静粛に!宇宙人!耳から飲んでるじゃないか!
(超音波の音)問題。
グルグル回るように飛ぶ2羽の鳥。
ある特別な関係だというんですが何でしょう?ヒントはこちら。
経験豊かな達人とその教えを学ぶ者。
そう「師匠」と「弟子」の関係です。
師匠と弟子2羽のオスがダンスを踊る鳥…すんでいるのは中米コスタリカ。
熱帯の森がとっても不思議な鳥を生みました。
シーソーのように上がったり下がったりするダンスや観覧車のように回るダンス。
息をぴったり合わせて演じきることでメスのハートを射止めます。
師匠と弟子2羽のオスが繰り広げる世にも奇妙な恋のダンスショー。
さあ開演です。
(テーマ音楽)コスタリカの森に響く奇妙な声。
(鳴き声)声の主はホエザルです。
高い木の上を子ザルを腰に乗せて器用に歩いています。
枝を巧みにつかみ木から木へ。
ほとんど地上に降りることなく木の葉を食べて暮らします。
枝の上でじ〜っとしているこちらの動物はナマケモノ。
やはり葉っぱが主食です。
でも食べる量はごくわずか。
1日の大半を寝て過ごします。
森では1年を通してたくさんの種類の木の実が実っています。
実を求めて小鳥がやって来ました。
今日の主人公オナガセアオマイコドリです。
鮮やかなスカイブルーの背中と真っ赤なベレー帽をかぶったような頭。
大きさはスズメより少し小ぶり。
体と同じくらいある長〜い尾羽が目立ちます。
「尾が長くて背中の青い舞子鳥」という名前のとおりきれいですね。
赤い実をついばみ始めました。
主食は木の実。
一年中豊富で食べ物に困ることはほとんどありません。
横に伸びたツルの上に1羽が舞い降りました。
すぐにもう一羽やって来ます。
(鳴き声)声を合わせて鳴き始めました。
(鳴き声)この2羽はどちらもオス。
特別な関係にあります。
鳴きだす順番にご注目。
右のオスが一瞬先に鳴きだしています。
左のオスをリードしているんです。
もうお分かりですよね。
右が師匠で左が弟子です。
弟子は師匠について回り歌や踊りを学んでいきます。
辺りの様子をしきりにうかがう師匠。
(鳴き声)あ何か飛んできました。
画面の左上緑1色の地味な鳥です。
実はこれがメス。
2羽の歌に誘われて来たんです。
メスに気付いた師匠と弟子。
タイミングを合わせ交互にジャンプを始めます。
この横に伸びたツルがステージのようです。
素早く高くジャンプしてメスを誘います。
メスがやって来ました。
するとあれ?何だか2羽の踊りが変わったように思いませんか?先ほどのダンスは交互に真上に飛んでシーソーのようでした。
名付けて…今度はこちら。
クルックルッと2羽が回るように飛んでいます。
こちらはさしずめ…おや?観覧車の輪が少しずつ小さくなってきました。
オスは頭を下げ真っ赤な羽毛を見せつけます。
メスも興味津々の様子。
延々と続く熱烈なプロポーズ。
ところが…。
あれ?師匠と弟子がいなくなった…と思ったらヒラヒラと行ったり来たり。
まるでチョウのよう。
これも求愛ダンス。
名付けて…色鮮やかな青い背中をアピールします。
再び観覧車ダンス。
メスがぐっと近寄ってきます。
何度もダンスを繰り返しながらメスとの距離を縮めていくんです。
激しさを増すダンス。
恋の歯車が今回り始めま…あ!メスが飛んでいってしまいました。
最初からやり直し。
2羽でメスを呼びます。
ちょっと待った!あ来ましたねヒゲじい。
はい。
メスはどうして飛んでいってしまったんですか?いい雰囲気だと思ったんですがね。
そうですよね。
でも実は弟子が大失敗をしていたんです。
えそうなの?はい。
直前の観覧車ダンスの様子です。
師匠は飛び降りるとすぐに横へ飛びのき弟子が降りる場所を確保します。
でも弟子はもたつき師匠が降りるのを邪魔しています。
あ〜ホントだ。
はい。
そして見ていて下さい。
今度はほら。
あ!ぶつかった。
そうこれこそ弟子が犯した痛恨のミス。
目の前のことですからメスは見逃してはくれなかったんです。
いや〜厳しいですなぁ。
