「アートシーン」です。
まずは最後の文人画家と呼ばれた人物の展覧会からです。
六曲一双の屏風に広がる草原。
今を盛りと桃の花が咲き誇ります。
桃の木の周りでは解き放たれた牛たちが思い思いに戯れ愛くるしい表情を見せています。
誠にのどかな理想の地桃源郷の世界です。
描いたのは富岡鉄斎。
幕末から大正まで激動の時代を生き独自の画境にたどりつきました。
東京・日比谷の出光美術館で没後90年を記念する展覧会です。
鉄斎は俗世を離れた理想の地を数多く描いています。
これは58歳の作。
仙人の口から聖なる崑崙山が出現したという中国の逸話。
この山に仙女が住むと言われています。
儒学者としても名をはせた富岡鉄斎。
終生先達の書画に学びました。
江戸後期の絵師青木木米の作画にも強く引かれその技法を会得するため模写に励みました。
色使いにも深い関心がうかがえます。
鉄斎の彩色作品の中で特徴的な色が青と緑です。
群青と緑青の顔料を使って描いた「青緑山水」と呼ばれる作品。
鮮烈な色彩の光景を生み出しました。
鉄斎の力量は水墨画にも表れています。
80歳を経て更に画境を深めています。
鉄斎が敬愛した江戸の文人画家浦上玉堂。
その玉堂が残した紙に思いを込めて描いた作品。
玉堂とおぼしき人影も…。
玉堂の名作「凍雲篩雪図」を思わせる大胆な構図と筆の運びです。
多彩な墨の色が織り成す鉄斎88歳の作品。
岩の中に潜み歳月を重ねる寿老人。
死の前年何かから解き放たれたかのように自由奔放に筆が走ります。
う〜ん。
いいですね。
ね〜。
鉄斎の魅力ってこう…自由で力強い筆さばきとあと型にはまらない独特な構図なんですけどそれを初期と晩年を見比べながら堪能できるなんてほんとぜいたくな展覧会だなと思いますね。
その力強さに加えこうみずみずしささえ感じる作品もありますもんね。
さあそれでは続いての展覧会ご覧下さい。
土蜘蛛に見越し入道。
妖怪たちが大暴れ。
江戸の庶民たちを楽しませた浮世絵の妖怪が勢ぞろいしました。
鎧兜に身を包み刀を振るう武将たち。
鬼の首からは血潮が…。
浮世絵の登場と共に描かれた妖怪たち。
その中で最も人気を博したのは「頼光」と呼ばれた源頼光のお話。
この図では家来と妖怪たちのドタバタ劇が繰り広げられています。
ガマとかたつむりの妖怪相撲。
それを見物する家来の真剣な表情。
こちらでは妖怪たちが囲碁の勝負の成り行きを真剣に見つめています。
どこか愉快な妖怪たちを楽しむような浮世絵です。
双六に登場した妖怪たち。
子供たちにも大人気だったのです。
高岡市美術館でさまざまな金属の美を紹介する展覧会です。
各地で出土される古墳時代の鏡。
今回その一つを最新の3D印刷で再現したところ発見がありました。
鏡面に強い光を当てると…。
反射した光の中に模様が現れました。
金属の不思議な現象です。
こちらは二条城大広間に使われた「釘隠」。
金属は繊細な加工に適しきらびやかな光をまとう事から時の権力者たちが競って利用しました。
北海道立函館美術館で近代日本画の流れを振り返る展覧会です。
明治以降の新しい日本画の世界を切り開いた横山大観初期の代表作。
無我の悟りの境地を純真な童に託した一枚です。
昭和を代表する日本画家の一人加山又造。
琳派風の装飾的な美の世界を探求しました。
写真家小川光三が撮影した奈良・室生寺の「十一面観音菩薩立像」。
1,000年を越える時を経て穏やかなほほ笑みを伝えます。
同じ菩薩を光三の父小川晴暘も撮影しています。
こちらはどっしりとした安定感が漂います。
室生寺の仏像とゆかりの品々を紹介する展覧会。
群馬県立近代美術館40周年を記念して同じ年に生まれた現代作家たちの展覧会です。
宮永愛子が9年前この美術館で初めて披露したナフタリンで作ったシリーズ。
靴の穴はナフタリンが気化した跡。
靴そのものが徐々に消えていきます。
群馬県に生まれた水野暁は身近な浅間山をテーマにしました。
江戸の噴火の泥流の様子を浅間山の溶岩を砕き描きました。
近くに寄ると現在の道路地図が見え自然の驚異を思わせます。
土屋貴哉は美術館自体をテーマに撮影しました。
人の動きで美術館の日々を改めて振り返ります。
優美なほほ笑みをたたえた白磁のビーナス。
焼き物の人形の世界を紹介する展覧会です。
世界を魅了した中国の白磁。
その美を我が物にしようとヨーロッパで磁器の人形作りが始まり広く親しまれていきました。
ネズミが床に!驚いて飛びのく女性。
高度な置物として発展しました。
ちょっとぎごちない2人。
大正から昭和にかけて愛知県瀬戸で輸出用の人形制作が始まります。
その技術は瞬く間に進歩を遂げます。
戦後間もなくに作られた作品。
婚約指輪を渡す瞬間です。
現在に続く磁器人形の世界も紹介しています。
「アートシーン」でした。
ではまた次回。
2014/07/13(日) 09:45〜10:00
NHKEテレ1大阪
日曜美術館 アートシーン ▽“没後90年 鉄斎 TESSAI”展 ほか[字]
「没後90年 鉄斎 TESSAI」(出光美術館 6月14日〜8月3日)ほか、展覧会情報
詳細情報
番組内容
「没後90年 鉄斎 TESSAI」(出光美術館 6月14日〜8月3日)ほか、展覧会情報
出演者
【司会】井浦新,伊東敏恵
ジャンル :
趣味/教育 – 音楽・美術・工芸
ドキュメンタリー/教養 – カルチャー・伝統文化
情報/ワイドショー – その他
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
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