
「何かつらい事でもあったの?」と言われましたけど。
世をはかなんできたのかと思われたみたいで。
いやそうじゃないんです。
当事者からすると学歴って自分が今まで一生懸命してきた投資だと思っちゃうんですよね。
投資だからこそ回収した方がいいだろうしという感覚と。
あともう一つは投資って親がした投資って側面もあって親の影響で親に対して応えたいとか。
私の学生なんかもよく言うんですよね。
お母さんとお父さんが一生懸命働いて大学出してくれたからやっぱりそれに応えた会社に入りたいみたいな涙ぐましいすばらしい事言うよねって思うんだけどもそれってある意味彼らに対して一つ制約になってしまってる。
いろんな意味で投資というふうに彼らは捉えちゃってるのかなと。
教育への投資を回収すると聞けば「いい学校からいい会社へ」というお決まりのフレーズを思い出す。
このグラフは学生とその保護者で企業選択の基準の違いを示したもの。
学生がこれから働く事を意識しているのに対し保護者は経営的な安定を重視。
キャリアデザインへの親からの影響とは?これまたギャップがあって非常に面白いんですけど。
採用した若者の親が泣きついてくるとか何かないですか?うちも新卒が2人今年入ったんですけど確かにご両親がどう思うかみたいな社内で話しましたね。
挨拶に行こうかみたいな。
最近あるんですよ。
親に対してどういうふうにアピールするかというような採用活動というのは結構あって。
まあ呼ぶまでいかないですけども親向けにパンフレットじゃないですがこういう会社ですと。
非常にいい会社ですという事をいかにアピールするかみたいなのが始まってる。
今まで投資してきたからそれの回収のためにという発想もある。
苦労させたくないんじゃないですかね単純に。
親を?子供に苦労させたくない。
さっきの親の「安定」もランキング的な意味での安定なんですよね。
親も10年後にこの会社がどうなってるかというのは経営コンサルタントじゃないので分からないわけですから。
それだったら創業800年のお寺とか超安定ですよ。
だから就職人気企業ランキングほど当てにならないものはない。
あんなの学生が適当にその年その年の雰囲気でランキングつけてるだけで実際昔のランキングを見てみると今もうなかった会社があるとか。
あそこに売り上げと計上利益を出すべきですよね過去3年の。
でも僕実際就職活動してる時みんながいいって言っている会社なんだから何かあるんじゃないかと思って受けましたよ。
エントリーシート出したりとか。
ランキングはランキング。
でも知ってしまったらその価値観に影響されずにはいられない。
産業構造が日本社会が更には世界が転機を迎える中空気に流されがちな個人のキャリア観も更新しなければ…。
就職しなくたっていいんだという選択肢を持っとくという事もすごい大事だと思うんですよね。
どうしたって向いてない。
今の枠組みに向いてない人っていて。
私の友達でもいるんですけど学生時代からの友達で。
すっごくいい人なんですよ。
すっごくいい人で優しい感じでちょっとゆったりした雰囲気の人でテキパキ動く感じじゃなくて。
就職が決まらないんですよね。
悶々としていて。
いや努力はするんですよ。
だけどまあ言ってみれば居場所がない。
「君この世に向いてないね」って言っちゃったんですけど。
そんなに悪い意味で言ったわけじゃないんですけどね。
でもその彼がお寺カフェとか手伝ってるうちに気が付いたら店長さんやって4〜5年したらお坊さんになっちゃったとかですね。
キャリアの作り方とか在り方就職をしなきゃいけないという事すら別に絶対的なものではないんだという事を持っとかないと多分救いがないんじゃないかなと。
事実そうですよね。
いろんな生き方があるわけなので。
会社入ったらほんとに嫌だったら辞めるという選択肢も常にあっていいって事ですよね。
はいそうです。
私最近時代は出家の時代だなと思って。
出家って別に僧侶になれという事じゃなくて出家という言葉の定義って面白いんですよね。
出家っていうと人里から離れた山の中とかでひっそりと断絶したところで住んでいるみたいなイメージありますけどそうじゃなくて出家って確かに世俗のど真ん中の価値観とは少し違う価値観の中で生きながらだけど同時に世俗に良い影響を与え続ける立場という事なんですよ。