でもそもそも何でわざわざ2羽で踊らなくっちゃいけないんですかね?よく分かっていないんですがこう考えられています。
遠い昔マイコドリの祖先のオスは1羽で踊っていました。
ある時たまたま2羽で踊るオスが現れました。
するとメスにもてたためそうした性質が受け継がれていったんです。
2羽で踊ったほうが目立ちますもんね。
そうかもしれませんね。
メスは次第に2羽でピッタリと息を合わせて踊るオスを好むようになっていき現在のオナガセアオマイコドリの複雑な踊りが生まれたと考えられます。
なるほどね。
マイコドリの弟子はきっとこんなふうに思ってますぞ。
「僕の師匠は歌って踊れるマイコーチ。
僕らのダンスはどうダンス?」なんて。
(鳴き声)メスに逃げられてしまった師匠と弟子。
でも…再びメスがやって来ました。
今度は息が合ったダンスを見せられるでしょうか。
うん?メスがジャンプしています!ほら。
メスは2羽の動きをじっと見て…。
一緒に踊っています。
乗ってきたようです。
(鳴き声)師匠が一声鳴いて自分1羽だけのダンスを始めました。
プロポーズの仕上げ…素早く横にステップを踏みヒラヒラ舞うとタッチアンドゴー。
元いたツルへ戻り再び横にステップ。
メスはもうすっかり師匠のとりこ。
そして…頭を下げ赤い羽毛を見せつけるオス。
ついにメスのハートを射止めることに成功!マイコドリのオスは半年にも及ぶ恋の季節の間情熱的なダンスを踊り続けます。
第2章では意外な新事実が発覚。
えっ!結婚できるのは師匠だけ?師弟関係に亀裂が走ります。
師匠と弟子2羽のオスが求愛ダンスを一緒に踊るオナガセアオマイコドリ。
自然界広しといえども師弟関係なんてめったにあるものではありません。
でも他にもあったんです。
こちらシママングースです。
アフリカの草原に50匹ほどの群れで暮らしています。
一見親子のように見えるこの2匹。
実は違います。
若いオスと子どもです。
群れには若いオスと子どものペアがたくさん。
どんな関係なんでしょう?子どもはいつも若いオスにくっついて行動します。
(鳴き声)子どもが元気よく鳴けばオスは自分の獲物を譲ります。
子どもは食べ物をもらうと同時に狩りのしかたを学んでいきます。
硬い虫を割って食べるための秘伝の技。
子どもは間近で見て盗みます。
まさに師匠と弟子の関係なんです。
シママングースの母親は短い雨期の間になるべく多くの子を産むため子が乳離れすると群れの若いオスに預けます。
独特の師弟関係を築くことで群れは厳しい自然を生き抜いているんです。
中米コスタリカの森で暮らすマイコドリ。
観察を続ける中変わった1羽を見つけました。
緑色で一見メスのように見えますがしきりにジャンプ。
尾羽は長くほら頭も赤いですよね。
実はこれ若いオスなんです。
隣にいるのは大人の羽を持ったオス。
でもこちらも一人前ではありません。
入れ代わり立ち代わりやって来るマイコドリたち。
みんな師匠を持たない弟子入り前の若いオスです。
年齢の違うもの同士が集まりダンスの練習をしています。
マイコドリのオスは初めはメスと同じ緑色。
2年目に頭が赤くなり5年目でようやく大人の羽になります。
でもまだ弟子にも師匠にもなれません。
弟子入りできるのは生まれて8年目。
師匠になるにはなんと10年必要です。
下積みの時代がとっても長いんです。
師匠と弟子の踊るステージの周りには若いオスが集まってきます。
こちらにも。
一体どうしてでしょう?師匠と弟子たちは森のあちこちで歌やダンスを披露しています。
若いオスはそれらを見学して回り難しい芸を覚えていくんです。
更には顔なじみになっておく事で将来弟子として受け入れてもらいやすくなるというメリットもあります。
いつかあこがれのステージでメスを前に歌い踊りたい。
そのために若いオスたちは日々精進しているんです。
(鳴き声)歌を披露している2羽。
どちらも弟子入り前の若いオスです。
(鳴き声)2羽で練習をしているんです。
上手に鳴けているように思いますよね。
(鳴き声)でも師匠たちの歌に比べると実力はまだまだ。
聞き比べてみましょう。
