丹沢3人死亡:中州、勝手に造成…近隣抗議

毎日新聞 2014年08月03日 02時31分(最終更新 08月03日 06時56分)

アドベンチャーゾーン(中洲)
アドベンチャーゾーン(中洲)

 神奈川県山北町中川のキャンプ場「ウェルキャンプ西丹沢」で1日、親子4人が乗った車が川に流され3人が死亡した事故は、川の中州にテントを張った親子が川の増水に気づいて避難しようとした際に起きた。この中州は、キャンプ場運営会社が四輪駆動車専用のキャンプサイトとして整備したといい、専門家は「危険で聞いたことがない」と驚く。県警は安全管理に問題がなかったか、キャンプ場関係者から事情を聴く方針。

 近隣住民らからは、キャンプ場運営会社が中州を造ったことにより、河内川が増水しやすくなったとの指摘がある。河川法で河川の形状を変えるには管理者の許可が必要で、同川を管理する県は当時の経緯について慎重に確認を進めている。

 住民らによると、中州は約10年前、運営会社が岸を削って川幅を広げた上で、元は小さかった中州に土砂を運び込んで面積を広げ、キャンプサイト「アドベンチャーゾーン」として整備したという。工事で川の流れが変わり、水位が上がるなどの影響が出たため、住民からは苦情の声が上がった。

 隣接するキャンプ場の経営者は2004年、県松田土木事務所(現県西土木事務所)に抗議文を提出。アドベンチャーゾーンについて「少量の雨でも増水して戻れなくなる利用者がいる。人身災害が起きる可能性が非常に高い」と是正指導を訴えた。同事務所は許認可指導課長名で「事業者の責任において実施し、キャンパーも自覚して行っている以上、自由使用の範囲と認識している」と回答したという。あるキャンプ場関係者は「いつか事故が起きると言い続けていた。あの状況を放置していた県の責任は重い」と憤った。

 事故現場には2日、同事務所職員も訪れ「河川管理者として、事故が起きた現場の確認に来た」と説明した。

 河川が国有地でも民有地でも、管理する県の許可を得ずに堤防を造ったり、土地を削ったりすれば、河川法に抵触する。形状変更と今回の事故が直接結びつくわけではないが、県は違法な状態が確認されれば、行政指導で原状回復を求めるなどの措置をとる考えだ。【澤晴夫、水戸健一】

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