だからそこ切れてるわけじゃなくて。
それって最近の企業とフリーランスでどんどん活躍しているような人との関係にも近いのかななんて思っていて。
結構そういう意味では自由度は高まってますよね。
行ったり来たりというところで。
(仲)それはあると思いますね。
今立ってる今生きてる価値観ってみんなで共有できてて似通った同質性の中に大体いるわけですよね。
特に日本社会ってそういう同質性がすごく強くてその同質性の中から出るという経験がしにくい社会だと思いますけど今立ってる価値観というものが絶対じゃないんだよという事。
別の世間それが長い目で見た時に今自分が立ってるところから見た景色でそこから見えるレールだけを引くというよりもまあ気楽にもなりますしあと何でしょうね…幅が広がってくると思いますよね。
幅を広げるってほんとに大事だと思うんですね。
そうだな…セレンティピティってあると思うんですよね。
意識無意識いろんなメッセージを日々受け取ってその受け取ったメッセージがある日ふっと顕在意識って言うんですか?上がってきてそれをじゃあどうするのそれにどう手を加えるのという時に私がよくやってる事が本を使う。
何でもいいと思うんですけど「あっ」て思ったキーワード関連の本を最低4〜5冊買いますね。
まあ忘れるじゃないですかセレンディピティって。
けど2〜3日後ぐらいに下手したらその日中に本が届く。
わあ!私こんな事考えてたな。
すごく表面的かもしれないですがそれで一応ちゃんと目を通す。
斜め読みでも何でもいいですよ。
そうすると増えるんですよね自分に。
でも幅を広げていったそれはどこにどうなるんですか?分かりやすいところでいうと世間が変わるとリンゴに対する見方一つとっても全然変わってくるじゃないですか。
そういうのを面白がる事ってとっても大事だと思っててそれが結局複眼思考だと思いますね。
どこから見るか。
多くを意識的に変えて見ていくようにしてます。
できます?変えたところでリンゴはリンゴでしょ?例えばですけど会社員としての自分として見る。
普通の女の子としての気分で見る。
例えば家族の一員である長女として見る。
あとは会社でいえば一番下っ端の自分として見る。
いろんな気持ちで見るっていう。
見え方全然変わってくるじゃないですか。
そういうのを行ったり来たり入ったり出たりしてる感覚ですね。
それが何かものを考える時に役立つって事ですか?役立つと思いますね。
行き詰まった時にそういうもう一つの複眼が身を救う事も往々にしてあると思います。
キャリアに関しても同じ事が言えると。
(堀口)言えると思います。
何かの転機がある視点からしたらいい事ではないけれどもある視点からしたらすごいいい事だったみたいな。
まさにそのとおりで。
片や出家片や複眼的な思考。
表現は違えどもキャリアに関する広い視野と選択肢を語った2人。
この2人はいついかなるキャリアデザインを行ってきたのか?それぞれの3つの転機に注目する。
題して「私の履歴書ダイジェスト」という事で堀口さんと松本さんに簡単ではありますけれども履歴書をお願いいたしました。
特に今回3つの節目に注目してどんな岐路があったのかというのをお話し頂きたいのですがまずは堀口さん。
履歴書って言えるのか分からないんですけど。
まあ節目。
3つの節目を。
(仲)アハハ。
高校大学就職。
(堀口)海外の高校に進学が15歳だったんですけどもしかしたらこれが一番大きかったんじゃないかなと。
これは自分で決めた事?はい。
お金持ちの子の履歴書って感じです。
(服部)面白いのが全ての節目が高校進学大学就職っていわゆる日本のキャリアで誰にも巡ってくるタイミングで自分自身がつかんでる。
偶然やって来た何かじゃなくて。
全てが誰にも巡ってくる事なんだけどそこで一生懸命…これをデザインと呼ぶかは別として一生懸命考えてつかみ取ってきた。
そんなような事が見えて面白いなと思ってました。
また今度対照的かもしれませんが松本さんの3つの節目を見せて下さい。
はい3つ。
寺の孫に生まれた。
(笑い声)僧侶になった。
寺を出たという。
全部仏門に関するもの。
そうですね。
まず0歳の時。
そうですね生まれてしまったわけですね。