(鳴き声)分かりました?鳴き方を調べたグラフです。
2羽目が鳴きだすタイミングに差がありますよね。
師匠と弟子は0.04秒で鳴きだすのに対し若いオスたちは0.1秒と遅かったんです。
わずかな差ですがこのずれが全体の音程にも影響してきます。
もう一度お聞き下さい。
(鳴き声)マイコドリの芸って奥が深いんですね!こちらは長い間コンビを組んできた師匠と弟子。
新しいメスがやって来ました。
恋の季節の間師匠と弟子はできるだけ多くのメスにプロポーズします。
息はぴったり。
いい感じです。
(鳴き声)師匠が合図の鳴き声をかけ「結婚してねダンス」を始めようとした時あれ?何だか変ですね。
メスがとまどっています。
更にこの後とんでもないことが起きたんです。
師匠が弟子にキック!何があったんでしょう?もう一度見てみると…弟子が赤い頭を見せメスを誘っています。
それを見た師匠が激怒。
強烈なキックをお見舞いしたんです。
実は実際に結婚できるのは師匠だけ。
弟子がするのはおきて破りなんです。
ちょちょっと待った!あ来ましたねヒゲじい。
はい。
いくらなんでも弟子がかわいそすぎですよ。
結婚もできずこんな仕打ちまで受けるなんて割に合いません。
なんで弟子なんかやるんですかねぇ。
いいえ弟子になるメリットはいろいろあるんですよ。
どんな?まずは何といっても難しい技を直接学べること。
観覧車ダンスを例に見てみましょう。
顔の向きにご注目。
ああはいはい。
ツルに降りた時師匠の顔は向こうを向いていますよね。
ふむふむ。
すると弟子も顔を向こうへ。
ほう?師匠が顔を手前に向ければ…。
はぁ?弟子もそれに倣います。
ハハハ!ホントだ。
弟子は師匠の動きを追いかけているようですな。
そうなんです。
一緒にダンスをしながら師匠の型をまねる。
そうすることで高度な技を身に付けていくんです。
なるほど。
「芸はまねることから」なんてよく言いますもんね。
はい。
こればっかりはいくら見学しても身に付きません。
ダンスをマスターするのに弟子入りは不可欠なんです。
う〜んそういうことだったんですなぁ。
それとねダンスのステージであるツルがとっても貴重だってことも弟子が師匠と一緒にいる理由なんですよ。
へえ!ツルなんて森じゅうあちこちにありそうですけどね。
ほらここにも。
あそこにも。
いいえ。
そうでもありません。
こちらよ〜く見て下さい。
あメスですか?そうです。
いいステージの条件は見通しが良くメスが離れた所からでもオスたちのダンスを見られること。
でもここは熱帯の森。
そんな条件の場所はあまりありませんしほうっておけばすぐ草に囲まれてしまいます。
ああそりゃそうでしょうね。
そのためステージのいわばオーナーである師匠は自らこうして葉っぱを摘み取り日頃から管理しているんです。
へえ!ああホントだ。
葉っぱを取っていますよね。
弟子はそんな貴重なステージで師匠の高度な技を修得。
更に万が一師匠が死んでしまった場合はステージをそのまま受け継げると考えられています。
へえ!そういうことだったんですか。
師匠の技をまねしながら学べおまけに踊る場所まで与えられる。
いやぁこれなら確かに師匠に弟子入りしても「支障」ないですもんね。
ある日のこと。
まだ体が緑色の若いオスを見つけました。
1羽でダンスの練習中です。
そのすぐそばのステージ。
食事中なのか師匠が留守で弟子が1羽だけです。
おっ!メスがやって来ました。
それを見ていた若いオス。
なんとステージにやって来て弟子と一緒に踊り始めました。
でもなんだかバラバラ。
タイミングが合いません。
ようやく様になってきたかと思ったその時。
師匠が戻ってきちゃいました。
慌てて避難。
そこには弟子入り前の若いオスが。
「せっかくだから一緒に練習しませんか?」。
でも相手にしてくれません。
あこがれのステージまで長い道のりです。
第3章ではオスにはまねのできないメスの得意技が明らかに。
そして練習を重ねてきた若いオスについに弟子入りのチャンスが到来。
突然ですがここで「ダーウィンNEWS」です。
