こう語るのは…今さんは救急要請が入るとすぐに病院を飛び出します。
(サイレン)日赤病院掛かりつけ。
日赤病院収容もらいましたので。
病院に向かう途中の救急車と合流。
緊急処置で命をつなぎます。
あと5〜6分です。
しかし医療過疎の地域では治療までに時間がかかるため命を落とす事もあるのです。
いかに早く治療するかが課題となっています。
ライン15。
ライン取れてる?今さんは今ある挑戦を始めました。
医師が患者のもとへ駆けつけその場で治療を行う計画です。
だってやってないんですから。
医療過疎の地域で医師ができる事は何か…。
ふるさとの命と向き合う今さんに密着しました。
年間2万4,000人の救急患者が訪れる…青森出身の今さんは10年前からこの救命救急センターで所長を務めています。
ここでは常時100人の重症患者が入院しています。
なんぼかいいみたい。
よかったですね。
中には遠隔地から運ばれてくる患者もいます。
(今)一番向こうの方には全身のやけどの患者さんが下北半島から。
むつ市からですね。
で一番奥は脳卒中の患者さんが岩手県北から来ております。
そちらが十和田市から運ばれてきておりますツツガムシ病といわれている発見が遅れると死亡につながる病気ですね。
昨日おとといは苦しかったんですか?そうですね。
ふるさとの命を救うために今さんが導入したものがあります。
病院から100km以上も離れた地域にも駆けつけます。
(出動の合図の音)今さんは早く治療できず目の前で亡くなる患者を多く見てきました。
厳しい現実をなんとか打開しようと5年掛かりで行政に必要性を訴え青森に初めてドクターヘリを導入しました。
地方の市民病院では異例の事でした。
更に今さんは地域の病院へ飛び出していきます。
八戸市から西へ20km…医師不足の解消に2年前から救急医を送り支えています。
これ見れますか?聴診器。
聴診器の真ん中触って下さい。
めまいを訴え救急車で運ばれてきた70代の女性。
今さんはある可能性を指摘します。
検査の結果脳出血が判明します。
もしもし五戸病院内科手伝い救命センター今です。
今もう救急車ここにいますので乗せます。
すぐに救急医がそろった今さんの病院へ搬送を決めました。
もしもし五戸病院手伝い今です。
ドクターヘリ通信指令室お願いします。
要請から僅か10分でドクターヘリが到着。
患者は20km離れた八戸の病院へ運ばれ一命を取り留めました。
ふるさとの命を救いたいという今さんの思いは今こうして実を結んでいるのです。
医療過疎と闘う今さんが大切にしている言葉があります。
自らを省みる五つの心得「五省」です。
「一つ至誠に悖るなかりしか」「一つ言行に恥づるなかりしか」「一つ気力に缺くるなかりしか」「一つ努力に憾みなかりしか」「一つ不精に亘るなかりしか」全部「一」なんですね。
全部大事なんですよね。
この中でやっぱりトップバッターの「至誠に悖るなかりしか」っていうのはやっぱりしっかり押さえておきたいとこですね。
(取材者)なぜですか?医師として人として医療の現場に立つ時真心を忘れない。
厳しい現実と向き合う中で得た今さんの信念です。
夕方6時出動要請が入りました。
この日40km先の町で70代の男性が畑で倒れたという連絡です。
ドクターヘリの運航は日没まで。
車で現場に向かいます。
(取材者)今はどんな状況ですか?胸痛を訴えている男性ですね。
それが田子町という結構遠隔地ですね通常ではドクターヘリが行くとこですけどもそこで発生してます。
(アナウンス)「右へ曲がります。
ご注意下さい。
右へ曲がります」。
救急車と中間地点で合流。
出動から30分がたっていました。
一刻も早く病院へ搬送し治療をしなければなりません。
患者の心臓が停止しました。
波形はどうですか?VFになってませんか?鼠蹊触れません。
触れないね。
アドレナリン入れます。
続いて気管挿管しますんで。
緊急処置で命をつなぎます。
挿管します。
OK出発。
市民ね。
病院には要請から1時間で到着しました。
肺と脳に酸素を送り込む人工心肺装置を使った治療が行われました。
ライン取れてる?まだです。
早く取って。
しかし2日後。
患者は亡くなります。
倒れてからの発見が遅れ病院までの距離が遠かったため早い治療につながりませんでした。
「少しでも早く治療したい」。
今さんは地元の工業大学と新たな挑戦を始めました。
この高さが気になったんですよね。
それでタイヤを小さくするという事ですよね。
そうです。
ドクターヘリが飛べない時現地に向かいます。
病院から移動手術室で出動し中間地点で救急車と合流。
その場で治療を行う計画です。
車両には病院と同じような手術ができる医療機器を載せます。
123はい。
心臓が停止した患者に現場で人工心肺装置を装着できればより多くの命を救えると今さんは考えました。
医師の立ち位置や患者の向き機械からの管が届くのか。
改良を重ねます。
こういう…。
これで例えばもっと…。
十分…いいですね。
十分できます。
目の前にあれば大丈夫です。
いいね。
すごくいい。
ここにポンプあるし。
近い。
救命救急の新たな取り組みの実現に向け救急隊に協力を呼びかけます。
移動緊急手術室の目標ですが遠隔地で発生した心肺停止に対して人工心肺を移動緊急手術室でへき地遠隔地まで持っていきそこで装着する事をまず目標と致します。
どうぞ皆さんの協力よろしくお願い致します。
ご清聴ありがとうございました。
(拍手)この日今さんは大きな決断を迫られていました。
心臓と腎臓を患い危篤状態の80代男性。
「最期の瞬間を自宅に帰してあげたい」と家族が希望していました。
しかし通常患者の自宅搬送はリスクが高いため行っていません。
医師として患者や家族にできる事は何か。
今さんは考えました。
(取材者)難しそうですね。
(取材者)それでもやるんですか?できれば一番いいですよね。
今さんは家族の思いに応えます。
患者の自宅まで40分。
自ら付き添います。
真心を持って患者と向き合う事。
地域医療に懸ける今さんの原点です。
無事自宅まで送り届けました。
病院に戻る前声をかけました。
帰りますよ帰りますからね。
おうちに帰ってきましたよ。
また八戸の救命救急センターに急患の連絡が入りました。
「一刻も早く患者のもとへ」。
すぐに病院を飛び出していきます。
「一人でも多くの命を救いたい」。
ふるさとで医療過疎と闘う医師今明秀さんです。
今日のテーマは「人手不足」。
2014/07/13(日) 08:00〜08:25
NHK総合1・神戸
目撃!日本列島「飛び出す医療〜ひとりでも多く救いたい〜」[字]
医療過疎で亡くなる人がいる厳しい現実と闘う医師がいます。青森県八戸市で救命救急担当の今明秀医師55歳。常識の壁を突き崩す発想でふるさとの課題と向き合っています。
詳細情報
番組内容
青森県八戸市で救命救急を担当する今明秀医師は、ふるさと青森の地で10年前からある挑戦を始めています。「ドクターヘリ」や「ドクターカー」で広範囲の患者の元へ全力で駆けつけ処置。それでも救えない命を助けるために、現場で手術する「移動手術室」を開発中です。「より早く決定的な治療をしたい」。常識の壁を突き崩す発想で、地方医療の課題と向き合う今医師の日々に密着しました。
出演者
【語り】松岡孝行
ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz
OriginalNetworkID:32080(0x7D50)
TransportStreamID:32080(0x7D50)
ServiceID:43008(0xA800)
EventID:47252(0xB894)