でも跡継ぎじゃないですけどそういう縁ですよね孫という。
これ振り返ってみると私出たり入ったりばっかりしてるというかまずこの世に生まれ出てそこから世俗を離れて外に出ようと。
更に今度はそっちの世界からまた出ていったと。
出てばっかりの人生ですね。
堀口さんも松本さんも結局節目ってトランジションなんだなと思って。
つまりある領域からある領域への移動が節目だなというのは面白いと思いました。
堀口さんはデザインしてきた方で松本さんはデザインという言葉とは違う生き方だと思うんですけどでも結局その節目というのはある領域から違う領域への移動なんだなという。
面白いですよね。
節目って結構自分で作るものなのかなと思いました。
これはほんとにすごく普通だなって改めて見てびっくりしたんですけど。
結局気付きとか急に目覚めたとかではなくて社会にあらかじめあるようなトランジション移動の機会に乗って移動してる。
多分松本さんも大学卒業のタイミングであるとか結局はもともとの社会的に存在している移動のチャンスをうまく使ってらっしゃるのかなというふうに思って。
キャリアの語源とは荷物を運ぶ車の通り道轍だ。
歩んできた過去その轍の跡から自らのパターンが見いだせれば未来を展望できる。
キャリアの積み方はそれぞれだが共通するのはその節目をどう作るか。
よく言ってるのが「一回早く挫折した方がいいよ」と。
キャリアデザインに関しても。
何でかというとキャリアがデザインできるものなんだと思った瞬間自分の認識力が正しいんだという。
いろんな内定とかを思いどおりに取れたとしたら俺がやってる事って正しいんだな俺の思ったとおりになるんだな。
そうすると自分の自己認識力にあまりにも依存しすぎて俺の中から何かが出てくるんだと。
そうすると結局その先に大事な縁に気が付けなくなるんですね。
それよりは最初の立ち位置として「何にも分かんないんだな」。
いろんな事やってみたらいいというのもやってみたらあれ?自分が思ってた事って全然違うんだな分かってなかったんだなとか。
(堀口)そうなんですよね。
好きだと思ってるものもどんどん変わるじゃないですか。
前回のカレーの話じゃないですけど。
10年前に好きだった音楽とか食べ物ってもう今別に好きじゃないみたいな事往々にしてあるので出会ってない事って多分たくさんあるんですよね常に人生で。
堀口さん挫折ってありますか?挫折した方がいいっていう話あったじゃないですか。
でもしたくて挫折ってできなくないですか?「Let’s挫折」みたいな。
できないですよね?いろんな事やってみてそれが他の人から見てあの人挫折したねとか成功したねとかじゃなくて自分自身の限界を知るというんですかね。
思っていたとおりに進んだと思ったのにあれっ何か違うぞ自分が思い描いてた事って大した事なかったのかもしれない。
キャリアデザインって大学生とかの段階で見えてる世界ってほんと狭いはずでそのとおりに描いたとおりに行けるのがほんとに成功なのかどうかというのも分からないわけでそれくらいのいいかげんさが必要だと思うんですよね。
でもいろいろ試すといっても大変じゃないですか。
成功するかどうかも分かんないのに試すって無駄と思っちゃう。
成功とか失敗とかってまだ考える段階でもないのかなと思うんです。
結局失敗だと思ってた事があとから全然失敗じゃなくてそれが転機になってた事ってよくあると思うんですけど結果しかないそこにはという気持ちで。
その結果から自分が何かいい事が学べたりとか新しい自分に出会えたら成功ですよね。
デザインしてるとかってコネクティングドッツで振り返ったら全てがつながるレベルの節目ってめちゃくちゃ真剣にやってないと節目にならないと思うんですよね。
なので「これは節目かも」みたいなちょっとでもやましい心があってやってるレベルの事って全然本気になれてないから節目にならないんじゃないかなと思っちゃうんですよね。
逆にそんな事も忘れるくらい気付いたら没頭してたみたいな事じゃないと後で生きてこないし糧にならないのかなと。
私はキャリアデザインって考えてる時点でレースに乗っちゃってるんでレールに乗っちゃってますよね。
一旦そこから外れて目の前の事とにかくやるみたいな。