アフリカ大陸の東に位置するマダガスカル。
その森でトカゲに耳がある理由が明らかになったんです。
実はこれ…トカゲの多くは立派な耳を持っていますが仲間と話をするわけではありません。
じゃあ何のため?その謎を解明したのは京都大学の伊藤亮博士。
えっ盗聴?スパイみたい。
盗聴しているのは敵の接近を仲間に知らせるために鳥が出す警戒の声だといいます。
ではここで実験。
例えばブキオトカゲの場合。
後ろにスピーカーを設置して鳥の警戒の声を流すと…。
(鳥の警戒の声)目を見開いて背後をチラリ。
回りに敵がいないか探しているんです。
そして今度は激しく首振り。
「そこにいるのはお見通しだ!」という敵へのメッセージです。
つまりトカゲは盗聴によって敵を察知し身を守る行動を起こしているというんです。
伊藤さんはトカゲの仲間ヒルヤモリでも実験。
こちらも耳がよく発達しています。
(鳥の警戒の声)鳥の警戒の声を流すとあれれ?鮮やかな緑色だった体が黒っぽくなりました。
木の幹に溶け込む作戦です。
見通しの悪い森などでは音で敵を察知できればより安全です。
トカゲたちは生き残るために鳥の会話を盗み聞きできる立派な耳を発達させたというわけなんですね。
師弟のコンビで舞うオナガセアオマイコドリ。
雨期が近づいてきました。
連日激しいにわか雨が降るようになります。
雨上がり。
よ〜く見て下さい。
ここにマイコドリがいるんですが分かりますか?メスです。
地味な緑色が周りに溶け込んで目立ちません。
卵を抱えているようです。
卵はわずか3グラム。
ヒナがかえると半月ほどで巣立ちを迎えます。
子育てをするのはメスだけの仕事。
派手な色のオスがそばにいると天敵に見つかりやすくなりかえって危険なんです。
ツルのステージに若いオスがやって来ました。
師匠と弟子は留守のようです。
絶好のチャンス。
あこがれのステージでこっそり練習を始めようとしたその時。
あっ師匠が戻ってきて追い払われてしまいました。
若いオスはステージのすぐ隣のツルに避難。
しかたなくいつものように自主練習を始めました。
ステージではやって来たメスを前に師匠と弟子がダンスを開始。
若いオスはじっと見つめます。
その時ハプニングが起きました。
緑色のもっと若いオスがやって来たんです。
師匠が追い払いに行きます。
するとなんと若いオスはステージに飛び乗り弟子とデュエットを始めました。
取って返す師匠。
でも今度は追い払いません。
3羽で歌い始めました。
若いオスはシーソーダンスにも挑戦。
師匠と弟子のすぐ横で踊れるとは!目標への階段を1段上りました。
熱帯の森に暮らすオナガセアオマイコドリ。
厳しい下積みの時代を経て師匠になれるのはわずか1割。
オスたちはひたむきに踊り続けます。
その熱い情熱が類いまれな恋の舞を磨き上げてきたのです。
2014/06/28(土) 17:30〜18:00
NHK総合1・神戸
ダーウィンが来た!「中米コスタリカ 歌って踊る!マイコドリ」[字][再]
中米コスタリカの森に住むオナガセアオマイコドリ。師弟関係にある2羽のオスが息ぴったりの歌や踊りを披露、メスにプロポーズする。世にも奇妙な恋のダンスショー、開演!
詳細情報
番組内容
中米コスタリカの森にすむオナガセアオマイコドリ。2羽のオスが息ぴったりの歌や踊りを披露し、メスにプロポーズする。実はこの2羽、自然界では珍しい師匠と弟子の関係にある。師匠は弟子と歌い踊ることでメスの気を引き、弟子は師匠について回ることで高度なワザを学ぶのだ。2羽のダンスは“シーソー”や“観覧車”のような個性的な動きのものばかり。芸の道に生きる鳥たちの世にも奇妙な恋のダンスショー、開演!歌:平原綾香
出演者
【語り】首藤奈知子,龍田直樹,豊嶋真千子
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 自然・動物・環境
趣味/教育 – 旅・釣り・アウトドア
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