ロンリのちから「暗黙のロンリ」 2014.06.28

(礼央)僕たちはいつのころからか「それ」を曖昧にしてきた。
「それ」とはゆがみのない真理。
明快で合理的な思考。
考えを伝えるための強力な武器。
今こそ手に入れよう。
…ってちょっと待った。
(杏奈)カット!
(カチンコの音)第6話…何なの?礼央。
何で続けないの。
…って何か雰囲気はいいけどどういう理屈かよく分からない。
花がキレイだからってどうして2人は自分たちの星に帰らなきゃいけないの?
(マリー)うん。
私もアリスとテレスが何で納得し合ってるのかよく分かんなかった。
登場人物が勝手に物語を進めちゃってる気がする。
そんな事ない。
みんな分かるよね?ほら。
おかしいな〜。
(溝口)「暗黙の了解」の問題ね。
「暗黙の了解」って?でも分かってなかった。
そう。
お互いに分かっていると思っていても実は分かっていない事があるわ。
そんな場合には話が飛躍して伝わらなくなるの。
例えばこれはどうかしら。
2人がどうして野菜が高くて喜んでいるか理由が分かったかしら?う〜ん。
分からなかった。
今のも「暗黙の了解」が隠れているの?そうよ。
どういう「暗黙の了解」が隠れているか考えてみなさい。
あっ分かるような気がする。
野菜が高いとママがあんまり買ってこないの。
それでね私野菜嫌いだからちょっと〜う〜ん…超うれしい!ああ。
確かにそう説明されれば分かる。
なるほど。
「野菜が高い」と「うれしい」の間に「野菜が高いと母は買わない」そして「2人は野菜嫌い」っていう前提が隠れていたんだ。
こうやって「暗黙の了解」を説明してくれるとよく分かるわ。
知らないと理解できないし。
杏奈あなたが書いたせりふはどうかしら。
説明しなくても分かるって思ったけれど「花をキレイだと思った」事と「星に帰るべきだ」の間には飛躍があるかも。
花を見てキレイだと感じた。
つまりアンドロイドには本来感情がないはずなのにキレイだと思う感情が芽生えたって事。
ん?どうして感情が芽生えたら帰らなきゃいけないの?アンドロイドは感情を持たない。
でも感情が芽生えてきちゃった。
だから故障したに違いないと思って修理のために一旦帰ろうと考えたの。
あ〜。
礼央とマリーにすら分かってもらえなかったって事か。
そういう事ね。
つまり我々に感情が芽生え始めたのだ。
しかしアンドロイドが感情を持つ事はないはず。
これは故障に違いない。
我々は修理のために星に帰るべきだ。
(マリー)これでよく分かった。
とうとう2人は感情を手に入れたんでしょ?この先どうなるの?楽しみ。
それならまあ…よかったわ。
「失敗は成功のもと」って言うからさ。
…ってあれ?「失敗は成功のもと」って何だか説明が飛躍してない?失敗したのに成功するって意味が分かんない。
…という意味のことわざね。
ふだん違和感を持たないのは頭の中で欠けている説明を補ってるのかも。
つまり「暗黙の了解」ね。
マリー分かってきたようね。
あっそういえば昨日家でこんな会話があった。
どんなのかしら。
妹がね好きな男子ができたらしいんだ。
どうしようかって悩んでたから「思い切ってぶつかっていきなよ」って言ったらさ「無理だよだってイケメンなんだもん」って。
何で?イケメンいいじゃん。
でしょ?飛躍してるでしょ。
だから「イケメンだとどうして無理なの?」って聞いたら…それって違うよね。
イケメンだからってモテるとは限らない。
兄を見ろよって言ってあげたんだ。
ん?それってどういう意味?まあ…ねっその〜一応イケメンかなって…。
でもモテないなってね…。
ふ〜ん。
まあ礼央はほっといて。
モテるからって彼女がいるとは限らないし私は中身重視だから顔だけで選ばないな。
そうなの?そうよ。
悪い?いや悪くないけど…。
そう。
飛躍した説明には「暗黙の了解」が前提として隠されている。
でもその前提が間違っている事があるの。
だからこそ飛躍した説明は危険なのよ。
危険な飛躍ね。
そういえば去年のスキー教室で野矢君っていうクラスの男子にお手本を見せてもらおうって話になって野矢君が「どうして俺なんだ?」って驚いたの。
みんなは「お前北海道出身じゃないか」って言ったんだけど…。
それ北海道出身だからスキーがうまいっていう「暗黙の了解」があった訳だ。
そう。
だけど北海道出身でもスキーがうまくない人は普通にいるって言われちゃって。
つまり「暗黙の了解」が間違ってた訳だ。
まあありがちな決めつけだけどね。
私も経験した事ある。
私帰国子女だからさ英語で道聞かれたりした時にみんな私に押しつけるんだよね。
帰国子女は英語がうまいっていう「暗黙の了解」だね。
だって私いたのフランスだよ。
「メルシー」だよ。
「サンキュー」じゃないもん。
(礼央と杏奈の笑い声)当たり前だと思っていた「暗黙の了解」が実は間違っていたっていう事がある。
時には闇に隠された前提に光を当てて明るみに出す。
そうそれも「ロンリのちから」。
(アリス)ねえねえウサギさん。
(ウサギ)何だい?アリスちゃん。
「暗黙の了解」ってさことわざにもあるよね。
劇中に出てきた「失敗は成功のもと」もそうだね。
「かわいい子には旅をさせろ」っていうのもあるでしょ?これも何か「暗黙の了解」が隠れているよね。
かわいいなら家で大切に育てればいいのに。
まあ落ち着いて。
旅をしていろんな経験をした方が子供のためになるっていう「暗黙の了解」が前提にあるんだね。
それって私じゃん。
こんな不思議な世界を経験してるんだもん。
(チェシャ猫)「風が吹けば桶屋が儲かる」。
(アリスウサギ)出たチェシャ猫!何で風が吹くと桶屋が儲かるの?
(チェシャ猫)昔のことわざさ。
いいか?風が吹くと土ぼこりが目に入って目が見えなくなる。
すると三味線を弾いて生計を立てる盲人が増える。
三味線には猫の皮が使われていたから猫が少なくなる。
それで猫が少なくなって増えたネズミが桶をかじるので桶を買い替えなくちゃいけない。
という訳で風が吹くと桶屋が儲かる。
(アリスウサギ)もう訳分かんない。
2014/06/28(土) 15:50〜16:00
NHKEテレ1大阪
ロンリのちから「暗黙のロンリ」[字]

論理的思考力を養う番組です。毎回、簡単な例文を題材に、論理的に考えるとはどういうことかを学んでいきます。今回は「暗黙のロンリ」にひそむ危険について知ります。

詳細情報
番組内容
映像部員たちの映画撮影が続く。「花がキレイだと思ったから、星に帰ろう」というアンドロイドのせりふの意味がわからないという部員たちに、先生は「それは暗黙の了解の問題だ」という。お互いわかりあっていると思って説明をはしょると、話がうまく伝わらないことがある。また当たり前だと思っていた暗黙の了解が間違っていることもある。暗黙の了解の問題と危険を知る。【出演】緒川たまき、大場はるか、山崎紘菜、植田慎一郎
出演者
【出演】緒川たまき,山崎紘菜,大場はるか,植田慎一郎

ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
趣味/教育 – 生涯教育・資格
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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