いいキャリアってそもそも何だろうという定義で考えた時にたくさんの人は食いっぱぐれない事という定義なのかなって考えたんですけど。
(堀口)そうかもしれない。
今の時代ってどんどん面白く働けてる人の方がクリエーティブな仕事ができてそこにお金とかついてくる。
で結局食いっぱぐれない。
なので面白く働ける事がいいキャリアなんじゃないかと思うんですよ。
面白く働けるためにはとにかくバッターボックスに立ってバットをとりあえず振って目の前のボールを全力で打ち返すみたいな事だけにフォーカスしたらいいんじゃないかなって思います。
でも間違ったバッターボックスに立ってる人がいるかもしれない。
それでもバッターボックスに立ってる方が…観客は絶対にいるんですよ。
何もやらないよりは?そうです。
次の球場に行けるかもしれないみたいな感じなんでどうやったらいいんだろうって考えてる暇があったらとにかくバットを振るとやっていくとどんどん道が開けていってさっきのドリフトっていう話かもしれないですけど仕事がどんどん面白くなっていくんじゃないかなって思います。
社員にもそういうふうに言ってるんですか?結構言ってますね。
この前「オーナーシップが」みたいな話をめっちゃしたじゃないですか。
それめっちゃ言ってますね社内で。
1日に5回くらい発してるかもしれません。
基本的にデザインは常にやるべきじゃないとは思うんですね。
ただ僕の場合ではポイントポイントである程度必要かなと思っててポイントっていつかって分かりにくいですよね。
今日も節目っていう話何度か出ましたけど今自分が節目にいるかなんて誰にも分からないわけでだけどそれこそスティーブ・ジョブズのコネクティングドットじゃないですけど振り返った時にあそこが節目だったなって。
節目は分からない。
じゃあどうしたらいいかというと多分ですけど節目と思うしかないというか。
ある種自分を洗脳するじゃないですけど今やってるこれってもしかしたら節目かもしれない。
一期一会の発想的な話ですけどね。
今やってる事が節目かもしれないしっていうのは瞬間全て本当を言えば節目ですもんね何かしらの。
節目になり得るポテンシャルって全ての瞬間が持ってると思うんですよね。
私の場合は10年ごとに自ら仕掛けていって節目作ってキャリアデザインするみたいな事を意図的にやってる節があって。
10年というのは研究者の世界では一個の研究ちゃんとやろうと思ったら10年くらいかかるから。
今やっている採用学っていうのがまさにそうで。
論文を書いてる本を書いてるというところだけじゃなくて自分から前に出て自分をさらしていって彼らと一生懸命議論してぼろかすに言われたり言い返したりとかってこういうような活動を始めてるというのは自ら節目を作り出したという側面があるのでそういう意味では僕は今は節目作ったばっかりなのでしばらくはドリフトしていって流されていって多分10年くらいしたらまた自分でけしかけていくんだろうな仕掛けていくんだろうなそんなような感じですよね。
仕掛けたらしばらくは本気でドリフトするというのはすごく共感しました。
私の場合は絶対これにたどりつきたいっていうのがほんとにあるわけじゃないのでそういう意味では同じかもしれないんですけどただ言葉を勉強してすごく面白いなって思う事って1つできるようになる度に見える世界がバッと広がるんですよね。
一個中国語の世界が広がるスペイン語の世界が広がるまあ南米の世界なんかも広がってくるというのをやってすごく実感するのでそのボーダーレスになっていく感じがとっても楽しいですよね。
だからどんどんボーダーレスに自分の世界をしたいなと。
陸も歩けるけど海も泳げるけど空も飛べるみたいな。
そういう人生にしていきたいなという夢はあります。
ただキャリアと呼べるのか?そうなんですよね。
でも組織人でありますよね?そうです。
そのとおりです。
その中でのキャリアっていう感覚はないんですか?組織に所属するっていうのも自分の人生の一部ですよね。
Partofmylifeなので。
これは切り離して考えるべきでもないと思いますしだからオンとかオフとかも私基本的につけないようにしててもちろんオンの時本気で頑張ってオフ休むという行動はしてますけど基本的に会社で学んだ事は当たり前だけど自分の生活でも生かすし例えば細かい事すごく気付くようになったみたいな自分の生活が良くなった感じってすごくあるんですよね。
そういういいシナジーを会社と自分の中で作っていって人生形づくっていけるんだったら…結局人生がメインだと思いますよ。
今は何を仕掛けてるんですか?私は仕掛けたところで今は本気のドリフト中。
で会社内で何ができるだろうと。
はい。
どうですか古市さん今日キャリアデザイン論。
何か宗教の回みたいでしたね。
生きるとはどういう事かとかどんなふうにこれから生きていけばいいとか。
それってすごい分かるんですよ。
日本って働く事=生きる事の社会だと思うんですね。
まあそれは社会保障が出やすいとかいろいろあるんですけど働く事=どうしても生きる事になってしまう。
だからキャリアデザインってする事は結局はどういう生き方をしようという議論になってしまうと思うんです。
だからそういう意味で思いの外哲学的な議論が多くて面白かったですね。
キャリアっていうと自分の仕事まあ経歴とかそういうのになってくるけど人生ですよねそういう意味でね。
特にこの国の仕組みとか考えるとキャリア考える以上食いぶちどうするんだとか家族どうするんだとかどうしても他の人生のもろもろとして考えなきゃいけないという意味で生きる事になっちゃうのかなと。
大丈夫ですか楽しかったですか?就職について分かりました?就活とかはしなかったですけどう〜んそうですね…でもどうだろう?もう一回今学生に戻って今日の話聞いたらどう思うかって考えたんですけどまあでも役には立つんじゃないですか。
就活とかってどうしてもネガティブなイメージばっかりが流布されていてすっごいつらくて大変な事働く事=すごい大変な事というふうに思っちゃうけれどもでもそれも実際やってみないと分かんないわけじゃないですか。
就活がすごい楽しいって学生もたくさんいますし働いてみたら実は学生なんかよりも自由度が高くて楽しいという人もたくさんいますし。
だから結局皆さんやってみなきゃ分かんないよねって事をすごい何回も何回も言ってたと思うんですよ。
それってまさにそのとおりかなって思っていて。
向き不向きって分かんないんですもんね。
だってこんな滑舌悪い人間が司会やってるんですよ。
分かんないからこんな事。
絶対自分からは予期できないです。
でも目の前の事を一生懸命やってきたから今ここにあるっていうさっきの話じゃないですけど。
頑張っていきましょう!頑張ります。
今日は皆さん長時間ありがとうございました。
(一同)ありがとうございました。
人生は先が見えなくてもつらいが分かりすぎても面白くない。
人生の選択のジレンマだ。
轍を道なき道に刻みつける。
語源どおりまさに未踏の地への越境こそキャリアの真の意味なのかもしれない。
自分で決めつけている限界のラインを越えボーダーを越えて未知の自分と出会う可能性。
その時思いがけず新たな風景に出会い新たなキャリアを積む事になるのだろう。
自らをデザインする試みは終わらない。
2014/06/29(日) 00:00〜01:00
NHKEテレ1大阪
新世代が解く!ニッポンのジレンマ「僕らのキャリアデザイン論」[字]

キャリアデザインという言葉が、様々な場で聞かれる現代ニッポン。就活で、大学で、人生の選択を誤らないためにどうする?自分探しのジレンマを越えて…迷える若者必見!

詳細情報
番組内容
キャリアとは、自らデザインするもの?大きな時代の変化の中、就活をひとつのきっかけに人生の選択に直面する若者たちのジレンマは尽きない。大手商社、起業家、僧侶、学者…、様々な背景を持ち、幾多の選択を繰り返し、新しい時代の生き方を模索する若者たちがスタジオに集結し、異色のキャリアデザイン論をホンネでトーク。2014年版の最新の就活事情などもまじえて考える、生き方論。「自分探し」を越えて…迷える若者必見!
出演者
【出演】起業家…仲暁子,経営学者…服部泰弘,大手総合商社…堀口美奈,僧侶…松本紹圭,【司会】古市憲寿,青井実,【語り】竹本英史

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
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